IPA/SECにおけるアジャイル開発に 関する4年間の取組みから分かったこと

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1 Software Engineering Center Information-technology Promotion Agency, Japan Software Engineering Center IPA/SECにおけるアジャイル開発に 関する4年間の取組みから分かったこと ~ビジネスとソフトウェア開発を取り巻く環境の変化とも関連して~ 独立行政法人情報処理推進機構(IPA) 技術本部ソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC) SECセミナー 「アジャイル開発の先進事例に学ぶ」 20121212

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1 Software Engineering Center

Information-technology Promotion Agency, Japan

Software Engineering Center

IPA/SECにおけるアジャイル開発に 関する4年間の取組みから分かったこと

~ビジネスとソフトウェア開発を取り巻く環境の変化とも関連して~

独立行政法人情報処理推進機構(IPA) 技術本部ソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC)

山 下 博 之

SECセミナー 「アジャイル開発の先進事例に学ぶ」 2012年12月12日

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アジャイル開発に関するIPA/SECの取組み

H21年度 H22年度 H23年度 H24年度

非ウォーターフォール型開発研究会

非ウォーターフォール型開発WG

非ウォーターフォール型開発WG

非ウォーターフォール型開発WG

非ウォーターフォール型開発に関する調査

実証/模擬実験 (契約形態)

大規模開発 普及要因

▲ 報告書

▲ 報告書

▲ 報告書

報告書(公開中) H21年度版 http://sec.ipa.go.jp/reports/20100330a.html H22年度版 http://sec.ipa.go.jp/reports/20110407.html H23年度版 http://sec.ipa.go.jp/reports/20120326.html (事例) http://www.ipa.go.jp/about/press/20120328.html (普及要因) http://sec.ipa.go.jp/reports/20120611.html

事例収集(1)

課題抽出

課題検討

検証・改善

事例収集(2)

提案

▲ 報告書

▲ 報告書

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▲ 報告書

▲ 報告書

事例収集(3)

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注目の背景:現状のソフトウェア開発を取り巻く課題(1)

ビジネス・ニーズへの適切な対応

他社に先駆けた市場投入が必須で、それにより徐々に明確となるニーズを迅速に反映し改善していくことが必要な分野の出現

顧客ニーズは最初に全ては把握できず、またビジネス環境の激しい変化に伴いニーズも変化するが、この状況に迅速な対応が必要

→早期サービス提供と効果確認、ニーズ変化への俊敏な対応

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H21年度

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注目の背景:現状のソフトウェア開発を取り巻く課題(2)

(純粋な)ウォーターフォール型開発における問題点

初期段階では必ずしも全ての要求内容は確定しない

誤要求や要求の誤解が総合テスト段階で判明すると、多大な影響

開発途中で要求が変更されると、対応が非常に困難

→要求確定部分からの順次開発開始と、妥当性の早期確認

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H21年度

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注目の背景:現状のソフトウェア開発を取り巻く課題(3)

ソフトウェア産業構造(多重下請構造)上の課題

開発者(特に若者)の参画意識・達成感が低い

→開発の過程と各開発者の役割や成果を可視化し、創造的な開発スタイルを採り入れ、モチベーション向上をはかる

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H21年度

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ソフトウェア開発における特徴的な方向性の動向

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現在

高信頼 短納期 (変化俊敏対応) (高速開発)

重要インフラ等ITシステム 共通基盤系 ビジネス戦略ITシステム サービス系 業務支援ITシステム

適切なアーキテクチャと,構築・運用体制及び手法

それぞれに対応した

・比較的長期間,そのまま運用 ・障害発生時の社会的影響大 ・一般利用者の厳しい反応

・先を見通しにくい ・激しい環境変化 ・競争優位の確保

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ユーザ企業におけるITの位置づけの変化[の必要性]

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現在

情報システム部門任せ

業務部門主導 市場の監視

(コスト・時間をかけて) 信頼性重視で構築

IT投資判断 IT予算執行

俊敏な開発(構築)手法

a. 非ウォーターフォール型開発(アジャイル開発)

b. クラウドコンピューティング

c. 自動コード生成/ビジネスルールマネジメントシステム(BRMS)

ユーザ企業は, このように変化しないと, 競争優位を維持しつつ 持続することはできない.

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最近の傾向:注目度がより高まってきている背景

1. ビジネスの俊敏さへの対応要求の増大

2. グローバル化の拡大

3. ウォーターフォール型開発に適合しにくいケースの増大

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会社に足りないとされるのが経営のスピード感。「まずは七分でよし。利用者のお叱りを受けながら100%に磨き上げていく」(加藤薫・NTTドコモ社長)

2012.7.21 朝日新聞朝刊

現在

従来:100%にしてから世に出す

現在:エンドユーザとの共同作業により,よいものにしていく(β版文化)

2012.7.23 総務省・谷脇康彦氏講演

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安心 ←

変化の俊敏な反映

ITシステムへの依存と,システム環境の変化

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情報技術

ITシステム

ITサービス

国民生活 社会経済活動

依存

変化

変化

反映

• 価値観 • ライフスタイル • 法制度 • 社会情勢 • ビジネストレンド • …

• 技術動向 • 新技術 • コスト • …

<変化>の拡大傾向 時間的:頻繁に 量的:広範囲な影響 質的:複雑化

安全 ←

高信頼化

(要求の変化)

<依存>の拡大傾向 時間的:常時化 量的:広範囲化 質的:クリティカル域

⇒このような傾向を考慮した,ITシステムの開発・運用

環境

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http://www.nri.co.jp/opinion/chitekishisan/2011/pdf/cs20110305.pdf 古川昌幸:「Gen-Y」世代が主力ユーザーとなる時のIT,知的資産創造,2011年3月号,野村総研,pp. 32-45.

2010年1月 2010年2月

21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 1 2 3 4 5 6 7 8 9

A社

B社

C社

対抗サービス発表

サービス開始

サービス発表

対抗サービス発表

サービス開始

サービス開始

谷川史郎(野村総研):岐路に立つ情報システム部門,ソフトウェア開発環境展特別講演SD-S,2012年5月11日.

<出典>

携帯電話の「学割サービス」(2010年春)における各社の状況

ポイント ・業務を現場に展開するスピード(スピード開発) ・プロジェクトの粒度に対する考え方

⇒柔軟性 • システム・アーキテクチャ • 開発体制

参考 俊敏な開発がビジネスに影響を与える事例

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環境変化に即応できるための経営の「柔軟性」

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予測性:可変要素が将来変化をする予兆を事前にとらえること 拡張性:既存のリソース(人,モノ,カネ,情報等)に将来の可変要素を想

定した余裕を持たせておくこと 迅速性:起きた変化/起こすべき変化に対して,すぐに対応できること 適用性:これまでと違った環境、シチュエーションに,うまく対応できること

<出典> 平成22年度経済産業省委託調査:「IT 経営普及促進に向けた調査研究」報告書,社団法人日本情報システム・ユーザー協会,平成23年2月,p.76. http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2011fy/0022948.pdf

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システム開発ベンダにも求められる「柔軟性」

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親会社

子会社

孫会社 孫会社

子会社

孫会社

協力会社

協力会社(子会社)

連携会社

人材のクラウド 企画 要求 設計 製造 試験 運用

ウォーターフォール型 アジャイル型 (非ウォーターフォール型)

多様性

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ウォーターフォール型とアジャイル型との手法の違い

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ウォーターフォール型

(開発が)

失敗しないための手法

ケースバイケースで使い分け

「プロセス」重視 「人」重視

文化が異なる

“計画”駆動型 (顧客)“価値”駆動型

アジャイル開発

(ビジネスが)

成功するための手法

少し試して,その結果に基づいて次のステップを進める.

例) ビルや橋の建設

作るものも使用する技術も明確 計画時には,ビジネス上,システム上の課題が未解決, 開始後も変更の可能性大

最初から綿密な計画を立て 計画に従って着実に進める.

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迅速なリリース・要求変化対応

ウォーターフォール

アジャイル イテレーション

顧客と 開発者の

距離

時間

可視性

イテレーション毎に動作させて確認

リリース

優先機能から早期にリリース可能

技術リスク 動作するものをベースに徐々に機能を追加

変更容易性

確定できた要件があれば開発可能

<出典> 永和システムマネジメント:新しい契約形態での受託開発実践記,SECセミナー資料,2011-10-04.

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対象の性質に応じたマネジメントの考え方

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<出典> 日本マイクロソフト株式会社,TFSUG監訳:「アジャイル・ソフトウェアエンジニアリング」 日経BP社,2012年. The Stacey Matrix: http://www.gp-training.net/training/communication_skills/consultation/equipoise/complexity/stacey.htm

(要件の)合意

(経験等に基づく)判断の確からしさ

カオス状態

ビルや橋の建設

ネット上でのコンテンツ検索・販売サイトの開発

作るものも使用する技術も明確

計画時には,ビジネス上,システム上の課題が未解決,開始後も変更の可能性大 ・ コンテンツの品揃え,値付け ・ 割引き,特典等の顧客サービス ・ 検索機能・ユーザインタフェース ・ 顧客管理データの内容,等々

最初から綿密な計画を立てるより,少し試して,その結果に基づいて次のステップを進める.

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計画 駆動

Q:品質

S:スコープ (R:要求)

C:コスト D:納期

開発プロジェクトのパラメータ間の関係

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機能N

:

機能M

:

機能3

機能2

機能1

要求(優先順)

価値

実装範囲

S:スコープ (R:要求)

C:コスト

Q:品質

D:納期 固定

見積り→実際には変動

固定 固定

優先順に従って変動

価値 駆動

品質を維持 しようとすると

コストと納期に影響

スコープ(要求)の サイズが品質に影響

優先度の低い機能は 実装しても結局は使われない

→無駄な実装はしない

参考 QCDの優先順位

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システム開発におけるQCDの優先順位

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システム企画工程におけるQCDの優先順位

品質 : 29%

コスト: 24%

納期 : 47%

<出典> ソフトウェアメトリックス調査2012,一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS).

参考

調査で収集した801プロジェクトのうち, 「QCDのうちのどれかを優先した」という回答(313プロジェクト)の内訳

<出典> CIOの哲学:三菱重工業 児玉敏雄氏,日経コンピュータ,2012.10.25.

そうした事業環境の中,いわゆる「QCD」のうち,特に納期を重視してものづくりを進めている.品質の確保は当たり前.開発・製造期間を短縮して製品の投入スピードをいかに速くできるかが,世界を相手に競争優位を築くカギになる.

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システム機能の利用度(要求の劣化)

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参考

全く使われない

45% ほとんど使われな

19%

たまに使う

16%

よく使う

13%

いつも使う

7%

システムの機能の利用度

<出典> Standish group study report in 2000 chaos report (平鍋健児氏のプレゼン資料掲載)

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http://www.ibm.com/smarterplanet/us/en/business_analytics/article/agiledevelopment.html For many organizations, teams and individuals, the transformation to an agile development process is challenging. That’s because it requires a cultural change.

Agile transformation

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参考 アジャイル開発への転換

多くの組織,チーム,

個人にとって,アジャ

イル開発プロセスへ

の転換は“挑戦的”

である.それは,ある

種の文化的変革を

必要とするからだ.

「アジャイルは,プロセスではなく文化である.」 Michael Sahota: “An Agile Adoption and Transformation Survival Guide: Working with Organizational Culture,” 2012.

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顧客・経営層は開発への一層の関与が必要

顧客(ユーザ)経営層

ビジネス環境が激しく変化する現状において,ITシステムに関し,従来

のように情報システム部門に任せきりでは適切に対応できない.開発

形態(*)にも深く関与する必要がある.

(*) アジャイル開発の採用,クラウドコンピューティングの利用,など

ベンダ経営層

俊敏な開発の実績を武器に受注を狙う海外勢等に対抗するためには,

自ら俊敏な開発を実施できる体制作りに取り組むと共に,その結果を

顧客に売り込む必要がある.

<経営層の責任> ・情報システムに関する理解の増進 ・迅速かつ適切な意思決定 ・関係部門との経営上の綿密な調整

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ベンダ経営層はアジャイル開発の体制作りが必要

顧客(ユーザ)経営層

ビジネス環境が激しく変化する現状において,ITシステムに関し,従来

のように情報システム部門に任せきりでは適切に対応できない.開発

形態(*)にも深く関与する必要がある.

(*) アジャイル開発の採用,クラウドコンピューティングの利用,など

ベンダ経営層

俊敏な開発の実績を武器に受注を狙う海外勢等に対抗するためには,

自ら俊敏な開発を実施できる体制作りに取り組むと共に,その結果を

顧客に売り込む必要がある.

<経営層の責任> ・情報システムに関する理解の増進 ・迅速かつ適切な意思決定 ・関係部門との経営上の綿密な調整

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企業 内 容

NTTデータ 若手リーダー対象の研修開始.3年間で計1,000人の人材を育成する計画.

NEC 大規模案件に適用できる技術者を2012年度に約30人育成する計画. 「品質会計」と組み合わせたアジャイル開発ガイドを作成.

日立製作所 大規模案件に適用するための枠組みや実際の手順等をまとめたガイドラインを策定.

富士通 開発現場で蓄積したノウハウを適用するための開発標準を策定.

日本IBM 12年度から顧客に向けアジャイル開発手法に基づくシステム開発の提案を強化.同手法を取り込んだ自社の開発標準を活用.

大手IT企業のアジャイル開発に関する取組み

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参考

出典:大手IT企業が「アジャイル開発」を強化,日経コンピュータ,2012年5月24日号.

ねらい

主に大手顧客を対象に,「新規ビジネスを支えるシステムを早期に立ち上げたい」といったニーズに対応 アジャイル手法をウォーターフォール型開発手法と併用することにより,

「仕様変更でプロジェクトが遅延しやすい」といった弱点をカバー

人材育成

開発標準

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適切なシステム/ソフトウェア開発手法の選択

計画性・確実性・安定性 変化への適応性・迅速性

開発対象の性質 開発組織の 環境条件

・ビジネス上の段階 ・システムの深刻度 ・要件の固まり具合、変化の度合い ・開発対象の成熟度 - 新規開発、改造、再構築、保守 ・アーキテクチャの成熟度 ・規模の大小

・手法に対する組織の経験、成熟度 ・手法に対するメンバの慣れ、成熟度 ・組織の制度、統制 ・組織の地理的分散 ・組織の風土 - 新しい試みに対する挑戦の空気 - 経営/マネジメント層の理解と支援

ウォーターフォール型 アジャイル型 (非ウォーターフォール型)

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28 percent of 450 software professionals said they use a hybrid approach. Another 12 percent use lean software development, which includes agile processes.

Source: 2011 Agile ALM and Testing Survey, SearchSoftwareQuality.com Of 4,770 respondents from 91 countries, 90 percent said they use some form of agile. Only 27 percent of respondents solely use one type of agile, while 35 percent mix agile with waterfall, and 39 percent mix agile with Scrum.

Source: Analysis.Net and VersionOne Source: PM NETWORK, January 2012, Vol. 26, No. 1

参考 ハイブリッド型の適用が進む

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モチベーション…科学的実証の結果

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http://www.ted.com/talks/lang/ja/dan_pink_on_motivation.html

<出典> Dan Pink on the surprising science of motivation ダニエル・ピンク 「やる気に関する驚きの科学」

モチベーションと報酬の関係性を,科学的証拠に基づいて丁寧に説明.

報酬のインセンティブは,視野を狭め,心を集中させることから,単純な仕事では効果があるが,そうでない創造的な仕事では逆効果.

成果を高めるのは,内的な動機付けに基づくアプローチ.

すなわち,重要だからやる,好きだからやる,面白いからやる,何か重要なことの一部を担っているからやる,というもの.

仕事において重要な要素は次の3つ:

• 自主性…自分の人生の方向は自分で決めたい

• 成長 …何か大切なことについて上達したい

• 目的 …私たち自身よりも大きな何かのためにやりたい

参考

(ある程度の)裁量

顧客の"価値"を高める

スキルアップになる

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SWE iPedia (ソフトウェア・エンジニアリング情報データベース)

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●ご質問、ご意見は、SECホームページからお願い致します。

ご質問・意見の宛先

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IPA/SECホームページ: http://sec.ipa.go.jp/index.html

ご清聴,ありがとう ございました

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