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独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 2019516調査部 加藤 カンボジアのエネルギー事情と上流開発 について

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独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構2019年5月16日調査部 加藤 望

カンボジアのエネルギー事情と上流開発について

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免責事項

本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。

また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

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本日の報告事項

1. カンボジアの概要

2. カンボジアの鉱区開発1) 監督官庁2) 鉱区設定

3.オフショアBlock A “Apsara”油田開発状況1) Block A開発の歴史2) Apsara油田開発計画3) PSCの財務条件について

4.OCA(Overlapping Claim Area) タイとの境界未画定海域

5.LNG輸入計画

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概要

図1 カンボジア地図 出所: CIA The World Factbook

1. 人口1,600万人、面積は日本の約半分。一人当たりのGDPは約1,500ドル。国連が定める後発開発途上国47カ国のひとつである。

2. 主要産業は、観光、農業および縫製業と製靴業3. 電力アクセス率は向上したが、地方においては十

分行き渡っていない。4. 現在、オンショアもオフショアにおいても石油と天

然ガスの生産は行われていない。5. 石油製品は全量輸入。天然ガスの輸入はない。6. オフショアのBlock A, Apsara Oil Fieldでシンガ

ポールのKrisEnergyが開発中、2017年にFID。2019年末から2020年初頭に掛けて石油の生産開始を目指している。この他探鉱・開発活動は行われていない。

7. 国内情勢は安定しているものの、フンセン首相の在任期間が30年以上に及ぶ。2018年7月の総選挙では、前回総選挙で45%を得票した最大野党のカンボジア救国党が国家転覆の嫌疑で解散させられ、フンセン率いるカンボジア人民党が圧勝。独裁傾向を強めているとの批判がある。

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
日系企業は300社近く進出 2019年は旱魃の影響でメコン川での水力発電に影響。プノンペンにおいても停電が頻発し、ベトナムに急遽送電を依頼している。
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石油・ガス監督官庁

1. 行政組織(主管省庁) 鉱業エネルギー省(MME: Ministry of Mines and Energy)が政策担当機関。 エネルギー総局がエネルギー戦略策定と政策の実施を担当。1998年に石油産

業を育成すべくカンボジア石油庁(CNPA: Cambodian National Petroleum Authority)が創設された。

カンボジアは、1991年に公布された「石油に関する規則」(Petroleum Regulations of 1991)および外国投資法に基づいて、上流開発を行う企業と生産物分与契約(PSC)を締結して開発。

2014年にMMEは新石油法の制定作業に着手、2019年4月に閣議承認。同年に

予定される国内初の石油掘削事業を適正に進めることを視野に入れている。天然ガスに特化した政策は存在しない。また、国営石油会社もない。

2.鉱区設定海上が6鉱区(Block A~F)、陸上が19鉱区設定。タイとの境界未画定海域(OCA: Overlapping Claims Area)が4鉱区(Area1~4、タイ側は8鉱区設定)。現時点での開発対象鉱区は海上3鉱区(A、C、D)、陸上1鉱区だが、Block A(Apsara Oil Field)以外開発の動きは見られない。

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カンボジア鉱区図

図2 カンボジア鉱区図出所 JOGEMC作成

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上流(Block A)開発の歴史

1994年 旧Block III 試掘井Apsara 1 は石油資源開発(JAPEX)によって掘削された。石油の兆候は僅かに見られ(244bod)、同国での最初の炭化水素の発見。

1997年 出光が参入したが翌年退出。1999年 Woodsideが15ヶ月のStudy AgreementをCNPAと合意。探査エリアは、旧

Blocks I, II, III, IV とVIIをカバーするものであった。2001年 WoodsideはBlocks I, II, IIIとIVについてCNPAとPSCの交渉に入ったが締結に

至らず。2002年 Chevron(70%)とMOECO(30%)が6,278km2の鉱区について権益を取得(名

称と区画変更によりBlock Aと呼ばれる)。2005年 ChevronはBlock Aの四本の探鉱井で12-42mの商業的な油層を発見。

API 40度を超える軽質油であった。2010年 KrisEnergyが25%権益をChevronから取得し参入。2014年 KrisEnergyはChevronの残りの権益を取得。カンボジア政府も5%権益を

取得(KrisEnergy52.25%、MOECO28.5%、GS Energy14.25%、CNPA5%)。2017年 KrisEnergyはMOECOとGS Energy(韓国)より権益を取得(同社95%、政府5%)2017年 同社は、Block A内Apsara Fieldの開発フェーズ1、ステージ1AをFID。2019年 4月KrisEnergyは権益の半分をFirm-outする意向を表明。現在のところ

興味を有するE&P会社の存否は不明。開発作業は継続中。

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Block A鉱区開発全体概念

項目/年 2018 2017収入 144,805 140,700純損失 ▲137,232 ▲139,230期末現金 69,336 65,555

表1 KrisEnergy財務状況(単位:US$ ,000)

Phase 1 Apsara 開発Stage1a – 1 platform + 20 生産井

1b-3 platforms + 各20生産井(計60 )1c-3D Seismic + 探鉱井&評価井+ 6

platformsPhase 2 Poul Wai & Basit 開発, 14 platformsPhase 3 Angkea Sel, Rotanak, Bokor & Da開発

22 platforms

図3 Block A 開発概念図出所 KrisEnergy

出所 KrisEnergy Annual Report 2019

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Apsara油田(Phase1)開発状況

KrisEnergyが手がけるBlock Aは、 Khmer Basinに位置し、2回の鉱区一部放棄の後、現在3,083km2である。離岸距離は約120㎞、水深は50m~80m。推定埋蔵量(1P + 2P)は、同社によると3,900万バレルとされる。

開発はフェーズ 1、2 と3から成る。Apsara油田の開発は、フェーズ1で行われる。更に、フェーズ1はStage 1A、1B と1Cに分けられ、現在、1Aが進行中(1つのプラットフォームに20の生産井から成る)。ステージ 1Aでの生産量は、約1万バレル/日と目されている。ステージ1全体では、ピーク時2.5万バレル/日。

現在カンボジアでは10万バレル/日の処理能力を持つリファイナリーが南部で建

設中(フランス植民地時代に建設された小型リファイナリーは内戦で破壊された)。完成は当初の2019年半ばから2022年へと約3年遅れている。但し、このリファイナリーは輸入原油の精製を目的としたもので、API 40度と軽質油の生産を想定しているApsara油田の油性とは合致せず、生産された原油は輸出される。

生産された原油は1.2km離れたFSO(Floating Storage & Offloading) に送られ輸出に向けられる。随伴ガス(可採埋蔵量3.3billion cf)は、パイプライン建設計画がないため圧入されることになる。

KrisEnregy(シンガポール証券取引所上場)の財務状況は8ページの通り。筆頭株主は、Keppel Oil & Gasで39.81%の株式を保有(2019年3月末時点)。

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2009年モデルPSC契約

2009年モデルPSC契約は、以下の条件を備える。ただし、石油法の改訂が近々行われ、合わせてPSCモデル契約も改訂される予定。1. 探鉱期間

Stage1(3年)、Stage2(2年)とStage3(2年)の合計7年間が基本。延長あり。2. 探鉱義務と最低見積費用

Stage1: 200km2の3D震探、一本の探鉱井の掘削 。 見込み費用188万ドルStage2: 200km2の3D震探、二本の探鉱井の掘削 。 見込み費用240万ドルStage3: 200km2の3D震探、二本の探鉱井の掘削 。 見込み費用240万ドル注:最低見積額相当の銀行保証状の差し入れ義務有り。

3. 生産期間: 生産開始より30年4. サインボーナス 30万ドル5. コントラクター取分

・ 石油 3万bbld まで 55%、 3万bbld超過部分 45%・ ガス 60%

6. その他支払 管理費27万2000ドル/年、トレーニング15万ドル/年7. 交渉結果は次ページKrisEnergyの公表資料を参照。2009年のモデル契約よりも政府側に有利になったといわれているが詳細不明。ただし、PSC期間がサインから25年となった。これには探鉱期間が含まれ、モデル契約よりも短縮されている。

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KrisEnergy Block A PSC財務条件

出所KrisEnergyAnnual Report2019

項目 内容 レート

1. Royalty 総生産高に対する比率 12.5%2. PSC期間 生産許可から25年間 2042年8月まで

3. Cost Recovery (コスト回収限度額)生産開始から最初の5年間 85.0%

6年目以降 75.0%4. Contractor 取分 石油 10,000bbld まで 58.0%

10,000bbld~25,000bbld 53.0%25,000bbld超~50,000bbld 48.0%50,000bbld超 38.0%

5. Contractor 取分 ガス 65.0%6. 法人税率 25.0%7. 輸出税 2.0%8. 生産ボーナス なし

9. 余剰利益課税Exess Profit Tax (EPT)*2009年モデル契約にはない税金。Excess Profitは、累積の収入が累積のコストの1.3倍に達したときの超過分。

0.00-1.30 0.0%1.30-1.60 10.0%1.60-2.00 20.0%2.00超 30.0%

10. 年間Surface賃料 US$500/km2 11. カンボジア政府参加率 Ministry of Mines and Energy 5.0%

表2KrisEnergyBlock A PSC財務条件

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タイとカンボジアに跨る未境界画定水域(OCA)

1. OCA タイとカンボジアの境界にどちらの国に資源開発権が帰属するのか画定して

いない水域が存在する。英文ではCambodia-Thailand OverlappingClaim Areas(OCA)と呼ばれる。

OCAの西側Pattani海盆には、タイの主力生産フィールドであるErawan油・ガス田が、また南側には同Bongkotガス田が隣接していることから、東南アジアで潜在的に有望視される未開発エリアである。しかし、境界画定の動きが進んでいないためOCAにおける探鉱開発活動は止まったままである。

未画定水域の面積は、図1の通り広大である(約25,000 km2)。最大水深は120m。CNPAによると資源量は、ガスが11Tcfおよび石油とコンデンセートも相当量あると見積もっている。

両国ともOCAに鉱区を設定しており、メジャーおよび日本等アジアの上流開発企業が両国においてそれぞれ権益を保有している。

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カンボジアとタイのOCAを巡る交渉

2. OCAに関する両国の交渉経緯 1997年11月に両国により”Conditional Petroleum Agreement” (条件付石

油合意書)が締結された。 2001年6月協定書(MOU: Memorandum of Understanding)が締結される。

OCAを北緯11度線で分け、北部を両国で分割し、南部を共同開発水域とする基本合意が得られ、その後具体的な線引きの交渉が行われた。

2008年7月にカンボジア領内北部のタイ国境線近くにあるプレア・ビヘア寺院がユネスコの世界遺産に登録されたことを契機に、同寺院一帯の帰属を巡って両国の関係が悪化。2009年タイ側により上記MOUは一方的にキャンセルされた。

2011年に限定的な武力衝突が起きた。同年9月にタイ首相のインラック・シナワトラらがカンボジアを訪問し紛争解決に向かって動き始め、一旦キャンセルされたMOUをベースにOCA問題に向けた交渉を再開することに原則合意した。

2014年5月タイの軍政下において暫定首相にプラユット・チャンオチャが就任。同年10月カンボジアのプノンペンを訪問、カンボジアのフンセン首相と面会。OCA問題の前進が期待されたが、現在に至っても変化は見られない。

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カンボジア・タイ OCA鉱区設定状況

Overlapping Claims AreasCambodia Thailand

Name of Block Participants Name of Block Participants

Area 1, Blocks XXVII & XXVIII

ConocoPhillips 66.67% Operator, Idemitsu 33.33%

B5, B6

Idemitsu 50%,Chevron 30% Operator,MOECO 20%

Area 2, Blocks XXIX, XXX & XXXI

ConocoPhillips 66.67% Operator, Idemitsu 33.33%

B7, B8, B9Shell, 66.77% Operator,Chevron 33.33%

Area 3, Blocks XXXII & XXXIII

Total 100% Operator B10, B11

Chevron 60% Operator, MOECO 40%

Area 4, Blocks XXXIV & XXXV

CNOOC, RPL (Resourceful Petroleum Limited, Malaysia)*Participating ratios are unknown.

B12Chevron 80% Operator, MOECO 20%

G09/43 PTTEP 100% Operator

B13Chevron 80% Operator, MOECO 20%

表3 OCA鉱区設定状況

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LNG輸入計画(その1)

カンボジアでは、エネルギー政策を見直し、策定中である。その中で、2013年の国家開発戦略では触れられなかったLNGの利用が、今後促進される予定である。以下のLNG利用計画は、CNGC(Cambodian Natural Gas Corporation)が立案し政策に反映されるものと思われる。

1. 短期(2019年~2020年) 2019年 LNG 5,000万m3(約3万5,000トン)をISOタンクをトラックに積載し中

国から輸入。 2020年 LNG 10万トンを輸入。 エンド・ユーザーは、厨房等にて天然ガスを使用するホテルとレストラン等。

2. 中期(2021年~2023年) FSRU をKampong Som湾の沖合い35キロに設置。再ガス化された天然ガス

は海底パイプラインで陸上に建設されるガス火力発電所に送られる。 また、ISOタンクに充填することも可能。 火力発電所は800MW規模だが、第一段階では400MWでスタート。LNG約

55万トンが必要となる。

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LNG輸入計画(その2)

3. 長期(2024年~2029年) Kampong Som 湾内、陸上から8km沖合いに海上LNG再ガス化プラントを建

設する。陸上のガス火力発電所にはパイプラインでガスを輸送する。 海上プラントは、12万m3~17万m3クラスのLNGタンカーが停泊できるバース

を持つ。 湾が遠浅なため、LNGタンカーが入港するためには、31kmの浚渫が必要。

加えて、陸上に接岸できるターミナルの建設も視野に入れている。その場合、青写真によると300万トンのLNG(約42億m3)を輸入できることになる。

また、再ガス化する際に発生する冷熱エネルギーを利用して、穀物、フルーツ、野菜、海産物などを貯蔵する冷凍庫も検討されている。

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参考資料

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一次エネルギーと最終消費

44.4%

38.5%

10.7% 3.6% 2.8%

図4 一次エネルギー

(2015年 石油換算480万トン)

材木及びバイオマス 石油及び石油製品

石炭 水力

電力輸入

カンボジアにおける一次エネルギーと最終消費を示す。プロパンを含むガスは使用されていない。

注:石油及び石油製品の87%は輸送用に使用。バイオマスの内40%は家庭の調理用、40%は木炭に加工され家庭用に使用。

出所 ADB “Cambodia Energy Sector Assessment, Strategy, and Road Map, December 2018”

50.5%36.0%

13.1%

0.4%

図5 カンボジアの最終エネルギー消費

(2015 年 石油換算340万トン)

石油及び石油製品 バイオマス 電気 石炭

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東南アジアの電力事情

図6 東南アジア各国の電化状況(アクセス率)出所 IEA Special Report South East Asia 2017 カンボジアの送電網の整備はJICA等のODAにより、整備されつつある。 発電はIPPに頼り、また発電燃料は輸入に頼るところが大きく、カンボジアの

電力料金はタイの1.4倍のUS$ 0.18/kwhとASEANの中でも高い(鉱業エネルギー省アドバイザー、JICA専門家廣瀬匡一氏2018年3月報告書「カンボジアにおける電力の現状」)

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カンボジアの発電セクター(Cambodia Power Sector)

出所“Cambodian Power Sector Update” VDB Loi(Cambodian Law Firm)

表4 カンボジア発電セクター

発電セクターは、石炭火力とメコン川の水力発電がメインである。Fuel Oilは、

ディーゼル発電である。

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カンボジアの発電所

表5 カンボジア発電所出所 “Cambodian Power Sector Update” by VDB Loi

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<参考資料>

カンボジア・ビジネス難易度(190ヶ国中)

総合ランキング 138

事業の始め易さ 185

建設許可手続 179

電力事情 141不動産登記 124資金調達 22

少数株主保護 110

税金 137海外貿易のし易さ 115契約執行 182破綻処理 79

表6 カンボジ

ア・ビジネス難易度出所 DoingBusiness in 2019 by World Bank

・ 腐敗度(Corruption)Transparency International 2018によれば、カンボジアは180ヵ国中161位にランクされている。

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<参考>プノンペン市街

写真Conference(Cambodia Oil & GasConference & Exhibition;5/7-8)会場のホテルからプノンペン市街を臨む 眼前は、メコン川右岸 人口180万人