JAZZ JAPAN AWARD 2019 ALBUM OF THE …JAZZ JAPAN AWARD 2019 アルバム・オブ・ザ・イヤー...
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JAZZ JAPAN AWARD 2019
アルバム・オブ・ザ・イヤー
ALBUM OF THE YEAR:NEW STAR
ニュー・スター部門
JAZZ JAPAN AWARD 2019
アルバム・オブ・ザ・イヤー
ALBUM OF THE YEAR:NEW STAR
ニュー・スター部門
キングメーカージョエル・ロス■①タッチド・バイ・アン・エンジェル ②プリンス・リンズ・ツイン ③ザ・グランド・ストラグル・アゲインスト・フィア ④イル・リレーションズ ⑤イス・イット・ラヴ・ザット・インスパイアズ・ユー ? ⑥インタールード(ベース・ソロ) ⑦キングメーカー ⑧フリーダズ・ディスポジション ⑨ウィズ・フーム・ドゥ・ユー・ラーン・トラスト? ⑩グレイ ⑪ヤナ ⑫イッツ・オールレディ・トゥー・レイト
【⑬タッチド・バイ・アン・エンジェル(ライヴ・アット・ニューポート・ジャズ・フェスティヴァル 2019)】 【】=日本盤ボーナス・トラック■ジョエル・ロス(vib) イマニュアル・ウィルキンス(as) ジェレミー・コーレン(p) ベンジャミン・ティベリオ(b) ジェレミー・ダットン(ds) グレッチェン・パーラト(⑧:vo) 2019年作品■ユニバーサル ジャズ Blue Note UCCQ-1108 2,600円(税別)
ヴィブラフォン,バリトン・サックス,チューバ。どれも大好きな楽器だが,それほど層が厚いというわけではない。自ら熱烈に希望してその楽器の奏者になる,という率もギターやピアノより低いのではないか。だがシーンはひとりのヒーローの登場によって俄然,活気づくことがある。チューバでいえばテオン・クロス,彼の高速シンコペーションを聴いて胸に熱いものがこみあげたブラス演奏家は直ちにチューバを買いに楽器屋に走るに違いない。そしてバリトンではレオPだ。踊り,走り回りながらのブロウは抜群にYouTubeやInstagramに映える。 そこでジョエル・ロスである。「こんな重く冷たい鉄板がたくさんある楽器をどうして選んでしまったんだろう」的なインタビューを読んだこともあるが,ヴィブラフォンを選んでくれて本当によかった。細かなペダル操作によって生まれるトーンは起伏に富みまくり,フレーズは鋭利と重厚の間を行き来する。トライアド(三和音)を軸とするハーモニーは限りない潤いを持ち,曲作りのセンスも卓抜で,どのナンバーも「で,次の展開はどうなる?」と,面白い本のページをめくる時のようなわくわくした気持ちにさせてくれる。この春に来日したブルーノート・レコード社長ドン・ウォズは同社の一押しアーティストのひとりにジョエルの名を挙げたという。2020年代の末ごろには,「ジョエル・ロスに触発されてヴィブラフォンを始めました」という次世代がどんどん現れているような予感すらある。 (原田和典)
2016年のアルバム・デビュー以来,3枚のオリジナル・アルバムとリメイク+新曲からなるベスト・アルバム1枚を発表し,ジャズ・フュージョン界に旋風を巻き起こした米澤美玖が5作目として発表したのがスタンダードジャズ・バラード集『Dawning Blue』。デクスター・ゴードンの音色に魅せられてテナーを始めたという彼女のジャズ・プレイヤーとしての素顔を見ることができた。そしてメジャー・デビューとなったのが通算6作目となる『Exotic Gravity』。こちらは超豪華メンバーとともに創り上げた独創的なエスニック・フュージョン。この2作が好調なセールスを記録する中で全国各地のライヴに明け暮れたこの1年は彼女にとって有意義だったに違いない。近年,頻繁にインタビューやライヴ・レポートの機会を得た僕は,幸運にもその特別な1年をじっくりと味わうことができた。彼女のプレイの特徴は,テナーであることを忘れさせるほどの高速フレージング,センスの良いスケールアウト加減,圧倒的な音量と音圧,強烈なブロウ…とにかく凄い。しかし,である。ステージ上で七変化する豊かな表情,華奢な身体全体でリズムをとる仕草,キュートなMC,このギャップにはどう対応すればいいのか? 硬派を自称するジャズ・ファンも,彼女の魅力にあえなく撃沈…。美しくうら若き彼女がこんなプレイを聴かせてくれるのだから,世の中捨てたものじゃない。今年の活躍にも大いに期待する。 (近藤正義)
2020年代末ごろにはジョエル・ロスに触発されてヴィブラフォンを始める次世代がどんどん現れているかもしれない
高速フレージング,センスの良いスケールアウト加減,圧倒的な音量と音圧,強烈なブロウ…とにかく凄い
Photo courtesy of Universal Jazz ©︎間仲 宇
ドーニング・ブルー米澤美玖
エキゾチック・グラヴィティ米澤美玖
■①マイ・フーリッシュ・ハート ②セイ・イット(オーヴァー・アンド・オーヴァー・アゲイン) ③ハッシャ・バイ ④ビウィッチト ⑤ホエン・アイ・フォール・イン・ラヴ ⑥マイ・ラヴ ⑦スモーク・ゲッツ・イン・ユア・アイズ ■米澤美玖(ts) 小川悦司(arr,②④⑥:g) ①②⑤:岡本洋(p) 佐藤慎一(ac-b) 川口千里(ds) ③④⑥:青柳誠(p) 納浩一(ac-b) 波多江健
(ds) ⑦:岡本洋(p) 2018年11月19,21日高崎で録音 ■トライロジック・プロジェクト Trilogic TL-190111 3,000円(税別)
■①テナー・ハンター ②マジック・スワール ③ワイバーン ④アンセスター ⑤ザ・フライト・オブ・ザ・バンブル・ビー(熊蜂の飛行) ⑥バイオスフェア ⑦リベルタンゴ ⑧エキゾチック・グラヴィティ ⑨フォーゲット・ザ・タイム ■米澤美玖(ts,ss) 小川悦司(g,syn,program,arr) 青柳誠,安部潤,松本圭司(key) 須藤満,岡田治郎(b) 則竹裕之,波多江健
(ds) 小川このん(per) 2019年1月〜 2月東京で録音 ■キングレコード King Records KICJ-824 3,000円(税別)
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