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ビートルは1938年に登場しました。最初はリア・ウィンドウ が2つに分かれたスプリット・ウィンドウでしたが、1953年よ り楕円形のオーバル・ウィンドーになりました。写真左は 1953年日本に最初に輸入されたビートルの1台と云われて います。中央は1954年製でアメリカのhot VWs誌上で完全 レストアされた車です。右は1957年、最後の年となります。 1958年にリア・ウィンドーが四角いスクエア・ウィンドウにな りました。それでも、他の窓は小さく、ボディラインも含め、古 き良きビートルのイメージを多く残しています。また、1955 年の秋よりモデルイヤーが採用され、秋から生産したもの は翌年モデルになります。左と中央のビートルはどちらも 1958年モデル。右は1961年モデルです。 1965年モデルから全ての窓が大きくなりました。1966年モデルでは1300ccエン ジンが登場しています。日本では1965年モデルまでは輸入車規制があり国外生 産車は買えませんでした。この2台は、当時日本に輸入された1965年モデルです。 ビートルは1200ccでしたが、1966年モデルで1300ccが登 場し、1967年モデルに1500ccが登場。3つのエンジンが揃 いました。 ”1500”ではディスク・ブレーキも採用され、日本最 初の輸入分はディスク・ブレーキ付きでした。エンジンが大 きくなりリア・フードが少し膨らみました。電装も12ボルトが 用意され北米、日本では採用されヘッド・ライト形状も変化。 1968年モデルから”1300”,”1500”には、安全のため角ばった 通称「プレス・バンパー」と、アイロン型の大きなテール・ライ ト。 ”1500”にはヘッド・レストが採用されました。左は1969年 モデルの”1200”スタンダード。1967と似た外観ですが、ホイ ールのボルトが4本「4穴ホイール」に統一されました。中央、 右は1969年モデルの”1500”。黄色はオートマチック車です。 写真の2台は1972年モデルの”1200”スタンダード。「シングル・バンパー」と呼ば れる6V時代のバンパーのまま、1973年モデルまで外観は変わりませんでした。テ ール・ライトも古いままでしたが、1973年の最後はアイロン型になっています。 最近は「ワーゲン・バス」と呼ばれているのが「タイプ2」です。ワーゲンの「トランス ポーター・シリーズ」で、トラック、バン、コンビ、マイクロ・バス、更には救急車、消 防車、キャンピング・カー等もカタログに載っていました。写真左は1957年のデリ バリー・バン、隣はマイクロバス・デラックス、そして1967年のピックアップ・トラッ ク。右は1970年のマイクロバス・デラックスです。1967年まではフロント・ウィンド ーが2枚で「アーリーバス」、1968年以降を「レイトバス」などとも呼びます。 型が古くなったビートルの代わりに生産されたのがタイプ3です。幅が広くなり、 外観が普通の自動車になりました。セダン(スクェア・バック)とファスト・バック、ワ ゴンタイプのバリアントとありました。左は1968、右が1969年のバリアントです。 左は戦時中の「キューベルワーゲン」のレプリカでビートル をベースに作られています。右もビートル・ベースの「デュー ン・バギー」です。ビートルから様々な車が造られています。 写真左から4台は、いずれも1973年モデルで、右端が1974年モデルです。左端は 1973年のみ輸入された1300ccエンジンの”1303”です。1971年の1600ccエンジ ンの登場で、1500ccエンジンの”1500”が姿を消しています。 ビートルのフロント・サスペンションはトーションバーでし たが、1971年モデルでストラットを採用し、フロントのトラン ク容量を増やした”1302”と”1302S”が登場。特徴はフロン ト・フードが幅広になり顔つきが変わったことでしょう。 ”S”は 1600ccを採用し、北米では「スーパー・ビートル」と呼ばれま した。写真左は1971年、中央と右は1972年モデルです。 1971年モデルで登場したストラットのビートルは1973年モ デルで更に進化をし”1303”,”1303S”に。それまで平らだった フロント・ウインドーが丸くなり、樹脂製のダッシュ・ボードと 普通の車に近付きました。ストラット・ビートルは、リアにも IRSが採用されており、小回りが効き、コーナリング性能も向 上しています。しかし1975年までと、短命に終わりました。 イタリアのギアがデザインしたクーペを、カブリオレを生産 していたカルマン社で生産し「カルマン・ギア」の名となりま した。ベースはビートルでシャシー、足回り、エンジン等が共 通ですが、空気抵抗が少ない分、速いと云われていました。 左は1959年モデルのクーペ。中央は1969年のカブリオレ。 右は1969年のタイプ3をベースにしたカルマン・ギアです。 オープン・カーの「カブリオレ」はビートルの誕生とともに生 産されてきました。当初は「ヘブミューラ工場」での生産もあ りましたが、基本的に「カルマン工場」での生産です。当時の 最上級モデルがベースで造られ、外観も同じようですが、車 体強度を持たせるために、多くのボディ・パーツはカブリオ レ専用です。ビートルと同じに進化し、1971年には”1302S”、 1973年以降は”1303S”をベースにしています。写真左から1967,1973,1978,1978, 1979年モデルです。普通のビートルは1978年にドイツ生産が終了しましたが、カ ブリオレは1979年(主に北米向けと思われる)まで生産されました。 1973年モデルで安全のため大きなテール・ライト 通称「ピッグテール」を採用。1974年にはゴルフが 登場し、ビートルの工場が変わります。1974年モ デルから1200スタンダードも”1300”,”1500”と同 様 の 外 観となり、スタンダード・ボディの み に。 1973年には”1300”に1600ccを積んだ”1300S”で したが、1974年モデルではスタンダート・ボディ の”1300S”となり、 ”1200LS”へと名称は変わりま す。1976年モデルの1600ccの”1200LS”で”1300” のデラックス・ボディが復活。その後インジェクシ ョンとなり”1200LSE”を経て”1200LE”と名称も変 化し、1978年、ドイツでの生産が終了します。 ドイツでの生産が終了した後、1970年代の生産設備をメキ シコ工場に移設維新し、引き続き生産が行われました。 1980年代は、ヨーロッパ向けも生産されたようです。そして、 2003年にメキシコ工場で最後のビートルが生産されまし た。累計生産台数は約2,153万台と同一形式での最多を記 録しました。写真右が2003年の最終限定車です。 6 Volt 1958-1966 ロクボルト OVAL window 1953-1957 オーバル OVAL window 1953-1957 オーバル 6 Volt 1958-1966 ロクボルト 1967 ロクナナ 1967 ロクナナ 12 Volt IRON Tail 1968-1972 高年式,アイロンテール 12 Volt IRON Tail 1968-1972 高年式,アイロンテール 12 Volt BIG Tail 1973-1978 高年式,ビッグテール -2003 Mexico製 メキビー 12 Volt BIG Tail 1973-1978 高年式,ビッグテール -2003 Mexico製 メキビー 1302,1302S 1971,1972 マルニー,ストラット 1302,1302S 1971,1972 マルニー,ストラット 1303,1303S 1973-1975 マルサン,ストラット 1303,1303S 1973-1975 マルサン,ストラット Kabriolet -1979 カブリオレ (オープンカー,コンバーチブル) Kabriolet -1979 カブリオレ (オープンカー,コンバーチブル) KARMANN-Ghia カルマン・ギア KARMANN-Ghia カルマン・ギア Type 2 1950-1979 タイプ2 (ワーゲンバス) Type 2 1950-1979 タイプ2 (ワーゲンバス) Type 3 1961-1973 タイプ3 Type 3 1961-1973 タイプ3 レプリカ,カスタムVW レプリカ,カスタムVW 2019年、私たちの集いに参加したワーゲンたちの写真でワーゲンの種類を 簡単に紹介しましょう。さて、今回は、どんなワーゲンが参加するでしょうか。 フォルクスワーゲンの種類と年式

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ビートルは1938年に登場しました。最初はリア・ウィンドウが2つに分かれたスプリット・ウィンドウでしたが、1953年より楕円形のオーバル・ウィンドーになりました。写真左は

1953年日本に最初に輸入されたビートルの1台と云われています。中央は1954年製でアメリカのhot VWs誌上で完全レストアされた車です。右は1957年、最後の年となります。

1958年にリア・ウィンドーが四角いスクエア・ウィンドウになりました。それでも、他の窓は小さく、ボディラインも含め、古き良きビートルのイメージを多く残しています。また、1955

年の秋よりモデルイヤーが採用され、秋から生産したものは翌年モデルになります。左と中央のビートルはどちらも1958年モデル。右は1961年モデルです。

1965年モデルから全ての窓が大きくなりました。1966年モデルでは1300ccエンジンが登場しています。日本では1965年モデルまでは輸入車規制があり国外生産車は買えませんでした。この2台は、当時日本に輸入された1965年モデルです。

ビートルは1200ccでしたが、1966年モデルで1300ccが登場し、1967年モデルに1500ccが登場。3つのエンジンが揃いました。”1500”ではディスク・ブレーキも採用され、日本最

初の輸入分はディスク・ブレーキ付きでした。エンジンが大きくなりリア・フードが少し膨らみました。電装も12ボルトが用意され北米、日本では採用されヘッド・ライト形状も変化。

1968年モデルから”1300”,”1500”には、安全のため角ばった通称「プレス・バンパー」と、アイロン型の大きなテール・ライト。”1500”にはヘッド・レストが採用されました。左は1969年

モデルの”1200”スタンダード。1967と似た外観ですが、ホイールのボルトが4本「4穴ホイール」に統一されました。中央、右は1969年モデルの”1500”。黄色はオートマチック車です。

写真の2台は1972年モデルの”1200”スタンダード。「シングル・バンパー」と呼ばれる6V時代のバンパーのまま、1973年モデルまで外観は変わりませんでした。テール・ライトも古いままでしたが、1973年の最後はアイロン型になっています。

最近は「ワーゲン・バス」と呼ばれているのが「タイプ2」です。ワーゲンの「トランスポーター・シリーズ」で、トラック、バン、コンビ、マイクロ・バス、更には救急車、消防車、キャンピング・カー等もカタログに載っていました。写真左は1957年のデリ

バリー・バン、隣はマイクロバス・デラックス、そして1967年のピックアップ・トラック。右は1970年のマイクロバス・デラックスです。1967年まではフロント・ウィンドーが2枚で「アーリーバス」、1968年以降を「レイトバス」などとも呼びます。

型が古くなったビートルの代わりに生産されたのがタイプ3です。幅が広くなり、外観が普通の自動車になりました。セダン(スクェア・バック)とファスト・バック、ワゴンタイプのバリアントとありました。左は1968、右が1969年のバリアントです。

左は戦時中の「キューベルワーゲン」のレプリカでビートルをベースに作られています。右もビートル・ベースの「デューン・バギー」です。ビートルから様々な車が造られています。

写真左から4台は、いずれも1973年モデルで、右端が1974年モデルです。左端は1973年のみ輸入された1300ccエンジンの”1303”です。1971年の1600ccエンジンの登場で、1500ccエンジンの”1500”が姿を消しています。

ビートルのフロント・サスペンションはトーションバーでしたが、1971年モデルでストラットを採用し、フロントのトランク容量を増やした”1302”と”1302S”が登場。特徴はフロン

ト・フードが幅広になり顔つきが変わったことでしょう。”S”は1600ccを採用し、北米では「スーパー・ビートル」と呼ばれました。写真左は1971年、中央と右は1972年モデルです。

1971年モデルで登場したストラットのビートルは1973年モデルで更に進化をし”1303”,”1303S”に。それまで平らだったフロント・ウインドーが丸くなり、樹脂製のダッシュ・ボードと

普通の車に近付きました。ストラット・ビートルは、リアにもIRSが採用されており、小回りが効き、コーナリング性能も向上しています。しかし1975年までと、短命に終わりました。

イタリアのギアがデザインしたクーペを、カブリオレを生産していたカルマン社で生産し「カルマン・ギア」の名となりました。ベースはビートルでシャシー、足回り、エンジン等が共

通ですが、空気抵抗が少ない分、速いと云われていました。左は1959年モデルのクーペ。中央は1969年のカブリオレ。右は1969年のタイプ3をベースにしたカルマン・ギアです。

オープン・カーの「カブリオレ」はビートルの誕生とともに生産されてきました。当初は「ヘブミューラ工場」での生産もありましたが、基本的に「カルマン工場」での生産です。当時の

最上級モデルがベースで造られ、外観も同じようですが、車体強度を持たせるために、多くのボディ・パーツはカブリオレ専用です。ビートルと同じに進化し、1971年には”1302S”、

1973年以降は”1303S”をベースにしています。写真左から1967,1973,1978,1978, 1979年モデルです。普通のビートルは1978年にドイツ生産が終了しましたが、カブリオレは1979年(主に北米向けと思われる)まで生産されました。

1973年モデルで安全のため大きなテール・ライト通称「ピッグテール」を採用。1974年にはゴルフが登場し、ビートルの工場が変わります。1974年モ

デルから1200スタンダードも”1300”,”1500”と同様の外観となり、スタンダード・ボディのみに。1973年には”1300”に1600ccを積んだ”1300S”で

したが、1974年モデルではスタンダート・ボディの”1300S”となり、”1200LS”へと名称は変わります。1976年モデルの1600ccの”1200LS”で”1300”

のデラックス・ボディが復活。その後インジェクションとなり”1200LSE”を経て”1200LE”と名称も変化し、1978年、ドイツでの生産が終了します。

ドイツでの生産が終了した後、1970年代の生産設備をメキシコ工場に移設維新し、引き続き生産が行われました。1980年代は、ヨーロッパ向けも生産されたようです。そして、

2003年にメキシコ工場で最後のビートルが生産されました。累計生産台数は約2,153万台と同一形式での最多を記録しました。写真右が2003年の最終限定車です。

6 Volt 1958-1966 ロクボルトOVAL window 1953-1957 オーバルOVAL window 1953-1957 オーバル 6 Volt 1958-1966 ロクボルト

1967 ロクナナ1967 ロクナナ 12 Volt IRON Tail 1968-1972 高年式,アイロンテール12 Volt IRON Tail 1968-1972 高年式,アイロンテール

12 Volt BIG Tail 1973-1978 高年式,ビッグテール -2003 Mexico製 メキビー12 Volt BIG Tail 1973-1978 高年式,ビッグテール -2003 Mexico製 メキビー

1302,1302S 1971,1972 マルニー,ストラット1302,1302S 1971,1972 マルニー,ストラット 1303,1303S 1973-1975 マルサン,ストラット1303,1303S 1973-1975 マルサン,ストラット

Kabriolet -1979 カブリオレ (オープンカー,コンバーチブル)Kabriolet -1979 カブリオレ (オープンカー,コンバーチブル) KARMANN-Ghia カルマン・ギアKARMANN-Ghia カルマン・ギア

Type 2 1950-1979 タイプ2 (ワーゲンバス)Type 2 1950-1979 タイプ2 (ワーゲンバス) Type 3 1961-1973 タイプ3Type 3 1961-1973 タイプ3 レプリカ,カスタムVWレプリカ,カスタムVW

2019年、私たちの集いに参加したワーゲンたちの写真でワーゲンの種類を簡単に紹介しましょう。さて、今回は、どんなワーゲンが参加するでしょうか。フォルクスワーゲンの種類と年式