Kobe University Repository : Kernelケ イ ンズ乗数理論について ー ケインズ研究...

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Kobe University Repository : Kernel タイトル Title <論説>ケインズ乗數理論について : ケインズ研究 その一 著者 Author(s) 矢尾, 次郎 掲載誌・巻号・ページ Citation 国民経済雑誌,72(1):43-66 刊行日 Issue date 1942-01 資源タイプ Resource Type Departmental Bulletin Paper / 紀要論文 版区分 Resource Version publisher 権利 Rights DOI JaLCDOI 10.24546/00055621 URL http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/00055621 PDF issue: 2020-04-21

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Page 1: Kobe University Repository : Kernelケ イ ンズ乗数理論について ー ケインズ研究 その一-矢 尾 次 郎 五'乗数坤論と加速度原則四'貯蓄投賓の均等と釆数蝿論三'誘致理論と時間的経過二、論理的乗数理論の構成一'ケインズ理論構造

Kobe University Repository : Kernel

タイトルTit le <論説>ケインズ乗數理論について : ケインズ研究 その一

著者Author(s) 矢尾, 次郎

掲載誌・巻号・ページCitat ion 国民経済雑誌,72(1):43-66

刊行日Issue date 1942-01

資源タイプResource Type Departmental Bullet in Paper / 紀要論文

版区分Resource Version publisher

権利Rights

DOI

JaLCDOI 10.24546/00055621

URL http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/00055621

PDF issue: 2020-04-21

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ンズ乗数理論について

ケイ

ンズ研究

その一-

一'ケインズ理論構造

二、論理的乗数理論の構成

三'誘致理論と時間的経過

四'貯蓄投賓の均等と釆数蝿論

五'乗数坤論と加速度原則

ケインズ理論におSては、雇傭水準

・所得水準は放供給函数

(ZIQ(N))と紙需要函数

(DIf

(N))との1致鮎た

る有数需要

(EffectiveDemand)によって決定されるo何故ならばこの鮎において企業者の期待利潤は鼓大となるから

である。そして有効需要は二つの量、即ち敢合が滑費に支出すると期待される額

(Dl)と新投資に向けると期待され

る額

(cS.)

とによって構成される。(DIDl+DB)

とのうちp-は社食の総所得とそれよ-の消費支出との問の関係堅不す滑費性向

(PIOPenSitytoconsume)によって決

ケイ

ンズ粟教理伶について

(四三)

四一二

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第七十二審

第1淡

へ四四)

四四

足される。この際、

消費の増加は所得の増加に及ばないと云ふ心付域的法則によって雇傭量

・所得量が増加するに従っ

て、それに撃

るZ(鐙

的)と品

との開き、即ち貯蓄に向けられると警

される額は増大するが増

I-しこ

の増加せる雇傭の全部が消費財の生産に申けられるとすれ

ば'企業者はその供給慣格の一部を回収することが出来

ず、損失を受けること1なるOそれ故にこの増加せる雇傭乃至所得の水準を維持するためには、この開きを埋めるに

足るだけの、換言すれば貯蓄額(鯛待)に相苦するだけの。"Q増加が同時に存麗しなければならないo

l般的に云へぼ

雇傭乃至所得の1定水準が貰現せられるためには'その水準にお.いて1定の消費性向に基いて生すると預想される貯

蓄に等しい大さの新投資が行はれねばならない。もしこのとき.新投資がこの水準における貯蓄よりも大もし-は小

であれば、その時の級要

償格と琵

給慣格とは

一致せず、

(ZJZ?I),Pz,-qZ裏

zfzD<晋

って針

乃至所得の嘗

該水準は賓現せられずして、貯蓄が新投資に1致するような水準における雇傭乃至所得が嘗現されねばならない。か

ける均衡傑件の一つとしての意味をもって来る。

か-の如-雇傭乃至所得の一定水準を維持するために必要とせられる新投資の大さは滑費性向の反面として規定せ

られるにも拘らず'茸際にその大さを決定するものは

これと全-他の事情たる調はゆる投資の誘因

(Inducementto

invest)、

換言すれば資本の限鼎能率

(MarginalEfBciency.fCapitat)と利子率との関係である。そして資本の限易能率

は資本財の将釆収益の預憩とその供給債格とによって、また利子率は敢合の貨幣量を

1定とすれば詞はゆる流動性選

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.(LiquidityPreference)によって決定される。

かくして消費性向を

一定とすれば'限界能率と利子率との関係によって定まるその時々の新投資はその各々の大さ

に廠ずる有数需婁従って雇傭乃至所得の均衡的水準を有するJJと~なる。そしてこれら水準は

l方においてー賛質箕

銀が労働の限鼎非致用よりもより小であ-得ないと云ふ事情のために完全雇傭以上に上ることを得ず'また他方にお

いて.拘費性向と投資誘因とが特殊の関係~新投資が完全雇傭において生すべき貯蓄に等しいpと云ふが如きーに立た

ぎる限-.完全虐鰭以下の鮎で成立し急ければならない。

以上の如-成立する雇傭乃至所得の各水準においては新投資と絶所得及び絶所得と消費支出との問には

1定の関係

が存在する.前者が投資乗数

(ⅠnvestmentMuttiptiel)であ-、後者は消費性向である。しかも各水準におけるこれら

両者は事に表裏の関係をなすことは均衡保件としての貯蓄

・投資の均等関係から容易に知られるところである

。(1)

1)

J・

M・KeyneS;The

Gen

eralTheoryofE

mptoy

mentLnlerestand

Money,193P,,Ch,3.ThePrincipteofEffect)'ve

Demand,;Ch,

)8,TheGene

ralTheo

ryo

fE

mploym

entre・stated.

以上ケインズの理論構造を概観することによって'滑費性向を

一定とすれば雇傭乃至所得の水準は新投資の大さに

ょって規定されると云ふ基本的関係を知った。換言すればⅢ消費支出の増加は所得の増加に及ばない.聞それ故にそ

の所得増加が賞現される貧には貯蓄に等しい新投資が行はれね.はならないocc;逆に云

へば

1の新投資が興

へられると

ケイ

ンズ爽数

理給

について

(四五)

四五

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第七十二容

1鍵

(四六)

四大

きにはそれが丁度埋めるに足るだけの開きを消費支出との問にもつ所得水準が茸現されねばならないOか1る基本的

関係は次の角度からも明かにし得る。川投資増分は同時に貯蓄増分が存在するのでなければ起り得ない。聞貯蓄増加

は所得が増加するのでなければ生じない.cy,;それ故に投資増加が可能なるために怯、それに等しき貯蓄増加を生む所

得水準が資現されるまで生産は泊費支出によって刺戟されねぼ怒らない。(1)ケインズ乗数理論はまさし-か1る新

投資と総所得との間の函数関係の精密なる規定を志してゐるoLかもこの際、所得のそれ

-ん\の水準においては貯蓄

投資竺

致すると云ふ潤係に誓

紙所得と貯蓄との函数関係(謂

相即酢鵬讐

)を以て新投資と紙所得との函数関係に

置き膏

へると云ふ理論的操作をとるのである。そこで乗数理論の構成を明かならしめるためには'まづ消費性向の性

質を明かにしなければならなS。

ケインズは賃銀単位で測られた

一定の所得水準㌦とその所得水準よりの消費支出uBとの問の函数関係

ズを消費性向

と定義する。即ち

Cw-

x(Yw)

or

CIW・x(Y

J川;その意味は

一般に油受の大さは所得量に依存すると云ふのであ

るO(註T)ケインズは更に

T歩を進め、か1る函数の正常的形態如何を問題として、「人は原則として且、平均して'

その所得が増加するに従払その消費を増加するが、しかしそれは所得の増加はど多-はないと云ふ傾向がある」との

基本的心琵

法則に讐

・・・-・ACwはAYwと同じ符警

有す墨

宝において-

且で

-

即ち矩

あるが二

よ-

小である巴

と云

ふ。軽は損

鼎消費性向

(MarginalPr.pensi-y-.Consu-e)と名付けられ、そ

れは生産物の次の増分が滑費と投資の問に如

何に分たれるべきか垂がすが故に重要である。川

限鼎消費性向は所得

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至雇

が増加

に従

って逓減

る傾

があ

る。

(撃

1)

(註

T)

ケインズは滑費性向

に影響を輿

(る要因を客数的なるものと'主親的なるものに'更に後者を個人的なるもの'及び政

倉的なるものに分

ってゐる。即ち客観的要因としては川賃銀単位

の奨化榊所得と純所得との差

の担化同病所得

の計算

に考慮せ

られざる賓本侶位の意外

の担化仰割引率

の廼化桝財政々策

の担化仰現在

の所得水準と将来

のそれとの関係についての見込の襲

北を挙げる。主取的要因としては個人的には用心

・課見

・打算

・改暮

・狗立

・企業

・誇示

・寄留を.敢魯的にはM企業

の動磯

田流動性の卸梯川改善

の郵横付金融的準備の動機を述べてゐか。しかし,矩期

の轡謝分析

に問題

の焦鮎を置-ケイ

ンズはこれ

ら諸要因の偶

々に喝を影響力を認めるものではな-

「主故的及び敢昏的

の諸誘因

の主なる背景は綬怪

に廼化し'他方'利子率

及びその他

の客親的要因における固化の短期的影響も屡

々第二次的墓要性しか有しな

いから、消費

の短期的襲動は大部分'由

得(盟

E,)が獲得される率

の発

に笠

し・

T定

の所得から

の消費性向

の欝

には依存しないといふ結讐

る」とな

してゐるO(Keynes:GenerallTheory,

PP.

91-95.PP.107-)09.P.

ttO.)

へ註二)

ケインズは限鼎滑

費性

向起減

傾向

て次の如-述

る0

「所得水準

における短期

の担化

は別として、所得

のよ

旦向き絶封的水準は原則として所得と脚蛍

との間

の閃きを接げる傾向があるO」(P.97)

また

「隈鼎滑単位内はすべての雇僻水

に射して

一定不轡ではな-'雇僻が

智加するにつれて原則として減少する傾向が

存することがあるであらう。」(P,)0」)限

界滑費性向適職の理由

にはr個人的なるのものと融骨的亨

Qものとが考

(られる0個人的理由は

一個人及びその家

族の直接的

7次的必要

の充足は蓄槙

の動機よりもよFL-強力な動機であるから後者望

附者が或る限界まで満早

せられたる場合に致異的支

配をもって-ると云ふ事情であるぐ(p.97)

赦骨的押出としては?所得

の融合的分配状態

の担化が考

(られる。何故ならば琴

働者階級

の沿費性向は企業者乃至貯蓄者階級のそれよりも大であるが'

い旦属僚の増加するに敬

って短期では収穫速減

の作用

により企業者に属する所得分配は増大するからであるO(P.]2])所得畳が賃銀単位で測られてゐることから、賃銀準位の襲化

ケインズ粟数理給について

(四七)

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欝七十二番

第7蚊

へ四

八)

限界滑費性向逓減を促進する事情と考

(られる。(P・uBt)

以上によって明かなる如-消費性向は単なる心理的凄好のみの問題

ではなし

ケイン

ズ自らもこのことを明白

に認めてゐるO

(p・109・E

・W・Gitboy"ThePropes

ityto

Con

sume.R

e

ply.Quoter

ty

J

o

urnalofEcon

omics,Aug,Jt939.P.633.)

以上に明かにせられた組所得と消費支出との函数紺係と各所得水準における貯蓄

・投資の一致から投資乗数は直に

導き出される。即ち滑費支出が総所得の函数たることを示す

Cw-x(Yw)からその反面として貯蓄もまた親所得の函

SwIF(Yw)

となる.何故ならば

Sr,,-Yw・Cw=Y

w

・x(Yw)なる関係が成立するからであるO所得のそれそ

水準において貯蓄は投資に一致するのであるからSBの代-にL

を代置し、lw-F(Yw)

が得られる。いまこの函数の

遁函数を考

へ'それを

YwI

(iw)

とおけば、これはまさしく消費性向

1定なる場合、新投資の太さが所得水準を規定する長石ふ乗数理論の基本的関係を

示すものであるoこの函数から投資が告

加するとき霜

得の増分豊

で-

か品

られ・それは巌

-k

なる1定の比を以て示すことが出来る。ケインズはこのkを投資乗数と名付ける。即ち投資乗数はその導出の過程か

ら明かなる如-治安性向の函数であり

「それは投資絶額の増加ある場合には'所得は投資増分のk倍の額だけ増加す

るであらうと云ふことを示す.」何

投資乗数孟

次の如-にも霊

せられるやAYw-ACw・AIwの霊

を讐

除し移項すれば・-斡

-1・斡

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を得る。これから容易に

k1-

1-

ー.Jj.E.:I

なる関係が得られる。(註)

(註)

過程分析的方法がとられ

1の新投資によす投ぜられた貨幣の流れが順次に滑費に向けられ'

1連の等比級数的

により小となる貨幣所得を生み出し乍ら牧致して行-ものとして

A

Y-A:+

AZ・r2+Al・r3+‥-・-Ar(1+r+r2+rl+・・・)肌

LJ-Lr

(rは限界消費率)を以て'ケインズ乗数理論は解程せられる

。ロバIJ・リンは各期

P;の新投資が繰返される場合滑費

率を

qとすれば警

無限大に近

い管

において所得は拝

となると云ふ詮芳

法-

る0

(。・H・R.her-S

.n,Essays

inMonetaryTheory,1940,PP・ttTE9・)

またへル

べルイはケインズ乗数理論と同校なる関係

を現はす

のと

して

55-coE-

る公式

を示してゐるO

(削那諸

雛鐙

紳帽蛸郎漂

即納詑

和新郎鴫謂

即が㌫

棚謂

附髭

州は

)(E.Lundberg,StudiesinEconomiCExpansion,)936.P.

)95.)

かゝる設

明方法は期

間を殆ど

無限大にと

る必

要が

あり'且短期

消費財

部門

企業者はその在庫品の減少を丁度補充するだけの生

産を行ふと云ふ侶定を置れねばならないなど轟多の餌難を含むo我々のとる方法は所得と滑費従

って所得と貯蓄乃至新投賓

の函数関係を用ふることによってへ過程にかゝはることな-'敬

ってかゝる説明上の困難を回避することが出来る。

以上によって明かなる如-乗数理論は投資と所得との基本的函数関係を

YwIも(Iw)を以て把捉し、

1定の投資綿

1

幾許の所得増加曇

らすか

kI顛

-

=

として示すもので雲

。そして1定の慧

向に

基-所得と西安支出との関係

CwIx(Yw)及びあらゆ

る所得水

において貯蓄

・投資は恒に等しいことが認められる

限り.その常然の締結として~乗数理論に含まれる新投資と所得の函数関係は所得のすべての水準において

「連接的

に時間的遅れな-'時の如何なる瞬間においても」安富するものなることが承認せられねばならない。これが乗数の

ケインズ粟数理倫忙っいて

(四九)

四九

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七十二番

1凍

(五〇)

論理的性格であ-、ケインズが

「論理的乗数群論」(LogicalTheoryofMule;ptier)と名付ける所以である。拘

の如き諭謁

乗莞

.<I

dd甲

<1

粗酒欝

部門よ基

本財部

門への羅

用が存しないこと-響

すれば投資誘因に肇化のなSことを前提としてゐる。第二の鮎は蒔操と云ふよ-はむしろ乗数理論構成の建て苗その

ものが語るところの意味である。.何故ならば投資誘因によ-

lの新投資が定められるとき.それから幾許の所得が生

するかと云ふことが本来、乗数印論の解かんとする問題にはかならなSからであるoこの期についての詳細は第五節

に謀ること1する。第

1の前提は限鼎消費性向が消費に関する謂はゆる基本的心理的法則に反する場合を考察するこ

とによって直に明かであるOまづ限碁滑費性向が

一に等しき場合.即ち'所得糖分が悉-消費増加に向けられる場合

には如何なる鮎においても安定鮎は見出されず、消費財慣格は無限に上昇する。この場合には消費財部門においては

生産が如何に増加しても丁度それと同じ歩調を以て需要もまた増加するから'消費財生産には何らの限鼎も輿

へら

ないOそれのみではな-.消費財部門の如何なる生産増加も同

l部門内において悉-消費せられるが故に、資本財部

門からの需要増加だけは常に供給が不足し、油資財噴格は限-な-上昇するのであるOか-て消費財生産には何らの

計蓋性も興

へられず盲目的生産活動が無限大の利潤を約束すること1なり、経酒は何らの均衡鮎をもち得ないこと1

なる。次に限界消費性向が

一より大なるときは

一骨大なる撹乱的程度に缶Sて経済の不安定を招釆することは明かで

ある。最後に隈碁消費性向が等なる場合には雇傭乃至所得の増加.は第

一次的刺戟に直接基-それに制限され'何らの

乗数約数巣は見られなS。か-して'軍より大且

一より小なる限鼎消費性向の作用する珊胃の控酉機構とか1る基本

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的心理法則に従はざる想定上の経済機椿との問の本質的相違を知るべきである。rm

(聾

(読)

以上においては委本財部門

の新投資から親許の所得増加が生ずるかを関越として来たO棄本財部門

の新投資は何故謂はゆ

る最初

の刺戟たぢ得るのであらうか.消費財部門の企業者は貯蓄性向

の存在により生産費として支出せる貨幣街中'その部門

の生産参輿者の貯蓄

に相雷する部分だけは蜘牧することを得ず'収支胡債

はざること・<なるOこの際'消費財部門

の他

の企業

/..

者の

出はその郁充部分として作

用し得ないoこの新支出はそれ自らに仰ふ新なる滑資財

の肪人に立向はなければならない

からである.徒

って貯蓄性向

の布衣

により'消費財部門企共著の手許

に滋流しな

い部分の祁充のためには'同

一期間内にそれ

bに封嘩

する滑貿財

の流れを創出するJJとなき純粋

の余剰讐

且力が存在しLiければならない。賓本財部門

の新投賓はまさに

この燦件

に合致する。何故ならばへこの新設賓は同

1期間内

に消費財

の等しき供給増加をもたらすことな-して'新なる所得

を創出するからである。ル

ンドべルイが生産が数単位期間に写

0財にむいては

T期間

の生産費は該期間

の卓上よりの受坂によ

って凹収せられないとなL

r

「この確の投丑はそれに鷹ずる受椴

(の要式な-して所得を形成し'従

って'財貨

・勤労に封す

る貸紺的組flE;I:THにおける純余剰を生ぜしめる」

(Lundberg)op・cit・P・1(,8)と述

べてゐるのも'略

々同様の趣旨であらう。

この

見地からすれば最初

の刺戟にひとり資本財部門の

新設賓

い。コリン・クラークは謁はゆる原本的決定素

(Originat

Dete1・minants.)として、投棄

のほかに国際貸借

の差餌ー政府

の紋損乃至剰余及び遅延消費

へdelayedspending)を挙げてゐる。

(C.CLark;DeterminationoftheMultiplierfrom

Nationa〓ncomeStatistics.llqtCOnOmicJaurnal,Sep..1938.)

ケインズは

ふ。「・・・・・・設丑増加のために惜

をなせる企業者

意図は公衆がその

貯蓄

加せんと決意するよりもよ

り速

かなる率を以て有数化することを得ないoL(P.8こ

また日-

「賃銀単位によって測られたる投菜

の増加は公衆が賃銀単位によっ

て測られたるその貯蓄を増加しょうとしない限りは起

り得ない.

1般的に云

(ば公衆は実践単位にょりて測られたるその絶所得

が増加しっ1あるのでなければ貯蓄増加を行ひ行ないであらうQ

か-して公衆が自己の増加せる併行

7部分を滑費せんとする

努力は併行

の新しい水準

(及び分配)がこの増加せる投充

に腔ずるに十分なるだけの貯蓄

の蝕裕を輿

へるまでは生産を刺戟する

ケインズ詫数理鈴について

(五

1

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七十二番

一班

であら

うOL

(p.tt7)

Keynes"

GeneratT

heory,P・90・

;op.cit.

P,

245・

(五二)

五二

川2.

-

;Op.Cit.P.96.

-

,lop.cit,P.u

5,

(ケインズは次の如-にも云ふ。r乗数は公衆をし

て必要

なる附

加的貯

蓄を

行はしめるに足る箕質所得

の増加を生ず

には

雇傭が如何程増加きれねばならな

いかき詣り'それ

は公衆

の心理的性向

の函数である」(P・tt7)なほケンイズは玄

に側託して

「しかし乍らもつと

1般化された場合にはそれはまた

それぞれ投賓財及び滑費財産菜における物理的生産俵件

の函数

である」と述

べてゐるO)

-

;op.cit.P.

)22.

m

-

;op.cit・P.

t

t71なは鬼頭教授

「慣償貯戒としての貸借」(1倍論叢五ノ三第二節)参摺.

こ1に重要なることは最初の刺戟たる資本財部門の新投資が消費財部門の企業者によって完全に操想せられるか香

か、従ってその刺奴の仝作用が雇傭乃至所得に行き渡るのに時間的経過を要するか香かは'以上に述べたるが如き乗

数の論理的性格を愛

へるものではないと云ふことであるO完全預憩の有無'時間的経過の如何に拘らず、所得増分は

投資純増分と乗数との積に等しいと云ふ意味においてあらゆる院間に安雷するのが乗数の論理的性格にはかならな

S。治

安財部門の企業者が資本財部門の践大に基-投資総額の奨化を預め十分に預想する場合には、拍資財の生産蟻大

は新投資と歩調を合せて進行することを得、したがって消費財債格には収穫逓減の傑件によって生産量増加より結果

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する以外の撃化は生じなS.これに反して'資本財部門の新投資が完全に濠想せられない場合には、その雇傭に封す

る作用は漸次的であり、その全作用が浸透するには時間的経過を宴する。ケインズはか1る場合の特徴として川資本

財部門の蹟大が投資総額の等しき額の即時的増加をもたらさずしてtAその漸次的増加を生ずること、cqC限界消費性向

がその正常値より

1時的に離れるが.それにまた次第に復鐸することの二鮎を奉げてゐる。ケインズは資本財部門に

おける雇倍の損張が全-換想せられないために、差し雷つて滑費財部門に何らの生産増加がなSと云ふ極端な場合を

例にとって'この二鮎を説明する。か1る場合には'資本財部門に新に雇傭せられたる人々がその増加せる所得の1

部を滑費せんとするならば、消費財慣格は上昇すべ-'結局ー需要供給の1時的均衡は

一部分は慣格上昇による消費

穫期によ-.

1部分は高慣格より生ずる利潤増加の結果としての貯蓄階級に有利なる所得の再分配により、また

1部

分は債格上昇に基-在庫品の減少によって'もたらされる0両してか1る均衡の成立が治安の延期及び限鼎消費性向

の1敗に小なる貯苛階級

への所得の再分配によるものである限り、限頻拍費性向の'従って乗数白樫の7時的減少が

存すること1な

-'また~在庫品の減少がある限りー投資紙額の増加は暫-資本財部門の新投資の増分よりもより小

である。しかしながら、時間が経過するにつれてー消費部門は新しい需要に適臆し生産撰張を行ひ、従ってさきに延

期されたる需要が享受されること1なれば、限鼎消費性向は

一時その正常値以上に上-、さきの正常値以下に下りた

る範囲を補ひ、結局においてその正常値に復蹄する。他方'泰廃品の従前の水準

への回復は投資絶覇の増加をして、

資本財部門の新投資増分よ-も

一時的により大ならしめる。そして以上の如き経過の如何なる瞬間においても、所得

ケイ

ンズ粟数

理倫

について

(五三)

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七十

二怨

へLh,・]四)

五四

の槍分は投資の純

増分と.

そ-3時々

の限外消費性向によ-定まる投琴邪教との積に等しいことは明かであるO勿論各

瞬間につき投資の純増分は典な-、限界消費性向従って乗数伯は変化する。しかし両者の積がその時々の所得増分を

示すと云ふ事情には軍化はないo何故なれば各時鮎における投資の純増分は資本財部門の新投資とそれよりの所得か

らの消費支出に基-消費財在庫高の減少との差に外ならず、限外貯蓄性向を

F'(Y)とすればそれは

AF'(Y)を以て

示され、他方そのときの歪

値は症

・で-

からであるo従って慧

完全なる場合と管

ざる場合との相違品

鼎貯蓄性向のl時的婁化を別とすれば

、英数侶せらるべき投資の増分が資本財部門の投資増加の全編であるか、或ひ

はその各時鮎に分割配置せられる部分朗であるかの違ひに録するのである。従って資本財部門の

l定の撮張が

一定期

間内に幾許の所得増加をもたらすかと云ふが如き茸際問題乃至景気分析の見地からはか1る

「時の遅れ」が重要な意

味をもって-ることは常然であるが~このことは乗数理論の論理的性格にか1は-をもっことではない。それ故に、

ケインズは資本財部門の預想せられざる轡化がその全き作用を雇傭に波及せしめるのに時間的経過を要するとSふこ

とは乗数経論の意義を宰ふものではないと述べてゐる。州側

Keylt

eS.OP,°it.PP.L詑

Iti34.

回F

.M

achlup

は期

榊分

の方法と残数糾諭

に池用して轍培なTCB見離を脆糾してゐる。(PeriodAna7ysis

and

M

uZtiplier

Theory.

QuoterlylournalofE

c

o.1AOm

ics,Nc,V.,3919).

EZ

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ケインズ乗数理論に封する殆ど逼詮的なる非難はそれが詞はゆる展望的

(exante)親祭と回顧的

(expost)観察との

混同の上に立ち、従ってそれは囚損的分析の武界たり得ないと云ふことである。

木村健鹿氏はケインズにおける貯蓄投資の必然的

1敦は事後的にのみ成立する銅係であるとしt

AYIAC

+ASに

か1る関係を代入することによって投資乗数kを導出せられた後に、「さてこのkの定義は回顧的であるか'展望的で

あるか」と云ふことを問題とされるO即ち日-

「(LIQ

(Y)

なる関係はもとよりYとCとの因果的聯閲をあらはし得

るが'これよりkを導き出すためには'途上に於て少-ともSはつねにⅠに等しとの命題が採用されてゐる.か1る

回顧的な関係を利用して定義されたkはもとよhリlつの回顧的概念と看倣されねばならないであらう.」とOM

また

高田博士は日-

「--・・・此事後に於ける関係

AY=AC+At

から恵に

AY-kAI

と云ふ乗数理論が導き出される。そ

れは簡買なる計算の挨作によって得らる-.ものであ-、いはゞ'前者から後者が分析的に導かれる。それゆゑ、この

蒸篭

論の方程式その

製は

卜iYIAC・AIを認むる限昌

明の讐

あるO淀

どもケインズは更に進みて

1・車

が限露

費警

あるといひーそれから延Sて歪

を限蚤

約率の道警

といふo

l・車

と5ふ撃

、内容

数字にかういふ消費率といふ内容を入る1ところに論詮の誤謬乃至飛躍がある。

1たび

AY

AC

との比率として

置かれたる

-

の警

後の墓

に於ける新所得と新消費との比率で-

,讐

て語

の考察に於ける限荒

費率即ち典

へられたる新所得の中からど、れだけを新に消費するかの割合を示すものではない。--・・.・この誤謬乃至混

同は事前に放ける考察と事後に於ける考察との混同に外ならぬ。」と。臥

このことはハァ',(ラ7がケインズは消費性

ケイ

ンズ粟数

理飴

について

(五五)

五五

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七十二番

7塊

へ五大)

五六

向の二つの異なれる概念を有LP両もこれを混同して用ふると非鍵するのと同じに掃する。即ち定義によって乗数に

結び付けられたる~否その反面に過ぎざる形式的意味おける限外消費性向と通常のまたは心技的意味におけるそれと

の二つがそれであって、ケインズは前者を以て後者に置きかへることにょつて乗数を導き出すものであると述べてゐ

る。桝

か-してケインズ乗数理論が国英的分析の要具た-得るか香かは彼における貯蓄投資の均等が論者の云ふ如-事後

的なりや否やに依存すること1なる。従って問題は貯蓄投資の均等のもつ意味如何の一鮎に集中されなけれ

なら

ぬ。周

知の如-ケインズは貯蓄

・投資の概念規定において、両者の均等を示すのに次の一聯の開係を絹ふる。

普童=匝翻昏0滴頭=謡樽+帯靭

帯掴-JmSI

謡樽

L,∩

巧拙・日揮撞

以上の諸踊係はケインズの貯蓄投資の概念が事後的であることの論詮として屡々引用せられるところである。けれ

どもか1る概念規定それ自惟にか1はってゐては問題は

1歩も進めることは出来ない。重要なことはケインズがか1

る概念規定の背後にどのような理論構造をもってゐるかと云ふことである。さきに述べた如-'ケインズにおいては

雇倍量

・所得量は絶供給函数Zと総需要函数Dの1致鮎たる有効需要にょつて規定されるOそして消費性向の作用に

ょって杜合が消費支出に向けると濠憩される額DlはZに及ばない。従ってZとD.との開き.換言すれば貯蓄濠想毅を

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埋めるに足るだけの新投資Dqが行ほれるのでなければ、この時のZに廠するだけの慮傭は行はれや、それに廠ずる所

得畳は茸現されないOそれ故にー

一定の消費性向の作用するもとにおいては所得量は新投資の函数となる。即ち濠想

し得るあらゆる新投資の太さはそれに等しき貯蓄を生むようなそれ

人\に臆する所得量を決定する。逆に云へぼ、あ

らゆる所得量はそれ

ム\の水準において貯蓄投資均等の関係を有Ltそこでは

l時的均衡の成立が可能である。従っ

て貯蓄

・投資が

一致するや香やに問題があるのではなく

両者の一致が如何なる大さの所得水準にあるかゞ重要とな

って乗る。以上の意味にお

ける貯蓄

・投資の均等関係は崖三石はれる如-軍なる

truism

ではな-'各所得水準にお

ける均衡煤件のlつとしての意味をもって-る。それは事前的であると1もに賛現される限-事後的でもある。と云

ふよ-ち.こ1では

exanteと

expostの区別盟息味がない。ケインズがさきに貯署

・投資の均等に関して示すとこ

ろの1聯の緒閲係はまさに以上の如き意味における各所得水準におけるところのそれであって、従ってそこではそれ

が事前的なりや事後的なりやと云ふことは理論的に何らの意味をもって釆ない。ケインズの貯蓄

・投資を以上の如-

解するならは、それが事後的均等であり、従ってそれを前提とする乗数理論が因果的分析の武群た-得ないと云ふ非

難はその接鮎を失ふこと1なる。(証こ(註二)

(註

貯蓄投菜についての

exante

ex

pOStの慣別に閲し興味あるのはヒックスの見解であるOヒックスは慣柊の舜動を

無顕し得る枝な期間を

r一週間」と名付け'

「月曜日」にのみ市場が開かれ、新なる契約が結ばれると云ふ慣設を設ける0

そして各月曜日怯計蛮日

へplari・makinob・date)ときれへそこにおいては

叫時的均街

へtemp

oraryequilibrium)(の推移が容易に

行ほれると侶足されてゐる。各月曜日においては各人の経済計喜l需要供給↓倍絡↓経済計査・I>と云ふ開聯を通じて'もし需

ケイ

ンズ粟数理伶托ついて

(五七)

五七

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七十二番

1鍍

(五八)

五入

給が

1致しなければ僻格

の出鑑化を生じ、侶格

の廼化は各人の経済計童を修正せしめ、徹

って需給の廼更を見る.か-て均衡に

達するまで各人の総研計謡

の不断

の修正が行ほれるのであるO従

って月曜日に市場が終了する時にはその日に可熊なる限

りの

完全な均衡が成立しrそこでは各人の経済計墓がそこに決定された偶格

に連麿するような豆炭契約が行はれるわけである.か

-て朽び印韻

の閃かれる次

の月曜日に至る

l迦問内は均衡が交配することゝなるO均衡化過程に重鮎を置かな

いヒックスにあ

っては膳所組織は骨

に均術にあるとも云

(る。(J.R.H{cks;Valueand

Capital,)939.PP.tB]⊥

537.PP.]30⊥34.)

以上の如

き意味の

l週間内

においては貯蓄

・投賓は

expostには勿

論exanteにも均等

となる.1毅に各個人の資産は物的財

(安物賓

.本)

・詔辞

・共作

より成り'貸借は他

の二者中に含ましめることが出来るから'従

って蟹座は二つの範境

に分たれることゝな

るO壁

畜は

か-二軍幅に分れる去産の増加に閑し'投資はそのうち茸胸毛本

の増加にかItはる。各個人

に茸際

に保有せられる

琵券は敢愈

仝組として総計せられるときには貸借相賀されるが故に

expostの全貯蓄は異物奄本

の増加

にはかならず、従

って

それは

expostの投売と

1致する。

これに反して計宜的貯若と計盤的投資とは各個人において詔穿保有

の増減を意問すること

にょつて相導

することができ'赦昏仝櫨としては両者

の開きは詔歩に封する計墓的市TrE要供給

の差に等しいO放るにヒックスに

あつてに前述

の如-

「1迎」は

一時的均街の期間であるから'すべての需:T:Hと供給とは

1致すると云

ふ燥件が琵券にも洩用き

れる。従

って詔券

に封する計誼的小山於は月曜日の市塩

において不断

の修正を経て

1致しなければならないO

か-て

1週間内

おいては貯蓄

と投棄とは

exanteにも富然等し-な

り'それは

expostの概念

における如-単なる

truism

ではない。(Hicks;

op.°it.PP.]81>・38;3).

1般的に云

って

1時的均街

(の容易なる到達が侶定せられる揚合へ琴

富すれば各個人の雛終計宝が均街低件にconsistentす

るよう不断

の熔正が行はれるとの前提のもとでは

exanteと

eXpOStとはその本来

の意義を失ふ.何故ならばかゝる前提

のも

とでは

exante

expOStとは必然的に

一致するからである。即ち

exanteと

eXpOStとの国別は

1慶び樹立せられたる計

笠は

T期糊中日吏せられることな-実施せられると云ふことを常堅

剛抱としなければならぬOか⊥息

別抱の粕蓮はヒックスの

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7時的均街分析方法とリンダ-ルの期間分析方法との相違

に長寿するO(青山秀夫氏

「期間分析と均衡概念」(経済論叢五〇′

四)Lindaht;StudiesintheTheoryoEMoneyandCap;tal,]939,Partt)従

って均街分析

の立場をとるケインズを

exanteと

expostの富別の親鮎から非難す

ることは直にその致命的部分を街-ものとは云

(な

いであらう0

(註一一)

Shackteはケイ

ンズ粟数理諭が

expostと

eXanteの悦胤を含むと云ふ

ことは仝-星でないとなして、窮数瑠諭を次

如-詑明するO

いま簡単化のため

一経済就骨が唯

一粒

の財のみを典漬し、この財が滑費及び蓄稿に用ひられると暇尤する。か

る雷

において企業窒

しての計誉

れたるスーツク冨

(悶雛獅朗警

)等

所得受署

仝警

しての計讐

A.・:・.

・・・

(...

.・・:描.;・一・L.・LJ・

.

:=

、㌧L・

:・

・・:・・・L.・

.・:・・・・

・・.・・

・・・・I.:i

って両者は必然的には等しいとされ得ないO産里

向の絶封

的水準をEとすれば、消費性向に従

って

叫iI*(E)

又はその道函数

と㌢

E-

)なる-

が成掌

る.

(止甲

<

1)

きて企薯

の計票

し這

って産望

の買、-

2IeIJEが-たらされる警

現実にはかゝ

孟茄分の車

な晶

合が純投警

となるに讐

ないのであって、企

者の新投賓計毒はそのまゝ賓現せられない

O蓋し産出高の増加分を受ける所得受領者は限界消費性向

に従

って、その

7定割

合を附費するからである0従

って企業者はききの計茎新設茸を箕現せんとする限り

Hi-ICなる揚合にE=f(I,・)を捕足せしめ

る億

の得られるまで産出高

E庖増加せしめねばならないo

rJのことは

一種粕の財

の侶定を除き'兵務部門を慾本財と滑資財と

に分ち、稔

ってそれらが物理量でな-'偶倍量で測定せられるとしても本質的には少しも担化はない。(G.).S.Shackle;

The

Mu71iptierinCtosedandOpenSystem,0胡fordEconomicPapers.May

1939.PP1136-)38)

木村催既氏

「ケイ

ンズの新

撃記

に関

する

1覚書」経所

掌論集

八ノ二、六

7富。

高田傑偏博士'新郷子論研究第五章

「ケインズの乗数望

九八貢。

GIHaberte1・;Mr.Reynes-TheoryoftheMuttiptier.ZeitschriftfiirNationalbkonomieZBd.VII.試ft.3,19?,6.PP.3037・303.

ケインズ粟数理倫について

(五九)

五九

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第七十二番

1故

(六〇)

六〇

ケインズ乗数理論の第二の前提は滑資財部門よ-資本財部門

への反作用が存在しないと云ふことであった。この前

鐘の意味するところはm消費財部門の現在生産設備の集約的使用乃至休止生産設備の利用による生産増加高(P)、cqC

新投資の常明における消費財生産

への寄輿額(Q)、coC新投資に基く所得増加よ-の消費財需要高(C

)

なる三要素を考

姦することによって明かとなるO即ち消費財部門の完全なる受動性は

C=P+Qなる関係の存在を意味するのである

が'故に重要なことは

一期間において~新投資は消費財生産に寄輿するよ-もよ-大なる所得を形成Ltしかもこの

増加せる所得中よ-の消費支出が該新投資の消費財生麿

への寄輿に等しいか或仏はそれよ-小なるべきことの必然性

は存在しないと云ふことである。茸際に'新投資の開始せられたる別間にはQは極めて小であ-'従って、CとQと

の開きは消費財部門に現存せる休止生産設備よりの生産増加によって補はるべき関係にあ-tか1る生産飴カの存在

する限りにおいてのみ

C-P+Qは成立することを得るOそれ故にケインズは

「消費財産業が既に殆どその金能力を

蟹揮して居り'従って生産高損大のためには生産設備の蹟張を要し、革に現存生産設備の

1暦集約的使用を以ては足

らなSと云ふ状態」を彼の乗数理論の適用範朗から除外してゐるのである。仰

以上の関係においてQ即ち新投資の

滑資財生産

への寄輿は通常-逆に消費財

一貫位とその生産に要する資本財量との関係、従って、消費財需要の増減が

資本財需要に及ぼす影響として謂はゆる

「加速度原則」(Accelerat]tonPrincipte)において取扱はれるところである。

この鮎に閉じ、ハイエクは

。Profit,(nterestandinvest

ment,)939"において極めて興味ある見解を展開してゐるO

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即ちハイエクは拍資財需要の増減'したがって該部門の利潤率の壁化が資本財需要に如何なる襲化を及ぼすかを中心

間項となし'加速度原則を謂はゆる

「乗数」(Muttiptier)と「被乗数」(Muttipticand)の二要素に分ち、この間に機械

と労働の代替に関する彼の謂ふところの「リカルド教典」(Ricardo's

Efrect)を駆使してゐる。即ち'消費財慣格の上昇'

賃銀の下落、利潤率の増加は-

ルド莞

(船舶謂

欄雛

糊鎚

卵悶触如詣

)脚によって-該部門

における機械その勉不奨資本と直接労働との割合即ち資本構成を後者に有利に変化せしめる。か1

る資本構成の奨化

は資本財需要を相封的に減少せしめ'従って生産構造をしてよ-少な-資本家的ならしめる。この際'明かなる如-

滑費財需要の槍城は資本構成-生産構造を経て1定の些牢を以て、資本財需要の変化となって硯はれる。ハイエクは

これを最終需賓と資本財需要との関係としてみ~最経常要が資本財需要となって硯はれる

T定の比率~換

すれ

産と資本財生産との関係を示し、資本構成によっ.て決定せられ、生産構造を代表する~云はゞ資本構成の奨化は乗数

を媒介として生産鷲

に反警

られる。(ほ乳酢最

酌鮎

紬的謁

)仰

ハイエクはか-

-

インズの歪

と混同すべからざる旨を注意してゐるが桝これはケインズの乗数が心理的性向の函数として第

1次的新投資と絶所得

との量的関係を示し'その作用の方向は資本財部門よ-消費財部門

へ向ふそれであるに封して'ハイエクの乗数は技

術的要因として、最終需要と資本財需要の此'即ち資本構成-生産構造を示し、その作用の方向は逆に消費財需要よ

-資本財需要

への反作用のそれであることに基-Cハイエクはその乗数の逆数を

Quotient

と名付

る。糾

即ち

ケイ

ンズ粟数

理倫

について

(六1)

1

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Quotient

第七十二各

l淡

l

finatdemand

..I--

・‖==・---・-1-・-

m

utE1PtIer

totalinvestment

(六二)

六二

を以て示され'それは絶投資

一軍位常りの

l現聞役における消費財流

への寄輿皇

息昧する

.

我々がさきに

示したQ

が新投資の消費財流

への寄輿であ-、こ1に云ふ

Qu.tientが粗投資

1

単位常-の寄輿であると云ふ相違は存するが、以上よ-Qが資本構成-生産構造によって規定されることは容易に窺

ふことが出来る。そして、もしt

pか仝-存在しないとすればtcとQとの閃きは消費財債格従って利潤率の上昇を

釆たし、それ-

D(酢

朗)の些

傘を

以て資本財部門の新投

に反作雷

及写

べき。とは直に明

であ

る。

一∵i

・.Ii.・。、

、.

.

..

.i....I.

..・'・.。・.

.'・・・・..・'-rJ1..・:.(.

・.

.--I:

.I,・・・・・.111<_

ケインズ的乗数がハイエク的乗数釦ち生膏構造によって制約せらるべき関係にあると云ふことである。而して消費財

部門の完全な受動性と云ふ前提はか1る生産構造による制約よりの解放を意味し、それを可能ならしめるものが消費

財部門の休止生産設備の存在である。この際、

l方'所得の増加につれて消費支出は逓減Lt他方.新投資の消費財

生産

への致兼は後に至って増大すべ-'従って、

C-P+Qなる関係の維持される範囲の携大する傾向のあることは

看過せらるべきではないO

以上によって消費財部門の受動性なる前提の意味を生産構造とのか1はりにおいて明かならしめたのであるが、ロ

バートリンのケインズ乗数理論に封する批評はまさにこの鮎に向けられるO即ち

「1定率の政府投資の雇傭に及ぼす

数果を分析す渇のに乗数の方法を用ふることの本質的閃難昼それが明白に投資の第

一次過程によって生み出される消

費財産業の第二次的雇傭のみを問題としてゐると云ふことである。」

而して

「増加せる投資が消費増加のための力を

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輿

へると同様に'滑費財への増大せる支出娃通常、投資増加を刺戟するであらう。LrM

か-して'71'''-トリンは乗

数理論を以て

「l暦粗薙なる貨幣的思考武器」と何ら選ぶところなしと論定してゐるOまた静態的餌域と動態的局面

との封立とその交渉に重鮎を置かれる中山博士はケインズ乗数珊論を以て

「それは投資の増加の作川を云はゞ1方的

に追及せんとする構想に於て、それ白ら相互的なる現象の本質を揃

へ難い」ときれる0換言すればI投資増加の経済

の全館に封する反作用を追及することはやがてまたその投資の大さそのものがこの反作川の中に'おかれることを示

さゞるを得なSにも拘らず、これを看過するところにケインズ理論構造の映格が存在するとしてその静態的性格を指

摘せられる。

しかしながら、滑資財部門よ-資本財部門

へzQ反作用が存番しないと云ふことはさきに述べた如く前提と云ふよ-

ほむしろ乗数理論の建て前そのもの1語る意味にはかならなS。乗数理論は投資誘因によ-定まる新投資が消費財生

産を刺戟することによって幾許の所得増加をもたらすかに関するものであ-、逆に所得増加↓消費財需要増加↓

消費

財生産への刺戟が資本財部門の新投資に如何なる反作用を及ぼすかは最初から乗数理論の解-べき問題ではなS。か

1

る問題はケインズ理論構造では投資誘因

への反作用として取-上げられねばならない。即ち新得の変化は

l方にお

Sて拍費支出の壁化・>消費財慣格の撃動↓資本財の預憩収益の撃化を通じて資本の限界能率に影響し'他方におSて'

それは利子率に作用すると云ふ複塩なる過程を経て新投資に反仲川を及ぼす

のであ

るQケインズ珊論構造は例

へぼ

(脚馴鰯欄帽巌

剖紺絹告

別)

ケイ

ンズ東教理静について

(六三)

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七十二蓉

一貌

へ六四)

六四

M-L(YJr)--())

l=g(Y,r)・・・-

(2)

Y

-i(I)・・・-(8)

を以て示されるのであるが61資本財部門の新投資よ-消費財部門

への作用を追及する乗数確論はcT,3:式に閥し、拘費財

部門より資本財部門

への反作用は川及び用式にか1

はるところである。従ってケインズ班論構造の一部分構成たる乗

数理論に封して、それが消費財部門よ-資本財部門

への反作川を着通してゐるとの非難は

一両的であると云はなけれ

ばならなSであらう.

しかし、この際にもなは次の間題が残る。ケインズ理論構造を示す前記の三式において'貨幣数量と

1の所得量を

輿

へれば川式よ-利子率が定ま-、利子率が定まれば拘式よ-新投資量が決定され、この新投資量によりC阿武から所

得量が決定される。この所得量がさきに輿

へられたる所得畳と

一致するまで轡動は繰返され、両者が

一致するに及ん

で均衡が成立するわけであるが、この場合、新投資の奨勤が所得の轡勤をもたらし、所得の奨動が更によ-

1骨大な

る新投資の奨動を釆たすと云ふ相互的連動の無限の繰返しによって'経済に速に均衡の地位に落付き得ないのではな

いかと云ふ問題がすなはちこれである。このことは鼓早、乗数班論の範出を越え、ケインズ理論構造の全部にかゝは

-をもつて-る。従って以下ではたゞ軍にその概括的叙述をなし得るのみである。

以上の問題は通常三沢数の作用と加速度的作用との合作として取り上げられるoハロッドは乗数と調はゆる「関係」

(Rela-i.n)(脚蛸謂

)

との

結合

富作

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よって'誓

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Page 24: Kobe University Repository : Kernelケ イ ンズ乗数理論について ー ケインズ研究 その一-矢 尾 次 郎 五'乗数坤論と加速度原則四'貯蓄投賓の均等と釆数蝿論三'誘致理論と時間的経過二、論理的乗数理論の構成一'ケインズ理論構造

またルンドべルイの謂ふところの模型機起

(Mode)Sequence)は乗数理論と加速度原則の交錯による経済波動の内在

性を示してゐる.a

しかしながら乗数理論と加温慶原則との相互作用が経済をして1の均衡を目指さずして奨動を

生ぜしめると云ふこと論

者に青

る覧

消費性向と後者に青

る関係率へ㌫

雛ク)とのとる数値の如何に依存する

ところであるO

か1

る観鮎から注意すべきはサミュエルソンの見解

であ

る。彼は精密なる数量的分析の結果として次の結論を得

る。即ち、組所得は限鼎給費性向のl定値

(ヱ

に封し、川関係率の値

(β)が小なる場合には

一の均衡

への漸近線

上叶に接菅

・-CQ品

々大なる時は歪

に小と-

循環的振警

卑し・甘

露もよ芙

なる署

に笑

第に大と

なる

1の均衡をめぐる循環的振動をなし'拘β極めて大なる時には

1路層積的動きをなすに至ると云ふことを示して

ゐるo郎

そして関係率が大にして不均衡的鼻鏡的撃動を生する場合と雑も限鼎消費性向逓減の傾向によってか1る

累積的襲勤は持逆せしめられるとなしてゐる.那

かくしてー乗数と加速度の相互的作用について一般的に云ひ得ることは'消費性向従ってその反面たる貯蓄性向の

均衡化作用が関係率によ-示される撹乱的反作用を相殺する程大なる時には粒商は

1の均衡を目指して獲展し、関係

率大となるにしたがひ、経済はか1る

lの均衡の地位をめぐって振幅次第に、大なる振動を措き、途にはか1る均衡を

越えて累積的上向過程を辿るに至るが、

Jの最後の場合には消費性向の逓減

・貯蓄性向の逓増によ-.この累積的撹

乱作用は弱められると云ふことであ畠.而してケインズにあつては、所得の上昇は

一方において消費増加従って資本

ケイ

ンズ乗数

理飴

について

(六五)

六五

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第七十二巻

7戟

八、六六)

六六

財の預想収益の上昇を通じて資本の限鼎能率を高めるが、他方において.しかしそれは貨幣供給の弾力性に限度があ

る限り利子率を高める傾向がある故に、関係率は極端に大とな-得ないと云ふ事情の存することは注目す

べき

であ

るOか1る事情のもとにあつては新投資よhソ新得、所得よ-新投資と云ふ相宜的連動の繰返しは次第に小とな-、従

って経済は

一の均衡鮎に落付き得るものと考

へられねばならないであらう。

Keynes;GeneralTheory,P,)・04,

F.A

,Hayek;Proat.InterestandTnvestment.)939.PP.8-)O.

(13) (12H ll)(10) (9) /8) (7日 5) (4日 3)

-

,lop.cif,P.)9.P.48.

高橋奉戴助教授

「貨幣

経済理論の新展開」

1五

1-1五二貢。

Hayek;;op,cit,P,)9・

-

;op.

cit.P,49.

Robertson;op.cit.PP,)20・)21.

中山伊知

郎博士

r発展過程の均衡分析」三

貰う三

一三富。

J.R.Hicks:Mr.Keynesan

dthe..Classics,"E

conometrica,Apr1.)937,

R.F,Harrod;Mr.KeynesandTraditionalTheory,Econometrica.Jan..1937.

Harrod;TheTradeCycle))936,Chaptern

Lundberg;op.cit.ChapterHX(高

田博

「新

利子静研究し第七章'第八章参照)

P.A.S

amuetson;ASynthesisofthePrincipleofAcceIeratio.nandtheMuttiptier,JournatofP

otitieatMccnomy,口ec.こ939.

P.793.

-

;op,cit,P,795,

(昭和十六年十

7月)