フラットベットスキャナーを用いた - 株式会社ベリ...
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フラットベットスキャナーを用いたEBT3フィルム平坦度補正法
1) 日本医科大学付属病院
2) アールテック有限会社
〇 谷越雅幸 1) 宮沢正則 2)
フィルムを使用した線量分布解析では、フィルムの濃度を正確に読み取る
必要がある。
フラットベッドスキャナーを使用した場合、読み取り精度を低下させる位置
依存性と濃度依存性の補正が必要である。
改善する試みはいくつかの報告があるが、従来の方法はスキャンの主走査
方向のみの補正であった。
今回、副走査方向についても補正を行う手法を考案したので発表する。
はじめに
各ピクセル位置に、既知の線量でえられた濃度を読み取る。
さらに異なる濃度の情報を加え、ピクセル位置ごとの濃度-線量変換テーブル
を作成する。
平坦度補正を行う解析用フィルムは、読み込まれたピクセル位置ごとに、濃度
-線量変換テーブルをルックアップし、濃度プロファイルが線量プロファイルに
変換される。
3次元補方法の原理
2D Calibration 3D Calibration1D Calibration
3次元補方法の原理
3次元補方法の原理
ピクセルサイズ 682 X 526
0 10 30 40
Point A
X
Y
682 ピクセル
0
526ピクセル
ピクセルサイズ 682 X 526 の濃度テーブルを作成する
3次元補方法の原理と2点校正法
Point A
X
Y Point A
X
Y
0 10 30 40
0.92
0.93
0.94
0.95
0.96
0.97
0.98
0.99
1
1.01
0.0 5.0 10.0 15.0
最大
値で正規化した光学濃度
主走査方向の光学濃度
0MU
25MU
50MU
100MU
200MU
300MU
400MU
補正目標
CCDからの距離 (cm)
0.92
0.93
0.94
0.95
0.96
0.97
0.98
0.99
1
1.01
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0
最大
値で正規化した光学濃度
副走査方向の光学濃度
0MU
25MU
50MU
100MU
200MU
300MU
400MU
補正目標
CCDからの距離 (cm)
フラットベッドスキャナー ES-G11000でEBT3フィルムをスキャンしたプロファイル
平坦度補正用キャリブレーション試料作成
焦点-フィルム間距離 100cm深度 固体ファントーム 10cm照射野サイズ 30cm×30cm照射MU 25 , 50 , 100 , 200 , 300 , 400 MU
読み取り ( 無照射フィルムを含め 7 枚 )
照射後 3 時間後
解像度 72 DPI 48 bit 3 チャンネル
補正 Red/Blue読み取りサイズ 682 X 526 ピクセル
読み取り方向 横置き
濃度線量変換用キャリブレーション試料
焦点-フィルム間距離 100cm深度 固体ファントーム 10cm照射野サイズ 30cm×30cm照射MU 200 MU
読み取り ( 無照射フィルムを含め 2 枚 )
照射後 : 3 時間後
解像度 72 DPI 48 bit 3 チャンネル
補正 Red/Blue読み取りサイズ 682 X 526 ピクセル
読み取り方向 横置き
目的
3次元補正法と、平坦度補正を行わない場合の
線量分布の解析結果から、新法の有効性を実証する。
フィルム Gafchromic EBT3 (ASHLAND)
スキャナ ESG-11000G (Epson)
フィルム解析ソフト DD-IMRT Ver.12.32 (R-TECH)
フィルム読み取りソフト R-Scan-3D Ver3.2 (R-TECH)
2次元半導体検出器 MapCECK2 (SunNuclear)
ファントム Tough water WD-type (京都科学)
Quasar Verification PhantomⅡ
(Modus)
医療用直線加速器 Synergy Agility (Elekta)
治療計画装置 Pinnacle Ver9.10 (Philips)
使用機器
方法
比較用テストパターン
長方形 20cm×16cm
逆ピラミッド型 5 ステップパターン
線量分布の比較
1. 治療計画装置で計算させた線量分布
γ解析
2 2次元半導体検出器で測定した線量分布
Dose Differenceの比較
RTPSとの比較 長方形
補正あり 補正なし
赤線 RTPS プロファイル
青線 EBT3 プロファイル
RTPSとの比較 逆ピラミッド
補正あり 補正なし
赤線 EBT3 プロファイル
青線 RTPS プロファイル
2次元半導体検出器との比較 長方形
補正あり 補正なし
青線 半導体検出器 プロファイル
赤線 EBT3 プロファイル
2次元半導体検出器との比較 逆ピラミッド
補正あり 補正なし
赤線 EBT3 プロファイル
青線 半導体検出器 プロファイル
補正あり 補正なし
2次元半導体検出器との比較 長方形
赤線 EBT3 プロファイル
青線 半導体検出器 プロファイル
補正あり 補正なし
2次元半導体検出器との比較 逆ピラミッド
赤線 EBT3 プロファイル
青線 半導体検出器 プロファイル
結果
RTPS VS EBT3 γ 3 % ,3mm <1% 閾値 50 – 100 %
長方形 補正あり 96.54 % 補正なし 55.7 %
逆ピラミッド 補正あり 95.98 % 補正なし 88.9 %
半導体検出器 VS EBT3 Dose Difference < 2% 閾値 30 – 100 %
長方形 補正あり 71.8 % 補正なし 34.3 %
逆ピラミッド 補正あり 51.0 % 補正なし 31.9 %
RTPSとの比較 全頚部プラン
補正あり 補正なし
補正あり 補正なし
RTPSとの比較 全頚部プラン
補正あり 補正なし
RTPSとの比較 全頚部プラン
頚部プラン検証 補正あり 補正なし
γ 3 % ,3mm <1% 91.47 % 69.38 %
Average γ 0.454 % 0.477 %
Dose Difference <2 % 71.93 % 45.99 %
考察
照射野辺縁部の濃度が高い傾向があったが、キャリブレーションフィルム取得時
のSFDが、100 cmと短く、ビームプロファイルの平坦な領域が狭かったため、平坦度
補正に影響が出たと思われる。
フラットベットスキャナーは、副走査方向にも濃度依存性がある為、主走査方向
のみの補正と比較し、副走査方向補正ぶんの精度は向上するものと考えられる。
3次元補正では、各ピクセルの濃度曲線に対してB‐spline補間している為、近似
多項式から補正係数を求めている2次元補正法と比較し、ノイズによる影響により
精度がやや低下する可能性がある。
EBT3フィルムによる線量解析の精度を向上させるために
平坦度補正用試料 SFDをできる限り大きくとり平坦なビームで照射
R-Scanの平坦度補正の設定は、補正用試料の読み取り濃度を完全な平坦に変換
補正用試料作成の際には、平坦な領域での照射が、フィルム辺縁部の精度を向上
過剰なデータは、ノイズの要因とならないか
RTPS 2 mm グリッドPlaner Dose 1 mmスキャナー読み取りサイズ 72 DPI ( 0.35 mm ) or 50 DPI ( 0.508 mm )
解析に必要な空間分解を維持しつつノイズの低下する組み合わせを選択
ユーザが工夫できること
1.補正用の基準のプロファイルデータを取得する。完全な平坦なプロファイルを得ることは不可能
2.読み取り時のトレンドを正確に抽出できる、Lowpassフィルタの使用
ソフトの機能にもとめられること
試料読み取り時の 急峻な線量分布解析にも対応できるよう、
ノイズ成分のみを除去するフィルタが必要。
補正用試料の読み取り
検証用フィルムの読み取り
パワースペクトルからノイズ成分を分析し、フィルターの周波数設定を最適化できれば、さらに解析精度が向上するのではないか。
今後の展開
結論
フィルム全面の濃度補正が可能となり、平坦度補正しない場合に
比較し、良好な結果が得られた。