日本電子環境セミナー　

ＩＡＭＳ（イオン付着質量分析法）

による

ＰＢＢ･ＰＢＤＥの迅速分析

キヤノンアネルバテクニクス（株）

内容

RoHS/臭素系難燃剤の迅速分析

臭素系難燃剤IAMS法・装置　

RoHS難燃剤検査センター

その他グリーン調達調査物質への適用

はじめに

測定フロー識別測定定量測定位置付け　

はじめに

難燃剤推定需要(国内）

34%無機系

リン系

臭素系

塩素系

2003年／17万ｔ

臭素系難燃剤 （Brominated Flame Retardants)とは

Br x Br y x+y =1～10

用途：可燃性物質に添加して、燃焼速度を抑制させる

• PBB（ポリ臭素化ビフェニル）　記憶力の減退、中枢神経症状　小児の発育不全の原因物質、環境ホルモン物質候補

• PBDE（ポリ臭素化ジフェニルエーテル）　体内蓄積性高。甲状腺への影響　 焼却により｢臭素化ダイオキシン｣発生、特に5･8臭化物が有害

種類

RoHS／特定有害物質

Br xO

Br y

臭素系難燃剤の使用状況

＜海外＞

　臭素系難燃剤需要

55%

20%

17%

TBBPA

架橋型TBBPA

その他 8%

＜国内＞

難燃協会ＨＰより

PBDE

US UK ASIA JPN

PBDE

海外部品やリサイクル品から混入の可能性

時間・コスト高　現状測定の問題点

蛍光Ｘ線Ｂｒ元素の有無

GC/MS高精度測定

FT-IR etc･･･

電機メーカにご協力いただき、特定臭素系難燃剤の

国産製品への混入状況を調査

　　・７ 社　（グリーン調達に熱心な国内大手セットメーカ）

　　・流通中（あるいは予定）の電子・電気機器用部品　　・蛍光Ｘ線によるスクリーニングでＢｒ元素が検出　　　されたもの　　　・ 総数：５１２検体　　（各メーカ　7～258個）

臭素系難燃剤の実態調査

協力メーカー

提出試料

PBDE検出比率

実態調査　結果[ 検出主成分は

ＤｅＢＤＥ（10臭素）のみ]

　提出試料（Br検出）の約８％にPBDEsが含有　

高濃度　（１～1５％） 低濃度（1000 ppmレベル）

Ａ 社 その他５社 全提出 販売店試料B 社

２５８個 １０３個 １５１個 ４５個５１２個提出数：

1 %

10 %

100 %

0.1%

8個17.8％

15個2.9％

1個2.2％

13個8.6％ 27個

5.3％7個4.6％

4個3.9％

10個3.9％

5個1.9％

3個2.9％

8.2％

GC/MS法フラグメントイオン化

各成分毎の質量分別（フラグメントパターンより同定）

マススペクトル（成分毎）

GC / MS法と比較した優位性

混合試料

成分分離

0.5～1時間

ＧＣ分離前処理

濃縮･精製

16時間

抽出

抽出廃液

直接測定

フラグメントフリーイオン化

マススペクトル（混合物）

全成分の質量分別（分子量より同定）

数分 !!

Li+

Li+ Li+IAMS

迅速・簡便

700 800 900 1000500

DeBDE

NoBDE

OcBDEHpBDE

HxBDE

ＰＢＤＥ混合物のマススペクトル

600 m／z

IAMS”直接測定“1成分１ピーク

同族体も識別可能

ガスクロマトグラム

OcBDE

DeBDE

マススペクトル

分離なしでは　　　　分別定量不可能

PBDEs混合物の実例

GC/MS法Br x

OBr y

イオン付着法の原理

試料分子にLi+を付着させる事により、分子を壊さず（フラグメントフリー）イオン化

付着Ｌｉ＋

Ｌｉ＋～0.1eV

N2で減速

＋ ΔE

付着エネルギー　　

　1～２eV原子結合エネルギー　　　数ｅＶ

＞

N2で冷却

Ion Attachment Mass Spectrometry = IAMS（ｱｲｴｰﾏｽ）

世界で唯一の技術

マススペクトル （アセトン）

0

400

800

1200

1600

M+CH3 +

M-CH3+

Molecular ion

Fragment ion

Fragment ion

EI

Li+MLi+

0 10 20 30 40 50 60 70

Molecular ion

0

400

800

1200

1600

信号強度

質量数　m/z　

H2OLi+ N2Li+

IAMS分子ピークのみ

信号強度

装 置 　

ダイレクトプローブ： DIP（固体、液体試料）

100Pa 10-３Pa

TMP

イオン化室

QMS　（TOF)差動排気室 質量分析部ﾚﾝｽﾞ付着領域Li+エミッタ-

導入管　（ガス試料)

加熱気化

新製品 I A - L a b

質量分析計（ＱＭＳ）/ 排気システム日本電子製：JMS-K9

ダイレクトプローブ・固体・液体試料用・５個を同時に導入

・～1000ｍ/ｚまでの広質量範囲・小型･高性能・高信頼性を実現

・ＩＡとＥＩの両方が可能・メンテナンス用に脱着が容易・ＶＯＣ導入、ＧＣ接続も可能

イオン源

イオン源

試料ホルダ

プローブ先端

赤外ランプ

反射板

イオン源　

デ ー タ 解 析

質量数と Br同位体パターンから・・・

m/z=966

TIC正確・迅速に識別　!!

O

BrBrBr

BrBr

BrBrBr

Br

Br

966(DeBDE)Li+m/z=959+7

・ＪＭＳ-K9用“Nova Spec”使用

RoHS規制対応

臭素系難燃剤の迅速分析

小片化

識別測定

微細化　500μmφ

定量測定1分約10分

3分

試料準備測定フロー　1

試料約1 mg

試料ホルダーへ装着

試料皿に圧着

数秒

ダイレクトプローブにセット

秤量（1～3 mg）

測定フロー　2

　測定条件　

ダイレクトプローブ

200～1000amu/3sec

MS条件

50℃（128℃/min）→300℃（3min）

昇温条件

測定時間

〔識別測定〕

968966DeBDE

886

808

定量

888

806

確認

NoBDE

OcBDE

SIMﾓｰﾄﾞ

180℃　 250℃300℃(4 min hold)

〔定量測定〕2min 1.5min

5分 10分

識別測定 樹脂中の規制物質(PBDEs)検出例

200 300 400 500 600 700 800 900 1000m/z

(DeBDE)Li+m/z=959+7

Br Br

Br

BrBrBrBr

Br Br

Br O

966

968964

970

962

960

958

956

972

974976

(NoBDE)Li+

m/z=881+7

樹脂からのオリゴマー

樹脂の妨害なし

0

2000

4000

6000

8000

10000

12000

14000

200 300 400 500 600m/z

(MoBB)Li+

m/z=232+7

Br x Br y

(DiBB)Li+

m/z=312+7

(TrBB)Li+

m/z=390+7

(TeBB)Li+

m/z=470+7

(PeBB)Li+

m/z=548+7(HeBB)Li+

m/z=628+7

50 100 200 300150 250 ℃

MoBB

DiBB

TrBB

TeBB

PeBB

HxBB

Inte

nsity

/arb

.uni

t

各同族体の昇温クロマト

識別測定規制対象物質　

PBB(Br=1～6混合試薬)

樹脂中の対象外BFRs検出例識別測定

0

5000

10000

15000

20000

25000

500 550 600 650 700m/z

Inte

nsity

/arb

.uni

t

m/z=544+7

OHHO

Br

Br

Br

Br

含有樹脂

TBBPA(テトラブロモビスフェノールA)

0

500

1000

1500

2000

2500

800 850 900 950 1000m/z

N CH2 CH2 N

Br

Br

Br

Br

Br

Br

Br

Br

O

O

O

O

m/z=951+7

Inte

nsity

/arb

.uni

t

含有樹脂

エチレンビステトラブロモフタルイミド

0

5000

10000

15000

20000

25000

30000

800 850 900 950 1000m/z

BrBr

Br

Br Br

Br Br

Br

BrBr

Inte

nsity

/arb

.uni

t

m/z=971+7

含有樹脂

ビス（ペンタブロモフェニル）エタン

質量数と臭素の同位体パターンから明確な同定が可能

定量測定感度・回収率

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0×107

Peak

Are

a

0.1～216μg

0

試薬　0.5μgS/N=200

DeBDE検量線

m/z 966

昇温（熱抽出）クロマトグラム

0.1％含有ABS樹脂

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0×107

Peak

Are

a

0

9.8%

0.96%0.1%

ABS標準樹脂からのDeBDE回収率

m/z 966

180℃ 300℃(hold)

回収率90％以上

相関係数R2（0.5～100μg） 0.996

定量下限値 QDL　（10σ） 0.10　μg

相対標準偏差　RSD*) 8.6 %

※）RSD：　0.1μg，n=5測定の値

樹脂 2mg中のPBDE 50ppm

＝

定量測定　再現性　

1.E+02

1.E+03

1.E+04

1.E+05

1.E+06

1 2 3 4 5

DeB

DE含有量／

ppm

標準樹脂ABS標準樹脂PE

実試料 HIPE

実試料 PS

実試料 PS

実試料 PBT

既知試料の繰返し測定精度

測定回数 n

RSD=9.4%

RSD=3.0%

RSD=12.5%RSD=18.2%

RSD=7.0%

RSD=3.4%0.01

0.1

1.0

10

100

DeBDE含有量／％

RoHSしきい値

広い濃度範囲で繰返し精度２０％未満

R2 = 0.99

1.E+01

1.E+02

1.E+03

1.E+04

1.E+05

1.E+01 1.E+02 1.E+03 1.E+04 1.E+05

熱抽出-ＩＡＭＳ

溶媒抽出-GC/MS

溶媒抽出-GC/MS

熱抽出-ＩＡＭＳ

1 PS 130 89 19.0(5)

2 PS 510 490 16.2(5)

3 PS 1200 860 10.7(5)

4 PS 2100 2800 6.5(3)

5 PS 5200 6000 - (1)

6 PS 10000 12000 - (1)

7 ポリエチレン 910 1100 12.1(3)

8 ABS 1000 960 9.3(5)

9 m-PPE 1000 960 12.2(5)

10 PA6 850 980 10.4(3)

11 PBT 990 1200 4.6(3)

DeBDE含有量ポリマー基材

RSD %(n)

[ PS樹脂中の含有量]

mg/Kg (ppm)

mg/

Kg

(ppm

)

PS樹脂

定量測定

n : IAMS測定回数mg/Kg (ppm)

良好な繰返し精度とGC/MS相関性

RoHS閾値

GC/MSとの比較

DeBDE含有標準樹脂によるGC/MSとIAMSの定量値比較

臭素化エポキシの熱分解パターン　

TriBBPAm/z=464+7

monoepoxyTBBPAm/z=600+7

TBBPAepoxy oligomerm/z=556+7

溶媒抽出では検出不可・・・

Br Br

Br Br

Br Br

Br Br

O OO

O

Br Br

Br Br

Br Br

Br Br

OHO

O

CH3

CH3

OHHO

Br Br

Br

CH3

CH3

OHHO

Br

Br

Br

Br

ポリマー系難燃剤の検出･識別

→　500℃まで加熱し、熱分解パターンより同定が可能

TBBPAm/z=544+7

マトリクスとの分離 PBDEsと規制対象外BFRｓの混合物

DeBDE

215℃ﾋﾞｽﾍﾟﾝﾀﾌﾞﾛﾓﾌｪﾆﾙｴﾀﾝ

DeBDE

250℃

×1000

３桁高濃度のマトリクスでも影響なし

妨害ピークとの識別 PBBsと規制対象外BFRsの識別

0

100

200

300

400

500

600

700

700 750 800 850 900 950 1000

m/z

intensity (arb. unit)

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

700 750 800 850 900 950 1000

m/z

intensity (arb. unit)

Br

Br

Br Br

Br Br Br

Br

BrBr

950.05

950.45

DeBB

TBBA(2,3-dibromo propyl ether)Br

Br

Br

Br

OBr

BrOBr

Br

m/z=950

m/z=950

m/z

m/z

精密質量数と同位体パターンで識別

＊ ＊

I A M S

簡易測定

２次スクリーニング

規制物質の識別＆半定量

FT-IR

１次スクリーニング

Brの有無確認

蛍光Ｘ線

IAMSの位置づけ

規制物質定量

GC/MS

高精度測定

各種測定法の測定特性

手法 スループット /1hr 定量下限値　 規制物質識別

IAMS 識別測定 　○　　10　検体 　○　（100ppm） 　○　臭素数毎

IAMS 定量測定 　△　 4　検体 　○　　50ppm 　○　臭素数毎

蛍光Ｘ線 　◎　～20　検体 　○　　10 ppm 　×　　元素

ＦＴ-ＩＲ 　◎　～20　検体 　×　　1 % 　△　　官能基

ＧＣ/ＭＳ (ｿｯｸｽﾚｰ) 　×　～0.3 検体 　◎　　0.5 ppm 　○　異性体識別

RoHS閾値：1000ppm

ポイント

試料粉砕が不要であり、

10検体/hrで迅速･正確に識別が可能である。

良好な定量精度（回収率:約90%, RSD：20%未満）定量下限値50ppm

4検体/hrで、GC/MSと同等の高精度定量

Brが検出された後の2次ｽｸﾘｰﾆﾝｸﾞに最適

RoHS難燃剤検査センター

最短納期1.5日、最低価格7千円/検体初期検査費で優先装置　→追加検査で納期・最大検体数を保証貴社工場での検査システム（工程）に組込み可能

初期検査　 追加検査コ

ー

ス

総費用

含まれる検体数納期 （最大） 検査単価

１.５ 日 １６ 千円Ａ

Ｂ

Ｃ

　７　千円

Ｄ

２ 日 ２２　千円

４００ 個

　 ３ 日 ３０　千円

２００ 個

５　日 ３８　千円

１００ 個

　　６０ 万円　

　　 　　　　　　　　１５ 個 ３０ 日 １７　千円

　１２０ 万円　

　　 　　　　　　　　３５ 個 ２０ 日 １２　千円

　２５０ 万円　

　　　　　　　　　 　７０ 個 １５ 日 　９　千円

１０　日

一ヶ月の

最大検体数

　５００ 万円

　　　　　　　　　 １４０ 個 ８００ 個

費用・納期

ご利用モデル

統括部門が初期検査費を負担し、検査センターとの支払い窓口に

ご依頼元と検査センターは直接、検体送付と結果報告を行う

ご依頼元は統括部門経由で追加検査費を支払い

ご依頼元（各事業部や2次・3次サプライヤー）の数・所属に制限なし

Ａ社　環境本部など

ＲｏＨＳ難燃剤検査センター

Ａ社　事業部-1

Ａ社　事業部-2

Ｂ社　（Ａ社へのサプライヤー-1）

Ｃ社　（Ａ社へのサプライヤー-2）支払い

検体・報告

支払いD社　（C社へのサプライヤー）

＜統括部門＞

＜ご依頼元＞

その他グリーン調達調査物質

への適用

Cl 4 Cl 5Cl 6

Cl 7

Cl 8

Cl 9

Cl 10

Cl 11

m/z

相関係数(R2）

検出限界（S/N=3)

短鎖 0.999 21 nｇ中鎖 0.998 2.0 nｇ長鎖 0.999 6.7 nｇ

検量線範囲は1～10μg

短鎖塩素化パラフィン

同族体の含有組成を明確に検出

C11H24-xClx

[M +Na]+

[M -C 16H 34+Na]+

[M -C 12H 26Sn+Na]+

[Sn+H]+

[M +Na]+

[M -C 16H 34+Na]+

[M -C 12H 26Sn+Na]+

[Sn+H]+

有機スズ化合物　TBTODEP

O

O

O

O

DprPO

O

O

O

220 260 300 340 380

DPPO

O

O

O

DBPO

O

O

O

フタル酸エステル

SnSn O SnSn O

C4H9C4H9

C4H9C4H9

C4H9C4H9

C4H9C4H9

C4H9C4H9

C4H9C4H9

その他　調査対象物質

マッピング

検量線VOC（ホルムアルデヒト）

経時変化IAMS

Ionization room

Log

12ml/min

Cooling

（ブランク補正後）

0.E+00

1.E-10

2.E-10

3.E-10

4.E-10

5.E-10

6.E-10

7.E-10

8.E-10

9.E-10

1.E-09

20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120M/Z

Intensity

0 .E+00

1.E-10

2.E-10

3.E-10

4.E-10

5.E-10

6.E-10

7.E-10

8.E-10

9.E-10

1.E-09

20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120M/Z

Intensity

CO2

AcetonH2O

30 35 4

HCHO

0 35 4

HCHO

CO2

H2O

×100

×100

0

100 110 120

C7H12

Stylene

C8H16alkene

接着剤放散ガス

×100

多くのVOCsを同時にリアルタイム測定可能

VOC　（その他成分）

外気

専用ホームページ

http://www.canon-anelvatx.co.jp/iams/

ＩＡＭＳテクニカルサイト

キヤノンアネルバテクニクス（株）

〒183-0033東京都府中市分梅町3-51-4Tel:042-334-0268, Fax:042-368-1877E-mail: iams@canon-anelvatx.co.jp