応用情報・午後・ストラテジ系を解く(H22春)
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平成22年度春期午後の問題と解答
•問題• https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2010h22_1/20
10h22h_ap_pm_qs.pdf
•解答(+出題趣旨)• https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2010h22_1/20
10h22h_ap_pm_ans.pdf
•講評• https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2010h22_1/20
10h22h_ap_pm_cmnt.pdf
目次
•解説編• 設問0. ざっと設問を見る
• 設問1.経営分析(安全性)
• 設問1. 経営分析(効率性・生産性)
• 設問2. 流動比率と短期支払能力
• 設問2. 経常利益率が伸びたわけ
• 設問3. キャッシュフロー計算書
• 設問4. C/Fの分析
•要点カード編• No.001貸借対照表(B/S)
• No.002 損益計算書(P/L)
• No.003 キャッシュフロー計算書(C/F)
• No.004効率性の指標
• No.005 収益性の指標
• No.006 安全性の指標
• No.007 生産性の指標
設問0. ざっと設問をみる
•設問1:[ a ]、[ b ]、[ d ]、[ e ] に入れる字句を選択
•設問2:(1) [ c ] に入れる字句を記述(25字)
•設問2:(2) 財務諸表から、下線①が実現できた理由(30字)
•設問3:[ f ]、[ g ]に入れる字句、[ h ] に入れる数値
•設問4:下線②に該当する問題・課題を2つ選択
X
要点カード No.XXX
要点カード No.XXX
B
A
C
・・・確実に正解したい
・・・できれば正解したい
・・・正解できなくても仕方ない
参照すべき要点カードをココに挙げます
問題の難易度をココに書きます
応用情報技術者試験の午後試験は、時間がタイトです。そこで、事前に設問文に目を通し、以下程度の内容を把握しておくとよいでしょう。
設問1. 経営分析(安全性)B
要点カード No.001
安全性分析の結果には問題がある。固定長期適合率が極めて [ b ] 水準にある点である。
一方で、長期借入金が若干減少し、短期借入金が増加した。これは、本来長期に利用可能な資金によって賄うべき設備投資を、[ d ] と短期借入金とで賄っていることを示しており、健全な財務構造とは言えない。
固定長期適合率=固定資産/(固定負債+純資産)→「要点カードNo.006」200%を超えている→ 極めて高い水準(100%以内であれば、固定資産が固定的な長期の資金源泉で賄われている)
長期間用いる固定資産は、長期借入金で賄いたいところ。
しかし、その長期借入金が減少したため、自己資本の増加分と、短期借入金で賄われている。
流動資産 166
固定資産 708
流動負債 550
固定負債 180
自己資本 144
2009年度末のB/S
右図は、2009年度末のB/Sを簡略化して示したものである。(B/Sについては、「要点カードNo.001」を参照)固定資産と流動負債の割合が大きいことがわかる。これにより、安全性を示す指標の値は、いずれも問題のある値となっている。●流動比率、当座比率ともに低い → 短期の債務支払い能力が低い●固定比率が高く、自己資本比率が低い → 借入が多い
Ab
d要点カード No.006
設問1. 経営分析(効率性・生産性)要点カード No.004
同業他社と比較した場合、従業員1人当たりの売上高や粗収入高が見劣りしている。[ e ] などによって、生産性の一層の向上を図る必要がある。
特に総資本額が22%増加したにもかかわらず、総資本回転率が0.5回向上したのは、[ a ] が貢献した結果である。
資本回転率=売上高/総資本→ 「要点カードNo.004」売上高が、2,590百万円→ 3,540百万円に、1.3倍以上になっているから
レイバースケジューリングの工夫などによって、生産性の一層の向上を図る必要がある。レイバースケジューリング・・・売上予測、そこからわかる作業内容と作業量を把握し、従業員・作業員の
適切な配置を行うことで、店舗運営を効率化する。
その他の選択肢について◆販売費・一般管理費・・・広告宣伝費、人件費、本社ビルの減価償却費など(販売にかかる費用、管理活動にかかる費用)◆運転資金・・・原材料・商品等を仕入れてから支払いを行うまでの期間と、仕入れた原材料・商品を一定期間在庫として保管し、
商品・製品を売り上げて代金を入金するまでの期間の時間的なズレを補うための必要資金運転資金=売上債権(売掛金、受取手形)+棚卸資産-仕入債務(買掛金、支払手形)
A
Aa
e
運転資金については、次のWebサイトの説明を用いたhttp://www.nsspirit-cashf.com/yougo/yougo_w_capital.html
※
設問2. 流動比率と短期支払能力
ただし、流動比率は極めて低い水準にあるものの、受取手形がなく、[ c ] ので、流動資産の回収に問題が生じても影響は小さく、短期支払能力は、指標が示すほどには低い水準でないといえる。
B
流動資産の中身をみていく必要がある。
次の通り、“現金及び預金”の割合が極めて高い(期日が来るまで現金化できない“受取手形”がない / 現金化しにくい“棚卸資産”の金額が小さい)。
・現金及び預金・売掛金・棚卸資産(原材料、仕掛品)・その他流動資産
従って、「流動資産に占める現金及び預金の割合が非常に高いこと」などが解答となる。
→ 107→ 19→ 19→ 21
設問2. 経常利益率が伸びたわけ
• 売上高経常利益率=経常利益÷売上×100% → 「要点カードNo.005」
• 表2(P/L)を見る→ P/Lについては、「要点カードNo.002」を参照
• 売上は 1.3~1.4倍くらい伸びた
• “それ以上に”経常利益が伸びた(1.4倍強)• P/Lの経常利益までの各項目をみていく
• 収益:売上(2,590 → 3,540)・・・1.3~1.4倍増えている
• 費用:売上原価(1,640 → 2,450)・・・1.4倍近く増えている
• 費用:販売費・一般管理費(860 → 960)・・・1.1倍程度しか増えていない
• 収益:営業外収益(4 → 3)・・・ほとんど影響しない
• 費用:営業外費用(1 → 2)・・・ほとんど影響しない
• 解答は、「売上の成長に対し、販売費・一般管理費の増加を抑制できたから」などである。
B
要点カード No.002
要点カード No.005
設問3. キャッシュフロー計算書
• キャッシュフロー計算書(C/F)→ 「要点カードNo.003」を参照
• 営業活動によるキャッシュフロー(以下、営業CF)
• (f)投資活動によるキャッシュフロー(以下、投資CF)
• (g)財務活動によるキャッシュフロー(以下、財務CF)
• 財務活動によるキャッシュフローの合計額(h)の算出
• 方法1. 2009年度のキャッシュフロー計算書から求める(○)
• 「営業CF(+139)+投資CF(-169)+財務CF(x)=全CFの増減(+22) 」を解いて、 x=52
• 方法2. B/Sから配当金の支払額を推測する(△)
• B/Sの未処分利益(現在の、繰越利益剰余金)の増加に着目する
• 2008年度の34に、2009年度の当期純利益55が足され、2009年度は89になるはず
• しかし実際は81で、この差額8が配当金の支払いだろう(純資産の他項目に変化がないため)
• 従って、財務CFは、60+0-8=52
A
要点カード No.003A
A
f
g
h
設問4. C/Fの分析
• フリーキャッシュフロー(FCF)=営業CF+投資CF• ア. 財務構造に問題があるかないかは、営業CFの増減だけでは判断できない。少なくとも、投資
CFや財務CFもみる必要がある。→ ×
• イ.借入をしてキャッシュを増やし、それを投資に充てているので、財務CFから投資CFへの資金の流れが認められる。このため、短期借入金が増え、長期資金が増えていないと考えられる。長期間用いる資産に投資する資金は、長期借入金と自己資本で賄いたい。→ ○
• ウ. 投資CFがマイナスになっているというだけで、設備投資が過多になっていると判断すべきではない。投資CFがマイナスということは、投資を行っているということであり、Y社のような企業には必要不可欠なことである(健全な姿である)。→ ×
• エ. 投資CFを財務CFで賄おうとすれば、借入をすることになるので、できる限り営業CFで賄えるとよい。→ ×
• オ. FCFが2期連続マイナスであるため、Y社が(実質)自由に使えるキャッシュは減り続けている。従って、状況によっては、キャッシュに余裕ができるまで、セントラルキッチンの拡張工事の先延ばしを検討する必要がある。→ ○
B
要点カード No.003
過去2期分のキャッシュフロー計算書と過去3期分のフリーキャッシュフローは、それぞれ表4と表5に示すとおりである。②これらから、新たな問題・課題を抽出することができた。
貸借対照表(B/S)大分類9:企業と法務 > 中分類22:企業活動 > 3.会計・財務
要点カードNo.001
次のルールにあてはまると「流動」に分類される(1) 正常営業循環基準
仕入、製造、販売のサイクルの過程にある資産・負債
(2) ワンイヤールール(1)に該当しないが、1年以内に履行される債権・債務
現金及び預金売掛金棚卸資産
流動資産
固定資産
繰延資産
流動負債
純資産
固定負債資産
負債
貸借対照表
有形固定資産建物機械装置土地
無形固定資産特許権
買掛金短期借入金預り金
株主資本資本金資本剰余金利益剰余金
社債長期借入金
純資産
貸借対照表の例流動性高い
流動性低い
払込資本
留保利益
売掛金・・・後からお金をもらえる権利(つけで売った)買掛金・・・後からお金を払う義務(つけで買った)棚卸資産・・・商品(小売業・卸売業)→ 在庫
製品、仕掛品、原材料(製造業)
払込資本・・・株主から払い込まれたお金留保利益・・・これまでに獲得した利益のストック
一定時点(決算日)の財政状態を表わす
損益計算書(P/L)大分類9:企業と法務 > 中分類22:企業活動 > 3.会計・財務
要点カードNo.002
損益計算書のルール(計上のタイミング)(1) 費用の計上→ 発生主義の原則モノを消費した時点。費用を支出した時点
(2) 収益の計上→ 実現主義の原則対価の受け取りが確実になった(実現した)時点
(3) 利益の計算→ 費用収益対応の原則収益から、それに対応する当期の費用を控除し、利益を計算する
収益
一定期間(1年間)の経営成績を表わす
費用
利益
損益計算書(勘定式)売上高売上原価
売上総利益(粗利)
販売費及び一般管理費
営業利益
営業外収益営業外費用
経常利益
特別利益特別損失
税引前当期純利益
法人税等
当期純利益
損益計算書(報告式)
利益にかかる税金(法人税、住民税及び事業税)
固定資産売却損火災による損失など
受取利息、受取配当金など支払利息、社債利息など
固定資産売却益など
広告宣伝費人件費減価償却費など
キャッシュフロー計算書(C/F)大分類9:企業と法務 > 中分類22:企業活動 > 3.会計・財務
要点カードNo.003
営業活動によるキャッシュフロー
(+)商品の販売・サービスの提供による収入(-)商品の購入・サービスの享受による支出(-)従業員および役員に対する報酬の支払いなど
投資活動によるキャッシュフロー
(-)有形固定資産の取得による支出(+)有形固定資産の売却による収入(-)有価証券の取得による支出(+)有価証券の売却による収入など
本業(商品の売買、製品の製造・販売、サービスの提供)など
設備投資、金融商品への投資など
財務活動によるキャッシュフロー
(+)株式の発行による収入(-)配当金の支払い(+)社債の発行・借入れによる収入(-)社債の償還・借入金の返済による支出など
企業経営に必要な資金調達など
一定期間(1年間)のキャッシュの状況を表わす (キャッシュ=現金及び現金同等物)
+
-
+
+
-
-
A B
●パターンA:営業活動から生じたキャッシュと財務活動を通じて調達したキャッシュを、投資活動に投入している
●パターンB:営業活動から生じたキャッシュを、投資活動に投入し、余ったキャッシュを資金の返済などに充てている
健全なパターン
営業CFがマイ
ナス(本業で稼げず)で、投資CFがプラ
ス(機械や備品などを売却した)だったりするとまずい
効率性に関する指標大分類9:企業と法務 > 中分類22:企業活動 > 3.会計・財務
要点カードNo.004
回転率=B/Sの○○資産
P/Lの売上高(回)
○○資産の、何倍売り上げているか
回転日数=回転率(回)
365日(日)
1回転するのに、何日かかるか
◆総資産回転率◆売上債権(※)回転率◆仕入債務(※)回転率◆棚卸資産回転率◆固定資産回転率など
ワンポイント→ 有形固定資産回転率と効率性
回転率は、値が大きいほど、その資産を効率よく用いて売り上げにつなげられていると見ることができる。ただし、有形固定資産回転率の場合には注意が必要である。有形固定資産は、毎事業年度の減価償却により、その価額が小さくなっていく(老朽化していく)。資産の価値が小さくなれば、その分回転率の値は大きくなるため、有形固定資産回転率が大きい場合には、機械や設備などの老朽化も考慮に入れなければならない。
※売上債権→ 売掛金、受取手形(後でお金をもらえる権利)、仕入債務→ 買掛金、支払手形(後でお金を支払う義務)
◆総資産回転日数◆売上債権(※)回転日数◆仕入債務(※)回転日数◆棚卸資産回転日数◆固定資産回転日数など
100万円投下して、100万円の売上が上がったら、1回転
棚卸資産が在庫として存在する平均的な日数
収益性に関する指標大分類9:企業と法務 > 中分類22:企業活動 > 3.会計・財務
要点カードNo.005
資本
利益
総資本経常利益率 総資本
経常利益×100%
売上
利益
売上高売上総利益率 売上高
売上総利益×100%=
売上高営業利益率 売上高
営業利益×100%=
売上高経常利益率 売上高
経常利益×100%=
売上高当期純利益率 売上高
当期純利益×100%=
=
総資本事業利益率 総資本
事業利益×100%=
総資本利益率(ROI)
自己資本当期純利益率(ROE) 自己資本
当期純利益×100%=
資本利益率 売上高利益率
◆株主の立場からの収益性の指標
◆総資本利益率
※経常利益+財務活動から生じる金融収益
※
= ×投下資本
利益 利益 売上高
売上高 投下資本
売上高利益率 資本回転率分解
安全性に関する指標大分類9:企業と法務 > 中分類22:企業活動 > 3.会計・財務
要点カードNo.006
B/S の右
左
固定資産 純資産(自己資本)
固定負債棚卸資産流動資産
B/S
当座比率=流動負債
当座資産×100%
流動比率=流動負債
流動資産×100%
固定比率=純資産
固定資産×100%
長期固定適合率 純資産+固定負債
固定資産×100%=
短期(上半分)
長期(下半分)
負債比率=純資産
負債×100%
自己資本(=純資産)×100%
自己資本比率 =
負債純資産合計
負債と純資産のバランス(B/S右側の上と下)
短期の支払能力
当座資産 流動負債
1年で払わなければならないお金1年で使えるお金
生産性に関する指標大分類9:企業と法務 > 中分類22:企業活動 > 3.会計・財務
要点カードNo.007
労働生産性=平均従業員数
付加価値額
※付加価値=企業が新たに生み出した価値
=
従業員1人当たりの付加価値額
=
平均従業員数
付加価値額
平均従業員数
付加価値額
平均従業員数
売上高×
売上高
付加価値額
平均従業員数
平均有形固定資産×平均有形固定資産
付加価値額
=平均従業員数
人件費
平均従業員数
付加価値額×
付加価値額
人件費
従業員1人当たりの人件費
労働生産性 労働分配率
労働装備率 設備生産性
1人当たり売上高 付加価値率
労働生産性を高めるためには、1人当たり
売上高または付加価値率を高めなければならない。分解
分解
労働生産性を高めるためには、設備投資を促進するとともに、設備の利用度も高めなければならない。
付加価値の構成要素のうち、人件費の割合が最も高い。
労働分配率は、その人件費の割合を表わす指標である。
参考