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1 転がり軸受へのGPS (製品の幾何特性仕様) 適用について ISO/TC 4/SC 4/WG 4 の取組み~ (大阪科学技術センター700号室) 2013222(一社)日本ベアリング工業会 ※ 転がり軸受の公差(GPS含む)の分科委員会(SC 4)の中で, 転がり軸受へのGPS適用を検討する作業グループ(WG 4)2 目次 1.GPSとは? 2.転がり軸受へのGPS適用検討経緯 3.転がり軸受へのGPS適用検討の進め方 4.転がり軸受の図面指示の変革 5.GPS記号 6.GPS記号の説明 7.GPS適用の懸念点及び対応策 8.おわりに Copyright (C) 2013 The Japan Bearing Industry Association All Rights Reserved.

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転がり軸受へのGPS(製品の幾何特性仕様)

適用について

~ISO/TC 4/SC 4/WG 4※の取組み~

(大阪科学技術センター700号室)

2013年2月22日

(一社)日本ベアリング工業会

※ 転がり軸受の公差(GPS含む)の分科委員会(SC 4)の中で,   転がり軸受へのGPS適用を検討する作業グループ(WG 4)。

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目次

1.GPSとは?

2.転がり軸受へのGPS適用検討経緯

3.転がり軸受へのGPS適用検討の進め方

4.転がり軸受の図面指示の変革

5.GPS記号

6.GPS記号の説明

7.GPS適用の懸念点及び対応策

8.おわりに

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1.GPS とは?1) 製品の幾何特性仕様規格

GPS (Geometrical Product Specifications)規格

TC 213による説明資料要約

注: ISO/TC 213は, “製品の寸法・形状の仕様及び評価 (Dimensional and geometricalproduct specifications and verification )”について検討する専門委員会。

機械部品の“幾何学的な仕様(幾何特性仕様)”の定義と指示方法に関係する諸規格の総称。

・ 寸法 ・ 形状 ・ 姿勢 ・ 位置 ・ 表面粗さ

・ 公差の指示(図示)方法 ・ 評価方法

・ 測定機器の要求事項/校正方法 など

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1.GPS とは?2) あいまいさの排除

◇ あいまいさの排除・ 事象の数学的定義(最小二乗法など)・ 測定の不確かさを加味した標準化

事象を,① どのように定義し, (GPS用語)② どのように図面指示し, (GPS記号)③ どのような測定機器を使用し, (GPS測定機器※)

④ その測定機器をどう校正し,⑤ 測定の不確かさを算定し,⑥ 設計仕様と測定結果とを比較して,

部品の合否判定を行うことができるようにする。

具体的には

TC 213による説明資料要約※ノギス,ダイヤルゲージなども含む

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GPSは,設計者の意図を正確に伝えるための「言語」である。 GPS採用で,図面の曖昧さが無くなり,図面の誤解釈や内容

 確認のための相互連絡などの問題や無駄が排除される。

 グローバリゼーションに対応した部品での,日本産業の“もの づくり”の経済効果を上げるために,あいまい性のないGPSが

 役立つ。

 欧州では,ISO規格を中心に,GPS規格への対応が自動車業 界を中心に進み,将来的にGPS規格の認証制度を作ることも

 計画される。今後日本企業の貿易に大きな影響が出ることが 考えられる。

 米国ではASME規格を中心に,早くからGPSの考えが普及。

2012年度精密工学会春季大会シンポジウム資料集GPS規格の概要など,TC 213による説明資料要約

1.GPS とは?3) GPS を適用するメリット及び動向

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1.GPS とは?4) GPS 基本概念(1/4)

①. 曖昧な図面指示  円筒軸をΦ50.05の穴に通すための従来の図面指示。(図1)

曖昧な図面指示では,たとえ各位置での外径寸法は許容差を満足していても,形状に反りや真円度崩れがあれば通すことができない。

NG

図 1 曖昧な図面指示例

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②. 独立の原則*)  円筒軸をΦ50.05の穴に通すためのGPS適用図面指示。(図2)

*) JIS B 0024, 製図ー公差方式の基本原則

1.GPS とは?4) GPS 基本概念(2/4)

図 2 GPS適用の図面指示例1

図面上に個々に指定した寸法及び幾何特性に対する要求事項は,それらの間に特別の関係が指定されない限り,独立に適用する。

OK

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③. 包絡の条件*)  円筒軸をΦ50.05の穴に通すためのGPS適用図面指示。 (図3)

1.GPS とは?4) GPS 基本概念(3/4)

*) JIS B 0024, 製図ー公差方式の基本原則

図 3 GPS適用の図面指示例2

単独形体,つまり円筒面又は平行2平面によって決められる一つの

形体に対して適用する。この条件は,形体がその最大実体寸法における完全形状**)の包絡面を越えてはならないことを意味している。

OK**) 完全形状とは,円柱が曲がりやゆがみの

   ない形状。この完全形状の境界を包絡面   と呼ぶ。

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9JIS B 0672-2:2002 / ISO 14660-2:1999製品の幾何特性ー形体ー第2部:円筒及び円すいの測得中心線,測得中心面並びに測得形体の局部寸法

1.GPS とは?4) GPS 基本概念(4/4)

④. 形体測得形体を数学的定義で当てはめ形体に導く。(図4)

<測得形体>規定された方法に従って測定して得られた実形体を近似して表した形体

<当てはめ形体>規定された方法に従って測定して得られた測得形体から(規定された方法で)当てはめた完全形状形体

実形体 測得形体 当てはめ形体

測定点

図 4 形体の定義

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2.転がり軸受へのGPS適用検討経緯1) GPS導入決定までの背景

◇ 軸受業界は,独自の標準化を進めていた。 ・ 軸受の許容差及び許容値の用語及び定義並びに測定方    法はかなり古くから標準化されていた。 ・ 軸受の許容差及び許容値の用語及び定義は,製造現場の  経験などにより転がり軸受独自の定義付けをしていた。

◇ 海外において,1990年代後半以降,軸受業界以外(自動車, 機械,電機等)でGPSの採用が拡大。顧客は全産業界共通  のGPS表記を,軸受メーカに要求してきた。

◇ 日本においては,特定顧客より,一部の特殊軸受でGPSに基

 づいた図面の提出を要求され,個々の軸受製造業者で独自

 に対応していた。

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欧州の他の産業界の顧客から,欧州の転がり軸受メーカへGPS表記を使用するよう要求が強くなり,ISOの転がり軸受規格にもGPSを適用するようTC 4会議に提案があった。

2007年6月のパリ会議で,GPS適用の可能性の検討を開始。

2008年1月のストックホルム会議で,GPS導入の必要性を確認。

      (日本はTC 4規格にGPS適用が必要かどうか疑問があり反対した。)

2009年7月の沖縄会議で,3規格に対しGPSを適用する改正を行なうことを決定。

欧州の軸受メーカが経験した図面指示の問題例。

GPS適用社内図面を採用していたが,各社独自の解釈で 

  図面指示方法が統一していなかった。

グローバルアウトソーシングで他国のサプライヤーに図面 

  を提示する場合,言語が異なるため,図面に用語や注記な  どを記載しても理解できない。

2.転がり軸受へのGPS適用検討経緯2) GPSを導入することになった理由

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2.転がり軸受へのGPS適用検討経緯3) 転がり軸受へのGPS適用の必要性

 グローバルなISO規格改正により,GPS規格が全産業界

 で普及していく。 将来的に様々な産業界の顧客がGPS適用を転がり軸受

 業界にも要求することは必至。 よって,転がり軸受にとって,GPS適用はかなり大きな影

 響があるので,それらを踏まえて事前に準備する必要が ある。

 ただし,ISO規格及びJISは,任意規格であり,上記必要

 性有無の判断は,各企業の方針になります。

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3. 転がり軸受へのGPS適用検討の進め方1) 改正対象規格及び改正スケジュール

ISO 492:2002 (Rolling bearingsーRadial bearingsーTolerances)  ・JIS B 1514-1:2006 (軸受の公差-第1部:ラジアル軸受)

ISO 199:1997 (Rolling bearingsーThrust bearingsーTolerances) ・JIS B 1514-2:2006 (軸受の公差-第2部:スラスト軸受)

ISO 582:1995 (Rolling bearingsーChamfer dimensionsーMaximum values)

  ・JIS B 1514-3:2006 (軸受の公差-第3部:面取寸法の最大値)

※ 規格プロジェクト進捗段階

WD :作成段階 ⇒ CD :委員会段階 ⇒ DIS:照会段階 ⇒ FDIS:承認段階 ⇒ IS:発行段階

★    ★    ★    ★ ★ ★ ☆ ☆ ☆3月 11月 6月 11月 4月 10月 5月 10月

ISO 492 WD CD DIS FDIS

ISO 199 WD CD DIS FDIS

ISO 582

2014年スケジュール(進捗及び予定)

改正案審議

2010年 2011年 2012年 2013年

IS発行

IS発行

TC 213に進め方確認中

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3. 転がり軸受へのGPS適用検討の進め方2) 転がり軸受規格へのGPS適用の進め方

現状の定義及び測定方法を逸脱しないで,GPS適用を進める。

◆ 現状の定義ISO1132-1:2000 JIS B 1515-1:2006   (転がり軸受-公差-第1部:用語及び定義)

◆ 現状の測定方法ISO1132-2:2001 JIS B 1515-2:2006    (転がり軸受-公差-第2部:検証の原則及び方法)

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4. 転がり軸受の図面指示の変革1) 現状の図面指示例 ◇ 主要寸法と許容値のみのシンプル

  な図面指示。◇ 他の主要寸法,幾何特性,振れ  

  特性は別表に許容値を記載。

図 5 現状図面指示例    呼び番号 6012 P5級      (JIS B 1514-1)

<問題点>機能必要条件の図面指示がないので,図面だけでは機能を読み取れない。

別表 幾何特性・振れ特性

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4. 転がり軸受の図面指示の変革2) GPS適用図面の特徴

別表項目の機能必要条件を全て図面の中に指示するため,GPS記号を多用した図面。

【GPS記号】

・仕様モディファイア記号 (ISO 14405-1)

・幾何特性記号 (ISO 1101/JIS B 0021)

・データム記号 (ISO 5459/JIS B 0022)

・可動組立品記号 (ISO/TS 17863*) )

・ISO 14405-1:2010,Geometrical product specification (GPS)–Dimensional tolerancing–Part 1: Linear size

・(参考)JIS B 0021:1998,製品の幾何特性仕様 (GPS)–幾何公差表示方式–形状,姿勢,位置及び振れの公差表示方式

・(参考) JIS B 0022:1984,幾何公差のためのデータム

・ISO/TS 17863, *)現時点で未発行,2013年9月ころ発行予定Geometrical product specification (GPS)–Tolerancing under movable assembly conditions

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4. 転がり軸受の図面指示の変革3) GPS適用の深溝玉軸受図面指示案

仕様モディファイア記号

図 6 GPS適用図面指示例   (深溝玉軸受6012 P5級)

データム記号

幾何特性記号

可動組立品記号

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4. 転がり軸受の図面指示の変革4) GPS適用のアンギュラ玉軸受図面指示案

図 7 GPS適用図面指示例   (アンギュラ玉軸受7012 P5級)

幾何特性記号

データム記号

仕様モディファイア記号

可動組立品記号

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4. 転がり軸受の図面指示の変革5) GPS適用の円すいころ軸受図面指示案

図 8 GPS適用図面指示例(円すいころ軸受32012 P4級)

データム記号

幾何特性記号

仕様モディファイア記号

可動組立品記号

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5. GPS記号 1) GPS記号と現状用語の比較

図 9 寸法形状公差図面指示例と対応する現状用語(アンギュラ玉軸受抜粋)

内径の軸線Kに対する内輪側面の直角度(Sd):両面

側面Dに対する外輪外径面の直角度(SD)

内径の軸線Kに対する内輪側面の直角度(Sd):両面

外輪のラジアル振れ(Kea)

内輪のアキシアル振れ(Sia)

外輪のアキシアル振れ(Sea)

内輪のラジアル振れ(Kia)

平面内外径不同(VDsp)

平面内平均外径の不同(VDmp)

外輪幅不同(VCs)

平面内平均外径の許容差(⊿Dmp)

外輪幅の許容差(⊿Cs)

平面内内径不同(Vdsp)

平面内平均内径の不同(Vdmp)

内輪幅不同(VBs)

平面内平均内径の許容差(⊿dmp)

内輪幅の許容差(⊿Bs)

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5. GPS記号 2) 仕様モディファイア記号

図 14データムMに対称となる任意の縦断面。 [ 軸受については,データムM(外径又   は内径中心軸)を含む任意の縦断面 ]

Any Longitudinal Section

図 13最小外接当てはめ基準。Minimum

circumscribed association criterion

図 10

図 11

図 11

図 10

説明図

中心軸に垂直な任意の横断面。Any Cross Section

局部サイズの中の,最大値と最小値との差。range of sizes

局部サイズの中の,最大値と最小値との平均。mid-range size

サイズ形体の局部サイズで,対向する2点間の距離。なお,転がり軸受の場合,全てtwo-point sizeなので,図面上の指示には     は省略できる。

two-point size

説明用語仕様モディファイア

記号

仕様モディファイア記号は,下表に示され,記号を組合せて指示ができる。

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5. GPS記号 3) 仕様モディファイア記号の組合せ例

図14データムM(外径又は内径中心軸)を含む任意の平面での断面を,平行2直線で挟み込んだ各々の最小2直線間の距離の最大値と最小値の差。

アンギュラ玉軸受外輪などの非対称軌道輪の幅不同

図 12

説明図

2点サイズで任意の横断面の局部サイズの中の,

最大値と最小値との平均値[平面内平均内径(外径)]の最大値と最小値との差。

平面内平均内径(外径)の不同

説明軸受特性仕様モディファイア記号の

組合せ

組立品において,機能必要条件(具体的には,ラジアル振れ及びアキシアル振れ)の測定時に可動する部品

Movable PartsMP

組立品において,機能必要条件(具体的には,ラジアル振れ及びアキシアル振れ)の測定時に固定する部品。

Fixed PartsFP

説明用語可動組合品

記号

4) 可動組立品記号

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6. GPS記号の説明

キーa 測得円筒b 当てはめ円筒c 当てはめ円筒中心軸d 当てはめ円筒中心軸に直角な平面

ACS (Any Cross Section) :中心軸に垂直な断面

e 測得円(サイズ形体)f 2点サイズ (2点直径)

1) two-point size(2点サイズ)   サイズ形体の局部サイズで,対向する2点間の距離。   測得円筒の局部直径で得られた2点サイズは2点直径と呼ばれる。

図 10  two-point size  [円筒形体の2点サイズ(2点直径)]

(ACS)

(ACS)

(ACS)

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6. GPS記号の説明

キーa ACS (Any Cross Section)b 1つの ACSの中の局部サイズの中の最大値c 1つの ACSの中の局部サイズの中の最小値

2) mid-range size  局部サイズの中の,最大値と最小値との平均。

図 11 mid-range size及びrange of sizes

3) range of sizes   局部サイズの中の,最大値と最小値との差。

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キーa 1つのACSの中のФD 値の中の最大値と最小値の平均b ACS ,本図では3つのcross sectionを示している。c 各ACSのФD値の最大/最小の平均値の中の最大値と最小値の差

6. GPS記号の説明

4) 仕様モディファイアの組合せ例[          ]

図 12 平面内平均外径の不同

ACS

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6. GPS記号の説明

測得形体から最小外接基準を定めた当てはめ形体(平行2平面で外側から挟み込んで,最小になる2平面間の距離)

平行2平面

5)  Minimum circumscribed association criterion  

最小外接当てはめ基準

図 13  Minimum circumscribed association criterion            最小外接当てはめ基準

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6. GPS記号の説明

さらに   が加わると複数の任意の断面での各々の最小2直線間

の距離の最大値と最小値の差となる。

 ・・・(外輪幅不同など)

6)           データムM(外径中心軸)を含む任意の平面での断面。

   さらに    が付くと断面を平行2直線で挟み込んだ最小2直線間の距離。(図14)

データムM(外径中心軸)

断面

図 14       について

平行2直線最小距離

ALS:Any Longitudinal section  1部品の中心軸に平行な平面で できる任意の断面

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◇ 難解な図面指示   図面指示に記号が多用され,複雑になる。   仕様モディファイア記号は,記号の意味がつかみにくく理解しにくい。

(記号の組合せで定義が変わる。軌道輪の形状で指示記号が変わる。など) そのため,従来の図面指示に慣れている関係業界において,混乱が生じる可能性がある。

<対応策>   ・軸受製造業者並びに関係業界へのGPS教育を徹底。

   ・事前に転がり軸受使用者側への内容説明を実施。   ・規格審議時,図面指示の簡略化案の記載可否検討。

◇ 作図コストの増加   図面に多くの記号が記載され,作図に手間取るため,図面作図工数

が増加。<対応策>   ・設計者(作図者)への訓練の徹底。   ・作図支援ツールの開発が必要。

7. GPS適用の懸念点及び対応策

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◇ 測定・検査への影響  GPS適用の図面指示により,厳密に定義通りに測定しようとすると,測   定・検査仕様が従来の測定方法では測ることができない可能性がある。  しかし,GPS原理には,測定方法まで,明確に指示していない。  これは 『図面指示はGPS原理で製品の機能必要条件を表すが,検査 

  方法は幾通りもあるので,軸受製造業者と顧客の間でコストや実情を考  え自由に選べばよい。』という考え方による。<対応策>  図面や仕様書へ,従来の測定方法の規格番号を明記。

◇ ISO改正・JIS改正  ISO規格は,2014年から改正されるため,国内より先に,海外顧客向 

  け図面から変更する必要あり。  JIS改正は,通常,ISO規格発行後,最低3年程度の開発期間が必要。

<対応策>    軸受製造業者のカタログの見直しなど,事前検討や準備が必要。

7. GPS適用の懸念点及び対応策

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8. おわりに

国内の転がり軸受関係業界において変化に対する混乱が起きず,スムーズに移行できるよう,

今後も,説明会を通じて関連規格審議に関する適切な情報の公開を日本ベアリング工業会で行っていきます。 (ただし,個別対応はいたしません。)

なお,日本ベアリング工業会では,GPS導入について

のガイドラインは示しませんので,各企業内での活動におけるGPSへの対応は,個々の企業の判断におい

て進めてください。

よろしくお願い申し上げます。

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ご清聴ありがとうございました

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