Jepaセミナー渋谷資料3

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(3) 日本の電子書籍: 何が問題なのか? 1

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(3) 日本の電子書籍: 何が問題なのか?

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1957 1960 1963 1966 1969 1972 1975 1978 1981 1984 1987 1990 1993 1996 1999 2002 2005 2008 2011

部数・点数

1957年~2011年の書籍販売と生産年齢人口の推移

書籍推定販売部数(万点)

書籍新刊発行点数(取次)

書籍新刊発行点数(新基準) 生産年齢人口

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1957年~2012年の生産人口一人あたり推定販売部数、一人あたり推定販売金額(※1934~35年を1とする)の推移

一人あたり販売金額(左目盛) 一人あたり販売部数(右目盛)

相関係数(推定販売部数と生産年齢人口)= 0.935440569

相関係数(販売金額と生産年齢人口)= 0.935440569

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10# 18# 45# 94# 182# 355# 464# 574# 650# 629# 729# 936# 1250# 1640#2060# 2420# 2790#

9,490#9,056#

9,429# 9,197# 9,326# 9,026# 8,878# 8,492# 8,213# 8,199# 8,013# 7,851#7,759#

7,668#7,578#

7,489#7,402#

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平均変化率(2002-2013) -1.17%

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電子書籍市場は!ようやく!

離陸しはじめた8

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では、なぜ悪いニュース、イメージが目立つのか?!「官」「業」に原因があるのでは?

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年 できごと1986 日本電子出版協会(JEPA)設立1990 ソニー、データディスクマンを発売1993 ボイジャージャパン、エキスパンドブック・ツールキットを発売1993 NEC、デジタルブックプレイヤーを発売1995 フジオンラインシステム(→パピレス)1995 CD-ROM版「新潮文庫の100冊」1998 電子書籍コンソーシアム設立1998 SoftBook、Rocket eBook(ベゾス、出資を求められるが決裂)2000 イーブックイニシアティブジャパン(EBJ)設立2000 電子文庫出版社会設立。「電子文庫パブリ」オープン2000 Microsoft Reader2000 ミュージック・シーオー・ジェーピー(現MTI)が「パブリ」運営を受託2004 ソニー、リブリエ発売2004 松下、シグマブック発売2005 デジタルコミック協議会設立2005 ビットウェイ設立2005 モバイルブック・ジェーピー(MBJ)がミュージック・ドット・ジェーピーから分割独立2006 松下、ワーズギア発売2006 米ソニー、Readerを北米で発売

第一次電子書籍元年

第二次電子書籍元年

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年 できごと2007 米アマゾン、初代Kindleを発売

2009 米アマゾン、Kindle2国際版を日本を含む世界100カ国へも発売開始

2009 米書店チェーンのバーンズアンドノーブルが電子書籍サービス「NOOK」を開始

2010 日本電子出版社協会(電書協)設立

2010「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」(通称、三省デ

ジ懇)開催2010 ブックリスタ設立(ソニー、KDDI、凸版印刷、朝日新聞社)

2010 電子出版制作・流通協議会(電流協)設立

2010 トゥ・ディファクト設立(ドコモ、大日本印刷)

2010 TSUTAYA GALAPAGOS設立(CCC、シャープ)

2010 ソニー、Readerを日本で発売

2010 シャープ、GALAPAGOSを発売

2011 ビットウェイ、インテルキャピタルなどがBookLive設立

2011 シャープ、GALAPAGOS端末事業から事実上撤退

2012 楽天、カナダの電子書籍企業、コボを買収

2012 出版デジタル機構設立、緊急デジタル化事業

2012 コボ、電子書籍サービスを日本で開始、Kobo touchを発売

2012 米アマゾン、日本で電子書籍サービスを開始。Kindle Paperwhite/Kindle Fireシリーズ発売

2013 米アマゾン、Kindle新シリーズを日本で発売、「Kindle連載」を開始

第三次電子書籍元年

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三省懇談会の枠組みとその後

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項目 その後、成果は生かされたか?電子書籍交換フォーマット標準化プロジェクト ?(サイトは更新停止)→デジタル機構、緊デジEPUB日本語拡張仕様策定 EPUBが国内でもデファクト化次世代書誌情報の共通化に向けた環境整備 ?メタデータ情報基盤構築事業 ?次世代電子出版コンテンツID推進プロジェクト JP-eコードを策定→デジタル機構、緊デジへアクセシビリティを考慮した電子出版サービスの DAISYなどの取り組みに書店店頭とネットワークでの電子出版の販売を実 ?電子出版の流通促進のための情報共有クラウドの ?研究・教育機関における電子ブック利用拡大のた ?図書館デジタルコンテンツ流通促進プロジェクト ?

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電子出版権

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出版デジタル機構フォーマットやID、課金・流通は「非競争領域」とする。

取次業界市場シェア7割とも言われるビットウェイを傘下に→こ

の分野のイノベーション低下の恐れ

これまでのところ、「緊デジ」(残務処理)とビットウェイを引き

継いだ取次業務が主な仕事

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緊デジ

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緊デジ

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緊デジ

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(電子)書籍の競争の核心はどこに?

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入稿とセールスリポート(BI)日本のPF1 日本のPF2 日本のPF3 海外PF 海外ストア

入稿 FTP&通知 FTP&通知 FTP&通知 FTP&自動 N/A

レポート期間 2カ月で消える 2カ月 2カ月 通期 N/A

レスポンス 普通 遅い 普通 高速 N/A

ドリルダウン できない できない できない できる N/A

セールの扱い 1レコード 1レコード その都度レコード 1レコード 1レコード

セールの伝達 電話 電話 サイト 書誌で自動 書誌で自動

配信停止 数日~1週間 数日~1週間 数日~1週間 即時 即時

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プリントとウェブの違いP

D

C

A

P

D

C

A

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「電書敗戦」?

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日米の違いシステム志向(ダッシュボード、API、仕様書、BI、データドリブン、プロシーデュ

アル)←→ガンバリズム(点数至上主義、電話、「サービス」)

本質志向(ウェブ技術)←→レプリカ、バックミラー志向(本のメタファー)

エコシステム←→密室、既得権、不透明、法律、制度重視

トライアル&エラー&PDCA←→決められない、コンソーシアム、責任の所在不明

競争重視(競争こそがいいサービスを生み出す)←→話し合い

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Procedural

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エコシステム

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実行の中心課題

実行の中心課題

コイノベーション

アドプションチェーン

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電子インクスクリーン

その他の補完品

ソニーDRM

著者

ソニーリーダー 小売業者 ユーザー

出版社ソニー・コネクト・ドットコム

接続性:USBケーブル経由でPCから

リーダーへ転送

出所:「ワイドレンズ」P86

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接続:ワイヤレスネットワーク

アマゾンDRMとその他の補完品

出版社

アマゾンのキンドル

アマゾンのウェブストア エンドユーザー

出所:「ワイドレンズ」P88

著者

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公開と共有なくしてエコシステムはでき

ない

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電子書籍にも再販制を!

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いったいどこまで!法律整備をすれば!気が済むのか?

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カニバリズムはあるのか?

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カニバリズムはあるのか?

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そもそも、紙と電子両方で刊行されている本はどのくらいあるのか?

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Amazonランキング

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Amazonランキング調査電子書籍)2012年11月~2014年5月31日まで、毎日午前1時時点のランキング情報(1位~

300位まで)を取得。※日本のキンドルストアは10月開店。

レコード数は139,445件(NOT FOUND等を除く)

ユニーク本総数は6409タイトル

紙の書籍)上と同条件

レコード数は138,849件(NOT FOUND等を除く)

ユニーク本総数は9655タイトル40

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Amazonランキング本

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紙電子

9655タイトル6409タイトル

重なりはどの程度?

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調査結果

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電子書籍のみの本 2225

紙と電子共通の本 4183

全体 6408

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調査結果

電子書籍のうち、65%が紙本由来の本、残りは電子オリジナル

紙本のうち、43%が電子書籍でも刊行されている

タイトル数ベースなのでなんともいえないが、電子オリジナルが増える傾

向が見えれば、カニバリズムはあったとしても減っていくだろう。

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今後の調査の方向性紙→電子で調査

紙・電子同時発売とウィンドウ発売では売上げランキングの動きに違いは

あるか?(宣伝効果によるカニバリズムの相殺)

紙、電子本それぞれの平均金額から、それぞれの売上内のシェアを出す(お

そらく、重なりのインパクトは小さくなる)?

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カニバリズムについての、さらに徹底的な調査結果3つ

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② ③

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①海賊退治の効果海賊退治の効果に関する、初めての経験的調査

海賊退治で電子書籍の売上は15%上昇

紙の本には影響しない

出版社は週に何百万もの取り下げ要請を行っている

新人作家、売れてない本は海賊版によって利益を得る

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②アメリカ、ドイツの「コピー文化」人口の半分がコピーをしたことがある

そのほとんどは、小規模でカジュアルなものである

主体は若者、半分はオフライン

合法DLの代替ではない。コピーをする人としてない人の購買行動に差はない

P2Pのヘビーユーザは、同時に合法販売のヘビーユーザーである

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③発展途上国の海賊行為ブラジル、インド、ボリビア、ロシア、南アフリカ、メキシコを調査

主要因はコンテンツが高過ぎること。特に自国のメディア産業が弱い場合

教育は効果がない。法制度も効果なし

海賊が頭を悩ませるのは「フリー」との戦い

取り締まりも効果がない

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出版=有料 ネット=無料ebook

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(4) どうすればいいのか?

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「法制度いじり」はもうやめる

「官頼み」はもうやめる。「官頼み」は規律を緩ませ、「官」独特の論理に振り

回されるだけ。また民業圧迫により、イノベーションを阻害する

デジタル機構は国費(産業革新機構からの出資分)は返上する。国が乗り出して

成果が出るなら、なぜNTT、国鉄、郵政は民営化したのか?

「●●は非競争領域」「◯◯は競争領域」などと一握りの専門家が決めることは

できないしやってはならない→こういうことをやってしまうことが特殊法人の問

題点。ましてや、新しいメディア。ジョブズでさえ予期できなかった市場

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ID、書誌情報への取り組みは結構だが、「海賊版退治」のためだけなのか? 

それが優先されるとまた歪みが。

今後途上国が豊かになればなるほど、また日本文化が知られれば知られるほ

ど、海賊は増えていく。これを取り締まるのは現実的な話なのか? その労

力を他へ、たとえばサブスクリプションや、サービス改善に振り向けるべき

ではないか?(そうしないのは、結局は電子書籍の普及に興味がないからで

は?)

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JP-eコードは本当に必要か? コードとは番号だけでなく、運用指針まで含んだも

の。何も知らない第三者がそれを見て使われ方がわからなければ意味がない

「国際標準(反ガラパゴス)」が三省懇談会の基層低音だったのでは? 日本でしか

使われないコードはガラパゴスではないのか? 過去の電子書籍プロジェクトの失敗

に学ばないのか?(プロプライアタリ→ガラパゴス?)

結論)ISBNを低廉に、誰でも使えるようにすべき(国際ISBN機関の指針通り、現状

の国際的な流通実態にも合っている

さらに書誌も国際的に使われているONIXに統一すべき。新しい規格を作る必要はない

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書誌と売上情報を交換できる共通APIの策定が必要。なぜなら、電書ストア、

プラットフォームが並立する状況はしばらく続くと考えられるため

さらに、事業者が撤退したあとも読者にコンテンツを読む機会を与えるよう

なリポジトリ(寄託機関、基金)のようなものがほしい

いずれにしろ、ガラパゴスでない共通IDが必要

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57 年内発刊を目指して鋭意企画中!

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THANKS A LOT.

GOOD BYE