栃木県花き振興計画 - Tochigi Prefecture1 第1章 栃木県花き振興計画策定の目的...

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平成28年度~平成32年度 栃木県花き振興計画 平成28年3月

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計 画 期 間

平成28年度~平成32年度

栃木県花き振興計画

平成28年3月

栃 木 県

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目 次

第1章 栃木県花き振興計画策定の目的 …… 1

第2章 「とちぎの花き」を取り巻く現状と振興上の課題 …… 2

1 花き生産の基本動向 …… 2

2 生産の現状と課題 …… 5

3 流通の現状と課題 …… 7

4 消費の現状と課題 ……10

第3章 「とちぎの花き」の基本方針と基本目標 ……12

1 「とちぎの花き」の基本方針 ……12

2 基本目標 ……12

第4章 目標を実現するための方策 ……13

1 活力ある花き生産の推進 ……13

2 経営感覚の優れた担い手の確保・育成と組織活動の活性化 ……13

3 「とちぎの花き」の有利販売の促進 ……14

4 花を取り入れた暮らしの普及推進 ……15

第5章 主要品目別振興方針

1 スプレーぎく ……16

輪ぎく ……17

2 りんどう ……18

3 ばら ……19

4 トルコギキョウ ……20

5 ゆり ……21

6 カーネーション ……22

7 洋らん ……23

8 シクラメン ……24

9 あじさい ……24

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第1章 栃木県花き振興計画策定の目的

栃木県では、首都圏に位置する地理的優位性と、平地から準高冷地まである地

形的条件や冬場の日照量が多いという気候条件を活かし、収益性の高い花きの生

産振興に取り組んできており、スプレーぎくや輪ぎく、ばら、ゆり等の切花類、

コチョウランやシクラメン等の鉢物類など、全国でも有数の産地が形成されてい

る。

しかしながら、東日本大震災の影響や物日需要の低迷に加え、きく、ばら、カ

ーネーション等の輸入切花の増加による販売価格の低迷等により、生産は減少傾

向にある。

このような中、生産現場では、高齢化の進行や後継者不足による生産基盤の弱

体化、資材、燃油の高騰による収益性の低下がみられる。

今後、本県の花き生産のより一層の振興を図るためには、地域特性を最大限に

活かした高品質で日持ち性の高い花き生産や新たな需要の開拓による流通の活性

化、消費拡大に向けた取組が必要である。

また、国においては、平成26年6月に「花きの振興に関する法律」が成立し、

それに伴い「花き産業及び花きの文化の振興に関する基本方針」、「国産花きイノ

ベーション推進事業」が創設された。本県においても、事業を活用し、花育を中

心に消費拡大を推進しているところである。

このような情勢を踏まえ、「花きの振興に関する法律」に基づき、生産面はもと

より、流通・消費の面から「とちぎの花き」の現状を分析し、平成32年度まで

の5年間において、花き生産者、農業団体、流通関係者、行政が連携して取り組

むべき事項を明らかにするため、「栃木県花き振興計画」を策定した。

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第2章 「とちぎの花き」を取り巻く現状と振興上の課題

1 花き生産の基本動向

(1)作付面積

○ 全国における平成26年度の作付面積は18,375haとなっており、平成12年

をピークに減少傾向で推移している。

○ 本県における平成26年度花きの作付面積は242haであり、平成17年度を

ピークに減少傾向で推移している。内訳として切花は195ha、鉢物は47ha

となっている。

○ 本県における品目別作付面積は、きく(輪ぎく、スプレーぎく、小ぎく

含む)が122haと最も多く、ゆり、シクラメンが13ha、ばらが12haとなっ

ている。近年、ゆり、洋らん類は微増傾向にあるが、その他の品目は減少

傾向にある。なお、全国における本県の作付面積の占める割合は、切花1.

3%、鉢物2.7%となっている。

(2)生産量

○ 全国における切り花類の生産量は39億5,300万本であり、減少傾向で推

移している。

○ 全国における鉢花類の生産量は2億3,430万鉢であり、減少傾向で推移

している。

○ 本県における平成26年度の切り花類の生産量は5,990万本となっており、

平成14年度をピークに減少している。

○ 本県における平成26年度の鉢花類の生産量は438万鉢となっている。平

成21年と比較すると、洋らん類(切、鉢)、シクラメンは微増傾向にある。

○ 全国における品目毎の本県の生産量の順位は、スプレーぎく3位、ば

ら8位、シクラメン5位、洋らん9位と上位を占めているが、全国におけ

るシェアは、切花1.5%、鉢花1.9%となっている。

切り花の作付面積(全国・本県)の推移 鉢花の作付面積(全国・本県)の推移

資料:農林水産省「花き生産出荷統計」

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(3)産出額

○ 全国における産出額は3,437億円であり、平成10年の4,734億円をピー

クに減少傾向にある。

○ 本県における平成26年度の産出額は、66億円(全国18位)であり、平

成14年の87億円をピークに減少傾向にある。

○ 本県における品目別の産出額は、きく(輪ぎく、スプレーぎく、小ぎ

く含む)が16億円、洋らん類(鉢)が9億円、ばらが7億円、シクラメン(鉢)

が6億円、洋らん(切)が3億円、りんどうが1億円、その他が24億円とな

っている。

切り花の生産量(全国・本県)の推移 鉢花の生産量(全国・本県)の推移

品目別産出額内訳資料:農林水産省「生産農業所得統計」

資料:農林水産省「花き生産出荷統計」

きく23%

ばら10%

洋らん(切)4%

りんどう2%洋らん(鉢)

13%

シクラメン

(鉢)9%

その他39%

3

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(4)輸入切り花の状況

○ 平成26年度の切り花輸入量は21億本となっており、平成11年から増加

傾向にあったが、近年は横ばいで推移している。

○ 主要品目では、きく(輪ぎく、スプレーぎく)3.1億本、カーネーショ

ン3.3億本、ばら6,500万本となっている。主な輸入国は、コロンビア、マ

レーシア、中国、ケニア等となっている。

○ 平成26年度の国内流通量における輸入切り花の割合は、カーネーショ

ン54%、きく20%と年々増加傾向にあるが、バラは19%と横ばい傾向にあ

る。

○ 輸入切り花の増加の背景として、関税がかからず国内産と比較して安

価なことや大量注文に対応できることに加え、年々品質が向上しているこ

となどがあげられる。

○ 切り花の輸入量は為替相場等の影響を受けやすく、年次変動が大きい。

輸入量及び国内流通量における輸入比率の推移

資料:農林水産省「植物検疫統計」

輸入量

輸入比率

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2 生産の現状と課題

(1)担い手

【現状と課題】

○ 平成22年の花き経営体数は522戸で、県内全域で花き生産者は減少傾向

にあり、それに伴い生産者の組織活動も低迷しつつある。

○ 平成23年度から27年度の5年間における新規就農者は、全体で1,182名

で、うち花き就農者は35名で全体の約3%となっている。なお、花き新規

就農者の大半は、花き農家の後継者である。

○ 重装備施設で生産する品目が多いため、初期投資が高く、新規就農者

が入りづらい環境になっている。

○ トルコギキョウやりんどうの生産者組織において、新規者をサポート

し育成する体制を整えている。

【振興の目標】

○ 初期投資が少なく経営開始しやすい簡易施設で栽培できる品目の強化

○ 後継者のみならず、多様な担い手の確保

(2)経営

【現状と課題】

○ 近年の燃油や農業資材費の高騰により、ヒートポンプの導入やカーテ

ンの多層化、低温開花性花きの導入などコスト低減に向けた取り組みが浸

透しつつあるが、依然として高い経営コストがかかり経営を圧迫している。

○ 重装備施設による周年生産体制の割合が高く、資材及び設備、機器の

維持管理費が増加している。

【振興の目標】

○ 経営感覚に優れた経営体の育成

○ 冬季の省エネ技術導入

○ 生産性の向上による所得率向上の取り組み

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(3)生産技術

【現状と課題】

○ 生産の周年化に伴い、年間を通して病害虫が発生し、また、薬剤抵抗

性の発達や連作障害により、生産性の低下を招いている。

○ 夏季、冬季の品質・生産性の低下を回避するため、炭酸ガス発生装置

やLEDなど新たな機器を導入している。また、一部の生産者では、複合環

境制御等、最先端技術を導入し、生産性を向上させている。

○ 農業試験場で新品種を育成し、それに伴い新たな産地形成につながっ

ている。(りんどう「るりおとめ」平成23年品種登録、あじさい「きらき

ら星」平成27年品種登録)

【振興の目標】

○ 薬剤抵抗性病害虫や連作障害に対応する技術対策

○ 夏季、冬季の品質・生産性向上のための技術対策(再)

○ 実需者ニーズに対応した新品種の育成

○ ICTによる最新装置や施設等を活用した高品質花き生産

(4)産地、組織

【現状と課題】

○ 重装備施設で栽培されている品目の割合が高く、露地や簡易施設で栽

培できる品目が少ない。

○ 簡易施設で栽培可能な「りんどう」の新たな産地が、河内地区、南那

須地区で形成された。

【振興の目標】

○ 地域が有する遊休施設の把握とその有効活用の推進

○ 初期投資が少なく経営開始しやすい、簡易施設で栽培できる品目の強

化(再)

あじさい「きらきら星」 りんどう「るりおとめ」

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3 流通の現状と課題

(1)切り花類の出荷と販売状況

【現状と課題】

○ 切り花類は9割以上が系統販売である。出荷先は京浜地区が約5割、

東北地方が約3割、県内その他で約2割となっている。

○ 日持ち向上のため、産地によって前処理の徹底など取り組みが行われ

ている。

○ 切り花は、段ボール箱での乾式輸送が中心であるが、鮮度保持の観点

から、ばらやトルコギキョウを中心にバケットや吸水式出荷箱を利用した

湿式輸送が導入されている。輸送は保冷輸送車を利用しているものの、一

貫したコールドチェーンは確立されていない。

○ 県内には19カ所の集出荷場があるが、花き専用ラインが整備されてい

るのは9施設にとどまり、他は野菜等の青果物と併用になっている。また、

冷蔵施設の整備が整っていない施設がある。

○ 全農主導により、カーネーション、ユリ(スカシユリ、LAユリ)にお

いて複数産地をまとめて出荷するグルーピング販売が実施されている。

○ 県内の大半の直売所に花きの販売コーナーがあり、地域の特色のある

花きが販売されている。

【振興の目標】

○ 鮮度保持のための集出荷施設や流通過程におけるコールドチェーンの

確立

○ 消費者ニーズの大きい日持ち性向上のためのさらなる取り組み推進

(2)鉢物の出荷と販売状況

○ 鉢物は、個人出荷がほとんどで、各市場ごとの庭先集荷が行われてい

る。グループ出荷を行い、ブランド化、輸送の効率化を図っている生産者

もいる。

○ 需要の変化にあわせて、大鉢出荷から、ホームセンター等量販店向け

の中鉢出荷に推移している。

○ 鉢物は、輸送の効率化を目的に台車輸送の導入が増えている。

○ 試験場で育種されたあじさい「きらきら星」など、生産者育種による

希少性の高い品種は、予約相対取引や注文販売等の割合が高く、有利販売

が行われている。

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【振興の目標】

○ 消費者ニーズに対応した商品の開発

○ 生産者、試験場等のオリジナル品種の育種

(3)花き市場における取扱状況

【現状と課題】

○ 花き市場における取引形態は、予約相対取引が増加し、セリ取引は約

3割程度となっている。

○ 県内における生産品目は多岐にわたっており、各品目の産地規模が比

較的小さいことから、量的な強みが発揮できず、契約取引に向けた取組み

が十分に進んでいない。また、月ごとの出荷量のばらつきが大きい。

○ 県内で花きを取り扱う市場は、宇都宮市内に宇都宮花き地方卸売市場、

栃木植物地方卸売市場、小山市内に栃木県南公設地方卸売市場の3市場が

ある。

○ 平成25年度の取扱金額は3市場合計で約33億円であり、そのうち切花

類が約8割を占めている。また、これら3市場における県内からの取扱割

合は切花類では2割弱であり、鉢物類では5割強、全体では2割強である。

[東京都中央卸売市場における本県産花きの取扱状況]

○ 平成26年の東京都中央卸売市場における本県産花きの取扱額は約31億

円で、花き産出額の約5割弱となっている。内訳は、切り花類が約19億円、

鉢物類が約3億円、洋らん類が約7億円となっている。

○ 本県産花きの取扱数量は、切り花類ではスプレーぎくが825万本で全国

2位、りんどうが100万本で4位、ばらが3341万本で6位となっている。

洋らん類では、コチョウランが10万鉢で4位、シクラメンが11万鉢で5位

となっている。

【振興の目標】

○ 出荷のばらつきを小さくするため、年間を通した出荷の安定

○ 県産花きの実需者へのPR推進

○ 市場における知名度向上のため、とちぎブランドの強化

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スプレーぎくの栽培風景

全国の花き生産量と栃木県の順位 (平成26年)

1位 2位 3位 4位 5位 栃木県 全国計

スプレーぎく 愛知県 鹿児島県 栃木県 沖縄県 和歌山県

84,300 54,100 21,800 13,200 11,000 241,700

35% 22% 9% 5% 5%

輪ぎく 愛知県 福岡県 沖縄県 長崎県 鹿児島県 12位

365,500 85,700 68,600 60,600 40,300 10,800 861,100

42% 10% 8% 7% 5% 1%

ばら 愛知県 静岡県 山形県 福岡県 愛媛県 8位

49,200 23,800 19,200 18,700 14,000 8,550 276,500

18% 9% 7% 7% 5% 3%

ゆり 埼玉県 高知県 新潟県 千葉県 鹿児島県 11位

25,300 16,900 15,700 8,240 7,870 2,820 140,700

18% 12% 11% 6% 6% 2%

トルコギキョウ 長野県 熊本県 福岡県 北海道 静岡県 13位

12,500 11,800 10,100 5,440 5,300 2,820 100,000

13% 12% 10% 5% 5% 3%

シクラメン 長野県 愛知県 千葉県 茨城県 栃木県

2,820 1,970 1,160 1,140 1,090 18,600

15% 11% 6% 6% 6%

洋らん 愛知県 熊本県 福岡県 埼玉県 山梨県 9位

3,700 1,640 1,530 950 859 502 16,000

23% 10% 10% 6% 5% 3%

※上段:県名  中段:出荷量 千本・千鉢 下段:出荷割合(%)

資料:農林水産省「花き生産出荷統計」

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4 消費の現状と課題

花きの需要状況

【現状と課題】

○ 花の消費は業務用需要や家庭用需要に大きく分けられるが、業務用需

要は、冠婚葬祭やホテル等の装飾用、各種イベント用、華道やフラワーデ

ザイン教室等の稽古用であり、家庭用需要は贈答用や個人用である。近年

の景気の低迷により、業務用需要、家庭用需要とも停滞傾向にある。

○ 全国における切り花の年間の消費額は減少傾向で推移してきたが、近

年やや下げ止まり傾向にある。

○ 宇都宮市の切り花の消費金額は近年減少傾向にあったが、平成26年は

10,538円で全国4位であり、増加に転じている。

○ 平成26年における全国の一世帯あたりの世帯主年齢階級別の切り花の

支出状況は、60代で13,479円と最も高く、年代が低くなるにつれ減少して

いる。

○ 景気低迷の影響等により、花き関係のイベント、PR事業が縮小してき

た。

○ 国産花きイノベーション推進事業の活用により、県内全域で花育活動

が実施されている。

○ 各地域や各種団体において、花に関する展覧会やイベント等を実施し、

消費者に対し、県産花きの種類の豊富さと品質の高さのPRを行っている。

【振興の目標】

○ 若年層に対する花きの購入意欲の喚起

○ 花を贈る日の創出等、新たな手法による花き需要の創出

○ 花きの持つ魅力、効用に関する情報発信

一世帯あたりの切り花の年間消費額(平成26年)

資料:総務省「家計調査年報」

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一世帯あたりの世帯主年齢階級別切り花の支出状況(平成26年)

資料:総務省「家計調査年報」

【参考】アンケートによる花きの消費ニーズ

○ 県内の食と農のイベント来場者対象にアンケートを実施したところ、花

を購入する用途は自宅へ飾る用が最も多かった。購入場所については、花

屋さんでの購入が最も多かった。

○ また、花を購入する際に重要な点については、花の新鮮さ、花の種類、

花の色の順に多かった。

「とちぎ食と農フェア」において実施したアンケートの集計結果

(平成27年10月24日、25日(一社)とちぎ農産物マーケティング協会花き部会実施。437名回答)

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第3章 「とちぎの花き」の基本方針と基本目標

1 「とちぎの花き」の基本方針

【生産部門】

○活力ある花き生産の推進

新たな技術の導入や、オリジナル品種の活用により、生産性が高く、高品質

で「とちぎ」らしい花き生産を推進する。

○経営感覚の優れた担い手の確保・育成と組織活動の活性化

新規生産者が参入しやすい環境整備等の推進により、栃木の花き生産の将来

を担う優れた担い手を確保するとともに、花き生産者の経営能力向上を推進し、

花き経営の発展を図る。

【流通部門】

○「とちぎの花き」の有利販売の促進

県産花きの有利販売につながる対策を講じるとともに、日持ち性向上等の流

通技術の支援を行いながら、ブランド化や積極的PR等により「とちぎの花き」

の有利販売につなげる。

【消費部門】

○花を取り入れた暮らしの普及推進

新たな需要の創出等、需要を拡大する取り組みを支援し、「とちぎの花き」の

消費拡大を図る。

2 基本目標

◇基本目標

「活力と魅力あふれる栃木の花き生産」

◇花き産出額

平成26年度 66億円 平成32年度 85億円

きく 16億円

ばら 7億円

りんどう 1億円

洋ラン 9億円

シクラメン 6億円

その他 27億円

切り花

鉢物

きく 23億円

ばら 8億円

りんどう 2億円

洋ラン 12億円

シクラメン 11億円

その他 29億円

切り花

鉢物

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第4章 目標を実現するための方策

【生産部門】

1 活力ある花き生産の推進

○ 高度な生産技術導入による品質の高位平準化を推進する。

・炭酸ガス施用等の新たな技術を確立するとともに、ICTを活用した環境制

御施設の検証、導入を支援する。

・夏季の高温や冬季の低温及び寡照による生産性及び品質の低下を回避する

技術の確立を図る。

・品目に応じたIPM技術の確立と導入を推進する。

○ 他県産地との差別化のため、農業試験場育成品種の生産拡大支援や、さ

らなる新品種の育成を進めるとともに、県内生産者による育種を支援する。

○ ヒートポンプやLED等の設備の導入による省エネルギー技術の普及促進

とさらなるコスト削減技術の開発を図る。

2 経営感覚の優れた担い手の確保・育成と組織活動の活性化

(1)担い手・産地育成

○ 産地や関係機関が連携して、新規就農者や定年帰農者、女性農業者等

の多様な担い手の掘り起こしを行う。

○ 新たな担い手が参入しやすい環境を整備する。

・ 初期投資の少ない簡易施設での栽培可能な品目について、栽培マニュ

アルを作成し、新たな担い手確保を推進する。

・ 地域における遊休施設のリストアップを行い、施設の円滑な継承のコ

ーディネイトを推進する。

・ モデル農家が地域や産地のリーダーとして新たな担い手を支援するト

レーナー制度の創設を推進する。

○ 花き生産組織の活動を活性化するため、最新技術・経営研修会の開催

を推進する。

(2)経営

○ 施設の利用率向上を図るため、周年生産のための栽培技術の導入や、

品種構成の見直し等を行う。

○ 生産コストを削減するため、生産工程や作業効率の見直し、温度管理

技術等を実践する。

○ 生産者の経営能力強化のため経営コンサルタント等専門家の活用を推

進する。

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【流通部門】

3 「とちぎの花き」の有利販売の促進

(1)体制整備

○ 輸送時の品質を維持し日持ちや鮮度の高い「とちぎの花き」を供給す

るため、コールドチェーンの導入を促進する。

○ 出荷量が少ない品目等における複数産地をまとめて出荷するグルーピ

ング販売の支援をする。

○ 年間を通して出荷を安定させ、有利販売へつなげるため、組織内での

品種の検討、生産時期調整の実施を支援する。

(2)流通技術

○ 鮮度の高い花きを提供するため、日持ち性向上技術の導入を促進する。

(3)販売

○ 県産花きPRのため、市場や生花店等において販売イベントの開催を支

援する。

○ 農試及び生産者育成品種を活用したブランド化の展開を支援する。

○ 個人商店や量販店への契約販売等、多様な取引形態に向けた取り組み

を支援する。

○ 輸出に取り組む産地(組織)等への支援を行うとともに、県産花きの

輸出可能性について調査、分析する。

県内各産地の品目の紹介

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【消費部門】

4 花を取り入れた暮らしの普及推進

(1)需要拡大

○ 子供の頃から花に親しむ機会を増やし長期的な需要拡大を目指すため、

小中学校やイベントなどにおける花育活動を推進する。

○ 各地域や県域で行うとちぎ県産花き消費拡大イベントの開催を支援す

る。

○ 直売所、道の駅における花の販売を促進する。

(2)新たな需要の創出、利活用の提案

○ とちぎ花センター等を活用し、憩いと安らぎの場を提供するとともに、

栃木県産花きのPRを行う。

○ インテリア業界等、花きの購入につながる異業種との交流を促進し、

利活用の提案を行う。

○ 母の日や父の日等に加え、「いい夫婦の日」や「フラワーバレンタイン」

等、花を贈ろうキャンペーンを促進する。

○ 花の効能を活かした園芸福祉等「ユニバーサル農業」の普及拡大を支

援する。

○ 集客力の高い駅やショッピングモール等での栃木県産花きの展示・飾

花によるPRを支援する。

○ 農村地域の公共施設や道路周辺等まちづくりにおいての花きの活用を

促進する。

とちぎ花フェスタにおける県産花きを使用した飾花

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第5章 主要品目別生産振興方策

【切り花】

1 きく

県内では古くから栽培している伝統的な産地が多く、とくにスプレーぎくに

ついては、全国3位の生産量を誇り、市場でも高い評価を得ている。

施設の利用率向上により高品質生産を推進する。

《平成26年産出額 16億 →平成32年産出額 23億》

○ スプレーぎく

(1)生産の現状と課題

・ 主要産地は塩谷、芳賀、那須地区で、大型鉄骨ハウスを利用した周年栽

培が行われており、生産量は全国3位の主力県として位置づけられている。

・ 塩谷および芳賀地区では後継者が確保され、比較的若い生産者が多く、

産地の活性化につながっている。

・ 少量多品種の産地が多く、各産地ともに花形、花色等バラエティに富ん

だものが導入されるなど、業務需要に幅広く対応した品種が導入されてい

る。

・ 燃油や資材高騰等により冬季の作付けを減らす生産者もあり、計画的な

周年出荷体制が弱くなっている。

・ 夏季は開花遅延や奇形花の発生回避のため夏秋タイプの導入が進んでい

るが、品種数が限定されている。

・ 冬季の低温短日期における上位等級率が低下する。

(2)振興の目標

➣ 年間を通しての安定した品質、量の出荷

➣ 低コスト生産による経営の安定

➣ 品種選定等による収益性の向上

(3)振興方策

◇ 年間を通して安定的に出荷するために、計画的な生産体制を促進する。

◇ 常に品質の高いものを出荷するために、炭酸ガス施用技術、ヒートポ

ンプによる温度管理技術の活用を推進する。

◇ 蛍光灯に変わるLED等の新光源を活用した新たな電照栽培技術の導入を

推進する。

◇ 燃料費削減のため、効率的な加温・保温技術の導入を推進する。

◇ 産地維持のため、若手生産者を中心に規模拡大の検討を支援する。

◇ 作付け本数や年間回転数の分析等による施設利用率の向上を推進する。

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○ 輪ぎく(施設)

(1)生産の現状と課題

・ 主要産地は、那須、下都賀、芳賀地区で、大型鉄骨ハウスを利用した周

年栽培が行われている。

・ 後継者が比較的確保できている産地があるものの、全体的には生産者の

高齢化が進みつつある。

・ 品種構成は各産地によりやや異なるが、白系品種では精の一世、神馬、

黄色系品種では精の枕、精興光玉が中心である。また、他県産地の動向を

睨み、新たな品種選定に向けた動きも見られる。

・ 燃油や資材高騰等により冬季の作付けを見合わせる生産者もあり、周年

出荷産地として大きな問題となっている。

・ 冬季の作付けが減少し、一方で夏場に市場での供給過剰がみられ、価格

が大幅に低下することがある。

・ 冬季の低温短日期における上位等級率が低下する。

(2)振興の目標

➣ 年間を通しての安定した品質、量の出荷

➣ 低コスト生産による経営の安定

(3)振興方策

◇ 年間を通して安定的に出荷するために、計画的な生産体制を促進する。

◇ 常に品質の高いものを出荷するために、炭酸ガス施用技術、ヒートポ

ンプによる温度管理技術の活用を推進する。

◇ 蛍光灯に変わるLED等の新光源を活用した新たな電照栽培技術の導入を

推進する。

◇ 燃料費削減のため、効率的な加温・保温技術の導入を推進する。

◇ 冬季の低温でも栽培が可能な、低温開花性品種の導入を推進する。

◇ 産地維持のため、若手生産者を中心に規模拡大の検討を支援する。

◇ 作付け本数や年間回転数の分析等による施設利用率の向上を推進する。

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2 りんどう

新たな産地が形成され、生産量が拡大している。導入しやすい作物として、

新規生産者の確保を推進する。

《平成26年産出額 1億円 →平成32年産出額 2億円》

(1)生産の現状と課題

・ 主要産地はこれまで那須、塩谷、上都賀地区の中山間地に限られていた

が、簡易ハウスでの栽培が可能であり導入が容易であることから、水田転

作作物として、河内地区や南那須地区などで新たな産地が形成されている。

・ 農業試験場での極早生品種「るりおとめ」の育成により、生産者は増加

傾向にあるが、若い生産者が非常に少ない。

・ 農業試験場での極早生品種「るりおとめ」は6月の早出しから7月まで

の本県主力品種として作付けの7割程度を占めている。

・ 連作を好まないため、作型の中心となっている簡易ハウスでの栽培では、

改植時の作業負担が大きく、作付安定の足かせとなっている。

・ 早出し作型に偏っていることから、品種構成を考えた長期出荷体制を整

える必要がある。

(2)振興の目標

➣ 新規生産者の確保・栽培技術習得

➣ 生産量の確保

➣ 長期出荷に向けた品種構成の検討

(3)振興方策

◇ 女性や花き生産者等、幅広い世代からの新規栽培者の掘り起こしを推

進する。

◇ 新規栽培者の技術習得支援のため、新規栽培者を対象とした栽培セミ

ナーの開催を支援する。

◇ 欠株をなくし収量を確保するため、連作障害回避技術の導入を推進す

る。

◇ 3~4年で株の更新となるため、出荷できない時期がないよう、計画

的な作付け圃場の更新を推進する。

◇ 半促成による早出し生産を推進する。

◇ 長期出荷体制を築き、栃木のりんどうとして市場地位を確立するため、

新たな品種の導入を促進する。

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3 ばら

高度な複合環境制御装置の活用等、新たな技術の導入により、高品質で収益

性の高い生産を推進する。

《平成26年産出額 7億円 →平成32年産出額 8億円》

(1)生産の現状と課題

・ 主要産地は河内および下都賀地区であるが、生産者は県内各地域に散在

している。

・ 大型鉄骨ハウスを利用した周年栽培が行われており、一部生産者は高度

な複合環境制御装置を導入し効率的な栽培管理が実施され、生産性向上が

図られている。

・ 燃油高騰対策としてヒートポンプの導入が進んでおり、温風暖房機との

ハイブリッド運転により暖房経費の削減につなげている。

・ 夏季の高温による品質および生産性低下が問題となっているが、一部の

生産者は細霧冷房やヒートポンプを活用した夜冷等による品質向上対策を

行っている。

・ 鮮度保持のために、各産地ともにバケットや湿式の出荷箱を利用した出

荷が中心となっている。

(2)振興の目標

➣ 年間を通しての安定した品質、量の出荷

➣ 低コスト生産による経営の安定

➣ 収益性の向上のための新技術導入

(3)振興方策

◇ 常に品質の高いものを出荷するために、炭酸ガス施用技術の活用を推

進する。

◇ 夏季の収益性を高め、品質を向上させるため、ヒートポンプによる夜

冷技術の導入を推進する。

◇ 燃料費削減のため、効率的な加温・保温技術の導入を推進する。

◇ 冬季の低温でも栽培が可能な、低温開花性品種の導入を推進する。

◇ 複合環境制御を活用した効率的な管理技術を支援する。

◇ 収量増加を目指した新たな仕立て方の検証を支援する。

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4 トルコギキョウ

新規生産者の確保により生産者が増加傾向にあるため、今後も、新規生産者

の確保・育成により、産地規模の拡大を支援する。

(1)生産の現状と課題

・ 主要産地は下都賀および安足地区であり、越冬作型が中心である。一部

パイプハウスによる抑制が導入されている。

・ 安足地区では、新規栽培者の確保により生産者が増加し、産地規模の拡

大が図られている。

・ 新たな栽培技術として、EOD、炭酸ガス、電照等の新たな技術の導入が

進んでいる。

・ 冬季の低温短日期における上位等級率が低下する。

・ 2番花の出荷割合が高く、他産地よりも生産性が高い。

・ 土壌病害の発生により、生産性の低下を招く場合がある。

(2)振興の目標

➣ 年間を通しての安定した品質、量の出荷

➣ 低コスト生産による経営の安定

➣ 産地規模の拡大

(3)振興方策

◇ 常に品質の高いものを出荷するために、炭酸ガス施用技術等の新たな

技術の活用を推進する。

◇ 収益性の向上のため、土壌病害回避技術の確立を支援する。

◇ 燃料費削減のため、効率的な加温・保温技術の導入を推進する。

◇ 産地規模拡大のため、新規生産者の更なる確保・育成を支援する。

◇ 燃料費を削減し、さらなる高品質生産を確立するため、EOD技術注.の検

証を支援する。

注. EOD:日没の時間帯(end of day)から数時間における温度、光刺激による植物の応答をEOD反応と

呼び、この時間帯での温度管理に着目した変夜温管理(EOD-Heating)ならびに同じ時間帯の遠赤色

光照射(EOD-FR)処理とする。

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5 ゆり

グルーピング販売組織による計画的生産体制の推進により、年間を通した安

定出荷を支援する。

(1)生産の現状と課題

・ 主要産地は河内地区、南那須地区であり、大型鉄骨ハウスを利用した周

年栽培が行われている。河内地区はオリエンタル系、南那須地区はLA系が

中心であり、河内地区では若手生産者が多い。

・ 夏季の高温期での品質低下が問題となっているが、一部では細霧冷房や

ヒートポンプを導入し一定の効果が得られている。

・ 球根は全量共同で輸入を行っているが、時期により球根産地を使い分け、

品質の安定やロス率の低下を図っている。

・ 経営費に占める球根代の割合が高い。

(2)振興の目標

➣ 年間を通しての安定した品質、量の出荷

➣ 低コスト生産による経営の安定

➣ 実需者ニーズに対応した生産体制

(3)振興方策

◇ 年間を通して安定的に出荷するために、グルーピング販売組織内で、

品種、植え付け時期の検討等を行い、計画的な生産体制を支援する。

◇ 常に品質の高い(上位等級率を高く)ものを出荷するために、ヒート

ポンプによる温度管理技術の活用を推進する。

◇ 効率的な加温・保温技術の導入を推進する。

◇ 夏季の品質を向上させるため、ヒートポンプによる夜冷技術の導入を

推進する。

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6 カーネーション

グルーピング販売組織による計画的生産体制の推進により、年間を通した安

定出荷を支援する。

(1)生産の現状と課題

・ 主要産地は下都賀、塩谷南那須、那須地区であり、大型鉄骨ハウスおよ

びパイプハウスを組み合わせた周年栽培が中心である。

・ 輸入の増加に伴う価格低迷に加えて、種苗費や燃油高騰により経営が圧

迫されてきたことで、作付け休止や多品目への移行により生産者が減少し、

生産量が大幅に減少している。

・ 消費ニーズ多様化への対応や単価安定を狙い、少量多品種化が進んでい

る。

・ 燃油の高騰により冬季の温度確保が不十分なほ場では、品質確保が困難

となっている。

・ 害虫の薬剤抵抗性の発達により、IPM技術の導入が始まり、一定の効果

が得られている。

(2)振興の目標

➣ 年間を通した生産の安定

➣ 低コスト生産による経営の安定

➣ 実需者ニーズに対応した生産体制

(3)振興方策

◇ 年間を通して安定的に出荷するために、グルーピング販売組織内で、

品種、植え付け時期の検討等を行い、計画的な生産体制を支援する。

◇ 生産性の高い優良品種の選定、導入を推進する。

◇ 安定した品質を維持するため、IPM技術の導入を推進する。

◇ 燃料費削減のため、効率的な加温・保温技術の導入を推進する。

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【鉢物】

7 洋らん

若い生産者が多く、積極的な組織活動が行われているため、更なる組織の活

性化を支援する。

《平成26年産出額 9億円 →平成32年産出額 12億円》

(1)生産の現状と課題

・ 主要産地は河内地区であり、県内各地区に生産者が散在しており、大型

鉄骨ハウスを利用した栽培で年間を通した出荷が行われている。

・ 後継者が確保されている生産者が多く、経営移譲が進んでいる。

・ 成熟した株を輸入し、開花処理のみを行う栽培体系が増加している。

・ 培地資材は、殆どの生産者でミズゴケからバークに移行している。

・ 消費動向の変化により、業務用向けの大鉢生産が減少している。

・ 消費者へのPRのため、とちぎ蘭展を開催している。

(2)振興の目標

➣ 低コスト生産による経営の安定

➣ 組織活動の一層の活性化

(3)振興方策

◇ 肥効調節型肥料を用いた効率的な肥培管理の導入を推進する。

◇ 栽培期間短縮のため新たな栽培技術の確立を支援する。

◇ 市場、花屋等の連携による実需者ニーズに対応した品物の選定を支援

する。

◇ 燃料費削減のため、効率的な加温・保温技術の導入を推進する。

◇ とちぎ蘭展の開催等、消費者へのPR活動を支援する。

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8 シクラメン

全国で5位の出荷量を誇る品目であり、若手生産者も多いため、更なる組織

活動の活性化を推進する。

《平成26年産出額 6億円 →平成32年産出額 11億円》

(1)生産の現状と課題

・ 主要産地は上都賀、芳賀地域で、生産者は県内全域に散在しており、大

型鉄骨ハウスを利用し、多品目と組み合わせた周年出荷が行われている。

・ 主要産地では後継者が確保されており、世代交代が進んでいる。

・ 高い生産技術により、高品質なシクラメン生産が行われている。

・ それぞれ個別の販売体制が行われており、有利販売に向けたPRが組合活

動の中心となっている。

・ 各生産者ごとに独自ブランドを立ち上げてる場合が多い。また、販売組

織を設立し技術の共有やグループ販売を行うことで有利販売につなげてい

る事例もある。

(2)振興の目標

➣ 低コスト生産による経営の安定

➣ 組織活動の一層の活性化

(3)振興方策

◇ 若手生産者への技術引き継ぎを支援する。

◇ 品質向上のため、ヒートポンプの活用による病害対策を推進する。

◇ 有利販売に向けた組織活動を支援する。

9 あじさい

きらきら星の技術取得のために、組織活動の活性化を推進する。

(1)生産の現状と課題

・ 主要産地は上都賀地区であり、生産者は県内全域に散在している。

・ 母の日には主力品目となっており、県内において生産者育種が行われて

いる。

・ 農業試験場での「きらきら星」の育成をきっかけに生産者が増加すると

ともに、組織化が図られ、栽培管理技術の統一による高品質規格生産に向

けた取り組みが実施されている。

・ 需要の拡大にともない、品種の変遷が早くなってきている。

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(2)振興の目標

➣ オリジナル品種による産地化

(3)振興方策

◇ 県オリジナル品種を活用した生産拡大を推進する。

◇ オリジナル品種の有利販売に向け、生産者育種を支援する。

◇ 「きらきら星」の品質向上のため、栽培管理技術の習得を支援する。

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栃木県花き振興計画

平成28年3月

栃木県農政部 生産振興課 果樹花き担当

〒320-8501 宇都宮市塙田1-1-20

TEL 028-623-2329

FAX 028-623-2335