広い動作範囲の 谷モードNo RSENSE 同期整流式降圧 ...3740 G09b 730 720 710 –25 0...
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LT3740
13740fc
標準的応用例
特長広い入力電圧範囲:2.2V~22V内蔵の昇圧コンバータが6Vのゲート・ドライブを 供給するので、最小2.2Vの入力電圧が可能
センス抵抗不要デュアルNチャネルMOSFET同期ドライブ 谷電流モード制御 高い降圧比に最適化 パワーグッド出力電圧モニタ 0.8Vのリファレンス ピンで選択可能な3 つの電流制限レベル 固定スイッチング周波数:300kHz プログラム可能なソフトスタート 出力電圧トラッキング 16ピン5mm×3mm DFNパッケージ
アプリケーション ノートブックおよびパームトップ・コンピュータ、PDA 携帯用計測器 配電システム
概要LT®3740はNチャネル・パワーMOSFET段をドライブする同期整流式降圧スイッチング・レギュレータ・コントローラです。このコントローラは谷電流モード・アーキテクチャを採用し、センス抵抗なしで非常に低いデューティサイクルと優れた過渡応答を実現します。
LT3740は昇圧コンバータを内蔵し、ドライブ用の入力電圧よりも7.8V高いバイアスを提供することができます。このため、2.2Vの低入力電圧で動作可能です。
XREFピンは外部リファレンス入力です。このピンにより、ユーザが0.8Vの内部帰還リファレンスを低い値で無効にすることができるので、動作時、出力電圧トラッキング時、あるいはソフトスタート時の出力電圧を完全に制御可能です。
LT3740は、RANGEピンをグランドまたは入力電圧に接続するかオープン状態にすることによって選択できる3 つの電流制限レベルを備えています。
、LT、LTCおよびLTMはリニアテクノロジー社の登録商標です。No RSENSEはリニアテクノロジー社の商標です。他のすべての商標はそれぞれの所有者に所有権があります。
広い動作範囲の谷モードNo RSENSE™
同期整流式降圧コントローラ
高効率降圧コンバータ 効率と負荷電流
SWB
VIN
SHDN
XREF
RANGE
VC
BGDP
BIAS
TGATE
SW
SN+
BGATE
GND
LT3740
SN–
PGND
FB
3740 TA01a
0.9µH
1µF
0.22µF
VOUT1.8V10A
VIN3V to 12V
M1HAT2168H
M2HAT2165H
100µF 3
10µF
39pF
22µH
20k
15k
1nF
22pF 80.6k
105k15k
1Ω
1Ω
D1B320A1Ω
LOAD CURRENT (A)0
EFFI
CIEN
CY (%
)
86
92
88
90
94
3740 TA01b
84
82
804 62 8 10
VIN = 3VVIN = 5V
VIN = 12V
VOUT = 1.8V
LT3740
23740fc
絶対最大定格(Note 1)SN−、BGATE、VC、FB、XREF、PGOOD電圧 ............................. 10VVIN、SHDN、SW、RANGE電圧 ............................................... 22VBIAS、TGATE、BGDP、SN+電圧 ........................................... 32VSWB電圧 ............................................................................. 36V最大接合部温度..............................................................125動作温度範囲(Note 2) .....................................-40~85保存温度範囲..................................................-65~125
PARAMETER CONDITIONS MIN TYP MAX UNITS
Minimum Operation Voltage 2.2 V
Maximum Operation Voltage 22 V
Input Supply Current SHDN = 0V SHDN = 5V, BIAS = 14V, FB = 1.5V
0.6 2.5
µA mA
Feedback Reference Voltage XREF=1V 794 800 808 mV
Feedback Voltage Line Regulation VIN = 2.5V to 22V 0.006 %
FB Pin Input Current FB = 800mV 230 nA
Error Amplifier Transconductance VC = 1.2V 380 µS
Controller Switching Frequency 260 300 330 kHz
Minimum BGATE On Time (Note 3) 500 700 ns
Current Limit RANGE = 0V RANGE = Open RANGE = VIN
25 55 80
50 80
105
85 115 140
mV mV mV
Reverse Current Limit 35 mV
ピン配置
16
15
14
13
12
11
10
9
17
1
2
3
4
5
6
7
8
VC
FB
XREF
SHDN
PGOOD
RANGE
VIN
SWB
SN–
PGND
BGATE
BGDP
SN+
SW
TGATE
BIAS
TOP VIEW
DHC PACKAGE16-LEAD (5mm × 3mm) PLASTIC DFN
TJMAX = 125°C, θJA = 43°C/W EXPOSED PAD IS GND (PIN 17), MUST BE SOLDERED TO PCB
発注情報
鉛フリー仕様 テープアンドリール 製品マーキング パッケージ 温度範囲LT3740EDHC#PBF LT3740EDHC#TRPBF 3740 16-Lead (5mm × 3mm) Plastic DFN –40°C to 85°C
鉛ベース仕様 テープアンドリール 製品マーキング パッケージ 温度範囲LT3740EDHC LT3740EDHC#TR 3740 16-Lead (5mm × 3mm) Plastic DFN –40°C to 85°Cさらに広い動作温度範囲で規定されるデバイスについては、弊社または弊社代理店にお問い合わせください。鉛フリー仕様の製品マーキングの詳細については、http://www.linear-tech.co.jp/leadfree/ をご覧ください。テープアンドリールの仕様の詳細については、http://www.linear-tech.co.jp/tapeandreel/ をご覧ください。
電気的特性は全動作温度範囲の規格値を意味する。それ以外はTA = 25での値。注記がない限り、VIN=5V(Note 2)
LT3740
33740fc
PARAMETER CONDITIONS MIN TYP MAX UNITS
SHDN Voltage to Enable Device 1.1 V
SHDN Voltage to Disable Device 0.5 V
TGATE On Voltage 5.5 V
TGATE Off Voltage 0.2 V
BGATE On Voltage 5.5 V
BGATE Off Voltage 0.2 V
TGATE Rise Time CLOAD = 3300pF 30 ns
TGATE Fall Time CLOAD = 3300pF 30 ns
BGATE Rise Time CLOAD = 3300pF 50 ns
BGATE Fall Time CLOAD = 3300pF 50 ns
PGOOD Threshold 720 740 765 mV
PGOOD Low Voltage IPGOOD = 100µA 0.2 V
PGOOD Current Capacity 500 µA
Internal Boost Switching Frequency 0.8 1 1.2 MHz
Internal Boost Switch Current Limit 360 440 520 mA
(BIAS – VIN) in Operation 7.8 V
(BIAS – VIN) to Start Controller 7.2 V
標準的性能特性 (注記がない限り、TA=25)
過渡応答
過渡応答
シャットダウン ・ピンの起動
LOAD STEP 0A TO 10AVIN = 10V, VOUT = 2.5VFIGURE 4 CIRCUIT
VOUT50mV/DIV
IL5A/DIV
3740 G0120µs/DIV
LOAD STEP 0A TO 10AVIN = 5V, VOUT = 1.8VPAGE 17 CIRCUIT
VOUT50mV/DIV
IL5A/DIV
3740 G02
10µs/DIV3740 G03
VIN = 10V, VOUT = 2.5VILOAD = 3A
SHDN2V/DIV
VO2V/DIV
IL2A/DIV
2ms/DIV
電気的特性は全動作温度範囲の規格値を意味する。それ以外はTA = 25での値。注記がない限り、VIN=5V(Note 2)
Note 1:対最大定格はそれを超えるとデバイスに永続的な損傷を与える可能性がある値。また、絶対最大定格状態が長時間続くと、デバイスの信頼性と寿命に悪影響を与える恐れがある。
Note 2:LT3740Eは0°C~85°Cの温度範囲で性能仕様に適合することが保証されている。 −40°C~85°Cの動作温度範囲での仕様は、設計、特性評価および統計学的なプロセス・コントロールとの相関で確認されている。
Note 3:LT3740アプリケーションの最小オフ時間は、BGATEの最小オン時間、TGATEオフからBGATEオンまでの遅延(80ns)、BGATEオフからTGATEオンまでの遅延(80ns)で構成される。
LT3740
43740fc
標準的性能特性 (注記がない限り、TA=25)
シャットダウンと最大VC
VCと電流センス・スレッショルド
帰還リファレンス電圧と温度
PGOODスレッショルドと温度
シャットダウン・スレッショルド と温度
スイッチング周波数と温度
SHUTDOWN (V)0
MAX
IMUM
VC
(V)
1.0
0.8
1.6
1.4
1.8
1.2
2.0
3740 G07
0.6
0.4
0.2
01.5 210.5 2.5 3
VC (V)1
CURR
ENT
SENS
ING
THRE
SHOL
D (m
V)
150
250
200
300
3740 G08
100
50
01.4 1.61.51.31.1 1.2 1.7 1.8
RANGE = VIN
RANGE =OPEN
RANGE = GND
TEMPERATURE (°C)–50
V FB
(mV)
800
806
808
804
802
810
3740 G09a
798
796
792
794
79025 75500–25 100
TEMPERATURE (°C)–50
V FB
(mV)
740
760
750
770
3740 G09b
730
720
71025 500–25 75 100
TEMPERATURE (°C)–50
0.8
1.1
1.0
0.9
1.2
3740 G10
0.7
0.6
0.5
0.425 500–25 75 100
SHDN
(V)
TEMPERATURE (°C)–50
CONT
ROLL
ER F
REQU
ENCY
(KHz
)
300
315
310
305
320
3740 G11
295
290
285
28025 500–25 75 100
XREFピンの起動
ロード ・レギュレーション
電流制限値とボトム・ゲートの オン時間
SS0.5V/DIV
VO2V/DIV
IL2A/DIV
3740 G04
VIN = 10V, VOUT = 2.5VILOAD = 3A
2ms/DIVLOAD CURRENT (A)
0
DVOU
T (%
) –0.3
–0.4
–0.1
–0.2
0
8
3740 G05
–0.5
–0.6
–0.7
–0.82 4 6 10
RANGE = VIN
RANGE = OPEN
RANGE = GND
VIN = 10VVOUT = 2.5VRS = 12mΩ
BOTTOM GATE ON DUTY CYCLE (%)30
CURR
ENT
SENS
ING
LIM
IT (m
V)
100
80
160
140
180
120
200
90
3740 G06
60
40
20
050 6040 70 80 100
RANGE = VIN
RANGE = OPEN
RANGE = GND
LT3740
53740fc
エラーアンプの 相互コンダクタンスと温度
コントローラをイネーブルする BIAS-VINと温度
低電圧ロックアウト・ スレッショルドと温度
ピン機能SN-(ピン1):負電流センス・ピン。このピンは、No RSENSE
の場合はボトムMOSFETのソースに接続し、それ以外の場合は電流センス抵抗に接続します。
PGND(ピン2):パワーグランド。このピンは、NチャネルMOSFETのソースに近づけて接続します。
BGATE(ピン3):ボトム・ゲート・ドライブ。ボトムNチャネルMOSFETのゲートをドライブします。
BGDP(ピン4):ボトム・ゲート・ドライブ電源。このピンは、7Vよりも高い電圧源(VINまたはBIAS)に接続します。
SN+(ピン5):正電流センス・ピン。このピンは、No RSENSE
の場合はボトムMOSFETのドレインに接続し、それ以外の場合は電流センス抵抗に接続します。
SW(ピン6):スイッチ・ノード。このピンは、トップNチャネルMOSFETのソースとボトムNチャネルMOSFETのドレインに接続します。
TGATE(ピン7):トップ・ゲート・ドライブ。トップNチャネルMOSFETのゲートをBIASまでドライブします。
BIAS(ピン8):トップ・ゲート・ドライブ電源。このピンとVINの間にコンデンサを接続してください。
SWB(ピン9):内部昇圧コンバータのスイッチ・ピン。ここに昇圧インダクタを接続してください。
VIN(ピン10):入力電源ピン。コンデンサを使用してローカルにバイパスする必要があります。
RANGE(ピン11):電流制限範囲選択ピン。電流センス電圧の制限値を50mVにするには、このピンをグランドに接続します。電流センス電圧の制限値を80mVにするには、このピンをオープン状態のままにします。電流センス電圧の制限値を105mVにするには、このピンをVINに接続します。
PGOOD(ピン12):パワーグッド出力。FB電圧が720mVを下回ると“L”になるオープンコレクタのロジック出力です。
SHDN(ピン13):シャットダウン・ピン。デバイスをイネーブルするには2.5V以上の電圧に接続し、デバイスをディスエーブルするには0.5V以下の電圧に接続します。また、このピンは、電圧ランプが印加されるとソフトスタートとしても機能します。
XREF(ピン14):外部リファレンス・ピン。このピンは、FB電圧を0V~0.8Vの範囲で外部設定します。このピンを使用して、通常動作時の出力電圧や出力起動動作を外部信号源によって制御することができます。0.8Vの内部リファレンスを使用するには、このピンを1V以上の電圧に接続します。
FB(ピン15):帰還ピン。内部リファレンスが使用される場合には、このピンの電圧は0.8Vに安定化されます。また、このピンの電圧が0V~0.8Vの場合は、XREFピンの電圧に安定化されます。帰還抵抗分割器をこのピンに接続してください。
TEMPERATURE (°C)–50
ERRO
R AM
P (µ
s)
340
390
370
380
350
360
400
3740 G12
330
320
310
30025 500–25 75 100
TEMPERATURE (°C)–50
BIAS
-VIN
(V)
7.20
7.45
7.35
7.40
7.25
7.30
7.50
3740 G13
7.15
7.10
7.05
7.0025 500–25 75 100
TEMPERATURE (°C)–50
UNDE
RVOL
TAGE
LOC
KOUT
VIN
(V)
2.0
2.5
1.5
3.0
3740 G14
1.0
0.5
025 500–25 75 100
標準的性能特性 (注記がない限り、TA=25)
LT3740
63740fc
ブロック図
–
+
+
–+
–
+
–+–+
+
–
+
–
1.2MHzOSCILLATOR
RAMPGENERATOR
VREF0.80V
300KHzOSCILLATOR
RAMPGENERATOR
SWITCHLOGIC
BIAS
Q1
8
16
13
14
15
12
7
6
4
3
2
5
1
11
VC
SHDN
XREF
FB
PGOOD
TGATE
SW
BGDP
BGATE
PGND
SN+
SN–
RANGE
Gm
SWB
A2
A3
A1
gm
R Q
0.72V
S
VIN
7.8V
3740 BD
910
+
Σ
Σ
ピン機能VC(ピン16):エラーアンプの補償ピン。外付け補償RCをこのピンに接続してください。このピンの電圧が上がるにつれて、電流センス・コンパレータのスレッショルドが上昇します。
露出パッド(ピン17):グランド。PCBのグランドに半田付けしなければなりません。
LT3740
73740fc
動作LT3740はDC/DC降圧コンバータ向けの固定周波数、谷電流モード・コントローラです。発振器の各サイクルの開始点でスイッチ・ロジックがセットされ、ボトムMOSFETがオンになります。500nsのブランキング時間の後、ボトムMOSFETの電流がセンスされ、安定化ランプに加算されて、その和がPWMコンパレータA1に供給されます。この電圧がVCピンの電圧を下回ると、スイッチ・ロジックがリセットされ、ボトムMOSFETをオフにし、トップMOSFETをオンにします。トップMOSFETは発振器の次のサイクルまでオンのままです。ボトムMOSFETの電流は、ボトムMOSFETのオン抵抗を使用してMOSFETのドレイン-ソース間電圧をセンスすることによって、あるいは、ボトムMOSFETのソースとグランドの間の抵抗の電圧降下をセンスすることによって決定されます。2つの電流センス・ピンはSN+
とSN-です。gmエラーアンプは、帰還信号VFBとリファレンスを比較することによってVCピンの電圧を調整します。このリファレンス電圧は、0.8Vの内部リファレンス電圧とXREFピンの電圧のいずれか低い方です。エラーアンプの出力が増加すると、出力に供給される電流が増加します。エラーアンプの出力が減少すると、供給される電流も減少します。
LT3470はオープンコレクタのPGOOD信号を備えています。FBピンの電圧が720mVを下回ると、PGOOD出力はNPNトランジスタによって“L”になります。720mVのスレッショルドは、XREFピンの電圧とは無関係です。
小型の内部昇圧コンバータは、トップMOSFETのドライブ用に、入力電圧VINよりも約7V高いBIAS電圧を供給します。これにより、LT3740は2.2Vの低い入力電圧で動作可能です。コントローラはBIASピンがVINピンよりも約7V高くなると動作を開始します。ボトムMOSFETドライブの電源はBGDPピンを介して供給されます。VINが7Vより低い場合、十分なドライブ・バイアスを得るには、BGDPをBIASに接続する必要があります。VINが7Vより高い場合、BGDPをVINに直接接続することによって、電力損失を低減することができます。
SHDNピンをグランドに接続すると、内部昇圧コンバータとコントローラの両方がオフします。また、SHDNを使用して、オプションのソフトスタート機能を実行することも可能です。
起動およびシャットダウン通常動作時に帰還電圧が720mVを超えると、LT3740は強制連続モードで動作します。起動時または外部リファレンス電圧の印加によって帰還電圧が720mVを下回ると、ゼロ電流検出コンパレータがイネーブルされて、オン状態のボトムMOSFET
の電流をモニタすることができます。電流がゼロになると、トップとボトムどちらのMOSFETもオフし、不連続動作になります。トップMOSFETとボトムMOSFETの両方がオフの間は、LT3740に電流信号が供給されません。トップMOSFETの次のターンオンを決めるために、安定化ランプがPWMコンパレータに供給されるだけです。
LT3470はSHDNピンを使用して2つの異なる起動回路の1つを作動できます。ブロック図に示すように、VCピンはPNPトランジスタを介してSHDNピンにクランプされています。SHDNピンが緩やかにランプアップされると、VCピンはそれを比例トラッキングします。VCピンの電圧がコンパレータA1の電流信号と比較され、これによってスイッチング電流を緩やかにランプアップします。
XREFに備わったトラッキング機能を使用して、もう1つの起動回路を作動させることができます。XREFに印加される電圧が0.8Vを下回る場合、LT3740はこの電圧をレギュレーションのリファレンスとして使用します。標準的性能特性に示すように、XREFの電圧を緩やかにランプアップすると、出力が緩やかに増大し、これによって起動電流が制限されます。
LT3740をシャットダウンするには、シャープなSHDN信号が推奨されます。SHDNが緩やかにランプダウンすると、SHDNがそのターンオフ・スレッショルドに達する前にかなりの期間VC信号が“L”に保たれます。この期間中は、出力電圧がレギュレーションを維持している可能性があり、回路は強制連続モードで動作します。VC電圧が低いと、ボトムMOSFETのオン時間が長くなり、出力から入力へエネルギーを注入する逆インダクタ電流が生じる恐れがあります。出力に別の電源や大きなコンデンサが接続されていると、入力電圧がオーバーシュートし、いくつかのデバイスに過電圧による損傷を与える恐れがあります。
LT3740
83740fc
電流センス範囲インダクタの電流は、センス抵抗(ボトムMOSFETのオン抵抗と外付けセンス抵抗のいずれか)の電圧を測定することによって決まります。最大電流センス・スレッショルドにはRANGEピンによって選択される3つの段階があります。スロープ補償なしの電流センス・スレッショルド電圧を表1に示します。これは高デューティサイクル動作の値です。
表1.電流センス・スレッショルドRANGEピン 電流センス・スレッショルドグランドに接続 50mV
オープン 80mV
VINに接続 105mV
スロープ補償LT3740は固定周波数の谷モード動作を安定させるための補償スロープを備えています。ボトム・ゲートのデューティサイクルが高くなるにつれてスロープ補償信号が増大するので、標準的性能特性の図に示すように、電流センス・スレッショルド電圧はデューティサイクルに応じて変化します。3つの電流制限レベルは、3つの補償スロープに対応しています。
補償スロープは、サブハーモニック発振を防止するためにインダクタ電流の上昇スロープと下降スロープの差を打ち消す必要があります。高入力電圧には最大補償スロープが必要で、この場合デューティサイクルは低くなります。補償スロープはRANGEピンによってのみ選択可能です。補償スロープが不十分な場合、インダクタのリップル電流またはセンス抵抗を低減しなければなりません。
逆電流制限帰還電圧が720mVを超えるとLT3740は強制連続モードで動作するので、インダクタ電流は、負荷が軽い、緩やかに変化するSHDN信号によってシャットダウンする、負荷降圧過渡応答が大きい、または出力電圧が他の電源でプルアップされている場合などに負になることがあります。LT3740は逆電流を制限するために逆電流コンパレータを搭載しています。ボトムMOSFETがオンのときに(VSN+)-(VSN-)が40mVに達すると、コンパレータがトリガされ、ボトムMOSFETをオフします。
軽負荷での動作時、インダクタ電流はあらゆるサイクルで負になります。インダクタ電流リップルとセンス抵抗の設計では、逆電流コンパレータが通常動作時にトリガされないことを保証する必要があります。
パワーMOSFETの選択LT3740には、外付けNチャネル・パワーMOSFETが2個(トップ・スイッチ用に1個、ボトム・スイッチ用に1個)必要です。パワーMOSFETの重要なパラメータはブレークダウン電圧V(BR)DSS、スレッショルド電圧V(GS)TH、オン抵抗RDS(ON)、逆伝達容量CRSS、最大電流IDS(MAX)です。
ボトムMOSFETが電流センス素子として使用される場合、初期変動、ゲート-ソース間電圧の影響、オン抵抗の温度特性に対して、特に注意を払う必要があります。MOSFETのオン抵抗は、ゲート-ソース間電圧が上昇するにつれて減少します。BGDP電圧の変化はボトムMOSFETゲート電圧に影響を与える可能性があります。特定のゲート電圧に対応するMOSFETのオン抵抗に関しては、MOSFETのデータシートをご覧ください。
MOSFETのオン抵抗は、通常、25での最大値RDS(ON)で規定されています。この場合、温度によるMOSFETのオン抵抗の増加に対応するため、マージンの追加が必要です。
RDS(ON) = RSENSE/ρT
アプリケーション情報
LT3740
93740fc
アプリケーション情報
図1. MOSFETのRDS(ON)と温度
ρTの項は正規化係数(25で1)で、温度によるオン抵抗の大きな変化を表し、図1に示すように通常約0.4%/です。100の最大接合部温度の場合、ρT=1.3の値を使用するのが妥当です。
ゲート・ドライブトップ・ゲート・ドライブ電源は、VINよりも約7.8V高いBIASによって供給されます。トップ・ゲート電圧は7.8V
と高く、オン時間が十分長い場合には約5.5Vまで垂下する可能性があります。ボトム・ゲート・ドライブ電源はBGDPピンによって供給されます。ロジックレベル・スレッショルドのMOSFETに十分なゲートドライブ電圧を供給するために、BGDPは7V以上の電圧に接続する必要があります。BGDPはVIN、BIASまたは外部電源に接続可能です。入力電圧が7Vより低い場合、BGDPをBIASに接続して、ロジックレベル・スレッショルドのMOSFETを使用できるようにする必要があります。VINが7Vより高い場合、BGDPをVINに接続してボトム・ゲート・ドライブの電力損失を低減することができます。BGDP電圧が高い場合、内部クランプ回路によってボトム・ゲート・ドライブ電圧を約8Vに制限し、過電圧によるゲートの損傷を防ぎます。
BGDPがVINに接続されている場合、起動時にVINの電圧が緩やかにランプアップすると、BGDPが7Vより低く、回路が動作している状態がかなりの期間続きます。BGDP
の電圧が不十分だと、回路がうまく機能しない恐れがあります。この問題を解決する回路の1つを図2に示します。
TJ – JUNCTION TEMPERATURE (°C)–50
0
R DS(
ON) –
ON
RESI
STAN
CE(N
ORM
ALIZ
ED)
0.4
1.2
0.8
1.6
2.0
–25 0 5025 75
3740 F01
100 125 150
VGS = 10VID = 14A
ツェナー・ダイオードと小型MOSFETによってSHDN電圧がVINよりも約6V低い電圧に制限されます。この回路により、VINが7Vより低くなると、LT3740はシャットダウンします。VINが十分迅速に7Vまでランプアップできる場合には、この回路は不要です。
VINが14Vより高い場合、SWノードでのdv/dtが高く、BGATEを強くドライブすると、余分なノイズが発生し、動作に影響を与えます。図3に示すようにBGATEとボトムMOSFETのゲートの間に1Ω~2Ωの抵抗RBGを接続すると、ノイズを実質的に低減できます。
LT3740は適応型デッドタイム制御を採用して、トップおよびボトムMOSFETのシュートスルーを防止し、デッドタイムを最小限に抑えます。内部でトップMOSFET
オン信号が発生すると、LT3740はBGATEがオフするまでTGATEのターンオンを遅らせます。内部でボトムMOSFETオン信号が発生すると、LT3740はSWノードがグランドまで振幅するまでBGATEのターンオンを遅らせます。インダクタ電流が小さいかまたは負であることによってTGATEがオフした後にSWノードがグランドを下回る電圧に振幅できない場合、TGATEがオフした200ns後にBGATEがオンします。
図2. VIN<7Vの動作を防ぐ回路
図3. ボトムMOSFETのノイズ低減
VIN
SHDN
BGDP
LT3740
2N7002TA
100k
MMSZ52312BS
3740 F02
SW
PGND
BGATE
LT3740
RBGM2
3740 F03
LT3740
103740fc
アプリケーション情報
MOSFETセンスまたは抵抗センスの選択LT3740はボトムMOSFETのオン抵抗と外付けセンス抵抗のいずれかを電流センスに使用することができます。ボトムMOSFETのオン抵抗を使用する利点は、シンプルで高効率であることです。しかし、オン抵抗の変動が大きいMOSFETもあります。前に述べたように、ゲート-ソース間電圧と温度もMOSFETのオン抵抗に影響を及ぼします。これらの要因はインダクタ電流制限の精度に影響します。インダクタの飽和電流には、電流制限の変動をカバーできるほどのマージンが必要です。入力電源が十分な電流制限を備えている場合、コントローラの電流制限の変動が大きくても許容されるかもしれません。負荷が増大して入力電源の電流制限に達すると、入力電圧が大きく低下して、回路内の総電力を制限します。
電流制限の変動を低減するために、ボトムMOSFETのソースとグランドの間にさらに高精度の外付けセンス抵抗を接続することができます。SN+ピンとSN-ピンをこの抵抗の2つの端子に接続してください。
消費電力この結果、MOSFETの消費電力は次のようになります。
PTOP = DTOP • IL2 • RDS(ON),TOP
PBOT = DBOT • IL2 • RDS(ON),BOT
外付けセンス抵抗が使用されている場合、センス抵抗で余分に消費される電力は次のとおりです。
PRS = DBOT • IL2 • Rs
ボトムMOSFETと外付けセンス抵抗の電力損失は、インダクタ電流とボトム・デューティサイクルが最大になる出力短絡時に最も大きくなります。
I2R電力損失の他に、遷移損失とゲートドライブ損失があります。入力電圧およびインダクタ電流とともに増加する遷移損失は、主にトップMOSFETにおいて生じます。この損失は定数k=1.7A-1を使用して、次のように見積もることができます。
遷移損失=k • VIN2 • IL • CRSS • FS
ゲートドライブ損失は、以下に示すように、ゲートドライブ電源電圧、ゲート電圧、ゲート容量とともに増加します。
PGD,TOP = VBIAS • CGS,TOP • VGS,TOP • FS
PGD,BOT = VBGDP • CGS,BOT • VGS,BOT • FS
デューティサイクル制限発振器の各サイクルの開始点で、トップMOSFETがオフし、トップMOSFETの500nsのデューティサイクルでボトムMOSFETがオンします。最大デューティサイクルに達すると、たとえば入力電圧の降下などの理由で、出力電圧が垂下して安定しなくなります。
リップル電流が減少すると、インダクタのコア損失、出力コンデンサのESR損失、さらに出力電圧リップルが低減されます。リップル電流が少ないと、最大効率が得られます。ただし、これを達成するには大きなインダクタが必要です。部品サイズと効率の間にはトレードオフが存在します。
リップル電流を選択するための妥当な出発点はIOUT(MAX)の約30%です。最大VINで最大リップル電流が発生します。
L = 1–
VOUTVIN(MAX)
•
VOUTFS • ∆IL(MAX)
LT3740
113740fc
アプリケーション情報Lの値が分かったら、次にインダクタの種類を選択します。高効率コンバータは一般に低価格の鉄粉コアで生じるコア損失を許容できないので、フェライト、モリパーマロイ、またはKool Mµ®コアを使わざるをえません。高電流、低電圧アプリケーション向けに設計された様々なインダクタをスミダ電気、パナソニック、Coiltronics、Coil-
craft、Tokoなどから入手できます。
ショットキー・ダイオードD1の選択図4に示されているショットキー・ダイオードD1は、パワーMOSFETスイッチの導通期間の間隙に生じるデッドタイムに導通します。これは、デッドタイム中にボトムMOSFETのボディー・ダイオードがオンして電荷を蓄積するのを防ぐためです。 この電荷蓄積はわずかな(約1%)の効率低下を引き起こす可能性があります。このダイオードはデューティサイクルの小部分でだけオンするので、全負荷電流の約1/2の定格でかまいません。このダイオードが効果を発揮するには、このダイオードとボトムMOSFETの間のインダクタンスをできるだけ小さくする必要があるので、これらの部品は必ず近接して配置します。ショットキー・ダイオードのもうひとつの重要な利点は、スイッチング・エッジでのSWノードのリンギングを低減して回路内のノイズを減らし、同時にMOSFETの信頼性を向上させるということです。
CINとCOUTの選択入力コンデンサCINは、トップMOSFETのドレインで矩形波電流をフィルタするのに必要です。最大RMS電流に対応できる大きさの低ESR入力コンデンサを使用します。
IRMS ≈IOUT(MAX) •
VOUTVIN
•VIN
VOUT−1
この式はVIN=2VOUTのときに最大値をとります。ここで、
IRMS = 1
2•IOUT(MAX)
大きく変化させてもそれほど状況が改善されないため、一般にはこの単純なワーストケース条件が設計に使用されます。コンデンサ製造元の規定するリップル電流定格は多くの場合2000時間だけの寿命試験に基づいているので、コンデンサをさらにディレーティングすることを推奨します。
COUTの選択は主に、電圧リップルと負荷ステップ過渡を最小限に抑えるのに必要なESRによって決まります。出力リップル∆VOUTは次式で概算されます。
∆VOUT < ∆lL • ESR+ 1
8 •FS •COUT
∆ILは入力電圧に応じて増加するので、入力電圧が最大のときに出力リップルは最大になります。一般に、いったんESR要件が満たされると、その容量はフィルタリングに対して十分であり、必要なRMS電流定格を有しています。
ESRおよびRMS電流処理要件を満たすには、並列に配置した複数のコンデンサが必要になることがあります。乾式タンタル、特殊ポリマ、アルミ電解、およびセラミックの各コンデンサはすべて表面実装パッケージで入手できます。特殊ポリマ・コンデンサはESRが非常に低いのですが、他のタイプに比べて容量密度が低くなります。タンタル・コンデンサは最高の容量密度を備えていますが、スイッチング電源に使うためにサージテストされているタイプだけを使うことが重要です。アルミ電解コンデンサのESRはかなり高いのですが、リップル電流定格および長期信頼性を考慮すれば、コスト要求の厳しいアプリケーションに使うことができます。セラミック・コンデンサは優れた低ESR特性を備えていますが、電圧係数が高く可聴圧電効果を示すことがあります。トレース・インダクタンスをともなったセラミック・コンデンサはQが高く、大きなリンギングを引き起こすことがあります。入力コンデンサとして使うときは、突入電流とスイッチングによるリンギングによって電源スイッチとコントローラが過電圧にならないように注意を払う必要があります。入力電圧過渡を減衰するために、ESRが0.5Ω~2Ωの5µF~50µFの小型アルミ電解コンデンサを追加してください。
LT3740
123740fc
アプリケーション情報電流制限電流モード・コントローラの最大インダクタ電流は最大センス電圧によって本質的に制限されます。LT3740では、最大センス電圧はRANGEピンによって選択されます。谷電流制御モードでは、最大センス電圧とセンス抵抗によってインダクタの最大許容谷電流が決定されます。これに対応する出力電流制限は次のとおりです。
ILIMIT =
VSN(MAX)
RS+
∆IL2
ILIMIT(MIN)>IOUT(MAX)を満たすように、電流制限値をチェックする必要があります。デューティサイクルが低下するのに従って、最大センス電圧が上がります。MOSFETのオン抵抗を電流センスに使用する場合、仮定されたMOSFET接合部温度と、それに基づくMOSFETスイッチを熱するILIMITの値のあいだに自己矛盾がないかチェックすることが重要です。
グランドへの出力短絡が発生すると、LT3740は最大インダクタ電流と最小デューティサイクルで動作します。実際のインダクタ放電電圧は、ボトムMOSFETのオン抵抗、インダクタのESR、外付けセンス抵抗(使用している場合)、実際の短絡負荷抵抗などの寄生抵抗での電圧降下です。このようなパラメータは変動が大きいので、トップMOSFETのオン時間は入力電圧が同じでもかなり変動する場合があります。入力電圧が高く、寄生抵抗が小さい場合、パルススキップが発生することがあります。
効率に関する検討事項スイッチング・レギュレータのパーセント効率は、出力電力を入力電力で割って100%を掛けたものに等しくなります。個々の損失を解析して、効率を制限する要素がどれであり、また何が変化すれば最も効率が改善されるかを判断できる場合がよくあります。回路内の電力を消費するすべての要素で損失が生じますが、LTC3740の回路の損失のほとんどは主に4つの要因によって生じます。
1. DC I2R損失。これはMOSFET、外付けセンス抵抗、インダクタ、PC基板のトレースのオン抵抗によって生じ、高出力電流で効率を低下させる原因になります。インダクタに平均出力電流が流れますが、トップMOSFET
とボトムMOSFETの間で「こま切れ」にされます。2個のMOSFETのRDS(ON)がほぼ同じ場合、片方のMOSFET
の抵抗にLの抵抗と基板トレースの抵抗を加算するだけでDC I2R損失を求めることができます。たとえば、RDS(ON) = 0.01Ω、RL = 0.005Ωであれば、出力電流が1Aから10Aまで増加すると損失は15mW~1.5Wの範囲になります。
2.遷移損失。この損失はスイッチ・ノードが遷移する間、トップMOSFETが飽和領域に留まる短い時間から生じます。これは、他の要因とともに、入力電圧、負荷電流、ドライバ能力、MOSFET容量に依存します。高入力電圧ではこの損失が大きくなり、次式から推算できます。
遷移損失 = (1.7A–1) • VIN2 • IOUT • CRSS • FS
3.ゲートドライブ損失。前述の式がこの損失の要因を示しています。トップMOSFETでは、オン抵抗を犠牲にすることなくCGSの小さいMOSFETを選択するしかありません。ボトムMOSFETでは、適切なBGDP電圧電源を選択することによってゲートドライブ損失を低減できます。
4. CIN損失。入力コンデンサはレギュレータへ流れる大きなRMS入力電流をフィルタリングするという困難な役目を担っています。AC I2R損失を最小限に抑えるために、このコンデンサはESRが非常に低くなければならず、RMS電流が上流でヒューズやバッテリ内の追加損失を生じさせないように十分な容量を必要とします。
COUT ESR損失、デッドタイム中のショットキー・ダイオードD1の導通損失、インダクタ・コア損失などの他の損失は一般に2%未満の追加損失の原因です。
効率を改善するために調整を行うとき、効率の変化を最も的確に示すのは入力電流です。変更を加えた結果入力電流が減少すれば、効率は向上します。入力電流に変化がなければ、効率にも変化がありません。
LT3740
133740fc
アプリケーション情報
過渡応答のチェックレギュレータのループ応答は負荷過渡応答を見てチェックすることができます。スイッチング・レギュレータは負荷電流のステップに対して応答するのに数サイクルを要します。負荷にステップが生じると、VOUTが直ちに∆ILOAD*(ESR)に等しい量だけシフトします。ここでESR
はCOUTの等価直列抵抗です。∆ILOADはさらにCOUTの充電あるいは放電を開始し、レギュレータがVOUTをその定常値へ戻すために使う帰還誤差信号を生成します。この回復時間の間、安定性に問題があることを示すオーバーシュートやリンギングがないかVOUTをモニタすることができます。図4に示されているVCピンの外付け部品により、ほとんどのアプリケーションに対して適切な補償が実現されます。スイッチング制御ループ理論の詳細については、アプリケーションノート76を参照してください。
昇圧コンバータのインダクタの選択LT3740の昇圧コンバータは、トップMOSFETドライブとほとんどの内部コントローラ回路向けに入力電圧VINよりも約7V高いBIAS電圧を供給します。昇圧コンバータの電流制限値は400mAです。このコンバータでは、100mA~200mAのインダクタ・リップル電流が妥当な設計値です。このことを考慮すると、LT3740のほとんどのアプリケーションでは、22µHまたは47µHのインダクタを推奨します。インダクタはサイズが小さく効率が高いことが重要です。1MHzでコア損失が少なく、DCRが小さいインダクタが適しています。この条件に合ういくつかの小型インダクタを表2に示します。
表2.昇圧コンバータ向けの推奨インダクタ PART NUMbER
DCR (Ω)
CURRENT RATINg (MA)
MANUfACTURER
LQH3C220 0.71 250 Murata 814-237-1431 www.murata.com
ELT5KT-220 0.9 420 Panasonic 714-373-7334 www.panasonic.com
CDRH3D16-220 CR32-470
0.43 0.97
400 330
Sumida 847-956-0666 www.Sumida.com
昇圧コンバータのインダクタ電流は、入力電圧が最低のときに最大になります。MOSFETのCgsが大きくなると、インダクタ電流も増加します。また、BGDPピンをBIASピンに接続すると、インダクタ電流は大幅に増加します。インダクタの飽和電流は最大入力電流をカバーする必要があります。
昇圧インダクタ電流は、入力電圧の上昇に従って減少します。入力電圧が高くなると、昇圧コンバータはパルス・スキップを開始します。これによって低周波数リップルがいくらか生じますが、BIAS電圧は平均的な基準に安定化されたままで、降圧コントローラの動作には影響しません。
入力電圧が10Vよりも高い場合、昇圧インダクタの飽和電流は400mAよりも高くなければなりません。入力電圧が10Vよりも低い場合は、電流定格の低いインダクタを使用できます。インダクタのRMS電流は250mAよりも高くなければならず、インダクタンスは400mAで10µHを下回ってはなりません。
昇圧コンバータのコンデンサの選択セラミック・コンデンサは小型サイズなので、LT3740の昇圧コンバータの出力に最適です。X5RとX7Rのタイプのセラミック・コンデンサは、Y5VやZ5Uなど他のタイプに比べて広い電圧範囲と温度範囲で容量を維持するので推奨します。LT3740の昇圧コンバータの出力には、1µFのコンデンサを推奨します。
表3.推奨するセラミック・コンデンサ・メーカMANUfACTURER PhONE URL
Taiyo Yuden 408-573-4150 www.t-yuden.com
Murata 814-237-1431 www.murata.com
Kemet 408-986-0424 www.kemet.com
設計例設計例として、次の仕様の電源を取り上げます。VIN =7V
~20V (公称15V)、VOUT = 2.5V±5%、IOUT(MAX) =10A。最初に、公称VINで約30%のリップル電流になるようにインダクタを選択します。
L = 2.5V
(300kHz) • 0.3 •10A• 1–
2.5V15V
= 2.3µH
LT3740
143740fc
アプリケーション情報2.0µHの標準値を選択すると、リップル電流は次のようになります。
∆IL = 2.5V
(300kHz) •(2µH)• 1–
2.5V15V
= 3.47A
設定範囲=VIN。最小入力電圧VIN=7Vでの最大電流センス電圧は145mVです。12mΩの外付けセンス抵抗を使用してください。インダクタ電流の谷部分が12Aにクランプされます。VIN=7Vでのリップル電流は2.68Aで、10Aの負荷電流に対して約33%のマージンがあるので、電流センス電圧が最大限に変動してもカバーできます。
電流センスにMOSFETのオン抵抗を使用する場合、Si4840(VGS=7V、θJA=40/WでRDS(ON) = 0.008Ω(公称)、0.0095Ω(最大))を選ぶと、公称センス電圧は次のようになります。
VSN(NOM) = (10A)(1.3)(0.0095Ω) =123mV
電流制限が許容できるかどうかチェックするには、ρ125
= 1.5で、70の周囲温度より約55高い接合部温度を仮定します。:
ILIMIT = 145mV
1.5 • 0.0095Ω+ 2.68A
2= 11.5A
最大負荷電流を使用時のVIN=7VでのMOSFETの仮定されたTJを二重にチェックします。
PBOT = DBOT • IL2 • RDS(ON), BOT
PBOT = 1–
2.5V7V
• 10A( )2 •1.5 •0.0095= 0.92W
さらに、MOSFETの仮定されたTJを二重にチェックします。
TJ = 70°C+(0.92W)(40°C/W) = 107°C
ボトムMOSFETの消費電力は入力電圧の上昇に伴って増加します。VIN=20Vの場合、次のようになります。
PBOT = 1–
2.5V20V
• 10A( )2 •1.5 •0.0095Ω = 1.25W
MOSFETの仮定されたTJを二重にチェックします。
TJ = 70°C+(1.25W)(40°C/W) = 120°C
トップMOSFETにSi4840(CRSS=200pF)を選択し、ρ100 =
1.3で、最大負荷電流時の消費電力をチェックすると次のようになります。
PTOP = 2.5V20V
• 10A( )2 •1.3 •0.0095Ω +17 •(20V)2 •
10A •200pF •300kHz = 0.15W + 0.41W = 0.56W
TJ = 70°C+(0.56W)(40°C/W) = 92°C
この分析から、この回路ではヒートシンクに注意を払う必要があることがわかります。
逆電流コンパレータのマージンをチェックしてください。最大リップル電流は最大入力電圧で生じます。
∆IL(MAX) = 2.5V
300kHz •2µH• 1–
2.5V20V
= 3.65A
無負荷では、最大逆電流電圧は次のようになります。
RS •
∆IL(MAX)
2= 12mΩ •
3.65A2
= 22mV
LT3740
153740fc
アプリケーション情報この値は35mVの逆電流コンパレータ・スレッショルドよりも十分低くなります。
CINには85で約5AのRMS電流定格のものが選ばれています。出力コンデンサは、インダクタ・リップル電流および負荷ステップによる出力電圧の変化を最小にするため、0.005Ωの低ESRのものが選択されています。リップル電圧は次のように小さくなります。
∆VOUT(RIPPLE) = ∆IL • (ESR) = (3.47A)(0.005Ω) = 17mV
ただし、0A~10Aの負荷ステップにより、出力は最大で次のように変化します。
∆VOUT(STEP) = ∆ILOAD • (ESR) = (10A)(0.005Ω)= 50mV
オプションの100µFのセラミック出力コンデンサが内蔵されているので、出力リップルでのESLの影響を最小限に抑えることができます。
VIN=7Vの昇圧コンバータでは、昇圧インダクタ電流は約27mAです。22µHのインダクタと1µFの出力コンデンサを選択してください。
完全な回路を図4に示します。
図4. 設計例:2.5V/10A出力
SWB
VIN
SHDN
100k
100k
1µF
XREF
RANGE
PGOOD
VC
BGDP
BIAS
TGATE
SW
PGND
BGATE
GND
LT3740
SN+
SN–
FB
3740 F04
L12.0µH
CB1µF
VOUT 2.5V10A
VIN7V to 20V
M1Si4840
M2Si4840
RS12mΩ
100µF6.3V
680µF4V
2
CIN100µF35V
L222µH
100k
100pF
18pF
10k
21k
D16CWQ03FN
LT3740
163740fc
アプリケーション情報基板レイアウトの検討事項すべてのスイッチング・レギュレータの場合と同様に、PCB基板のレイアウトと部品配置には細心の注意を払う必要があります。
短くて幅の広い相互接続トレースを使用して電源部品を互いに近づけて配置します。電源部品は、トップMOSFET、ボトムMOSFET、インダクタ、CIN、COUTで構成されています。1つの方法は、これらの部品を基板上に最初に配置することです。
昇圧コンバータを構成する電源部品にも同様の注意が必要です。これらの部品も、短くて幅の広いトレースを使用して互いに近づけて配置しなければなりません。
スイッチング回路の下に必ずグランドプレーンを使用して、プレーン間の結合を防止する必要があります。
大きなスイッチング電流が流れるCIN、MOSFET、D1のループ内の寄生インダクタンスを最小限に抑えます。
MOSFETの冷却力を改善し、EMIを低く抑えるために、スイッチ・ノード(SW)にはコンパクトなプレーンを使用します。
良好な電圧フィルタリングを維持し、電力損失を低く抑えるために、VINとVOUTにはプレーンを使用します。未使用領域は銅で満たし、いずれかのDCノード(VIN、VOUT、GND)に接続することができます。
CBをBIASピンと入力コンデンサの近くに配置します。
高いdv/dtのSW、TG、BGおよびSWBの各ノードは、敏感な小信号ノードから離します。
LT3740
173740fc
標準的応用例高効率降圧コンバータ
効率と負荷電流
SWB
VIN
SHDN
XREF
RANGE
VC
BGDP
BIAS
TGATE
SW
SN+
BGATE
GND
LT3740
SN–
PGND
FB
3740 TA02a
3.4µH
1µF
0.47µF
VOUT3.3V10A
VIN7V to 20V
M1HAT2168H
M2HAT2165H
100µF 3
20µF
22pF
22µH
16k
15k
10k
1500pF22pF 80.6k
255k
2k
1Ω
1Ω
D1B340A1Ω
LOAD CURRENT (A)0
EFFI
CIEN
CY (%
)
90
94
92
98
96
8
3740 TA02b
88
86
84
82
802 4 6 10
VIN = 7V
VIN = 15V
VIN = 20V
VOUT = 3.3V
LT3740
183740fc
2.5V/10A
標準的応用例
効率
SWB
VIN
SHDN
XREF
RANGE
VC
BGDP
BIAS
TGATE
SW
SN+
BGATE
GND
LT3740
SN–
PGND
FB
3740 TA03a
1.05µH
1µF
1µF
VOUT2.5V
VIN4V to 15V
M1HAT2168H
M2HAT2165H
100µF 3
22µF 2
47pF
22µH
7.5k
10k
10k
680pF22pF 46.4k
100k
5.1k
1Ω
1Ω
D1B340A1Ω
LOAD CURRENT (A)0
EFFI
CIEN
CY (%
)
86
94
88
90
92
96
3740 TA03b
84
82
804 62 8 10
VIN = 4V
VIN = 15V
VOUT = 2.5V
LT3740
193740fc
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パッケージ寸法DHCパッケージ
16ピン・プラスチックDFN(5mm×3mm)(Reference LTC DWG # 05-08-1706)
3.00 0.10(2 SIDES)
5.00 0.10(2 SIDES)
NOTE:1. 図はJEDECパッケージ・アウトラインMO-229のバージョンのバリエーション(WJED-1)として提案。2. 図は実寸とは異なる3. すべての寸法はミリメートル4. パッケージ底面の露出パッドの寸法にはモールドのバリを含まない。 モールドのバリは(もしあれば)各サイドで0.15mmを超えないこと5. 露出パッドは半田メッキとする6. 網掛けの部分はパッケージの上面と底面のピン1の位置の参考に過ぎない
0.40 0.10
底面―露出パッド
1.65 0.10(2 SIDES)
0.75 0.05
R = 0.115TYP
R = 0.20TYP
4.40 0.10(2 SIDES)
18
169
ピン1のトップ・マーキング(NOTE 6を参照)
0.200 REF
0.00 – 0.05
(DHC16) DFN 1103
0.25 0.05
PIN 1NOTCH
0.50 BSC
4.40 0.05(2 SIDES)
推奨する半田パッドのピッチと寸法
1.65 0.05(2 SIDES)2.20 0.05
0.50 BSC
0.65 0.05
3.50 0.05
パッケージの外形
0.25 0.05
LT3740
203740fc
LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 2006
LT 0908 REV C • PRINTED IN JAPANリニアテクノロジー株式会社102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-6紀尾井町パークビル8FTEL 03-5226-7291 FAX 03-5226-0268 www.linear-tech.co.jp
関連製品
標準的応用例
製品番号 説明 注釈LTC1778 No RSENSE、降圧同期整流式DC/DCコントローラ VIN:4V~36V、高速過渡応答、電流モード、IOUT ≤ 20A
LTC1876 2フェーズ、デュアル同期整流式降圧スイッチング・ コントローラ
電流モード:チャネル当たり20A
LT3430/LT3431 モノリシック3A、200kHz/500kHz降圧スイッチング・ レギュレータ
VIN:5.5V~60V、0.1Ω飽和スイッチ、 16ピンSSOPパッケージ
LTC3708 No RSENSE、デュアル、2フェーズ同期整流式DC/DC コントローラ
VIN:4V~36V、電流モード、アップ/ダウンのトラッキング、 同期可能
LTC3728L デュアル、2フェーズ同期整流式降圧コントローラ VIN:4V~36V、550kHz、PLL:250kHz~550kHz
LTC3778 広動作範囲のNo RSENSE降圧コントローラ シングル・チャネル、個別のVONプログラミングLTC3824 低消費電流、高電圧、広い入力範囲の
降圧コントローラVIN:4V~60V、IQ=40µA、100%デューティサイクル、 2AのPチャネル・ゲート・ドライブ、10ピンMSOP
高効率降圧コンバータ
SWB
VIN
SHDN
XREF
RANGE
VC
BGDP
BIAS
TGATE
SW
SN+
BGATE
GND
LT3740
SN–
PGND
FB
3740 TA04
3.4µH
1µF
0.47µF
VOUT3.3V10A
VIN7V to 20V
M1HAT2168H
M2HAT2165H
100µF 3
20µF
22pF
22µH
16k
15k
10k
1500pF22pF 80.6k
255k
2k
1Ω
1Ω
D1B340A
1Ω