JASTRO NEWSLETTER 109JASTRO NEWSLETTER vol.109 21 特集 他科医師に聞く -泌尿器科編-...

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20 JASTRO NEWSLETTER vol.109 放射線治療医と泌尿器科医 公益財団法人がん研究会有明病院 泌尿器科  米瀬淳二 卒後進路決定にあたり、私は3つの選択肢を考えました。1)泌尿器科、2)神経内科、3)公衆衛生学 です。その中で学生実習の手洗いで手の皮膚がボロボロになったことから、1)の泌尿器科が最初に脱落 しました。熟考の末、結局大学院生として腫瘍内科の医局に入局することを決めました。そしてそれから 季節は巡り時間は流れ、何故か現在は放射線腫瘍医として生計を立てております。 外科ほどワイルドでなく、整形外科ほど大雑把でなく、産・婦人科ほどねちっこくなく、眼科や耳鼻科 ほど細かくもなく、皮膚科ほど判り易くもない、内科的要素も持ち合わせた守備範囲の広い泌尿器科はと ても魅力的に思えます。 20 世紀までは前立腺癌(+骨転移)、膀胱癌、腎癌(骨転移)、精巣腫瘍など放射線治療の適応となる 疾患はありましたが、泌尿器科と放射線科は近くて遠い診療科でした。 ところが2002年9月にI-125 の前立腺組織内照射が認可され、2003年7月から臨床応用が開始され るに当たり、両科は共同戦線を張り、一心同体・相思相愛の仲となりました。 今回JASTRO ニュースレター「他科医師に聞く」シリーズで泌尿器科編を担当させて頂けるのは大 きな喜びです。特に「放射線治療」に拘らず現在前立腺癌の各治療部門でトップランナーと称され、本邦 を代表する6施設の先生(手術一般の米瀬先生、I-125組織内照射の深貝先生、粒子線治療の赤倉先生、 オールラウンダーの荒井先生、ホルモン療法の並木先生そしてダ・ヴィンチの吉岡先生・橋本先生・橘先生) にご寄稿頂き光栄の至りです。ご多忙を極める中、締切りを守ってご寄稿頂いた諸先生に心から感謝申し 上げます。今回の特集が現在爆発的増加傾向にある前立腺癌患者の治療方針決定の一助となり、泌尿器 科医と放射線腫瘍医の今後の提携・棲み分けの指針となることを祈念しております。 国際医療福祉大学 放射線治療・核医学センター 北原 規 他科医師に聞く ―泌尿器科編― そもそも泌尿器科は、1950 年代以前は性行為によ る感染症治療の流れから?皮膚泌尿器科として皮膚 科の一部として存在しており、私の大学の医局では皮 膚科からの独立を記念して年に1回独立記念祭とい う行事がありました。一方癌研では、癌研究会100 年史によると1940 年から陰茎がんに対する放射線治 療が放射線治療科によって報告されており泌尿器科 は存在していなかったようです。癌研泌尿器科の始ま りは、1970年に放射線科の中の泌尿器科担当副部 長として河合恒雄先生が就任したことに始まります。 1977年に泌尿器科が独立しましたが、2005年有明 移転してがん研有明病院となるまでの長期間放射線 科病棟に泌尿器科病棟は間借りをしていました。現 在でも前立腺がんに関しては泌尿器科・前立腺セン ターとして同じ外来ブースでの放射線治療医の診察 を行ってもらっています。私は、1992 年に初めて癌 研泌尿器科にお世話になって以来、2 年弱のブランク はありますが、ずっと在職しているので新年会、歓送 迎会、暑気払い、忘年会とおよそ20年間放射線治 療医と宴会を行う機会がありました。おそらく日本で 一番放射線治療医と宴会を行った泌尿器科医である ことは間違いないと自負しています。当時の癌研北 3 階病棟の宴会部長であった北原規先生から放射線腫 瘍学会雑誌に原稿を書くようにと依頼をいただいたの も、こういうご縁があったためと思われます。 さて、放射線治療科と泌尿器科との本業でのかか

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20 JASTRO NEWSLETTER vol.109

放射線治療医と泌尿器科医

●公益財団法人がん研究会有明病院 泌尿器科 米瀬淳二

 卒後進路決定にあたり、私は3つの選択肢を考えました。1)泌尿器科、2)神経内科、3)公衆衛生学です。その中で学生実習の手洗いで手の皮膚がボロボロになったことから、1)の泌尿器科が最初に脱落しました。熟考の末、結局大学院生として腫瘍内科の医局に入局することを決めました。そしてそれから季節は巡り時間は流れ、何故か現在は放射線腫瘍医として生計を立てております。 外科ほどワイルドでなく、整形外科ほど大雑把でなく、産・婦人科ほどねちっこくなく、眼科や耳鼻科ほど細かくもなく、皮膚科ほど判り易くもない、内科的要素も持ち合わせた守備範囲の広い泌尿器科はとても魅力的に思えます。 20世紀までは前立腺癌(+骨転移)、膀胱癌、腎癌(骨転移)、精巣腫瘍など放射線治療の適応となる疾患はありましたが、泌尿器科と放射線科は近くて遠い診療科でした。ところが2002年9月にI-125 の前立腺組織内照射が認可され、2003年7月から臨床応用が開始されるに当たり、両科は共同戦線を張り、一心同体・相思相愛の仲となりました。 今回JASTRO ニュースレター「他科医師に聞く」シリーズで泌尿器科編を担当させて頂けるのは大きな喜びです。特に「放射線治療」に拘らず現在前立腺癌の各治療部門でトップランナーと称され、本邦を代表する6施設の先生(手術一般の米瀬先生、I-125組織内照射の深貝先生、粒子線治療の赤倉先生、オールラウンダーの荒井先生、ホルモン療法の並木先生そしてダ・ヴィンチの吉岡先生・橋本先生・橘先生)にご寄稿頂き光栄の至りです。ご多忙を極める中、締切りを守ってご寄稿頂いた諸先生に心から感謝申し上げます。今回の特集が現在爆発的増加傾向にある前立腺癌患者の治療方針決定の一助となり、泌尿器科医と放射線腫瘍医の今後の提携・棲み分けの指針となることを祈念しております。

国際医療福祉大学 放射線治療・核医学センター 北原 規

他科医師に聞く―泌尿器科編―

特 集

 そもそも泌尿器科は、1950年代以前は性行為による感染症治療の流れから?皮膚泌尿器科として皮膚科の一部として存在しており、私の大学の医局では皮膚科からの独立を記念して年に1回独立記念祭という行事がありました。一方癌研では、癌研究会100年史によると1940年から陰茎がんに対する放射線治療が放射線治療科によって報告されており泌尿器科は存在していなかったようです。癌研泌尿器科の始まりは、1970年に放射線科の中の泌尿器科担当副部長として河合恒雄先生が就任したことに始まります。1977年に泌尿器科が独立しましたが、2005年有明移転してがん研有明病院となるまでの長期間放射線科病棟に泌尿器科病棟は間借りをしていました。現

在でも前立腺がんに関しては泌尿器科・前立腺センターとして同じ外来ブースでの放射線治療医の診察を行ってもらっています。私は、1992年に初めて癌研泌尿器科にお世話になって以来、2年弱のブランクはありますが、ずっと在職しているので新年会、歓送迎会、暑気払い、忘年会とおよそ20年間放射線治療医と宴会を行う機会がありました。おそらく日本で一番放射線治療医と宴会を行った泌尿器科医であることは間違いないと自負しています。当時の癌研北3階病棟の宴会部長であった北原規先生から放射線腫瘍学会雑誌に原稿を書くようにと依頼をいただいたのも、こういうご縁があったためと思われます。 さて、放射線治療科と泌尿器科との本業でのかか

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特集   他科医師に聞く -泌尿器科編-

泌尿器科医と放射線治療医 -最適な前立腺癌治療は?-

●昭和大学医学部泌尿器科学講座 深貝隆志

わりですが、根治治療に絞らせていただくと、精巣腫瘍に対する後腹膜リンパ節への照射は化学療法±手術に置き換わってきていますので、前立腺がんに対する根治照射、浸潤性膀胱がんに対する膀胱温存目的の化学療法および可及的経尿道的切除併用の放射線治療があげられると思います。このなかで、現在泌尿器科領域で圧倒的な数を占めている前立腺がんについて少し意見を述べさせていただきたいと思います。近年欧米では、治療のメリットよりもデメリットが多い早期低悪性度の(具体的にはPSA10以下でグリソンスコア6の限局癌)前立腺がんに対しての過剰診断過剰治療が問題になっています。本邦においても前立腺検診に対して否定的な見解もありますが、日本泌尿器科学会では、いまだに進行がんの比率が多い本邦では検診により前立腺がん死を減らせる可能性があると表明しています。検診の過程である程度の比率で見つかってしまう低リスク癌に関しては、十分な精度の診断を行い無治療経過観察などの低侵襲治療を提供していくのが現状ではよいのではないかと考えられています。一方で、高悪性度や局所進行前立腺がん(ハイリスク前立腺がん)に対する治療成績はいまだ満足できるものではありません。個人的な経験で恐縮ですが、前立腺がんに対する放射線治療との最初の関わりは卒後2年目に研修に行った埼玉がんセンターでの前立腺がんに対する術中照射でした。その後癌研で、120度の振り子照射、その後7門照射があり現在の5門のIMRT+IGRTまたSEED+IMRTによる前 立 腺がん治療の患者さんを診せてもらっています。いかにター

ゲットの線量を上げ周囲の線量を減らすかという工夫はそれぞれの時代の技術に応じて追及されているのだと実感しています。ご存じのとおり前立腺がんの根治手術と放射線治療それぞれ長所短所があります。当院では1400例近いハイリスク前立腺がんの根治治療をしてきましたが、若年者にはどちらかというと手術を奨め、高齢者には放射線を奨めながら患者さんに嫌でない方を選んでいただくという基本方針で対応しているためか、疾患特異生存率に差がありません。大規模な前向き試験がありませんのでどちらが優れているかの結論はありません。しかし、後ろ向きの観察では、放射線治療医はハイリスク前立腺がんに対する根治照射は手術に比べてPSA非再発生存が高い(内分泌治療を併用しているから当然のことです。)と言いたくなるし。泌尿器科医は手術のほうが全生存率がよい(放射線治療の患者さんより若くて元気な人を手術しているから当然です。)と言いたくなります。前向き試験の生存率の比較は経過の長い疾患ですので大変困難と思います。IMRT導入後8年経過しましたのでそろそろ放射線治療科と協力して若年者に対する放射線治療の長期成績について検討が必要と考えています。 当院の泌尿器科の成り立ちから、放射線治療医とは密に連絡を取り合って治療計画が立てられること非常にありがたいことだと思っています。手術も放射線も当分なくなることの無い治療の柱であり、ある意味よきライバルであると思っております。今後とも尿路性器癌の治療と泌尿器科医へのご協力をよろしくお願い申し上げます。

 私は泌尿器科の臨床医として主に尿路悪性腫瘍の治療を中心に診療を行っております。前立腺癌、尿路上皮癌、腎癌、精巣腫瘍など何でもありですが、自分の専門でもある前立腺癌の治療が圧倒的に多いのが現状です。そういった中で近年、前立腺癌治療に関しては放射線治療医の先生には大変お世話になっております。今回は泌尿器科医から放射線治療医の先生へ意見や要望があれば書いて欲しいとのことですが、私自身は自施設(昭和大学病院)の放射線治療医の先生とはうまくやっていると自負しており、また私自身この10年間でヨウ素125密封小線源永久挿入治療(以後、小線源治療)の導入に関わるうち

にJASTROの会員にもなっているというあまり普通ではない泌尿器科医となっております。したがって今回はそのような自分の前立腺癌の放射線治療の経験や考え方を中心に簡単に書かせていただきたいと思います。 私が泌尿器科医になった25年以上前は、前立腺癌の放射線治療は骨転移の疼痛管理のための照射が主で緩和ケア的な治療のイメージしかありませんでした。そういった中でわたしが前立腺癌の根治治療として放射線治療を意識するようになったのは小線源治療との出会いからです。わたしは1997年から1999年ハワイ大学医学部に留学しホノルルにあるThe

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Queen’s Medical Centerの泌尿器科と病理部で前立腺癌のGleason scoreの勉強をしておりました。この施設で帰国間際の1999年の初めにRadiation OncologistのJohn Lederer先生が小線源治療を始め、見学に行きこの治療が日本でもできればと考えたのが最初です。ハワイではpreplanでpreloadedのseedを使っていたこともあり治療が30分かからず終わってしまい、あまりにも簡単で驚いた記憶があります。当時、前立腺全摘術は症例数が少なかったせいか出血も多く術後尿失禁なども回復が遅かったため小線源治療が取って代わるのではないかと期待したわけです。 その後、自分としてはかなり精力的に小線源治療の導入に取り組み、ハワイからJohn Lederer 先生や米国で泌尿器科医になられたUCSFの篠原克人教授を日本にお招きして小線源治療の講演をお願いし自施設の導入の準備を進めました。泌尿器科医である篠原先生も前立腺の治療は、もはや手術がベストの治療ではないといわれ放射線治療の優位性を話されていたのを聞き、ますます小線源治療に期待することとなりました。その後小線源治療は日本でも認可され、皆様もご存じのように2003年9月には国立病院機構東京医療センターで第一例目が開始となりました。昭和大学病院でも私の後輩の森田將が2001年からハワイへ留学しseed implantsの勉強をして帰国し小線源治療導入の準備を進めました。当時、放射線治療部のトップだった北原規先生(現国際医療福祉大学教授)も積極的に導入の準備に協力していただいたのですが、当時の放射線治療の認識は院内で低く、たいした予算でもないにもかかわらず、院長や事務の同意が容易に得られず結局、東京医療センターより1年以上遅れた2005年1月から開始することになりました。しかしその後は泌尿器科医と放射線治療医が協力し順調に治療は経過し、現在では700例以上の症例数を経験し、その治療成績の良さに安堵している現在です。現在は昭和大学病院で放射線治療部は独立し2011年には国立がんセンターから加賀美 芳和先生を教授としてお迎えし、小線源治療は東京医科歯科大学からきた吉村亮一先生に担当していただいていますが、いまでもチームワークを重視し定期的に泌尿器科、放射線科、他のスタッフ

でミーティングを開き問題点があれば話し合っています。このような経過で泌尿器科医ではありますが前立腺癌の小線源治療にはかなり肩入れしていることになっております。 このように放射線治療医との先生との交流は、以前は依頼状だけの付き合いでしたが小線源治療を始めることにより、線源の留置は泌尿器科医、Planningは放射線治療医と共同作業で治療を行うことにより治療方針などについて議論することも増え、小線源治療は泌尿器科医と放射線治療医の理解を深める上で大きな役割を果たしたのではないかと思います。他施設の状況は存じませんが東京医療センターの斉藤史郎先生と萬 篤憲先生、東京慈恵会医科大学の三木健太先生と青木学先生 北里大学の佐藤威史、石山 博條先生となどは私の頭の中ではワンペアと思えるほどいつも一緒に学会等におられるイメージがあるため、どの施設でも泌尿器科医と放射線治療医の距離を縮める役割を果たしたのではないかと思います。 現在前立腺癌の治療は日進月歩であり、手術と放射線治療のどちらがいいかは判断ができない状況にあります。近年侵襲が大きいと言われていた前立腺全摘術も腹腔鏡手術が出現し、さらにはダビンチによるロボット支援により勃起機能の温存や尿失禁の低下など再び手術が盛り返しつつあります。一方放射線治療は小線源治療、IMRTと進化し続けていますが、まだサイバーナイフ、粒子線治療などが続いていると聞きます。今後も、どれがいいかの判断には治療効果、有害事象、QOLの適切な評価を基にした患者さんへの説明が常に要求されます。ただ臨床の現場では患者さんへ治療方針の説明をするのは泌尿器科医が先で、そこではとかく手術に偏り気味になる傾向が見られるようです。泌尿器科と放射線科の交流が少ないところでは放射線治療医の先生が積極的に泌尿器科医へ情報を提供していただく必要があるかもしれません。私自身は引き続き放射線治療医の先生と情報交換をしながら、真に患者さんにとってより良い治療が提供きるように供に努力していきたいと考えております。放射線治療医の先生には引き続きご指導のほどよろしくお願い申し上げます。

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特集   他科医師に聞く -泌尿器科編-

泌尿器科医から放射線腫瘍医へのメッセージ

●東京厚生年金病院 泌尿器科 赤倉功一郎

私は、泌尿器科を専門とし、卒業以来、前立腺癌をメインテーマとして診療および研究に携わってまいりました。その過程で、同じ病院で働く放射線腫瘍医はもちろんのこと、重粒子線治療に関して放射線医学総合研究所の先生方、そして小線源治療に関わる他院の先生方に、さまざまな場面でご指導ご協力を仰ぎ、また共同研究者に加えていただきました。そして、前立腺癌放射線治療についての学会シンポジウムなどにおいて、ご一緒させていただいた放射線腫瘍医の先生方の講演を拝聴し、議論を交わす機会にも恵まれました。このような交流を通じて、感じたことや考えたことを記してみたいと思います。前立腺癌はかつては日本人には少ない疾患であり、我々泌尿器科医にとってもどちらかといえばマイナーな領域でした。また、血清PSA(prostate specifi c antigen)検査が普及するより以前は、発見される前立腺癌のほとんどは転移癌ないし進行癌であり、もっぱらホルモン療法で治療され、局所根治療法である放射線治療が適応となることは比較的稀でした。したがって、放射線腫瘍医の先生方においては、前立腺癌を治療する症例数は少なく、興味を持つ先生は限られていたと思います。その後、我が国においても、人口の高齢化、生活習慣の欧米化、PSA検査の普及などに起因して、爆発的に前立腺癌罹患数が増えてきたことはご存じの通りです。一方、強度変調放射線治療、粒子線治療、小線源治療などの新規放射線治療法がひろまり、泌尿器科医にとって、放射線腫瘍医と協働して治療にあたることが必須のこととなりました。このような時代の流れに応じて、我々泌尿器科医も放射線治療についての基礎知識や経験を学んでまいりました。そして、おそらく放射線腫瘍医の先生方も、前立腺癌について知識を増やしてこられたものと思います。前立腺癌診療においては、PSAとホルモン療法という二つの特徴的な診断・治療のツールがあります。率直に申し上げて、20年前には多くの放射線腫瘍医がこのような事象に関心を持っておられなかった

ものと推察します。そして、私を含め多くの泌尿器科医も放射線治療の線量分布や線量分割方法の違いを正しく認識しておらず、議論がかみあわないこともしばしばでした。しかし、今日においては、治療後のPSA値の評価やホルモン療法併用の適応などについて、また照射法・線量や分割方法と注意すべき有害事象に関して、日本全国で、泌尿器科医と放射線腫瘍医が活発に討論していることと思います。前立腺癌治療にあたる泌尿器科医にとって、もっとも頼りになる他科専門医は放射線治療医であるといって、過言ではないでしょう。私 事 で す が、1990-1992年 に カ ナ ダ のBritish Columbia Cancer Agencyに留学し、その時に初めて、放射線治療の専門医と直接話す機会がありました。カナダの臨時医師免許を取得し、前立腺癌患者の外来診療に携わるチャンスを得て、ある患者のことでカルテに署名があった放射線科医に会いに行きました。これが、とんでもない間違いで、彼女は放射線診断医であり、その患者を担当する放射線腫瘍医は別にいることを教わりました。さらに現在でいえばキャンサーボードのように、手術、放射線治療、薬物治療を担当する医師が議論し、患者の方針を決めていく様子を目の当たりにして、大きなショックを受けたことを憶えています。日本には日本独自の文化や価値観があり、欧米のように各専門医がすべて分業することを、私は必ずしも是とは思いません。しかし、ともすれば泌尿器科医が最初から最後まで前立腺癌患者を抱え込んでしまいがちな状況を鑑みると、放射線腫瘍医、腫瘍内科医、緩和ケア担当医などの先生方とひろく情報を共有し、患者にとって最適の治療を求めていくのが、進むべき道ではないでしょうか。そのために、泌尿器科医としての願いは、ぜひとも我が国の放射線腫瘍医の数を増やし、日本全国どこでも、放射線治療を依頼できる環境を構築していただくことです。この場をお借りしてこれまでお世話になった放射線腫瘍医の先生方に御礼申し上げると同時に、お願いいたす次第です。

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放射線治療医と泌尿器科医とのダイアローグ

●東北大学大学院医学系研究科・泌尿器科学分野 荒井陽一

 泌尿器科診療の特徴として、診断から治療まで一貫して診療する場合が多いことがあげられます。泌尿器腫瘍の化学療法や分子標的治療もほとんどが泌尿器科医の手で行われています。癌末期までお世話することもめずらしくありません。その分、泌尿器科医は初診時より一人の患者の主治医を続けながら、各領域の専門家とのコーデイネーター的役割も求められます。この点、腫瘍内科との棲み分けがはっきりしている米国とは事情がかなり異なります。放射線科医との関係はどうでしょうか。一昔前、泌尿器科医と放射線治療医の関係は、どちらかと言えばこちらから一方的にお願いをする事が多かったと記憶します。泌尿器癌の多くが根治療法として手術が第一選択となってきた時代背景があるでしょう。どちらかというと進行例や高齢者など手術適応とならない場合に放射線治療が選択されることが多かったようです。しかし放射線治療技術の進歩や限局性前立腺癌の急増などで状況は一変しました。初期治療の選択肢として放射線療法も手術療法も同じように議論される時代になりました。今や前立腺癌は、大学病院やがんセンターなど癌治療中核施設では男性癌のトップを占めています。その多くは限局癌です。東北大学病院も例外ではなく、男性癌初診者の約15%が前立腺癌です。ということは一人の患者を想定した場合、各専門家が同じテーブルで意見交換しながらの治療方針を決定する必要性があることを意味します。 限局性前立腺癌の治療オプションは実に多岐にわたり、無治療経過観察も重要な選択肢になりました。患者さんはどのようにして治療法を決定しているのでしょうか?これについては、泌尿器科医と放射線治療医との「力関係」で決まることがある、ということも耳にします。簡単に言えば患者の取り合いということになるでしょうか。これなどは当の患者さんにとって迷惑な話です。最初に入る診療科の窓口によって自分の運命が決まるようなものでしょう。前立腺癌の診断は前立腺生検で確定するので、泌尿器科医の仕事です。成り行き上、治療オプションの説明から最終決定まで泌尿器科医が関与することは避けられません。放射線治療医から、泌尿器科医が患者さんを手術療法に誘導しているのではないか、という心配が出るのも当然でしょう。自分も外科医の一人である限り、絶対にないとは言い切れません。排尿症状が強く前立腺も大きく腫大しているなど、手術療法が適している症例が存在するのも事実ですが。しかし、メスの限界を知っていることが本当の外科医だろうと思います。その意

味で外科医こそが放射線療法の最も良き理解者である必要があります。双方のいわゆる「顔の見える関係」の重要性を日々感じています。 東北大学病院では約10年前に限局性前立腺癌に対するIMRTが開始されました。導入に当たっては、当時の山田章吾教授のご指導の下、高井良尋先生

(現、弘前大教授)が中心になって準備がなされました。双方で適応症例の選択のみでなく、治療前MRI撮影やネオアジュバントホルモン療法などなどを含め、プロトコール全般にわたって詳細な協議が行われました。前立腺への金マーカー留置は泌尿器科医が担当します。遠方から紹介された患者さんの場合は、泌尿器科、放射線治療科双方で入院病床を融通し合う事でスムースな治療を行っています。 2006年から開始された前立腺癌小線源療法は文字通りの共同作業となりました。放射線治療医の線源配置計画に基づいて泌尿器科医が経直腸超音波ガイド下にシード埋め込みを実施していきます。術後は放射線科病棟で共同管理する体制をとっています。導入にあたっては神宮啓一先生(現、東北大教授)らが中心となり、泌尿器科スタッフと密な連携が構築されました。スムースな導入とその後の多数例の治療実績につながっていると思います。 泌尿器科では毎週火曜日の早朝に放射線科医との合同カンファレンスを行い、症例検討を行っています。主に画像診断を中心とした会議ですが、神宮教授はじめ放射線治療科の先生も参加していただいています。臨床所見と画像所見との突き合わせはもちろんのこと、CTガイド下生検、TAEなどの決定が迅速に行われます。さらに放射線治療の適応まで議論され、その場で治療方針が即決されることも珍しくありません。最近、化学療法後に難治化した精巣腫瘍の治療にあたり、放射線療法との絶妙な組み合わせで救われることも続けて経験しました。古い知識の泌尿器科医にとっては毎週目から鱗のような思いです。これも普段から相互のダイアローグがあればこそ出来るものと感謝しています。若い医局員には、重要な治療方針決定の際には、直接自分で出向いて話をするように指導しているところです。 数年前に新外来棟が完成したが、放射線治療科と泌尿器科は外来ブースが隣同士で、共通の受付窓口となりました。患者さんからは利便性がよいと好評をいただいています。これもこれまでの連携の賜物と思っています。これからもお互いに切磋琢磨できる関係を大切にしたいと考えています。

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特集   他科医師に聞く -泌尿器科編-

前立腺癌に対する放射線療法とホルモン療法の相性

●金沢大学大学院医学系研究科�集学的治療学(泌尿器科学) 並木幹夫

 泌尿器癌診療において、放射線療法は不可欠の治療で、放射線治療医には大変お世話になってきました。また、北陸がんプロの統括コーディネーターとして、放射線治療医の養成を支援してきました。例えば、学生教育の場で、いかに放射線治療医が将来有望であることを強調してきました(2番目に有望であるのは泌尿器科医であることを強調したことは当然ですが)。金沢大学附属病院に放射線治療科が無かったので、7年前のがんプロ申請時に新設してもらいました。また、2年前の第二次がんプロ申請時には、がん治療医養成講座を新設し、外科医(泌尿器科医)、腫瘍内科医、放射線治療医、緩和治療医を講師陣に据えて、集学的治療を修得した臨床腫瘍医の養成を目指しています。 泌尿器癌の中で患者数が最も多い前立腺癌は、全摘手術、放射線療法、ホルモン療法がそれぞれ有効で、早期癌であれば救命の可能性が高い癌で、QOLやコストなどが治療法の比較に用いられています。しかし、結局患者の人生観、好みなどで治療法が決定され、それぞれ満足度が高いので、どの治療を選択しても問題はないと思います。 また、遠隔転移を有する進行癌に対する治療も、新たなホルモン療法薬、抗癌化学療法薬、免疫療法等が開発され、その進歩は目覚ましものがあります。 一方、局所進行前立腺癌やHigh-risk 限局性前

立腺癌は全摘手術・放射線療法のみでは、再発することが少なくなく、これらの治療の組む合わせが試みられてきました。しかし、全摘に対するAdjuvant放射線療法やホルモン療法の有効性にはcontroversyがあります。残る組み合わせ放射線療法+補助ホルモン療法の相性はどうでしょうか?皆様ご存じの通り、多くのRCTで併用療法の有効性が証明されてきました。また、その相乗効果の機序として、①照射前のホルモン療法で腫瘍・前立腺体積が縮小し、照射野減少・治療効果増強・周辺臓器への影響軽減が期待できる。②照射中併用では、アポトーシス誘導増強など放射線との相乗効果が期待できる。③照射後では局所再発および全身微小転移の抑制効果が期待できる等が挙げられてきました。 但し、これらの報告はほとんど外照射単独と外照射+ホルモン療法を比較した試験で、小線源治療での補助ホルモン療法の有効性を明らかにした臨床試験は、ほとんどありません。さらに、欧米を中心に心血管系障害などのホルモン療法の有害事象が問題視されてきており、単に生存率のみならず、有害事象やQOLの観点からも補助ホルモン療法の有用性を論じる必要性が生じています。 その様な背景から、泌尿器科医と放射線科医が協力してスタートした臨床試験が「高リスク前立腺癌に対する小線源・外照射併用放射線療法における補助

高リスク前立腺癌に対するTri-modality(EBRT+Seed+Hormone)治療に関する臨床試験

臨床病期、PSA値、グリソンスコアから高リスク群に分類される前立腺癌症例

グリソンスコア中央病理評価

適格基準の確認CAB 3ヶ月

CAB 3ヶ月 小線源+外照射併用療法

症例数:340例(AHT群なし170例、AHT群 170例)登録期間:2010年 10月から2年間

割付因子:①年齢 ④施設②グリソンスコア(中央病理)③治療前PSA値

Short 群 Adjuvant なし

Long群 LH-RH(24ヶ月)

追跡期間:登録終了後7年間(PSA非再発率)一斉転帰調査:最終症例登録日から10年後(OS、 CS)

線量評価

ランダム化

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前立腺癌に対するロボット支援手術の現状

●東京医科大学 泌尿器科学教室 橋本 剛、吉岡邦彦、橘 政昭

ホルモン治療の有効性に関する臨床試験(通称TRIP study)」(シェーマ参照)です。この試験は全国48施設の泌尿器科医と放射線治療医が連携した大規模RCTで、2013年3月までに目標の340症例の組み入れを達成しました。丁度この試験が始まって間もない2011年のNCCNガイドラインに、High-risk 前立腺癌の治療選択肢として、外照射+小線源±短期ホルモン療法が突然挙がってきました。また、2013年NCCNガイドラインでは、また突如何の根拠もなく、ホルモン療法の期間が長期(2-3年)に変わっています。いずれにしても、このTri-modality治療が標準的治療になってきたことは喜ばしいことです。また、最善のホルモン療法の期間を明らかにするTRIP studyの結果は注目されており、既にプロトコールを示した論文が英文誌に掲載されました。今後、放射

線科医により、詳細な線量分布の検証も予定されており、今後の試験結果により、High-risk前立腺癌の治療に大きなエビデンスをもたらすことが期待され、この臨床試験は、まさに泌尿器科医と放射線治療医のコラボの傑作と言えます。 もちろん、外科医でもある泌尿器科医はRobot支援下前立腺全摘で、前立腺癌の治療成績向上も目指していますが、前述したように、患者は自分の人生観などで治療法を選択する場合が多く、日本人の特性として、ホルモン療法などの内科的治療を好む傾向が少なくありません。その意味において、今後も前立腺癌に限らず様々なケースで放射線療法と薬物療法の組み合わせは考慮されるべきで、放射線治療医との更なる情報交換、連携を期待し、またお願いいたします。

はじめに 前立腺癌の外科治療においては、根治性に加えて身体的負担が少ない治療が求められるようになり、臨床の現場では低侵襲手術が重要な位置を占めるようになってきた。ロボット支援根治的前立腺摘 除 術(Robot-assisted radical prostatectomy: RARP)は2001年に初報告がなされて以降、米国を中心に世界中で急速に普及した。すでに米国では前立腺全摘除術の90%以上がロボット支援下で施行されるに至り、ゴールドスタンダードな術式として完全に定着している。アジア、特に日本では導入が遅れていたが、RARPが2012年4月に保険収載され、新たな低侵襲手術として全国で導入が進められている。当院では2006年からこれまで約1000件のRARPを施行してきた。昨年は年間300例を超えるRARPを施行するに至り、従来施行していた開放手術による前立腺全摘除術と完全に立場が入れ替わった。本稿ではロボット手術の現状として東京医科大学泌尿器科におけるRARPの現状を報告するとともに将来展望についての考察を加えた。

RARPについて ロボット支援手術は2000年に米国FDAの認可を得て以来、世界中で積極的に導入されている。前立腺癌の手術で爆発的に普及した理由は、ロボット支援手術が前立腺癌に対する従来の開放手術(OPR)

と鏡視下手術(LRP)の欠点を補完する特徴を持っているからである(1)。複数のmodalityを比較する場合、患者選択や術者の技量手術経験などに関わるbiasが常に問題となるため、RARPと以前との治療を比較することは難しい。しかし、米国を中心にRARPは爆発的に増加し前立腺癌の手術症例の実に90%以上がRARPによって行われていることを考えるとその有用性は疑いようのないものとなっている。RARPに関するこれまでの報告ではORPやLRPと比較して術中出血量、合併症の低下(2)、及び術後尿禁制や勃起機能回復率(3,4)で良好な成績が報告されている。これに加え癌制御に関して観察期間が5年を超える比較的大規模な報告がある(5,6)。これらの2つの報告では5年PSA非再発率は86.6%、87.1%と比較的高い数値となっている。しかしPSA非再発率に関してRARPがORPやLRPと比べ有意に改善したわけではなく(7)、特に高リスク群に対しては依然として放射線治療等を含めた集約的治療が必要であるのが現状である。

東京医科大学におけるロボット手術の現状 当院では2006年8月から2012年12月までに764例のRARPを施行した。2012年は前立腺全摘除術症例中90%以上がRARPとなっており米国での歴史を踏襲しているといえる。表と図に患者背景と全体のPSA非再発生存率を示す(表1、図1)。764

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特集   他科医師に聞く -泌尿器科編-

例中92例にPSA再発がみられ、再発までの期間の中央 値は8か月であった。92例中61例(66.3%)が1年以内に再発していた。全体の5年PSA非再発生存率は79.3%であり諸家の報告と同等であった

(8)。周術期合併症、断端陽性率、尿禁制に関してはこれまで欧米で報告された成績とほぼ同等であった(9,10)。図2に術前因子で層別化した(D’Amico分類)PSA非再発生存率を示す。それぞれの5年PSA非再発生存率は低リスク群が95.4%、中リスク群が82.4%、高リスク群が61.8%であった。 764例のうち9例が術後補助放射線治療を行っていた。9例のうちpT3bが8例、 グリソンスコア 8以上が5例(2例は術前ホルモン治療を行っているため評価できず)、精嚢浸潤は8例、そして切除断端陽性は5例に認めた。観察期間は2か月から49か月と短いが術後補助放射線治療を受けた症例のうち1例にPSA再発を認めていた。PSA再発した92例のうち46例に対して救済放射線治療が行われていた。このうち12例ではPSAが再び上昇したためホルモン治療を導入していた。

今後の展望 泌尿器科領域において、ロボット支援手術は革新的な治療となった。ロボット手術の特徴である拡大立

体視野と自由度の高い鉗子操作により、従来の手術方法では手技的困難を伴う手術操作も正確かつ容易に施行できるようになった。結果として尿禁制や勃起機能温存に対する術式においても様々な手技の工夫を容易に試みることが可能となり、良好なアウトカムにつながっているものと思われる。泌尿器科領域では、現時点では前立腺癌にのみ保険診療が認められているが、将来的には小径腎細胞癌に対する腎部分切除術、浸潤性膀胱癌に対する膀胱全摘除術及び尿路再建術に対しても適応が拡大される可能性が高い。 Reference1. Coelho RF, Rocco B, Patel MB, Orvieto MA,

Chauhan S, Ficarra V, Melegari S, Palmer KJ, Patel VR. Retropubic, laparoscopic, and robot-assisted radical prostatectomy: a critical review of outcomes reported by h igh-vo lume centers . J Endouro l . 2010;24:2003-15.

2. Novara G, Ficarra V, Rosen RC, Artibani W, Costello A, Eastham JA, Graefen M, Guazzoni G, Shariat SF, Stolzenburg JU, Van Poppel H, Zattoni F, Montorsi F, Mottrie A,

表1 患者背景年齢(平均±SD) 64.4±6.5術前PSA値(平均±SD) 10.1±9.1観察期間(中央値、範囲) 19(1- -84)臨床病期 T1 565 T2 186 T3 13術前グリソンスコア <6 194 7 421 >8 149D'Amico分類 低リスク 152 中リスク 406 高リスク 206病理病期 <T2 569 T3a 137 T3b 54 T4 4病理グリソンスコア <6 61 7 467 >8 142 unknown(術前ホルモン治療のため) 94外科的切除断端 陰性 566 陽性 198精嚢浸潤 陰性 707 陽性 57リンパ節転移 陰性/郭清なし 756 陽性 8

図1:764例のPSA非再発生存率

図2:D'Amico分類によるPSA非再発生存率

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8. Novara G, Ficarra V, Mocellin S, Ahlering TE, Carroll PR, Graefen M, Guazzoni G, Menon M, Patel VR, Shariat SF, Tewari AK, Van Poppel H, Zattoni F, Montorsi F, Mottrie A, Rosen RC, Wilson TG. Systematic r ev i ew and meta -ana ly s i s o f s tud ie s reporting oncologic outcome after robot-assisted radical prostatectomy. Eur Urol. 2012;62:382-404.

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