応用情報・午後・ストラテジ系を解く(H25秋)

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応用情報技術者試験 午後 ストラテジ系を解く 平成25年度 秋期 事業戦略と経済性計算 Ver.1.0.120150112日) higher tomorrow

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応用情報技術者試験午後ストラテジ系を解く

平成25年度秋期

事業戦略と経済性計算

Ver.1.0.1(2015年01月12日)

higher tomorrow

平成25年度秋期午後の問題と解答

•問題• https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2013h25_2/20

13h25a_ap_pm_qs.pdf

•解答(+出題趣旨)• https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2013h25_2/20

13h25a_ap_pm_ans.pdf

•講評• https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2013h25_2/20

13h25a_ap_pm_cmnt.pdf

目次

•解説編• 設問0. ざっと設問を見る

• 設問1.競争戦略の立案

• 設問2. NPV(正味現在価値)

• 設問2. IRR(内部収益率)

• 設問3. NPV法による投資判断

• 設問4. 資金調達(借入と増資)

• 設問4. 資金調達(B/Sの影響)

•要点カード編• No.001競争の基本戦略 / SWOT分析

• No.002 DCF法

• No.003 貸借対照表(B/S)

• No.004 安全性に関する指標

• No.005損益計算書(P/L)

解説編

設問0. ざっと設問をみる

• 設問1:分析方法と競争戦略名を回答する(選択肢なし)

• 設問2:投資評価法について• [ a ] に入れる数式を回答する(選択肢なし)• 初期投資額とキャッシュフローの状態について記述する(40字)

• 設問3:2つの投資案、どちらがいくら有利か(計算)

• 設問4:資金調達について• 借入れによるメリットを選択する• 配当がどこから支払われるか選択する• B/Sの区分を選択する• 増資にした理由を記述する(30字)

X

要点カード No.XXX

要点カード No.XXX

B

A

C

・・・確実に正解したい

・・・できれば正解したい

・・・正解できなくても仕方ない

参照すべき要点カードをココに挙げます

問題の難易度をココに書きます

応用情報技術者試験の午後試験は、時間がタイトです。そこで、事前に設問文に目を通し、以下程度の内容を把握しておくとよいでしょう。

設問1. 競争戦略の立案

(1) 分析方法

• SWOT分析→ 「要点カードNo.001」を参照

(2) 競争戦略

• 規模の経済の追及(増産)→ 固定費の分散→ 原価の低減

• コストリーダーシップ戦略→ 「要点カードNo.001」を参照

主力製品の市場での機会と脅威を見つける外部分析と、主力製品の強みと弱みを見つける内部分析

要点カード No.001

・・・目標達成に向けた競争戦略の仮説と、・・・仮説:主力製品を増産し、原価を低減させることで競合他社よりも販売価格を下げる。・・・

A

A

(1)

(2)

設問2. NPV(正味現在価値)

• “現在価値”を知っていれば簡単→「要点カードNo.002」を参照

• 𝑁𝑃𝑉 = 𝑡=1𝑛 𝐶𝑡

(1+𝑟)𝑡− 𝐼

• n年後の残存価値を考慮した場合

• 𝑁𝑃𝑉 = 𝑡=1𝑛 𝐶𝑡

(1+𝑟)𝑡− 𝐼 +

𝑀

(1+𝑟)𝑛

要点カード No.002

現在 1年後 n年後・・・

C1

I

Cn・・・

現在 1年後 n年後・・・

C1

I

Cn・・・

M

投資から得られるキャッシュインフロー

初期投資のキャッシュアウトフロー

工場や設備を売却することで得られるキャッシュインフロー

B

投資から得られるキャッシュインフローの

現在価値

n年後に発生するキャッシュインフローMの

現在価値

設問2. IRR(内部収益率)

• NPVが0になる割引率(ア)のことを、

IRR(内部収益率)と呼ぶ

• 初期投資額とキャッシュフローの関係

• 𝑁𝑃𝑉 = 𝑡=1𝑛 𝐶𝑡

(1+𝑟)𝑡− 𝐼 = 0

• 𝑡=1𝑛 𝐶𝑡

(1+𝑟)𝑡= 𝐼

• 「投資から得られるキャッシュフローの現在価値の合計が、初期投資と等しくなる。」としか答えようがない

要点カード No.002

A

IRR(内部収益率)

NPV > 0投資すべき

設問3. NPV法による投資判断

• 「表1 投資案の検討結果の比較表」を図示(右図)• 表1に記載されている値の意味に注意!

• 初年度、2年度はキャッシュフローの“現在価値”• 3年度は、実際のキャッシュフロー

• “3年後の50億円の現在価値”•

50

(1+0.05)3=

50

1.16= 43(億円)

• 第1案の正味現在価値(NPV)• 𝑁𝑃𝑉 = 13 + 28 + 43 − 80 = 4(億円)

• 第1案のNPV(4億円)>第2案のNPV(3億円)→ 第1案の方が、1億円有利

要点カード No.002

B

現在 1年後 3年後

??

80

50??13

28

??

2年後

単位:億円

表2の複利表から

設問4. 資金調達(借入と増資)

(1) 金融機関から借入れをする場合のメリット

• 支払利息(営業外費用)が発生する→ 利益が減る→ 利益にかかる税金が減る

• 利益にかかる税金=法人税等(法人税、事業税及び住民税)

(2) 配当の原資

• 税引き後の“当期純利益”から配当する(B/Sでは、利益剰余金などから)

要点カード No.003

支払った利息は損金に算入されるので、②メリットもある。

コラム法人税法では、収益や費用に一定の調整を行い、“益金”と“損金”を算出させる。

「益金-損金=所得」により所得を求め、所得に税率をかけて、法人税を計算する。

支払利息が“損金に算入”されると、所得が小さくなるため、法人税が軽減される。

要点カード No.005

発行した分だけ新たに株主への配当も必要であり、配当は [ b ] から支払われる。

A

A

(1)

(2)

設問4. 資金調達(B/Sの影響)

(3) B/S上の区分• 金融機関からの借入れ(負債)→ ワンイヤールールにより、固定負債• 社債の発行(負債)→ ワンイヤールールにより、固定負債

• 3年間の投資案であるため、キャッシュを回収し、借入金を返済(社債を償還)するまでに1年以上かかると考えられる

• 新株の発行による増資(自己資本)→ 資本金などに加わる

(4) 新株発行による増資が妥当と判断した理由• 問題文中に、次のような資金調達方針がある

• 担保、格付け、手続きなどの細かな話は、みんなダミー

• 借入れ、社債発行→ 負債が増え、自己資本比率がさらに低くなる• 増資→ 自己資本が増え、自己資本比率が高まる

要点カード No.003

要点カード No.004B

A

(3)

(4)

財務分析指標を用いた現状分析から、投資案の資金調達では、自己資本比率を現状維持又は高める方針とすべきと考えた。

要点カード編

競争の基本戦略 / SWOT分析大分類8:経営戦略 > 中分類19:経営戦略マネジメント > 1.経営戦略手法 > (3) 事業戦略

要点カードNo.001

広い

コストリーダーシップ

戦略

●競争の基本戦略(競争優位の3つの源泉)

差別化戦略

狭い

集中戦略(コスト集中) (差別化集中)

他者より低いコスト 差別化

競争優位

戦略ターゲットの幅

● SWOT分析・・・環境分析の手法のひとつ。事業戦略の策定など、様々な場面で使える

◆コストリーダーシップ戦略→ 規模の経済の追及→ 低コスト

◆差別化戦略→ 他社にない特異性を創造

◆集中戦略→ 業界の特定のセグメントに集中

機会(O) 脅威(T)

外部環境

強み(S)

弱み(W)

内部環境

強みを活かし機会をつかむ

◆内部環境・強み(Strength)・弱み(Weakness)◆外部環境・機会(Opportunity)・脅威(Threat)

強みを活かし脅威を機会へ変える

弱みを補強し機会をつかむ

弱みを補強し脅威を回避する

・・・競合より優っている・・・競合より劣っている

・・・活用することで、業績が伸びる・・・放置することで、業績が悪化する

DCF法大分類9:企業と法務 > 中分類22:企業活動 > 3.会計・財務 > (7) 経済性計算

要点カードNo.002

●現在価値

◆NPV法(正味現在価値)

利率が2%だとすると、現在の100円は、2年後には…

現在 1年後 2年後

100円

102円

104円

×1.02×1.02

2年後の104円は、現在の100円と同じ価値→ 「2年後の104円」の現在価値は100円→ 104円を割引率2%で現在価値に割り引くと100円

現在 1年後 2年後

100円

104円÷(1.02)

2

● DCF法(ディスカウントキャッシュフロー)

1年後に C1、2年後に C2、3年後に C3 のキャッシュフローが生じる場合、割引率を r とすると、これらのキャッシュフローの現在価値 Ctotalは…

◆IRR法(内部収益率)

現在 1年後 3年後2年後

C1 C2 C3

ここで、投資 I により、1年後に C1、2年後に C2、3年後に C3 のキャッシュが生じる場合を考える。

NPV = Ctotal - I

投資から得られるNPV(キャッシュフローの正味現在価値)は、次のようになる。

「NPV > 0」ならば、投資すべきと判断できる。

「Ctotal - I = 0」つまり「 Ctotal = I 」となる割引率を、IRR(内部収益率)と呼ぶ。「IRR > r」ならば、投資すべきと判断できる。

お金には、時間的価値があるため、将来のキャッシュフローは、現在価値に割り引いて比較する必要がある。

𝐶1(1 + 𝑟)

+𝐶2

(1 + 𝑟)2+

𝐶3(1 + 𝑟)3

𝐶𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 =

貸借対照表(B/S)大分類9:企業と法務 > 中分類22:企業活動 > 3.会計・財務

要点カードNo.003

次のルールにあてはまると「流動」に分類される(1) 正常営業循環基準

仕入、製造、販売のサイクルの過程にある資産・負債

(2) ワンイヤールール(1)に該当しないが、1年以内に履行される債権・債務

現金及び預金売掛金△貸倒引当金

棚卸資産流動資産

固定資産

繰延資産

流動負債

株主資本評価・換算差額等新株予約権

固定負債資産

負債

貸借対照表

有形固定資産建物機械装置土地

買掛金1年内償還社債等

短期借入金

自己資本資本金資本剰余金利益剰余金

社債長期借入金

純資産

貸借対照表の例流動性高い

流動性低い

払込資本

留保利益

貸倒引当金・・・債権回収ができないときの備え(積立)

自己資本=株主資本+評価・換算差額等※自己資本と株主資本は、ほぼ同じ意味だと思っていてOK

・払込資本・・・株主から払い込まれたお金・留保利益・・・これまでに獲得した利益のストック

一定時点(決算日)の財政状態を表わす

安全性に関する指標大分類9:企業と法務 > 中分類22:企業活動 > 3.会計・財務

要点カードNo.004

B/S の右

左当座資産

固定資産

流動負債

純資産(自己資本)

固定負債棚卸資産流動資産

B/S

当座比率=流動負債

当座資産×100%

流動比率=流動負債

流動資産×100%

固定比率=純資産

固定資産×100%

固定長期適合率 純資産+固定負債

固定資産×100%=

短期(上半分)

長期(下半分)

負債比率=純資産

負債×100%

自己資本(=純資産)×100%

自己資本比率 =

負債純資産合計

負債と純資産のバランス(B/S右側の上と下)

全体のうちの自己資本の割合

固定資産への投資は固定負債まででまかないたい

「流動資産>流動負債」でありたい(短期の支払能力)

損益計算書(P/L)大分類9:企業と法務 > 中分類22:企業活動 > 3.会計・財務

要点カードNo.005

損益計算書のルール(計上のタイミング)(1) 費用の計上→ 発生主義の原則

モノを消費した時点。費用を支出した時点

(2) 収益の計上→ 実現主義の原則対価の受け取りが確実になった(実現した)時点

(3) 利益の計算→ 費用収益対応の原則収益から、それに対応する当期の費用を控除し、利益を計算する

収益

一定期間(1年間)の経営成績を表わす

費用

利益

損益計算書(勘定式)売上高売上原価

売上総利益(粗利)

販売費及び一般管理費

営業利益

営業外収益営業外費用

経常利益

特別利益特別損失

税引前当期純利益

法人税等

当期純利益

損益計算書(報告式)

利益にかかる税金(法人税、住民税及び事業税)

固定資産売却損など

受取利息、受取配当金など支払利息、社債利息など

固定資産売却益など

広告宣伝費人件費減価償却費など

配当 or留保利益となる