ホリスティック企業レポート 農業総合研究所 · 2020. 9. 15. ·...

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Copyright© 2012 Stock Research Center. All Rights Reserved. 本レポートの権利は一般社団法人 証券リサーチセンターに属します。いかなる形でも無断での複写・転載・ 利用を禁じます 一般社団法人 証券リサーチセンター 証券リサーチセンター 審査委員会審査済 20181218 アップデート・レポート 20181221発行 ホリスティック企業レポート 農業総合研究所 3541 東証マザーズ

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Page 1: ホリスティック企業レポート 農業総合研究所 · 2020. 9. 15. · 農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21 . 農産物の第3の流通形態「農家の直営所」を運営

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利用を禁じます

一般社団法人 証券リサーチセンター

証券リサーチセンター 審査委員会審査済 20181218

アップデート・レポート

2018年12月21日 発行

ホリスティック企業レポート

農業総合研究所

3541 東証マザーズ

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ホリスティック企業レポート(一般社団法人 証券リサーチセンター 発行)

本レポートに掲載された内容は作成日における情報に基づくものであり、予告なしに変更される場合があります。本レポートに掲載された情報の正確性・信頼性・完全性・妥

当性・適合性について、いかなる表明・保証をするものではなく、一切の責任又は義務を負わないものとします。 一般社団法人 証券リサーチセンターは、本レポートの配信に関して閲覧し投資家が本レポートを利用したこと又は本レポートに依拠したことによる直接・間接の損失や逸失

利益及び損害を含むいかなる結果についても責任を負いません。最終投資判断は投資家個人においてなされなければならず、投資に対する一切の責任は閲覧した投資家にあり

ます。また、本件に関する知的所有権は一般社団法人 証券リサーチセンターに帰属し、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。

アップデート・レポート 2/25

農業総合研究所(3541 東証マザーズ)

◆ 会社概要 ・農業総合研究所(以下、同社)は、各地の農業生産者から集荷した農産

物を、集荷翌日には都市部のスーパーマーケット等の小売店舗の直売

所コーナーで販売する「農家の直売所」の流通モデルを運営している。 ◆ 18 年 8 月期 ・18/8 期の連結業績は、売上高が 2,310 百万円(前期比 39.2%増)、流通

総額が 8,778 百万円(同 23.8%増)、営業損失が 96 百万円(前期は 131百万円の利益)となった。自然災害の多発により流通総額こそ期初会社

計画を下回ったが、買取委託販売の割合の増加で売上高は会社計画を

上回った。また、会社計画通りに投資を実行し、ほぼ計画通りの水準で

の営業損失となった。 ◆ 19 年 8 月期業績予想 ・19/8 期連結業績について、同社は売上高 3,200 百万円(前期比 38.5%増)、流通総額 12,000 百万円(同 36.7%増)、営業利益 50 百万円(前期

は 96百万円の損失)を予想している。物流、IT強化、人員増強の将来の

ための投資を予定しているが、営業利益の黒字転換を図るとしている。 ・証券リサーチセンター(以下、当センター)では、19/8 期の連結業績予想

について、売上高は 3,229 百万円(前期比 39.8%増)、流通総額 11,599百万円(同 32.1%増)、営業利益 50 百万円と予想した。流通総額とそれ

に伴う売上総利益の増加により、投資に係る費用をカバーして営業黒字

化する展開を想定した。 ◆ 今後の注目点 ・当センターでは、20/8 期以降、流通総額は年 26~34%の増加が続き、ま

た、体制強化のための先行投資の縮小や海外子会社の赤字縮小により、

売上高営業利益率は 21/8 期には 10%台まで上昇するものと予想した。 ・「売上高の重層化」を目指す 19/8 期の投資が 20/8 期以降のサービスの

多様化とそれに伴う売上高増にどのようにつながっていくかに注目する。

アナリスト:藤野敬太 +81(0)3-6858-3216

レポートについてのお問い合わせはこちら [email protected]

発行日:2018/12/21

新しい農産物流通モデルの「農家の直売所」を運営する農業関連ベンチャー

19 年 8 月期は流通総額の増加で投資の費用をカバーして営業黒字化を目指す

> 要旨

株価 (円)

発行済株式数 (株)

時価総額 (百万円)

前期実績 今期予想 来期予想

PER (倍) ― 353.4 193.0

PBR (倍) 36.6 30.1 23.4

配当利回り(%) 0.0 0.0 0.0

1カ月 3カ月 12カ月

リターン (%) 26.0 121.7 130.9

対TOPIX(%) 32.0 153.0 163.6

【株価チャート】

【主要指標】2018/12/14

5,230

4,201,000

21,971

【株価パフォーマンス】

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

17/1

218

/01

18/0

218

/03

18/0

418

/05

18/0

618

/07

18/0

818

/09

18/1

018

/11

3541(左) 相対株価(右)(円)

(注)相対株価は対TOPIX、基準は2017/12/15

(倍)

【 3541 農業総合研究所 業種:卸売業 】売上高 前期比 営業利益 前期比 経常利益 前期比 純利益 前期比 EPS BPS 配当金(百万円) (%) (百万円) (%) (百万円) (%) (百万円) (%) (円) (円) (円)

2017/8 1,659 38.9 131 -16.3 130 -19.6 84 -21.0 20.3 144.1 0.02018/8 2,310 39.2 -96 ― -47 ― -29 ― -6.9 143.0 0.02019/8 CE 3,200 38.5 50 ― 60 ― 60 ― 14.3 ― 0.02019/8 E 3,229 39.8 50 ― 62 ― 62 ― 14.8 173.8 0.02020/8 E 4,496 39.2 323 539.9 323 421.3 114 85.0 27.1 223.9 0.02021/8 E 5,772 28.4 591 82.7 591 82.7 210 82.7 50.0 315.5 0.0(注) CE:会社予想、E:証券リサーチセンター予想、17/8期の期中に連結決算に移行、17/8期の前期比は16/8期単体決算との比較 

決算期

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アップデート・レポート 3/25

農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21

◆ 農産物の第 3の流通形態「農家の直営所」を運営 農業総合研究所(以下、同社)は、「農家の直売所」の流通プラット

フォームを運営している。このプラットフォームでは、各地の農業生

産者から集荷した農産物を、集荷翌日に都市部のスーパーマーケット

等の小売店舗(以下、スーパー等)の直売所コーナーで販売すること

を可能にしている。 「農家の直売所」は、農業協同組合(以下、JA)による市場流通や

「道の駅」の直売流通といった既存の流通形態の中間に位置し、両者

の良いところ取りをした「第 3 の流通形態」である。同時に、生活者、

スーパー等の販売者、生産者のそれぞれにメリットのある「三方良し」

の仕組みとなっている。 ◆ 「農家の直売所」を支えるのは物流機能と IT 機能 「農家の直売所」を通じてどれだけの農産物が取引されているかを示

すのが流通総額である。流通総額の拡大に向けて、同社は、生活者と

接点を持つ販売者(スーパー等)の需要サイドと、農産物を供給する

生産者の供給サイドの双方に付加価値を提供するよう、仕組みのブラ

ッシュアップに余念がない。 この「農家の直売所」の流通形態は、物流機能と IT 機能の掛け合わ

せで成り立っている。物流の機能としての特徴は、生産者とスーパー

等の間をつなぐ集荷場ネットワークの存在である。また、IT の機能

は、生産から流通に至るまでの細かい業務を IT 利用の作業に置き換

えていくことで構築されてきた。これらが同社の強みとなっている。 ◆ 子会社を通じて日本の農産物の海外への供給も開始 国内での流通形態である「農家の直売所」のモデルをベースに、子会

社の世界市場(東京都港区)を通じて、国内の生産者と海外のマーケ

ットを結ぶ「ニッポンイチバ」の流通形態の構築を進めている。なお、

子会社の重要性が増したことにより、17/8 期第 4 四半期から連結決算

へ移行した。 ◆ 取引の大半は単体の委託販売システムによるもの 同社の事業は、農家の直売所事業の単一セグメントだが、取引形態に

応じて 5 種類に区分される。そのうち、手数料だけを売上高に計上す

る委託販売システムは、18/8 期の連結業績全体に対し、売上高の

60.2%、売上総利益の 83.2%を占めている(図表 1)。

> 事業内容 > 事業内容

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利益及び損害を含むいかなる結果についても責任を負いません。最終投資判断は投資家個人においてなされなければならず、投資に対する一切の責任は閲覧した投資家にあり

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アップデート・レポート 4/25

農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21

◆ 日本における農産物の流通 日本国内において、野菜や果物といった農産物の流通は、JA を経由

した市場流通が大半を占める。 生産者が JA に持ち込んだ農産物は、市場、仲卸、スーパーマーケッ

ト等を経て生活者の食卓に届く(図表 2)。比較的均一な品質の農産

物を、大量に、かつ安定的に流通させるという観点では、JA 経由の

市場流通は、生活者の食卓を支えるうえで重要な役割を担ってきた。 ただし、その仕組みはあくまで大量供給に適したものであり、食の多

様化という生活者の嗜好の変化や、大量供給に適さない規格外の農産

物の供給に対応しきれるものではない。JA が買い取る農産物は、JAの規格に合ったものに限られるので、事実上、生産者は自由に農産物

を作ることができない状況に置かれている。JA 経由の市場流通は、

その状況のもとで成り立っている仕組みと言えよう。 JA 経由の市場流通とは別に、生産者が直売所に直接農産物を持ち込

んで、その場で販売する直売流通という仕組みが存在する。いわゆる

「道の駅」での販売である(図表 2)。 直売流通の場合、収穫当日の農産物が販売されるために鮮度も高く、

産地に根差した珍しい農産物の販売も可能となる。しかし、「道の駅」

はどうしても生産地の近くにしか存在せず、生活者はアクセスしづら

い。また、供給量も少なく、流通範囲が限定的にならざるをえない。

(注)18/8 期より従来「委託販売システム」に含まれていた一部が「その他」に分離表示された 「委託販売システム」は 16/8 期と 17/8 期で連続性がないため、17/8 期の「委託販売システム」の前期比はなし

出所)農業総合研究所有価証券報告書、決算説明会資料より証券リサーチセンター作成

【 図表 1 】取引別売上高・売上総利益 (単位:百万円)

16/8期単 17/8期連 18/8期連 16/8期単 17/8期連 18/8期連 16/8期単 17/8期連 18/8期連 委託販売システム 956 1,113 1,391 44.5% ー 25.0% 80.1% 67.1% 60.2% 買取委託販売 156 321 609 72.2% 105.3% 90.1% 13.0% 19.3% 26.4% 卸販売 82 75 37 -37.5% -8.6% -51.2% 6.9% 4.5% 1.6% その他 ー 86 105 ー ー 20.9% ー 5.2% 4.5% 子会社 ー 64 168 ー ー 162.5% ー 3.9% 7.3%

合計 1,195 1,659 2,310 35.2% 38.8% 39.2% 100.0% 100.0% 100.0%

16/8期単 17/8期連 18/8期連 16/8期単 17/8期連 18/8期連 16/8期単 17/8期連 18/8期連 委託販売システム 954 1,113 1,391 45.1% ー 25.0% 94.6% 85.2% 83.2% 買取委託販売 36 70 135 68.6% 92.6% 92.3% 3.6% 5.4% 8.1% 卸販売 17 18 8 22.4% 5.1% -54.2% 1.8% 1.4% 0.5% その他 ー 80 87 ー ー 9.3% ー 6.1% 5.2% 子会社 ー 24 51 ー ー 109.6% ー 1.8% 3.1%

合計 1,009 1,305 1,672 45.3% 29.4% 28.1% 100.0% 100.0% 100.0%

取引売上高 前期比 構成比

取引売上総利益 前期比 構成比

> ビジネスモデル

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アップデート・レポート 5/25

農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21

◆ 「農家の直売所」は JA と「道の駅」の良いところ取りの仕組み 同社が運営する「農家の直売所」は、生産者と都市部のスーパー等を

直接つなぐことを特徴とした、農産物の第 3 の流通形態である。 生産者はまず、同社が設置している集荷場(18/8 期末時点で全国 86カ所)に農産物を出荷する。集荷場に集められた農産物は、集荷場の

費用負担により、スーパー等の物流センター等に出荷され、そこから

全国の店舗に配送される。その後、農産物は各店舗の直売所コーナー

に陳列され、生活者が購入することになる(図表 3)。 生産者と生活者のそれぞれの視点からの各流通形態の特徴を比較し

てみた(図表 4)。「農家の直売所」は、JA 経由の市場流通の供給量

には及ばない。しかしながら、大量供給の JA の市場流通と、少量供

給の「道の駅」の流通の良いところ取りを実現した、中規模流通に適

した流通形態となっている。

【 図表 2 】既存の農産物の流通形態

(出所)農業総合研究所「成長可能性に関する説明資料」

【 図表 3 】農業総合研究所の「農家の直売所」による農産物の流れ

(出所)農業総合研究所「成長可能性に関する説明資料」に証券リサーチセンター加筆

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アップデート・レポート 6/25

農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21

また、「農家の直売所」は、その流通形態に関わるそれぞれの当事者

に対して以下の付加価値を提供しており、文字通り「三方良し」の流

通形態となっている。

(1)生産者:収益増加の機会 (2)小売店舗(スーパー等):集客に資する売り場 (3)生活者:鮮度の高い、生産者の顔が見える農産物

◆ 「農家の直売所」には 3 種類の取引形態がある 「農家の直売所」には以下の 3 種類の取引形態が存在し、売上高、売

上原価として何が計上されるかが異なっている (1)委託販売システム

(2)買取委託販売 (3)卸販売

【 図表 4 】農産物の各流通形態の特徴の比較

JA経由の市場流通 直売流通 「道の駅」いくらで販売するか 生産者が自由に決定 市場相場(競り)で決定 生産者が自由に決定

販売先をどこにするか 生産者が自由に決定 どの小売店舗で販売されているか不明自由だが

事実上近所の「道の駅」に限られる何を生産するか 生産者が自由に決定 JAで指定されたもののみ生産可能 生産者が自由に決定ロスのリスク 生産者に在庫責任あり 生産者に在庫責任なし 生産者に在庫責任あり

総収入 生産者の努力次第で増やすことができる 少なめだが比較的安定的生産者の努力次第も

そもそもの販売量が少なく収入は限られる取扱量 やや多い 多い 少ない

生産者の手間やや少ない

(バーコード発券と集荷場への運搬)少ない(JAへの運搬) 多い(包装と道の駅への運搬)

JA経由の市場流通 直売流通 「道の駅」農産物の鮮度 収穫後1日で陳列 収穫から3~4日後のものが陳列 収穫した日のものが陳列

農産物の美味しさ 完熟してから収穫 未完熟の状態で収穫(早取り) 完熟してから収穫トレーサビリティ 生産者が分かる 生産者は分からない 生産者が分かることが多い

規格・品揃え規格品・規格外品が混合

全国の農産物流通規格に合ったもののみ

全国の農産物規格外品が中心

「道の駅」がある産地の農産物に限られる

JA経由の市場流通 直売流通 「道の駅」

末端販売価格 95円 100円 90円生産者の手取り金額 60円 30円 70円

JA経由の市場流通での末端販売価格を

100円とした場合の価格農業総合研究所 「農家の直売所」

既存の流通形態

既存の流通形態生産者の視点 農業総合研究所 「農家の直売所」

生活者の視点 農業総合研究所 「農家の直売所」既存の流通形態

(出所)農業総合研究所「成長可能性に関する説明資料」、決算説明会資料に証券リサーチセンター加筆

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アップデート・レポート 7/25

農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21

(1)の委託販売システムは、スーパー等の直売コーナーで生産者が

委託販売を行うことを基本とし、同社がその流通経路を提供する形態

である。流通額のうち、同社手数料部分が売上高に計上され、売上原

価として計上されるものはない。 (2)の買取委託販売は、同社が生産者から農産物を買い取り、同社

がスーパー等で委託販売を実施する形態である。流通額のうち、スー

パー等の販売手数料を差し引いた金額が同社の売上高となり、買取仕

入高が売上原価となる。 (3)の卸販売は、同社が農産物を買い取り、スーパー等へ販売を行

う形態である。スーパー等へ販売した金額が同社の売上高となり、生

産者からの買取仕入高が売上原価となる。この場合は同社の売上高が

流通額となる。

◆ 流通総額をいかに増やすかが重要 どの取引形態であっても、「農家の直売所」の仕組みを用いた農産物

の流通が増えることが、同社の経営にとって最も重要なこととなる。

在庫リスク 生産者 同社 スーパー等

価格決定権 生産者 同社 スーパー等

同社にとっての仕入の有無 なし(原価が発生しない) あり(原価が発生する) あり(原価が発生する)

売上総利益率(18/8期) 100.0% 22.2% 21.6%

委託販売システム 買取委託販売 卸販売

収益構造

生活者への

販売価格(流通額)

スーパー等

農業総合

研究所

生産者仕入高

(原価)売上高

スーパー等

農業総合

研究所

生産者

売上高

(原価なし)

生活者への

販売価格(流通額)

生活者への

販売価格

売上高

スーパー等

農業総合

研究所

生産者仕入高

(原価)(流通額)

【 図表 5 】「農家の直売所」の 3 つの取引形態

(出所)農業総合研究所有価証券報告書、決算説明会資料より、会社ヒアリングを踏まえて証券リサーチセンター加筆

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アップデート・レポート 8/25

農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21

流通総額は 14/8 期(単体)から 18/8 期(連結)まで年平均 32.5%の

ペースで増加し、18/8 期には 87.78 億円となっている(図表 6)。 また、図表 3 に示した「農家の直販所」を通じた農産物の流れと合わ

せて考えると、流通総額を増やすためには、(1)小売店舗での販売額、

(2)生産者側の生産額、(3)販売と生産の間をつなぐ物流額の 3 つ

をバランス良く増やしていくことが必要となる(図表 7)。

【 図表 6 】流通総額の推移 (単位:億円)

(出所)農業総合研究所「成長可能性に関する説明資料」、決算説明会資料より証券リサーチセンター作成

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利益及び損害を含むいかなる結果についても責任を負いません。最終投資判断は投資家個人においてなされなければならず、投資に対する一切の責任は閲覧した投資家にあり

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アップデート・レポート 9/25

農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21

◆ 販売額の観点 需要サイドから見ると、流通総額の増加は、店舗数の増加と、1 店舗

当たり流通額の増加の積算で捉えられる。 18/8 期末時点で、同社のシステムを利用している店舗は 1,197 店(う

ち国内は 1,185 店舗)で、国内のスーパーマーケットに対する普及率

は 5.8%となっている(図表 8)。一方、1 店 1 カ月当たり流通総額は、

期を追うごとに低下してきている。考えられるひとつの要因として、

店舗数が増加する局面では、お試しで導入するようなケースが多い可

能性が挙げられよう。 なお、スーパーチェーンごとの導入店舗数は非開示だが、主要取引先

の上位には、18/8 期の連結売上高の 13.0%を占めるイオンリテール

(千葉県千葉市)、同 11.7%の阪急オアシス(大阪府豊中市)が並び、

この 2 社で同社の売上高の 24.7%を占めている。

【 図表 7 】流通総額の増加の要因分解

(出所)農業総合研究所決算説明会資料より証券リサーチセンター作成

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アップデート・レポート 10/25

農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21

◆ 生産額の観点 供給サイドから見ると、流通総額の増加は、生産者数の増加と、1 生

産者当たり出荷額の増加の積算で捉えられる。 18/8 期末時点で、登録生産者数は 7,845 名まで増加した。うち、3,903名が関西エリア、1,450 名が関東エリアの生産者となっており、全国

の総農家数に対する普及率は 0.36%となっている。1 生産者 1 カ月当

たり流通総額も、月 10.0 万円まで徐々に上昇しており、登録した生

産者の出荷額が増加傾向にあることが見て取れる(図表 9)。 生産者に直に接し、営業及びサポートを行うのは集荷場のスタッフで

ある。従って、生産者の増加及び生産者の出荷額の増加は、集荷場の

数とスタッフの質、及び集荷場から先の物流システムの能力にかかっ

ている部分があると言えよう。

【 図表 8 】店舗数の推移

(出所)農業総合研究所決算説明会資料より証券リサーチセンター作成

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アップデート・レポート 11/25

農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21

◆ 物流額の観点 需要サイドと供給サイドをつなぐ物流の観点から見ると、流通総額の

増加は、農産物を受け入れる集荷場の数の増加と、1 集荷場当たり出

荷額(処理額)の増加の積算で捉えられる。 18/8 期末時点で、集荷場の数は、直営 24 カ所、業務委託先(以下、

FC)62 カ所の合計 86 カ所となっている(図表 10)。集荷場は、47都道府県のうち 31 都府県に設置されており、86 カ所のうち 24 カ所

が関西エリア、16 カ所が関東エリアにある。18/8 期は日本郵便の四

国支社との業務委託が寄与し、FC の増加が牽引する形で集荷場の数

が増加した。また、拠点の質の向上を目指して一部地域で集荷場の集

約を実施したこともあり、拠点数が増加した割には、1 集荷場 1 カ月

当たり流通総額は 900 万円台の水準で微増となっている。 集荷場は、原則、流通した金額に応じた手数料収入により運営され、

人件費のほか、集荷場からスーパー等の物流センターに出荷する際の

運送費が主な費用となる。従って、直営であっても FC であっても、

一定以上の取扱量がないと採算が合わないことになる。

【 図表 9 】登録生産者数の推移

(注)出荷される農産物は海外にも流通するため、17/8 期より流通総額は連結の数値を使用 (出所)農業総合研究所決算説明会資料より証券リサーチセンター作成

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アップデート・レポート 12/25

農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21

◆ 「農家の直売所」の流通形態を支える物流と IT の機能 「農家の直売所」の流通形態は、物流機能と IT 機能の掛け合わせで

成り立っていると捉えることもできる。 物流の機能としての最大の特徴は、上述の通り、生産者とスーパー等

の間をつなぐ集荷場ネットワークの存在である。 IT の機能は、生産から流通に至るまでの細かい業務を IT 利用の作業

に置き換えていくことで構築されてきた。 例えば、生産者は出荷する農作物を、どの店舗で、どのくらいの価格

で販売するかを決めなくてはならない。当然、それを管理するために、

出荷時にバーコードを貼る業務が発生する。同社では、その貼り付け

作業を行う生産者のために、バーコード発券機を貸与している。また、

一部の生産者にはタブレット端末を貸与し、生産者自ら配送すること

も可能にしている。端末の貸与やバーコード発券には僅少ながら手数

料を徴収しており、同社の収入源のひとつとなっている。なお、これ

らの収入は、18/8 期より取引形態別には「その他」に分類されるよう

になった。

(注)集荷場を経由する農産物は海外にも流通するため、17/8 期より流通総額は連結の数値を使用 (出所)農業総合研究所決算説明会資料より証券リサーチセンター作成

【 図表 10 】集荷場の数の推移

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アップデート・レポート 13/25

農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21

このように、「農家の直売所」を通じた流通に関する業務を、IT 化に

よって負担軽減する仕組みが散りばめられている。 IT 化は生産者の出荷作業の利便性を上げることに留まらない。今後

は、生産者と生活者とのコミュニケーションを活性化することや、販

売動向等の生活者サイドから収集された情報を活用して、生産者の経

営の意思決定の精度を上げることを目指していく。 ◆ 子会社の世界市場を通じた世界への進出 「農家の直売所」は国内での農産物流通の流通形態だが、同様に、国

内の生産者と海外のマーケットを結びつける流通形態の確立も同社

は志向している。そのため、16 年 8 月に第三者割当増資を引き受け

て、世界市場(東京都港区)を子会社化した。 世界市場は、日本の青果物を世界に届けるための「ニッポンイチバ

(NIPPON ICHIBA)」の構築を進めている。基本的には、同社の「農

家の直売所」に倣ったモデルとなっており、委託販売が基本である。

「農家の直売所」と異なるのは輸出入の手続きが発生することである。

「ニッポンイチバ」のモデルでは、日本国内での青果物の確保と輸出

向け倉庫までの物流は同社が、輸出向け倉庫での処理から輸出先での

手続き全般や物流を世界市場が、それぞれ担当する(図表 11)。

なお、世界市場は、17 年 6 月に、海外需要開拓支援機構(東京都港

区、以下、クールジャパン機構)の出資を受けた。出資を受けるのに

【 図表 11 】世界市場の「ニッポンイチバ」の青果物の流通

(出所)世界市場ウェブサイト

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アップデート・レポート 14/25

農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21

伴い、世界市場の既存株主(同社を含む 4 社)で中間持株会社の世界

市場ホールディングスを設立し、世界市場は世界市場ホールディング

スが 61.4%、クールジャパン機構が 38.6%を保有する会社となった。

同社にとって世界市場は子会社から孫会社へ変更されたが、重要性が

増したため、17/8 期第 4 四半期から連結決算へ移行した。 また、17 年 7 月に同社、世界市場、日本航空(9201 東証一部)の 3社で締結された連携協定も、「ニッポンイチバ」のビジネスモデルの 機能強化を目指したものと見て取れる。

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アップデート・レポート 15/25

農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21

◆ SWOT 分析 同社の内部資源(強み、弱み)、及び外部環境(機会、脅威)は、図

表 12 のようにまとめられる。 「機会」の項目に、「日本郵政グループとの提携による事業機会の拡

大」を追加したことが主な変更点である。

◆ 知的資本の源泉は、現社長の実体験に基づく知見と、その知見に

よって確立されたビジネスモデルにある 同社の競争力を知的資本の観点で分析した結果を図表 13 に示し、KPIの数値をアップデートした。 同社の知的資本の源泉は、組織資本に属する現社長自らの農業に関す

る実体験に基づく知見にあると考える。その知見に基づき、組織資本

【 図表 12 】SWOT 分析

強み(Strength)

・「農家の直売所」という新しい農産物の流通形態を確立できていること - 生産者、スーパー等小売店、生活者の3者にとってメリットのある仕組み - 既存の流通形態と競争しないポジショニング・「農家の直売所」の流通形態を支える機能 - 集荷場ネットワークを中心とする物流の機能 - ITの機能・現社長の実体験に基づいた農業分野の業務に対する知見

弱み(Weakness)

・流通総額を増やすのにまだ増員が不可欠な状況にあること・ビジネスモデル上のボトルネックの存在 - 集荷場の業務委託先の成り手 - 生産者のITリテラシー向上・事業規模の小ささ・現社長への依存度が高い事業運営

機会(Opportunity)

・スーパー等の小売店舗、生産者にまだ十分な新規拡大余地があること・既存のスーパー等の小売店舗や生産者の取引額の増加余地があること・集荷場の設置余地がまだ十分にあること・日本郵政グループとの提携による事業機会の拡大(新規)・子会社の世界市場を通じた輸出事業の拡大(「開始」を「拡大」に変更)・上場による知名度の向上 - 人員の採用 - 業務提携先の確保

脅威(Threat)

・スーパー等の小売店舗の営業方針の転換の可能性・集荷場の業務委託先がなかなか増えない可能性・既存の流通形態との競争激化の可能性・自然災害や天候不順による農産物生産の減少とそれに伴う流通総額減少の可能性・物流過程において食の安全性を脅かす事故が起きる可能性・子会社の世界市場を通じた海外展開が軌道に乗らない可能性・人材の確保が難しくなる可能性

> 強み・弱みの分析

(出所)証券リサーチセンター

> 知的資本分析

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アップデート・レポート 16/25

農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21

と人的資本にまたがる、「農家の直売所」のビジネスモデルの確立と

ブラッシュアップにつながっていった。 「農家の直売所」のビジネスモデルを支えるのは、物流の機能と ITの機能という、組織資本のプロセスにある。この 2 つの機能はビジネ

スモデルを特徴的なものとするのと同時に、他社に対する参入障壁に

もなっていると考えられる。その結果、関係資本である、全国のスー

パーマーケットと登録生産者という需要サイドと供給サイドの両顧

客が増加していき、取引の増加によって、流通総額が増えていくとい

う循環に至っている。

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アップデート・レポート 17/25

農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21

【 図表 13 】知的資本の分析

項目 数値(前回) 数値(今回)

・委託販売システム採用店舗数1,081店(単体、国内) 連結では1,087店

1,185店(単体、国内) 連結では1,197店

・委託販売システム採用店舗の全国導入率 5.3% 5.8%

・主要顧客阪急オアシス(全売上高の16.1%)サミット(同13.4%)イオンリテール(同10.1%)(17/8期)

イオンリテール(全売上高の13.0%)阪急オアシス(同11.7%)

・登録生産者数 7,291名 7,845名

・全国登録率 0.34% 0.36%

・国内の委託販売システムの名称 ・「農家の直売所」 特になし -----・海外向けの委託販売システムの名称 ・「ニッポンイチバ(NIPPON ICHBA)」 特になし -----

・表彰 ・表彰「日本ベンチャーアワード2016」 経済産業大臣賞

-----

・NTTドコモ流通プラットフォームの構築(16年10月~)

-----

・地方銀行 9行(18年5月末) -----・日本航空 日本産農産物の国内流通と輸出拡大 -----

・デリカフーズホールディングス物流プラットフォームの再構築(17年10月~)

-----

・日本郵政グループ (今回、追加)日本郵政四国支社との協業日本郵政キャピタルの資本参加(12.5%)(資本参加は18年10月)

・東京農業大学 産学連携協定 -----・子会社 ・世界市場 輸出事業進展 -----

・「農家の直売所」を通じた取引額 ・流通総額連結4,265百万円(国内+香港)単体4,229百万円(国内)

連結8,778百万円単体の開示はなし

・集荷場の数 72カ所(直営22 FC50) 86カ所(直営24 FC62)

・集荷場のカバー領域 47都道府県のうち30都道府県に設置 47都道府県のうち31都道府県に設置

・物流センター 外部委託で2カ所 -----・生産者用バーコード発券機 特になし -----・タブレットの活用 特になし -----・アプリケーション開発 特になし -----

・現社長の農業関連の実体験に基づく知見 ・現社長の創業前の農業関連の経験年数 生産者として3年 販売者として1年 -----

・ビジネスモデル ・表彰「日本ベンチャーアワード2016」 経済産業大臣賞

-----

・現社長によるビジネスモデルの確立 ・「農家の直売所」モデルの構築 特になし -----・代表取締役社長による保有 742,500株(17.67%) -----・社長以外の取締役の持株数 (監査役は除く)

上期の開示なし 532,700株(12.68%)

・ストックオプション(取締役) *社外取締役は除く

なし -----

・役員報酬総額(取締役) *社外取締役は除く

上期の開示なし 66百万円(4名)

・従業員数 69名(連結) 67名(単体)(17/7期末) 105名(連結) 99名(単体)・平均年齢 32.2歳(単体)(17/7期末) 32.1歳(単体)・平均勤続年数 2.6年(単体)(17/7期末) 2.4年(単体)・従業員持株会 62,200株(1.48%) 60,800株(1.44%)・ストックオプション なし -----

顧客

ブランド

・登録生産者

・全国のスーパーマーケット

KPI

・業務提携

・インセンティブ

知的財産ノウハウ

項目 分析結果

ネットワーク

関係資本

組織資本

人的資本

経営陣・インセンティブ

従業員・企業風土

プロセス ・物流の機能

・ITの機能

(注)KPI の数値は、特に記載がない場合、前回は 18/8 期上期または 18/8 期上期末、今回は 18/8 期または 18/8 期末のもの 前回と変更ないものは-----と表示

(出所)農業総合研究所有価証券報告書、決算説明会資料、会社ヒアリングより証券リサーチセンター作成

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アップデート・レポート 18/25

農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21

◆ 18 年 8 月期は期初会社計画に沿った水準の営業損失 18/8 期の連結業績は、売上高が 2,310 百万円(前期比 39.2%増)、営

業損失が 96 百万円(前期は 131 百万円の利益)、経常損失が 47 百万

円(同 130 百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失が 29百万円(同 84 百万円の利益)となった。売上高の期初の会社計画に

対する達成率は 101.8%となり、営業損失は期初の会社計画の 100 百

万円より 4 百万円少なかった。 流通総額は 8,778 百万円(前期比 23.8%増)となった。主要指標のう

ち、18/8 期末の国内の店舗数は 1,197 店(前期末比 201 店増)、登録

生産者数は 7,845 名(同 1,015 名増)となり、店舗と登録生産者の両

方の伸びによる流通総額の増加が続いている。ただし、自然災害の多

発による影響を受け、流通総額の期初の会社計画に対する達成率は

97.5%に留まった。 取引別売上高のうち、委託販売システムが前期比 25.0%増、買取委託

販売が同 90.1%増となった。この結果、売上構成比は、委託販売シス

テムが前期の 67.1%から 60.2%まで低下し、買取委託販売は前期の

19.3%から 26.4%まで上昇した。17/8 期後半より顕著になった、買取

委託販売の増加が続いている。 その背景には、店舗数の増加がある。買取により同社が一定量の商品

を確保し、同社のコントロールのもと、各スーパーへの安定供給を図

る必要性が高まっている模様である。 図表 5 に示した通り、同じ流通総額でも、買取委託販売の方が計上さ

れる売上高が大きくなる。そのため、高利益率の委託販売システムの

売上構成比の低下により、売上総利益率は前期比 6.3%ポイント低下

の 72.4%となった。 また、人員採用、物流インフラの見直し、IT プラットフォームの強

化等の先行投資を行ったことで、国内の販売費及び一般管理費(以下、

販管費)は前期比 50.6%増となった。売上総利益の伸びでは販管費の

増加はカバーしきれず、96 百万円の営業損失となった(前期は 131百万円の黒字)。 なお、内部取引等が存在するために一概に言えない部分はあるが、連

結業績から単体業績を差し引いた分がおよそ海外の子会社の分とな

る。それによると、18/8 期の海外子会社は、売上高が 163 百万円、売

上総利益は 50 百万円、販管費が 118 百万円と推算され、海外子会社

は 68 百万円の営業損失だったことになる。

> 決算概要

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ます。また、本件に関する知的所有権は一般社団法人 証券リサーチセンターに帰属し、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。

アップデート・レポート 19/25

農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21

◆ 18 年 8 月期の投資 18/8 期は将来の成長のための基盤づくりに向け、計画通り、積極的な

投資を実行した。 物流においては、大田市場(東京都大田区)内部に自社センターを開

設したことが大きかった。この開設により、集荷場から小売店舗まで

の物流が集約できるようになり、小売店舗まで回りきれないことによ

る機会損失が減少した。また、物流面の対応ができずにこれまで同社

の仕組みの導入を見送ってきた店舗も加わるようになり、店舗数の増

加の足掛かりが強化された。 IT の分野では、IT プラットフォームの強化の一環として、ウォータ

ーセル(新潟県新潟市)との農業情報システムの共同開発により、農

薬使用履歴管理アプリ「畑メモ(はためも)」の開発が行われ、トレ

ーサビリティ機能が強化された。また、既存の物流網を利用した新た

なサービスとして、外食店舗向け EC サービス「彩直」が開発された。 また、人員の採用も進み、17/8 期末 69 名だった従業員数は 18/8 期末

には 105 名まで増加した。物流や IT、バイヤーといった即戦力人員

の採用のほか、新卒採用も進んだ。 ◆ 日本郵政グループとの提携 日本郵政グループとの提携も進み、18 年 4 月には日本郵便四国支社

(愛媛県松山市)と業務委託契約が締結された。これは日本郵便四国

支社の物流網を活用する形で、集荷場の運営と、生産者の新規募集の

業務を委託するものである。これにより、四国における農産物供給の

強化が図られるという。 また、19/10 期に入り、18 年 10 月には日本郵政グループとの資本提

携が公表された。具体的には、日本郵政グループの日本郵政キャピタ

ル(東京都千代田区)が、同社の株式の 12.5%を、同社の親会社であ

るプレンティー(東京都品川区)から取得し、第 3 位の大株主になる

というものである。なお、プレンティーは筆頭株主であり続けるが、

保有割合は 34.28%から 21.78%まで低下することとなった。 ◆ 19 年 8 月期会社計画 19/8 期の会社計画は、売上高 3,200 百万円(前期比 38.5%増)、営業

利益 50 百万円(前期は 96 百万円の損失)、経常利益 60 百万円(同

47 百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益 60 百万円(同

29 百万円の損失)である(図表 14)。

> 期中の変化

> 今後の業績見通し

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ホリスティック企業レポート(一般社団法人 証券リサーチセンター 発行)

本レポートに掲載された内容は作成日における情報に基づくものであり、予告なしに変更される場合があります。本レポートに掲載された情報の正確性・信頼性・完全性・妥

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アップデート・レポート 20/25

農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21

連結の流通総額は前期比 36.7%増の 12,000 百万円を見込む。店舗数

や生産者数等の具体的な内訳の開示はないが、18/8 期に引き続き、需

要側である店舗数の増加が流通総額の増加を牽引する想定になって

いる模様である。 投資については、18/8 期は事業体制の再整備のために投資をする期と

位置づけられていたが、19/8 期は売上先の重層化を目指しての投資を

する期と位置づけている。物流の分野では、開設した大田市場内の自

社センターを活用する事業への投資を実施する予定である。IT の分

野では、基幹システムの刷新に加え、小売店バイヤー向けアプリ「直

ぽ」の開発を行うとしている。また、人材の分野では、18/8 期末の

105 名に対し、19/8 期末に 120 名まで人員を増強することを予定して

いる。

【 図表 14 】農業総合研究所の業績計画 (単位:百万円)

(出所)農業総合研究所決算短信、決算説明会資料より証券リサーチセンター作成

16/8期 17/8期 17/8期 18/8期 19/8期 20/8期単体 単体 連結 連結 連結

会社計画連結

中期計画19/8期 20/8期

流通総額 5,522 7,058 7,089 8,778 12,000 16,000 36.7% 33.3%売上高 1,195 1,603 1,659 2,310 3,200 - 38.5% - 取引別  委託販売システム 956 1,207 1,113 1,391 - - - -  買取委託販売 156 320 321 609 - - - -  卸販売 82 75 75 37 - - - -  その他 - - 86 105 - - - -  子会社 - - 64 168 - - - - 主要指標  期末店舗数(店舗) 680 992 996 1,197 - - - -  期末登録生産者数(名) 5,765 6,830 6,830 7,845 - - - -  期末集荷場数(カ所) 57 69 69 86 - - - -売上総利益 1,009 1,285 1,305 1,672 - - - -

売上総利益率 84.4% 80.2% 78.7% 72.4% - - - - 取引別  委託販売システム 954 1,196 1,113 1,391 - - - -

売上総利益率 99.8% 99.1% 100.0% 100.0% - - - -  買取委託販売 36 70 70 135 - - - -

売上総利益率 23.4% 21.9% 21.9% 22.2% - - - -  卸販売 17 18 18 8 - - - -

売上総利益率 21.7% 24.9% 24.9% 23.3% - - - -  その他 - - 80 87 - - - -

売上総利益率 - - 92.0% 83.2% - - - -  子会社 - - 24 51 - - - -

売上総利益率 - - 37.8% 30.2% - - - -営業利益 156 160 131 -96 50 - - -

売上高営業利益率 13.1% 10.0% 7.9% -4.2% 1.6% - - -経常利益 162 160 130 -47 60 - - -

売上高経常利益率 13.6% 10.0% 7.9% -2.0% 1.9% - - -親会社株主に帰属する当期純利益 107 106 84 -29 60 - - -

売上高当期純利益率 9.0% 6.7% 5.1% -1.3% 1.9% - - -

前期比

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アップデート・レポート 21/25

農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21

投資を継続するため費用は先行するが、流通総額の増加とそれに伴う

売上総利益の増加によって費用増をカバーし、19/8 期は 50 百万円の

営業利益を確保して黒字化する計画である。 ◆ 中期計画 中期計画として、20/8 期までの流通総額が公表されており、流通総額

は、19/8 期は前期比 36.7%増、20/8 期は同 33.3%増と予想されている。

◆ 証券リサーチセンターの業績予想 証券リサーチセンター(以下、当センター)では、18/8 期までの実績

を踏まえて、19/8 期以降の業績予想を見直すとともに、21/8 期の業績

予想を新たに策定した。 19/8 期は、売上高 3,229 百万円(前期比 39.8%増)、営業利益 50 百万

円(前期は 96 百万円の損失)、経常利益 62 百万円(前期は 47 百万円

の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益 62 百万円(前期は 29 百

万円の損失)とした(図表 15)。 当センターでは、業績予想を策定する上で、以下の点に留意した。 (1)前回までは、国内(単体)と海外(連結と単体の差分)を分け

て流通総額を予想していたが、国内の流通総額の開示がなくなったた

め、連結全体の流通総額を算出する方法に変更した。具体的には、海

外を含めたスーパー等の期末店舗数と 1 店舗当たり流通総額から、算

出した。 その上で、全体の流通総額をどの取引によるものかに分類した。別途、

登録生産者数と集荷場数を予想し、予想した流通総額との兼ね合いを

チェックすることで、予想の整合性を確認した。 19/8 期末の連結の店舗数は 1,615 店舗(18/8 期末 1,197 店舗)、19/8期の 1 店舗 1 カ月当たり流通総額は 68.8 万円(18/8 期は 66.7 万円)

として、19/8 期の流通総額は前期比 32.1%増の 11,599 百万円になるも

のと予想した(会社計画は 12,000 百万円)。 他の主要指標は、19/8 期末の登録生産者数は 8,900 名(18/8 期末は

7,845 名)、集荷場数は 97 カ所(同 86 カ所)とした。また、流通総額

のうち、委託販売システムによるものの構成比は、18/8 期の 89.5%よ

り 1.5%ポイント低下の 88.0%になるものとした。

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アップデート・レポート 22/25

農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21

(2)売上総利益率は、18/8 期の 72.4%に対し、69.7%まで 2.7%ポイ

ント低下するものとした。主に高利益率の委託販売システムの売上構

成比が低下することを考慮したためである (3)販管費は、18/8 期の 1,769 百万円に対し、19/8 期 2,201 百万円ま

で増加すると予想した。人員増による人件費の増加、物流費や業務委

託費の増加のほか、連結子会社での費用増を織り込んでいる。 これらの結果、19/8 期の営業利益は 50 百万円と、黒字化することを

予想した(会社計画も 50 百万円の営業利益)。 20/8期以降は、流通総額は 20/8期は前期比 34.4%増、21/8期は同 25.9%増と予想した。店舗数の増加、すなわち需要サイドの拡充が流通総額

の増加を牽引する展開を予想するが、物流プラットフォーム等の供給

サイドが十分に対応できることが前提となる。 売上高は 20/8 期は前期比 39.2%増、20/8 期は同 28.4%増と、流通総額

の伸びを上回る展開を予想した。委託販売システムの売上構成比の低

下に伴い、売上総利益率の低下は続くが、体制強化のための先行投資

が一段落することと、海外子会社の赤字縮小により、売上高営業利益

率は 20/8 期 7.2%、21/8 期 10.3%と上昇するものと予想した。

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ホリスティック企業レポート(一般社団法人 証券リサーチセンター 発行)

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利益及び損害を含むいかなる結果についても責任を負いません。最終投資判断は投資家個人においてなされなければならず、投資に対する一切の責任は閲覧した投資家にあり

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アップデート・レポート 23/25

農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21

【 図表 15 】証券リサーチセンターの業績予想 (損益計算書) (単位:百万円)

(注)CE:会社予想 E:証券リサーチセンター予想

(出所)農業総合研究所有価証券報告書、決算短信より証券リサーチセンター作成

16/8期単 17/8期単 17/8期連 18/8期連 19/8期CE連 19/8期CE単(中計)

20/8期CE連(中計)

19/8期E連(今回)

19/8期E連(前回)

20/8期E連(今回)

20/8期E連(前回)

21/8期E連(今回)

損益計算書売上高 1,195 1,603 1,659 2,310 3,200 - - 3,229 3,219 4,496 4,340 5,772

前期比 35.2% 34.2% 38.9% 39.2% 38.5% - - 39.8% 42.3% 39.2% 34.8% 28.4% (17/8期までの取引別売上高)  単体・取引別   委託販売システム 956 1,207 1,207 - - - - - 1,773 - 2,146 -   買取委託販売 156 320 320 - - - - - 1,364 - 2,108 -   卸販売 82 75 75 - - - - - 82 - 86 -  連結ー単体 - - 56 - - - - - 625 - 1,200 - (18/8期以降の取引別売上高)   委託販売システム - - 1,113 1,391 - - - 1,837 - 2,469 - 3,123   買取委託販売 - - 321 609 - - - 972 - 1,359 - 1,732   卸販売 - - 75 37 - - - 30 - 30 - 30   その他 - - 86 105 - - - 139 - 187 - 237   子会社 - - 64 168 - - - 250 - 450 - 650 流通総額(17/8期以降は連結ベース) 5,522 7,058 7,089 8,778 12,000 12,000 16,000 11,599 11,266 15,593 13,860 19,625

前期比 43.2% 27.8% 28.4% 23.8% 36.7% 33.3% 33.3% 32.1% 25.3% 34.4% 23.0% 25.9%  うち、単体 5,522 7,058 7,058 - - - - - 10,954 - 13,260 -

前期比 43.2% 27.8% 28.4% - - - - - 23.0% - 21.1% - 主要指標  期末店舗数(店舗)   連結 - - 996 1,197 - - - 1,615 1,515 2,120 1,775 2,525   単体 680 992 992 1,185 - - - 1,600 1,500 2,100 1,750 2,500   連結ー単体 - - 4 12 - - - 15 15 20 25 25  期末登録生産者数(名) 5,765 6,830 6,830 7,845 - - - 8,900 8,900 9,900 9,900 10,900  期末集荷場数(カ所) 57 69 69 86 - - - 97 88 110 98 123売上総利益 1,009 1,285 1,305 1,672 - - - 2,251 2,301 3,070 3,032 3,909

前期比 45.4% 27.4% 29.4% 28.1% - - - 34.6% 42.8% 36.4% 31.8% 27.3%売上総利益率 84.4% 80.2% 78.7% 72.4% - - - 69.7% 71.5% 68.3% 69.9% 67.7%

販売費及び一般管理費 852 1,124 1,174 1,769 - - - 2,201 2,235 2,746 2,736 3,317売上高販管費率 71.3% 70.1% 70.8% 76.6% - - - 68.2% 69.4% 61.1% 63.0% 57.5%

営業利益 156 160 131 -96 50 50 - 50 65 323 296 591前期比 251.1% 2.7% -16.3% - - - - - - 539.9% 352.3% 82.7%

売上高営業利益率 13.1% 10.0% 7.9% -4.2% 1.6% - - 1.6% 2.0% 7.2% 6.8% 10.3%経常利益 162 160 130 -47 60 - - 62 65 323 296 591

前期比 262.4% -1.2% -19.6% - - - - - - 421.3% 352.1% 82.7%売上高経常利益率 13.6% 10.0% 7.9% -2.0% 1.9% - - 1.9% 2.0% 7.2% 6.8% 10.3%

親会社株主に帰属する当期純利益 107 106 84 -29 60 - - 62 42 114 192 210前期比 106.4% -0.6% -21.0% - - - - - - 85.0% 352.1% 82.7%

売上高当期純利益率 9.0% 6.7% 5.1% -1.3% 1.9% - - 1.9% 1.3% 2.6% 4.4% 3.6%

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アップデート・レポート 24/25

農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21

16/8期単 17/8期単 17/8期連 18/8期E連 19/8期CE連 19/8期CE単(中計)

20/8期CE連(中計)

19/8期E連(今回)

19/8期E連(前回)

20/8期E連(今回)

20/8期E連(前回)

21/8期E連(今回)

貸借対照表 現金及び預金 726 747 880 808 - - - 753 550 890 762 1,386 売掛金及び受取手形 296 383 401 496 - - - 618 830 933 882 1,059 商品・貯蔵品 0 0 - - - - - 0 0 0 0 0 その他 10 7 13 67 - - - 67 13 67 13 67流動資産 1,033 1,138 1,295 1,372 - - - 1,439 1,394 1,891 1,659 2,513 有形固定資産 3 14 14 30 - - - 29 12 28 11 27 無形固定資産 24 28 32 76 - - - 112 127 143 159 175 投資その他の資産 38 52 17 37 - - - 37 17 37 17 37固定資産 66 95 64 143 - - - 178 157 209 188 239資産合計 1,100 1,234 1,360 1,515 - - - 1,617 1,552 2,100 1,847 2,753 買掛金 344 411 413 502 - - - 594 663 810 715 1,024 未払法人税等 59 24 25 6 - - - 0 18 90 82 165 未払金 70 86 90 121 - - - 120 90 130 100 140 前受金 0 0 - - - - - 0 0 0 0 0 短期借入金 0 - - - - - - 0 0 0 0 0 1年内返済予定の長期借入金 31 28 28 43 - - - 44 24 31 11 19 その他 29 35 54 57 - - - 57 54 57 54 57流動負債 536 587 610 731 - - - 816 851 1,119 964 1,407 長期借入金 88 59 59 104 - - - 59 11 28 0 8 その他 - 4 4 11 - - - 11 4 11 4 11固定負債 88 64 64 115 - - - 71 15 40 4 20純資産合計 475 582 685 668 - - - 730 685 940 878 1,325(自己資本) 475 582 603 600 - - - 662 604 777 796 988

キャッシュ・フロー計算書 - 税金等調整前当期純利益 162 - 131 -47 - - - 62 65 323 296 591 減価償却費 8 - 8 18 - - - 28 28 32 32 32 売上債権の増減額(-は増加) -65 - -102 -94 - - - -122 -302 -315 -51 -125 棚卸資産の増減額(-は増加) 0 - - - - - - 0 0 0 0 0 仕入債務の増減額(-は減少) 76 - 66 89 - - - 91 233 215 52 214 未払金の増減額(-は減少) -7 - 18 31 - - - -1 10 10 10 10 法人税等の支払額 0 - -86 -47 - - - -6 -4 -22 -39 -132 その他 4 - 20 -4 - - - 0 0 0 0 0営業活動によるキャッシュ・フロー 178 - 56 -53 - - - 52 30 244 299 591 有形固定資産の取得による支出 0 - -13 -11 - - - -3 -3 -3 -3 -3 無形固定資産の取得による支出 -23 - -9 -59 - - - -60 -60 -60 -60 -60 投資有価証券の取得・売却による収支 -35 - - - - - - 0 0 0 0 0 その他 -1 - -11 -6 - - - 0 0 0 0 0投資活動によるキャッシュ・フロー -60 - -34 -77 - - - -63 -63 -63 -63 -63 短期借入金の増減額(-は減少) 0 - 0 - - - - 0 0 0 0 0 長期借入金の増減額(-は減少) 0 - -31 60 - - - -43 -23 -44 -24 -31 株式の発行による収支 311 - - - - - - 0 0 0 0 0 配当金の支払額 - - - - - - - 0 0 0 0 0 その他 - - 120 - - - - 0 0 0 0 0財務活動によるキャッシュ・フロー 311 - 88 60 - - - -43 -23 -44 -24 -31換算差額 - - 0 -1 - - - 0 0 0 0 0現金及び現金同等物の増減額(-は減少) 428 - 111 -72 - - - -54 -56 136 212 496現金及び現金同等物の期首残高 297 - 726 880 - - - 808 606 753 550 890現金及び現金同等物の期末残高 726 - 880 808 - - - 753 550 890 762 1,386

【 図表 16 】証券リサーチセンターの業績予想(貸借対照表/キャッシュ・フロー計算書) (単位:百万円)

(注)CE:会社予想 E:証券リサーチセンター予想 (出所)農業総合研究所有価証券報告書、決算短信より証券リサーチセンター作成

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ホリスティック企業レポート(一般社団法人 証券リサーチセンター 発行)

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アップデート・レポート 25/25

農業総合研究所 (3541 東証マザーズ) 発行日:2018/12/21

◆ 自然災害等のリスクはどうしてもつきまとう 野菜や果実といった農産物の流通を事業としているため、農産物がそ

もそも流通に乗らないという状況が発生しうる。気候不順や病虫害に

よる不作、台風や水害等の自然災害によってそもそも収穫できない状

況が該当する。その他、食中毒等により食材として扱われなくなる状

況や、地震や土砂災害による交通インフラの破損で物流が滞る状況も

考えられる。これらの結果、同社の流通総額に影響が及ぶ可能性があ

る。 ◆ 配当について 同社では、株主に対する利益還元を重要な経営課題のひとつと位置づ

けている。しかし、現在は将来の成長に向けた資金の確保を優先する

ため、配当を実施していない。配当の実施及びその時期について同社

は現時点では未定としている。

証券リサーチセンターでは、同社を対象とするレポート発信を 17 年 7 月 21 日より開始いた

しました。 新興市場に新規上場した企業を中心に紹介していくという当センターの設立趣旨に則り、同 社についてのレポート発信は、今回を以て終了とさせていただきます。

> 投資に際しての留意点

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証券リサーチセンターは、株式市場の活性化に向けて、中立的な立場から、アナリスト・カバーが不十分な企業を中心にアナリス

ト・レポートを作成し、広く一般にレポートを公開する活動を展開しております。 ※当センターのレポートは経済産業省の「価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス」を参照しています。

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