応用情報・午後・ストラテジ系を解く(H21秋)

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応用情報技術者試験 午後 ストラテジ系を解く 平成21年度 秋期 ソフトウェアの受託開発における、工事進行基準適用 Ver.1.0.120150104日) higher tomorrow

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応用情報技術者試験午後ストラテジ系を解く

平成21年度秋期

ソフトウェアの受託開発における、工事進行基準適用

Ver.1.0.1(2015年01月04日)

higher tomorrow

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平成21年度秋期午後の問題と解答

•問題• https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2009h21_2/20

09h21a_ap_pm_qs.pdf

•解答(+出題趣旨)• https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2009h21_2/20

09h21a_ap_pm_ans.pdf

•講評• https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2009h21_2/20

09h21a_ap_pm_cmnt.pdf

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目次

•解説編• 設問0. ざっと設問を見る

• 設問1.進捗度の算出

• 設問1. 引当金の算出

• 設問2. 工事進行基準のメリット

• 設問2. アーンドバリューマネジメント

• 設問3. 原価の実績の把握

• 設問3. 引当金計上の要否の判断

• 設問4. 会計処理の変更の影響

•要点カード編• No.001アーンドバリューマネジメント

• No.002 工事契約の会計処理(具体例)

• No.003 工事完成基準

• No.004 工事進行基準(1)

• No.005 工事進行基準(2)

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解説編

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設問0. ざっと設問をみる

• 設問1:(1) [ a ] に入れる数値を計算する• 設問1:(2) [ b ] ~ [ d ] に入れる数値を選択する• 設問2:(1) 工事進行基準を適用したことによるメリット(35字)• 設問2:(2) 下線部の説明を選択する• 設問3:(1) 原価の実績を把握するときに留意する事項• 設問3:(2) 引当金計上の要否を判断するため、把握する項目• 設問4:前年と比べて売上が増加する理由(35字)

X

要点カード No.XXX

要点カード No.XXX

B

A

C

・・・確実に正解したい

・・・できれば正解したい

・・・正解できなくても仕方ない

参照すべき要点カードをココに挙げます

問題の難易度をココに書きます

応用情報技術者試験の午後試験は、時間がタイトです。そこで、事前に設問文に目を通し、以下程度の内容を把握しておくとよいでしょう。

工事進行基準の会計処理がテーマです(旬のテーマですね)。が、工事進行基準の知識がなくても、問題ありません(工事進行基準は、日商簿記検定では1級レベルです)。問題文の誘導に乗って、解答を導く力が要求されています。

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設問1. 進捗度の算出

原価比例法は、決算日までに実施した作業に関して発生した原価が、予想される原価の総額に占める割合をもって、進捗度とする手法である。

A

進捗度 =発生した原価12,000

予想される原価の総額48,000× 100% = 25.0%

●第1四半期

要点カード No.002

売上の総額50,000 ×進捗度25.0% = 12,500 千円 ← 第1四半期に計上する収益

工事収益 12,500

工事費用 12,000

損益 500

単位:千円

第1四半期の損益計算書

← (a) の答え

(参考)

要点カード No.004

要点カード No.005

工事完成基準と工事進行基準の会計処理を理解したい方は、「要点カードNo.002」からの例題に取り組んでみてください!

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設問1. 引当金の算出A

予想される原価の総額が売上の総額を超過することがある。その場合は、超過すると見込まれる額(以下、損失という)のうち、既に計上された損益を控除した残額を、損失が見込まれた四半期に工事損失引当金として計上する。

第2四半期末の工事損失引当金=(超過すると見込まれる額(カ)-2,500)

-第1四半期に計上した損失-第2四半期に計上した損失

=(売上の総額(ア)50,000 -予想される原価の総額(オ)52,500)- (第1四半期に計上した売上-第1四半期に計上した原価)- (第1四半期に計上した売上-第2四半期に計上した原価)

(カ)-2,500

(参考)第1四半期+500

(参考)第2四半期-2,300

●第2四半期

売上の総額50,000 ×進捗度72.0% = 36,000(千円)

36,000-第1四半期の工事収益12,500 = 23,500(千円)← 第2四半期に計上する収益

23,500-第2半期に発生した原価25,800 =-2,300(千円)← (売上-原価)

(参考)

応用論点である、工事損失引当金の問題だが…問題文中に、大ヒントあり!

A

A

b

c

d

要点カード No.002 要点カード No.004

要点カード No.005

超過すると見込まれる額は、(カ)-2,500だと、すぐにわかります。これは、(ア)から(オ)を引いた額です。それだけです。

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設問2. 工事進行基準のメリットA

• 工事完成基準と工事進行基準の概要は、問題文中に、次のように記載されている

• 長期間にわたるプロジェクトに工事完成基準を適用すると、プロジェクトが完了するまで何期にもわたって、売上や原価の情報が一切報告されない

• そこで、工事進行基準を適用するメリットは、「進行中のプロジェクトの売上や原価が、四半期財務報告に反映されること」である

前年度までは、プロジェクトが完了し、成果物が検収された時点で売上や原価を一括計上する、工事完成基準を適用していた。

工事進行基準では、売上の総額や予想される原価の総額、及び決算日における工事進捗度(以下、進捗度という)を合理的に把握し、これに応じて四半期ごとに売上と原価を計上することが求められる。

できるだけ、問題文中の言葉を使いたい

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設問2. アーンドバリューマネジメントA

• いずれの選択肢も、進捗管理の指標になり得る• ア・・・プロジェクトの進捗を、開始日から終了予定日までの全期間に対する、開始日から現在までの期間の割合を基に算出する方法(×)

• イ・・・プロジェクトの進捗を、作成すべきソフトウェアの総量(本数やステップ数など)に対する、現在までに完成した量の割合を基に算出する方法(×)• 設計書であれば、「完成ページ数/作成予定ページ数」

• レビューであれば、「レビューページ数/レビュー予定ページ数」

• テストであれば、「テスト実施数/テストケース数」など

• ウ・・・プロジェクトの進捗を、出来高の価値によって定量化し、プロジェクトの現在及び今後の状況を評価する手法(○)→「要点カードNo.001」

要点カード No.001

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設問3. 原価の実績の把握B

• 「原価の実績の把握」については、問題文中に、次のように記載されている• ここさえ見つけてしまえば、解答が出来上がったも同然!!

• 「原価の実績の把握」は、次の2つを検証する• メンバから報告される作業実績時間→ メンバからの報告を、そのまま受け取り、集計しているので問題がありそう

• 受領した請求書に対する支払の承認→ 請求書があり、承認プロセスがあるので、問題はなさそう

• 従って、留意すべき事項は、「メンバから報告される作業実績時間の信ぴょう性」である。

[プロジェクトの会計処理]・・・(3) プロジェクトでは、メンバから報告される作業実績時間を定期的に集計し、人件費の実績を計上する。また、受領した請求書に対する支払が承認された時点で、経費の実績として計上する。(4) プロジェクトでは、定期的に原価の実績と予算、及びそれらの累積差額を確認する。また、状況によっては予想される原価の総額を見直す。

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設問3. 引当金計上の要否の判断A

• 工事損失引当金は、次の (7) のように、計上の要否を決定し、額を算出する

• 工事損失引当金の要否を判断するために必要な項目は、「①予想される原価の総額」と「②売上の総額」である• このうち、②は、顧客との契約金額であるため、既知である

• 従って、「予想される原価の総額」を、正しく把握しておく必要がある

[プロジェクトの会計処理]・・・(4) プロジェクトでは、定期的に原価の実績と予算、及びそれらの累積差額を確認する。また、状況によっては予想される原価の総額を見直す。・・・(7) プロジェクトでは、予想される原価の総額が売上の総額を超過することがある。その場合は、

超過すると見込まれる額(以下、損失という)のうち、既に計上された損失を控除した残額を、損失が見込まれた四半期に工事損失引当金として計上する。

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「Y社の平成21年度の期末決算は、受注したプロジェクトの状況が例年と同様であったとすると、平成20年度と比して、売上が増加すると考えられる。」

設問4. 会計処理の変更の影響B

• 普通に考えれば、受注したプロジェクトが例年と同様であれば、売上は増加しない(横ばいであるはず)→ 工事完成基準から工事進行基準へ、会計処理を変更した影響

• 平成21年度の期末決算• 平成21年度に完了したプロジェクトの全売上が計上される(例年通り、本年度で最後)

• 平成21年度に進行中のプロジェクトの売上のうち、本年度に該当する部分の売上が計上される(以後、毎年計上される)

• 売上が増加する理由は、「例年の売上に加え、進行中のプロジェクトの売上の当期分が計上されるため」である

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要点カード編

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アーンドバリューマネジメント(EVM)大分類5:プロジェクトマネジメント > 中分類14:プロジェクトマネジメント >

要点カードNo.001

● EVMの概要

6. プロジェクトタイムマネジメント7. プロジェクトコストマネジメント

この図は、次のドキュメントのものであるhttp://www.meti.go.jp/policy/it_policy/tyoutatu/evm-guideline.pdf

◆PV(Planned Value:出来高計画値)→ いつまでに、いくらでできる計画か

◆EV(Earned Value:出来高実績値)→ 現時点までに完了した作業について、計画ではいくらでできるとしていたか

◆AC(Actual Cost:コスト実績値)→ 作業を行うのにいくら必要になったか

SV(Schedule Variance:スケジュール差異)=EV-PV※マイナスになるとスケジュール遅延

CV(Cost Variance:コスト差異)=EV-AC※マイナスになるとコスト超過

これらをもとに、例えば次のような計算をする

このまま進むと、最終的にどうなるかについても、計算できる

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工事契約の会計処理(具体例)大分類9:企業と法務 > 中分類22:企業活動 > 3.会計・財務

要点カードNo.002

単位:百万円×1年度 ×2年度 ×3年度 ×4年度 ×5年度

工事原価 3,750 7,450 8,330 5,890 5,580

工事原価(累計) 3,750 11,200 19,530 25,420 31,000

■例題• ×1年度

• 30,000百万円で受注• 原価総額の当初見積高24,000百万円• ×5年度に完成予定

• ×1年度末• 工事原価総額の見積額が25,000百万円に変更

• ×2年度末• 契約内容が変更• 工事収益総額が30,500百万円に変更• 工事原価総額の見積額が28,000百万円に変更

• ×3年度末• 工事原価総額の見積額が31,000百万円に変更

• ×5年度末• 工事が完成、無事に引き渡された• 工事原価の実際額は、次の通り

出題内容は《簿記力コアトレーニング, 2013/02/10, 中央経済社, p.40》より

「要点カードNo.003」→「工事完成基準」

「要点カードNo.004」→「工事進行基準」

(原価比例法)

完成・引渡時に、500百万円の損失が発生することが見込まれる。

参考

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工事完成基準大分類9:企業と法務 > 中分類22:企業活動 > 3.会計・財務

要点カードNo.003

●工事完成基準

単位:百万円×1年度 ×2年度 ×3年度 ×4年度 ×5年度

工事収益 ― ― ― ― 30,500

工事原価 ― ― 500 ― 30,500工事損益(損失は△) ― ― △500 ― 0

工事損失引当金 ― ― 500 500 0

→ 「要点カードNo.002」の解答

工事が完成し、目的物の引き渡しを行った→ 収益(工事収益)と費用(工事原価)を認識する(それまでは認識しない)

・×1年度→ 収益も費用も認識しない・×2年度→ 収益も費用も認識しない・×3年度→ 費用500百万円を計上する

(売上30,500百万円、原価31,000百万円の見通しになったから)・×4年度→ 収益も費用も認識しない、引当金も変わらず・×5年度→ 売上30,500百万円、原価31,000百万円を計上する

(引当金500百万円を取り崩す→ 利益は0)

費用は早めに計上する!「保守主義」という考え方

シンプル!完成・引渡時に、全て計上

出題内容は《簿記力コアトレーニング, 2013/02/10, 中央経済社, p.40》より

参考

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工事進行基準(1)大分類9:企業と法務 > 中分類22:企業活動 > 3.会計・財務

要点カードNo.004

●工事進行基準

単位:百万円×1年度 ×2年度 ×3年度 ×4年度 ×5年度

工事収益 4,500 7,700 7,015工事原価 3,750 7,450 8,515工事損益(損失は△) 750 250 △1,500

工事損失引当金 ― ― 185

→ 「要点カードNo.002」の解答

工事の完成前でも、決算日における工事進捗度に応じて、収益(工事収益)と費用(工事原価)を認識する

・×1年度→ 工事収益総額30,000 ×

どかっとまとめて計上しない毎年度、計上する

出題内容は《簿記力コアトレーニング, 2013/02/10, 中央経済社, p.40》より

工事原価総額25,000

工事原価累計3,750= 4,500

・×2年度→ 工事収益総額30,500×工事原価総額28,000

工事原価累計11,200= 12,200

→ 7,700

(変更後)

・×3年度→ 工事収益総額30,500×工事原価総額31,000

工事原価累計19,530= 19,215

→ 7,015

(×3年度末までの収益の累計)

(×2年度末までの収益の累計)

×1年度から×3年度までの損益の合計が△500百万円

になるように、引当金を計上する

[×3年度末]

収益 7,015、費用 8,330→ 工事損益△1,315

引当金185百万円

→ 「要点カードNo.005」につづく

参考

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工事進行基準(2)大分類9:企業と法務 > 中分類22:企業活動 > 3.会計・財務

要点カードNo.005

●工事進行基準(つづき)

単位:百万円×1年度 ×2年度 ×3年度 ×4年度 ×5年度

工事収益 4,500 7,700 7,015 5,795 5,490工事原価 3,750 7,450 8,515 5,795 5,490工事損益(損失は△) 750 250 △1,500 0 0

工事損失引当金 ― ― 185 90 0

→ 「要点カードNo.002」の解答

・×4年度→ 工事収益総額30,500×

出題内容は《簿記力コアトレーニング, 2013/02/10, 中央経済社, p.40》より

工事原価総額31,000

工事原価累計25,420= 25,010

→ 5,795

19,215(×3年度末までの収益の累計)

引当金95百万円を取り崩す

(×4年度末までの収益の累計)

×4年度末収益 5,795、費用 5,890

→ 工事損益△95

30,500(×5年度末までの収益の累計)

→ 5,490

引当金90百万円を取り崩す

×5年度末収益 5,490、費用 5,580

→ 工事損益△90

参考