応用情報・午後・ストラテジ系を解く(H26秋)
-
Upload
highertomorrow -
Category
Business
-
view
826 -
download
1
Transcript of 応用情報・午後・ストラテジ系を解く(H26秋)
応用情報技術者試験午後ストラテジ系を解く
平成26年度秋期
企業の財務体質の改善
Ver.1.0.1(2015年01月14日)
higher tomorrow
平成26年度秋期午後の問題と解答
•問題• https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2014h26_2/20
14h26a_ap_pm_qs.pdf
•解答(+出題趣旨)• https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2014h26_2/20
14h26a_ap_pm_ans.pdf
•講評• 現時点では未公開
目次
•解説編• 設問0. ざっと設問を見る
• 設問1.事業戦略
• 設問2. P/LとC/F
• 設問3. キャッシュフロー
• 設問4. 財務分析
• 設問4. (1) 財務体質改善案
• 設問4. (2) 売上代金の回収
• 設問4. (3) 剰余金の配当
•要点カード編• No.001競争戦略 / 成長マトリクス
• No.002 生産の自動制御
• No.003 人的資源管理
• No.004 貸借対照表
• No.005 損益計算書
• No.006 キャッシュフロー計算書
• No.007 効率性に関する指標
• No.008 安全性に関する指標
解説編
設問0. ざっと設問をみる
• 設問1:R社のこれまでの経営戦略を選択する• 選択肢はいずれも1語(○○戦略)
• 設問2:[ a ] ~ [ c ]に入れる字句を選択する• 選択肢は、いずれも漢字2文字
• 設問3:各々のキャッシュフローがプラスかマイナスかを解答する
• 設問4:[ d ] と [ e ] に入れる財務体質改善案を選択する
下線①の根拠と、下線②の理由を記述する
X
要点カード No.XXX
要点カード No.XXX
B
A
C
・・・確実に正解したい
・・・できれば正解したい
・・・正解できなくても仕方ない
参照すべき要点カードをココに挙げます
問題の難易度をココに書きます
応用情報技術者試験の午後試験は、時間がタイトです。そこで、事前に設問文に目を通し、以下程度の内容を把握しておくとよいでしょう。
設問1. R社の事業戦略
• R社がとってきた戦略は、[経営状況と戦略] に、次のように記載がある
• たとえ知識がなかったとしても、なんとか正解までたどり着きたいア. R社は、「新しい市場を創造」しているで、アの「市場浸透戦略」は外せる(×)イ. 何かを何かに集中させているような話がないから、「集中戦略」は外せる(×)ウ. ブランドの話が全く出てこないから、ブランド戦略は外せる(×)エ. ブルーオーシャン、青い海→ 競合がない雰囲気(○)
• “ブルーオーシャン戦略”• 競争の激しい既存の市場(レッドオーシャン)を抜け出す• 競争のない未開拓の市場(ブルーオーシャン)を切り開くべき
R社は、技術力を生かして開発した画期的な新製品を投入して、競合のない新しい市場を創造し、新規顧客を開拓することによって、…
A
要点カード No.001
設問2. P/LとC/F
•損益計算書(P/L)とキャッシュフロー計算書(C/F)
•黒字倒産• 「黒字=利益がプラス」⇔ 「赤字=利益がマイナス」
• 利益がプラスでも、キャッシュが尽きれば、会社は倒産する• 例えば、大量に掛(かけ)で売り上げ(“つけ”で売り)、黒字になったとする
• しかし、代金(売掛金)が回収できなければ、キャッシュは得られない
• 黒字倒産は、[ b. 利益 ] はあるのに、[ c. 現金 ] が不足して起こる倒産である
• “P/Lは現金主義ではない!”• [ a.発生 ] 主義→ 「要点カード No.005」を参照
• P/Lだけでは、キャッシュの流れがわからない→ C/Fが必要
A
C
A
b
a
c
要点カード No.004
要点カード No.005
設問3. キャッシュフロー
• [経営状況と戦略] に、次のように記載がある
• 営業活動によるキャッシュフロー(以後、営業CF)• 営業CFによって資金調達を実現しているため、営業CFはプラス(+)だったはず
• 投資活動によるキャッシュフロー(以後、投資CF)• 積極的な投資を行うことで、キャッシュが流出したため、投資CFはマイナス(-)
• 財務活動によるキャッシュフロー(以後、財務CF)• 銀行からの借入れによって、キャッシュが増加したため、財務CFはプラス(+)
創業以来、売上と利益を順調に伸ばしてきた。
需要の増大に対応するために、積極的な投資を行い、工場の設備を増強した。これらの投資の資金は、営業活動から生み出されるキャッシュだけでなく、銀行からの借入れによって調達したが、…
A
要点カード No.006
設問4. 財務分析
• P/Lの売上高に注目→ 対前年比“110%”になっている→ 規模感が1.1倍• B/S、P/Lのすべての勘定科目が1.1倍になっていれば、前年同様の効率性、安全性
• B/S、P/Lのどの勘定科目も、だいたい対前年比110%前後
• その中で、B/Sの売掛金だけ“121%”と、大きく増加している• 「資産が増えてうれしい!」ではない→ キャッシュを圧迫している可能性
• 売掛金の額が大きいということは、キャッシュが回収できていないということ
• 借入金が増え、売上高経常利益率が減りそうだが、今回はそうではない• よくあるパターン→ 「借入金増→支払利息(営業外費用)増→経常利益減」
• 効率性、安全性に関する指標は、しっかり理解しておきたい
→ 「要点カード No.007」「要点カードNo.008」
要点カード No.007
要点カード No.008
要点カード No.004
要点カード No.005
設問4. (1) 財務体質改善案(B案)
• 製造業において棚卸資産とは、「製品、仕掛品(製造途中)、原材料」
(売掛金同様、棚卸資産が増えると、キャッシュを圧迫する可能性あり)
ア. ジャストインタイム(JIT)方式→ 「要点カードNo.002」を参照(○)イ. フランチャイズチェーン→ 本部(フランチャイザー)と加盟店(フランチャイジー)が、共同で事業を運営する。
本部は、加盟店に経営指導や商標使用権の付与などを行い、加盟店は、本部に加盟料などを支払う(×)ウ.レイバースケジューリング→ 売上予測、そこからわかる作業内容と作業量を把握し、従業員・作業員の
適切な配置を行うことで、店舗運営を効率化する(×)エ. ワークシェアリング→ 「要点カードNo.003」を参照(×)
• 簡単にJITが導入できるとは思えないため、選択しにくくはある
• ただし、他の選択肢が製造業とかけ離れているため、なんとか正解したい• 少なくとも、「フランチャイズチェーン」と「ワークシェアリング」は除きたい
B案:棚卸資産回転日数を減らすために、[ d ] を導入して棚卸資産を減らす。この結果、営業活動によるキャッシュフローが増える。
B
要点カード No.002
要点カード No.003
設問4. (1) 財務体質改善案(C案)
• ア、ウ、エは、いずれも資金調達→ 財務CFの増加ア. 長期借入金(固定負債)を増やす(×)
• 「固定比率=固定資産/純資産」が上がる• 借金するのだから、キャッシュが増える(財務CF)
イ. 買掛金(仕入債務)の支払を遅らせる(○)• なかなか仕入債務が返済されないため、仕入債務回転日数が増える• お金を払わずに手元にもっておくのだから、キャッシュが増える(営業CF)
ウ. 新株を発行し、増資を行う(×)• 総資産が増えるため、なかなか1回転しなくなる。つまり、総資産回転日数が増える• 株式を発行し、資本を払い込んでもらうので、キャッシュが増える(財務CF)
エ. 社債(償還期間5年)を発行する(×)• 償還期間5年→ 5年間利息を払い、5年後に元金を払う(償還する)• ワンイヤールール(「要点カードNo.005」を参照)により、この社債は固定負債。なので、流動比率は変わらない
• 借金するのだから、キャッシュは増える(財務CF)
B
要点カード No.005
要点カード No.007
要点カード No.008
設問4. (2) 売上代金の回収
• P/LとB/Sを照らし合わせる
→ 回転率 or 回転日数
•前年度と比べて、売上代金の回収に問題がある
→ 売上債権回転率が下がった or 売上債権回転日数が上がった
• P/LとB/Sから勘定科目を1つずつ選ぶ
→ もちろん、B/Sの「売掛金」、P/Lの「売上高」
• 「売上高が110%増なのに対し、売掛金が121%増であるから。」
B
要点カード No.007
設問4. (3) 剰余金の配当
• 「表4. 株主資本等変動計算書(S/S)」は、B/Sの純資産の増減の内訳を表わす• 利益剰余金(利益のストック)から420百万円の配当を行い
• 当期純利益(P/Lの当期純利益も参照)640百万円が新たにストックされた
•本案では、当期純利益が前年対比“112%”と伸びたにもかかわらず、配当を2013年度と同じ額に据え置くということ
• つまり、「2013年度以上に利益剰余金が増加する」から、自己資本が増加し、自己資本比率が上がる
自己資本比率を上げるために、剰余金の配当を2013年度と同じ額に据え置くことを提案した。
B
要点カード No.004
要点カード No.007
要点カード編
競争戦略の策定 / 成長マトリクス大分類8:経営戦略 > 中分類19:経営戦略マネジメント > 1.経営戦略手法
要点カードNo.001
広い
コストリーダーシップ
戦略
●競争戦略の策定(競争優位の3つの源泉)← ポーター
差別化戦略
狭い
集中戦略(コスト集中) (差別化集中)
他者より低いコスト 差別化
競争優位
戦略ターゲットの幅
●成長マトリクス(成長ベクトル)← アンゾフ
◆コストリーダーシップ戦略→ 規模の経済の追及→ 低コスト
◆差別化戦略→ 他社にない特異性を創造
◆集中戦略→ 業界の特定のセグメントに集中
既存 新規
製品
既存
新規市場
市場浸透
市場開発
製品開発
多角化
◆市場浸透戦略→ 既存の市場に既存の製品
◆製品開発戦略→ 既存の市場に改良製品、または新製品
◆市場開発戦略→ 既存製品に対する新しい市場を開拓
◆多角化戦略→ 新たな事業(新規の市場に新規の製品、または他の事業を買収)
生産の自動制御大分類8:経営戦略 > 中分類21:ビジネスインダストリ > 2.エンジニアリングシステム
要点カードNo.002
生産時期
生産形態の区分(同色は、関連が強いことを表している)
生産品種生産量
生産指示
加工品の流れ
生産方式 連続生産
ロット生産個別生産
フロー型ジョブショップ型
押出し型引取り型
少種多量生産多種少量生産
見込生産受注生産 注文を受けてから生産
生産してから販売
注文に応じて、その都度生産する
品種ごとにまとめ、複数の製品を交互に生産する
同一の製品を、続けて生産する
トヨタ生産方式キャノン生産方式
需要予測、在庫管理が重要
納期に間に合うよう、進捗管理が重要
ニーズの多様化
素早い段取り替えが課題
後工程から引き取られた量を補充するためにだけ、生産活動を行う
定められたスケジュールに従い、生産活動を行う
ジャストインタイム(JIT)・・・後工程の要求に合わせて、必要なものを、必要な
ときに、必要な量だけ生産する生産方式。「かんばん」と呼ばれる作業指示票を用いた後工程引取方式(プルシステム) 。自働化(じどうか)・・・異常発生時に自動停止→ムダと異常を顕在化させる。
正確な進捗管理が必要
企業固有
ソフト面重視
人的資源管理(HRM)の重要ワード大分類9:企業と法務 > 中分類22:企業管理 > 1.経営・組織論
要点カードNo.003
●雇用管理・ワークシェアリング・・・勤労者同士のワーク(仕事)のシェア(分け合う)をコントロールすることで、より多くの
勤労者を解雇することなく雇い続ける(雇用を確保する)方法・ジョブローテーション・・・いくつかの職務を、計画的に経験させる・社内公募制度・・・担当する仕事をあらかじめ明示し、その仕事に従事したい人材を社内から募集する・キャリア開発制度(CDP)・・・個々に長期的なキャリア育成計画を作成し、計画に即した配置・異動を行う
●人事評価・心理的誤差傾向→ 公平に評価すべきだが、心理的な誤差が生じがちである
(例.ハロー効果・・・一部の優れた点があると、他の考課要素まで良く見えてしまう)・自己申告制度・・・従業員に、自己の能力や希望職種などを申告させる・多面評価(360度評価)・・・上司以外に、同僚や部下、顧客など、複数の評価者によって評価する・目標管理制度(MBO)・・・従業員に、毎年度目標を設定させ、その達成度を評価する
●能力開発・コンピテンシ・・・高い成果を生み出す人の行動特性・OJT・・・実際に業務を行いながら指導を行い、業務遂行に必要な知識や経験を獲得させる・Off-JT・・・実際の業務から離れ、研修、セミナー、講演会などに参加する・自己啓発・・・従業員が、自らの意思で能力開発を行う
→ 教育の場が企業内に限定されていると、エンプロイヤビリティ(雇用されうる能力)の形成が困難になる
貸借対照表(B/S)大分類9:企業と法務 > 中分類22:企業活動 > 3.会計・財務
要点カードNo.004
次のルールにあてはまると「流動」に分類される(1) 正常営業循環基準
仕入、製造、販売のサイクルの過程にある資産・負債
(2) ワンイヤールール(1)に該当しないが、1年以内に履行される債権・債務
現金及び預金売掛金棚卸資産
流動資産
固定資産
繰延資産
流動負債
純資産
固定負債資産
負債
貸借対照表
有形固定資産建物機械装置土地
無形固定資産特許権
買掛金短期借入金預り金
株主資本資本金資本剰余金利益剰余金
社債長期借入金
純資産
貸借対照表の例流動性高い
流動性低い
払込資本
留保利益
売掛金・・・後からお金をもらえる権利(つけで売った)買掛金・・・後からお金を払う義務(つけで買った)棚卸資産・・・商品(小売業・卸売業)→ 在庫
製品、仕掛品、原材料(製造業)
払込資本・・・株主から払い込まれたお金留保利益・・・これまでに獲得した利益のストック
一定時点(決算日)の財政状態を表わす
損益計算書(P/L)大分類9:企業と法務 > 中分類22:企業活動 > 3.会計・財務
要点カードNo.005
損益計算書のルール(計上のタイミング)(1) 費用の計上→ 発生主義の原則モノを消費した時点。費用を支出した時点
(2) 収益の計上→ 実現主義の原則対価の受け取りが確実になった(実現した)時点
(3) 利益の計算→ 費用収益対応の原則収益から、それに対応する当期の費用を控除し、利益を計算する
収益
一定期間(1年間)の経営成績を表わす
費用
利益
損益計算書(勘定式)売上高売上原価
売上総利益(粗利)
販売費及び一般管理費
営業利益
営業外収益営業外費用
経常利益
特別利益特別損失
税引前当期純利益
法人税等
当期純利益
損益計算書(報告式)
利益にかかる税金(法人税、住民税及び事業税)
固定資産売却損火災による損失など
受取利息、受取配当金など支払利息、社債利息など
固定資産売却益など
広告宣伝費人件費減価償却費など
キャッシュフロー計算書(C/F)大分類9:企業と法務 > 中分類22:企業活動 > 3.会計・財務
要点カードNo.006
営業活動によるキャッシュフロー
(+)商品の販売・サービスの提供による収入(-)商品の購入・サービスの享受による支出(-)従業員および役員に対する報酬の支払いなど
投資活動によるキャッシュフロー
(-)有形固定資産の取得による支出(+)有形固定資産の売却による収入(-)有価証券の取得による支出(+)有価証券の売却による収入など
本業(商品の売買、製品の製造・販売、サービスの提供)など
設備投資、金融商品への投資など
財務活動によるキャッシュフロー
(+)株式の発行による収入(-)配当金の支払い(+)社債の発行・借入れによる収入(-)社債の償還・借入金の返済による支出など
企業経営に必要な資金調達など
一定期間(1年間)のキャッシュの状況を表わす (キャッシュ=現金及び現金同等物)
+
-
+
+
-
-
A B
●パターンA:営業活動から生じたキャッシュと財務活動を通じて調達したキャッシュを、投資活動に投入している
●パターンB:営業活動から生じたキャッシュを、投資活動に投入し、余ったキャッシュを資金の返済などに充てている
健全なパターン
営業CFがマイ
ナス(本業で稼げず)で、投資CFがプラ
ス(機械や備品などを売却した)だったりするとまずい
効率性に関する指標大分類9:企業と法務 > 中分類22:企業活動 > 3.会計・財務
要点カードNo.007
回転率=B/Sの○○資産
P/Lの売上高(回)
○○資産の、何倍売り上げているか
回転日数=回転率(回)
365日(日)
1回転するのに、何日かかるか
◆総資産回転率◆売上債権(※)回転率◆仕入債務(※)回転率◆棚卸資産回転率◆有形固定資産回転率など
ワンポイント→ 有形固定資産回転率と効率性
回転率は、値が大きいほど、その資産を効率よく用いて売り上げにつなげられていると見ることができる。ただし、有形固定資産回転率の場合には注意が必要である。有形固定資産は、毎事業年度の減価償却により、その価額が小さくなっていく(老朽化していく)。資産の価値が小さくなれば、その分回転率の値は大きくなるため、有形固定資産回転率が大きい場合には、機械や設備などの老朽化も考慮に入れなければならない。
※売上債権→ 売掛金、受取手形(後でお金をもらえる権利)、仕入債務→ 買掛金、支払手形(後でお金を支払う義務)
◆総資産回転日数◆売上債権(※)回転日数◆仕入債務(※)回転日数◆棚卸資産回転日数◆有形固定資産回転日数など
100万円投下して、100万円の売上が上がったら、1回転
棚卸資産が在庫として存在する平均的な日数
安全性に関する指標大分類9:企業と法務 > 中分類22:企業活動 > 3.会計・財務
要点カードNo.008
B/S の右
左
固定負債棚卸資産流動資産
B/S
当座比率=流動負債
当座資産×100%
流動比率=流動負債
流動資産×100%
固定比率=純資産
固定資産×100%
長期固定適合率 純資産+固定負債
固定資産×100%=
短期(上半分)
長期(下半分)
負債比率=純資産
負債×100%
自己資本(=純資産)×100%
自己資本比率 =
負債純資産合計
負債と純資産のバランス(B/S右側の上と下)
当座資産 流動負債
固定資産 純資産(自己資本)
1年で払わなければならないお金1年で使えるお金