~当院での診断・治療を中心に~...(検尿) 赤血球100以上/ HPF 白血球1~4...
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腎がん・膀胱がんについて
高知医療センター泌尿器科 小野憲昭
~当院での診断・治療を中心に~
本日の内容
泌尿器科の取り扱う臓器・疾患
腎がん (腎細胞がん)
膀胱がん
泌尿器科とは・・・
腎・尿路・男性生殖器
および副腎など
後腹膜臓器の疾患を
主に扱う
尿道
前立腺膀胱
尿管
腎臓腎がん,腎盂腎炎腎結石腎不全(透析,腎臓移植)
尿管結石
膀胱がん,膀胱炎過活動膀胱,尿失禁
肥大症とがん
泌尿器のしくみとおもな病気
肛門
前立腺
直腸
尿道
膀胱
前立腺
膀胱
膀胱と前立腺(男性)
子宮
膀胱
恥骨
骨盤底筋
腟
直腸
膀胱・尿道(女性)
泌尿器科に受診するきっかけ
排尿に関する異常
血尿:肉眼的血尿
排尿障害:排尿困難,尿閉,頻尿,排尿痛
尿失禁,無尿など
検診での異常
尿検査(顕微鏡的血尿,尿蛋白など)
超音波検査,前立腺腫瘍マーカー(PSA)
男性でのがんの発生率
日本(2001年) アメリカ(2006年)1.胃2.大腸3.肺4.肝5.前立腺6.食道7.膀胱8.膵臓
1.前立腺2.肺3.大腸4.膀胱5.皮膚6.リンパ腫7.腎臓8.白血病
腎がんとは
【好発年齢】 40~70歳代(30歳以下の若年でも稀に)【性別頻度】 男女比 2:1
腎実質から発生するがん
腎がんの症状
最近は医療技術の発達により、症状がなく、偶然に超音波検査やCTで発見されることが多くなっている
疼 痛
いたみ
腫 瘤
お腹のしこり
血 尿
赤いオシッコ
腎がんの転移部位
腎がんの診断法超音波検査
CT レントゲン検査
腎がんの治療法
・腎がんは抗がん剤、放射線が効きにくく、手術(腎摘除術、腎部分切除術)が最も効果のある
治療法である
・その他の治療法として免疫療法(インターフェロン、インターロイキン)
などがあるが、治療効果は約10~30%である
・転移のある腎がんには、近年、分子標的薬という、内服薬による治療も開始
症例 44歳 男性
主訴 肉眼的血尿
現病歴 赤いおしっこが出たため近くの病院を受診する。
(そのほかに特に症状は認めなかった。)
超音波検査、レントゲン検査、CTで右腎腫瘍を指摘されたため、泌尿器科に紹介となる。
肉眼的血尿にて発症した症例
レントゲン検査(D I P)
腫瘍で腎杯は圧排されている
CT検査
単純CT 造影CT
右腎腫瘍
M R I
右腎腫瘍
血管造影
右腎腫瘍
摘出標本
右腎摘除術(嫌色素腎細胞がん)
症例 68歳 女性
主訴 右骨盤骨骨折による痛み
自宅で転倒し、右骨盤骨を打ち、激痛を認めるため、当院救急外来を受診する。右骨盤骨骨折のため、整形外科に入院。骨転移による骨折と診断され、CT検査で左腎腫瘍を指摘されたため、泌尿器科に紹介となる。
病的骨折にて発症した症例
レントゲン検査
右腸骨剥離骨折(骨転移)
腫瘍により腎杯が圧排されている
腹部単純 腎盂造影
CT検査 ①
単純CT 造影CT
左腎腫瘍
CT検査 ②
骨転移
骨シンチ
右腸骨転移
摘出標本
左腎摘除術(淡明細胞型腎細胞がん、グレード2)
2cmのがん
腎部分切除術
腎がん50~60歳代に多い男性に多い
男性:女性=2~3:1
症状:血尿,腫瘤,疼痛
最近は検診で偶然発見される例が増加した
治療:手術
まとめ
腹腔鏡での腎摘除術
膀胱がんとは
膀胱の壁の一番内側を覆う移行上皮粘膜の細胞から発生するがん:尿路上皮がん
膀胱がんとは
• 60~70歳代の男性に多い癌
• タイプにより進行の早さが違う
• 早期発見が大切
-疫学 -(発生頻度)悪性新生物死亡者の1.6%(4781人):平成11年度(性別) 男女比 3.8:1 で男性に多い
-疫学 -(年齢)全体の93%が50歳以上
腫瘍の形態
病期分類(TNM分類)
転移部位
症 状
膀胱がんかどうか精密検査を受けた方がよい症状
• 肉眼的血尿 (85%の症例にみられる)
• 尿検査で潜血反応がでたとき
• 膀胱炎のような症状が続くとき
診 断
• 尿細胞診
• 尿検査
• 膀胱鏡検査
• 膀胱生検
膀胱鏡検査
表在性膀胱がん 浸潤性膀胱がん
膀胱鏡硬性鏡
軟性鏡
腎盂造影
C T
表在性膀胱がんの治療
• 表在性膀胱がん– 経尿道的膀胱腫瘍切除術
• 上皮内がん
• BCG注入療法– 膀胱全摘除術+尿路変更術
経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)
切除鏡
浸潤性膀胱がんの治療
転移のある場合
根治は困難だが、強力な化学療法で癌を小さくする
転移のない場合膀胱全摘除術+尿路変更術A.回腸導管造設術 B.膀胱造設術 C.尿管皮膚ろう
尿管皮膚瘻
回腸導管
回腸導管
ストーマ
自己導尿型代用膀胱
尿道吻合代用膀胱
(症例) 61歳 男性
(主訴) 肉眼的血尿
(現病歴) 約半年前より無症候性肉眼的血尿を時々
認めるも放置。症状悪化するため、近医を受診し、腹部超音波にて膀胱腫瘍を指摘されたため、当科に紹介となった。
(検尿) 赤血球 100以上 / HPF 白血球 1~4 / HPF
(尿細胞診) Ⅳ 疑陽性 (尿路上皮がん疑い)
内視鏡的切除術のみで治癒しえた症例
腹部超音波
膀胱腫瘍
腎盂造影
膀胱鏡
乳頭状有茎性腫瘍
C T
単純CT 造影CT
膀胱腫瘍
手 術
経尿道的腫瘍切除術(尿路上皮がん
表在性腫瘍)
以降、外来で抗癌剤膀注療法を行っており、再発を認めていない。
BCG膀注療法が著効した症例
(症例) 64歳 男性
(主訴) 頻尿、排尿時痛
(現病歴) 約1ヶ月前より頻尿、排尿時痛を認め、近医
にて膀胱炎として治療を受けたが、症状が軽快しないため当科受診。
(検尿) 赤血球 20~29以上 / HPF白血球 100以上 / HPF
(尿細胞診) Ⅳ (尿路上皮がん疑い)
膀胱鏡
発赤,浮腫状の不整粘膜
経 過
経尿道的膀胱生検 不整粘膜部 (尿路上皮がん G3 上皮内癌)その他の部位 (膀胱炎)
術後2週間より B C G 膀胱内注入療法開始
術後2年 細胞診 classⅡ,膀胱鏡にて再発なし
回腸導管を施行した症例
(症例) 70歳 男性
(主訴) 胃部不快感
(既往歴) 5年前に腎がんにて、右腎摘出術
(現病歴) 約2週間前より胃部不快感を認め,当院内科受診し,左水腎症を指摘されたため当科紹介.
(検尿) 赤血球 30~49 / 1視野 白血球 10~19 / 1視野
(尿細胞診) classⅣ (偽陽性)
腹部超音波
左水腎症
膀胱腫瘍(疑)
拡張した尿管
膀胱鏡
左尿管口周囲に広基性の腫瘍を認めた
C T
左水腎症、右腎摘後 膀胱腫瘍
経 過
・経尿道的腫瘍切除 (尿路上皮がん, G 3, 浸潤性腫瘍)・膀胱全摘除術+回腸導管造設術 施行
(尿路上皮がん>>腺がん, G 3, pT3a, 浸潤性腫瘍)
膀胱がん
高齢者に多い男性に多い
男性:女性=3~5:1
症状:血尿検査法:膀胱鏡検査
表在性から浸潤性,転移性
まとめ
膀胱がんのひろがり
表在性(ポリープ)
浸潤性 転移性
1.表在性のがん内視鏡による尿道からの手術
経尿道的腫瘍切除術(TURBT)
2.局所浸潤性のがん開腹による手術
膀胱全摘+尿路変更
3.転移性のがん抗癌剤治療
膀胱がんの治療
膀胱がん
腎がん
健康診断で、腎がんを早期発見しましょう。
目で見て赤いオシッコに気づいたとき、また健診で血尿を指摘されたときは、すぐに泌尿器科を受診しましょう。
ご清聴ありがとうございました
高知医療センター 小野憲昭