オリンピック・パラリンピックの 食材の調達 -...
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オリンピック・パラリンピックの食材の調達
平成29年2月
生産局 農業環境対策課
資料9
2020年東京大会開催基本計画における飲食の位置付け等
第4章 大会を支える機能(ファンクショナルエリア)
飲食(FNB)
1.ミッション(Mission)東京2020大会期間中において、各クライアントの持続可能な飲食サービスへのニーズを満たすために必要な計
画を策定及び実行し、最高レベルの品質を確保する。また、多様性と調和に配慮した飲食提供とともに日本食の質の高さをアピールし、未来へと継承する。
2.主要目標(Key Objects)(抜粋)・ 持続可能性FA、清掃・廃棄物FA、調達FA等と緊密な連携をとり、廃棄物の排出量をできる限り削減し、持続可能で環境に優しい食料を使用する取組を実行すること。
「東京2020大会開催基本計画(抜粋)」(2015年2月大会組織委員会)
・ 東京大会における食材の調達基準は組織委員会が決定。
・ 現在、東京大会組織委員会においては、選手村等大会関係施設で提供される食材も含めた物品・サービス全般に係る調達の基準を検討中。
(参考)調達基準策定後
ロンドン大会では、組織委員会がケータリング業者を入札にて決定し、これらの業者は組織委員会が定めた調達の基準に従って食材を調達し料理を提供。
東京大会における食事提供への道行き
オリンピック・パラリンピックにおける食材の調達
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2012年ロンドン大会における食材の調達基準(※1)
ビジョン:「競技者のため、美味しく、健康的で、環境に優しい大会」安全で衛生的な食の確保(食の安全、トレーサビリティ、汚染リスクの管理)
選択とバランス(多様な文化圏への対応、等)原料調達とサプライチェーン(意欲的・環境保全的・倫理的・動物福祉的な基準、等)
環境マネジメント(エネルギー・水供給の効率化、ゴミの低減、等)
能力と教育(大会スタッフの教育、等)
種 類 ベンチマーク水準(注) 意欲的水準
農産品
英国産品・レッドトラクター認証・高品質
・有機農産物
輸入品・トレーサビリティの確保・フェアトレード
・倫理的な取引、調達・GLOBALG.A.P.
畜産品
英国産品 ・レッドトラクター認証等・有機
輸入品・トレーサビリティの確保・フェアトレード
・倫理的な取引、調達
水産品
英国産品 FAO「責任のある漁業のための行動規範」に合致したもの(MSC認証含む)
・高い福祉基準による養殖魚・持続可能な餌による養殖
輸入品
レッドトラクターについて
英国の農業者団体が運営する認証制度。英国産農畜産物の栽培・飼養から流通・加工・包装・販売までの一連の過程を高度な管理基準で保証。
英国内の農業者の70~95%(品目により異なる)が加盟、農畜産物の80%以上をカバー。
○2012年ロンドン大会、2016年リオ大会の食材の調達基準の概要
2016年リオ大会における食材の調達基準(※2)
ブラジルの法令を遵守した業者からの調達
少年労働の排除など労働実務に合致する業者からの調達
トレーサビリティシステムを備えること
持続可能な生産工程管理を行う生産者からの調達
【一般原則】
ブラジル有機基準の認証を受けたオーガニック産品の購入優先
レインフォレストアライアンス、その他の環境基準や社会基準の認証を受けた製品の購入を優先
食品の供給業者の優先順位は1)州内業者、2)ブラジル国内業者、3)南米業者、4)国際業者
【努力目標】
オリンピック・パラリンピックにおける食材の調達
※1 食事の提供方針や食材の調達基準を内容とする「Food Vision」(2009年12月ロンドン大会組織委員会)より抜粋。※2 食事の提供方針や食材の調達基準を内容とする「Taste of The Games」(2014年10月リオデジャネイロ大会組織委員会)より抜粋。
(注)表にある基準又は同等性を示すことのできる水準を達成しなければならない。
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8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月以降
パブリックコメント
調達コード第1版の策定
(食材の調達基準含む)
調達WG
(とりまとめ)
共通事項の検討
食材(農・畜・水産物)の調達基準の検討
調達WGを適宜回開催
紙その他の調達基準等
※上記スケジュールは目安であり、検討の状況に応じて変更する場合がある。
必要に応じて適宜改定
「持続可能性に配慮した調達コード」の検討スケジュールについて(案)
パブコメ結果の集約 組織委員会内の意思決定プロセス
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「持続可能性に配慮した調達コード」(案)の概要について
組織委員会は、持続可能性に関する取組の一つとして、「持続可能性に配慮した調達コード」を策定・運用することとしており、2016年1月に「基本原則」を公表。
調達コードにおいては、持続可能性の観点から全ての物品・サービス等に共通して適用する基準や運用方法等を定めるとともに、必要に応じて物品別の個別基準を設定することを検討。
主な項目 内容
共通事項
適用範囲 組織委員会が調達する全ての物品・サービス及びライセンス商品
調達における持続可能性の原則
組織委員会は、大会に必要な物品・サービス等の調達に当たり、以下の4点を重視する。①どのように供給されているのか ③サプライチェーンへの働きかけ②どこから採り、何を使って作られているのか ④資源の有効活用
持続可能性に関する基準
組織委員会が調達する物品・サービス等に関して、以下の事項をサプライヤー、ライセンシー、それらのサプライチェーンに求める。<全般> 法令遵守 <労働> 児童労働の禁止 等<環境> 省エネ、3Rの推進 等 <経済> 公正な取引慣行、地域経済の活性化 等<人権> 差別・ハラスメントの禁止 等
担保方法調達コードの実効性を確保するための、コミットメント、サプライチェーンへの働きかけ、
取組状況の説明、モニタリング、改善措置等について規定
苦情処理システム 調達コードの不遵守に関する苦情等を処理する仕組みを設置
物品別の個別基準
重要な物品・サービス等やその原材料等については個別に調達基準や確認の実施方法等を設定。<対象> 木材(策定済)、農産物、畜産物、水産物、
紙(今後検討)、パーム油(今後検討) 5
持続可能性に配慮した農産物の調達基準(案)(概要)
《農産物》
サプライヤー(ケータリング事業者等)
<国産優先>(国内農業の振興とそれを通じた農村の多面的な機能の発揮等への貢献を考慮)
主要な原材料である農産物が本基準を満たすものを、可能な限り優先的に調達
<要件>
① 食材の安全を確保するため、農産物の生産に当たり、日本の関係法令等に照らして適切な措置が講じられていること。
② 周辺環境や生態系と調和のとれた農業生産活動を確保するため、農産物の生産に当たり、日本の関係法令等に照らして適切な措置が講じられていること。
③ 作業者の労働安全を確保するため、農産物の生産に当たり、日本の関係法令等に照らして適切な措置が講じられていること。
(生鮮食品)
加工
<推奨される事項>
(要件①~③を満たすもの)ア JGAP Advance、
GLOBALG.A.P.、
組織委員会が認める認
証スキーム
イ 「農業生産工程管理(GAP)の共通基盤に関するガイドライン」に準拠したGAP かつ 都道府県等公的機関による第三者の確認
(海外産で、上記要件の①~③の確認が困難な場合)
組織委員会が認める持続可能性に資する取組に基づき生産され、トレーサビリティが確保されているものを優先
<国産を優先的に選択>(国内農業の振興とそれを通じた農村の多面的な機能の発揮等への貢献を考慮)
・有機農業により生産された農産物・障がい者が主体的に携わって生産された農産物
・世界農業遺産や日本農業遺産など国際機関や各国政府により認定された伝統的な農業を営む地域で生産された農産物
(加工食品)
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持続可能性に配慮した畜産物の調達基準(案)(概要)
《畜産物》
サプライヤー(ケータリング事業者等)
<国産優先>(国内農業の振興とそれを通じた農村の多面的な機能の発揮等への貢献を考慮)
主要な原材料である畜産物が本基準を満たすものを、可能な限り優先的に調達
(生鮮食品)
加工
<推奨される事項>
(要件①~④を満たすもの)ア JGAP、
GLOBALG.A.P.、
組織委員会が認める認
証スキーム
イ 「GAP取得チャレンジシステム」に則って生産され、第三者により確認を受けていることが示された畜産物
(海外産で、上記要件の①~④の確認が困難な場合)
組織委員会が認める持続可能性に資する取組に基づき生産され、トレーサビリティが確保されているものを優先
<国産を優先的に選択>(国内畜産業の振興とそれを通じた農村の多面的な機能の発揮等への貢献を考慮)
・有機畜産により生産された畜産物・障がい者が主体的に携わって生産された畜産物
・放牧畜産実践農場で生産された畜産物
<要件>① 食材の安全を確保するため、畜産物の生産に当たり、日本の関係法令等に照らして適切な措置が講じられていること。
② 環境保全に配慮した畜産物生産活動を確保するため、畜産物の生産に当たり、日本の関係法令等に照らして適切な措置が講じられていること。
③ 作業者の労働安全を確保するため、畜産物の生産に当たり、日本の関係法令等に照らして適切な措置が講じられていること。④ 快適性に配慮した家畜の飼養管理のため、畜産物の生産に当たり、アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針に照らして適切な措置が講じられていること。
・農場HACCPの下で生産された畜産物
・エコフィードを用いて生産された畜産物
(加工食品)
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持続可能性に配慮した水産物の調達基準(案)(概要)
《水産物》
サプライヤー(ケータリング事業者等)
<国産優先>(国内農業の振興とそれを通じた農村の多面的な機能の発揮等への貢献を考慮)
主要な原材料である水産物が本基準を満たすものを、可能な限り優先的に調達
<要件>
① 漁獲又は生産が、漁業関係法等に照らして、適切に行われていること。
② 【天然水産物】科学的な情報を踏まえ、計画的に資源管理が行われ、生態系の保全に配慮されている漁業によって漁獲されていること。
③ 【養殖水産物】科学的な情報を踏まえ、計画的な漁場環境の維持・改善により生態系の保全に配慮するとともに、食材の安全を確保するための適切な措置が講じられている養殖業によって生産されていること。
④ 作業者の労働安全を確保するため、漁獲又は生産に当たり、関係法令等に照らして適切な措置が講じられていること。
(生鮮食品)
加工
(海外産で、上記要件の①~④の確認が困難な場合)
組織委員会が認める持続可能性に資する取組に基づき漁獲または生産され、トレーサビリティが確保されているものを優先
<国産を優先的に選択>(国内水産業の振興とそれを通じた漁業・漁村の多面的な機能の発揮等への貢献を考慮)
(要件①~④を満たすもの)ア MEL、MSC、AEL、ASC、FAOのガイドラインに準拠したも
のとして組織委員会が認める認証
スキーム
イ 資源管理に関する計画であって、
行政機関による確認を受けたもの
に基づいて行われている漁業によ
り漁獲され、かつ、要件④につい
て確認されているもの
ウ 漁場環境の維持・改善に関する計
画であって、行政機関による確認を
受けたものにより管理されている養
殖漁場において生産され、かつ要
件④について確認されているもの
エ その他要件①~④を満たすことが
確認されているもの
(加工食品)
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