JR四国 8600系特急形直流電車...JR四国 8600系特急形直流電車 37...

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JR 四国 8600 系特急形直流電車 35 JR 四国 8600 系特急形直流電車 ※大 おお ひら しん ※新 にい やま まさ たか 写真 1 外観 要旨 四国旅客鉄道株式会社(JR四国)の予讃線を走行する特急“しおかぜ”及び“いしづち”は、8000系特急形直流電車 (8000系)を主体に運行しているが、一部の列車については、2000系特急形気動車(2000系)にて運行している。 8000 系は、予讃線の高松~松山間の電化全面開業に合わせて 1993 年から投入している最高運転速度 130 ㎞/h の 制御付き振子システムを搭載した特急形電車である。一方、2000 系は、日本初の振子気動車として 1989 年に試 作車が登場したのち、1990 年から量産車が投入された最高運転速度 120 ㎞/h の特急形気動車であるが、老朽化 が進んでいる。そこで、予讃線の電化区間で運行されている全ての特急列車を電車化することで、経費の削減及 び老朽化した 2000 系の置き換えを図ることとし、新形特急電車 8600 系の量産先行車 2 編成 4 両を製作して、 2014 年 6 月 23 日から、高松~松山間で営業運転を開始した。8600 系は、新たに空気ばね式車体傾斜方式を採用 したほか、客室設備の拡充、バリアフリー設備への対応など、様々な面で 8000 系から変更を行っている。以下 にその概要を紹介する。(編集部注:8000 系は本誌 198 号 1992 年 10 月、2000 系は 187 号 1989 年 6 月参照) 1 はじめに 予讃線を走行する特急“しおかぜ”及び“いしづち”は、 1993 年から 8000 系を主体に運行しているが、一部の列車 は、老朽化の進む 2000 系を使用している。今回、2000 系 の置き換えを図り、8000 系とともに、今後の予讃線の特 急体系の一翼を担う車両として、新形車両 8600 系を投入 することとなった。8600系は、“8000系と同等”の走行性 能を目標とし、お客様がご利用になるサービス設備につい ても、現代のお客様のニーズも踏まえ、今後の弊社の特急 車両の設備の指針となるよう検討を行い開発した。 2 編成及び車両性能と主な特徴 2.1 編成及びユニット構成 お客様のご利用状況に合わせて、きめ細かな車両運用を 行うため、2両編成(Mc-Tc)及び中間車を連結したときは 3 両編成が可能なシステムとした。また、連結可能な編成 数は、地上設備の制約から 3 編成までである。 編成は、Mc 車(8600代)が上り方(岡山・高松方)、Tc 車(8750 代)が下り方(松山方)に連結される。車両番号 は、E11 編成を 8601-8751、E12 編成を 8602-8752 とした。 2.2 定員 定員は、Mc 車が 56 名、Tc 車が 45 名としている。 2.3 車両性能 基本性能は、8000 系と同等とし、最高運転速度は 130 ㎞/h とした。歯数比は 5.56 とし、加速度は 0.56 m/s 2 (2.0 ㎞/h/s)、減速度は常用最大1.44 m/s 2 (5.2㎞/h/s)とした。 ※ 四国旅客鉄道㈱ 鉄道事業本部 運輸部車両課

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  • JR 四国 8600 系特急形直流電車 35

    JR 四国 8600 系特急形直流電車※大

    おお

    平ひら

     信しん

    哉や

      ※新にい

    山やま

     正まさ

    剛たか

     

    写真 1 外観

    要旨四国旅客鉄道株式会社(JR 四国)の予讃線を走行する特急“しおかぜ”及び“いしづち”は、8000 系特急形直流電車

    (8000 系)を主体に運行しているが、一部の列車については、2000 系特急形気動車(2000 系)にて運行している。8000 系は、予讃線の高松~松山間の電化全面開業に合わせて 1993 年から投入している最高運転速度 130 ㎞/h の制御付き振子システムを搭載した特急形電車である。一方、2000 系は、日本初の振子気動車として 1989 年に試作車が登場したのち、1990 年から量産車が投入された最高運転速度 120 ㎞/h の特急形気動車であるが、老朽化が進んでいる。そこで、予讃線の電化区間で運行されている全ての特急列車を電車化することで、経費の削減及び老朽化した 2000 系の置き換えを図ることとし、新形特急電車 8600 系の量産先行車 2 編成 4 両を製作して、2014 年 6 月 23 日から、高松~松山間で営業運転を開始した。8600 系は、新たに空気ばね式車体傾斜方式を採用したほか、客室設備の拡充、バリアフリー設備への対応など、様々な面で 8000 系から変更を行っている。以下にその概要を紹介する。(編集部注:8000 系は本誌 198 号 1992 年 10 月、2000 系は 187 号 1989 年 6 月参照)

    1 はじめに予讃線を走行する特急“しおかぜ”及び“いしづち”は、

    1993 年から 8000 系を主体に運行しているが、一部の列車は、老朽化の進む 2000 系を使用している。今回、2000 系の置き換えを図り、8000 系とともに、今後の予讃線の特急体系の一翼を担う車両として、新形車両 8600 系を投入することとなった。8600 系は、“8000 系と同等”の走行性能を目標とし、お客様がご利用になるサービス設備についても、現代のお客様のニーズも踏まえ、今後の弊社の特急車両の設備の指針となるよう検討を行い開発した。

    2 編成及び車両性能と主な特徴2.1 編成及びユニット構成

    お客様のご利用状況に合わせて、きめ細かな車両運用を

    行うため、2 両編成(Mc-Tc)及び中間車を連結したときは3 両編成が可能なシステムとした。また、連結可能な編成数は、地上設備の制約から 3 編成までである。

    編成は、Mc 車(8600 代)が上り方(岡山・高松方)、Tc車(8750 代)が下り方(松山方)に連結される。車両番号は、E11 編成を 8601-8751、E12 編成を 8602-8752 とした。2.2 定員

    定員は、Mc 車が 56 名、Tc 車が 45 名としている。2.3 車両性能

    基本性能は、8000 系と同等とし、最高運転速度は 130㎞/h とした。歯数比は 5.56 とし、加速度は 0.56 m/s2(2.0㎞/h/s)、減速度は常用最大 1.44 m/s2(5.2 ㎞/h/s)とした。

    ※ 四国旅客鉄道㈱ 鉄道事業本部 運輸部車両課

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    会社・車両形式 四国旅客鉄道㈱・8600 系使用線区 予讃線 軌間(㎜) 1 067基本編成 1M1T 使用線区の最急勾配 23 ‰用途 特急用 電気方式 直流 1 500 V車体製作会社 川崎重工業㈱ 製造初年 2014 年台車製作会社 川崎重工業㈱ 製作両数 4 両(量産先行車)主回路装置製作会社 東洋電機製造㈱ 車両技術の掲載号 249

    基本編成及び主な機器配置

    凡例 ●;駆動軸 ○;付随軸 VVVF;主制御装置 SIV;補助電源装置 CP;空気圧縮機   BT;蓄電池 <;パンタグラフ ◎;車椅子スペース   連結器 ▽;密着 +;半永久 *;電気連結器

    個別の車種形式 モハ 8600 クハ 8750車種記号(略号) Mc Tc空車質量(t) 41.6 38.3定員(人) 56 45うち座席定員(人) 56 45特記事項

    車両性能

    最高運転速度(㎞/h) 130加速度(m/s2) 0.56(2.0 ㎞/h/s)

    減速度(m/s2)

    常用 増圧時 1.44(5.2 ㎞/h/s)非常 増圧時 1.44(5.2 ㎞/h/s)

    ユニット当りの定格

    ユニット構成 Mc出力(kW) 880速度(㎞/h) 51引張力(kN) 53.8

    ブレーキ制御方式

    回生・発電ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(応荷重機能付き、増圧機能付き、T 車優先機能付き、滑走防止機能付き)

    制御回路電圧(V) DC 100抑速制御 あり運転保安装置 ATS-SS Ⅱ列車無線 C 形列車無線装置防護無線

    非常時運転条件2MM 開放時、限流値増扱いで 25 ‰上り勾配起動可能

    その他主 回 路 設 備 の 故 障 時 に1MM 単位で、開放が可能

    電気駆動系主要設備

    電装置形式 / 質量(㎏) S-PS61 / 165方式 シングルアーム式

    制御装置

    形式 / 質量(㎏) S-SC63 / 1 412

    制御方式2 レベル VVVF インバータ制御方式

    仕様 1MM 制御×4 群

    主電動機

    形式 / 質量(㎏) S-MT63 / 447方式 三相かご形誘導電動機1 時間定格(kW) 220回転数(min–1) 3 400特記事項 全閉外扇式

    最大限流値

    力行(A) 200.7ブレーキ(A) 233.2

    電気ブレーキの方式 回生・発電ブレーキブレーキ抵抗器

    形式 / 質量(㎏) S-MR63 / 678

    補助電源設備

    補助電源装置

    形式 / 質量(㎏) S-SIV150M / 2195

    方式3 レベル IGBT インバータ方式(待機 2 重系)

    出力 150 kVA

    蓄電池種類 / 質量(㎏) 制御弁式据置鉛蓄電池 / 262容量(Ah) 80(10 時間率)主な用途 全般

    表 1 JR 四国 8600 系特急形直流電車 車両諸元

  • JR 四国 8600 系特急形直流電車 37

    車体の構造・主要寸法

    構体材料 / 構造 ステンレス鋼(前頭部は普通鋼)車両の前面形状 貫通形運転室 全室

    長さ(㎜)先頭車 20 800中間車 -

    連結面間距離(㎜)

    先頭車 21 300中間車 -

    心皿間距離(㎜) 14 400車体幅(㎜) 2 834

    高さ(㎜)屋根高さ 3 560(一般部)、3 310(低屋根部)屋根取付品上面 4 007

    床面高さ(㎜) 1 105

    車体特性・構造及び主要設備

    相当曲げ剛性(MN・m2) 0.94×103

    相当ねじり剛性(MN・m2/rad) 0.29×103

    曲げ固有振動数(Hz) 12.2(構体)ねじり固有振動数(Hz) 9.3(構体)内装材 メラミン化粧板、FRP側窓構造 固定式妻引戸 片引戸(自動)

    側扉構造 片引戸 700 ㎜及び 900 ㎜(Tc 車後位)片側数 2

    戸閉め装置形式 TK103A方式 単気筒複動式

    腰掛方式 回転リクライニングシート車体連結装置

    先頭車 電気連結器付き密着連結器中間車 半永久連結器

    空調換気システム

    冷房方式 屋根上集中式ユニット空調装置暖房方式 腰掛下シーズ線ヒータ(つり下げ式)換気方式 強制換気送風方式 天井ダクト:ラインフロー吹き出し

    室内灯照明方式 直接照明灯具方式 LED 照明

    移動制約者設備車椅子対応多機能トイレ、車椅子対応洗面所、車椅子スペース、ドア開閉予告チャイム、各座席に点字表記など

    便所主要設備 洋式共用、小便所汚物処理 洋式:真空式、小便所:重力落下式

    その他の主要設備

    主幹制御器形式/質量(㎏)

    方式2 ハンドル(横軸:マスコン、縦軸:ブレーキハンドル)

    速度計装置 直動式指示計車両情報制御システム

    モニタ装置 SMON3 形モニタ表示器 液晶カラーモニタ

    非常通報装置 客室及び洋式便所

    行先表示器前面 -側面 フルカラー LED

    車内案内表示 フルカラー LED

    放送車内向け スピーカー10台(自動放送付き)車外向け スピーカー4台(車内外両方切替可)

    車両間連結電気系 ジャンパ連結器(半永久連結部)空気管系 空気ホース、密着連結器(先頭部)

    その他の主要設備

    空調装置形式/質量(㎏) AU721S / 720方式 全自動制御容量(kW) 46.5(40 000 kcal/h)

    暖房装置容量(kW) 0.4 kW/ 台、11.2 kW(Mc)、8.8 kW(Tc)形式/質量(㎏) HF 430 / 84 ㎏(Mc)、66 ㎏(Tc)

    標識灯前部標識灯 HID(上部)、ハロゲンシールドビーム(下部)後部標識灯 赤色 LEDその他 -

    その他 -

    空気ブレーキ設備

    電動空気圧縮機

    形式/質量(㎏) S-MH13-SC1600 / 523圧縮機容量 1 600 ㍑/min圧縮機方式 スクロール回転式

    空気タンク元空気タンク 330 ㍑供給空気タンク 110 ㍑×2

    ブレーキ制御装置

    形式/質量(㎏) S-C63A / 140

    台   車

    形式動台車 S-DT66付随台車 S-TR66

    車体支持装置 ボルスタレス式けん引装置 一本リンク式枕ばね方式 空気ばね上下枕ばね定数 /台車片側(N/㎜)

    動台車 375付随台車 368

    軸箱支持方式 軸はり式軸ばね方式 コイルばね

    上下軸ばね定数 / 軸箱(空車時)(N/㎜)

    コイルばね動台車

    973.5付随台車

    ゴムばね動台車

    19613.3付随台車

    総合動台車

    927.5付随台車

    軸距(㎜) 2 100台車最大長さ(㎜) 3 602車輪径(㎜) 810基礎ブレーキ

    動台車 車輪側ディスク油圧キャリパ付随台車 1 軸 2 ディスクてこ式空圧キャリパ

    ブレーキ倍率 キャリパ方式

    制輪子動台車 焼結合金制輪子付随台車 合成制輪子

    ブレーキシリンダ×個数

    動台車 4付随台車 4

    駆動方式 平行カルダン歯数比(減速比) 5.56(89:16)継手 TD 継手軸受 密封複式円すいころ軸受

    質量(㎏)動台車 6 960 / 6 855(排障器付き / 一般)

    付随台車5 453 / 5 504(排障器付き / 一般)

    記事

  • 2015- 3「車両技術 249 号」38

    図1 

    編成

  • JR 四国 8600 系特急形直流電車 39

    図 2-1 形式図 モハ 8600(Mc)

    ほろ

    図 2-2 形式図 クハ 8750(Tc)

  • 2015- 3「車両技術 249 号」40

    3 デザイン3.1 デザインコンセプト

    JR 四国では、会社発足 25 周年を迎え、新たな中期経営計画のスタートに当たり、お客様により親しんでいただける会社を目指して、車両を始め、駅舎、備品、カードなどの統一したデザインコンセプトを策定することとなった。8600 系のデザインコンセプトは、“レトロフューチャー(前世紀の近未来的デザイン)”とし、ノスタルジックな鉄道車両のイメージを未来特急としてデザインするとともに、ビジネス特急としてのスマートさ、鉄道旅行の情緒・高揚感を演出した。3.2 エクステリアデザイン

    円形のブラックフェイスは、蒸気機関車のイメージをモチーフに、列車の力強さ・ダイナミズムを表現したものであり、車体にはオレンジとグリーンを用いて、“瀬戸内の温暖な風土”と“穏やかで美しい四国の自然”、“愛媛”と“香川”をイメージし、特急のスピード感を流線(ストリームラ

    イン)でなぞらえたカラーリングとした。3.3 インテリアデザイン

    未来を想起させる明るく洗練された車内空間に、アクセントカラーとして、Mc 車にグリーン(写真 2)、Tc 車にオレンジ(写真 3)を採用して、先進感の中に、ナチュラルなぬくもりを感じることができるインテリアとした。

    4 車体構造4.1 主要寸法

    主要寸法は、Mc 車、Tc 車ともに、車体長 20 800 ㎜、車体幅 2 834 ㎜、車体高さ 3 560 ㎜、床面高さは 1 105 ㎜とした。4.2 構体

    車体は、ステンレス鋼を用いた溶接組立構造である。側構体は、溶接ひずみによる凹凸が少なく、外板面の仕上がりが美しくなるようにレーザ溶接を採用した。連続溶接が必要な台枠の枕ばり、端ばりなどの部材には、高耐候性圧

    ばねたわみばね

    より

    ふた

    における

    どいととの隙間

    を した

    に する

    ととの隙間

    における

    より に

    における

    より に

    図 3 車体断面

  • JR 四国 8600 系特急形直流電車 41

    延鋼材及び溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材を使用し、先頭構体部は、一般構造用圧延鋼材(普通鋼製)とした。オフセット衝突対策として、運転室の乗務員腰掛背面までをサバイバルゾーン、腰掛背面から出入台(デッキ)手前までをクラッシャブルゾーンとし、衝突時にクラッシャブルゾーンを優先的に破壊することで、車体破壊からお客様と乗務員を守る構造とした。また、運転士側及び助士席側のいずれの仕切り壁にもガラス窓を設置することで、万一の乗務員室での閉じ込めが発生した場合においても、出入台側からの救出に備えている。さらに、衝突時の 2 両目以降のお客様の衝撃緩和のために、Tc 車床下にエネルギー吸収要素を設け、それを確実に機能させるため、車端にアンチクライマを設置した。

    5 客室5.1 客室構造

    客室内部の天井及び内張りには、軽合金をベースとしたメラミン樹脂化粧板を使用し、腰掛・床敷物などの室内備品も全て難燃性及び不燃性の材料を使用した。天井中央部には、空調の吹き出し口及び客室照明灯を配置した。空調装置からの吹き出しは、天井から吹き出すラインフロー方式とした。また、客室照明は、直管形 LED 照明を採用して、省エネルギー性の向上及びメンテナンスの軽減を図った。なお、灯具のグローブは、車両の軽量化とデザイン及び機能とを検討して、スリット形状を採用した。床構造は、8000 系と同様にキーストンプレート及び床詰物で構成した。各出入台の照明は、ダウンライト方式の LED 照明を採用して、2 列に配置した。客室と出入台とを仕切る内妻引戸は、パルサーチ式センサを用いた自動扉とした。また、お客様のセキュリティ向上のために、各出入台に防犯カメラを設置し、便所には炎検知器を設置した。5.2 室内設備

    客室の腰掛は、シートピッチ 980 ㎜、一人当たりの有効幅 445 ㎜の 2 人掛けの背面テーブルつき回転式リクライニングシートを採用した。各腰掛のひじ掛先端部にパーソナルコンセントを設け、背ずりの背面には網袋及びカップホルダを設置したほか、可動式枕を採用するなど、お客様サービスの向上に努めている。

    客室出入口上部には、案内表示器を設け、次駅表示、扉開方向表示、広告案内などを行う。また、客室中央の天井

    には、客室の一部を指定席とする半室指定席表示器を設置した。全車に設置した客室内の非常通報装置は、通話機能付きである。また、キャリーバッグなどの普及によって、手荷物が大形化していることから、荷物棚の寸法を拡大した。荷棚先端の高さは、8000 系と同様に 1 730 ㎜とした。5.3 窓及び扉

    側窓は、合わせ複層ガラスを使用した。このガラスは、複層ガラスのもつ断熱機能に加えて、中間膜による貫通防止対策及び紫外線カット機能も備えている。側引戸は、簡易気密付きの片引戸で、戸挟み制御機能付きとした。また、冬期など早朝の車両起動時の空調効果促進と、長時間停車時の出入台の空調効果保持を考慮して、戸閉め装置は半自動機能付きとした。また、出入台で乗客が感じる圧迫感を軽減するため、側引戸の窓及び多機能便所前に配置した明かり取り窓の寸法を適度な範囲で上下方向に拡大した。妻引戸は、タッチ式の自動ドアを設置し、車内空調の効果促進及び静粛性の向上を図った。5.4 バリアフリー・ユニバーサルデザイン対応設備

    バリアフリー・ユニバーサルデザインへの対応として、高齢のお客様、体が不自由なお客様、小さなお子さま連れのお客様も安心してご利用いただけるように、次の設備を配置した。a) 車椅子スペース及び車椅子対応座席(Tc 車)

    車椅子スペースは、Tc 車 4 位に通路にはみ出さないかたちで設置しており、車椅子固定用のロープ、手すり及び非常通報ボタンを備えている。また、Tc 車 3 位には、車椅子対応座席として、車椅子から移乗しやすいように、はね上げ式ひじ掛を取り付け、車椅子固定用ベルトを装備した腰掛を設置した(写真 4)。b) 多機能便所(Tc 車)

    Tc 車の車端には、車椅子対応の円弧形便所を設置した。同便所は、押しボタン式の自動ドアを設け、簡易形のオストメイト機能を備えている。また、小さなお子様連れのお客様にも安心してご利用頂けるように、ベビーベッド、ベビーキープ及びフィッティングボードを設置した(写真 5)。c) 車椅子対応洗面所(Tc 車)

    多機能便所の対面には、足元部を広く取ることで車椅子でのご利用が可能な構造の車椅子対応洗面所を設置した(写真 6)。

    写真 2 室内(Mc 車) 写真 3 室内(Tc 車)

  • 2015- 3「車両技術 249 号」42

    d) 出入台出入台には、開閉する側の扉の案内及び注意を喚起する

    ために、ランプの点滅及び音声によるお知らせを行うドア開案内装置を設けた。また、車掌のスイッチ扱いによって、乗降促進チャイムの鳴動も可能とした。e) 側引戸、内妻自動扉、通路幅拡大(Tc 車)

    車椅子での移動が自由に行えるように、Tc 車後位の側引戸及び内妻自動扉並びに乗降口から車椅子スペース、多機能便所に至る通路幅を拡大した。f) 表示装置

    お客様への案内設備として、客室出入口上部及び客室中央の天井に、フルカラー LED による車内案内表示装置を設けた。客室出入口上部の表示装置は、次駅案内、扉開方向などを表示し、中央部の表示装置は、指定席及び自由席の座席区分を表示する(8.11 参照)。また、車体側面には、号車・行先表示器及び号車表示器を、先頭部の貫通扉には、愛称名表示器を設置している(8.12 参照)。なお、表示画面は、海外からのお客様を想定し、日本語と英語による2 箇国語表記とした。g) 自動放送装置

    自動放送についても表示器と同様に、日本語と英語の 2箇国語による案内とした。h) 触知名板表記

    出入口部及び各腰掛の上部の取手には、点字名板を取り付けて、座席の案内を行っている。また、便所内の設備配置説明などにも触知図を用いて表示した。5.5 便所・洗面所設備

    便所・洗面所設備は、Tc 車に多機能便所、男性用小便所及び洗面所を、Mc 車には洋式便所及び男性用小便所を配置した。多機能便所には、簡易オストメイト機能とともに、暖房・温水洗浄機能付き便座を採用した。洗面台は、便所と独立した大形の鏡付き洗面台を設置し、出入台の通路とはカーテンで仕切れる構造とした。洋式便所は、暖房機能付き便座を装備した。また、Mc 車には洗面所が設置されていないことから、便所内の姿見を大形化し、小物置き及びコンセントを設置したほか、便所前の通路にも大形の姿見を設置した。さらに、Mc 車の洋式便所は、女性専用便所として使用するための表示灯を備えている。なお、多機能便所、洋式便所ともに炎感知器を備え、車内喫煙防止を図った。汚物処理装置は、全て真空式を採用した。

    5.6 その他設備その他設備として、Mc 車に自動販売機を設けたほか、

    Tc 車の多機能便所前には、携帯電話スペースとして、明かり取り窓、カウンタ及びコンセントを設置し、出入台での圧迫感を軽減できるように配慮した。また、Tc 車には、大形の荷物を想定した荷物置きスペースも設置した。

    6 運転室設備乗務員室は、分割・併合を前提とした貫通運転台構造

    で、運転席は、高速走行時の視界確保と乗務員の安全とを考慮し、8000 系と同様の高床構造とした。また、運転席の機器配置についても、8000 系を基本とした。ワイパは、運転士側及び助士側に設置し、運転士側には主ワイパの故障に備え、補助ワイパも設置した。また、客室乗務員が乗務時に行う列車のミラー確認に配慮し、運転士側前面窓だけでなく、助士側前面窓及び貫通扉の窓にも防曇ガラスを採用した。前部標識灯の配置は、駅停車時におけるホームミラー(ワンマン運転のためにホームに設置された後方確認用の鏡)から反射光で生じる眩

    げ ん

    惑わ く

    防止、高速運転時の近距離及び遠距離の視野、架線に対する照射状態を考慮して決定した。また、後部標識灯の配置は、既存車の実績と遠方からの視認性によって決定した。

    車掌及び客室乗務員に関係する設備では、無人駅における集札業務が多いことを配慮して、車外放送も可能な放送装置を採用した。また、夜間、運転中の運転士の業務に支

    写真 4 車椅子対応座席及び車椅子スペース 写真 5 多機能便所

    写真 6 車椅子対応洗面所及び携帯電話スペース

  • JR 四国 8600 系特急形直流電車 43

    (Tc車のみ)

    のみ

    のみ

    遮断器盤

    みし

    つなぎ

    ふき

    ワンマン戸閉めスイッチ(右)

    ワンマン戸閉めスイッチ(左)

    ふき ふき 前部標識灯

    前部標識灯

    後部標識灯

    後部標識灯

    のみ

    (Tc車のみ)

    図4 

    運転

    室機

    器配

    写真

    7 

  • 2015- 3「車両技術 249 号」44

    図5 

    床下

    機器

    配置

    水揚げ装置

    つなぎ

    タンク

    b) 

    床下

    機器

    配置

     ク

    ハ87

    50(Tc

    つなぎ

    水揚げ装置

    a) 

    床下

    機器

    配置

     モ

    ハ86

    00(M

    c)

  • JR 四国 8600 系特急形直流電車 45

    図6 

    屋根

    上機

    器配

    空調装置

    b) 

    屋根

    上機

    器配

    置 

    クハ

    8750(

    Tc)

    空調装置

    a) 

    屋根

    上機

    器配

    置 

    モハ

    8600(

    Mc)

  • 2015- 3「車両技術 249 号」46

    輪軸

    枕ばね

    軸ばね

    軸箱

    台車枠

    図7 

    動台

    車(S

    -DT6

    6)

    写真

    8 

  • JR 四国 8600 系特急形直流電車 47

    輪軸

    枕ばね

    軸ばね

    軸箱

    台車枠

    図8 

    付随

    台車(

    S-T

    R66

    写真

    9 

  • 2015- 3「車両技術 249 号」48

    図9 

    主回

    路つ

    なぎ

  • JR 四国 8600 系特急形直流電車 49

    図10

     カ

    行性

    能曲

    線図

    11 

    ブレ

    ーキ

    性能

    曲線

  • 2015- 3「車両技術 249 号」50

    障をきたさないように、お客様案内のための執し つ

    務む

    鑑か ん

    (編集部注:列車の着発時刻及び番線、乗り継ぎ列車情報などが記載された車掌用時刻表の名称。)を見ることができる手元灯を設置するとともに、乗務員が衣服を整えるための折たたみ式の姿見を試行的に設置した。

    運転関係の機器は、近年、女性乗務員の増加などによって、乗務員の身長の幅が拡大していることから、身長が高くない乗務員でも、乗務員室、出入台及び客室の運転関係の機器を支障なく扱えるように設計段階で配慮した。

    7 機器配置7.1 床下機器配置7.1.1 Tc 車

    Tc 車前位車端部には、F 救援ブレーキ装置、連結締切装置、ハンドスコッチ及び空気笛を、中央部には、ブレーキ制御関係機器、空気圧縮機関係機器、補助電源装置、中間連結器箱、水タンク及び車体傾斜電磁弁装置を、後位車端部には、汚物処理装置を配置した。7.1.2 Mc 車

    Mc 車前位車端部には、連結締切装置、ハンドスコッチ及び空気笛を、中央部には、ブレーキ制御関係機器、VVVF インバータ装置、断流器、フィルタリアクトル、水タンク及び車体傾斜電磁弁装置を、後位車端部には、Tc 車と同様に汚物処理装置を配置した。フィルタリアクトルの取付部は、台枠の上面及び下面の両方に磁気シールド板を設けて、漏れ磁束密度低下を図っている。また、発熱機器であるブレーキ抵抗器の上部には、防熱板を取り付けて床面の温度上昇を防いでいる。なお、Mc 車には救援ブレーキ装置は搭載されていないが、他車の救援ブレーキ装置を取り付ければ機能するように、つり金具、ワンタッチ式空気管用連結器及び配線用連結器を Mc 車の前位車端部に設けた。7.2 屋根上機器配置

    Tc 車及び Mc 車の屋根中央部には、空調装置を配置し、前位の屋根部には、信号炎管、列車無線アンテナ及びGPS アンテナを配置した。また、パンタグラフは、Tc 後位部の屋根上に配置した。パンタ折たたみ高さは、レール面上 3 875.3 ㎜で、4 150~5 400 ㎜の架線高さの範囲に追随できる。パンタグラフ付近には、母線ヒューズ、避雷器及びかぎ外し用つなぎ箱を配置した。7.3 車両間設備

    各車両間の連結部には、貫通口及び貫通路を設け、難燃性の全周ほろ及び渡り板を設けている。また、車両間の貫通口には、出入台の空調効果と静粛性の向上のため、タッチセンサ式の自動引戸を設けた。また、プラットホームからの転落防止のため、外ほろを取り付けた。

    8 主要機器8.1 主制御装置

    主制御器は、VVVF インバータ装置を中心に構成している。電動車 1 両分の主電動機 4 台を 4 群個別制御する方式とし、故障時には 1 群単位で開放可能として、故障時の冗長性、走行システムの信頼性向上を図った。また、ブレーキチョッパ装置を搭載し、回生機能による省エネルギーを図った。

    8.2 主電動機主電動機は、220 kW の全閉外扇式三相かご形誘導電動

    機を使用することで、損失低減による高効率化による省エネルギー化を図るとともに、粉じんが堆積することを防止するために行っていた気吹き作業の解消、長期間の非分解による省メンテナンス化を図った。8.3 集電装置

    パンタグラフは、屋根上機器の軽量化と部品点数削減によるメンテナンスの省力化を考慮し、ばね上昇空気下降式のシングルアーム方式を採用した。かぎ外し装置は、電磁かぎ外し装置を採用した。また、パンタグラフが車体傾斜と連動して、常に軌道中心鉛直線上を保持するために、車体の屋根上に設けた曲線ガイドを介して、パンタグラフ及びその取付け台を設置し、取付台と台車によって水平に維持される中間はりとを、ワイヤロープで固定する構造とした。また、パンタグラフと主回路とを結ぶ高圧回路は、編みひも状の銅線を用いて結線することで、パンタグラフの動きを許容できる構造とした。8.4 ブレーキ装置

    ブレーキ装置は、常用ブレーキ装置、非常ブレーキ装置及び保安ブレーキ装置(直通予備ブレーキ)の 3 系統とし、さらに異常時などに他車種と相互に併結救援運転するための F 救援ブレーキ装置を設けた。ブレーキ方式は、回生・発電ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ方式を採用し、高速域からのブレーキ力を確保するために、常用ブレーキ及び非常ブレーキは、ともに増圧機能を有している。また、従来は滑走防止弁で制御していた滑走制御を、8600形では台車単位で搭載するブレーキ制御装置内の電空変換制御弁にて行うシステムとした。

    遅れ込め制御は、T 車優先制御を採用し、回生ブレーキ力が不足した場合の空気ブレーキを T 車系で自車必要ブレーキ力以上を負担することで、M 車のブレーキ力の一部を T 車へ負担させ、M 車の基礎ブレーキ装置の摩耗量の軽減を図った。8.5 電動空気圧縮機装置

    電動空気圧縮機装置は、1 台の装置内に 3 台のスクロール圧縮機を内蔵しており、各圧縮機の起動回路及び保護回路を各々独立することで冗長性を向上すると同時に、順次起動させることで装置全体の起動電流低減を行っている。装置には、圧縮機とともにオイルセパレータ、フィルタ類、バルブ類、除湿装置の周辺機器及び起動回路を全て一体化したコンパクト設計となっており、配管・配線のぎ装を簡略化した。また、車体傾斜装置へ安定した空気供給を行うため、高稼働率に対応した装置となっている。8.6 補助電源装置

    補助電源装置のインバータは、3 レベルインバータ方式を採用し、主回路には最新のハイブリッド SiC 素子を適用することで、高効率で応答性の優れた交流電圧波形を出力している。また、冗長性確保のため、待機 2 重系システムを採用し、万が一の機器故障時も自動的に系の切替を行い、運転継続することを可能とした。補助電源装置の出力容量は、AC 440 V 三相 60 Hz 150 kVA で、装置には DC 100 V 10 kW の整流装置も内蔵する。8.7 空調装置及び暖房装置

    空調装置は、屋根上に 46.5 kW(40 000 kcal/h)の集中式

  • JR 四国 8600 系特急形直流電車 51

    空調装置を設置した。暖房装置は、腰掛の下部につり下げ式ヒータを設置し、集中式空調装置に内蔵されたヒータと併用することで、速やかな暖房の立ち上がりを可能とした。8.8 戸閉め装置

    側引戸は、戸挟み防止策として、扉閉時及び扉閉動作中にシリンダ内供給圧を低下させ、戸閉め力を弱める戸閉め弱め制御を採用した。また、簡易気密式の押え装置を有しており、4 本のシリンダで扉を車内から押し付け、気密を保持している。8.9 車両情報制御システム

    モニタ装置は、従来車と同様に、列車の運転状態及び主要機器の動作状態を常時監視・把握して、その状態を運転台の表示器に表示するとともに、故障発生時は、乗務員が行う応急処置の補助をするガイダンス機能を有している。さらに故障時の直前動作伏態を記録することで、検修に反映できるようにした。運転台表示器は、12.1 インチの大形カラー LCD を採用して視認性を向上させるとともに、従来車では別置きとなっていた運転状況記録装置の情報表示部をモニタ装置画面上に内蔵させた。また、基幹伝送速度は、2.5 Mbps に高速化されており、データ読み込み(ローディング)時などでの伝送時間短縮を図った。検修関係の機能は、8000 系と異なり、営業運転中の車両の故障データ確認、データの抜き取り及び試運転機能によるデータ収集を可能とした。また、各扉の開閉状態、故障のデータなど、機器の詳細な動作記録を保存し、車両不具合発生時の迅速な調査を支援する機能を有している。8.10 運転保安装置

    保安装置は、従来車両と同様の ATS-SS Ⅱ車上装置、EB 装置及び TE 装置を設けた。ATS-SS Ⅱ車上装置は、Mc 車には一般用を、Tc 車には地点検知機能付きのものを搭載した。なお、地点検知機能については、外部からの指令又は内部のスイッチ操作によって、速度照査地上子通過時の地点信号出力のカットを可能とし、速度照査地上子の増設に伴う一時的な地点検知不良を発生させないようにしている。8.11 車内案内表示装置

    車内案内表示装置は、次駅表示、扉開方向表示、広告案内などを行う。また、客室中央の天井に、客室の一部を指定席とする半室指定席表示器を設置し、モニタ制御によって、任意に指定席の席番表示を変更可能とした(写真 10)。8.12 号車・行先表示器及び愛称名表示器

    両側連妻寄りに号車・行先表示器を、先頭寄りには号車表示器を設け、先頭部分には愛称名表示器を設置し、お客様の誤乗防止を図った。各表示器は、フルカラー LED を採用して、誰もが見やすい表示となるように配慮した。8.13 放送及び非常通報装置

    放送及び非常通報装置は、放送、連絡、非常通報装置及び自動放送装置からなる。車内、車外(デッキ部と車外又は車外のみ)、一斉(車内及び車外)と範囲を決めて放送が行えるほか、乗務員間の連絡通話、乗務員と客室間の非常通報通話が行える。

    なお、連絡・非常通話回線の仕様は、600 Ω 20 dBV(回線レベル大)とし、ノイズレス化を図っている。また、連絡装置は、前後運転台間で音声による呼出を可能とした。

    9 台車台車は、営業最高速度 130 ㎞/h 仕様の軽量ボルスタレ

    ス台車とした。軸箱支持装置は、コイルばねを使用した軸はり式とし、無しゅう動化による保守性の向上を図った。輪軸組立は、車輪径 810 ㎜の一体圧延車輪を使用し、軸受には構造の簡易化と保守の省力化を考慮し、直径 120 ㎜の密封複式円すいころ軸受を使用した。台車枠は、側ばりなどに溶接構造用鋼板を使用し、横ばりにはシームレスパイプを使用した軽量台車枠とした。車体支持装置は、1 山ベローズ形空気ばねを使用した、ボルスタレス空気ばね車体直結方式とした。けん引装置は、1 本リンクを使用し、軽量化・部品点数の削減及び無しゅう動化による保守の省力化を図った。また、各台車は、高速走行時の台車の安定性向上のため、ヨーダンパを取り付けている。

    基礎ブレーキ装置は、動台車が側ディスク及び油圧キャリパブレーキ、付随台車が軸ディスク及び空圧キャリパブレーキを使用し、各軸制御 ABS 及び踏面清掃装置を併用することでブレーキ性能の向上を図った。

    Mc 先頭車用台車には自動列車停止装置(ATS)用に使用する車上子、Tc 先頭台車には自動列車停止装置(ATS)用に使用する車上子と車体傾斜制御に使用する列車の位置検知用車上子とをそれぞれ取り付けた。各車軸の軸端には、速度発電機、空転・滑走検知用速度発電機及び接地ブラシを設置しており、これらの機器は 8000 系と同一のものを採用した。

    10 おわりに今回製作した車両は、2014 年 6 月 23 日から、高松~松

    山間の特急“いしづち”として、営業運転を開始した。今後、量産車の製作に向けたデータの蓄積を行い、更なる改良や不具合等の修正を行い、お客様に喜ばれる車両となるよう育ててゆきたい。

    写真 10 半室指定席表示器