僕たちのゲーム開発戦記in プライベート編

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ぼくらの 同人開発戦記

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ぼくらの 同人開発戦記

こんにちは

今日は

僕らの同人活動 について

語るよ

その前に

お約束

私がプロデューサー兼エンジニア兼リーダーとして 何を見て何を考えたかを書きます

同人用語は使いません(即売会、頒布、ほか) ゲームに関する詳細も割愛します

話の都合上、商業的な話が出てきますがこれは プロダクトの開発とマネジメントにフォーカスした ためです。

実際の私たちは多くの同人作家同様に 原作および同人文化を尊重し敬意を払う人たちです。

僕らは

スカンクワークス でゲームを作ってます

スカンクワークスis何

要するに業務外の 時間で何か開発する

チームのこと

googleの20%ルール みたいなもの

みんなで プライベートの時間で ゲームを作ってます

当時集まったのは

こういう人たち

「自分で何かサービス作った」 「でも使ってもらえなかった」

自分でゲームやサービスを作ったけど 使ってもらえなかった。寂しい。

MAU数1桁とかゼロとか悲しい。

人に使ってもらえるプロダクトを作りたい。

人に使ってもらえる ものをつくりたい

それでなにつくる?

いろいろ考えた結果

「ゲームを作ろう」

企画作業 どういうゲームにする? スマホ? 据え置き? オリジナル? Steam?

同人PCゲームに決定 参入障壁、競合、市場規模から判断。

巨人の肩に乗れる ノウハウ獲得が容易

事業計画が立てやすいから

優先目標=販売数確保 ある程度の販売数は不可欠。

販売数確保がすべての判断に優先 売れないゲームはただの自己満足

プロダクトの企画会議 全員のビジョンの統一

インセプションデッキやビジネスマップキャンバスの作成

最初の企画会議重要

Why?

今回の開発は アジャイル開発

アジャイル開発は トレードオフ重要

トレードオフには 判断基準重要

ホンダジェットの 開発リーダーの 藤田さんの言葉

飛行機は空力や構造など多様な要素が調和してできている。

例えば軽量化のために翼を厚くすると、抵抗が増えるなどいろいろなトレードオフがあり、必ずひとつの方向性、判断基準で設計しないと成り立たない。

皆がそれぞれの判断基準をもち、それを組み合わせたらいい飛行機になりましたということはない

判断基準を揃える為に 最初の会議における

コンテクストとビジョン の共有が最重要

OK、ビジョンは共有し コンテクストは把握した

次はなんだい?

プロジェクトの お約束事項

勝利条件 以下のすべての条件を満たすこと。

3ヶ月以内の1作目リリース。 1年以内に単体売上100本の達成。

単体黒字の成立。 次作開発キックオフ時のメンバー全員の参加同意。

敗北条件 勝利条件のいずれかを満たせないこと。

その場合はチームの解散。

なにをゴールにする?

なにがあったら 作戦中止?

それを明確にする 途中で迷わない為に

OK、ゴールは明確になった 次はなんだい?

チームの役割分担と 技術検証

役割

メンバーの スキルと志向などから

システム、シナリオなどで 役割分担

技術検証

最終的な製品を組み立てる 技術選定と検証作業

学習コストとノウハウ、 検証コストを考え JRubyFXを選定

JRubyFX Rubyでプログラムが書ける

似ているけど少し違う処理を大量に メタプログラミングで扱える

最終成果物はJVM上で動くexeファイル JVM上で動かすことで検証コストの節約

Write Once, Run Anywhere

exeファイル? 通信が必要な処理をユーザーのストレスレスに

作るには開発と運用コストが高いため ローカルで動作するゲームにした

OK、だいたいわかった さっさとやろうぜ

そのまえに

Iteration 0 最低限の機能を備えたプロトタイプの作成

製作ノウハウの獲得と学習 計画が実行可能であるものかの検証作業も兼ねる

検証結果 システム担当は2週間でだいたい動くところまで製作

シナリオもアバウトな方針をもとにプロットを作成

現状の方針と分担で継続可能であることを検証

ここまでの結論

俺たちはゲームが 作れる

次の問題

俺たちのゲームは 売れるのか?

最優先目標の 「販売数確保」 は達成可能か

検証するしかない

実際に売ってみよう

もし売れたら

我々のゲームはユーザーに 有償で買ってもらえる

ことがわかる

今回検証するのは

最終目標の 「販売数の確保」 の下位目標として

我々のゲームはユーザーに 有償で買ってもらえる

が成立するかどうか

さてここで

同人ゲームの売り方

同人ゲームの売り方

同人イベントでの 直接販売

同人ショップでの 委託販売

自分で販売

売る側は参加前に抽選あり

業者が代行販売

委託前に販売物 の審査あり

同人ゲームの売り方

同人イベントでの 直接販売

同人ショップでの 委託販売

自分で販売

売る側は参加前に抽選あり

業者が代行販売

委託前に販売物 の審査あり

今回は無理

今回はこちら

直接販売で売ってみた

結果

参加1回目:   15枚を販売 参加2回目:

  25枚を販売

わかったこと

我々のゲームはユーザーに 有償で買ってもらえる

が成立するかどうか

成立した

次の目標

優先目標=販売数確保 ある程度の販売数は不可欠。

販売数確保がすべての判断に優先 売れないゲームはただの自己満足

第1次目標の 100本販売を 目指します

そのために

今までは

ゲームとして 最低限成立する 機能だけ実装

これからは

ゲームとして あって当然の機能

(十分品質と言います)

も実装します

機能

ゲームとして最低限成立するレベル

ユーザーが「あって当然」と思うレベル

ユーザーに「インパクト」を与えるレベル

イマココ

例えば

セーブ機能とか エンディングとか

また

価格改定 = 値上げ

1本100円 (興味を持てば中身を見ずに買う価格)

から 1本300円

(好きなジャンルならとりあえず買ってみる価格)

販促宣伝や分析、シナリオ

外部発注にかかる費用は 粗利益から出したかった

前回までは前哨戦 実証実験やスキル獲得も兼ねていた

今回はチームとプロダクトの 全力をぶつけた総力戦

ユーザーの反応と全力真っ向勝負

原則的に

同人イベントでの 直接販売は

売上とイベント規模が 比例する

そして今回

イベント規模 前回の10倍

もしかしたら あるいは

これはいけるかも!?

メンバーの高い 期待と士気は

爆発的なペース上昇

上がる士気 膨らむ仕様

実装される新機能

これはいけるのでは!?

さらに宣伝施策だ!

友人に拝み倒して ジャケット絵も デザイン!

売上増加要因 イベント規模(10倍)

ジャケット絵 宣伝

機能充実 キャラ追加

売上減少要因 値上げ(¥100 => ¥300)

さて結果は

販売数 130本

大勝利

販売数 130本 の意味 第一次目標の達成 解散の回避 期間1年の目標を半年で達成

単体黒字の確保 同人サークルで黒字は上位30% = 上位30%になったことに

我々の作品がユーザーに認められた

今回の成果を通して

我々の作品はユーザーに 受けたという確信

チームが第二期活動の開始と活動規模拡大の方向へ 開発能力の向上と開発体制強化が今後の課題に

今後の夢も膨らむ

作品コンセプトの確立 他人のものを奪うのは楽しい

「Crush of Clan」みたいな感じ

ではいいことばかりか?

NO

まぐれの勝利だった 配置の良さ

参加者の周遊性の高さ 売る側に対して買う側の比率と、新規参加者の高さ

要するに我々の販売数が高く出る最高の環境だった 追い風参考記録に近い

課題は山積み 「能力の不足」今後の構想にたいして開発能力が不足している

スケールする開発体制を作りたい

「品質の不足」開発者目線で見ても気になる点がある。 プレイするユーザー目線ではさらに粗が見えるはず

「認知の不足」このままのスタイルで売り続けても 販売数は伸び続けない。売れるにはユーザーに知ってもらう必要

さらに

孫子は言った

戦う前に勝て、と

そのために情報が必要

「情報の不足」 今週末だけで60の同人イベントがある。どれに出ればいい? リリース間隔を考えると単純に出まくればいいわけではない

同人イベントのオールジャンルとジャンル限定では動きが異なる オールジャンルの大規模イベントとジャンル限定の中規模イベントの

どちらが販売数を望めるか?

直接販売だけでなく委託販売へのシフトも行いたい しかしシフトによってお互いのパイを食い合わないか?

どの媒体で委託販売するのが効率的?

情報がないと不安 ユーザーはどの機能を出せば「刺さる」?

この前出した機能に対するユーザーの反応はどうか? 仮説ベースの機能実装だったがそもそも仮説は正しかったのか?

ユーザーはいまどんなところを不満に思っている? ユーザーから意見を吸い上げる体制をどう作ればいい?

だから

情報収集するための チームを設立

さらに

販売宣伝チームも設立 前回のジャケット絵の効果が大きかった。 絵があることはユーザー認知に非常に重要。

ユーザーへ認知の拡大をあげるために動くチームが欲しかった

販売数拡大のために売る前の宣伝および、委託販売を 担当するチームを設立した

新規で3チームを 編成

第二次プロダクト計画

まとめると

これからやりたい ことは3つ

1. 持続可能な販売数拡大路線 100本売れた。それはいい。

現状のアプローチを続けて順調に売上は伸びるか? 恐らく無理。1.5倍程度までは伸びるが

それ以上は別のアプローチが必要

販売チャンネルの拡大など「認知の向上」と ゲーム性の向上による「評価の向上」を狙うフェーズ

2. 未知の領域での機能追加 セーブデータやエンディングなど

「ゲームとして必要な要素」を足していくフェーズは終わった。 これからは「あるとゲームとして魅力的になる要素」を

足していくフェーズ (十分品質から魅力的品質へ)

では何から足していけばいい? 何を足せばユーザーにウケる?販売数が伸びる?

3. スケール可能、持続可能な開発体制の確立

現状において、リソースの不足が顕在化しかけている。 これ以上の開発体制の強化には効率化と増員が必要になる。

また、ユーザー動向分析やマーケティング、販売宣伝など 新しいことを始める必要がある。

人が増えた上で開発を回す体制を構築する必要が有る

ということで

いろいろあって 人を集めた

第2次開発について

開発戦略と 販売戦略からなる

プロダクト開発戦略

プロダクトの方向性を 変更

リピーター獲得を狙い始める セグメントの絞り込み

ゲーム性向上を狙う機能追加

プロダクトの デザインの洗練

Civでいうところの 「燃える段階」敵勢力と互角している時 「楽しい段階」敵勢力を圧倒している時

「達成感を感じる段階」敵勢力の首都を占領した時 これらのゲームへの実装

より攻撃的な方向へ 「奪うのは楽しい」という面を前面に出した

現バージョンでは劣勢の相手に対し、友好的or敵対的な態度が とれたが、後者のほうがユーザー反応が良好だったため

征服者としてふるまう機能を重点的に追加することになった

訴求するセグメントの絞り込みを行った

イベント販売戦略

原則 「直接販売の販売数は

イベント規模に比例する」

だから

2つの大型同人イベント に照準を合わせた

動員人数述べ25人の 開発計画を発動

前哨戦として

中小規模の 同人イベントに参加

以下を狙う 開発体制の洗練

イベント単位の販売数の見積の正確化 ユーザー状況の情報収集

販売宣伝手法のノウハウ獲得 認知の促進

要するに? 「こんなプロダクトがあるよ!」というユーザーへの認知

リリース回数を増やすことで新開発体制のレベル上げ

イベント参加回数を増やすことで販売体制のレベル上げ

結果は 売上はそれなり。

開発体制は予想以上の成長を見せた 開発計画の上方修正が見込めるレベル

既存客・新規客の比率や媒体ごとの客のつき方がわかるようになった

販売宣伝ノウハウがたまった イベントあたりの販売数の見積がたつようになった

特に見積重要 イベントあたりの販売数の見積がたつようになった

リリース感覚は6~12週間が適正

年2回のコミケット(全ジャンル向け超大型イベント)を除けば 全ジャンルのイベントには参加しない

メジャージャンルであればジャンル限定の同人イベントに 出続ける方が販売数は出やすい

PV数よりもCVR

前哨戦は終わった

続いてが本番

2連続大型イベント

結果

大型イベント 1戦目  直接販売 D:敗北  委託販売 A:勝利

大型イベント 2戦目  直接販売 A:勝利   委託販売 A:勝利

総括 全体としての販売数は好調

委託販売のチャンネル拡大にも成功 ユーザーの反応も悪くはない

概ね成功と言っていい

ふりかえり

主に振り返りたい 1戦目の直接販売だけ奮わなかったのはなぜ?

委託販売のチャンネル拡大の成果について詳しく

内部体制の強化はどうだったのか

1戦目の直接販売だけ 奮わなかったのはなぜ?

疑問

大型イベント 1戦目  直接販売 D:敗北  委託販売 A:勝利

大型イベント 2戦目  直接販売 A:勝利   委託販売 A:勝利

ここが奮わなかったのはなぜ?

ユーザー評価が低かった? 委託販売は好調であり、ユーザーの声を聞く限り

反応もう悪くない。

作品本体の問題ではないように思われる。

ではイベントの問題?

数字から考える 参加者の周遊性が低かった

(目当てのところだけ買ったらすぐ帰った)

来場者数も少なかった (主催者公表の数字の割に目の前に来た人が少なかった)

周囲の販売サイドの数字を聞いてもこちらと同程度の 売上しか出せていない

計画値が高すぎた 問題はないという結論

計画段階でイベントを過大評価していたし イベント自体も他のイベントに比べて販売数が出にくい環境だった

2.委託販売チャンネル

これまでの実績から 最大手委託販売業者の

審査突破に成功

委託開始 店頭にならぶ 我々の作品

結果

販売比率 直接:委託 1:2

販売数拡大

しかし

委託販売の拡大で 販売数拡大はしたが 10本単位であり 100本単位までは 届かなかった

同人ゲームサークルの 話を聞いても100本単位で 売るのは難しいらしい

そもそも

同人大手委託販売業者 にとって主力商品は

紙媒体の漫画

ROM媒体のゲームに とっては完全に傍流

売る側も買う側も 注目度が低い

では

同人ゲームへの 注目度が高い媒体は?

市場調査の結果 某D Siteが該当

人気作品は1000本 単位で販売

次回はこちらでの 委託販売を目指す

3.内部体制強化

人が増えた

開発ロット制導入 人が多すぎるとマネジメントが辛くなる

1チーム5人くらいまでが限度

ゲーム会社の人から学んだ方式 リリースタイミングごとに5人程度のチームに分け

リーダーがリリースマネージャーとして 最後まで面倒をみる

複数チームが並行して開発を進められる

イテレーションごとの継続的な 開発体質の改善への取り組み

メンバーの巻き込みは超大事

加速要因の促進と減速要因の除去が基本方針

ミッション志向マネジメントの導入は効果大 タスクあたりのコミュニケーションコストの削減と

委任、裁量、集中の組合せは効果が高かった

6ヶ月かけて改善 手探り状態でプロダクトの方向性や規模を変更しながら

改善したからこれだけかかった。 最初から迷わなければ3ヶ月で行けたと思う。

最初の段階で自己組織化されたメンバーが揃っていることが大事。 既存プロダクトでメンバーのマインドセットを変えながら

開発効率を上げていこうとするとたぶんもっと時間がかかる。

自己組織化されたメンバーがいてもチームの肥大化は 効率を下げ、カオスを培養し、リスクを高める 小型チーム重要。論理的小型チームは可。

次回予告

現在第二期目標 500本にむけて

活動中

俺たちの明日は どっちだ!

最後に自己紹介

あんただれ

レベル: しょくぎょう: しょうごう:

29 プログラマ

はいぱーれがしー こーどくりえいた

@shin_semiya ともうします

今日は最後まで おつきあいいただき

ありがとうございます。