I 組立作業の改善...5.成果発表会 ①...

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組立作業の改善 1 回(1)ガイダンス 1.スタッフ紹介 各班の指導教員: 大倉、窪田、篠田、大久保、稲垣、竹本 2.実験内容 対象作業:オーディオプラグ組立作業の改善 オーディオプラグとは、4 つの部品から構成されるオーディオ機器のコネクターの ジャックである。現状作業では、1 人の作業者が部品箱に入れられた部品を順番に 1 つずつ取ってきて 1 つの RCA ジャックを組立て、完成品箱に入れる作業を 10 個繰り 返している。本テーマでは、現状作業を自分たちで再現し、ビデオ撮影、分析、改善 案の作成を行う。1 個あたりの生産時間を現状の 1/2 以下となるような改善作業を提 案し、実際に示すことを目標とする。 3.実験のねらい 1)問題解決のアプローチを学ぶ 現実世界では、ひとつの方程式が与えられ、その答えを出せば良いといった形で問 題が与えられることはない。問題そのものも、必要な答えの持つべき属性も、明確に されないままで、“問題”が与えられることが多い。このような場合には、考慮の対 象となっている問題状況と問題を明確にする(すなわち、問題をつくる)ことから始 めなければならない。そして、必要に応じて問題を解く手法を選択し、アイディアを 出し、答えを求めることになる。この過程で、当初に採用した問題の定義に疑問が生 じたり、答えが何通りも出て来て選択に迷ったりすることがある。 すなわち、現実の問題解決には次のような特徴がある。 (a)問題の定義そのものがあいまいである。 (b)答えの可能性が数多く存在する。 実験では、単純な改善作業の場を用いながら、問題の階層性と多解答性について体 験することをひとつの重要な目的としている。実験の過程で思考を発散させたり、収 れんさせたりすることの繰り返しが問題解決の過程であることを学ぶ。

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Page 1: I 組立作業の改善...5.成果発表会 ① グループ全員で、パワーポイントを用いて発表を行う。第6回の発表の前日13 時までに、パワーポイントファイルを担当教員に提出する。

I 組立作業の改善

第 1 回(1)ガイダンス

1.スタッフ紹介

各班の指導教員: 大倉、窪田、篠田、大久保、稲垣、竹本

2.実験内容

対象作業:オーディオプラグ組立作業の改善

オーディオプラグとは、4 つの部品から構成されるオーディオ機器のコネクターの

ジャックである。現状作業では、1 人の作業者が部品箱に入れられた部品を順番に 1

つずつ取ってきて 1 つの RCA ジャックを組立て、完成品箱に入れる作業を 10 個繰り

返している。本テーマでは、現状作業を自分たちで再現し、ビデオ撮影、分析、改善

案の作成を行う。1 個あたりの生産時間を現状の 1/2 以下となるような改善作業を提

案し、実際に示すことを目標とする。

3.実験のねらい

1)問題解決のアプローチを学ぶ

現実世界では、ひとつの方程式が与えられ、その答えを出せば良いといった形で問

題が与えられることはない。問題そのものも、必要な答えの持つべき属性も、明確に

されないままで、“問題”が与えられることが多い。このような場合には、考慮の対

象となっている問題状況と問題を明確にする(すなわち、問題をつくる)ことから始

めなければならない。そして、必要に応じて問題を解く手法を選択し、アイディアを

出し、答えを求めることになる。この過程で、当初に採用した問題の定義に疑問が生

じたり、答えが何通りも出て来て選択に迷ったりすることがある。

すなわち、現実の問題解決には次のような特徴がある。

(a)問題の定義そのものがあいまいである。

(b)答えの可能性が数多く存在する。

実験では、単純な改善作業の場を用いながら、問題の階層性と多解答性について体

験することをひとつの重要な目的としている。実験の過程で思考を発散させたり、収

れんさせたりすることの繰り返しが問題解決の過程であることを学ぶ。

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2)実践を通してインダストリアル・エンジニアリング(IE)の手法を理解する

講義や書物からだけでは IE の手法の意義を理解し、細かなノウハウを身につける

ことは難しい。実験では、なるべく多くの IE 手法を具体的な問題に適用させること

をねらいとする。

また、手法だけでは決して良い答えが出るものではなく、多くのアイディアを出す

ことの重要さ、それを整理することの重要さ、手法の限界についても学ぶことになる。

3)作業改善を具体化する

単に机上で問題を分析し解決するのではなく、実際に改善策を実現するまでの実習

を行う。このことによって、抽象と具象との間にあるギャップをうめようとするので

ある。物事を実際にやってみると様々な困難が発生するが、また同時に様々なアイデ

ィアが生れ易くなること、概念と行動とは互いに影響しあっていること、両者の間に

バランスをとるための判断力が必要であることを理解する。

4)レポートの作成や発表の方法を学ぶ

自分でやったことや結果を他人に明確に伝えることは意外にむずかしいことであ

る。エンジニアの仕事では、レポートを書き、その結果を報告することが仕事のアウ

トプットとなる。すなわち相手が理解して、はじめて仕事の第一歩が完了したことに

なる。

実験では、レポートの書き方、発表のやり方も評価項目のひとつとして取り上げら

れている。レポートの書き方を工夫したり、発表の練習を行う過程で学ぶものが多い。

5)プロジェクト・マネージメントとチームワークについて学ぶ

ひとつの問題を、時間をかけて複数人で解決することは、現実にはよくあることで

あるが、大学では稀なことである。実験では、ほぼ半年間かけて学生がチームになっ

て最終ゴールに向かって活動しなければならない。その経験を通して、プロジェクト

をどのように計画し、実現してゆくか、価値観や考え方の違う人間同士がまとまって

活動を進めるにはどのようにしたらよいかを学ぶ。

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4.実験スケジュール

項目 日程

1 ガイダンス・現状作業の把握 4/16 5/28

2

仕事の対象の分析 仕事の構造分析

基本変換(お金を稼ぐ変化)の分析

組み立て順序の列挙

4/23 6/4

3

仕事の手段の分析 手の動きの分析

サーブリグ分析

動作経済の原則と ECRS の原則の適用

4/30 6/11

4

改善案の具体化・評価

発表の準備

5/7 6/18

5 5/14 6/25

6 成果発表会 5/21 7/2

1 回でも欠席すると単位取得できない。各自の健康管理も大切である。クラブ活動

や試合などによる欠席は認められない。万一病気により欠席の場合には、医師の診断

書を提出すること。

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5.成果発表会

① グループ全員で、パワーポイントを用いて発表を行う。第 6回の発表の前日 13

時までに、パワーポイントファイルを担当教員に提出する。

② 自分たちの分析、考え方、改善案を時間内に他の人に理解してもらえるよう、

発表計画を綿密に練ること。

③ 発表練習を担当教員の前で最低 2回は行って準備すること。

④ 発表会で聞き手になったときは、評価用紙に他のグループの評価を記入する。

⑤ 全員が少なくとも 1回は質問をする(質問も評価の対象になる)。

6.レポートについて

発表終了後、個人レポートとグループレポートを担当教員に提出する。

グループレポート: 班で一冊の A4 ファイルに、分析用紙や分析結果、改善案の図

表や写真など作成した資料を綴じる。

個人レポート: 各自が A4で 1枚に以下の内容をまとめる。

1)実験の中で自分は何を担当したか。

2)グループレポートに記載しなかったことで、自分が考えこと。

3)実験に対する意見、感想。

7.成績評価について

実験における出席と態度、発表内容と方法およびレポートを総合して成績をつける。

8.注意事項

① 実験器具、PC、工具、工作材料などの整理整頓、後片付けをきちんと行うこと。

② 実験室内に飲食物を持ち込まないこと。

③ 実験室内では他のグループの迷惑にならないよう、騒がしくしないこと。

9.班分け

名簿に班員を記入し、班長を決定する。

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第 1 回(2)現状作業の把握

0.準備

① メンバー紹介をし、班長を決める。

② パソコンのデスクトップに作業用のフォルダを作成する。

「SD実験 2_1班」のように名前をつける.USB メモリにも随時バックアップする。

1.現状作業の把握(資料 1,2,3)

① 撮影してあるモデル作業を見て、現状作業の作業方法を体得する。

方眼模造紙とガムテープを用いて部品箱を配置し、レイアウトを忠実に再現する。

② 作業者を選び、20回練習をしてから 10サイクル分のモデル作業を撮影する。

作業者 1 名 途中で失敗しても良いから続けて作業を行なう。ムリに急いだり休

んだりせずに、普通のペースで淡々と作業する。

撮影者 1名 ビデオの使用法について、資料 3をよく読むこと。

タイムキーパー 2名 サイクルタイムを測定する。

(ヒント:サイクルの区切りは完成品を置き放したとき)

サイクルの紙を出す人 1名 画面の端に何サイクル目かをカードで表示する。

それ以外の班員は、作業を観察して問題点や改善の着想をメモする。

output1.1: 10サイクルの録画

output1.2: R1-1 時間観測用紙

output1.3: R1-1 問題点や改善の着想のメモ

2.時間分析(サイクルタイム)と現状の問題点の把握(資料 4)

① R1-1時間観測用紙からエクセルでサイクルタイムのグラフを作成する。

② エクセルで度数分布グラフを作成する。

output1.4: R1-2 サイクルタイムグラフ

output1.5: R1-3 度数分布グラフ

3.分析対象サイクルの選定

① 分析対象とする作業サイクルを選定する。

部品のハンドリングミスがなく、平均的なサイクルタイムであること、分析しや

すい画面であることなどを考慮して決める。

② 選定した 1サイクルの動画を Windows Liveムービーメーカーで作成する。

output1.6: 分析対象の動画ファイル

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4.制約条件の確認(資料 5)

① 製品についての制約条件を確認する。

② 素材についての制約条件を確認する。

③ 手段についての制約条件を確認する。

5.目標設定・現状作業の問題点の整理(資料 6)

① 作業時間の1/2以下の時間で目標時間を設定し、目標時間を問題点リストに記

入する。

② 時間値がばらつく理由、作業が遅くなる理由、現状作業の問題点をディスカッ

ションして整理する。

output1.7: R1-4 問題点リストと目標値の決定

★各項目で得られた outputは紙で班のファイルに綴じ込むこと。

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資料 1 オーディオプラグと構成部品の名称

金具

完成品

ゴム 螺旋 筒

資料 2 現状作業のレイアウト図

作業台

30

10 10

3

17

13

10cm0

10 10

部品箱② 部品箱③ 部品箱④ 部品箱⑤

完成品箱

10

13

完成品

作業者

螺旋 ゴム 筒 金具

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資料 3 ビデオカメラによる撮影

◆ビデオカメラにより、作業状況を内蔵ハードディスクへ録画する。

1. ビデオカメラを三脚にセットする。

2. AC アダプタを接続する。「ビデオカメラ>充電器>AC コンセント」の順に接続す

る。

3. AVケーブルの画像ケーブル(黄色)のみを用いて、ビデオカメラ(出力)とテレ

ビ画面(入力)を接続する。撮影内容や録画された画像を確認するため。音声を

接続するとハウリングを起こすのでつながない。

◆撮影のポイント

1. テレビ画面を見て、分析しやすい画面になっているか確認する。部品を掴み取る

ところや、組み立てる手の動きが見やすいか。手や部品が画面からはみ出してい

ないか。

2. 作業の開始よりも 5 秒程度前から録画を始め、作業の終了後 5 秒程度まで録画す

ると良い。

3. 何個目の作業であるかを示す番号札(1-10)を画面の隅に提示しておくと分析に

役立つ。

4. テープを巻き戻して重ね撮りするのではなく、前回録画を終えたところから次の

録画を開始すると良い。最初に撮影内容と撮影日時を書いた紙を撮影しておくと、

後からの PCへの取り込みや分析に役立つ。

★注意

1) 機器を壊さないように取り扱いには十分気をつけること。力任せに操作してはい

けない。

2) 電源コードや接続ケーブルを引っ掛けて機器を倒すことなどないように。

3) ケーブルの接続部分に無理な力がかからないように。

4) 不明な点は質問すること。

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資料 4 サイクルタイムのグラフ表示例

0.00

5.00

10.00

15.00

20.00

25.00

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

サイクル

タイム

[秒]

組立回数

RCAジャック組立作業のサイクルタイム

0

1

2

3

4

5

6

12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27

頻度

サイクルタイム [秒]

サイクルタイムの度数分布

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資料 5 制約条件

① 製品について

1)部品が正しい向きと順序で組み付けられ、ガタつかない程度にナットで締結さ

れていること。

2)傷や汚れ、ラグの変形がないこと。

3)1日中作り続けるものとする。

② 素材について

1)部品ごとに 20個~100個の袋詰めで納入される。

2)部品箱などに供給する時間は作業時間に含めない。

3)部品を整列する時間は作業時間に含める。

4)部品の形状など変更はしない。

③ 手段について

1)作業者を最大 2人まで投入できる。2人作業の場合に、生産性を 2倍にするた

めには、時間値を現状の 1/4にしなくてはならない。

2)治具を作成してよい。

3)改善に投入できる金額は 1万円程度とする。

宛名「成蹊大学理工学部」で領収書が必要。事前に担当教員に相談すること。

購入しなくても利用できる木材や工作用紙などが用意してある。

4)手袋を使用しなくても良い。手洗いや作業場の環境条件により品質上問題がな

いものとする。

5)まとめ作りをする際には、一度に 10個以内とする。

6)仕事の構造図で、手段の「もの」(作業者を除く)は変更してよい。

★不明な点は担当教員に相談すること。

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資料 6 問題点の書き方

1. 他の人が読んでわかるように書く。

2. 原因と結果がはっきりするように書く。そのためには、

「~(原因)だから ~(結果)である」という文型が望ましい。

3. 問題点と代替案(改善の着想)は対応付けて区別して書く。改善の着想を先に思

いついた場合には、対応する現状の問題点を明らかにする.

(良い例)

1)部品Aの向きが揃っていないので、掴みにくい

2)レンチが重いので、腕が疲れる

3)部品箱Bが遠いので、手の移動距離が長くなる

4)袋の先端がくっついているため、開けるのに動作が煩雑になる

5)部品Cを左手から右手に持ち替えるのはムダである

(悪い例)

1)ムダが多い作業だ

2)部品箱が悪い

理由:どういう点が悪いのか、その結果どのような問題が起こるのかわからない

訂正:部品箱の底が深いため、部品が掴みにくい

3)移動距離が長い

4)移動に時間がかかる

理由:原因がはっきりしない

訂正:製品置き場が遠いので、移動に時間がかかる

5)レンチが重い

6)部品が小さい

理由:現状の状態を述べているだけで、結果がはっきりしない

訂正:部品が小さいために、表裏の区別がわかりにくい

7)持ち替えが生じている

8)左手で部品の保持がある

理由:仕事の中で、どの部分(ステップ)の問題点かはっきりしない

訂正:部品Aを組み付ける

問題点:部品箱が遠いので、移動・運搬に時間がかかる

改善案:作業場所と部品箱を近づける

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第 2 回 仕事の対象の分析

1.仕事の構造分析(資料 1)

① モデル作業を「仕事の構造」により分析する。

② 素材から製品を作成するときの最低限必要な変化を列挙する。

output2.1: R2-1 仕事の構造分析図

2.基本変換(お金を稼ぐ変換)の分析(資料 1)

① 組立作業の中で、直接組み付けている動作の時間値を測定する。

output2.2: R2-2 基本変換の分析

3.状態推移図による分析(資料 2)

① 状態推移図を作成し、組立順序を列挙して何通りあるか示す。

② 図に現状の変化の経路を太線で記入し、別の組立方法もあることを確認する。

③ 組立順序数を記入し、一番効率の良い経路を選ぶ。

output2.3: R2-3 状態推移図

4.改善のイメージの作成

前回(第 2回)の問題点と今回の 1から 3の分析を参考にして、現物を使って改善

案を作成する。ヒューマン治具を用いて作成した改善案の作業を実行し、教員に確認

をとる。

output2.4: R2-4 改善案のイメージ図

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①作業の始まり ②紙を掴み取る ③ハサミを掴み取る

④紙を切る ⑤ハサミを戻す ⑥落ちた右半紙を拾う

⑦右半紙と左半紙を右手と左手で掴む

⑧右半紙と左半紙を揃える ⑨揃った半紙を箱に位置決めし入れる

⑩作業の終わり

①作業の始まり ②紙を掴み取る ③ハサミを掴み取る

④紙を切る ⑤ハサミを戻す ⑥落ちた右半紙を拾う

⑦右半紙と左半紙を右手と左手で掴む

⑧右半紙と左半紙を揃える ⑨揃った半紙を箱に位置決めし入れる

⑩作業の終わり

資料 1 仕事の構造分析

「紙切り作業」

仕事の構造図

始めの「もの」

「素材」

終わりの「もの」

「製品」

「残り」

変化(違い)

手段の「もの」

紙束

箱残りの紙束

箱の中の揃った2枚の半紙

机Sさん(右手・左手)

はさみ

1枚の紙を

紙束と分ける

2枚に分離する

揃える

箱に入れる

「こと」始めの「もの」

「素材」

終わりの「もの」

「製品」

「残り」

変化(違い)

手段の「もの」

紙束

箱残りの紙束

箱の中の揃った2枚の半紙

机Sさん(右手・左手)

はさみ

1枚の紙を

紙束と分ける

2枚に分離する

揃える

箱に入れる

1枚の紙を

紙束と分ける

2枚に分離する

揃える

箱に入れる

「こと」

必要最小限のものに着目すると

始めの「もの」

「素材」

終わりの「もの」

「製品」

紙1枚の紙を

2枚に分離する

揃える

「こと」

揃った2枚の半紙

「変化」

始めの「もの」

「素材」

終わりの「もの」

「製品」

紙1枚の紙を

2枚に分離する

揃える

「こと」

揃った2枚の半紙

「変化」

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資料 2 状態推移図

コマアッシイの状態推移図を見ると、単体部品の状態から完成品になるまでの経路

(組立順序)には 2通りあることがわかる。

右の図のように部品を番号で表すと、組立の途中に生まれる中間製品は(1・2)や

(2・3)のように連番の部品で構成されていることがわかる。

単体部品

完成品

単体部品

完成品

単体部品

完成品

(1) (2) (3)

(1・2) (3) (1) (2 ・ 3)

(1・2・3)

単体部品

完成品

(1) (2) (3)

(1・2) (3) (1) (2 ・ 3)

(1・2・3)

コマアッシイの状態推移図 コマアッシイの状態推移図

部品による表現 部品番号による表現

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第 3 回 仕事の手段の分析

1.手の動きの分析(資料 1)

① レイアウト図の上に右手と左手を色分けして手の動きを示した線(ストリング

ダイヤグラム)を描く。また、正常作業域と最大作業域を記入する。

② この図から判ることや問題点を列挙する。

output3.1: R3-1 ストリングダイヤグラム

2.サーブリグ分析(資料 2,3,4)

対象とする1サイクル分の作業についてサーブリグ分析を行なう。そして、サーブ

リグ分析から総括表を作成する。

output3.2: R3-2 サーブリグ分析表、R3-3 サーブリグ分析総括表

output3.3: R3-4, R3-5 以下の 2種類のグラフを作成する

R3-4 縦軸:記号 横軸:左手・右手のステップ数

R3-5 縦軸:第 1類、第 2類、第 3類 横軸:左手・右手のステップ数

(左右振分けステップ数のヒント:表示形式のユーザー定義で 0;[黒]0 とする)

3.動作経済の原則と ECRS の原則の適用(資料 5,6,7)

① 動作経済の原則(資料 5)を読む。

② 分析表を参考に、動作経済の原則(資料 6)と ECRS の原則(資料 7)適用し、

問題点と改善の着想を列挙する。

output3.4: R3-6 動作経済の原則による問題点と改善の着想

output3.5: R3-7 ECRSの原則による問題点と改善の着想

4.改善案の作成

① ここまでに列挙した問題点をなくす方向での代替案を列挙する。

② 治具の代わりにヒューマン治具を活用して代替案を実行し、時間測定する。目

標が達成可能かどうかを検討する。

output3.6: R3-8 改善案のリスト

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資料 1 ストリングダイヤグラム

正常作業域

最大作業域

RCA ジャック組み立て作業のストリングダイヤグラム

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資料 2 サーブリグの定義と記号

サーブリグの定義 U 使う(Use)

始点:手または身体部位が実際に工具やボタンやレバーなどを操作し始めたとき

内容:工具を用い、ボタンやレバーを操作すること

A 組立て(Assemble)

始点:手または身体部位が部品を組合せるために動き始めたとき

内容:部品を実際に組立てること

終点:手または身体部位が部品を組合せ終わったとき

DA分解(Disassemble)

始点:手または身体部位が組合あわされた部品を分解し始めたとき

内容:目的物を分解すること

終点:手または身体部位が目的物を分解し終えたとき

終点:手または身体部位が工具やボタンやレバーを操作し終えたとき

G つかむ(Grasp)

始点:手または身体部位が目的物をつかみ始めたとき

内容:目的物をつかむこと

終点:手または身体部位が目的物をつかみ終ったとき

TEから手(Transport Empty)

始点:手または身体部位がものを持たず移動し始めたとき

内容:目的物に向かって動くこと

終点:手または身体部位が部品にふれるか動きを止めたとき

TL運ぶ(Transport Loaded)

始点:手または身体部位が目的物を持って動き始めたとき

内容:手または身体部位が目的物の位置を変えること

終点:目的物を支えている手または身体部位が、目的の位置に到達したとき、または動き

が止まったとき

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RLはなす(Release Load)

始点:手または身体部位が目的物をはなし始めたとき

内容:目的物をはなすこと

終点:手または身体部位が目的物をはなし終えたとき

I 調べる(Inspect)

始点:手または身体部位が目的物にさわり、または見始めたとき

内容:目的物の品質を調べること

終点:手または身体部位が目的物をさわり終わるかまたは見終ったとき

SH探す(Search)

始点:手または身体部位が部品を手探りし、または探し始めること

内容:目的物を見つけようとすること

終点:手または身体部位が目的物の位置を見つけたとき

ST選ぶ(Select)

始点:手または身体部位がいくつかの目的物にふれ始めたとき

内容:1 つの目的物をいくつかの中から選び出すこと

終点:手または身体部位が 1つの目的物を選び終えたとき

P 位置決め(Position)

始点:手または身体部位が部品を並べたり、所定位置に合わせ始めたりするとき

内容:手または身体部位が部品を並べ、方向を決め、位置を変えること

終点:手または身体部位が部品を並び終えたとき

PP前置き(Preposition)

始点:手または身体部位が部品を並べたり、所定位置に合わせ始めたりするとき

内容:手または身体部位が部品を並べ、方向を決め、位置を変えること

終点:手または身体部位が部品を並び終えたとき

PN考える(Plan)

始点:手または身体部位が、何もしないか勝手な動きをし、作業者が何をしようか考え始

めたとき

内容:何をしようか決めること

終点:何をするか決めて、手または身体部位が作業をし始めるとき

H 保持(Hold)

始点:手または身体部位が保持している部品または目的物の動きが止まったとき

内容:目的物を一定の位置、場所に保持すること

終点:保持していた部品または目的物が動き始めたとき

UD 避けえぬ遅れ(Unavoidable Delay)

始点:手または身体部位があいたとき

内容:作業方法の一部として遅れがあるとき、他の身体部位または機械を待つこと

終点:手または身体部位が作業をし始めるとき

AD 避けうる遅れ(Avoidable Delay)

始点:手または身体部位が標準の方法からはずれたとき

内容:標準の方法の動きまたは何もしていないこと

終点:手または身体部位が作業をし始めるとき

R 休む(Rest)

始点:手または身体部位が何もしなくなったとき

内容:サイクルの一部であり、かつ前の仕事の疲労を回復するために必要な遊び

終点:手または身体部位が再び仕事をできるようになったとき

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資料 3 サーブリグ分析で作成する表とグラフ

サーブリグ分析表

左手の動き 右手の動き

時間時間 記号記号 説 明説 明

こまへ手をのばす

こまを選ぶ

こまをつかむ

こまを運ぶ

““““

こまを保持する

ナットを組み合わせる

完成品を運ぶ

完成品から手を放す

避けえぬ遅れ

こまパッキンへ手をのばす

“こまパッキンを選ぶ

こまパッキンをつかむ

こまパッキンを運ぶ

位置決めする

こまとパッキンを組み合わせる

こまパッキンから手を放す

こまナットへ手をのばす

こまナットを選ぶ

こまナットをつかむ

こまナットを運ぶ

こまナットを位置決めする

こまナットを組み合わせる

完成品から手を放す

避けえぬ遅れ

UD

TE

TE

ST

G

TL

P

A

RL

TE

ST

G

TL

P

A

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UD

TE

ST

G

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H

H

H

H

H

H

H

H

H

60204060

460

6060

404060

14040

50

40402040

10

330 3301060

6010

60204060

460

6060

404060

14040

50

40402040

10

330 3301060

6010

“““

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サーブリグ分析総括表

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サーブリグ分析総括グラフ

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資料 4 サーブリグ分析のチェックリスト

つかむ(G)

①この『つかむ』動作は作業サイクルのこの位置で必要か

②もし必要なら、より良い方法に改善できないか

③つまみあげてつかむ動作を、手をすべらせてつかむ動作におきかえられないか

④部品をつかみ易くするように、設計変更できないか

⑤手をのばす動作と次の運ぶ動作を連続的にすれば、その間のつかむ動作はスピードを落とさずに

できないか

⑥工具は、目で見なくてもつかめるようにデザインされ、配置されているか

⑦各部品が同じ位置に送られるホッパー送りによって、つかむ動作を単純化できないか

⑧小さな部品の場合、柔らかいパッドなどを用いて、つかむ時間を短くできないか

⑨前後の動作と結合できないか、それによってつかむ動作を省略できないか

から手(TE)

①この『手をのばす』動作は作業サイクルのこの位置で必要か

②もし必要なら、手をのばす距離を短くできないか

③作業場のレイアウトを改善することによって、手をのばす動作を少なくできないか

④1 度に 1 つ以上のものを扱ったりして、手をのばす動作の回数を少なくできないか

⑤ホッパーやシュートを使って、手をのばす距離を短くできないか

⑥工具を置く位置をはっきりさせ、もっと便利なように配置すれば、手をのばす距離は短くならないか

⑦材料と加工品を近くに置くことによって、手をのばす動作を少なくできないか

⑧手をのばす動作を省略するために、手をはなす動作と、次の部品をつかむ動作を結合できないか

⑨前後の動作と結合できないか、それによって手をのばす動作を省略できないか

運ぶ(TL)

①この『運ぶ』動作は作業サイクルのこの位置で必要か

②もし必要なら、運ぶ距離は短くできないか

③作業場のレイアウトを改善することによって、運ぶ動作を少なくできないか

④1 度に 1 つ以上のものを運ぶことによって、運ぶ動作の回数を少なくできないか

⑤シュートやコンベアを使って、運ぶ動作を少なくしたり、省略できないか

⑥手で使う工具は、スプリングでぶらさげるか、あるいはバランサーをつけることによって、抵抗をなくせ

ないか

⑦加工品を、次の作業場へ押し出せ(滑らせ)ないか

⑧次の作業位置に落とし送りすることによって、運ぶ動作をなくせないか

⑨前後の動作と結合できないか、それによって運ぶ動作を省略できないか

はなす(RL)

①次の部品に手をのばす途中で、加工品を落とし送りできないか

②一方の手で加工品をはなしながら、他方の手で次の部品をつかめないか

③使用頻度の多い工具は、常時、手に持ったままにできないか

④指について離れにくい部品は、すばやくはなせるように改善できないか

⑤前後の動作と結合できないか、それによってはなす動作を省略できないか

探す・選ぶ(ST/SH)

①部品を前置きすることによって、探す・選ぶ動作を省略できないか

②必要な工具と部品以外のものが、作業域に置かれていないか

③部品を対称形に設計変更することによって、探す・選ぶ動作を省略できないか

④選ぶ必要のないよう、部品が標準化されているか

⑤適切な指示により、実際の探しや選び動作が行われる前に、頭の中で意識させることによって、ため

らわずに動作するようにできないか

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位置決め(P)

①ストッパやガイドによって、位置決め動作を省略できないか

②部品の設計を変えることによって、位置決め動作を省略できないか

③工具の位置決め時間を短縮するために、ガイドをつけられないか

④組立て時の位置決めを容易にするために、部品の形状を変更できないか

⑤受け具や保持具を設置することによって、位置決めを含む細密な動作を減らせないか

前置き(PP)

①その前置きは次の動作に不可欠のものか

②部品の並べ方を工夫することによって、前置き動作を省略できないか

③ホッパー送りによって、前置き動作を省略できないか

④次の作業の前置き動作が発生しないような置き方はできないか

⑤部品の設計を変えることによって、前置き動作を省略できないか

保持(H)

①その部品はどうしても保持しなければならないのか

②もし必要なら、保持する動作をより生産的な仕事に変えられないか

③万力、治具あるいは取付具の使用によって、この動作は省略できないか

④もし可能なら、あいた手でやれるような他の仕事はないか

⑤保持する動作の省略によって、両手を使う動作ができないか

避けえぬ遅れ(UD)

①避けえぬ遅れが生じた時、仕事の一部を余裕のある方の手に移せないか

②その動作は、両手で行えるように改善できないか

(参考)分析・原則の適用・チェックリストなどの役立ち

○問題点を発見し、改善の着想を得る

○客観的・定量的に仕事を表現したり分析したりすることにより、

1. 問題点を共有しやすい

2. 重複や見落としを防ぐことができる

(思いつき、場当たり的にならない)

3. 複数のメンバーによる検討がしやすい

4. 経過・成果の説明がしやすい

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資料 5 動作経済の原則

[1] 身体の使用に関する原則

(1)両手の動作は、同時に始め、同時に終わるべきである。

(2)休息時間以外は、両手を同時に遊ばせてはならない。

(3)両手の動作は、反対方向に対称に同時に行うこと。

この 3 つの原則は、互いに密接な関連を持っているので、併せて考えることが望ましい。 片手より

両手を使った方がより効果的であることは明かである。また、一般に、作業場所の左右両側に類

似の仕事を配置し、左手と右手が一緒に動き、同じ動作を行う方が効果的である。腕を対称方向

に動かすとバランスがとれ、作業者はより少ない精神的、肉体的努力で仕事を行うことができ

る。

(4)手や体の動作は、仕事を満足に行いうる最低の等級(体幹から遠い身体部位)のものに限るこ

と。

手の動作は次の 5等級に分けることができる。通常この等級に従って、時間、努力、疲労の度合

が増加する。

① 指、手首、前腕、上腕、肩を含む動作(姿勢をくずさなくてはできない)

② 指、手首、前腕、上腕を含む動作

③ 指、手首、前腕を含む動作

④ 指と手首を含む動作

⑤ 指の動作

(5)運動量(惰性、はずみ)をできるだけ利用すること。しかし、筋肉力によって、それに対抗する必

要のある場合には、運動量を最小にすること。

運動量とは、移動する材料の重さ、移動する工具または装置の重さ、移動する身体部位の重さの

ように質量と速度の積である。これらの運動量をうまく利用すると楽に仕事ができる場合が多

い。

(6)急な方向転換を含む直線的動作より、なめらかな連続運動の方が好ましい。急激な方向転換は

時間を浪費する上、作業者の疲労が増大する。

(7)弾道型の自然な運動の方が制約された運動より早く楽で正確である。

弾道型の運動においては、筋肉は運動が始まった時にのみ収縮し、その後は弛緩しているため、

疲労が少なく力があり、かつ早くて正確である。

(8)できるかぎり楽で自然なリズムで仕事ができるよう設定すること。

動作が適切に配列されるとリズムが発生し、作業者はそのリズムの助けをかりて、仕事を楽に

かつ自動的に行えるようになり、疲労が軽減される。

(9)注視回数をできるだけ少なく、また注視点をできるだけまとめること。

[2] 作業域に関する原則

(1)工具や材料はすべて定位置におくこと。

工具や材料は、常に同じ場所においておき、作業者が容易に見いだせるようにしておいておかな

ければならない。場所を決めておくことによって、作業者は習慣づけられて、迅速に無意識的に動

作を行うことができる。

(2)工具、材料、制御装置は、使用点に近づけておくこと。

作業台、機械などで作業を行う場合、作業に必要な工具、材料、制御装置は、次図(次ページ)の範

囲を参照して配置されるべきである。

(3)材料を使用点へ送るには、重力を利用した供給容器を使うこと。

容器の底が傾斜していると、材料は自重で自動的に手前に供給され、作業者は手をのばして、容

器の奥の材料をつかむ必要はない。

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(4)できるだけ落し送りを利用すること。

加工済みの製品を、その加工場所で手離し、製品の重力を利用して一定の場所に送り落とすよう

にすれば、作業のリズムはそこなわれず、すぐに次の作業に移ることができる。

(5)材料、工具は最良の動作順序が実現するよう配置すること。

作業に必要な材料は、完成品を手離す点の間近におかなければならない、これによって、ムダな

動作を省くことができる。

(6)視力のため、適切なコンディションをととのえること、よい照明は十分な視覚にとっての第 1

条件である。

よい照明とは、次の 3つの条件をそなえたものである。

① その仕事に十分な照度

② 適切な色をもち、ギラつかないもの

③ 正しい方向からくる光

(7)作業場所及び椅子の高さは、立ち作業、すわり作業、いずれも作業者が随意にたやすく行いうる

よう設定すること。

(8)作業者が正しい姿勢をとりうるような形、及び高さの椅子を各人に備えること。

(1) 水平方向

最大作業域

正常作業域

最大作業域

正常作業域

最大作業域

正常作業域

[最大作業域] 左手および右手を伸ばして作業できる最大範囲。

これ以上の範囲になると肩を動かさなければならない。

[正常作業域] 曲げたひじを支点にして、両手で作業できる範囲。

(2) 垂直方向

[最大作業域]が手を伸ばしうる最大範囲であり、

[正常作業域]がひじを支点にして行う作業範囲である。

[3] 工具や設備の設計に関する原則

(1)治具、取付具または足踏装置の活用によって、両手をより有効な仕事にふり向けること。

(2)工具はできるだけ組み合わせること。

工具は両端を使えるようにした方が能率的である。(例、金づちと釘抜き、ゴム付の鉛筆)

(3)工具や材料は、できるだけ前置きしておくこと。

(4)タイプライターを打つときのように、それぞれの指が特定の働きをする場合、それぞれの指固

有の特性に応じて仕事を与えること。

(5)体の位置を変えずに、かつ機械の効率を損なわずに操作できるよう、レバー、クロスバー、ハン

ドルの位置を選ぶこと。

最大作業域

正常作業域

最大作業域

正常作業域

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資料 6 動作経済の原則によるチェックリスト

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資料 7 ECRSの原則

条件を変えてやめてしまう

Eliminate (なくせないか)プ�セス・

ステップひとつひとつについて

Combine (組み合わせられないか)組み合わせて重複をなくす

Rearrange (順序を変えられないか)順序の変更で仕事の必要性をなくす

Simplify (簡単化できないか)更に細かく分析する(細かいレベルにECRSを適用する)

SimplifyECR

条件を変えてやめてしまう

Eliminate (なくせないか)条件を変えてやめてしまう

Eliminate (なくせないか)プ�セス・

ステップひとつひとつについて

Combine (組み合わせられないか)組み合わせて重複をなくす

Combine (組み合わせられないか)組み合わせて重複をなくす

Rearrange (順序を変えられないか)順序の変更で仕事の必要性をなくす

Rearrange (順序を変えられないか)順序の変更で仕事の必要性をなくす

Simplify (簡単化できないか)更に細かく分析する(細かいレベルにECRSを適用する)

SimplifyECR

Simplify (簡単化できないか)更に細かく分析する(細かいレベルにECRSを適用する)

SimplifyECR

E 省略(Eliminate) 1. すべての不必要な仕事、作業、作業ステップ、動作は可能な限り省略する。

(これは体、脚、手および目に適用される。)

2. 作業が自動的におこなえるように、仕事の中の不規則性をなくす。物の置場を一定にする。

3. 物を保持するために手を用いることをやめる。

4. やりづらい異常な動作を避ける。

5. 固定した姿勢を維持するために筋肉をしようしないようにする。

6. 機械工具、動力送りなどを使用することによって力仕事を省略する。

7. 慣性を無理に止めることを避ける。

C 組合せ(Combine) 1. 急激に方向を変えるような短い動作を組み合わせて長いゆるやかな動作にする。

2. いくつかの決まった機械サイクルを組み合わせて、そのサイクル内での最大の仕事をするよう

にする。

3. 工具を組み合わせる。

4. 制御装置を組み合わせる。

5. 動作を組み合わせる。

R 再編成(Rearrange) 1. 作業を両手に均等に配分する。対象的な同時動作は最も能率的である。

(これはしばしば同時に 2個の部品を扱うとき適用される。)

2. 手から目へ仕事を移す。

3. 仕事の順序を簡明なものにする。

S 単純化(Simplify) 1. その仕事をするのに低位の筋肉グループを使い、筋肉は必要なときにのみ使用すること。

2. 目の移動を減らし、注視する点の数を少なくする。

3. 作業を正常作業域でおこなうようにする。

4. 動作距離を短くする。

5. ハンドル、レバー、ペダル、ボタン、などを人間の身体の大きさと筋肉組織に合わせる。

6. 筋肉の力を加える場所にエネルギーが集中するように慣性を利用する。

7. できるだけ簡単なサーブリグの組合せを作る。

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第 4~6 回 改善案の具体化・評価~発表の準備~成果発表会

1.改善案の具体化

① 第 3 回の改善案をヒューマン治具ではなく具体化をする。改善案を具体化する

場合には、時間の関係上、加工が容易な材料を用いて行う。このような施策は、

現場でよく行われる。

② 改善案の具体化は多くの時間を要するので、必ず担当教員に確認をとり第 4 回

と第 5回のスケジュールを確認すること。

③ 具体化された改善案は、10 サイクル分のビデオ撮影を行うこと。この際に、改

善案のセールスポイントなどを静止画で撮影しておくとよい。

2.改善案の評価

作成された改善案については、現状作業と同様に 1 サイクルの標準作業を定める。

そして、以下の内容について明らかにする。

1)目標値を達成しているかの時間値の作成

2) 現状と改善案の定量的な比較(今までやった分析を 1つはやってみる)

3) 改善案のセールスポイントの列挙

3.発表の準備

① 発表はパワーポイントで行う。現物(作成した治具や道具)を提示しても良い。

② 班員の全員が発表すること。発表には最低限以下の項目を含めること。

1)課題の説明と目標値

2) 分析結果

3) 改善案に至るまでの着想と過程や考え方

4)改善案の説明

5)改善案の評価

③ 発表時間(10分)に収まるよう、発表者の交代や段取りに注意する。

④ 最低 2回は担当教員の前で発表練習を行う。

⑤ 配布された CDに班の全てのファイルを保存して、当日提出する。

発表用のフォルダ「○班発表」を作成し、PPTファイルと必要な動画を保存する。

USBメモリにも発表用フォルダを保存し、持参すること。

⑥ 発表の前日 13時までに、パワーポイントファイルを担当教員に提出すること。

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4.レポートの作成と提出

① グループレポート: 班で一冊の A4ファイルに、分析用紙や分析結果、改善案

の図表や写真など作成した資料を綴じる。

② 個人レポート: 各自が A4で 1枚に以下の内容をまとめる。

1)実験の中で自分は何を担当したか

2) グループレポートに記載しなかったことで、自分が考えたこと

3) 実験に対する意見、感想

③ レポートは発表会終了時に担当教員に提出する。

5.成果発表会: 〔第 1 回〕5月21日(火)13 時 10 分から

〔第 2 回〕7 月2日(火)13 時 10 分から

① 発表順序は 1,2,3,4,5,6,7,8班の順序。

② 発表時間は 10分間、その後 10分間の質疑応答を行う。

③ 発表会評価用紙に記入する。自分の班についても評価を記入する。

④ 各自、1回以上は質問する。質問の内容と回答、回答に対する評価を記録する。

6.後片付け

① 作成した治具は、班で責任を持って処分すること(実験室に置きっぱなしにし

ない)。

② 道具箱の中身を確認し、棚を整理整頓すること。

資料 1 パワーポイントへの動画の貼り付け

貼り付ける動画は、ファイルサイズを小さめにした mpegファイルで作成する。

動画の作成方法(別資料)を参照のこと。

① 貼り込みたい動画ファイルをパワーポイントファイルと同じフォルダ内におく。

② 白紙または上部タイトルのみのスライドを用意する。

③ メニューの 挿入>ビデオとサウンド>ファイルからビデオ を選択し、目的の

動画ファイルを選択する。

④ 自動で再生するか、クリック時に再生を開始するかを選択する。

⑤ 貼り込まれた画像を右クリックし、「ビデオプロジェクトの編集」を選択すると、

フルスクリーン表示などのオプションが選択できる。

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