ボルトの錆や左後輪に注意! 車輪脱落事故3年連続 …...令和元年11月15日...
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令 和 元 年 1 1 月 1 5 日
自 動 車 局 整 備 課
ボルトの錆や左後輪に注意! 車輪脱落事故3年連続増加「厳しい状況」
~ 平成30年度大型車の車輪脱落事故発生状況を受けて ~
1.事故発生状況
平成30年度の大型車(車両総重量8トン以上のトラック又は乗車定員30人以上のバス)の車輪脱落事故発生状況は、別紙1のとおりです。
【主な傾向】
・冬期に多く発生する傾向に変わりはないが、冬期以外の発生が対前年度17ポイント増
・積雪地域に多く発生する傾向に変わりはないが、対前年度1.6ポイント増
・車輪脱着作業後1ヶ月以内に脱落が集中する傾向にあり、対前年度6.5ポイント増
・新たな兆候としてホイール・ボルトやホイール自体の錆の除去が不十分のままタイヤ交換されている可能性が考えられ、車齢4~6年経過した車両の 脱輪事故が多発
・タイヤ交換作業が集中する11月の交換は対前年度15ポイント 減、反面、12月の交換が対前年度17ポイント増
・左後輪脱落が全体の9割を占め、対前年度8ポイント増
2.車輪脱落事故防止に係る今後の対策
平成30年度は、新たに緊急対策を実施するなどの取り組みを積極的に行ったところです
が、依然として不適切なタイヤ交換作業、交換後の保守管理の不備が主な要因となっている
ことから、「大型車の車輪脱落事故防止対策に係る連絡会」において、昨年度に取り組んで
きた緊急対策に、平成30年度の事故発生の傾向対策を追加した「令和元年度 緊急対策」
(別紙2)を今年11月1日に取りまとめたところであり、大型車ユーザーなどの関係者に
対し、その徹底を図ってまいります。また、実態に即した広報啓発方法や点検整備方法など
を検討するワーキングループを今後設置し、更に効果的な事故防止対策を追加的に策定し取
り組むこととしております。
<添付資料>
別紙1 平成 30 年度大型車の車輪脱落事故発生状況
別紙2 大型車の車輪脱落事故防止のための「令和元年度 緊急対策」
参 考 大型車の車輪脱落事故防止のための啓発用チラシ((一社)日本自動車工業会作成)
平成30年度のホイール・ボルト折損等による大型車の車輪脱落事故発生件数は81件
(うち人身事故3件)と3年連続で増加し、ピークとなった平成16年度の87件に迫る厳
しい状況となりました。
事故が発生した車両の傾向として、左後輪に脱輪が集中していることに加え、今般、新た
にホイール・ボルトやホイールの錆の除去が不十分のままタイヤ交換されているおそれがあ
ることが確認されたため、関係団体と一致協力して、ボルトの錆の除去など適正な交換作業
の実施、交換後、特に脱輪の多い左後輪の重点点検を大型車ユーザーに求めて参ります。
<問い合わせ先>
自動車局 整備課 児島、川崎
代表:03-5253-8111 (内線:42413、42412)、直通:03-5253-8599、FAX:03-5253-1639
ハブ・ホイールディスク取付面の状態
(初度登録H25.3)
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車輪脱落事故発生状況(平成30年度)【別紙1】
1
87
61
42 4234
2319
1115
19
4541
56
67
81
7 83 3 2 4 3 0 1 2 4 1 3 2 3
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30
年度別の大型車のホイール・ボルト折損等による車輪脱落事故※の発生件数
発生件数(件)
うち人身事故件数(件)
出典:自動車事故報告規則に基づく報告及び自動車メーカーからの報告
※車両総重量8トン以上の自動車又は乗車定員30人以上の自動車であって、車輪を取り付けるホイール・ボルトの折損又はホイール・ナットの脱落により車輪が自動車から脱落した事故
(件)
(年度)
平成30年度は81件と対前年度14件増、うち人身事故は3件(軽傷5名)。
3 3 3 31
68
14
24
11
5
0
4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
車輪脱落事故発生月別
件数
n=81
81件のうち、平成30年11月~31年2月に54件(66.6%)発生と冬期に集中
出典:自動車事故報告規則に基づく報告及び自動車メーカーからの報告
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車輪脱落事故発生状況(平成30年度)
出典:自動車事故報告規則に基づく報告及び自動車メーカーからの報告
出典:自動車事故報告規則に基づく報告及び自動車メーカーからの報告
2
16
21
911 11
9
3
0 1 0
18
28
98 8
5
20
3
0
北海道 東北 北信 関東 中部 近畿 中国 四国 九州 沖縄
事故発生場所、事故車両の使用の本拠の位置
発生場所
使用の本拠の位置
積雪地域で46件(56.8%)発生
n=81
50
15
5 41 0 1
5
~1月 ~2月 ~3月 ~4月 ~5月 ~6月 6月~ 不明
車輪脱着から脱落発生までの期間
件数
n=81
81件のうち、車輪脱着作業後1ヶ月以内に発生したものが50件(61.7%)
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車輪脱落事故発生状況(平成30年度)
出典:自動車事故報告規則に基づく報告及び自動車メーカーからの報告
3
0 01
0 0
21
01
8
15 15
3
0 0
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
車輪脱落事故直前の3ヶ月以内に「タイヤ交換」
を実施した車両による事故件数
(タイヤ交換実施月別)件数
11~12月にタイヤ交換を実施した車両が30件(65.2%)
n=46
左前輪
0% 右前輪
0%
左後輪
91%
右後輪
9%
脱落車輪の位置
平成30年度81件
0件
7件
0件
74件
左後輪に集中する傾向は、前年度と変化なし
出典:自動車事故報告規則に基づく報告及び自動車メーカーからの報告
左輪タイヤの脱落割合が高いことの推定原因
左輪タイヤが多く脱落する原因については、引き続き調査中であるが、以下の可能性が考えられる。
・ 右折時は、比較的高い速度を保ったまま旋回するため、遠心力により積み荷の荷重が左輪に大きく働く。
・ 左折時は、低い速度であるが、左後輪がほとんど回転しない状態で旋回するため、回転方向に対して垂直にタイヤがよじれるように力が働く。
・ 道路は中心部が高く作られている場合が多いことから、車両が左(路肩側)に傾き、左輪により大きな荷重がかかる。
前輪タイヤの脱落が少ない推定原因
前輪は、ホイール・ボルトゆるみ等の異常が発生した場合には、ハンドルの振動等により運転手が気付きやすい。
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車輪脱落事故発生状況(平成30年度)出典:自動車事故報告規則に基づく報告及び自動車メーカーからの報告
4
31件
44件
61件
大型車
ユーザー
49%
整備工場
21%
タイヤ業者
24%
不明
6%
タイヤ脱着作業実施者別
平成30年度81件
40件
17件
19件
5件
定期点検整備
16%
臨時整備
1%
タイヤ交換
62%
タイヤ
ローテーション
15%
不明
6%
タイヤ脱着作業内容別
平成30年度81件
12件
50件
13件
1件
5件
大型車ユーザーの交換が大半を占める傾向は、前年度と変化なし
●タイヤ交換・ 通常タイヤから冬用タイヤへの交換・ 摩耗したタイヤの交換 など●タイヤローテーション・ タイヤの摩耗が偏ることを防止するため、前後・
左右のタイヤを入れ替える
タイヤ交換が半数以上を占める傾向は、前年度と変化なし
トルク管理不備
17%
劣化・摩耗確認不備
16%
不適合品使用
2%
作業時不備(不明)
2%
増し締め未実施
27%
増し締めトルク
管理不備
11%
増し締め距離
7%
点検時確認不備
17%
不明
1%
発生推定原因
46件20件
12件
30件
2件
32件
28件
3件
3件
作業時不備
66
38%保守管理不備
108
61%
• 不適切なタイヤ交換作業、交換後の保守管理の不備が主な要因となっている傾向に変化なし
• 約8割の事業者で事故防止のポイントが十分認識されていないことが確認。
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車輪脱落事故発生状況(平成30年度)
5
0
10
20
30
40
0年 2年 4年 6年 8年 10年 12年 14年 16年 18年 20年 22年 24年 26年 28年
車輪脱落事故車両の車齢H27 H28 H29 H30
初度登録年から4~6年経過した車両に脱輪の発生が多く38.9%(95件)を占める
6年経過車両の発生34件から7年経過車両の発生15件と大幅に減少
n=245
出典:自動車事故報告規則に基づく報告及び自動車メーカーからの報告
車歴4~6年の車両にタイヤ脱輪の割合が高い推定原因
車歴4~6年の車両にタイヤの脱落割合が高い原因については、現在調査中であるが、以下の可能性が考えられる。
• タイヤの交換時は、ボルト、ナット、ホイールの錆、ゴミ、泥などの異物を除去して組み付けなければ、必要な締付け力が得られず、ナットの緩みによる脱落が生じやすくなる。
• 平成30年度の発生状況の中で、車齢4~6年経過した車両は36件で、交換時にボルト、ホイールに錆が発生していたと事業者から申告があったもの、メーカーの調査時にハブの摩耗が確認できたのは36件中15件(41.7%)となっている。
• これらのことから、積雪地域で使用される車両は、ボルト、ホイール、ハブの錆の進行が速く、また、その確認が不十分のままタイヤ交換が行われている可能性が考えられる。
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大型車の車輪脱落事故防止のための「令和元年度 緊急対策」
令和元年11月
大型車の車輪脱落事故防止対策に係る連絡会
大型車の車輪脱落事故発生件数が3年連続増加となる厳しい状況を受け、連絡会構成団体
は、これまでの緊急対策の取組内容に平成30年度事故発生の傾向対策を追加した、以下の
内容を速やかに実施することとする。
各団体における実施事項
団体名 実施事項
(公社)全日本トラック協会
(公社)日本バス協会
(一社)全国自家用自動車協会
傘下会員の運送事業者・大型車ユーザーに対して、以下の事項
を徹底。
・日程に余裕を持った計画的な冬タイヤの交換の実施。
・車輪脱落事故防止のための4つのポイント(※)の実施につ
いて周知。特に脱落の多い左後輪のタイヤについては重点的
に点検を実施するよう啓発。
・タイヤの交換作業は、正しい知識を有した者に実施させるよ
う周知。
・著しく錆びたホイール・ボルト、ナット、ディスクホイール
では、適正な締付力が得られないため、点検・清掃を行って
も錆が著しいディスクホイール、スムーズに回らないボル
ト、ナットは使用せず、交換するよう周知。特に、初度登録
年から4~6年経過する車両は、重点的に確認するよう啓
発。
・増し締めをやむを得ず車載工具で行う場合の実施方法やその
際の締付トルクの確認は、必ず帰庫後時にトルクレンチを使
用して確認するよう周知。
(一社)日本自動車整備振興会連合会
全国タイヤ商工協同組合連合会
(一社)日本自動車タイヤ協会
日本自動車車体整備協同組合連合会
(一社)日本自動車販売協会連合会
全国石油商業組合連合会
傘下会員の事業者に対して、以下の事項を徹底。
・インパクトレンチを用いてホイール・ナットを締付ける際は、
締過ぎに注意し、最後にトルクレンチ等を使用して必ず規定
トルクで締付け。
・ホイール・ナットの規定トルクでの締付け及びホイールに適
合したボルト及びナットの使用の実施。特に脱落の多い左後
輪のタイヤについては重点的に実施。
・入庫する大型車のユーザーに対して、車輪脱落事故防止のた
めの4つのポイントについて周知。特に、増し締めの必要性
や脱落の多い左後輪のタイヤについては徹底的に実施する
よう啓発。
・特にタイヤメーカーにおいては、自社製品の流通経路を活用
【別紙2】
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し、タイヤ販売事業者に対してホイール・ナットの規定トル
クでの締付け及びホイールに適合したボルト及びナットの
使用について周知。特に、増し締めの必要性や脱落の多い左
後軸のタイヤについては重点的に点検を実施するよう啓発。
・タイヤの交換作業の際、著しく錆びたホイール・ボルト、ナ
ット、ディスクホイールでは、適正な締付力が得られないた
め、点検・清掃を行っても、錆が著しいディスクホイール、
スムーズに回らないボルト、ナットは交換が必要であること
を啓発。
(一社)日本自動車工業会
(一社)日本自動車車体工業会
日本自動車輸入組合
傘下会員の事業者に対して、以下の事項を徹底。
・大型車ユーザーに対して、車輪脱落事故防止のための4つの
ポイント(※)の実施について周知。特に脱落の多い左後輪
のタイヤについては重点的に点検を実施するよう啓発。
・タイヤの交換作業の際、著しく錆びたホイール・ボルト、ナ
ット、ディスクホイールでは、適正な締付力が得られないた
め、点検・清掃を行っても、錆が著しいディスクホイール、
スムーズに回らないボルト、ナットは交換が必要であること
を啓発。
(一社)日本自動車機械工具協会
(一社)日本自動車機械器具工業会
(一社)自動車用品小売業協会
傘下会員の事業者に対して、以下の事項を徹底。
・タイヤ脱着作業に使用する器具等を販売する際、その正しい
使用方法やトルクレンチは定期的な校正が必要であること
を購入者に説明。
注:下線部が今回追加する対策の内容
※印は、以下の4項目
1.ホイール・ナットの規定トルクでの確実な締付け
2.タイヤ交換後、50~100km走行後の増締めの実施
3.日常(運行前)点検における確認
4.ホイールに適合したボルト及びナットの使用
以上
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