標(MDGs)を2015年までに達成することに合意した。...Arne Ove Bergo/Dagsavisen...

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UNITED NATIONS DEVELOPMENT PROGRAMME ANNUAL REPORT 2004 国連開発計画(UNDP)年次報告書 United Nations Development Programme Annual Report 2004

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UNITED NATIONS DEVELOPMENT PROGRAMME ANNUAL REPORT 2004

UNDP東京事務所〒150-0001東京都渋谷区神宮前5-53-70UNハウス8階

www.undp.or.jp

国連開発計画(UNDP)年次報告書United Nations Development Programme

Annual Report 2004

©U

ND

P 2004年12月

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目次

1 新生UNDP:成果をもたらす

2 行動のとき

7 平和への道のり

11 世界のUNDPアフリカアラブ諸国アジア・太平洋地域ヨーロッパ・CISラテンアメリカ・カリブ地域

22 UNDP内部改革の再確認

26 UNDPの資金

詳細についての問い合わせは、UNDPの各国常駐事務所または以下までご連絡ください

UNDP本部United Nations DevelopmentProgrammeCommunication Office of theAdministratorOne United Nations PlazaNew York, NY10017, USATel:(212)906 5000Fax:(212)906 5364

UNDP欧州事務所Programme des Nations Uniespour le développementBureau européenPalais des NationsCH-1211 Genève 10,SwitzerlandTel:(41-22)917 8542Fax:(41-22)917 8001

UNDPブリュッセル連絡事務所UNDP Liaison Office in BrusselsUnited Nations Office/UNDP14 Rue Montoyer1000 Bruxelles, BelgiumTel:(32-2)505 4622Fax:(32-2)505 4729

UNDP北欧連絡事務所UNDP Nordic OfficeMidtermolen 3, PO. Box 2530DK-2100 København O,DenmarkTel:(45-35)46 71 54Fax:(45-35)46 70 95

UNDP東京事務所〒150-0001東京都渋谷区神宮前5-53-70UNハウス8階Tel:(03)5467 4751Fax:(03)5467 4753www.undp.or.jp

UNDPワシントン連絡事務所UNDP Liaison Office inWashington, D.C.1775 K Street, NW, Suite 420Washington, DC 20006 USATel:(202)331 9130Fax:(202)331 9363

UNDP欧州・CIS地域支援センターUNDP Regional Support CentreEurope andn the Commonwealthof Independent StatesGrosslingova 35Bratislava 811 09, SlovakRepublicTel:(421-2)59337 428Fax:(421-2)59337 450

詳細については本部ウェブサイトwww.undp.orgをご覧下さい

写真提供

表紙上:Nicolas Doucet/Geneva表紙下:UNDP UAE1ページ: Shoko Noda/UNDP2ページ:Radhika Chalasani/UNDP3ページ:Adam Rogers/UNCDF5ページ:Millennium Campaign7ページ:UNDP Serbia and Montenegro10ページ:Shehzad Noorani/UNICEF12ページ:UNDP Rwanda14ページ:UNDP UAE16ページ:LIFE Programme/UNDP18ページ:Arne Ove Bergo/Dagsavisen20ページ:Adam Rogers/UNCDF22ページ左:Mohamed Ghobrini/UNDP22ページ右:Fletcher Gong’a/UNDP23ページ:Ruben Sprich/Reuters

表紙:すべての国連加盟国は、8つのミレニアム開発目標(MDGs)を2015年までに達成することに合意した。1つ目の目標、「極度の貧困の撲滅」にむけては、貧困撲滅プロジェクトの活動資金を募るために、多くの参加者を得て、2003年、UNDPの主催で、貧困削減チャリティ・マッチがスイスで行われた。また、「ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上」という3つ目の目標に関しては、アラブ諸国の女性が全体として、男性と同レベルの教育を受けられるようになりつつある。また、就職や政治活動への参加などに対する障壁が徐々に取り除かれている。1つ目から7つ目の目標を達成できるかどうかは、8つ目の目標:「効果的な開発に国内外の資源を提供するよう、南北間の国々のパートナーシップを推進する」にかかっている。

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新生UNDP:成果をもたらす

国連開発計画(UNDP)にとって、2003年は画期的な一年でした。UNDP史上初めて総資金額が30億米ドルを超えました。これは前例のない額であり、援助国、プログラム実施国双方からの、UNDPに対する支援と信頼の確固たる証といえます。また、2003年は私個人にとっても大きな区切りとなりました。国連事務総長から任命されるという栄誉をうけ、また、国連総会での承認も経て、2期目4年の総裁職に就任したからです。これらの出来事に、私たちは非常に勇気づけられました。4年間にわたる厳しく苦痛を伴う改革を終え、UNDPはようやくすべてのエンジンを掛け始めたのです。私たちの重点分野は、民主的ガバナンスからエネルギーと環境まで5つありますが、そのすべてにおいて、具体的な焦点を持ち、評価可能な成果を生み出しつつあります。その評価が、UNDPの国家レベルでの活動に対する私たちのパートナーの理解を深めたのです。それは、独立した外部調査による場合でも、職員による内部年次スタッフ調査の場合でも、あるいは開発の効果を図るためのプログラム業績に対する明確な基準による場合でも、そして私たちの報告書や活動に対するメディアの報道による場合でも、UNDPは信頼され、かつ明確な考え方を持つ開発問題の世界的なパートナーとして、自分たちを再構築したのです。また、紛争後の復興や再建の問題から、最貧国において雇用創出を支援・促進させる最善の方法まで、世界的な開発分野での論争に単に従うのではなく、私たちが論争を提起し、主導する役割を果たしています。しかし、私たちには自己満足に浸る余裕はありません。私たちは、実際の改善や進歩を認めることができ

ますし、また認めてしかるべきですが、同時に私たちは、自分たちが望むような、指導的立場にあり知識を基盤とする開発組織に生まれ変わるには、なすべきことが山積していることも認識しています。また、資金調達の環境も全体的に改善されているとはいえ、私たちの効率性や独立性、それにノン・コア資金を活用する能力などを強化するために必要な、コア資金の確立を続けていかなくてはなりません。また、私たちの活動が、今までになく危険で不安定

な世界の状況の中での運営を余儀なくされていることも認識しています。いまだに継続している中東、イラクでの紛争から、再び危機を迎えたリベリアまで、政情不安が高まっているラテンアメリカや中央アジアの一部の国々から、かつては感染者が集中していたアフリカを越えて南アジアや東欧諸国などで容赦なく猛威を振るうHIV/エイズの蔓延まで、開発分野での難題は、増大の一途をたどっているように見えます。しかし、こうした数多くの問題があったとしても、

私たちは解決の糸口も握っています。UNDPの2003年の人間開発報告書が示しているように、政治的な意思が十分に得られれば、ミレニアム開発目標(MDGs)は世界的に、ほとんどすべての国々で達成することができるといえます。しかし、目標達成の期限は刻々と迫っています。国内資源を最大限に活用するという、もっとも重要な責務は、開発途上国が担っていますが、ドーハ開発貿易ラウンドについて、さらには必要に見合った援助の増額と債務救済について、2005年末までに大きな前進が見られない場合、2015年というMDGsの達成期限を守ることは難しいでしょう。開発の成果は、一夜にしてもたらされるものではありません。少なくとも10年は投資を拡大し、成功を保証するために国レベル・世界レベルの政策を改善することが必要となるのです。世界の半数以上が1日2ドル以下で生活しているこ

とへの心と理性の葛藤は、ほとんどすべての地域でみられます。周縁化に対する怒りが、人々を貧困層の雇用機会の拡大と人間らしい生活を送れる将来をかけた戦いへと駆り立てるのです。UNDPのビジョンは明らかです。それは、MDGsを単なるレトリックから現実のものへと変化させる上で、啓蒙・啓発の役割を担い、実行者であると同時にアドバイザーであり、パートナーであると同時にリーダーでもあるという、中心的な役割を果たすことです。

マーク・マロックブラウン国連開発計画(UNDP)総裁

南南協力に関する開発途上国77カ国(G77)の閣僚級会議に出席するためにモロッコを訪れたマロックブラウン総裁(写真右から2人目)は、UNDPが支援するプロジェクトを視察しました。このプロジェクトは、数多くの若手企業家が、彼らの住む農村地域に対してクリーンで効率の良いエネルギーを供給するのを支援しています。

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行動のとき

2003年、世界の各地で紛争が広がりました。ほとんどの場合、世界各地に紛争が広がるのは、人並みの生活を送るという基本的な希望さえ見出せない人々が、世界中に数多く存在するためです。しかし、私たち国際社会は、さらなる平和や安定にいたる道筋を知っているのです。それは4年前、すべての国連加盟国によって承認された8つのミレニアム開発目標(MDGs)です。事態が手遅れになったり、あまりに解決が困難になったりする前に、私たちは、歴史的な事態に直面していることを理解し、この目標を達成するための一歩を踏み出さなければなりません。世界が抱える問題をその場しのぎで修復し続けることもできますが、もっと希望に満ちた未来を目指していくこともできるのです。経済が成長し、安定した民主主義のもとで、すべての男性、女性、子どもたちが享受してしかるべき、教育、医療、そのほか生きていくのに必要な人間の安全が保障されるときに初めて、平和が存続するのです。国際社会には目標を達成する資源があります。債務を軽減し、不公平な貿易の補助金を緩和するだけでも何億ドルもの資金が自由に使えるようになります。私たちには、その意思があります。富裕国は、2002年のモンテレー開発資金国際会議で政府開発援助(ODA)の増額を表明し、開発途上国の多くも、適切な資金の流入を伴った発展を可能にするような改革に着手して

います。そして、私たちには前に進むための手段があります。世界中の国で包括的な開発の戦略として受け入れられているMDGsです。2003年、開発の成果に体系だった焦点をあてること

ができた開発途上の国々は、初めの一歩を踏み出しました。バングラデシュでは、より多くの子どもたちに就学の機会が提供され、ガーナでは、より多くの人たちが衛生的な水を手にすることができました。ウガンダでは、HIVの感染率が低下しました。しかし、貧困の悪化あるいは危機によって焦土と化した国々では、今後厳しい状況になることが予測されました。

どの国もMDGs達成は可能であるそれでも、世界は明るい結果をもたらすために協働

できる段階にいるのです。MDGsを世界で達成するという段階です。それぞれの目標は、社会機能の原則に関することであったり、社会の安全に関することであったりします。そして、国連のグローバルな開発ネットワークの一員として、UNDPはMDGsのビジョンに専念することを約束します。2003年の人間開発報告書(HDR)にも述べられているように、各国が確固たる政策を実行し、それに対する国際社会の十分な支援があれば、大半の国が2015年までに目標を達成することは可能です。ただしそのためには、私たちがより一層の努力を、今すぐに始めなければなりません。来年の国連総会では、このMDGsに対して、どのく

らいの進展がみられたのか、再評価が行われます。開発途上諸国にとっては、慎重で徹底した分析に基づいていれば、実施コストがかかる計画でも前進させることができる、またとない機会になるでしょう。また、現場のイニシアティブを積極的に取り入れる機会も提供されるので、それぞれの目標達成によって、家庭やコミュニティなどを通じてもっとも重大な影響を受ける現場に生活する人々の息吹が、MDGsに吹き込まれることになるでしょう。また同時に、MDGsは国際社会からの声でもあります。それぞれの目標に掲げられているアジェンダは、一個人や一組織よりはるかに大きなものです。そこで目標達成には、力強く一体化した国連、平和と開発において主導的役割を果たすという使命を完遂することができ、かつMDGsの普遍的な精神を堅持しながら責務を果たす国連が求められます。

タイの国連共同行動計画の一環として、UNDPは、5つの県で貧困層の生活改善のためのプロジェクトを開始しました。この試みは効果が認められ、いまや全国規模で採用されています。バン・リームでは、鳥貝漁で生計を立てている村人たちが協力し、彼らの収入を脅かす密猟者に対するパトロール隊を組織しています。

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この責任の一端を担うために、UNDPは二重の役割を果たしています。UNDPは、国際的には国連開発グループ(UNDG)の長であり、開発にかかわる主要国連機関の活動を調整する役割を担っています。一方、各国レベルでは、UNDPの常駐代表が国連常駐調整官として、各国にある国連機関の代表からなる国連国別チームを率いています。私たちUNDPは、いずれのレベルにおいても、MDGsを支援、主導して世界各地で人々を動かし、行動を起こしているさまざまな国連機関のリーダーでありパートナーなのです。また、それぞれの国と、活用できる知識やアドバイスをつなぎ、その国の将来を形成する上で、どのような開発の戦略、パートナー、そして資源の組み合わせが必要となるのか、それぞれの国が最善の判断をできるようにします。

私たちの実践、世界の目標UNDPには、開発途上国における開発機関としての

長い歴史があります。今日、4年以上にわたる集中した内部改革を終え、私たちは今まで以上にこうした国々をよりよく支援できる立場にあります。コア資金の増額と、支援を求める声の高まりは、私たちの変革に対するグローバルな信頼の表れといえます。各国の政府やその他の人々も、UNDPに信頼を寄せ、効果的で責任のある開発のパートナーとして期待を寄せるようになったのです。世界中に広がる知識ネットワークを利用し、現在

UNDPは、166の国々で、豊富な開発の経験をかつてない規模で提供しています。このネットワークのうち、ひとつは、9つの専門知識支援事務所(SURF)によって地域ごとに構成されています。もうひとつのネットワークは、5つの重点分野によるものです。民主的ガバナンス、貧困削減、危機予防と復興支援、エネルギーと環境、そしてHIV/エイズです。その他、MDGs、情報通信技術(ICT)、ジェンダー、マネジメント、そして高い評価を受けているグローバルな「人間開発報告書(HDR)」と「国別人間開発報告書(NHDR)」の知識ネットワークがあります。2003年までに、UNDPの専門家やそのほかの国連機関、外部の機関の専門家など、合わせて12,000人がこの知識ネットワークに参加しています。経験に基づく教訓や、将来的なパートナーに関する情報などを含め、膨大な数の質問がシステム内で交わされています。

専門知識や資源の蓄積をいっそう拡大させるために、UNDPは共同事業を年々増加させる傾向にあります。一例として、マイクロソフトとのグローバル・イニシアティブでは、私たちの開発に関するノウハウとマイクロソフトの技術の融合により、雇用創出の促進が見込まれています。また、UNDPとブラジル政府、インド政府、南アフリカ政府との共同で、MDGプロジェクトに対する資金調達のための南南イニシアティブも実現しました。2003年には、第3回アフリカ開発会議(TICAD III)が、日本政府、UNDP、国連アフリカ特別調整室(UN/OSAA)、アフリカのためのグローバル連合(GCA)ならびに世界銀行の共催によって開催されました。この会議は、教育分野を含めたアフリカとアジアの連携に関する展望を広げました。地球環境ファシリティ(GEF)は、UNDP、国連環境計画(UNEP)および世界銀行のパートナー団体ですが、自己資金とそのほかの資金源からの協調資金をあわせて、2003年の1年間で8億ドル以上を、環境保全と世界中の最貧層の人々の生計維持に振り向けました。そして、UNDPは、生物多様性や気候変動、土壌荒廃などの問題に関するプロジェクトに貢献しました。世界中で、こうした活動やそのほかのイニシアティ

ブを通じて、UNDPは、自立に向けた各国の能力開発への支援という、8つのMDGsすべてに関わる活動を行ってきました。手始めに、私たちは、各国政府が自国の予算を各目標の関連分野に優先的に再配分することを支援しています。イエメンでは、MDGsの達成に必要とされる費用を算出した後、教育分野の支出を25%、医療分野の支出を56%、そして水や衛生分野への支出を66%増加させました。UNDPの専門知識はまた、MDGsの達成を追跡するためのシステムにも活用されています。アルバニア政府は、乳児死亡率と妊産婦死亡率に関して信頼できる数字を把握できる、初めての統合的なデータベースを構築しています。また、マラウイでは、MDGsの指標を国の社会経済データベースに取り入れ、貧困削減戦略ペーパー(PRSP)のモニタリングの中心に据えました。

ミレニアム開発目標(MDGs)

1.極度の貧困と飢餓を撲滅する2.普遍的初等教育を達成する3.ジェンダー平等と女性の地位向上を推進する4.乳幼児死亡率を低減する5.妊産婦の健康を改善する6.HIV/エイズ、マラリア等の疾病の蔓延を阻止する7.環境の持続可能性を確保する8.グローバルな開発パートナーシップを構築する

国連資本開発基金(UNCDF)はUNDPと連携し、環境問題に取り組む地方政府の能力構築を支援しています。ニジェールでは女性達が、身近な素材を利用して防砂壁を作り、砂漠化の防止に取り組んでいます。

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目標達成に向け世界を一つに

ミレニアム開発目標(MDGs)は、世界中の誰もが自由で充足した生活を送るために、満たされなければならないニーズを反映しています。MDGsの達成は、大統領や国会議員、地域の組織から市民社会、地方自治体や民間セクターまで、すべての人々にかかわることです。それぞれの目標は、簡単に応用も理解もできる基本的な手段として、個々の村から大陸全土にいたるまで、開発指標のどのあたりに位置するのかを把握し、そしてどのあたりに到達したいのかを計画するときの指針となります。国連システムの諸機関との緊密な連

携の下、UNDPはMDGsに関する数々の調査、支持層の拡大、そして啓蒙・啓発活動などを主導しています。こうした活動すべてが、個々の目標に対する広い理解を呼び起こし、実際の解決方法を提供し、そして目標到達のための時宜を得た行動を喚起します。UNDPが支援している主なイニシアティブは以下の通りです。ミレニアム・プロジェクト:MDGsを達成するには、何よりもまず、国家の政策や開発戦略など、その国の開発

を形作るメカニズムに、いかにしてMDGsを反映させることができるかを把握することが必要となります。各国の優先課題を考慮した上で練られた信頼できる行動計画こそ、2015年の目標達成に向けた道筋を作るものです。この目標に向け、国連ミレニアム・プロジェクトには、世界各地から政策専門家、開発実施担当者、選りすぐりの学者150人以上が集い、代替的なアプローチに関する調査を行って

います。このプロジェクトの最初の大きな任務は、UNDPの『人間開発報告書2003:ミレニアム開発目標達成に向けて』作成のための調査に貢献することでした。この報告書では、すべての開発途上国が調査され、MDGsを達成するうえでもっとも欠けている分野が特定されました。また、ミレニアム開発コンパクトの概要も述べられています。ミレニアム開発コンパクトとは、ガバナンスの向上を目指す貧しい国々と、市場開放と更なる支援の提供を目指す富裕な国々との間に新しい世界秩序を構築するために、必要とされることを明確化したものです。ミレニアム・プロジェクトは現在、2005年のMDGs 評価サミットに向けて、各国政府や国際金融機関、そのほかのパートナーと連携し、すべての国々がMDGsを達成するために必要となる政策や資源、経済成長とはどのようなものなのか、国レベルで把握できるようなパイロット・プロジェクトを展開しています。ミレニアム・キャンペーン:ミレニアム・キャンペーンは、南北双方の国々の国会議員から地域社会のメンバーま

でが集い、MDGsに対する一般の人々からの支持をより広く集めるために展開されています。キャンペーンは、北側の国の支援団体と連携し、援助の増額や債務の軽減、貿易や技術分野へのアクセスの増加を求めた8番目の目標の背後にある政治的機運を盛り上げることに努めています。2003年、ミレニアム・キャンペーンは、カンクンで行われた貿易会議および国連機関代表による開発資金調達会議において

報告を行いました。また、イタリアで行われた1,000近くの市民社会組織と各地の地方自治体のネットワークにも参加し、MDGsを、同国で2年ごとに開催される10月の平和行進のテーマとしました。そこでは10万を超す人々が、「MDGsが達成されるまで真の平和は訪れない!」と連呼しながら、MDGsの各目標を掲げた8つのアーチをくぐりました。2003年の後半は、途上国での国

内ミレニアム・キャンペーンに一層の力を入れました。南側各国の市民社会ネットワークと協働し、MDGsの最初の7つの目標に沿った国家政策が策定されるよう、一般市民の関心を喚起しています。同時にBBCとのパートナーシップが開始され、アフリカやアジアで成功を収めたパイロット・プロジェクトが、テレビやラジオの番組で紹介されています。このプロジェクトは、今後その他の地域にも拡大される見通しです。MDG報告書:どんな目標でも、達成するためには出発点を決めなければなりません。UNDPは、国連国別チームを調整し、各国政府が国別のMDG

進捗報告書を作成するための支援を行う一方、各国政府、市民社会組織、地域機関を一堂に集め、各地域における報告書作成を準備しています。それぞれの目標に関する基本的なデータを集約した報告書は、政策立案者にとっては概観としての役割を果たすと同時に、一般の人々にとってはひとつの手段ともなり得ます。これは、国レベルでの啓蒙・啓発活動を活性化させ、政治的議論を周知させるために役立って

私たちは、貧困を撲滅することのできる最初の世代の一員なのです。このまたとない機会を逃さないようにしようではありませんか。-エベリン・ハフキンス、ミレニアム・キャンペーン事務局長

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います。今までに刊行された国別・地域別

MDG報告書は、60以上にのぼります。2003年にはUNDPによって一連の地域会議が開催されました。報告書作成準備のために開催されたこの地域会議には、100カ国以上から政府や市民組織の代表が参加しました。2004年からは国別人間開発報告書に対するサポートと同様に、MDG報告書に対してもサポートを行い、情報やアイデアの交換によって、双方の報告書をより一層強化する予定です。MDG報告書は、MDGsの各目標について具体的に作成されるのに対し、国別人間開発報告書は引き続き、詳細なデータを提供する深遠な分析や、開発問題に関する広汎な、時には論争をまきおこすことになるような政策のオプションを提示することでしょう。アフリカ2015:2003年、UNDPは、すべての目標達成にむけて前進することを目指す「アフリカ2015」キャンペーンを開始し、アフリカ大陸が抱える2つ重要な課題である、貧困

とHIV/エイズを重点分野として選びました。HIV/エイズは、2,700万人以上のアフリカの人々がすでに感染しており、これまでアフリカで成し遂げてきた社会的経済的業績を急激な勢いで、後退させつつあります。「アフリカ2015」では、世界の要人や歌手、スポーツ界のスター、それにメディアの担い手や政治家たちといった、一般の市民に注目されるような人々が集まりました。一例を挙げると、チュニジアで行われたサッカー・トーナメント、2004年アフリカ・カップでは、HIV/エイズとの戦いに関するメッセージがいたるところに散りばめられました。これらのメッセージは、高名なサッカー選手でありUNDPの親善大使でもあるロナウドとジダンと共に、スタジアムの掲示板に、ボールボーイのジャージに、そしてチュニジアの大統領から寄贈された巨大な横断幕にも掲げられました。現在ではラジオ・フランスの国際放送がUNDPのパートナーとなり、月間放送を通じてMDGsの一般市民への浸透に努めています。

2年に一度、イタリアで行われる平和行進では、10万人を超えるイタリア人がMDGsをテーマとした山車を作りました。ミレニアム・キャンペーンは、市民社会や地元の当局と連携し、「2015年に言い訳はできない」というテーマを掲げました。

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UNDPはまた、5つの重点分野に関連した、数多くのプロジェクトも支援しています。民主的ガバナンスの分野では、政治的な参加や説明責任などが促進され、それがUNDPのそのほかの活動分野の基盤としての役割を果たしています。UNDPは、今や多国間における世界最大のガバナンス支援提供者であり、その支出額は、私たちの技術協力向け支出の60%に達しています。また、貧困削減の分野では、国々が参加型のプロセスに基づいた貧困削減のための政策策定や、国家予算や貧困削減戦略のMDGsへの関連づけ、MDGsをモニタリングする手法の向上などを支援しています。危機予防と復興支援の分野では、緊急援助と開発をつなぐ一方、災害と紛争の根源的な要因に対処することを目標としています。また、エネルギーと環境の分野では、環境資源の管理と貧困削減の統合を中心課題に据えています。HIV/エイズの分野では、国家の開発課題の中心にこの問題を据えるよう国々を支援し、主導者のイニシアティブをサポートするとともに、HIV/エイズ対策の実施を支援しています。

万人のためのアジェンダMDGsに向けて活動したこの数年間は、UNDPとそ

のほかの国連機関すべてに、楽観的に構える余裕をもたらしました。これらの8つの目標は、これまでに知

られていたいかなる開発の優先課題よりも明確であり、より広く受け入れられることになりました。私たちはすでに、MDGsがもたらした差異、そして

MDGsのもつ可能性を認識しています。それゆえに、2003年に起こったいくつかの不穏な事件にもかかわらず、前進しようという私たちの固い決意は、より強くなったのです。私たちは、日々、MDGsが単なる抽象概念にとどまるとき何がおこるかを目撃しています。しかし、同時に私たちは現場の実情や、目標を達成しようという献身に基づいて開発が行われたときの、無限の可能性を証言することもできるのです。私たちの課題は、国ごとにMDGsを達成することに

あります。UNDPは、多くの国際社会のメンバーと共に、すべての人が手に入れることができる人間開発のアジェンダに向けて、すでに行動を開始しています。私たちは、MDGsを指針とし、真に市民の福利と結びついた、政策や制度、インフラなどを形成しています。そしてそれは、私たちの世界全体の安全とよりよい生活のためでもあるのです。

民間セクターの潜在能力を活用

経済成長は、引き続きMDGs達成の中核となっています。経済成長がなければ、貧困に終止符を打つことは永遠にできないでしょう。すでに、目標を追求する過程で、中小企業を含めた新たな経済的資源の開拓が進んでいます。中小企業は、雇用の創出や国内商業の牽引役であるにもかかわらず、これまで彼らの開発への貢献の可能性については、看過されてきました。国連事務総長は、2003年、UNDP

総裁の提案を受け、開発途上国、特に最貧国における国内民間企業の障害を明らかにするべく、有識者からなる諮問委員会を招集しました。カナダのポール・マーティン首相とメキシコのエルネスト・セディージョ元大統領を議長に迎え、UNDPが運営した「民間セクターと開発委員会」は、2004年初頭の主要報告書作成に向け、世界各地のビジネス・リーダー達から意見

を集めました。その報告書、『起業家精神を解き放

つ─ビジネスを貧困対策に生かすには』では、ビジネス界が全体としてどのように開発を推進させることができるかについて分析しています。特に強調されているのは、世界の貧困層の大部分がサービスと雇用を頼っている、露天商や車の修理工までを含む現地の商業活動に対して機会を提供することの必要性です。そして、各国政府、開発機関、民間セクターに対して提言を行っています。ビジネスの規制緩和、金融サービスの利用拡大、地元での資材調達などが重要な最初の一歩として考えられるでしょう。持続可能な開発と民間セクターの長

期的成長の不可分なつながりを考えれば、地元起業家の力を解放することによって引き出される潜在的利益は大きく、経済の強化と、ビジネス・コミュ

ニティの活性化が期待されます。それによって、規模の経済の恩恵を受けられずにいる、消費者ピラミッドの底辺にいる人々、すなわち、年間所得が1,500ドル以下の40億人を含む人々が、より高品質で入手が容易な商品やサービスを、いままで以上に享受できることになります。そしてなによりも重要なことは、雇用創出と収入増加が実現されれば、貧困にあえぐ多くのコミュニティに変化が訪れ、何百万もの人々の生活に繁栄がもたされることです。

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2003年を通じて、紛争はさまざま形で、さまざまな人々に降りかかりました。イラクの戦争に、リベリアの内戦、イランで起こった壊滅的な地震、長い間和解の出来ない敵対関係を抱えたコロンビアとスーダン。悲しいことに、これらはほんの一例でしかありません。ある試算によれば、世界の人々の約4分の1は、こうした動乱のなかで生活しているのです。人々が難民キャンプに逃れたり、市場に足を運ぶことが地雷や車両の爆破による死をもたらす可能性があり、それにおびえていたりするような状況下で開発が根付くことは決してありません。しかし、まさにこうした現状に直面している地域こそが、開発をなによりも必要とし、そこにはMDGsに向かって進むことに、明らかなインセンティブが存在するのです。人々が、自分たちの生活を決定する際に自分の声を生かせるような安定した平等な社会であれば、破壊と混乱に陥る可能性はそれだけ低くなるのです。こうした社会なら、自然災害が起きた場合でも復興が急速に進み、そして失われる人命の数も非常に少なくてすむのです。計り知れない社会的、経済的、政治的格差を是正するための措置が十分でないときに、紛争や災害が起きると、どのような開発が進められていようとその力は崩壊し、その国を、ときには何十年もの間、後退させてしまうのです。近年UNDPは、プログラム実施国の半数以上から、

紛争予防や紛争の対処への支援を求められています。国際的な資金やパートナーシップを募るにせよ、人々によりよい生活に対する展望を抱かせるような、地に足に付いた開発のイニシアティブを実行するために各

国政府と協働するにせよ、このような支援を提供することが、私たちのもっとも需要の高いサービスの一つとなっています。開発と災害時の支援を調整するため、私たちは国連

システムの中で、復興から開発への移行段階において、UNDP自身の組織的な使命から、また国連開発グループ(UNDG)の長および国連国別チームの調整役として、中心的な役割を果たしています。特に紛争直後の国々では、この移行期は脆弱な期間であるため、ささいなきっかけから紛争状態に逆戻りする可能性があります。状況が許せばすぐに活動を開始し、また、自らの経験や幅広い層のパートナーとの関係を用いて、私たちは紛争の危機を回避し、実行可能で具体的な対策を講じます。多くの国々で、私たちはすでに長年にわたる経験を持っており、開発と初期段階での復興を統合するという課題を成し遂げるうえで理想的な立場にいるのです。私たちは特に、その国が紛争状態に陥ったときの管

理能力の強化に重点を置く一方、各国政府や市民社会が、将来の事件の火種になりそうな要因に対処できるよう支援しています。この取り組みにおいては、各国の常駐事務所が先頭に立ち、危機予防復興支援局(BCPR)が後方支援をしています。BCPRはまた、私たちの紛争予防と復興支援分野に関する活動を監督しており、成果が実証された戦略については、世界的な知識の交換を促進しています。そのほかの重点分野、特に民主的ガバナンスと貧困削減とも緊密に連携する一方、MDGsの幅広いアジェンダとも不可分に結びついています。

平和への道のり

UNDPは、ヨーロッパ南東部の各地で、不法な小型武器および軽量兵器の取引への取り組みを支援しています。小型武器の拡散は、犯罪や紛争の火種となり、また平和の構築を脅かすものです。ヨーロッパ南東部における小型武器・軽量兵器管理のための交換所(SEESAC)プロジェクトは、セルビア・モンテネグロを初めとする各国での兵器の回収・破壊支援を通じて、1999年の和平協定をサポートしています。

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開発を定着させる基盤作りUNDPは危機予防と復興の諸側面に注力する一方

で、個別の状況に対応する柔軟性も併せ持っています。私たちの専門分野の一つでもある、紛争後の時期においては、差し迫って存在する復興と開発の間の溝を埋めて緊張を緩和するだけでなく、国の安定を確実なものとする基本的な制度の再建を手助けするような方法を探し出します。私たちは、アフガニスタンのプログラムを通じて、アフガニスタン内務省での文民警察に対する研修を支援してきました。そして、アフガニスタンが総選挙を行うまでの、ゆっくりながらも周到に整えられた道のりを、統括的にサポートしてきました。現在は、アフガニスタン政府および国連国別チームと緊密に連携し、より長期的な開発に向けた基盤作りを行っています。MDGsに特別に配慮し、また、同国初のMDG報告書『機会への扉を開く』が制作されるなか、アフガニスタンはこの基盤により、法廷の再建から障害者へのケアまで、あらゆる市民層に応えることができるようになるでしょう。イラクでは、本格的な復興支援業務の準備が進めら

れてきました。国連のバグダッド事務所襲撃による一時中断を余儀なくされたにもかかわらず、私たちは電力供給システムの緊急復興支援や、ウンム・カスル港へ至る運河の浚渫などのプロジェクトを継続してきました。また、バグダットやバスラの低所得者を雇用し、路上の瓦礫を取り除くプロジェクトも実施しています。2004年の初頭には、UNDGを代表するUNDPと世界銀行が共同で運営する、イラク復興信託基金に対し、19の国から10億ドル以上の拠出が表明されました。そのほか、UNDPが優先事項とするもう一つの分野

が、紛争予防と平和構築です。この取り組みでは、紛争を予防するとともに紛争を誘発する要因に対処する制度を支援しています。キルギスタンのフェルガナ渓谷沿いにある3つの州は、もっとも貧しく隔離された地域で、ソビエト連邦の崩壊後、伝統的な政治経済体制の崩壊に直面していました。民族間の緊張が高まったとき、キルギスタン政府は、UNDPに紛争予防を考慮した開発プログラムに関する相談を持ちかけました。参加型地方自治体の基盤が強化されただけでなく、パイロット・プロジェクトでは、早期警戒情報システ

リベリア:復興への道のり

2003年、リベリアには平和の兆しが訪れました。しかし、依然として砲弾の跡が町のいたるところに残り、失業率は85%を超えます。人々は、荒廃した路傍に船積み用のコンテナを並べて、そこに暮らしています。戦争で疲弊したリベリアの人々にとって、つい最近までMDGsを計画することはおろか、想像することさえ不可能なことでした。8月にアクラ包括和平協定が調印さ

れ、暫定政権が樹立されると、希望の光が見えてきました。国連平和維持軍が到着すると、リベリアで40年の活動実績を有し、紛争地域での専門能力を十分に備えたUNDPは直ちにリベリアに入り、国際社会による援助活動の実施を支援しました。国内に80万人を超す避難民や難民を抱え、インフラが破壊されたリベリアは、14年に及ぶ内戦を完全に終結するための支援を必要としています。内戦はリベリアを破壊しただけでなく、西アフリカ地域全体を揺るがすものでした。UNDPは、2004年2月、国連開発

グループ(UNDG)のリーダーとして、世界銀行や米国政府とともに国際復興支援会議を組織しました。リベリア復興会議では、5億ドルの資金が集まりました。こうした資金は、暫定政権や国際的な支援国と緊密な連携を保っている国連と世界銀行が実施する評価によって、優先事項に従って配分される予定です。会議では、政府や市民社会の代表が、リベリアのもっとも差し迫ったニーズに関する事例を報告し、新たな資金投入を管理するためのパートナーシップの立ち上げを進展させました。こうしたプロセスの全体を通して、

UNDPはまた、新たな開発を主導する一方、既存の開発をより一層進めながら、開発の現場での活動も続けてきました。支援分野としては、兵士の武装解除と社会復帰、基本的なサービスの復活、ガバナンスの改革や経済のマネジメントができる人材の育成などが含まれるほか、戦争による傷を癒すために、真実・和解委員会の立ち上げを含めた人権擁護のイニシアティブを支

援しています。また、そのほかのプロジェクトは、環境破壊や、HIV感染率の急上昇といった諸問題への対処を目的としています。特にHIVの問題に関しては、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)との緊密な連携のもとで活動を行っています。世界中の紛争終了後の国で活動した

経験から、UNDPは、兵士が銃の放棄に合意すれば平和が訪れることを十分に認識しています。しかし、人々が自らのコミュニティを活性化し、基本的なサービスを利用でき、そして、社会の形成に参加することができて初めて平和が保たれるのです。リベリアでは、現在これらのことが進展しつつあります。2005年に予定されている総選挙でも、UNDPは、リベリアの人々が確実に将来図を描けるように、開発のアドバイザー兼パートナーとして、活動する予定です。

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ムが導入されました。地域社会の団体は、その多くが複数の民族によって構成されていましたが、地方自治体と協働で紛争の調整ができるような訓練を受けました。また、小規模な交付金により、地域社会が開発計画に参加できるようになりました。更に人々が集団で灌漑施設や学校を建設することにより緊張も緩和されました。現在ではプログラム全体がこの3つの州全体に広がり、タジキスタンとウズベキスタンとの国境を超えて展開されています。UNDPは、平和構築のアプローチのなかで、全面的

な武装解除と兵士の復員と同時に、現在の紛争の主力となる小型武器の削減にも力を入れています。コートジボワールでマルクーシ和平合意が調印されるとすぐ、私たちは国民和解政府と共に、武装解除、兵士の復員・社会復帰のための戦略、そして交戦中の武力勢力間の交渉を促進するプロセスに対する活動を始めました。UNDPがいち早く介入したこと、また、初期投資として50万ドルの資金を費やしたことにより、その後は二国間援助を呼び込むことに成功しました。二国間支援による援助国からの兵士復員プロジェクトに対する支援は合わせて約1,000万ドルに達しています。全世界的には2003年に、私たちのテーマ別信託基金「紛争予防と復興のための信託基金」だけでも、UNDPは100万個の小型武器の薬莢を含む、12万3,730丁の武器と170トンの弾薬を回収・破壊しました。地雷に関しては、開発プログラムの中に地雷に関す

る活動を含めるように働きかける国際的な提言活動と、各国での活動の双方を行っています。アンゴラでは、都市部以外の土地を荒廃させているこの破壊的な装置に取り組むために必要な技術力を向上させる、地雷活動担当局を国家レベルと州レベルで設置したことにより、政府は地雷活動に関する優先課題を明確に定め、また地雷関係のプログラムを開発に結びつけることができるようになりました。これは、農民に農業復帰を促すうえでも役立っています。2003年、イランの歴史的都市、バムで起きた壊滅的

な地震は、人々の生活や発展に甚大な被害を及ぼした近年の自然災害のひとつにすぎません。UNDPは、地震直後すぐ現地に入り、各機関にまたがった救援と復興に対するニーズの評価業務を調整し、避難所と雇用を創出するために3,000万ドルを超す緊急支援を国際社会に訴えました。さらに一般的には、潜在的な自然災害によるリスクを開発プログラムの中に確実に組み込むことや、そのリスクへの対処方法の評価などを行っています。大きな成果として、2004年には、世界報告書『災害リスク軽減に向けて:開発に課せられた課題』を発表しました。この報告書は、いかに多くの自然災害が、不適切な開発計画から引き起こされたのかを年代順に記述しています。画期的な指標である災害リスク指標(DRI)は、様々な災害に対する弱点を見定め、リスクを招く開発の要因を特定し、災害と政策選択の関係を量的に示しています。

危機に直面する国々2003年、UNDPは、紛争や自然災害の予防の方法、または紛争や自然災害からの復興に関する専門的知見を、78カ国から求められました。

出典:BCPR, UNDP

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状況を一変させる介入UNDPは現在、紛争に関して、ある国での動乱は、

多くの場合その隣国へも飛び火するという事実をふまえ、地域レベルでの戦略を追求しています。UNDPはまた、国連開発グループ(UNDG)を通じて、国レベルでの国連の開発プログラム全体にまたがった紛争予防活動の統合を主導し始めました。紛争後の介入によって敵対した状況を一変させるには、緊急で戦略的、そして十分な影響力をもつ大規模な介入を行わなければなりません。国際的な資金不足

が介入の障害になることもあります。しかし、実際にはどのようなことが効果をもたらすのか、事例や分析を国際社会が共有するために、まだまだできることはあります。UNDPは、国際社会が一体となって、効果的な紛争介入を可能とするようなシステムと基金を設立するよう、呼びかけています。絶望の淵で立ち止まっている場合ではありません。今こそ、前進しなければならないのです。

アルゼンチン:動乱の影響を軽減する

2001年、アルゼンチン経済は崩壊しました。対外債務の不履行額は過去最大に膨れ上がり、国民の55%が貧困の危機に立たされました。何百万という人が職を失い、人口の4分の1が十分に食べることもできない状態に陥りました。そして、その多くは、子どもや若者だったのです。緊急人道支援が減少し始めたのは、経済がわずかながら回復してきた2003年に入ってからでした。UNDPは、アルゼンチンに対して

MDGsへの対応に主眼をおいた開発プログラムを再開しました。その一方で、人々が率直に国の問題を話し合えば、集団的な解決に至りやすいという認識から、民主的対話プロジェクトを導入しました。このプロジェクトは、グアテマラを中心とした地域的なイニ

シアティブであり、市民の間での対話を調整するための革新的な手段や、特に大きな混乱に見舞われた国における紛争解決方法を提供しています。UNDPは、アルゼンチン・キリス

ト教会と政府とともに、政治家、ビジネス界のリーダー、商業組合、宗教指導者、ジャーナリスト、そしてボーイスカウト・アルゼンチン連盟といった団体までを含む市民社会団体の間で、対話の機会を持つための支援を行ってきました。過去2年間、参加者は、国家の政策を通じて苦境を乗り切るために何ができるのかを話し合うために、定期的な集会の場を持ちました。彼らの声はきちんと受け止められて

います。この対話をもとに政府は、200万を超すもっとも貧しい世帯に対し、毎月の生活費補助を含めた失業

対策プログラムを策定しました。そして、基本的な常備薬を、1,500万人近くの人々に無償配布しました。最近の対話ラウンドでは、デリケートな、しかしもっとも重要な関心事を採り上げられ、市民社会と内務省、内閣が政治改革について議論することが要求されました。今日、アルゼンチンの人々は、危機

に近い状況がもたらす暴力という手段とは異なる、実行可能な代替策があることを知っています。無数にある見通しの一つとして民主主義が選ばれたとき、それは暴力から抜け出す最良の方法となるでしょう。

イランの都市バムが地震で破壊されたとき、UNDPは、災害復興のために何が必要とされるのか速やかに評価を行い、緊急資金援助のための国連共同アピールを調整しました。再建の努力はようやく、家から家財道具を運び出したマウマ・ポラッシュのような地域の人々の所にも届き始めました。

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UNDPは、地域プログラムや国別プログラムを通して、開発途上にある5つの地域すべてにおいて、国々が自らの開発に対する能力を高められるよう支援しています。私たちはMDGsの関連分野における経験を提供し、パートナーと資金を結びつけ、それぞれの目標を行動に移し、人々の生活を変化させます。私たちは、5つの重点分野に活動の焦点を絞っており、その専門性は世界的に広く認められています。まず、民主的ガバナンスですが、これは、政治的な参加と説明責任を促進させるもので、その他の分野における活動の基礎となるものです。

貧困削減では、国々が参加型のプロセスに基づいて貧困層の立場に立った政策を立案し、MDGsを国家予算や貧困削減戦略と結びつけ、また、MDGsのモニタリング方法を向上させるのを支援しています。危機予防と復興分野の目標は、緊急援助と開発の橋

渡しを行うと同時に、災害や紛争の根本的な要因に取り組むことです。エネルギーと環境の分野では、環境資源管理と貧困削減への取り組みの統合に努めています。そして、HIV/エイズの分野では、この問題を国の

開発の中心議題にすえるよう国々を支援し、指導者によるイニシアティブのサポートや、感染への対応策を実施する際の支援活動を行っています。

なぜやりがいがあるか。私たち以外にその仕事をする者はいないし、また私たち以上にうまくやる者もいないからです。何年間も恐怖を味わったあとに投票する人々、また、投票所に向かうときの彼らの微笑みを目の当たりにしたとき、投票所にならぶ女性の列のほうが男性よりもはるかに長かったとき、選ばれたばかりの市長がスラムにきれいな水をもたらす井戸を作ったとき、人権活動家が自由に書き自由に話したりするとき、ある少年兵が銃を捨てて学校に通うとき、自分たちの仕事が役立ってきたこと、私たちが誰か他の人の生活の向上に貢献してきたことを実感できるからです。-マグディ・マルティネス・ソリマン、UNDPの民主的ガバナンス分野のマネージャー

世界のUNDP

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アフリカにとって、この10年は、政治経済状況が着実に前進した、希望に満ちた10年間となりました。現在、アフリカの人々の大半は民主的な政府のもとで暮らし、経済成長率は上昇を続け、そしてより多くのアフリカの国々では、開発の成果が人々の目に見える現実のものとなりつつあります。エリトリアでは、乳幼児死亡率が20%減少しました。マラウイでは、就学児童数が30%増加しました。タンザニアではGDP成長率が8%に達し、アンゴラ、リベリア、モザンビーク、そしてシエラレオネなど、この地域で長年続いていた紛争の数々もその多くが終息に向かいつつあります。このようにかすかな希望の光が見えるものの、実際には、環境破壊からHIV/エイズの蔓延にいたるまで、アフリカは依然として複雑かつ膨大な開発課題を抱えています。もし現状に変化がなければ、アフリカ地域全体がMDGsを達成することはまずないでしょう。貧困撲滅という目標ひとつをとっても、2147年まで達成できないともいわれています。しかし、サハラ以南の45のアフリカ諸国で、多くの場合、独立当初から活動を展開してきたUNDPには、これとは異なるビジョンがあります。私たちはなによりも、アフリカの活力と人材が無尽蔵の可能性を秘めていることを知っています。もしこのような人材に、適切なリーダーシップやパートナーシップ、資源や民主的な政治参加などが加われば、ほとんどすべてのアフリカの国々が2015年までにMDGsを達成することも不可能ではありません。現在、UNDPのコア資金の50%はアフリカでのプロ

グラム資金として使われており、特に、民主的ガバナンス、貧困削減、紛争予防と復興支援、そしてHIV/エイズという4つの分野に重点が置かれています。新たな協力の精神近年、2つの出来事からわかったことがあります。

それは、アフリカ諸国の問題は、1カ国で対処するよ

りも何カ国か共同で対処することによって、より多くのことを達成できるということです。アフリカ連合(AU)とアフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)の結成がその画期的な例です。この2つは、地域フォーラムとしてグッド・ガバナンス(良き統治)と平和を支援し、また、成長過程にあるグローバルな市場で経済面での好機をつかむために協力しています。UNDPは、この2つのイニシアティブに対し、それらの設立当初から資金と技術の双方を活用して支援してきました。2003年には、NEPADに対する包括支援パッケージにより、民主主義の成果や民間セクターを支援する努力などを評価する、アフリカ・ピア・レビュー(相互審査)メカニズム(APRM)が立ち上げられました。アフリカ大陸の多くの国々には、公共機関の能力と

いう問題が残されています。UNDPは、様々なイニシアティブを実施し、それらの国々がより効率的に、かつ国民のニーズにより効果的に応えることができるように支援しています。2003年には、司法制度の強化や金融計画の地方分権化、農業生産の向上などを支援しました。たとえば、マリでは地方選挙の準備を、モザンビークでは環境保護に関する国家計画などを共同で実施しました。カメルーンは、UNDPの専門知識の支援を受けて、行政管理の効率化に取り組みました。HIV/エイズの感染率が高い国々は、現在、基本的

な公共サービスを維持するのに必要な人材の不足という、比較的新しい問題に直面しています。2004年の3月に立ち上げられた、アフリカ南部能力開発イニシアティブ(SACI)は、指導的能力の養成から革新的な技術を用いた格差の縮小にいたるまで、幅広い分野に対する支援を9カ国で実施しています。慢性的な貧困、食糧難、そして約30%にも達するHIV感染率などが重なっているレソトでは、政府が貧困削減戦略ペーパー

アフリカ明るい未来へのパートナーシップ

法と秩序は平和のために不可欠であるという認識から、ルワンダは大量虐殺後の警察隊についてUNDPに助言を求めました。UNDPからの支援は、個々の警官の訓練から、新しい警察署や訓練施設の設置、それに人権プログラムにまで及びました。今日、訓練を受けた警官は安全に対する新たな意識をもって、全国145の地域に配属されています。

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(PRSP)の作成を通じて、包括的対応策を詳細に計画できるよう支援しています。アフリカにとって、急速な経済成長がMDGs達成の

鍵となるでしょう。そして、その経済成長は、部分的には、世界市場へアクセスできるかによって決定されるでしょう。私たちは、アフリカ金融市場イニシアティブ(AFMI)を通じ、一連の国々と共同で金融機関の強化に着手しました。ニューヨーク証券取引所およびアフリカ証券市場協会とのパートナーシップにより、最初のアフリカ資本市場開発フォーラムが開かれ、アフリカの資本市場の将来性を知り、ベスト・プラクティス(成功例)に関する意見交換を行うために、

500人以上の参加者がニューヨークに集まりました。また、格付会社のスタンダード&プアーズを数カ国に招き、各国が初めて、国際市場参入への確実な足掛かりであるソブリン信用格付けを取得することを支援しました。そして、これまでに、ベナン、ブルキナ・ファソ、カメルーン、そしてガーナの4カ国が格付けを取得しました。これらはすべてアフリカの明るい未来を示す、多く

の兆候のほんの一部に過ぎません。UNDPは、アフリカ大陸と知識、経験、そして資源を結びつけ、2015年までの目標達成を支援しているのです。

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国連資本開発基金(UNCDF):LDC諸国におけるMDGs

国連資本開発基金(UNCDF)は、地方ガバナンスおよびマイクロファイナンス(小口金融)のプログラムなどを通じて、UNDPのパートナーとして、後発開発途上国(LDCS)のなかでも特に貧しい地域でMDGSを達成できるように活動しています。支援要求に応えるため、また、執行理事会で採択された年間3,000万ドルという目標額までコア資金を増額させるために、常に難問に直面していますが、それでもUNCDFは、個々のプログラムをあわせたよりもはるかに大きな影響力を持っています。同基金の2003年度の成果重視型

年次報告書(ROAR)によると、2000年から2003年の間に、UNCDFの地方ガバナンスプログラムより資金提供を受けて実施された、数千に上る小規模インフラ整備のプロジェクトの恩恵を受けた人々は、650万人以上になります。また、こうしたプロジェクトは、現場での経験を生かして、国家レベルの政策にも影響を及ぼすようにもなりました。このようにして、15カ国で、金融やインフラ整備、地方の貧困層へのサービスなどの分野の地方分権化政策に大きな影響を与えたのです。過去4年間、UNCDFが直接支援し

たマイクロファイナンス機関を通じて、延べ50万人以上にサービスが提供されました。さらに17カ国で、UNCDFはマイクロファイナンスが活躍できるような政策作りを支援しました。2003年、国連総会はUNCDFと国連社会経済局を2005年の国際マイクロクレジット(小口融資)年のコーディネーターに任命しました。コフィ・アナン国連事務総長は、MDGSを達成するために欠かすことの出来ない要素として、マイクロファイナンスの重要性が認識される一年になるだろうと述べています。

展開中のUNDPの活動地域全体:アフリカ南部の開発コミュニティとの共同で、統合的に水資源を管理地域全体:40カ国の市民社会グループに対すし、HIV/エイズに関するリーダーシップ・スキル向上プログラムを実施アンゴラ:8万5,000人の元兵士の復員と社会復帰事業を支援(1)ブルキナ・ファソ:貧困削減のために援助国円卓会議を共催し、20億ドルの資金を調達(2)ブルンジ:NGOとともに、約100万の人々に基幹サービスを提供(3)中央アフリカ共和国:暫定連立政権の樹立を支援(4)エチオピア:高校へコンピューターとインターネットを導入(5)サントメ・プリンシペ:財政面の監督強化のための支援(6)スワジランド:女性の財産と婚姻の権利に関する法の改正を支援(7)タンザニア:投資拡大・貧困層支援策を策定するために企業家を招聘(8)

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多様なアラブ地域には、人間開発の指標がもっとも上位に位置する国からもっとも下位に位置する国、豊かな湾岸諸国から非常に貧しい北アフリカの国々にいたる様々な国々が含まれています。2003年、アラブ地域をカバーするMDG報告書『2015年を目指して:達成と目標』が発行され、地域全体ではMDGs達成に向けてある程度の進歩がみられたことが報告されました。識字率は平均寿命とともに急上昇し、また、現在では大半の人々が安全な飲料水を手にすることができます。しかし、政治・経済面での不安定さが増した1990年代に進歩は失速し、地域の多くは、現在後退しています。一見、豊富な国内資源を保有しているかに見える

国々も含めた、地域全体の17カ国について、UNDPは、進歩を妨げるような根本要素を探求してきました。この分析は『アラブ人間開発報告書2002』によって始ま

りました。この画期的な報告書では、アラブ諸国の独立した学識者の研究に基づき、開発のために欠けている3つの要素が、躊躇なく正直に明らかにされています。その3点とは、政治的自由、女性の地位向上、そして知識です。この挑発的な結論は、アラブ諸国内で幅広い論争を呼んだ一方、世界的な賞賛を浴びました。UNDPは、これらの研究成果を、開発のためのパー

トナーシップ形成や新たな形の提言活動を生み出すことに活用しています。時として外界に対して人々の心や国境が閉ざされてしまうことのあるこの地域で、私たちは各国とともに、より開放的なアプローチの可能性を探求しているのです。

世界への復帰『アラブ人間開発報告書2003』は知識に焦点をあてたうえで、この地域の欠点は多岐にわたるうえ、それらの欠点が教育、研究、メディアそして文化全体に影響を及ぼしていると結論づけました。UNDPの地域プログラムでは、すでに高等教育の評価が始まっています。この地域の高等教育に対しては、何十年も投資が行われているにも関わらず、学生は競争の激しい国際市場への参入に対する準備が不足しているのです。そこで私たちは、アラブ地域の35校の大学で、国際基準

アラブ諸国知識型社会の推進

アラブ首長国連邦(UAE)では、女性の識字率は男性の識字率より高いかもしれませんが、この事実が他の分野の機会拡大に繋がっているわけではありません。UNDPは、同国の総括女性組合と国連女性開発基金(UNIFEM)との共同で、女性の社会参加の可能性を広げるための戦略構築を支援しました。一連のプロジェクトでは、女性の起業家支援、外の世界とのコネクション形成、法律家や政策決定者に提言活動を行うための訓練が行われています。

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に即した自己評価と外部評価を行い、問題点を明確にすることを開始しました。UNDPはまた、6カ国で、小中高等学校における理数科教育の質を測定する支援を行っています。アラブ諸国にとって、知識は、よりよいガバナンスと世界のほかの地域と競合できる多様性と柔軟性を兼ね備えた経済の双方に至る道です。それと同時に、より自由な政治体制や経済成長が新たな技術や理解の獲得に繋がるのです。UNDPは、アラブ諸国に対し、参加、法の統治、透明性や説明責任といった、より開か

れた政府の基礎を構築する方法を助言しています。2003年、私たちの支援により、バーレーンは国会議員の能力向上に取り組みました。また、イエメンは、UNDPに対して国政選挙に関する様々な技術的アドバイスを求め、この地域で行われたこれまでの選挙の中でもっとも公正かつ投票率の高い選挙を実現しました。投票率は76%で、かつてない女性投票者数を記録しました。アラブ諸国の経済状況は多様ですが、共通の問題点は、不満が蔓延する要因となっている経済の停滞です。UNDPは、様々な経済成長を生み出す活動を支援して

います。それには、エジプトにおける女性の生計維持を目的としたマイクロクレジット(小口融資)のプログラムや、レバノンでの官僚的な税関手続きを止めることで貿易の新たな展望を開くプロジェクトなどが含まれます。長期にわたる紛争に苦しむ2つの国では、人々が基本的なサービスを受けられるよう支援を行ってきました。スーダンでは、灌漑用水の汲み上げのための太陽光発電プロジェクトの共同管理を通じ、地域社会と協力して地域コミュニティ間の敵対関係の終息に取り組みました。中央政府の存在しないソマリアで

は、世界銀行と共同で、20年ぶりの社会経済統計データの収集を支援しました。このデータによって援助国は、もっとも支援が必要とされている分野を特定することができるのです。アラブ地域はかつて、多元的に並存する文化と知的

研究の世界的な中心地でした。そして現在でもMDGsを達成する見込みは十分にあります。UNDPは、アラブ諸国に対し、現在の困難に取り組み、経験を共有し、そしてより自由な、さらなる知識型社会を目指して行動できるように中立的な基盤を提供しています。

展開中のUNDPの活動地域全体:地方ガバナンスに関する最初の地域フォーラムを主催地域全体:HIV/エイズに関する初の地域記録映画を作成地域全体:女性の国籍権に関する啓蒙・啓発活動エジプト:貧困女性に起業機会を提供するため、マイクロクレジット管理者を訓練(1)サウジアラビア:初のMDG報告書、国別人間開発報告書の作成を支援(2)シリア:遺伝的多様性と農業経済を保護(3)チュニジア:クリーンなエネルギー源と新規雇用を育成(4)

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我々は恐れることなく理性から精神を解き放ち、人々の精神に息を吹き込みたい。そして我々の知識体系を新たな経済・社会・技術の源へと成長させたい。

-リマ・カラフ・フナイディ、UNDPアラブ局 局長 『アラブ人間開発報告書2003』発表に際して

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過去30年間、アジアの活力に満ちた産業が世界経済を活気付けてきました。これにより、アジアでは世界のどの地域よりも早く貧困が解消しつつあり、2015年までにその数を半減できる見通しです。また、その他のMDGsの中にも、期限内の達成が見込まれているものもあります。すでに数多くの国々が貧困に関する目標を達成しました。しかし、まだ問題も残っています。世界中で約12億人存在する1日1ドル未満で生活する人々のうち、8億人はアジアに住んでいます。この地域の経済は、外部からの衝撃に対し非常に脆弱であり、また、自然災害では著しく高い割合で死傷者が発生しています。多くの国々で、経済は着実に安定してきており、またガバナンスの面でもより開放的で柔軟になりました。そこで、現在の課題は、全体的に生じる利益を拡大し、長期にわたる持続可能性を確保することです。UNDPは、アジア太平洋地域の25カ国で、各国政府が

開発に不可欠な次のステップを踏み出せるよう支援しています。これには、より公平な経済システムの達成や、貧困と環境の問題をつなげる取り組み、民主的ガバナンスの強化などが含まれています。私たちは特に、いくつかの基本的なことに焦点を当

てています。例えば、貧困層のための機会を拡大することなどです。ベトナムで2003年に立案された起業法は、法案起草に関するUNDPの専門知識を利用して作成されましたが、それが同国の経済を一新させることになりました。同法により新たに創出された雇用は、すでに100万を超えています。モルジブでは、UNDPは、マイクロファイナンス(小口金融)プログラムを草の根グループと共同で運営し、学校に必要な地元の資金を集めました。また、14の太平洋諸島で送電網の拡大を支援し、地域別人間開発報告書で報告されたアジア9カ国の情報通信技術の格差については、2003年の世界情報社会サミット(WSIS)でも議論されました。この地域で持続可能な開発を支援するには、この地

域がかかえる数多くの人々のニーズを満たすことと、環境保全とのあいだでよりよいバランスをとることが必要です。オーストラリア政府とUNDPの支援を受けたパキスタンのプロジェクトでは、2万5,000エーカー(約100平方キロメートル)の塩分を含む浸水した農地が再生されてきました。その過程で私たちは、300万ドルを土地の生産力の回復と17の村における持続可能な生計手段の提供に投じ、3,000万ドル相当の現地資産へと転換させました。民主的ガバナンスのイニシアティブにも、公的機関

により機敏な対応を促し、政策決定への住民参加を増大させ、人権擁護やジェンダー平等を促進するための取り組みが盛り込まれています。アフガニスタンがその危機的状況から脱すると、UNDPは、ロヤ・ジルカ(国民大会議)の開催と、参加型プロセスを通じた新憲法の制定に際して、政府を支援しました。次の選挙に向けた有権者の登録も開始されています。

MDGsによる格差の特定MDGsは、アジアにおいて、経済成長から取り残さ

れた地域や国を特定するうえで、特に重要となります。UNDPのアジア太平洋地域プログラムとそれぞれの国の常駐事務所は、地域内格差を強調したアジア太平洋地域の包括的な報告書の発行を皮切りに、目標に向けて様々な啓蒙・啓発キャンペーンを行っています。国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)との協力で、目標到達のモニタリングに活用できる統計作成能力を構築する地域プログラムも始まっています。既に適切な制度を構築した国々もあります。ベトナ

ムは、貧困削減に関する第一番目のMDGsは達成しま

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アジア・太平洋地域貧困をなくす繁栄の奨励

急速な都市化の影響で、多くのバングラデシュ人が、自治体からの基本的サービスを受けられない、都会のスラムに追いやられました。水の供給が5年間も途絶えていたので、ダッカのスラムに住む家族は、UNDPが支援するNGOに働きかけ、水供給を確保しました。このNGOでは、給水所を作るための融資を保証しており、またこうした給水所を管理するための利用者組合も設立されました。これにより、疾病率は下がり、女性たちは、遠くから重いバケツを運ぶ代わりに、水の使用率をモニタリングするようになりました。

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したが、現在、UNDPの支援を受けて、医療分野と教育分野で生じた国内の格差を解析し、その対策を講じるために、地方レベルのデータ構築に取り組んでいます。カンボジアでは、UNDPは国連国別チームを率い、世界銀行およびアジア開発銀行と共に、カンボジアの人々がMDGsの活用方法を理解できるよう、支援しました。MDGsは、長いあいだ外部の世界から取り残されてきた社会において重要な最初の一歩となるでしょう。24県で行われた公開討論には、国と地方の公務員およびNGOが参加しました。優先事項に関する合意が形成されると、カンボジア政府は、2003年に貧困削

減戦略の進展をモニタリングするためにMDGsを使い始めました。これによって、すでに国家支出の重点は、国防から教育・医療分野へと移行しています。アジア太平洋地域の国々は、長い道のりを短期間で

進んできました。いまだに残る格差に焦点をあて、経済成長の恩恵をすべての人が受けられるような未来に向けて、UNDPの支援は展開されているのです。

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UNIFEM:アフガンの姉妹の権利

「国民大会議(ロヤ・ジルガ)への女性の参加は非常に重要なことで、私たちは、女性の代表によってわが国の女性の権利が保障されることを願っています」アフガニスタン、パクチャの学校教員、シリン・ゴルの願いは裏切られませんでした。2003年12月、ロヤ・ジルガは正式に、新しい憲法の中で男女の平等を明記すると述べました。この偉業は、広範な関係構築と継続的な啓蒙・啓発活動によって成し遂げられました。UNDPが管理する国連女性開発基金(UNIFEM)と、アフガニスタン国内、そして国際社会のパートナー組織が、重要な役割を果たし

ました。憲法草案は、UNIFEMの支援によって設立された、女性大臣事務所、女性問題省、最高裁の判事、それに女性関連のNGOなどで構成されるジェンダーと法に関するワーキング・グループによって審議されました。ワーキング・グループはその後、大

統領や憲法委員会、メディア、そしてロヤ・ジルカの女性代表に対して勧告書を提出しました。UNIFEMはまた、3人のスタッフを派遣してロヤ・ジルガの女性代表をサポートし、下院議員選出にあたって各州最低2人を女性枠とするための働きかけを支援しました。UNIFEMは世界中で、女性の政治

参加や女性の人権の向上、女性の経済的安定と権利を支援しています。そしてMDGsが世界中のすべての女性にとっても現実となるように援助をしているのです。UNIFEMの代表的刊行物であり、2003年初めに刊行された『世界の女性の進歩:ジェンダー平等とミレニアム開発目標(MDGs)』では、女性の地位向上というMDGsの目標の達成状況が評価されました。また、新しく立ち上げられたウェブサイト、MDGender.netは、ジェンダー平等に関する理解を促進するための資源やツールを提供しています。

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展開中のUNDPの活動中国:22日かかった通関手続きを2分に短縮する支援(1)インド:社会経済的格差に照準をあてた国別人間開発報告書の作成を支援(2)インドネシア:HIV/エイズに関する啓蒙・啓発活動を行うために伝統的な学習機関を支援(3)イラン:地球環境ファシリティ(GEF)と共同で、地域社会による山岳環境の保全活動を支援(4)ラオス:UNVを地域社会に派遣し、地方自治体のサービス改善を支援(5)パプア・ニューギニア:南京マメの栽培農家に対し、小規模起業のためのビジネス・スキルの訓練(6)東ティモール:司法制度整備を支援(7)

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ヨーロッパと独立国家共同体(CIS)は、UNDPにとってもっとも新しい活動地域ですが、この10年あまりでプログラム資金は4倍になりました。これはUNDPの活動がパートナーから信頼を寄せられている証しであるといえるでしょう。世界のほかの地域での長い活動の歴史から、持続可能で効果的な開発とは、人々が自分たちの社会にとって意味のある開発戦略を見出せるように支援することから生まれる、と私たちは確信しています。ヨーロッパとCISでは、私たちは、程度の違いこそあれ、この地域のすべての国々が直面しているガバナンスの問題、特にその中でも、より強固な民主主義の構築、人々のニーズを満たすような経済面での優先事項の保証、それに環境資源の管理方法の改善に取り組んできました。この地域でMDGsを達成するためには、これらすべての面にわたる前進が必要となります。中には、計画経済と独裁政権からの移行という難題をすでに成し遂げた国々もあります。UNDPは、10カ国の欧州連合(EU)加盟を支援しました。しかし、残る21の国々の多く、特に旧ソ連から独立した国々にとってこの10年間は、着実な経済成長にもかかわらず、引き続く紛争と貧困によって損なわれた先行きの見えない時代でした。また、この地域で深く根ざす不信と孤立の体質によって、これまで国内・国家間の協力が妨げられてきました。保健に関する問題は悪化しつづけ、HIV/エイズは世界中でもっとも急速に感染が拡大しています。

変化のための枠組み移行に成功した国でも、いまだに苦戦している国でも、UNDPは、その中立性と誠実さへの評価を生かして、いくつかの混乱を緩和しようと試みる一方、この地域の国々が新たな機会を掴めるように支援しています。UNDPがこの地域への支援でもっとも力を注いでいるのが、新たな社会の枠組みとなる民主的ガバナンスの確立です。私たちは、公共部門の改革や責任ある議会の育成、人権の擁護などを通して、健全な参加型政府の構築を支援しています。2003年、グルジアで無血革命に続いて初めての選挙が実施された際、私たちは、1万人以上の選挙スタッフを養成し、公正で客観的な選挙情報を提供するための報道センターを創設しました。モルドバ共和国では、腐敗と対峙する方法について助言し、トルコでは、地方自治体の透明性促進に取り組む市民グループを支援しました。地域全体では、2つの人間開発報告書(HDR)が発行され、幅広い議論を呼びました。ひとつは『依存という罠を逃れる』というテーマで、ロマ民族の状況に焦点を当てました。もうひとつは、『伝染病を阻止する』と題された報告書です。これは、この地域のHIV/エイズの

状況を概観する初めての試みで、急速な感染拡大の原因を包括的に分析すると共に、具体的な政策的対応を提案しています。またUNDPは、多くの国々で以前はタブーとされて

いた、貧困を主題とした議論を政治の場で活発化させるという、慎重さが要求される課題にも取り組んできました。また、MDGsに関連した分析や、民間セクターに基づいた貧困削減戦略の策定を支援し、民間部門を積極的に取り込んできました。2003年の例としては、ブルガリアにあるビジネスセンター支援が挙げられます。このセンターは、1万人以上の雇用を創出しました。企業の社会的責任の原則も浸透してきており、ポーランドの都市プロックでは、地元の石油関連企業が社会サービスの提供に貢献しています。海外直接投資を促進させるための取り組みとしては、ルーマニアで開催された地域サミットや、ボスニア・ヘルツェゴビナに対する潜在的投資家向けニューヨーク・フォーラム、それにマケドニア旧ユーゴスラビア共和国の政府に対する海外投資促進戦略に関する助言などが挙げられます。

ヨーロッパ・CISよりよいガバナンスによる自由の享受

ウクライナは、この地域でHIV/エイズの感染がもっとも急速に拡大している国のひとつです。UNDPはエイズ対策を支援するため、指導者養成プログラム(LDP)を主導しています。これにより、マルチメディアを使った意識向上キャンペーンが実現したほか、初の自宅療養プロジェクトが開始されました。ウクライナにおける40万人の感染者の一人であるオレグは、延命のための薬を受け取っています。

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また、UNDPは、環境に関してさまざまな開発パートナーと連携し、環境管理の専門知識を提供するなどして、この地域の悩みの種である環境災害の一掃に努力しています。内戦と不十分な維持管理が原因で、タジキスタンの上下水道システムの半分は破壊されました。そこでUNDPは、一連のプロジェクトにより、250万人に対する飲料水供給と灌漑サービスを復活させました。さらに、そのサービスの維持を目的として地元の水利用者による協会も設立しました。チェルノブイリの原子力発電所事故によって壊滅したコミュニティの再建も、ベラルーシ、ロシア連邦、そしてウクライナの各国で行われており、UNDPは、地域社会の自立を促進し、人道支援への依存を断ち切る努力をしています。

この地域でのもっとも革新的なプログラムを通じて、豊かな国々と、まだ外部からの支援を必要としている近隣の国々との結びつきが強まっています。援助を受ける側であった国が、いまや「新興援助国」となっています。UNDPは2003年、チェコ共和国、ハンガリー、そしてスロバキアと共同で、この地域の開発課題のための信託基金を設立しました。全体として、ヨーロッパとCISは、わずか10年あま

りのうちに大きく飛躍しました。移行期の混乱が沈静化するにつれ、UNDPは、自立促進に取り組み、依然として残された問題の克服に向けて、今までの経験から得た教訓を活かしています。

民主的ガバナンスと貧困:政策研究の先端を行くセンター

UNDPの活動エリアの中で、オスUNDPの各重点分野に対する取り組みの一環として、オスロ・ガバナンス・センターとブラジリアに本拠地を置く国際貧困センター(IPC)が設立され、プログラムの支援や政策顧問などのサービスを世界レベルあるいは各国レベルで展開するための研究活動で、主導的役割を果たしています。オスロ・ガバナンス・センターは、

UNDPの各国常駐事務所がMDGs達成に不可欠な民主的改革を実施する支

援を促進しています。特に、司法へのアクセスの確立、人権、市民社会、情報へのアクセス、そしてガバナンスと紛争予防に重点が置かれています。2003年、同センターはG8の閣僚を集め、MDGsの8番目の目標である開発のためのグローバル・パートナーシップを推進するためのステップについて、議論を行いました。その他の活動としては、ガバナンス指標の包括的な再評価、民主的ガバナンス分野におけるオスロ・フェローシップの設立など

があります。IPCの全体的な目標は、南南協力の

推進と開発途上国自身による貧困削減戦略ペーパー(PRSP)の策定および実行能力の育成です。ブラジルの経済政策機関との協力のもと、2004年初頭に設立された同センターは、高い能力を備えたアナリストや政策決定者の養成に焦点をあて、貧困削減に関する代替戦略に関する南南調査を行うとともに、貧困と不平等の監視を支援する予定です。

展開中のUNDPの活動地域全体:人の密輸対策の法制化を支援アルメニア:参加型貧困監視システムの構築を支援(1)アゼルバイジャン:人間開発のための石油歳入の活用を促進(2)クロアチア:帰還難民のコミュニティ支援を目的とした貸付プログラムの開発(3)カザフスタン:人権擁護メカニズムを強化(4)キルギスタン:国家レベルでのHIV/エイズ戦略実施を支援(5)ロシア連邦:カムチャッカ半島での生物多様性の保護活動を支援(6)セルビア・モンテネグロ:多民族が暮らす国境周辺における雇用安定化を支援(7)ウズベキスタン:政府、非政府、学術機関の情報通信技術導入に向けた提言活動(8)

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ラテンアメリカおよびカリブ地域の国々は、社会に深く根ざした開発の重要な2つのジレンマ、すなわち貧困と不平等に直面しています。貧困率はこの30年間上昇しつづけています。この地域の国々の半数以上が、2015年までにMDGsを達成することに困難を感じるでしょう。開発途上国の中でもっとも豊かな地域でありながら、もっとも不平等であり、富める者と貧しい者の生活格差が極端に大きいのです。このような分断は社会の不安定要素となりうるため、UNDPはこの地域の国々において、特に民主的ガバナンスと参加の促進を支援しています。2004年、UNDPは、18カ国での経験をもとに『ラテ

ンアメリカにおける民主主義:市民による民主主義へ向けて』を発行しました。ペルーで発表され、包括的な内容で多くの賞賛を集めた同報告書は、約1万9,000人を対象とした世論調査のほか、231人の政治家や社会的指導者からの意見に基づいて作成されました。この報告書では、民主主義が単に選挙の問題ではなく、広く社会の人々が自分自身の生活を決定する事柄に自分の意志を反映できるようになることの重要性が指摘されています。また、結論では、ラテンアメリカでは、権力が共有されなかったことから政治制度への広汎な不信感が招かれ、公共部門の非効率性もあいまって、人々が貧困から抜け出せない状況に追いやられていると述べられています。UNDPは、ラテンアメリカおよびカリブ地域の44カ

国での数十年にわたる経験から、政府や市民社会、それに民間セクターが、特に貧困削減や民主的ガバナンス、それにエネルギーと環境の問題などの開発に関する優先事項を決定する際に、有用な助言を与えられる

立場にあります。この地域での主要なパートナーのひとつである米州開発銀行(IDB)とは、2003年、正式に長期的な協力協定を再確認しました。

共通の未来に向けたコンセンサス国別プログラムと地域プログラムを通じて、UNDP

は、ラテンアメリカおよびカリブ地域の各国がより強固な公共部門を設立できるように、また、参加型の対話を通じてコンセンサスを形成できるように支援しています。2003年、オランダ多党制民主主義協会とUNDPの支援による2年越しの交渉の末、グアテマラでは21の政党が「国家共有アジェンダ」に署名しました。これは平和と復興に向けた国家の長い道のりの重要な一歩となります。また、このアジェンダは、総選挙に先がけて、MDGsだけでなく、市民社会と政治家の合意も反映した、開発に関する青写真を提供しました。セントクリストファー・ネイビスは、UNDPとカリ

ブ共同体に対し、ネイビス島議会が提出した分離独立への要求を軟化させるために不可欠であった憲法改正を行うために支援を求めました。コロンビアでは、国民4,000人以上に対する調査結果をもとに紛争の多面的な要因を探り、2003年国別人間開発報告書(NHDR)を発行しました。この報告書は、平和に向けた一連の具体的な解決方法を提案し、さらなる議論を喚起しました。ペルーでは、UNDPは、政府に対して、2003年中に

都市部の貧困層12万5,000人を対象に短期雇用を創出する、緊急雇用プログラムの創設を提案しました。またブラジルでは、政府とIDBから提供された2億3,000

万ドルをもとに、財務省が連邦レベル、州レベル、そして地方レベルで、より効率的に財政管理できるよう支援を実施しました。地方のガバナンス強化を目指した地域プロジェクトでは、様々な地方自治体による300以上の成功例を文書管理し、地方公務員やその他の関係者間での専門知識や情報の共有を実現しました。

ラテンアメリカ・カリブ地域包括的な民主主義の構築

ボリビア人のホセ・ルイス・ロドリゲスは、個人のイニシアティブに沿った金融サービスへのアクセスにより、貧困と繁栄の格差を越えることができることを知っています。UNCDFがボリビアでのビジネスを支援し、国際的な金融サービスと都市の零細起業家をつなぐシステムを設立すると、ロドリゲスは小額の融資を確保し、金属加工業を開業しました。

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地域全体としては、天然資源の持続的な利用と、自然災害に対する脆弱さが依然課題となっています。チリ南部に位置するチロエ群島の35の島々では、UNDPと国家エネルギー委員会、そして非営利団体「持続可能な開発のためのE7基金」の協力により、再生可能エネルギーの利用がまもなく実現される見通しです。私たちはまた、2003年に、16のカリブ諸国と「カリブ災害緊急対策機関(CDERA)」との共同で、この地域での包括的災害管理計画の策定に着手しました。

ラテンアメリカおよびカリブ地域の国々は、一部の人々の利益にかたよった開発の代償を明確に物語っています。UNDPは、MDGsの包括的なビジョンに立脚し、この地域の国々の亀裂を癒し、すべての人々が民主主義と繁栄を享受できる持続可能な社会の構築を支援しているのです。

国連ボランティア計画:開発への扉を開く

国連ボランティア計画(UNV)のもっとも重要な使命は、人々の生活向上に資する開発のために、ボランティア達の可能性を最大限に引き出すことです。今後、ボランティア活動を通じて、多くの普通の人々の結束や創造力を活用していくことが、MDGsを達成する上でますます不可欠になるでしょう。例としては、1,000万人のボランティアが、世界ポリオ根絶イニシアティブの一貫として5億5,000万人の子どもへの予防接種活動を支援しました。彼らの貢献を金額に換算すると、国家や国際組織が支出可能な額を大幅に上回る100億ドル近くに達すると試算されました。UNDP傘下にあるUNVは、MDGs

に対する取り組みの一環として、人々がMDGsに貢献できるよう、これまでにない広汎な機会を提供しています。2003年は、UNVにとって記録的な年となりました。同年、165カ国から参加した5,600人を超すボランティアが、150カ国で行われた5,800以上のプロジェクトを遂行したのです。若者の参加を促進するために、

UNVは、UNDPおよびボリビア当局と協力して、貧困削減に対する支援活動のために、1,200人を超す大学生を地域コミュニティに派遣しました。途上国で新たに発足した機関の運営や拡大強化の支援についても、数多くの国々で取り組んでいます。オンライン

によるボランティアサービスにより、180カ国の1万2,000人のボランティアが、自国にいながらその技能を提供できるようになりました。また、国際ボランティア・デーは、

2001年の国際ボランティア年を通じて構築された幅広い支援体制に基づき、各国の組織や個人がMDGsを具体的な方法で支援するための出発点としての役割を果たしています。国際ボランティア年の成功は、

2003年11月に逝去したUNV前事務局長のシャロン・ケイプリング・アラキジャ氏のもっとも輝かしい功績のひとつでした。彼女はボランティア精神の真の代弁者であり、その貢献は計り知れません。

展開中のUNDPの活動アルゼンチン:ビジネスを利用したMDGsを支援(1)ブラジル:森林保全とそこに住む貧困コミュニティを支援(2)チリ:先住民の間での開発格差を記録(3)ガイアナ:起業家に対するビジネス・スキルの養成(4)ホンジュラス:HIV/エイズ防止に対する新たな資金を確保(5)ニカラグア:開発戦略を話し合うためのタウン・ミーティングを開催(6)トリニダード・トバゴ:短期的な人材不足を補うためにUNVの医師を派遣(7)

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知識各国のUNDP常駐事務所は、豊富

な情報が飛び交う知識ネットワークでつながっています。アルジェリアは、アラブ諸国のネットワークを頼りに司法改革の形成に取り組んでいますが、人権尊重の制度面での強化や一般からのアクセス改善に際して、UNDPが支援の中心的役割を果たすよう要望しました。これにより、2つの試験的な法廷が設立されたと同時に、ウェブ上初の裁判網も開設されました。

能力開発のためのパートナーシップUNDPは近頃、9カ国の政府および

マイクロソフト社との共同で、アフリカ南部能力開発イニシアティブ(SACI)を開始しました。同イニシアティブは、HIV/エイズの感染拡大による労働力の弱体化を少しでも食い止めようというものです。マラウイでは、ボランティアがカウンセリングとサポートを提供しています。

啓蒙・啓発活動UNDPは、緊急の開発問題への対処を喚起するために、グローバルなネットワークと幅広いパートナーシップを擁しています。MDGsのなかでも特に、貧困を半減させるという第一番目の目標を普及させるために、UNDPの親善大使であるロナウドとジダンは、彼らの友人40人を集め、スイスのバーゼルで貧困削減チャリティ・マ

ッチを開催しました。このイベントは、メディアで大きく取り上げられただけでなく、UNDPの国別貧困削減プロジェクトに対する基金として、100万スイスフランを調達しました。

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今日、UNDPは、活気と知性に満ち、知識を共有し、強力なパートナーシップをもち、変革への現実的な計画と長期的なビジョンをあわせ持つ組織として生まれ変わっています。これが過去4年間にわたる改革の結果であり、改革そのものの進展とその速さも、私たちの予想をはるかに上回るものとなっています。これは、国連の歴史の中でもっとも広範囲にわたる人員の再編成なのです。今日、私たちがサービスを提供する国々や人々の支援に向けた、グローバルな専門家のネットワークが今までよりさらに完全な体制で整えられつつあります。それは、成果重視型マネジメントを行い、説明責任に対する組織の意識を強め、事業を展開するために一連の最先端の技術を活用することで実現されています。このような改革努力と成功が援助諸国に評価された結果、2003年にはUNDPへのこれらの国々からの資金流入が急増し、国連機関のひとつに対して承認された予算額としては、ここ数年来で初の実質的な成長がみられました。プログラム実施国も私たちの努力を再評価し、その結果UNDPへの5つの重点分野における政策支援や助言の要請も記録的な数に達しました。英国のファイナンシャル・タイムズ紙など、国際的なビジネス紙も、私たちのビジネスモデルの大々的な変革を賞賛しました。そして、私たちの年次スタッフ調査に

参加した、5,000人を超えるUNDPのスタッフの大半は、組織が目指す方向に確信をもっていると答えました。

成果をもたらす開発2003年は、4カ年の運営計画の最終年であったこと

から、私たちは内部変革の整理・統合に従事しました。この改革が現在のUNDPの高い能力を生み出しています。組織基盤を根本的に再構築することで、私たちの責務も、私たちが提供するすべての分野において組織的な能力を引き出すことへと変化してきました。その分野とは、啓蒙・啓発活動、知識、パートナーシップ、そして能力向上への支援です。私たちは、紛争時でも平和時でも現場に常駐していることで世界的に知られる、信頼できる開発のパートナーとして、状況に合わせて自分たちの能力を適応させ、また、発揮する方法を体得しています。もっとも重要な最初の一歩は、2003年の執行理事会

において発表された多年度拠出枠組み(MYFF)です。これには、2004年から2007年の期間における、私たちのプログラム、重点分野、実務プロセスの戦略的な配置をより強化するための方法が詳細に提示されています。この枠組みは、2000年から2003年までの間にプログラム実施国からUNDPのサービスに寄せられた

UNDP内部改革の再確認

世界への窓

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需要をもとに策定されています。そして、特にMDGs達成のために、私たちがどのようにすればもっとも効果的に、結果をもたらす開発を支援できるのかを明らかにしています。また、その結果を測る方法を単純化するため、透明性と説明責任に特に重点が置かれています。その後、私たちは、6つの重点分野を5つに再編し、その下に30の明確なサービスラインを設けました。種々の活動は、それぞれのサービスラインに組み入れられることによって、直接MDGsに結びつくのです。すべての重点分野におけるジェンダー重視も徹底しています。開発のための情報通信技術(ICT)分野の活動は、貧困削減と民主的ガバナンスという2つの分野に包括され、残りの3つの分野は、エネルギーと環境、危機予防と復興、そしてHIV/エイズとなりました。また理事会は、危機予防と復興分野におけるサービスへの需要の増加を考慮し、危機予防復興支援局(BCPR)の拡充に合意しました。UNDPの重点分野は、組織の重点化と敏捷性を増す

一方で、私たちの使命であり開発の有効性にとっても重要な2つの要素、すなわちパートナーシップと能力開発の基盤としての役割も果たしています。MYFFはまた、国連システム内外の諸機関といかに協働すべきかを明確化していますが、これはMDGsを達成する

ために不可欠といえます。そして、UNDPは引き続き、我々の責務を果たすうえでパートナーシップを欠かせないものとするための努力を続けます。こうした協調は、各国が変革を取り入れ維持していく能力、そして、自分たちの開発アジェンダに自ら取り組むという、UNDPのすべての重点分野に統合されている概念を実現する能力を構築する助けとなることでしょう。各国の常駐事務所と、開発政策局(BDP)の中に最近設立された能力開発グループは、最新の知的調査活動とUNDPの現場での経験を組み合わせた知識資源の集約に着手しました。このグループは、活動分野における既存の成功例を特定し、これらの例を通じて各国が戦略的かつ長期的な能力開発計画の策定を可能とする方法を評価しています。

変革への協調課題UNDPの改革プロセスは、急速にグローバル化する

世界の複雑なニーズに対して組織を適応させるために不可欠なことでした。しかしそれでも2003年の出来事は、状況を一層困難にするものでした。MDGsが急務の課題であることが鮮明になっただけでなく、事務総長コフィ・アナンによる国連改革推進の重要性が強調され、特に国連システム諸機関の協調が重視されました。

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MDGsの射程に必然的に入ってくるのが、協調化(ハーモナイゼーション)です。国連内部では、目標達成に向けた各機関の連携強化の必要性が議論されてきました。協働により、さまざまな機関は、共通のプログラムのイニシアティブや成果の中に目標を統合でき、また、もっとも望ましい形で専門知識や資源を使うことができるのです。複数の機関が協働すれば、貧困削減戦略ペーパー(PRSP)や国家開発計画など、世界レベル、地域レベル、そして国レベルの開発戦略をよりスムーズに横断することも可能になります。そして、これらすべてが、より能率的で対費用効果があり、より各国の優先事項に柔軟に対応できる開発につながるのです。特に、複数の開発パートナーとのやり取りに四苦八苦している国々にとって、複数機関が協調することは、MDGsを達成するためにも必要不可欠なことなのです。UNDPは、国際的にはUNDGの長として、また国レ

ベルでは常駐調整システムの常駐調整官として、この数年来行われてきた共通の評価や開発計画枠組みの導入など、協調性を構築する上で主要な役割を果たしています。2003年には、私たちは内部評価の基準を厳格にし、組織内でもっとも優れた人材を常駐調整官の地位につけています。同時に、UNDGが成果重視型の制度を初めて導入し、各国と国連の開発目標を直接結び

つけています。また、組織のガイドラインも合同プログラムを容易に行えるように改定されることとなりました。共通の承認方法、実行・監視手段の導入、共通の方法による資金調達のための原則の確立、国内のパートナーとの合同戦略会議など、これまで機関ごとに個別に行っていた事柄を共同で行うことにしたのです。経済協力開発機構(OECD)のいくつかの基本方針

は、私たちの協調イニシアティブを遂行する上で参考となりました。例えば、国家の優先事項や能力開発に焦点を当てる必要性や、それぞれの国によって大きく異なる実情に柔軟に対応できるようにする必要性などです。ベナン、エクアドル、ケニア、ニジェール、パキスタンの5カ国は、2003年、協調化のパイロット事業を開始しました。2004年中には、さらに16カ国がこの試みに加わることになっています。危機的状況に対しては、世界銀行および国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と提携し、4Rイニシアティブというものを進めています。これは、帰還(repatriation)、社会復帰訓練(rehabilitation)、再統合(reintegration)、そして復興(reconstruction)にかかわるすべての国連機関が共同で活動するための、包括的な戦略を提供するものなのです。

シエラレオネ:平和に向けた国連内の連携

シエラレオネのケースは、国連機関が協働すれば、平和構築の分野の強力なパートナーとなりえることを示す代表例といえます。シエラレオネでは、内戦で人口の半数が国外難民となり、国のインフラは荒廃したままです。そのため、同国への介入は、十分調整され、効率的で、なおかつ国やコミュニティでの優先課題に機敏に対応するものでなくてはならず、乏しい資源を最大限に生かしたものでなくてはなりませんでした。2002年に公式の平和宣言が出さ

れる以前から、国連国別チームのメンバーとの緊密な連携を続けることにより、国連は特別な調整をしてきました。人道および開発活動における国連常駐調整官に任命されたUNDPの常駐代表はまた、国連事務総長の特別代表代理としての任命も受け、国連国別チームを率いて、政府やそのパートナー機

関とともに、一元的な国の復興プログラムを策定しました。それぞれのメンバーは、時には国連

平和維持軍とも緊密に連携しながら、各自の専門能力を生かしてきました。国連児童基金(UNICEF)と世界保健機関(WHO)は共同で、何年も医療施設が存在しなかった地域で、子どもに対するワクチン投与を行いました。また、UNDPは、元兵士の社会復帰と選挙の実施を支援しました。国連食糧農業機関(FAO)と世界食糧計画(WFP)は、作物の種子や農器具、食糧を提供しました。国連常駐調整官によって統括されたこれらの共同イニシアティブは、国家および地方レベルによる復興過程の管理の指導にあたりました。こうした活動すべてが、シエラレオ

ネに平和を根付かせるうえで役立ちました。そして今では、国連による紛争

後の介入としてはもっとも成功を収めた例のひとつとして広く認識されています。2003年、国連国別チームと政府は、MDGsに沿った4カ年開発計画の国連開発援助枠組みに合意しました。UNDPはまた、世界銀行とともに、開発パートナー委員会も支援しています。この開発パートナー委員会では、国連国別チームと援助国、市民社会の参加のもと、適切なガバナンスと貧困削減という、平和な社会における2つの柱に関する最善の戦略が合意されています。シエラレオネの人々は長い間、衛生

的な水、機能する学校、そして投票の機会を待ち焦がれてきました。国連による調整活動は、それを現実のものとし、平和が繁栄する見込みを確かなものとしたのです。

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業績:システムと人々UNDPが、時宜にかない、また必要とされる場所で

開発の成果をうみだせるか否かは、私たちの組織運営の効率性とスタッフの質とにかかっています。すばやく円滑な運営システムは、高い業績をもたらします。知識の創出と普及に従事する組織にとって、最先端の科学技術は特に重要なのです。2003年、私たちは、「アトラス」の導入に向けて道を開きました。アトラスとは、ピープルソフト社の統合基幹業務システムをUNDP用に構築したもので、2004年1月にオンライン上で期日通りに開始されました。アトラス導入により、今後2年間で16の既存のシス

テムを廃止することができます。これまでのシステムの多くは、すでに機能面で不適切であり、また、統合が不完全であったり、莫大な維持費がかかったりしました。アトラスでは、UNDPの財政、プロジェクトおよび人材に関する情報が統合される予定です。支払いの処理から危機的な状況下でのニーズに迅速に対応できる人材の確保まで、アトラスによって、私たちがどのように資源を管理しているのか、また、私たちがどうすれば引き続き効率性を保っていけるのかを、個別の状況を確認すると同時に戦略的に概観することが可能になるのです。システムの構築にあたっては、国連システム内部で

まれに見る共同作業が実現しました。UNDP、国連プロジェクト・サービス機関(UNOPS)、国連人口基金(UNFPA)の職員が参加し、国連高等弁務官事務所(UNHCR)からは積極的なパートナーシップを得ました。そして、こうした共同作業が、私たちが目指す、開かれ、相互に結びつき、知識に基づいた組織への大きな一歩となりました。アトラスは、特に組織の中心課題でもある、優秀な人材を開発し、また、保持する能力を高めることになりました。2003年を通じて、人事部の再編に端を発し、UNDPは、この分野でのさまざまなイニシアティブを徹底的に追求しました。職員管理業務はニューヨークからコペンハーゲンに移管し、規模の経済とよりよいサービスの提供を実現しています。ニューヨークに残った部門は、好業績のスタッフの地位を上げることに

戦略的な焦点をあてています。また、新たな学習戦略もこの年の末に完成しました。

生涯学習とリーダーシップ・ディベロップメント・プログラム(LEAD)がコロンビア大学との共同で実施されました。スタッフの学習は、すでに私たちの成果・能力評価システム(RCA)と一体化されていましたが、昨年になってはじめて、目指されるべき目標と総合的な評価対象が一致したのです。研修コースとしては、欧州連合のモデルを採用した国際コンピューター操作ライセンス(ICDL)の取得などが含まれています。この免許は、UNDPの全職員に対しコンピューターの操作方法を習得させてアトラスの維持を図る目的で、世界中の事務所で実施され、ほぼ100%の参加率を達成しました。2004年には、バーチャル・ディベロップメント・アカデミー(VDA)の規模が4倍に拡大し、400人のスタッフに対し、重点分野やMDGsに関する学習の機会を提供しています。そのほか2003年の重要事項としては、新たに開設さ

れたオンブズパーソン事務局がはじめて年間を通じて活動を開始したことが特記されます。同事務局は、350以上の事例を取り扱い、説明責任手順に関する枠組みを発行しました。現地職員に関する新たな方針では、内部相談システムの構築が提言されています。このシステムの中で、現地職員は他国の事務所と意見を

交換することができます。また、管理職の男女比に関する方針では、UNDP内で低い女性指導者の割合を是正することとし、2010年までにすべての専門的な職位の男女比を同数にする目標を立てています。バグダッドの国連事務所の爆破事件以降、すべての

国連機関での安全システムの総点検が始まりました。UNDPの執行理事会は、もっともさしせまった脅威に対処するために、安全対策の支出を60%増加させることを認可しました。安全対策は、私たちが今後直面する難問の中で、もっとも厳しいもののひとつとなるでしょう。だからといって、それによってUNDPの活動が滞るわけではありません。私たちは、複雑にからみあった危機的状況を収束するために手をさしのべる覚悟ができていますし、世界中必要とされるならどこへでも、専門知識を提供する心構えがあるのです。

組織に対する信頼は飛躍的に高まった。コア予算は増加しているし、世界の開発に対するUNDPの貢献も拡大している。-第57回国連総会議長、ヤン・カバン(チェコ共和国)

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2003年、UNDPの総資金は過去最高レベルの32億ドルに達しました。特に財政的にも政治的にも重要なことは、通常予算、すなわちコア資金が伸びていることです。昨年のコア資金の総収入は7億6,900万ドルに達し、これは、もっとも低かった2000年の額より1億2,400万ドル増えたことになります。UNDPの広範な内部改革の結果を見て、援助国もプ

ログラム実施国も、増加した分だけではUNDPの目標には届かないと認識しているようです。各国、地域、そして世界という舞台で、各国の閣僚のあいだでは、もっと継続的に資金を確保しようとする意思が、より強くなっているように思われます。例えば、昨年7月のアフリカ連合(AU)首脳会議では、援助諸国に対し、UNDPに対するさらなる拠出を呼びかける動議が採択されました。しかしながら、それでも通常資金はUNDPに対する需要の増加にはまったく追いついておらず、目標の11億ドルを下回っています。ノン・コア資金(特別予算)は、既存のプログラム強化や、欧州委員会、地域開発銀行、世界銀行やその他民間セクターなどとのパートナーシップの育成などに使われ、通常資金を補完する重要な役割を担っています。しかし、コア資金とノン・コア資金は互いに交換可能なものではありません。UNDPがノン・コア資金を集めることができるかどうかは、適切で確実な多国間資金の基盤を有し、それを用いた活動によって裏打ちされた開発の専門知識を提供できるかどうかにかかっているのです。実質的には、OECD開発援助委員会(DAC)の援

助国すべてが、UNDPの5つの重点分野におけるプログラムに対し、共同で資金を拠出することに積極的です。第三者協調資金は、UNDPを通じたプログラム運営に対して、二国間の援助国政府や多国間機関によって提供された資金ですが、2003年には約10億ドルに達しました。その結果、総収入は18億ドルに達しました。私たちの信託基金は、通常資金や多国間あるいは二国間筋の資金を使うことができない場合に資金を提供しました。こうした基金は、各国や地域レベルで、ニーズに基づいた、そして特に後発開発途上国(LDCs)とアフリカに焦点をあてた、継続的な開発支援を維持するのに役立っているのです。UNDPを通じて自国の開発プログラムを支援するた

めに、各国政府から充てられたプログラム実施国の協調資金も、総額10億ドルに達しました。国レベルで利用可能な援助の仕組みが多様化し、増大するにつれ、さまざまなタイプの資金を、それぞれの国の優先事項に沿って獲得・注入・管理するために、各国政府からUNDPに対して、これまで以上に、さらなる支援に対する要望が寄せられています。

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総収入 2003年(見通し)

*コスト分担金および信託基金を含む。注:(a)拠出金は、それぞれ管理資金からの収入、予算外収入、

雑収入、管理サービス契約からの収入も含む。(b)オーストリアの拠出金は、前年度からの繰越金を含む。(c)欧州委員会はUNDPのノン・コア資金に対する主要な資金提供者である。

コア資金に対する拠出金 上位24カ国(単位:百万米ドル)

米国ノルウェー日本オランダスウェーデン英国デンマークスイスカナダドイツフランスイタリアフィンランドアイルランドベルギースペインオーストリアオーストラリアインドニュージーランド中国サウジアラビアポルトガルキューバ

103.7291.6486.7785.8862.4460.4455.2738.5238.2228.2818.2816.2714.5313.9712.946.855.374.674.633.433.102.001.601.35

80.3455.8688.2944.9543.0887.7912.938.4829.6012.632.6127.603.473.576.172.74-

13.810.61.529.047.710.310.12

援助国 コア資金 協調資金*

UNDPの資金

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プログラム実施上位国による分担金 2003年(見通し)

資金 1993年-2002年

UNDPコア資金 第三者協調資金 プログラム実施国による分担金

他の資金**

*  管理資金からの収入、予算外収入、雑収入、管理サービス契約からの収入も含む** 見通し

エルサルバドル

グアテマラ

ブルガリア

中国

ボリビア

ホンジュラス

ブラジル

ペルー

パナマ

コロンビア

アルゼンチン

0 25 50 75 100 125 150 175 200

単位:百万米ドル

出典: BRSP, UNDP

3,500

3,000

2,500

2,000

1,500

1,000

500

単位:百万米ドル1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003*

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用語

BCPR:危機予防復興支援局

BRSP:資金・戦略的パートナーシップ局

CIS:独立国家共同体

GDP:国内総生産

GEF:地球環境ファシリティ

ICT:情報通信技術

IDB:米州開発銀行

LDCs:後発開発途上国

MDG:ミレニアム開発目標

NEPAD:アフリカ開発のための新パートナーシップ

NGO:非政府組織

OECD:経済協力開発機構

UNCDF:国連資本開発基金

UNDG:国連開発グループ

UNDP:国連開発計画

UNFPA:国連人口基金

UNHCR:国連難民高等弁務官事務所

UNIFEM:国連女性開発基金

UNOPS:国連プロジェクト・サービス機関

UNV:国連ボランティア

WTO:世界貿易機構

主要出版物に関するウェブサイト

アラブ人間開発報告書2002:次世代へ向けた機会の創造http://www.undp.org/rbas/ahdr/

アラブ人間開発報告書2003:知識型社会の構築に向けてhttp://www.undp.org/rbas/ahdr/

依存という罠を逃れる:ロマ民族に関する中央・東ヨーロッパ地域別人間開発報告書http://roma.undp.sk/

ラテンアメリカにおける民主主義:市民による民主主義へ向けてhttp://www.undp.org/democracy_report_latin_america/

人間開発報告書2003:ミレニアム開発目標達成に向けてhttp://hdr.undp.org/reports/global/2003/

アラブ諸国のミレニアム開発目標-2015年を目指して:達成と目標http://www.undp.org/rbas/amdg.htm

機会への扉を開く:アフガニスタンのミレニアム開発目標http://www.undp.org/mdg/countryreports.html

災害リスク軽減に向けて:開発に課せられた課題http://www.undp.org/bcpr/disred/rdr.htm

伝染病を阻止する-現状と政策オプション:HIV/エイズに関する東・南東ヨーロッパ、バルト海沿岸、CIS地域別人間開発報告書http://www.undp.sk/hiv/

紛争の地元要因を変容させるために:コロンビア国別人間開発報告書http://hdr.undp.org/reports/default.cfm/

起業家精神を解き放つ-ビジネスを貧困対策に生かすにはhttp://www.undp.org/cpsd

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目次

1 新生UNDP:成果をもたらす

2 行動のとき

7 平和への道のり

11 世界のUNDPアフリカアラブ諸国アジア・太平洋地域ヨーロッパ・CISラテンアメリカ・カリブ地域

22 UNDP内部改革の再確認

26 UNDPの資金

詳細についての問い合わせは、UNDPの各国常駐事務所または以下までご連絡ください

UNDP本部United Nations DevelopmentProgrammeCommunication Office of theAdministratorOne United Nations PlazaNew York, NY10017, USATel:(212)906 5000Fax:(212)906 5364

UNDP欧州事務所Programme des Nations Uniespour le développementBureau européenPalais des NationsCH-1211 Genève 10,SwitzerlandTel:(41-22)917 8542Fax:(41-22)917 8001

UNDPブリュッセル連絡事務所UNDP Liaison Office in BrusselsUnited Nations Office/UNDP14 Rue Montoyer1000 Bruxelles, BelgiumTel:(32-2)505 4622Fax:(32-2)505 4729

UNDP北欧連絡事務所UNDP Nordic OfficeMidtermolen 3, PO. Box 2530DK-2100 København O,DenmarkTel:(45-35)46 71 54Fax:(45-35)46 70 95

UNDP東京事務所〒150-0001東京都渋谷区神宮前5-53-70UNハウス8階Tel:(03)5467 4751Fax:(03)5467 4753www.undp.or.jp

UNDPワシントン連絡事務所UNDP Liaison Office inWashington, D.C.1775 K Street, NW, Suite 420Washington, DC 20006 USATel:(202)331 9130Fax:(202)331 9363

UNDP欧州・CIS地域支援センターUNDP Regional Support CentreEurope andn the Commonwealthof Independent StatesGrosslingova 35Bratislava 811 09, SlovakRepublicTel:(421-2)59337 428Fax:(421-2)59337 450

詳細については本部ウェブサイトwww.undp.orgをご覧下さい

写真提供

表紙上:Nicolas Doucet/Geneva表紙下:UNDP UAE1ページ: Shoko Noda/UNDP2ページ:Radhika Chalasani/UNDP3ページ:Adam Rogers/UNCDF5ページ:Millennium Campaign7ページ:UNDP Serbia and Montenegro10ページ:Shehzad Noorani/UNICEF12ページ:UNDP Rwanda14ページ:UNDP UAE16ページ:LIFE Programme/UNDP18ページ:Arne Ove Bergo/Dagsavisen20ページ:Adam Rogers/UNCDF22ページ左:Mohamed Ghobrini/UNDP22ページ右:Fletcher Gong’a/UNDP23ページ:Ruben Sprich/Reuters

表紙:すべての国連加盟国は、8つのミレニアム開発目標(MDGs)を2015年までに達成することに合意した。1つ目の目標、「極度の貧困の撲滅」にむけては、貧困撲滅プロジェクトの活動資金を募るために、多くの参加者を得て、2003年、UNDPの主催で、貧困削減チャリティ・マッチがスイスで行われた。また、「ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上」という3つ目の目標に関しては、アラブ諸国の女性が全体として、男性と同レベルの教育を受けられるようになりつつある。また、就職や政治活動への参加などに対する障壁が徐々に取り除かれている。1つ目から7つ目の目標を達成できるかどうかは、8つ目の目標:「効果的な開発に国内外の資源を提供するよう、南北間の国々のパートナーシップを推進する」にかかっている。

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UNITED NATIONS DEVELOPMENT PROGRAMME ANNUAL REPORT 2004

UNDP東京事務所〒150-0001東京都渋谷区神宮前5-53-70UNハウス8階

www.undp.or.jp

国連開発計画(UNDP)年次報告書United Nations Development Programme

Annual Report 2004

©U

ND

P 2004年12月

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