イオン化横浜市立大学・高山光男横浜市立大学・高山光男

・・ イオン化とは分子量関連イオンを得ることイオン化とは分子量関連イオンを得ること

・・ いろいろなイオン化法いろいろなイオン化法

・・ 試料の性質に合わせて選ぶイオン化法試料の性質に合わせて選ぶイオン化法

・・ イオン化法とその特徴イオン化法とその特徴

（本内容の無断転載を禁じます）（本内容の無断転載を禁じます） MASSPECSMASSPECS

電子の発見からソフトイオン化開発まで電子の発見からソフトイオン化開発まで

電子の発見電子の発見 J.J.J.J.トムソントムソン

ノーベル物理学賞ノーベル物理学賞(1906)(1906)

同位体の発見同位体の発見 F.W.F.W.アストンアストン

ノーベル化学賞ノーベル化学賞(1922)(1922)

ESIESIのの開発開発 J.B.J.B.フェンフェン ノーベル化学賞ノーベル化学賞(2002)(2002)MALDIMALDIのの開発開発 田中耕一田中耕一

ノーベル化学賞ノーベル化学賞(2002)(2002) MASSPECSMASSPECS

一世紀前の一世紀前のMSMS装置装置ThomsonThomson’’s apparatus for positives apparatus for positive--ray ray reseachreseach (1907)(1907)

2020NeNe2222NeNe

COCO

MASSPECSMASSPECS

イオン化イオン化とフラグメンテーションとフラグメンテーション

質量分離部質量分離部((mm//zz analyzer)analyzer)

検出器検出器

イオン源イオン源(ion source)(ion source)

MMMM+.+.

[M+H][M+H]++

[[M+NaM+Na]]++

[M[M--H]H]--MM--..

種々の分子量関連イオンの生成種々の分子量関連イオンの生成

MASSPECSMASSPECS

イオン化とは分子量関連イオンを得ることイオン化とは分子量関連イオンを得ること

中性粒子

　 M電子付加

ナトリウムイオン付加

プロトン付加

電子放出

プロトン放出

[M+H] +

[M+Na] +

M -.

M +.

[M - H] -

イオン化

[M - H] +

ハイドライド放出

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分子量関連イオンは重要な質量分析情報分子量関連イオンは重要な質量分析情報

凝縮相にある試料を気体状のイオンにするには凝縮相にある試料を気体状のイオンにするにはいろいろなデバイスを使ういろいろなデバイスを使う

気体状のイオン気体状のイオン (gaseous ion) (gaseous ion) を生成させることが大事を生成させることが大事MASSPECSMASSPECS

ハードイオン化とソフトイオン化ハードイオン化とソフトイオン化

熱不安定化合物

電子イオン化

化学イオン化

大気圧化学イオン化

エレクトロスプレー

イオン化

　マトリックス支援

レーザー脱離イオン化

高速原子衝撃

構造不安定化合物

ハードイオン化法 ソフトイオン化法

適当

不適当

場合によって適当

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イオン化デバイスイオン化デバイス

　　 ソ　フ　ト　デ　バ　イ　ス 　 　 ハ　ー　ド　デ　バ　イ　ス

高電界　イオン分子反応　噴霧　マトリックス 加熱　エネルギー照射　粒子衝撃

ESI 　 ・ 　 ・

MALDI ・ ★

FAB ・ 　 ★

APCI 　・ 　・ ★

CI 　 ・ ★

EI ★ ★

MASSPECSMASSPECS

いろいろなイオン化法いろいろなイオン化法

・電子イオン化・電子イオン化 （（EIEI））

・化学イオン化・化学イオン化 （（CICI））

・高速原子衝撃・高速原子衝撃 （（FABFAB））

・マトリックス支援レーザー脱離イオン化（・マトリックス支援レーザー脱離イオン化（MALDIMALDI））

・エレクトロスプレーイオン化・エレクトロスプレーイオン化 （（ESIESI））

・大気圧化学イオン化・大気圧化学イオン化 （（APCIAPCI））

MASSPECSMASSPECS

イオン化法の選択を必要とする化合物の性質イオン化法の選択を必要とする化合物の性質

・加熱に対して不安定・加熱に対して不安定気化する前に熱分解を起こす化合物気化する前に熱分解を起こす化合物

・構造的に不安定・構造的に不安定イオン化操作によって、脱水、脱官能基、異性化反応イオン化操作によって、脱水、脱官能基、異性化反応などを起こす化合物などを起こす化合物

・相対分子質量の大小・相対分子質量の大小イオン化可能な質量に上限がある場合イオン化可能な質量に上限がある場合

MASSPECSMASSPECS

加熱に対して不安定な化合物のためのイオン化法加熱に対して不安定な化合物のためのイオン化法

・高速原子衝撃・高速原子衝撃（（FABFAB））

・エレクトロスプレーイオン化・エレクトロスプレーイオン化（（ESIESI））

・マトリックス支援レーザー脱離イオン化・マトリックス支援レーザー脱離イオン化

（（MALDIMALDI））

MASSPECSMASSPECS

高速原子衝撃法高速原子衝撃法

O

OCH3

C19H38O2 Mr298

メチルステアレートのＦＡＢメチルステアレートのＦＡＢ--ＭＳＭＳ

加熱操作はないが，高速原子（加熱操作はないが，高速原子（5000V5000V）衝撃の影響により，）衝撃の影響により，フラグメントイオンも生成するフラグメントイオンも生成する

MASSPECSMASSPECS

配糖体の配糖体のFABFAB--MSMS

熱分解性の配糖体熱分解性の配糖体 サポニンサポニン ののＦＡＢＦＡＢ--ＭＳＭＳ

熱分解は起こらないが、高速原子による衝撃によりフラグメントイオン熱分解は起こらないが、高速原子による衝撃によりフラグメントイオンが生成し、糖鎖配列の情報が得られるが生成し、糖鎖配列の情報が得られる

MASSPECSMASSPECS

エレクトロスプレーイオン化法エレクトロスプレーイオン化法

+ 3,000 VMASSPECSMASSPECS

タンパク質のタンパク質のESIESI--MSMS

タンパク質研究に欠かせないソフトイオン化法タンパク質研究に欠かせないソフトイオン化法

多価プロトン化分子多価プロトン化分子

馬心筋アポミオグロビン馬心筋アポミオグロビンMASSPECSMASSPECS

マトリックス支援レーザー脱離イオン化法マトリックス支援レーザー脱離イオン化法

O

HO

HO OH

O

HO

HO OH

O

HO

HO OH

337 nm photonH

H

マトリックス結晶マトリックス結晶

試料試料

MASSPECSMASSPECS

タンパク質のタンパク質のMALDIMALDI--TOF MSTOF MS

プロトン化分子プロトン化分子

馬心筋アポミオグロビン馬心筋アポミオグロビンMASSPECSMASSPECS

フラグメントイオンからアミノ酸配列もわかるフラグメントイオンからアミノ酸配列もわかる

↑↑↑↑↑↑↑↑ ↑↑↑↑ ↑↑ ↑↑ ↑↑ ↑↑ ↑↑ ↑↑↑↑

MASSPECSMASSPECS

加熱に対して安定に気化する化合物のためのイオン化法加熱に対して安定に気化する化合物のためのイオン化法

・電子イオン化・電子イオン化 （（EIEI））

・化学イオン化・化学イオン化 （（CICI））

MASSPECSMASSPECS

電子イオン化法電子イオン化法

スペクトルパターンの再現性に優れデータベースに利用可能スペクトルパターンの再現性に優れデータベースに利用可能

sample

M

M+.

e-

MASSPECSMASSPECS

ビタミンビタミンDD3 3 のの EIEI--MSMS

HO

CH3

H3C

H3C

CH3

C27H44O

Mr 384.6

分子イオンもフラグメントイオンも明瞭で構造解析に適する分子イオンもフラグメントイオンも明瞭で構造解析に適するMASSPECSMASSPECS

EI EI マススペクトルはデータベースに利用されるマススペクトルはデータベースに利用される

EI EI マススペクトルのパターンは再現性に優れるため，化合物のマススペクトルのパターンは再現性に優れるため，化合物の指紋としての利用価値がある．しかし，データベース検索の結指紋としての利用価値がある．しかし，データベース検索の結果から得られる化合物候補の最終判定は測定者の目に委ねる．果から得られる化合物候補の最終判定は測定者の目に委ねる．

51

77

105

136

0

50

100

51

77

105

138

0

50

100

51

77

105

136

0

50

100

91

MASSPECSMASSPECS

化学イオン化法化学イオン化法

熱安定だが構造的に不安定な化合物に適する熱安定だが構造的に不安定な化合物に適する

filament

sample

reagent gas

e e

e

ee

e

e

reagent ion

ion-molecule reaction

M

[M+H]+

MASSPECSMASSPECS

メチルステアレートのメチルステアレートのCICI--MSMS

O

OCH3

C19H38O2 Mr298

分子量関連イオンの出現が特徴．フラグメントイオンは少ない．分子量関連イオンの出現が特徴．フラグメントイオンは少ない．

MASSPECSMASSPECS

その他のイオン化法その他のイオン化法

・大気圧化学イオン化法・大気圧化学イオン化法 （（APCIAPCI））

・溶液試料の導入が可能・溶液試料の導入が可能・熱不安定な化合物にも適用可能・熱不安定な化合物にも適用可能・多価イオンは生成しない・多価イオンは生成しない・適用可能な質量は・適用可能な質量は 1,0001,000程度まで程度まで

・電界脱離法・電界脱離法 （（FDFD））

・低極性合成ポリマーから極性化合物まで適用可能・低極性合成ポリマーから極性化合物まで適用可能・タンパク質のイオン化は困難・タンパク質のイオン化は困難・操作には熟練が必要・操作には熟練が必要

MASSPECSMASSPECS

大気圧化学イオン化法大気圧化学イオン化法

ＥＳＩと似た噴霧イオン化法であるが，溶液試料を強制的にＥＳＩと似た噴霧イオン化法であるが，溶液試料を強制的に加熱噴霧するため，熱に不安定な化合物は分解することが加熱噴霧するため，熱に不安定な化合物は分解することが

ある．イオン化は化学イオン化と似ている．ある．イオン化は化学イオン化と似ている．MASSPECSMASSPECS

電界脱離電界脱離 (FD)(FD) 法法

加熱と高電界を利用したイオン化加熱と高電界を利用したイオン化

+ 10kVMASSPECSMASSPECS

試料導入法と試料の形態・量試料導入法と試料の形態・量 （ＧＣ（ＧＣ とと ＬＣ）ＬＣ）

試料導入とイオン化法の関係試料導入とイオン化法の関係

１．直接導入１．直接導入 (direct inlet, direct infusion)(direct inlet, direct infusion)

・固体・固体//結晶試料結晶試料 (EI, CI, FD, MALDI)(EI, CI, FD, MALDI)

・液体試料・液体試料 (FAB, ESI, APCI)(FAB, ESI, APCI)

２．クロマトグラフ導入２．クロマトグラフ導入

・ガスクロマトグラフ・ガスクロマトグラフ (EI, CI)(EI, CI)

・液体クロマトグラフ・液体クロマトグラフ (ESI, APCI, FAB)(ESI, APCI, FAB)

・キャピラリー電気泳動・キャピラリー電気泳動 (ESI, APCI)(ESI, APCI)

MASSPECSMASSPECS

直接導入における試料量と濃度直接導入における試料量と濃度

・固体・固体//結晶試料結晶試料

EIEI：： １１μμｇｇ 程度程度

CICI：： １１μμｇｇ 程度程度

MALDIMALDI：： １１pmolpmol 程度程度 in 1in 1μμL of matrix solutionL of matrix solution

・液体試料・液体試料

FABFAB：： １～１０１～１０μμｇｇ 程度程度 in 5in 5μμL of matrixL of matrix

ESIESI：： １１pmol/pmol/μμLL 程度程度 (100(100μμL)L)

APCIAPCI：： １～１０１～１０pmol/pmol/μμLL 程度程度 (100(100μμL)L)

MASSPECSMASSPECS

クロマトグラフ導入クロマトグラフ導入

・ガスクロマトグラフ・ガスクロマトグラフ (EI, CI)(EI, CI)

・液体クロマトグラフ・液体クロマトグラフ (ESI, APCI, FAB)(ESI, APCI, FAB)

・キャピラリー電気泳動・キャピラリー電気泳動 (ESI, APCI)(ESI, APCI)

MASSPECSMASSPECS

イオン化の目的は，質量分析情報としての分子量イオン化の目的は，質量分析情報としての分子量関連イオンを得ること関連イオンを得ること

いろいろな分子量関連イオンとその名称いろいろな分子量関連イオンとその名称

MASSPECSMASSPECS