トップアスリートのセカンドキャリア開発 支援システムの構築に … ·...

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平成22・23・24年度 科学研究費補助金 基盤(B) 課題番号:22300215 トップアスリートのセカンドキャリア開発 支援システムの構築に関する研究 <成果報告抄録集> 研究代表者  吉田  章 研究分担者  菊  幸一 高橋 義雄 山口  香 渡部 厚一 研究員  平田しのぶ 木路 修平 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 スポーツ健康システム・マネジメント専攻

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平成22・23・24年度科学研究費補助金 基盤(B)課題番号:22300215

トップアスリートのセカンドキャリア開発支援システムの構築に関する研究

<成果報告抄録集>

研究代表者  吉田  章

研究分担者  菊  幸一

       高橋 義雄

       山口  香

       渡部 厚一

  研究員  平田しのぶ

       木路 修平

筑波大学大学院 人間総合科学研究科スポーツ健康システム・マネジメント専攻

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< 目 次 >

1 .はじめに……… 吉田  章

2.課題設定の背景……… 吉田  章

3.トップアスリートのキャリア認識に関する調査報告……… 吉田  章

4.トップアスリートのセカンドキャリア「問題」の構造ととらえ方……… 菊  幸一

5.日本人エリートサッカー選手の国際移籍とアスリート教育……… 高橋 義雄

6.女性トップアスリートの特徴とセカンドキャリアにおける課題……… 山口  香

7.スポーツキャリア形成過程における職業社会に通用する付加的能力に関する検討 ……… 渡部 厚一

8.トップアスリートの能力と評価の把握……… 平田しのぶ

9.トップアスリートのセカンドキャリア支援に向けたスポーツ統括組織(NF)の実態調査 ……… 平田しのぶ

10.陸上競技男子オリンピック代表選手のキャリア形成に関する調査……… 木路 修平

11.おわりに……… 吉田 章

(資料)Top Athlete Career Support H.P.サイトマップ   サイト名:Top Athlete Career Support   URL:<http://tacs.tsukubauniv.jp/tacs/>

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はじめに

研究代表者 吉田 章

 筑波大学大学院人間総合科学研究科スポーツ健康システム・マネジメント専攻では、2003年 4 月に開設されて以来、高度専門職業人のリカレント教育と、これに関する研究プロジェクトを積極的に推進してきた。とりわけ、本テーマである「トップアスリートのセカンドキャリア」をめぐる問題については、スポーツプロモーションコースの教員を中心に2005〜2007年度の三年間にわたり、「トップアスリートのセカンドキャリア支援教育のためのカリキュラム開発」をテーマとした研究成果をすでに公表してきた。 そこでは21世紀の我が国のスポーツを方向付ける「スポーツ振興基本計画」に基づき、競技者が安心して競技に専念できる環境整備の一つとしてあげられた“トップレベルの競技者に対するセカンドキャリア支援の充実”に着目し、 1)キャリア問題に関する国内外の基礎研究の収集と分析、 2)セカンドキャリアに関する研修プログラムとしてのカリキュラム開発、 3)一貫指導から特定強化そしていずれ訪れる引退の時期とその後を見据えた経過の中でどのように位置付けるかといったシステム・デザインの三つの観点から取組み、この問題に関する基本的な理論構築を行った。その後、科学研究費の支援を受けて研究を発展させ、トップアスリートの具体的実態に対応したセカンドキャリア開発システムの構築を目指して研究を推進してきた。 今回の研究では、先の研究から更に時節を経過した今日、新たに制定された「スポーツ基本法」第25条 2 項に基づき、スポーツ立国戦略やスポーツ基本計画においても触れられている「トップアスリートのセカンドキャリア」問題について国際比較すると共に、トップスポーツの社会的・文化的価値を今後さらに向上させるための長期的ヴィジョンのもとでこの問題を考え、併せてトップアスリート個人の具体的な課題をとらえると共に、セカンドキャリア開発のシステムをデザインすることを目的とした。 経済状況や人口動態ならびに科学技術が大きく変化している現代において、キャリアマーケットも時々刻々と変化し、ハローワークからワンストップサービスへ、そして最近ではインターネット上でのリクルートサービスが積極的に活用される時代となった。本研究において構築を目指すシステムも、Web上におけるアスリートのためのキャリアサービスポータルサイトをその究極の形としてとらえている。従って、本研究の成果報告についてもインターネット上での公開を行うこととした。本冊子は、HPサイトへの案内として研究報告の抄録レベルでまとめたものである。この冊子を手がかりとして、インターネット上での成果の確認を行っていただくことをお願い致します。

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課題設定の背景

研究代表者 吉田 章

 2000年 9 月に文部省が示した「スポーツ振興基本計画」は、21世紀における我が国スポーツの振興と興隆に大きな影響を与えた。そこではオリンピック競技におけるメダル倍増計画が示され、その著しく高度化した競技レベルを維持・発展させていくために、競技者の早期養成と一貫した競技能力開発の意義が述べられている。しかし、それはアスリートに対して言わばスポーツ漬けの生活をこれまで以上に強いることを意味し、結果的にはアスリートの競技引退後における社会生活への適応を困難なものとし、彼らの長期的なライフデザインに対して大きな問題を引き起こすことをも同時に意味している。 既にこのようなトップアスリートのセカンドキャリア問題は、アマチュアスポーツ界に限らずプロスポーツ界においてもより一層深刻な事態として受けとめられている。そして、これまでこのような問題に対するテーマはトップアスリートの再就職問題として取り上げられ、あたかも彼らのスポーツキャリアが一般社会における再就職にとっていかにマイナスに働くのかということを前提にした個人的視点から取り上げられることが多かった。 しかし、国家的な競技力向上プロジェクトの中でそのような問題が引き起こされているとすれば、それはトップアスリート自身の個人的な問題ではなく、そのような仕組と評価を生み出す極めて社会的な問題であるという見方が必要であり、またスポーツキャリア自体の社会文化的な評価をいかに高め、セカンドキャリアに求められる資質・能力としてこのキャリアがいかに肯定的に評価されるのかという論拠と方法論に関する学術的課題となり得るものである。すなわち、トップアスリートが生み出す成果(メダル獲得等)を支えるファーストキャリアを、彼ら自身のセカンドキャリアに向けて肯定的に評価する総合的なシステムを構築し、トップアスリートを通したスポーツキャリア自体の価値に対する社会的汎用性を開発することは、国家的なスポーツ課題であると同時に、それを実現するための具体的な支援システムモデルを構築することが求められている。 既に平成17〜19年度の 3ヶ年にわたり「トップアスリートのセカンドキャリア支援教育のためのカリキュラム開発」というテーマのもと、わが国のセカンドキャリア問題の特殊性に対応するファーストキャリアからのカリキュラム開発の考え方とその内容、及びこれを実現するためのシステム作りについて検討を重ねてきた。しかし、この間の研究成果については、わが国独自のカリキュラム開発の考え方と、そのシステムの青写真についてはある程度明らかにすることができたものの、それに対する企業や社会からの評価や、スポーツキャリア全体に対するさらなる肯定的な評価を生み出すための具体的なシステム・ネットワークのあり方、あるいはその社会的な運用という点では未だに多くの学術的論拠や検証が不足しており、課題を残した状態にあると言わざるを得ないところから、その将来的解決を目指して改めて本課題に取り組んだ。

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トップアスリートのキャリア認識に関する調査報告

研究代表者 吉田 章木路 修平  田中 和弘(研究協力者)

【はじめに】 今日、トップスポーツにおける競技活動の形態が多様化し、かつ競技レベルの高度化及び急激な企業経営環境の変化等の影響を受け、「セカンドキャリア」問題があらゆるアスリートに顕在化する可能性が危惧されている。そこで、都内にあるスポーツマネジメント会社に所属するオリンピック代表選手を含んだ現役及び元アスリート22名を対象として、競技活動中から競技引退後におけるキャリア関する認識についての質問紙調査を行い、彼らの競技環境及び実績とキャリアに対する認識との関連を整理することにより、我が国のトップレベルアスリートを対象とするキャリアサポートについての手掛かりを得ることを目的とした。 調査内容は、 1)パーソナルデータ、 2)競技に関する実績、 3)競技活動中のキャリアに対する認識、 4)競技活動終了後のキャリアに対する認識、以上の 4 項目に基づく16設問を設定した。【結果及び考察】① 大部分のアスリートが、競技引退後に競技の普及や競技を通しての社会貢献を何らかの手段で行いたいという目標を持っていた。② 大部分のアスリートが、経済的な要因を主とした引退後の不安を抱えていた。③ 大部分のアスリートが、関係する情報の少なさや現役中に引退後について考えることに対する抵抗感から、セカンドキャリアに対する準備を行っていなかった。④ 大部分のアスリートが、競技を継続することよりも、競技経験をセカンドキャリアにリンクさせて引退後の仕事に活かすことを望んでいた。⑤ 競技経験から得た仕事に活かしたい能力としては、「向上心」、「行動力」が高い値を示した。⑥ 大部分のアスリートが、セカンドキャリアの職種として「指導職」を希望していた。【まとめ】 これら競技活動中のキャリアに関する認識調査の結果から、キャリア教育及びセカンドキャリアに関する情報供給システム構築の必要性が改めて示唆された。また、好ましいセカンドキャリアに繋がるアスリートの能力形成や評価については、アスリートとしてのパフォーマンスの結果だけでなく、日々のトレーニングや練習の過程に着目する必要があることも示唆された。

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トップアスリートのセカンドキャリア「問題」の構造ととらえ方

研究分担者 菊 幸一

 本科研のテーマのキーワードは、「トップアスリート」「セカンドキャリア開発」そしてその「支援システムの構築」である。まず考えなければならないのは、我が国においてスポーツ界の「トップアスリート」と呼ばれる人たち(ここではこの「トップアスリート」とはどの範囲のアスリートのことを指すのかも問題なのだが)が、なぜ彼らのファーストキャリア(現役生活)引退後のセカンドキャリアのことまで「問題」として取り上げなければならなくなったのかということである。この「問い」には、 2つの次元が含まれる。  1 つは言うまでもなく、彼らの現役生活の基盤を支えてくれた生活基盤(職的あるいは支援の基盤)を失ってしまうことに伴う、スポーツパフォーマンス自体に頼らない次の生活基盤を獲得するにはどうすればよいのかという、言わばテクニカルなハローワーク的課題である。この視点からの「セカンドキャリア開発」は短期的、かつ緊急避難的な就職・進路対策を主眼とする就業のマッチングを主な課題とする。その回答は、幅広い業種や職種に求められる能力とトップアスリートのそれをどのように発見し、引き出し、これを開発して、社会的な需要とマッチングさせるのかという意味における「支援システムの構築」に求められることになる。 このような「問い」の立て方は、とりあえずは対処療法的な回答を導く上では有効かもしれないだろう。しかし、ではなぜ我が国ではこれまで、このような問題が表面化することはなかったのか。また、なぜスポーツ界にこのような問題が起きやすいのか。そもそもスポーツパフォーマンスに対して過剰なまでに勝利を追求させ、その結果に対して社会的価値を与える社会(の人々)が、なぜその当事者たるトップアスリートが引退した後も彼らをリスペクトし、その才能や能力を社会に生かそうとしないのか。さらに、そのような問題の背景には、わが国特有のスポーツ(トップアスリート)を取り巻くどのような組織的環境(社会的サブシステム)が存在し、その特徴は何なのか等々。これらの「問い」は、セカンドキャリア「問題」を通じて見えてくる、スポーツと社会との価値的な相関関係自体の問題として構造的な「問い」の生産の諸相を我々に示してくれているのだ。すなわち、それは、もう 1つの次元の長期的な視野に基づく「問い」の構造とそのとらえ方の必要性を浮かび上がらせてくれるものであろう。 例えば、競技スポーツ先進国である欧・米のシステムは、大きくヨーロッパ型とアメリカ型に分けられ、前者はクラブ型、後者は学校型のサブシステムをとる。前者のシステムは、高等教育進学へのキャリアパスが中等教育資格修了試験によって狭くなっているため、国家を代表するトップアスリートキャリアの受け皿は、国家が準備する公務員職というサブシステムに支えられることが多い。引退後のセカンドキャリアは、そこから 3〜 5

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年の猶予期間を設けてカリキュラム化され保障される。後者のアメリカ型は、最終的には大学がセカンドキャリアを引き受ける最終段階となるために、卒業率自体が非常に低く、その切り捨てが我が国以上に大問題となった時期(1970〜80年代以降)があった(大量の脱落者とその切り捨て。これをアスリートの「社会的死(social death)」とも呼んだ)。その後、NCAAによる厳格なトップアスリートに対する奨学金制度の適用と大学全体の卒業率向上方策(なぜなら脱落者が多い大学はその社会的評価が落ちるため)によって多少の改善がなされている。プロスポーツ競技種目では、激しい競争によるセカンドキャリア問題が起きる確率は高いが、その問題としてのとらえ方は極めて低調な傾向があり、その背景にはトップアスリートがどのようなサブシステムによって育成されてきたのかによって異なることが理解される。つまり、我が国のセカンドキャリア問題は、一方で学校型サブシステムによるトップアスリートとしてのファーストキャリアの期間延長(スポーツタレントへの過度な依存と手段化)がセカンドキャリア問題をよりいっそう深刻化させるという構造的な課題と同時に、他方でその救済を個人的な問題として扱うことによってトップアスリートをさらに窮地に追い詰めるという二重の困難性を抱えてしまうようなサブシステムが存在しているということなのである。 したがって、本科研における「開発支援システム」とは、単なる個人的なカリキュラム開発のレベルでは解決できない、トップアスリートの発掘と育成段階における学校(教育)サブシステムがスポーツキャリア形成にもたらしてきた負の側面をセカンドキャリア開発に向けて、どのように改革し、支援していくのか、すなわちファーストキャリアにおける「開発支援システム」構築の必要性に行きつく問題となるのである。そのためには、海外のセカンドキャリア「問題」の構造ととらえ方との比較分析を通して、我が国では意識されにくい、セカンドキャリア問題を社会発生させている構造的問題に目を向けさせることが重要であり、その成果の 1つが国際シンポジウム「セカンドキャリア問題を考える」のなかで示されることになった。 また、これまでのセカンドキャリア問題に対する各種調査のレビューから、トップアスリートのセカンドキャリア開発支援に対する「システム」構築のあり方について、短期および長期的な視点から提言することを試みてみた。

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日本人エリートサッカー選手の国際移籍とアスリート教育〜アジアのクラブへの移籍がセカンドキャリアに与える影響〜

研究分担者 髙橋 義雄

 近年、海外のサッカークラブに移籍する日本人サッカー選手が増加している。また移籍先は、ヨーロッパ、北中米、南米などに加えて、アジア諸国など多様な国々となってきている。髙橋(2004)は、日本人サッカー選手の海外移籍について先行研究の分類を用いてその要因の分析を行い、日本人サッカー選手は多様な要因によって国際移籍を決定することを明らかにしている。また髙橋(2011)は、Jリーグ選手のセカンドキャリアについて分析するなかで、アスリートの中に社会とのつながる意識が芽生えつつあることを指摘する。さらに高橋(2012)は、日本人スポーツ選手のキャリア形成に及ぼす国際移籍の影響について、海外移動に至った経緯や要因によって、スポーツキャリアの延長や社会的ステータスの獲得に働くケースがあるいっぽう、国内ネットワークが途切れることで、帰国後のキャリアに影響する可能性も論じている。 本調査の事例は、Jリーグで契約が取れずにそれでも契約を取るためにアジアに渡った事例である。データは、30歳以上でもアジアのサッカークラブに所属する選手と、20歳代前半でこれからより高みを目指す選手、そしてアジアでコーチ業につく人材から得た。本調査の目的は、彼らが海外移籍経験から何を学び、どのような成長を遂げるのかについて検討し、アジアのクラブへの移籍がサッカー選手のセカンドキャリアに与える影響について考察することである。 2011年度はアジア諸国に海外移籍する日本人サッカー選手の情報収集、特にJリーグアジア戦略室の動きを調査した。また2012年 2 月15日〜18日にタイを訪問し、タイに海外移籍した選手 5人、タイのサッカークラブコーチ 1名、タイの女子フットサル選手 1名と懇談し、タイに移籍した選手の背景や現状の生活などの調査を行った。2012年度は引き続きアジア諸国に海外移籍する日本人サッカー選手の情報を収集するとともに、2013年 2 月26日〜 3月 3日において香港、シンガポール、タイのそれぞれの国のトップレベルのサッカークラブに移籍した日本人選手 7名(内 1名は引退し現在は現地でコーチ)、および香港とシンガポールのサッカークラブ経営者 2名、タイのサッカークラブで海外事業部長として勤務する 1名の日本人にインタビュー調査を実施した。 結果、彼らがアジアに移籍することで学ぶことや意識の変化がある一方で、個々人の資質によるところも指摘され、セカンドキャリアにプラスに働くためのアジア諸国への移籍を現実化させるためには、サッカー関連組織がより組織的に日本人選手の活躍の場を与える仕組みづくりが求められていることが明らかになった。そしてアジアにおけるサッカー産業の発展が日本人サッカー選手の職域を広げる可能性も示唆された。

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女性トップアスリートの特徴とセカンドキャリアにおける課題

研究分担者 山口 香

 ロンドンオリンピックにおいて初めて、実施された26競技のすべてに女性が参加した。日本選手団も、女性選手の出場数が男性選手を上まわった。このように国内はもとより、国際的にみても女性スポーツの発展は目覚ましい。日本においては、女子サッカー“なでしこ”の活躍に象徴されるように国際競技力の向上が目覚ましく、メディアの注目も高くなっている。一般的に競技力が向上する背景には、強化資金が投入され、強化システムが整っていくことが条件となる。しかしながら女性スポーツをみると、男性スポーツに比べて資金、システムともに決して恵まれてはいない状況であっても、結果を出しているケースが見られる。この逆さ現象ともいえる状況は、世界的に見ても女性スポーツが発展途上にあり、女性が自由にスポーツを謳歌する環境にある国が未だ少なく、競争相手が少ないことが一因であると考えられる。一方で、 1週間の総運動時間が60分未満である女子中学生が約 3 割であるとの報告もあることから、女子の運動離れが危惧されている。2011年、文部科学省は「女性スポーツアスリート戦略的強化支援会議」を設置し、女性アスリートの競技力向上への更なる支援と、女子中学生などが憧れるロールモデルとなり得る女性アスリートの育成に力を入れている。 女性アスリートの課題として、引退後のキャリアが挙げられる。国際大会、オリンピック等での活躍は目立つが、指導者や組織における意思決定者としての女性の数は非常に少ないのが現状である。この理由として、高校から実業団へ進む割合が男性よりも多く、学歴が低いこと、指導者や組織の中で活躍する時期に結婚、出産、育児といった女性ならではの事情が重なること、ロールモデルの不足、スポーツ組織の中に女性を活用するという意識が低いことなどが挙げられる。引退後の女性が次のキャリアにおいても活躍することは、スポーツ界のみならず社会への還元でもあると考える。 本調査では、オリンピックに出場した経験のある 7人の元アスリートにインタビュー調査を行った。質問項目は、現役中のセカンドキャリアへの考え方や影響を与えた人物、現在の活動状況、恋愛観や結婚観、女性アスリートが抱えるセカンドキャリアの問題点や課題などである。結果は、男性に比べてセカンドキャリアへの考え方、取り組み方が柔軟で、個別のケースが多いことがわかった。キャリアに影響を与えるのは、現役中は指導者や家族、引退後は配偶者などであった。引退後も競技連盟とは良好な関係を維持しつつも、組織に依存する傾向は低いことが見てとれた。トップアスリートの定義は難しいが、今回の調査ではメダリストが多かったことからトップトップアスリートの傾向と見ることができる。JOCが実施したオリンピック出場者へのアンケート結果と本調査の結果を比較、検討し、女性アスリートの特徴とセカンドキャリアに対する意識、問題点などを明らかにした。

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スポーツキャリア形成過程における 職業社会に通用する付加的能力に関する検討

研究分担者 渡部 厚一

Ⅰ 目 的 スポーツキャリア形成過程におけるアスリートの能力のなかで、職業社会にも通用する能力を抽出し、職業社会に通用する付加的能力とは何かを明らかにすることを目的とした。Ⅱ 方 法【課題 1】 スポーツキャリアとの関連性が低いとも考えられる職業において、現在活躍されている40歳代の元オリンピアン 3名を対象とした半構造化インタビュー調査から、スポーツキャリア形成過程において得られた職業社会に通用する能力について検証した。【課題 2】 スポーツ活動に要する経費が最も大きく、スポンサー契約など企業との商業的関連性が比較的高いと思われるモータースポーツで活躍する就職活動期の大学生アスリート 1名に、事前に経済産業省が提唱する社会人基礎力の評価シートで自己評価(36設問に対し 1 〜 5点で採点、満点180点)をしてもらい、この結果を参考に自身がPRできる上位 3 つの力を選択し、アスリート経験に基づいたエピソードを記入した後、企業側人事担当者とのインタビュー調査を行うことによりスポーツが培う付加的能力の獲得状況について検証した。Ⅲ 結果と考察【課題 1】 対象者は40代の男性 3名で、18〜22歳時に五輪出場を果たした。 2名は大学卒業と同時に企業就職、 1名は留学し、24〜26歳で競技を引退した。現在、会社社長、議員、俳優として活躍している。引退は次期五輪や競技成績の伸び悩みが目安となっていたが、現役中における引退後の計画や引退後の具体的計画の有無については、考えていないものから考えないようにしているものなど多様であった。現職への準備についても明確とはいえなかったが、現職着任には職務上の障壁や地域貢献、スポーツへの失望が契機となっていた。スポーツキャリアによる能力として、有言実行、常に学ぶ姿勢、努力は裏切らないなど「実行力」や精神的な「ストレス・コントロール力」が挙げられ、セカンドキャリアへの移行には自らやるべきことを見つける「主体性」が目立った一方、理解者の存在等受容があるかどうか、過去の栄光にすがらず寛容になれるかなど、「発信力」や「柔軟性」の有無がキャリア移行時の課題と考えられた。【課題 2】 対象者は21歳女性で、モータースポーツ競技歴15年、全日本ランキング入賞者である。

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社会基礎力自己評価得点は123点、上位項目は順にストレス・コントロール力、発信力、規律性、創造力、下位項目は計画力、柔軟性であった。自己PRできる基礎力として、ストレスを感じない性格、大人と関わる競技環境、ものづくりが好きであることから、ストレス・コントロール力、規律性、創造力を選択回答した。 インタビューでは、発信力を自分からの単方向性のものでなく双方向性ととらえる見方への気づきや、創造力を単にものづくりという視点でなく、競技中の周囲からのアドバイスにより先読みする力が得られたこと、競技特性として競技をやりたいひとのみが集まる環境、選手契約による職業人としての自覚、スポンサーとしてサポートしてもらうための企画書作成や企業との折衝に関わる自己アピール力が培われていることなどが表出された。スポーツキャリアとして本人は「負けず嫌い」を挙げたが、企業側人事担当者からは質問に対して自分の言葉で的確に返答できる「会話力」があがった。Ⅳ まとめインタビュー調査から、スポーツキャリアで得られた実行力やストレス・コントロール力を活かし、主体性をもって職業を選択し、同時に発信力や柔軟性を整備していくことが、セカンドキャリアへの重要な方向性であることが示唆された。

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トップアスリートの能力と評価の把握 〜学生トップアスリートの“就活”場面への適応例〜

研究員 平田 しのぶ

 トップアスリートのセカンドキャリアの一つのかたちが、これまでのアスリート経験とは違った、新たなキャリアを展開するための転機、いわゆるキャリアトランジションを受け入れることである。これまでの研究からは、アスリートのセカンドキャリアに向けた将来的観測は、その経験から得られた“稀有な能力”の活用ということである。厳しい試練を乗り越えたアスリートであるからこそ、きっと社会でも十分に役立つ潜在能力があるというものである。一方でアスリート自身からは、これまでの社会的な属性や社会的環境によるものとして、適応への不安も語られている。ここでの課題は、アスリートのセカンドキャリアを開発するうえで、受け入れる社会からの観点を明らかにすることである。アスリートの稀有な能力への期待はアスリートならびにスポーツ支援側からの期待であり、社会的にはどのように評価されるのかを具体的に考えていく必要がある。 本研究では、アスリートの稀有な能力が社会においてどのような期待とマッチしているかを明らかにしてくために、経済産業省の推進している社会人基礎力を指標としたアスリートの能力を抽出することを目的とした。社会人基礎力とは、多くの企業を対象に若年層に求められる基本的な能力を 3 つのカテゴリー「前に踏み出す力」「考えぬく力」「チームで働く力」とし、12の能力項目を定めたものである。調査対象は大学生トップアスリートならびに体育会に所属している大学生アスリート、かつ就職活動をしているまさに社会に自分自身をアピールしていこうとしている24名である。ロンドン五輪においても出場選手の約90%が大卒、または在学中ということから、大学までのアスリートとしての自己の能力をいかに認識しているか、またそれをどのように表現できるかは興味深い。 調査結果としては、社会人基礎力から導かれたアスリートの高い能力は、目的を設定し確実に行動する力である“実行力”であった。これまでの経済産業省のデータと比較しても、一般の若年者平均を大きく上回っていた。この他、企業の採用担当者との模擬面談を通して、「周囲への関係を感知する力」「スピーディに切り替えて新たな目標を持つ力」などがあげられた。一方で、採用担当者から見た強みをアスリート自身が認識していない状況が見られた。当たり前のようにできていることとして、「一つのことに集中して継続する力」「自己関連付けをして挑戦できる力」などが特徴的であった。  セカンドキャリアを考える上では、これまでの競技経験から培われた独自の能力がどのように貢献しうるのか、アスリート側も積極的に自己洞察、自己開示していく必要があり、アスリートの指導にもこうした視点が求められる。また、同時にそれを受け入れ、評価し、活用できる社会構造が必要である。

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トップアスリートのセカンドキャリア支援に向けた スポーツ統括組織(NF)の実態調査

研究員 平田 しのぶ

【はじめに】 トップアスリートのセカンドキャリアを支援する組織のひとつが、個々が登録されている中央競技団体である。2007年 2 月には当専攻が競技団体への実態調査を行っており、本調査では前回の結果を踏まえ、各競技団体のキャリア支援に向けての取り組みがどのように推進されているのか、を縦断的に調査し、さらなる具体的な課題や方向性を検討する手がかりを得ることを目的とした。 調査内容は、1)団体に関するデータ、2)セカンドキャリア対する取り組みの現況、3)今後の支援に向けての意識、 4)登録選手の能力把握、 5)国家施策に対する意識、以上の5項目に基づく20設問を設定した。【結果及び考察】① 前回約 2割であった競技団体のキャリア支援は全体の 3割を超えていた。現在支援をしていない団体においても 6割を超えて「今後の支援が必要」と回答し、キャリア支援に対する意識は向上している。② 競技団体全般が望むアスリートの今後のキャリアは「競技の発展に直接、または間接的に関わる仕事」や「スポーツ分野での仕事」であった。③ 未支援の団体は半数以上が、指導者、関係者または選手個人でセカンドキャリア対応できていると回答しており、個人の問題として認識している。④ 既支援団体は今後に向け、より具体的な方法を求めており、未支援団体は体制づくりを課題として認識している。⑤ 既支援団体は選手に対し、セカンドキャリアに向けた広い視点を求める傾向にあり、未支援団体は自己理解を促す視点を求めていた。

【まとめ】 本調査では、回答から得られた現在の支援の有無で考察をし、何が行なわれているのか、不足しているもの何かを明らかにした。2007年の調査以降、具体的な支援策を講じている団体も増えたが、内容については他組織に依存しているのみ、といった結果も見られ、アスリートの生涯を視野に入れた「キャリア支援」そのものの意義については、理解が不充分であった。 また、未支援団体については、指導者、関係者にキャリア支援を任せている、という回答も多かった一方で、団体自身が体制の強化をするという意識は弱く、指導者、関係者個人の意識が現在のセカンドキャリア問題への重要な役割を担っていることが示唆された。今後の課題としては指導者の在り方も問われることになる、と考えられる。

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陸上競技男子オリンピック代表選手のキャリア形成に関する調査

研究員 木路 修平吉田 章  平田しのぶ

【はじめに】 近年、「セカンドキャリア」問題があらゆるアスリートに顕在化する可能性が危惧されている。しかし多くの競技団体においては、まず競技継続の対策がセカンドキャリア対策よりも優先される傾向にある。また、プロスポーツとアマチュアスポーツとでは、そのキャリア形成にも違いがみられる。 そこで、トップアスリートの大部分が実業団に在籍し、かつ一つとしての競技種目の中で最も多様な種目内容を有する陸上競技の男子オリンピック選手に関するキャリア調査を通して現状を分析することにより、我が国のスポーツ全般におけるキャリアサポートの方向性の手掛かりを得ることを目的とした。【結果及び考察】① 陸上競技全般のキャリア形成は、「大学卒業後、企業に就職して実業団チームでオリンピックを目指した競技活動を行い、競技引退後に指導者として後進の育成にあたる」という傾向がみられた。② キャリア形成の過程は、同じ陸上競技の中でも「中・長距離」種目と「短距離・障害、競歩、跳躍、投擲」種目のそれぞれに独自の傾向として分けることができた。③ 中・長距離種目は、自身の競技終了後のヴィジョンをじっくり考える必要もなく、競技実績により次々にキャリアが形成されていく状況が推察された。④ 短距離・障害、競歩、跳躍、投擲という種目は、雇用形態などの競技環境から、必然的に競技引退後のヴィジョンを描かざるを得ない状況を生み出され、その準備意識の高さにつながっていると考えられた。

【まとめ】 今回は陸上競技を事例としたものであるが、その種目ごとの競技環境によるキャリア形成過程において違いが示されたことから、キャリアサポートに関しても画一的なシステムのみで対応するのではなく、その競技環境の違いに対応するシステムの必要性が示唆された。

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おわりに

研究代表者 吉田 章

 スポーツが洋の東西を問わず広く支持され高く評価されるのは、その文化性と教育性にある。新たに制定されたスポーツ基本法においても、「スポーツは、世界共通の人類の文化である。」とし、数々のスポーツの価値を認めた上で「多面にわたるスポーツの果たす役割の重要性に鑑み、(中略)国家戦略として、スポーツに関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、この法律を制定する。」とその前文に記している。こうした場合の推進目標となり、往々にして評価対象となりやすいのが国際競技力の指標となるメダルの数である。そのために全てを投入し、みごと活躍したトップアスリート達は国民の宝であり、青少年にとっては憧れの対象となる。そしてそのようなトップアスリートとしての真の評価は、集中して取組んだスポーツから得たもの、そして培ったものを活用して社会に生きる姿にこそ人々は感銘し、尊敬の念を抱くことになろう。すなわち競技引退後のトップアスリートの姿にこそスポーツ振興における好循環の原点があり、そこには単なる国威高揚のための手段としてのスポーツとは比べ物にならない程の価値が存在する。 従来のセカンドキャリア問題は、引退後の再就職を主体とした取組みとして扱われてきていた。もちろん生活の基盤を確保することは、何ものにもまして重要視される必要がある。それがために、職業斡旋主体型のセカンドキャリア対策がとられてきていた。スポーツ立国戦略においても「スポーツキャリア支援のためのワンストップサービスの実現」が提案されているが、それらは現時点における対処対策でしかなく、根本的な問題の解決につながるものではない。 今回の研究活動を通して明らかになったことは、アスリートの多くが現役時代に引退後のことを意識したり準備したりする機会を有していないことである。それらには、自分自身で考えたくないと思ったり、指導者から考える必要はないと言われたりするケースもあれば、引退後について気付くきっかけもなかったとするアスリートが多くいたことである。それらをサポートするのが本来の指導者であり、またトップアスリートを統括する組織としてのスポーツ団体の責任と言えるものであろう。欧米に比べ、依然として学校に主体を置く我が国のスポーツ体制においては、競技力向上を主眼としたスポーツ教育に偏ることなく、スポーツを媒体としたキャリア教育の機会を設ける必要性を提示するものである。 また主体性を持ったキャリアへの取組みや視野の広がりを持つ上で、そしてトップアスリートになればなる程多くなる時間的な制限に対処する上でも、e-ラーニングを用いたアスリートのためのキャリア教育が最も効果的な方法となることであろう。そのような段階を想定して作成した本研究用のホームページが、将来的にはアスリートのキャリアに関するポータルサイトとなる所までシステムを発展させて行きたい。

Page 16: トップアスリートのセカンドキャリア開発 支援システムの構築に … · しかし、この間の研究成果については、わが国独自 のカリキュラム開発の考え方と、そのシステムの青写真についてはある程度明らかにすること

(資料)Top Athlete Career Support H.P. サイトマップ    サイト名:Top Athlete Career Support    URL:<http://tacs.tsukubauniv.jp/tacs/>

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