広島大学病院 歯系総合診療科 口腔総合診療科 小川 哲次

平成23年度北海道大学歯学部 （平成24年2月3日）

アウトカム基盤型教育 と

プロフェッショナリズム教育

評価する 成果を評価する

教員

学習者 到達目標型教育

卒業時の イメージ

本日のお話 プロフェッショナリズム

アウトカム基盤型教育

正課・非正課カリキュラム

潜在的カリキュラム 潜在的カリキュラム

正課・非正課カリキュラム

今日のお話：プロフェッショナリズム教育 ・プロフェッショナリズムとは？

・プロフェッショナリズムの教育

１．到達目標型からアウトカム基盤型教育への転換

２．繰り返し学ぶカリキュラム（螺旋，縦型，水平型）の構築

３．患者の福利優先，患者の自律性，社会正義について「考え，悩み，迷う」事例の

活用

４．非正課・潜在的カリキュラム、ロールモデルによる障害の排除

５．省察（行為中や行為後の振り返り）への支援

６．生涯にわたって研鑽できるような学習システムの構築

・プロフェッショナリズムの評価

多方向（360度など）からの評価。その評価は，判定evaluationではなく，むしろ改

善を意味するassessmentが望ましのではないかと思われる．

なぜ今プロフェッショナリズムか？

• 社会と医師の関係の悪化

・ゼロリスク追求、訴訟問題

・メディアとの関係

・救急車たらい回し etc

・市場原理の医療への過剰な介入

• 医療費抑制

・経営管理者からの圧力 etc

• 最近の若者は・・・

・社会人としての基本ルールが守れない？

ADEA Statement of Professionalism

• 2007 49 th ADEA Deans Conference in Austin 歯学部長、副部長 160 人が参加

「ProfessionalismのCultureを強化する」

ADEA Academic Meeting in Nashville 学生、教員、学部間のギャップ

↓

• 2008- ADEA Statement of Professionalism

- 6 Values -

全米の大学、大学院で、学生の不正行為が増加

困った研修歯科医？

「意欲も目的もない」 「社会常識がない」 「挨拶も返事もせん」 「すぐ言い訳をする」 「空気がよめない」 「遅刻をしても謝らん」 「よく遅刻や欠勤をする」 「ｺﾐｭﾆｹｰｼｮﾝがとれん」 「言ったこともできない」 「勉強も練習もしない」 「５時になったらすぐ帰る」

困った指導歯科医？

「すぐ怒る」

「やる気があるのかと言う」

「命令ばかり・・・・」

「訊いても、聴いてくれない」

「勉強、練習しろと口うるさい」

「なかなか患者を担当させてもらえない」

「給料泥棒と言われた」

「先生も遅く来るのに、・・・・・」

「すぐ昔話を始める」 「説教が多い。熱く語りすぎる」

「なかなか教えてくれない」

•

今どきの学生さんは ・意欲がない、覇気がない ・目的意識がない ・勉強しない ・言われたことしかしない ・言われたこともできない ・不正をする ・自分の非を認めない ・よく遅刻をする ・授業をやく欠席をする ・授業時間中によく眠る ・挨拶をしない ・身だしなみがなっていない

○歯科医師として求められる基本的な資質 モデルコアカリキュラム 110331

（歯科医師としての職責）

（患者中心の視点）

（コミュニケーション能力）

（チーム医療）

（総合的診療能力）

（地域医療）

（研究志向）

（自己研鑽） ・

では、学生さんは、どうやって学べばよいのか？

素朴な疑問が出発点でした。

ある倫理の専門家曰く：

「倫理を教え、評価することはできる

が

態度は教えられないし、

態度を評価もできない」 心

知識

日本はガラパゴスか？

Prof. Gordon（米国オレゴン健康大学医学部）が

「米国と比べて日本の医学教育は？」という

学生の質問に答えて

「ダーウィンが日本に行ったらどう思っただろうか？」

「どちらがよいのではなくて、

進化の過程が違うのでしょう。」

理解する → 価値ある行動（為）へ

ヒポクラテスの誓い（紀元前２世紀） 第２次世界大戦後の生命、医療倫理に関する規範、綱領、宣言 ニュールンベルグ綱領、ヘルシンキ宣言、リスボン宣言、オタワ宣言など Bio-Ethics 生命倫理４原則： 自律、正義、善行、無害 世界医師会・医師の倫理マニュアル 米国医師憲章 国際看護師協会看護師の倫理 国際歯科衛生士連盟IFDH倫理網領 日本医師会：医師の職業倫理指針 日本歯科医師会：歯科医師の職業倫理（規範、綱領） 日本歯科衛生士会倫理規定 日本看護協会：倫理綱領 臨床研究倫理指針

プロフェッショナリズム

主な国の動き 1847 米国医師会 「医の倫理綱領」

(その後、5回にわたり改正)

1947 フランス 「医師職業倫理規範」(1955, 1979, 1995に改正)

1951 日本醫師會 「醫師の倫理」

1970 ドイツ医師会 「ドイツ医師のための職業規則」

(1993, 1997に改正)

1988 日本医学教育学会 「期待される医師のマナー

ー実践をめざして」

1996 日本医師会(第IV次生命倫理懇談会)「医師に求められる

社会的責任」についての報告 ー良きプロフェッショナリズム

を目指してー

2002 米国内科学会・米国内科試験委員会・欧州内科連合合同

「新ミレニアムにおける医のプロフェッショナリズム：医師憲章」

2004 日本医師会 「医師の職業倫理指針」

プロフェッショナリズムとコンピテンス

・アウトカム基盤型教育のコアコンピテンス（価

値ある行動特性をもつ能力）として取り上げられ

たこと（米国卒後研修プログラム認証評価審議

会，1999年）

・米国と欧州の内科学会が「新千年紀の医のプ

ロフェッショナリズム」を宣言したこと（2003年）．

→ これ以降、急速に広まった

大西 弘高先生 （東京大学国際医学教育開発センター） の資料を改変引用

アウトカム基盤型教育の例

• ACGME (米国卒後研修認定委員会) ACGME Outcome Project:

http://www.acgme.org/Outcome/

–患者ケア

–医学知識

–診療の質管理と改善

–対人・コミュニケーションスキル

–プロフェッショナリズム

–場やシステムに応じた診療

大西 弘高先生 （東京大学国際医学教育開発センター） の資料を改変引用

学士課程教育の アウトカムとしてのプロフェッショナリズム

１．Ｃｒｉｔｉｃａｌ　Ｔｈｉｎｋｉｎｇ

２．Professionalism

３． Communication　and　Ｉｎｔｅｒｐｅｒｓｏｎａｌ　Ｓｋｉｌｌｓ

４． Ｈｅａｌｔｈ　Ｐｒｏｍｏｔｉｏｎ　

５．Ｐｒａｃｔｉｃｅ　management and Informatics

６．Ｐａｔｉｅｎｔ　Ｃａｒｅ

　　A. Assessment, Diagnosis, and Treatment Planning

B. Establishment and Maintenance of Oral Health

　　 （ADEA 2008より）

CompetenciesCompetenciesとベンチマーク（学位水準）は？とベンチマーク（学位水準）は？米国歯科医学教育学会米国歯科医学教育学会

１．Ｐｒｏｆｅｓｓｉｏｎａｌｉｓｍ

２．Ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｏｎ ＆ Ｉｎｔｅｒｐｅｒｓｏｎａｌ Ｓｋｉｌｌｓ

３．Ｋｎｏｗｌｅｄｇｅ Ｂａｓｅ， Ｉｎｆｏｍａｔｉｏｎ Ｈａｎｄｌｉｎｇ ＆

Ｃｒｉｔｉｃａｌ Ｔｈｉｎｋｉｎｇ

４．Ｃｌｉｎｉｃａｌ Ｉｎｆｏｒｍａｔｉｏｎ Ｇａｔｈｅｒｉｎｇ

５．Ｄｉａｇｎｏｓｉｓ ＆ Ｔｒｅａｔｍｅｎｔ Ｐｌａｎing

６. Establishment & Maintenance of Oral Health

７. Health Promotion

Competenciesとベンチマーク（学位水準）は？欧州歯科医学教育学会

継続的なプロフェッショナリズム教育の必要性

• 発達段階に応じて求められるプロフェッショナリズムがある。

• プロフェッショナリズムは、専門職の集合的行為の総意であるとともに、それに向けて常に努力するプロセスである。

プロフェッショナリズム

価値を置いていることを実践に移す

社会との契約である

プロフェッションと社会との契約

• Ｐｒｏｆｅｓｓ ：

誓いを立てる、宣言する（ラテン語）

神の宣託をうけて

最初にProfessionと呼ばれたのは牧師であり、次いで大学教授、医者、弁護士であり、いずれも神の仕事の代行者であり、神の意思を遂行する使命があった。

•

• 佐藤 学 訳「専門化像の転換-反省的実践化へ-」

• ドナルド・ショーン著 2001.より

『医神アポロン、アスクレピオス、ヒギエイア、パナケイ

アおよびすべての男神と女神に誓う、私の能力と判断に

したがってこの誓いと約束を守ることを。この術を私に教

えた人をわが親のごとく敬い、わが財を分かって、その必

要あるとき助ける。

その子孫を私自身の兄弟のごとくみて、彼らが学ぶこ

とを欲すれば報酬なしにこの術を教える。そして書きもの

や講義その他あらゆる方法で私の持つ医術の知識をわ

が息子、わが師の息子、また医の規則にもとずき約束と

誓いで結ばれている弟子どもに分かち与え、それ以外の

誰にも与えない。

ヒポクラテスの誓い

合同提案 米国内科専門認定委員会、米国内科学会

欧州内科学連合

• 患者の福利を第一に考える

• 患者の自立性(patient autonomy)を尊重する

• 社会正義(社会的公正性)を推進する

“Physician Charter 「新千年紀のプロフェッショナル憲章」(2002）”

医師憲章の10の責務 1. プロフェッショナルとしての能力に関する責務

(commitment)

2. 患者に対して正直である責務

3. 患者情報を守秘する責務

4. 患者との適切な関係を維持する責務

5. 医療の質を向上させる責務

6. 医療へのアクセスを向上させる責務

7. 有限の医療資源の適正配置に関する責務

8. 科学的な知識に関する責務(科学的根拠に基づいた医療

を行う責務)

9. 利害衝突に適切に対処して信頼を維持する責務

10. プロフェッショナル（専門職）の責任を果たす責務

プロフェッショナリズム

卓越性

ヒューマニズム

説明責任

利他主義

倫理的・法的理解

コミュニケーション・スキル

臨床能力（医学の知識）

例示： プロフェッショナリズム・モデル Stern DT, ed. Measuring Medical Professionalism. New York, NY: Oxford University Press Inc; 2006.

医療のエキスパート

チーム医療

患者-医師関係 プロフェッショナリズム

オーガナイザー ﾍﾙｽプロモーション

学ぶ、研鑽する

VALUES DEFINING PROFESSIONALISM IN DENTAL EDUCATIOＮ （ＡＤＥＡ）

• Competence • Fairness • Integrity • Responsibility • Respect • Service- mindedness

For • Ｓｔｕｄｅｎｔｓ • Ｆａｃｕｔｙ • Ｒｅｓｅａｒｃｈｅｒ • Ｉｎｓｔｉｔｕｔｉｏｎ/ Ａｄｍｉｎｉｓｔｒａｔｏｒ

今日のお話：プロフェッショナリズム教育

・プロフェッショナリズムとは？

・プロフェッショナリズムの教育

・プロフェッショナリズムの評価

成果を評価する

教員

学習者

卒業時の イメージ

１．アウトカム基盤型教育へ

プロフェッショナリズム

アウトカム基盤型教育

潜在的カリキュラム

正課・非正課カリキュラム

アウトカム基盤型教育の特色

• プロフェッショナリズム，批判的思考など統合的な能力により焦点が当てられる

• 全般的パフォーマンスに対する評価がより重視される

大西 弘高先生 （東京大学国際医学教育開発センター） の資料を改変引用

教育目標分類（taxonomy）

• 教育目標の細分化

• 評価の信頼性重視（MCQへの強い依存）

– 細かな知識が重視される傾向がより強まる

– 高度認知領域や態度は相対的に軽視

• OSCEによる表面的技能（コンピテンス）重視

– 態度変容の伴わないコンピテンスは実際の行動変容（パフォーマンス）につながらない

依然として教育目標分類は重要だが，その限界を知ることはより重要

大西 弘高先生 （東京大学国際医学教育開発センター） の資料を改変引用

アウトカム基盤型教育重視の理由

• 情報の膨大化と教育目標の細分化

• 社会からの期待の増大と説明責任

• 学習目標，方法や内容，評価の一体化

• 学生，教員が学習目標を理解しやすい

• 臨床前，卒前臨床，卒後初期，生涯学習の

連続性を理解しやすい

アウトカム基盤型教育の考え方

教育環境

サポート

評価

How to learn 学習方法

What to learn 学習内容

医学生

教育アウトカム

大西 弘高先生 （東京大学国際医学教育開発センター） の資料を改変引用

全般的能力と個別目標の関係

全般的能力

問題解決 レベルの知識 知識

態度 スキル

大西 弘高先生 （東京大学国際医学教育開発センター） の資料を改変引用

アウトカム（学習成果、Learning Outcome)

プログラムやコースなど、一定の学習時間終了時に、

学習者が知り、理解し、行い、実演できる内容を言明したもの

価値ある行動特性をもつ能力（コンピテンス）

ダンディー大学医学部

Doing right thing

Doing the things right

Right person doing it

Right person doing it

Professionalism

Doing the things right

Approach to tasks

Ｓ－Ⅲ

1. 手技的な能力

2. 臨床技能の能力

3. 患者の観察力

4. 患者の管理力

5. 健康の維持・増進に対する能力

6. コミュニケーション能力

7. 情報収集・管理能力

8. 基本的な医学的知識の理解と応用力

9. 医療者に必要な態度・倫理と責任への理解

10. 適切な推理・推論、臨床決断を行う能力

11. 医療者としての役割の認識

12. 自己研鑽に対する認識

Doing right thing

Performance of tasks

医学教育では

どのような“医療者”が求められている？

田口 則宏先生 （鹿児島大学） の資料を改変引用

では、コンピテンスの意味するものは？

動機づけ ・知識

・技能

従来の能力観

態度 消極的 →積極的

成 果

実際の行動

どんな価値のある

行動をとっているのか？

経済産業省 「社会人基礎力」（2006)

厚生労働省 「就職基礎能力」（2006)

就職基礎能力

ｺﾐｭﾆｹｰｼｮﾝ能力

職業人意識

基礎学力

ビジネスマナー

資格取得

学士力：「学士課程教育の構築へ向けて」中央教育審議会大学分科会教育・制度部会答申（平成20年12月24日）

１．知識と理解１）多文化・異文化の理解 ２）人類の文化、社会と自然の理解

２．汎用的技能１）コミュニケーション・スキル ２）数量的スキル３）情報リテラシー ４）論理的思考力５）問題解決力

３．態度志向性１）自己管理 ２）チームワーク・リーダーシップ３）倫理観 ４）市民としての社会的責任５）生涯学習力

４．総合的学習経験と創造的思考力

一方、我が国では

コンピテンス（価値ある行動を伴う能力）

ﾌﾟﾛﾌｪｯｼｮﾅﾘｽﾞﾑ

認知領域（知識） 想起、理解、応用、分析、総合、評価

精神運動領域（技術） 模倣、操作、分節、精確、熟練

3 circle model (RM Harden)

正しい人が、

正しい方法で、

正しく

行動する

情意領域 倫理、態度・習慣の知識と理解

Outcome-based Learning のための教育プログラム 医学教育プログラム開発」、D.E.Kern, et al、 (小泉俊三監訳）より改変引用

3. goal &

objectives

2. needs assessment

of targeted learners

5. implementation

4. Educational

strategies

1. problem identification &

general needs assessment

6. evaluation

& feedback

一般目標と個別目標 実施

教育方略

学習者のニーズ 評価とフィードバック

問題の同定化と一般的ニーズ

カリキュラムの構造の変遷

基礎医学

臨床医学

臨床実習

積み上げ型ｶﾘｷｭﾗﾑ

基礎医学

臨床医学

並行型ｶﾘｷｭﾗﾑ

基礎医学

臨床医学

臨床実習

行動科学

ﾌﾟﾛﾌｪｯｼｮﾅﾘｽﾞﾑ

全統合型ｶﾘｷｭﾗﾑ 日本医学教育学会編 医学教育白書 2006年版 より引用・改変

レベルにあわせて段階別に → ルーブリック

態度 技術

知識

７セメ

４ｾﾒ

９セメ

情意領域

価値の組織化

価値づけ

反応

受容

価値の内在化

操作

模倣

精確化

分節化

熟練化

精神運動領域

分析

総合

評価

応用

理解

情報

認知領域

学習理論：認知主義→行動主義→構成主義へ

知識・技能・態度と分けて考えるよりも知識・技能・態度と分けて考えるよりも

・講義のような知識の伝授が・講義のような知識の伝授が

主体の授業であっても、そ主体の授業であっても、そ

れを通じて、態度、技能を育れを通じて、態度、技能を育

むことはできる。むことはできる。

・既存の正課の中にも，・既存の正課の中にも，それぞそれぞ

れれの態度・技能・知識に関の態度・技能・知識に関

連する項目や内容，そして連する項目や内容，そして

要素が含まれている。要素が含まれている。

広島大学歯学部の取り組みと プロフェッショナリズム教育

１．歯学部（組織）として取り組み

オリエンテーションキャンプ

初年次PBLチュートリアル教育

専門基礎科目・臨床実習の見直し

「平和を希求する」・国際化

２．個別授業の取り組み例

・螺旋型カリキュラム

・Learning Outcome

・教育ティップス （Tips ）

・自己主導型学習

・プロフェッショナリズム

・キャリアデザイン

学士課程教育とは何か 理解できましたか？

プロフェッショナリズムとは 何か理解できましたか？

積極的に自己学習を行いましたか？

学科・専攻を越えてコミュニケーションを とることができましたか？

強く同意する 同意しない 同意する 全く同意しない

プロフェッショナリズム 自己決定権の尊重

無害の原則

善行 （社会的）公正性

Case-Bsed Learning

PBL tutorial

社会活動、院外活動

態度 技術

知識

７セメ

４ｾﾒ

９セメ

倫理、モラル、社交性

倫理・プロフェッショナリズムの意味付け

倫理・プロフェッショナリズムの態度・技能・知識

卒業

生涯

SEA

学士課程教育

２．繰り返し学ぶ

リフレクション

入学

生涯研修

グループ討論

要介護度 心身の状態

要支援 社会的支援の必要な状態 日常生活を送る能力は基本的にあるが、歩行などが不安定。浴槽

の出入りなどに一部介護が必要。

要介護度１ 生活の一部に部分的な介護が

必要な状態

立ち上がるときや歩行が不安定。排泄や入浴などに、一部または

全介助が必要。

要介護度２ 中程度の介護が必要な状態 一人で立ち上がったり歩けないことが多い。排泄や入浴などに一

部または全介助が必要。

要介護度３ 重度な介護が必要な状態 一人で立ち上がったり歩いたりできない。排泄や入浴、着替えなど

に全介助が必要。

要介護度４ 最重度の介護が必要な状態 日常生活を送る能力がかなり低下。入浴や着替えの全介助、食事

のときの一部介助が必要。

要介護度５ 過酷な介護が必要な状態 生活全般にわたって全面的な介助が必要。意志の伝達がほとん

どできない場合が多い。

自立 以上にあてはまらない

３．患者の福利優先，患者の自律性，社会正義について「考え，悩み，迷う」事例

４．潜在的カリキュラムとロールモデル

正課カリキュラム

専門基礎 教育

教養的 教育

非正課

カリキュラム

潜在的カリキュラム

ロールモデル

カリキュラム以外

• 歯科医師は自らの同僚、学生・研修歯科医全てにとってのロール・モデル

（お手本）となる。

・良いお手本、悪いお手本、良くも悪くもない場合・・・

ロールモデル

• 「振り返り」は、学習や専門性の開発におけ

る一つのアプローチ法。

• 日常の経験や思考から得た新たな概念を、

自身が既に有している経験や知識と統合し

て新たな視点、概念を見出す活動。

５．省察 reflection：「振り返り」

• 自分の診療を「振り返り」つつ前に進む

• 自己認識と省察：全ての学生・研修医、あ

らゆる臨床医において、経験年数にかか

わらずプロフェッショナリズムを育成し、高

めるために必要なスキルである

省察（振り返り）：鍵となるスキル

ＳＥＡ：構造的振り返りのフォーマット

① Significant eventの記述

② 最初に考えたこと、その時の感情

③ うまくいったこと

④ うまくいかなかったこと

⑤ こうしたら良かったと思うこと

⑥ 次のアクションプラン、学びの計画

今日のお話：プロフェッショナリズム教育

・プロフェッショナリズムとは？

・プロフェッショナリズムの教育

・プロフェッショナリズムの評価

評価の必要性

• “実際にやっているか” を評価 ＞ 難しい

• 観察する者・観察する機会・評価方法の種類を増やす

• 具体的方法

OSCE, シミュレーション、ポートフォリオ、ＳＥＡ

クリティカル・インシデント・レポート

ＭＳＦ：自己評価、同僚評価、知識テスト、教員を評価、環境の評価

教授法：Portfoilo-

Based

Learnig 歯学部

2年

４年

５年

質問・疑問などへの対応

360度評価

指導歯科医

関係者全てが公平に、創造的に一つの「もの」を作り上げていくという姿勢

研修歯科医

コデンタル

患 者

自分自身

同 僚

事務職員 学 生

プロフェッショナリズム評価ツール PROFESSIONALISM MINI-EVALUATION EXERCISE

（P-MEX）の日本における有用性の検討

津川 友介*1、徳田 安春*2、大生 定義*3、小松 康宏*1、 Richard Cruess*4、Sylvia Cruess*4、岡田 定*1 、林田 憲明*1 、福井 次矢*1

*1. 聖路加国際病院内科 *2. 筑波大学附属水戸地域医療教育センター *3. 立教大学社会学部、横浜市立大学医学部 *4. Center for Medical Education, McGill University, Montreal Canada

P-MEX 日本語版

・日本人医師2名およびバイリンガルがP-MEXの日本語訳を作成。

・異なるバイリンガルがback translationを行い原著者であるDr. Cruessに内容を確認してもらい、P-MEX日本語版が完成した。

プロフェッショナリズムの評価

プロフェッショナリズム教育の評価については，実は評価法が定まっているわけではありません．従来のMCQや論述試験，口頭試問・インタビュー，フォーカスインタビュー，シミュレーション試験，実技試験，観察記録，ポートフォリオなどとともに，自己，同僚や先輩・後輩，教職員そして患者・家族（360度評価を含む）による評価など，多方向からの評価が望ましいと云われています．しかし，プロフェッショナリズムは常の継続的な学習が必要であるため，その評価は，判定という意味の強いevaluationではなく，むしろどちらかというと改善を意味するassessmentが望ましいかもわかりません．

Reflection → Professionalism

成人教育 （アンドラゴジー）

Ｇｏａｌ

Self –Ｄirected Learning 自己主導型学習

ティーチング, コーチング，メンタリング， チュータリング，ロールモデル，キャリア支援

指導者、教育者、ファシリテータ、メンター

ＷｅｂＣＴ Face to Face