IR担当者の仕事:実践事例から -...

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1 IR担当者の仕事:実践事例から 〜 明治⼤学におけるIRオフィスの⽴ち上げと活動 〜 IRをスタートしよう︕ IRで何を実現しますか︖ 明治⼤学におけるIRのスタート IRの業務プロセスと実践 IRオフィスの日常 © 2016 Koichi YAMAMOTO ,MEIJI University All Rights Reserved 平成28年度 第1回IR初級人材研究会(パイロット事業) 入門コース 2016年11⽉29⽇(⽕) キャンパス・イノベーションセンター東京 明治大学 評価情報事務室 山本 幸一

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IR担当者の仕事:実践事例から

〜 明治⼤学におけるIRオフィスの⽴ち上げと活動 〜1 IRをスタートしよう︕2 IRで何を実現しますか︖ - 明治⼤学におけるIRのスタート3 IRの業務プロセスと実践 - IRオフィスの日常

© 2016 Koichi YAMAMOTO ,MEIJI University All Rights Reserved

平成28年度 第1回IR初級人材研究会(パイロット事業)入門コース

2016年11⽉29⽇(⽕) キャンパス・イノベーションセンター東京

明治大学 評価情報事務室 山本 幸一

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報告の目的 ~ IRをスタートしよう!!

IRは,問い(リサーチ・クエスチョン)あってこそ必要と言われますが,実際には「上位者から調査依頼がない」,「IR室の活動が定まらない」などの声も多くあります。

IRは,何をしたらよいのでしょうか。多くの⼤学を開始していますので,「IRの必要性」を帰納的に学び合うことも有意義ではないでしょうか。

この報告では,①必ずしも上位者から明確な指示(問い)があるわけではない,②必ずしもIRの理解が全学的に浸透していない⼤学が,IRをスタートした理由と実践を報告します。

問い(問題ありき)から始まる正当なIRとは異なりますが,さまざまなケースの一つとして参考にしてください。

今日の目標は,“明日からIRをスタートすること”です︕© 2016 Koichi YAMAMOTO ,MEIJI University All Rights Reserved

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コンテンツと進行

【事例紹介︓25分】1 IRをスタートしよう︕2 IRで何を実現するのか︓明治⼤学におけるIRのスタート

(1)目的︓きっかけとゴールイメージ(2)定義(3)データベース(4)ファクトブック(5)〝IRへのニーズ“を聞く!!

3 今,何をしているのか〜IR業務プロセス(1)調査依頼,調査設計,データ収集,分析,報告

【質問票記載・回収︓5分】【質問への回答︓20分】

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1 IRをスタートしよう !!〜 悩む前に,グラフをつくって,仲間に⾒てもらおう︕

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1-1 IRが始まらない?

まず,今,⼿元のデータ(利⽤できるデータ)からでも,議論する“きっかけ”を,提供できないでしょうか︖

データに触れ,データを知ることで,学内で頼られるIRになります。 データがなくても,こんなことからでも始められたりしませんか。

データは,どの程度まで集めればいいの︖

データで何を改善できるの︖

規程や組織は必要なの︖

何から始めたらいい︖

IRを学内で理解するには︖

BIツールやシステムって使った方がいいの︖

IRにどんなスキルが必要︖

学生アンケートを⾏ったけれど…

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1-2 試みる:データをグラフ化して意味を考える

100項目近い中期目標を,7つの項目別に達成率をまとめたら… IR担当として,どのような事実と仮説(議論のタネ)を⾒出せる

か︖ 学内の関係者に意⾒をもらってみたら…。

分野 目標 達成率教育 A 50教育 B 33教育 C 60教育 D 50教育 E 90教育 F 52教育 G 73教育 H 58研究 A 58研究 B 48研究 C 55研究 D 42研究 E 45研究 F 50研究 G 30

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2 IRで何を実現するのか~ 明治⼤学におけるIRのスタート︓目的と構築プロセス

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A. 定型資料・⼤学基礎データ・学校基本調査・事業報告書 等

B.非定型の利⽤・年度計画⽴案・カリキュラム検討・入試制度検討・学修成果の把握・点検・評価・各種調査,申請等

①基幹データベース

②Excelデータ

○各種データベース○各種マスタ(例)・教務システム・人事システム

C. 学内業務利用

①生成・記録 ②蓄積・共有 ③利活⽤

③ 文字データ

各部署が業務利⽤するExcel等

・各種ガイド(データ)・会議資料 等

ガイド・HPで数値が異なる。依頼に応じて類似したデータが作成され,公式の統計資料が不明。情報公開上,課題

学部の数字が全学で分からない・・紙やOffice等の独⾃管理でデータの属人化が進み,全学の集計しにくい。

留学⽣数もいろいろ・・必要時にデータ提供(集計)を各部門に依頼するため,その時によって定義が異なり,不揃いになる。

教員数=助手が含まれたり,特任教員が抜かれたり・・⼿作業で作成し,集計部署も⼿作業のため,集計基準が属人的で不正確になりがち。

データが遺失しても分らない︖個人管理が多く,データリストもない。全学的データの責任者が不明瞭で,運⽤ルールも不明瞭。

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2-1 きっかけ:教育情報の公表と大学評価

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2-2 IRのスタート

①固有の文脈

②問題は何か

③解決の方法

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⼤規模(10学部,16研究科)複数キャンパス(4カ所)2⻑制度(法人と教学の運営は別)部門管理を原則とする情報システム部署の解釈で異なったデータが提出される。(部署では全学課題を認識することが難しい)データを蓄積・共有する仕組みがない。現状に不満なく,データの使い方に慣れていない

(IRの理解不⾜)。① 議論を重ね,データの定義を揃える。② データベース(蓄積・共有の仕組み)を作る。③ 改善後の姿(多次元分析レポート「IRデータ

カタログ」)を示す。

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2-3 ①目的:学長室でのIR段階的整備構想

部署データを集めて回るから脱却。⇒ 公式な⼤学データを持つ部署

データ定義(ローカルルールを少なく)⇒ 全学統合型データベースを持つ

収集から提供へ段階的に整備⇒ まず散在するデータを定義

2012年7月学⻑室IRプロジェクトの設置

2015年12月IR運営委員会の設置

統合型データベース(蓄積・共有)

データカタログ(IRは何ができるのか)

IR開始(定型・非定型レポート)

IR運⽤(データ案内所)

学部⻑レベル,現場職員レベルとのグラフを基にした徹底的な対話に出掛ける。

データ・リクエストしやすい材料(サンプル,⾒本)を提供する。

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2-4 ②データを定義する~対話と合意の蓄積

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2-5 ②定義を整理する~対話と合意の蓄積

データ定義表項目・分析レポート名称・データ取得元・取得データの詳細・データ基準日・データ取得日・分析軸・分析軸定義・分析軸詳細・備考(定義の具体例など)

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※ データを抽出(extract)し、利⽤しやすく変換・加⼯(transform)し、対象となるデータベースに出⼒する(load)作業のこと

教学システム

基幹システム

各種ローカルファイル

DSA(データ整理)

DWH(データ・ウェアハウス)

データマート アウトプット

基幹DBに蓄積

ETL処理1(※)

ETL処理2

SQL Server(SSAS)

SQL ServerShare Point ServerSQL Server(SSRS)

File Server

ETL処理1(※)

IR部門 ⇒ 各部門IRサーバーでのデータ変換

各部門の業務

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2-6 ③データベース~部署の解釈を不要に!

入試統計教室割参加者数・・・

学籍処理履修成績処理教員人事・・・

各部門の業務

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前処理基幹データベース→(SQL)→(ETL)→DSA→DWH

データ分析(分析軸の設定)→データマート(キューブ)→Power Pivot (Excel)

報告 [動的レポーティング](グラフィカルに課題提示)

→Power View(Excel)

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2-7 ③データベース~定義の揃ったレポート出力

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2-8 ④ 「IRデータカタログ※」 :議論のきっかけに

※ Fact Book(網羅的なデータ集)ではなく,選択された内容を掲載したもの。明治⼤学固有の呼称として利⽤しています。

▼ 構成・ IRの使い方 ・ 統計レポート・ Q&A ・ データ定義集

▼ 統計レポート1)紙面

① グラフ(出典,データ定義)② 簡単な説明③ コラム(分析法,グラフ種類)

2)内容入学/科目・学習状況/進路/教員

3)点数 約40点(約40頁)データをもとに,大学の今と教育を語り合うきっかけに [画像は,イメージです]

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入試形態別GPAと年間修得単位数1年GPA平均 相関係数 r

2.17 一般 0.806修得単位数平均 特別 0.824

35.35 推薦 0.825

2年GPA平均 相関係数 r

2.15 一般 0.650修得単位数平均 特別 0.627

37.25 推薦 0.825

3年GPA平均 相関係数 r

2.22 一般 0.260修得単位数平均 特別 0.396

36.51 推薦 0.510

4年(卒業)GPA平均 相関係数 r

2.23 一般 -0.627修得単位数平均 特別 -0.645

18.83 推薦 -0.645

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2-9 ④ 統計レポートの例:散布図 (サンプルデータ)

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学習意欲の低い層もある修得単位が少なくGPAも低い層

学習意欲の高い層がある修得単位も多くGPAも高い層

学年進⾏によっての変化は・・・

学習を絞り込む層が増加修得単位が少ないがGPAは高い層

沢山履修しGPA低い層が増加する

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2-10 ④ 統計レポートの例:特徴を説明 (サンプル)

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4年(卒業)GPA平均 相関係数 r

2.23 一般 -0.627修得単位数平均 特別 -0.645

18.83 推薦 -0.645

4年(原級)GPA平均 相関係数 r

1.50 一般 -0.627修得単位数平均 特別 -0.126

21.91 推薦 -0.611

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2-11 ④ 統計レポートの例:層別分析 (サンプル)

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入試形態 4年終了時GPA一般入試 2.25特別入試 2.23推薦入試 2.30

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2-12 ④ 統計レポートの例:ヒストグラム (サンプル)

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2-13 ④ 統計レポートの例:バブルチャート (サンプル)

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2-14 ⑤IRに対する学内ニーズを聞く !!

毎年,各学部執⾏部等との意⾒交換を実施 常に「人と関わり,人に評価されて」 仕事を進めることが重要︕ たくさんの試作品グラフから,評価に耐え抜いたものが,「ファク

トブック」に残り,あるいは理事会,学部執⾏部資料となる。

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<目的・理由>• 成績評価を平準化するため(GPAの甘辛の平準化)。• 最適な履修規模で科目を実施するため(教育資源と学習効果の最⼤化)。• 学科の定めた教育目標を達成する学習をしていることを確認するため。• 留学やインターンシップなどの効果を測定し改善するため。• 難関科目を改善するため etc.

<データ・分析内容>• GPA階級別度数分布×学年×入試形態×属性• 授業改善アンケート(⾃己評価)×GPA• 教育内容区分×授業形態区分×履修人員×単位修得率×成績分布×進路• 学生一人当たりの教育内容区分別⽐率• 特定の教育プログラムの参加者・未参加の⽐較データ(GPA,進路等)• 成績評価F・Tが一定割合以上となる科目×履修者GPA etc.

<探索的なRQ,仮説検証的なRQ>• 外部英語テストの向上を図る語学授業のクラス規模,成績基準の適切性• 学習特性(専門)別の進路に対する影響要因• カリキュラムポリシーに沿った履修をした学生と進路の満⾜度• 教室定員充⾜率と教育効果の相関

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2-15 ⑤IRに対する学内ニーズを聞く !! (事例)

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3 IR業務プロセスと実践〜 「IR室」の日常とは︖

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3-1 IRの役割~リクエストありき,改善は「あなた」

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・・・とは言えども,まず「サンプルデータ(試作品)」を持参したり,⽴ち話的なところからヒントをもらったりしながら・・・

常に 「人と関わりながら,進めること」 が重要︕

出典)藤原宏司(2015)「継続的改善活動におけるIRの役割」第7回EMIR勉強会資料から作成

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3-2 IRの日常業務~サンプルデータで紹介~

出典)嶌⽥敏⾏,小湊卓夫他(2015)「評価・IR担当者に必要な知識・スキルに関する考察」日本⾼等教育学会第18回⼤会報告資料から作成

2 調査分析の設計

3 データ収集

4 データ分析(データから情報へ)

5 提供・報告(意思決定支援)

1 リクエスト (依頼)

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3-3 リクエストと調査設計(1)

入試の現状は大丈夫なのだろうか︖↓

• 地方出身の学生が減ってきているのは,問題なのだろうか。• 学科別に志願倍率が異なるのはどうしたらよいのか。• 志願倍率は⾼いのに,入学率が低い学科は,何が問題なのだろうか。???

リクエスト 凡そ,明確なリクエスト(=●●のデータが欲しい)はない。 困っていることや愚痴が多く,問題点の明確化もできていない。

調査設計 問題点を解きほぐして,明らかにすることを明確にする。 「何を」「どんなDATAで」「どの分析で」「どう表現するか」を考える。 最初は,シンプル(数値の数,分析軸の数)に︕

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3-4 リクエストと調査設計(2)

何をデータ

分析表現

出身⾼校地域別 初年次GPA

出身地域別GPAの平均,散らばり

報告

値メジャー

2015年度入学の1年生について①出身⾼校コード,②GPAデータ

分析軸ディメンション

①出身⾼校住所,②都道府県コード,③地域コード,④地方/関東コード,⑤GPA区切りコード,⑥性別

統計表,BoxProt(ヒストグラム)①事実,②未知の変数(統制変数・・)の可能性

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3-5 データ収集とデータ分析(1) (サンプルデータ)

データ

統計表

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3-6 データ収集とデータ分析(2) (サンプルデータ)

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3-7 提供・報告(レポーティング) (1)

出身地域別にGPAの差はある。 関東と地方で差がある → 関東は「一般入試」,「⼥⼦」が多いはず。 近畿が低い → 入試形態の割合に特⻑があるかも。 中国が⾼い → 中国で特徴的なことは,入学率が⾼いこと。関係があ

るか。 地方はバラツキが⼤きい → どのような学生生活を送っているのか探る。

3 次の軸を示す︓入試形態,性別,第一希望・併願

例)地域の多様性は,アドミション・ポリシーに照らしてどうか。

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1 事実を客観的に意味付けせずに述べる。2 仮説検証の場合には,結果を述べる

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• 何を 値(メジャー)*学生数,GPA

• どのように 分析軸(ディメンション)*出身地,性別

• ⾒せて レポート(グラフ)*円グラフ,散布図…

• 事実と仮説を説明するか

説明(文章・口頭)*事実を述べ(増減…),要因に仮説があれば述べる(入試形態も調べた方がいいかも)。

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3-8 提供・報告(レポーティング) (2)

分析とレポートは難しいことか︖

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3-9 提供・報告(レポーティング) (3)

《IR分析→改善に向けた小道具》(1)平均値は私ではない,危険な平均値

層別化・⽐較・ヒストグラム ▼1つのデータを掘り下げる(2)どこか偏っていないか︖ 現在地と目標の確認

散布図 ▼2つのデータの距離感を図る(3)量的な⽐較もしたい

バブルチャート ▼3つのデータの組み合わせ

《IRレポートの目的》1 「問い,ありき」 課題の背景を探る2 「現状把握」 定型的,異常がないかのパトロール

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参考文献・参考資料• 嶌⽥敏⾏・⼤野賢一・末次剛健志・藤原宏司(2015)「IR オフィスを運⽤する際の留意点に関する考察」『⼤学

評価とIR』(第2号)⼤学評価コンソーシアム• 藤原宏司,⼤野賢一(2015)「全学統合型データベースの必要性を考える」『⼤学評価とIR』(第1号)⼤学

評価コンソーシアム• 嶌⽥敏⾏(2015)「ファクトブック作成に向けた⼤学概要の活⽤について」, 『⼤学評価とIR』(第1号)⼤学評価

コンソーシアム• 嶌⽥敏⾏,小湊卓夫他(2015)「評価・IR担当者に必要な知識・スキルに関する考察」 日本⾼等教育学会第

18回⼤会 報告資料• ⼤野賢一(2015)「データカタログ(試⾏版)の作成について」 平成27年度第2回IR実務担当者連絡会(平成

27年10月16日実施)報告資料• 藤原宏司(2015)「継続的改善活動におけるIRの役割」 第7回EMIR勉強会報告資料• 山本幸一(2013) 「PDCA サイクルの基盤となるマネジメント志向IRの開発と定着」『⼤学マネジメント』

(Vol.9,No.3)⼤学マネジメント研究会• 藤原宏司(2013)「IRって何︖」 ⼤学評価コンソーシアム勉強会「米国におけるIR実践を通して考える日本型IR」

報告資料• ⼤学評価・学位授与機構IR研究会(2012)『IR実践ハンドブック-⼤学の意思決定支援-』 玉川⼤学出版部

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Making Campus Decisions Better

Thank you for your attention.明治⼤学評価情報事務室 山 本 幸 一 [email protected]

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教学企画事務室

教学企画部

評価情報事務室

⻑期構想・設置年度計画

⼤学評価・IR学生アンケート

A学部B学部・・・

Xセンター

【参考】 ガバナンスとIR

学 ⻑

学⻑室専門員⻑ 副学⻑8名

教務部,FD・・学生部

国際連携機構

総合政策

研究知財機構社会連携機構広報センター法

人理事会

IR委員会

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【参考】 データ流通フローとIR担当者の役割

業務システム

入力

各部署の

通常業務

入力

各部署の

通常業務

蓄積

基幹DBにあるデータ

蓄積

基幹DBにあるデータ

抜出し

学生番号の暗号化

抜出し

学生番号の暗号化

DWH

DM

分析RDB

DWH

DM

分析RDB

出力

Excel

(PowerPivot)

出力

Excel

(PowerPivot)

IRデータベース

入力時:個別情報 出力時:統計情報

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【参考】 IR関連の主なシステムの構成

• MS SQL Serverデータベース(DWHなど)

• SQL Server Analysis Service分析データベース(キューブ)作成

• MS Power Pivot (Excel)データソース・集計・分析

• MS Power View (Excel)グラフィカルで動的なレポート

• SQL Server Reporting Services定型帳票作成・出力

• MS Share Pointインターフェイス・共有

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