Human-centered...

2030年エレクトロニクスの旅

Human-centered Mechatronics ～人間を中心としたメカトロニクス～

2011/11/15

北海道大学大学院情報科学研究科

システム制御情報学研究室

金子俊一

http://www.ssc-lab.com


講義内容

2

１．人間を中心としたメカトロニクス

２．スマートスーツ＆スマートスーツライト

３．大地震被災地の復興支援への使用

デモンストレーション


Human-centered Mechatoronics （HCM）

3

Mechatronics

Electronics

電子工学

Mechanics

機械工学

Human System

「人間」システム

Human-centered Mechatronics

・Mechatronics 機械工学と電子工学の融合分野

「ロボティクス」の基礎

・Human-centered

mechatronics メカトロニクス設計

の際に，それを扱う「人間」までも

含めたシステムを考えることで，

より使いやすく，安全なものづくりを行う．

人間を中心としたメカトロニクス


バイオメカニカルデザイン

パワーアシストヒューマンインタフェース

スマートスーツ

M-HI(マルチポータル

ヒューマンインタフェース)

VAI(バイブレーション

アラートインタフェース)

ヒューマンインタフェース学会誌論文賞

HCMの研究事例紹介

パワーアシストコック

腕上げ作業用スマートスーツ


講義内容

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北海道発の軽労化技術


スマートスーツ・ライト

※ NEDO福祉用具実用化開発推進事業（2009〜2010）に採択され、

現在、介護・福祉用モデルを開発中。

※ 北海道福祉のまちづくり賞受賞

※ 日本学術振興会科学技術研究費（2006-2007）による成果、

北海道開発局調査事業、デサントスポーツ科学などによる助成。

※ 消防庁長官賞、JSME北海道支部研究技術賞など受賞

UDスコップ

除雪作業における上半身の過度な前屈や側屈方向負荷のアンバランスを低減することを目的に、S字状に大きく屈曲する柄形状を有するスコップです。筋負担，疲労を軽減する効果があります。 ※ グッドデザイン賞受賞

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スマートスーツのコンセプト：「軽労化」

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栗山町金丸農園(2007.7)

農作業補助

札幌市内病院

(2010.6-7)

介護作業補助

札幌市内 (2010.1)

除雪作業補助

茨城県内現場

(2010.1-2)

建設作業補助



北海道発の軽労化技術：スマートスーツ


弾性材（補助力源）＋モータ（補助力調整機構）＝

セミアクティブアシスト機構基本的にはパッシブなアシスト機構（＝サポータ）

補助力を調整するためのアクティブな機構

セミアクティブアシスト機構

)(

)( 21

dKF

FFFd

ss

mmsw

K：弾性材バネ定数

ｓ：ワイヤ巻き取り量＝制御量

motor unit

wire

1mF

d

2mFwτ sF

muscle rubber wire

motor

rubber

腰関節の運動に関わる筋のモデルサポーター着用時の補助力のモデル

A/D

CPU

DIO

motor driver

bend sensor

主動筋

（補助対象筋）

拮抗筋

DCサーボモータウォームホイル機構

制御基板ワイヤ

消防庁長官賞（奨励賞），

JSME北海道支部技術賞など受賞

動作に適切な補助力を弾性材が発揮するよう伸長量を制御


従来のパワーアシスト装置との違い

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筋発揮力を

直接計測

アシスト装置

補助率：k

hf

h

sh

fk

fff

)1(

　

hs kff

人間の運動を計測

hM

efk

fff

h

sh

)1( 　アシスト装置

筋発揮力の推定

)(*

hhh Gf M

補助率

k

hf

ekf

kff

h

hs

*

　　　

対象

動作

対象

動作

・高価で大きなセンサが必要

・ノイズ等で精密測定困難

力の計測は不要

（e：推定誤差）

モーション・ベースト・アシスト法（MBA） MBA推定器をしっかりと

作りこまなければ推定誤差増大

メリットデメリット

正確な増力比

の設定が容易

安価で小型の

センサで計測可能

従来のアシスト装置

スマートスーツの場合


Step 3: 筋発揮力の算出

動作中の補助対象筋の筋発揮力 Fm を筋骨格

シミュレータ SIMM*1 により算出

GSIMM: dynamics function of SIMM

Step 4: 動作-筋発揮力モデル

動作（関節角・角速度）と筋発揮力との関係をモデル化

筋発揮力 Fm を次式 Fs で近似

: joint angle vector

kp’, kd’ : constant coefficient

モーション・ベースト・アシスト技術（MBA）

筋骨格モデルに基づいた動作に最適な制御系の設計

Step 1: 補助対象作業調査

Step 2: 3次元動作計測

モーションキャプチャシステムに

より補助対象動作 Mh を計測

)( hSIMMm MGF

θkθkθθfF ''),( dps

*1: SIMM is produced by Musculo Graphics Inc. 0 1 2 3

0

1

2

3

4

time[sec]

mu

scle

forc

e[N

]

actual mesurement estimate

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スマートスーツの効果

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ひねり動作時の筋活動量を評価

左右非対称な運動の補助

肩

背中

腰

補助対象筋

補助対象筋では10%の筋活動量減尐筋負担軽減率

最新版スマートスーツ

・腰にある２つの小型モータで大腿経由で肩を支える

・独立のモータで左右非対称な運動も補助


酪農場での実フィールド試験

2011/10/17

北海道十勝清水町の酪農家さんにスマートスーツとスマート

スーツ・ライトを着用してもらった．

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スマートスーツにより

筋活動量が10%以上減尐

脊柱起立筋

腰部（腰方形筋）



※ NEDO福祉用具実用化開発推進事業（2009〜

2010）に採択され、介護・福祉用モデルを開発。

※ 北海道福祉のまちづくり賞受賞

北海道発の軽労化技術：スマートスーツ・ライト



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モータの無いパッシブ型筋力補助スーツ

ゴムベルトの弾性力が補助力

手動で弾性材の長さを調整

スマートスーツライト外観

補助力と人間の発揮力が調和するように設計

シミュレーションから得た動作と筋発揮力の関係

モーション・ベースド・アシスト法

Assist force

Belt

Elastic

material


モーション・ベースト・アシスト法に基づく設計

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設計事例：介護動作

介護労働の負担要介護者の増加[1]

有資格者の14%が腰痛等の

体調不良により離職[2]

[1] 厚生労働省: 介護保険事業状況報告（年報） (2010) ,

[2] 厚生労働省 : 介護福祉士等現況把握調査 (2010)

要介護認定者数の推移[1]

（埼玉県内の介護老人保健施設で撮影）

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介護用スマートスーツ・ライトによる軽労化


負担の解析

2.抱き起こし 1.体位変換 3.移乗

①僧帽筋

⑤腓腹筋腰部の筋負担軽減のためのMBA設計

④大腿四頭筋

②脊柱起立筋

③ハムストリング

（北海道大学保健科学研究院山中正紀教授の指導の下で介護動作計測を実施）

補助対象動作の解析

19 MVC：最大随意収縮（MaximumVoluntaryContraction）


設計したスーツの効果検証実験

脊柱起立筋の負担軽減を確認

バーベルの持ち上げ

– 動作周期:4 sec

– バーベル:30.5 kg

– 台:550 mm

Subject A Subject B Subject C

20 IEMG：積分筋電図（Integrated electromyography）


介護用スマートスーツ・ライト臨床試験

介護作業時に着用し，アンケート調査．

病院（札幌市内，内科・リハビリテーション科）

被験者：介護職 20名（女性19名，男性1名）

非着用時着用時疲労感減少率[%]

4.2 2.7 65.0 疲労感の増加が65%抑えられた

勤務前後の疲労感増加量（感覚量）を単位時間あたりで比較

腰部負担の減尐効果（5段階評価）

90%の被験者に腰部負担軽減効果

H21-22年度NEDO福祉用具実用化開発推進事業


講義内容

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スマートスーツ・ライトを被災地へ

提供先：日環エンジニアリング（株）（宮城県大崎市）

- 震災直後より生活復旧ボランティア

- ボランティア（社員）の肉体疲労が問題化

提供品：スマートスーツ・ライト試作品4着

提供期間：2011年4月20日～現在

現地調査（2011年4月24-25日）

調査内容：

- 生活復旧作業の現状

- スマートスーツ・ライトの効果

場所：宮城県石巻市被災者住居

（日環エンジニアリング

復旧作業ボランティア先）

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宮城県石巻市大街道地区

2011/4/24撮影


現地調査(使用者感想)

使用者（日環エンジニアリング）の感想：

- 随分と腰が楽になる，

翌日の疲れ（痛み）が軽くなる

- 長期に継続して使用したい

調査結果：

- 被災地活動向けへの対応

→ 作業服一体化モデルを緊急開発中

- 早期大量投入への対応

NEDOによる被災地調査（2011年5月2 - 4日）も

行われ，災害ボランティアセンターにて

スマートスーツ・ライトを試用

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瓦礫撤去作業でスマートスーツ・ライトを活用するボランティア（NEDO撮影）


石巻で感じたこと（田中准教授）

復興の前に，まず復旧を！

スピード感のある復旧を！

確実性のある復旧を！

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瓦礫除去作業を手伝う田中准教授

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