建材トップランナー制度の対象となる 建材の普及及び価格の ...4.2....

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平成 30 年度省エネルギー政策立案のための調査事業 建材トップランナー制度の対象となる 建材の普及及び価格の動向等に関する調査 報告書 平成 31 3 株式会社野村総合研究所

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  • 平成 30 年度省エネルギー政策立案のための調査事業

    建材トップランナー制度の対象となる

    建材の普及及び価格の動向等に関する調査

    報告書

    平成 31 年 3 月

    株式会社野村総合研究所

  • 目 次

    1 はじめに .......................................................................................................................... 1

    1.1. 背景と目的 ............................................................................................................... 1 1.2. 調査内容と実施方法 ................................................................................................. 2

    2 現建材トップランナー制度の価格等動向調査 ................................................................ 4 2.1. 価格動向に関する原因分析調査 .............................................................................. 4

    2.1.1. 断熱材 ............................................................................................................... 4 2.1.2. サッシ ............................................................................................................. 12 2.1.3. 複層ガラス ...................................................................................................... 21

    2.2. 普及拡大に向けた需要予測調査 ............................................................................ 29 2.2.1. 建材別需要予測の状況 .................................................................................... 29 2.2.2. 事業者ヒアリング結果 .................................................................................... 31

    2.3. 今後の見通しの調査 ............................................................................................... 43 2.3.1. グラスウール断熱材 ....................................................................................... 43 2.3.2. ロックウール断熱材 ....................................................................................... 44 2.3.3. 押出法ポリスチレンフォーム断熱材 .............................................................. 45 2.3.4. サッシ ............................................................................................................. 46 2.3.5. 複層ガラス ...................................................................................................... 48

    3 硬質ウレタンフォーム断熱材(ボード品)の導入に向けた調整 ................................. 50 3.1. 硬質ウレタンフォーム断熱材(ボード品)の状況確認 ........................................ 50 3.2. 検討内容に係る資料作成等 .................................................................................... 58

    4 まとめと今後の課題 ...................................................................................................... 59 4.1. 現建材トップランナー制度の価格等動向調査 ...................................................... 59 4.2. 硬質ウレタンフォーム断熱材(ボード品)の導入に向けた各種調整 .................. 61

  • 1

    1 はじめに

    1.1. 背景と目的 民生分野のエネルギー消費量が依然として高水準で推移する中、経済産業省が平成 27年

    7月に公表した「長期エネルギー需給見通し」に沿った省エネルギーの徹底に向けて、引

    き続き民生分野のより一層の省エネルギー対策の推進が急務である。特に、空調のエネル

    ギー消費量は、住宅・建築物の分野では 20%~30%を占めているため、空調負荷を間接的

    に削減する効果がある断熱材等の断熱性能の向上について、効果的な施策が求められてい

    る。

    特に建材トップランナー制度においては、平成 25 年 12 月に断熱材(グラスウール断熱

    材、ロックウール断熱材、押出法ポリスチレンフォーム断熱材)を、平成 26 年 11 月に窓

    (サッシ及び複層ガラス)を対象として、目標年度の基準となる熱損失防止性能が示され、

    改善が期待されている。

    平成 27 年以降は、新たに当該建材トップランナー制度の対象となり得る建築材料につ

    いて継続的に調査を行い、建築材料の使用実態を踏まえた制度導入時の課題や効果につい

    て検討を進めている。

    そこで、本事業では、既に制度の対象となっている断熱材(グラスウール断熱材、ロッ

    クウール断熱材、押出法ポリスチレンフォーム断熱材)、窓(サッシ及び複層ガラス)の

    価格動向を把握し、普及に向けた道筋を把握することで、目標基準の達成にかかる現時点

    の評価を行うことを目的とする。

    また、制度への追加の俎上にある硬質ウレタンフォーム断熱材(ボード品)について、

    導入に必要な各種調整も行った。

  • 2

    1.2. 調査内容と実施方法 本調査の内容と実施方法は以下の通りである。

    (1)現建材トップランナー制度の価格等動向調査

    現建材トップランナー制度の対象である断熱材(グラスウール断熱材、ロックウール断

    熱材、押出法ポリスチレンフォーム断熱材)、窓(サッシ及び複層ガラス)に関して、下記

    ①~③の項目について、各種のデータや文献、有識者、業界団体、製造メーカー等へのア

    ンケート調査やヒアリング調査を通じて実態調査を行った。

    ①価格動向に関する原因分析調査

    各熱損失防止建築材料の価格、出荷量、性能値、表示制度等の調査を行い、価格変化や

    出荷量変化等の詳細な分析を行った。

    ②普及拡大に向けた需要予測調査

    各熱損失防止建築材料の普及に向けて、①による価格動向の影響のほか、新商品のイン

    パクトや需要サイドの意識の変化等による市況の動向について、詳細な分析を行った。

    ③今後の見通しの調査

    上記①、②を踏まえ、目標基準値の達成見込みの評価を行った。

    (2)硬質ウレタンフォーム断熱材(ボード品)の導入に向けた調整

    下記①~②の項目について、過年度の類似調査の結果を踏まえ、有識者及び業界へのヒ

    アリング等を通じて調査・確認を行った。

    ①硬質ウレタンフォーム断熱材(ボード品)の状況確認

    硬質ウレタンフォーム断熱材(ボード品)の種類、普及率、製造メーカー並びに各々の

    熱抵抗値・熱貫流率、性能値等の最新の状況について、業界団体、製造メーカー等へのヒ

    アリング調査を行うとともに、関係業界に対して、制度導入に向けた要望等を確認した。

    ②検討内容に係る資料作成等

    上記①における調査・確認内容を踏まえ、関連する委員会(総合資源エネルギー調査会

  • 3

    省エネルギー・新エネルギー分科会等)で審議を行うための基礎資料としての資料作成や

    データ分析等を行った。

  • 4

    2 現建材トップランナー制度の価格等動向調査

    ここでは、現建材トップランナー制度の対象である断熱材(グラスウール断熱材、ロッ

    クウール断熱材、押出法ポリスチレンフォーム断熱材)、窓(サッシ及び複層ガラス)に関

    して、価格動向に関する原因分析、普及拡大に向けた需要等の市況の影響、今後の見通し

    について、各種のデータや文献、有識者、業界団体、製造メーカー等へのアンケート調査

    やヒアリング調査を通じて実態調査・評価を行った。

    2.1. 価格動向に関する原因分析調査 2.1.1. 断熱材

    2.1.1.1. グラスウール断熱材

    1)熱損失防止性能の目標基準値への達成状況

    グラスウール断熱材の製造事業者大手 4 社の合計値において、熱損失防止性能(λ)の

    加重平均値は継続して改善傾向にある。

    改善傾向にある要因として、細繊維製品(HG グラスウール)の出荷比率が伸びている

    こと、高性能品のラインナップが増えてきていることが挙げられる。グラスウールの熱損

    失防止性能の改善要素は大きく分けて、①細繊維化、②高密度化となる。ZEH をはじめと

    した高断熱住宅における仕様水準の引き上げによって、更なる改善・普及が期待される。

    一方で、性能アップに伴う製造コストの上昇のほか、近年では原料・配送コストの上昇

    という高性能品の普及への阻害要因が高まりつつあることが懸念される 1。

    一部には低性能品により低下する性能を厚みによって補うことで同等の熱抵抗値(R 値)

    を満たす動きがあることから、今後の目標値の達成に影響を及ぼすことが懸念される。

    1 グラスウール断熱材の価格動向については、業界から十分な情報を得ることができず、把握できていない。

  • 5

    図表 2.1.1 グラスウール断熱材の熱損失防止性能(λ)の加重平均値の推移

    注)本推計では、グラスウール断熱材の製造事業者各社のλの加重平均値に、製造事業者間の出荷割合

    を乗じることで、業界全体での加重平均値を算出した。 出所)業界提供データに基づき作成

    2)表示制度への対応状況

    表示については JIS に沿って運用されている。また、日本建材・住宅設備産業協会が実

    施する、優良な断熱材を認証し、マークを表示する「優良断熱材認証制度(EI 制度)」に

    従って、硝子繊維協会では EI 制度を活用している。同協会加盟各社の住宅用グラスウー

    ル断熱材は、熱抵抗値 2.2m2K/W 以上、λ0.04156W/mK 以下(建材トップランナー制度

    目標基準値)の 2 つの基準をクリアした製品に EI マークを表示している。

    図表 2.1.2 優良断熱材認証制度(EI 制度)の表示マーク例

    出所)硝子繊維協会ウェブサイト

  • 6

    2.1.1.2. ロックウール断熱材

    1)熱損失防止性能の目標基準値への達成状況

    ロックウール断熱材の製造事業者大手 2 社の合計値において、熱損失防止性能(λ)の

    加重平均値は概ね継続して改善傾向にはある。

    建材トップランナー制度策定当時からあるマット品(密度 30kg/㎥以上・λ0.038W/mK)

    に加え、その後、高性能な床用ボード品(密度 60kg/㎥以上・λ0.036W/mK)や RC 張り

    付け品(密度 80kg/㎥以上・λ0.034W/mK)等を製造・販売している。ただし、発泡ウレ

    タン断熱材と競合するため、目標基準値の達成に向けてはコスト競争力の向上及び出荷量

    の増加が課題である。

    図表 2.1.3 ロックウール断熱材の熱損失防止性能(λ)の加重平均値の推移

    注)本推計では、ロックウール断熱材の製造事業者各社の熱損失防止性能λ別出荷実績から、業界全体

    での加重平均値を算出した。 出所)業界提供データに基づき作成

  • 7

    2)表示制度への対応状況

    表示については JIS に沿って運用されており、品番、梱包の寸法、入り数、JIS 表記と

    ともに、熱抵抗値(㎡・K/W)とλ(W/mK)が表示されている。

    図表 2.1.4 ロックウール断熱材の梱包表記の例

    出所)業界提供資料

  • 8

    3)価格動向

    ロックウール断熱材について、トップランナー制度の対象となった2013年(平成25年)

    を 100 とした場合の価格変化比率はあまり変化がない状況である。2015 年に若干上昇し

    ているのは、原料費や輸送費の上昇の影響によるものが原因である。

    近年の原料費や輸送費の上昇の影響に伴う価格上昇があるほか、競合する発泡ウレタン

    等の市況の影響により、コスト競争力の維持・向上や安定的な出荷量の維持・拡大にかか

    る課題が左右される。

    図表 2.1.5 ロックウール断熱材の価格変化率

    注)2018 年は 1~6 月の半期データである。

    出所)業界提供データに基づき作成

    80

    85

    90

    95

    100

    105

    110

    115

    120

    2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年

    55mm程度(λ=0.038相当) 75mm程度(λ=0.038相当)

  • 9

    2.1.1.3. 押出法ポリスチレンフォーム断熱材

    1)熱損失防止性能の目標基準値への達成状況

    押出法ポリスチレンフォーム断熱材の製造事業者大手 3 社の合計値において、熱損失防

    止性能(λ)の加重平均値は概ね改善傾向を示しており、JIS 規格の改定に合わせて、基

    準値の変更や気泡微細化製法の導入等により 1 種品の性能が向上したことから、2017 年

    度単年度では目標基準値を達成している状況にある。

    今後の需要動向等により状況が変動することが考えられることから、着実な目標基準値

    に向けて更なる性能改善及び普及が求められる。改善の方策としては、高付加価値品(λ

    0.028W/mK)への製品転換による高付加価値品のシェア拡大に加え、適正な量の輻射抑制

    剤の添加又は高密度化もしくは気泡の微細化等が挙げられる。

    カネカでは、λ0.020W/mK を実現した「カネカライトフォームα(アルファ)」が 2018

    年に発売されている。また、ダウ化工ではλ0.022W/mK 以下を実現した「スタイロフォ

    ーム FG」に加えて、λ0.020W/mK 以下を実現する「スタイロフォーム HP」を 2018 年

    に発売されている。さらに、JSP ではλ0.022W/mK を実現した「ミラフォームΛ(ラム

    ダ)」を発売している。このような高性能品が普及すれば、目標基準値を引き続き達成する

    ことは十分可能と見込まれる。

    図表 2.1.6 押出法ポリスチレンフォーム断熱材の熱損失防止性能

    (λ)の加重平均値の推移

    注)本推計では、押出法ポリスチレンフォーム断熱材の造事業者各社の熱損失防止性能λ別出荷実績から、

    業界全体での加重平均値を算出した。

    出所)業界提供データに基づき作成

  • 10

    2)表示制度への対応状況

    表示については JIS に沿って運用されており、「建材トップランナー制度対象商品」で

    ある旨、品名、JIS 表記、熱抵抗値(㎡・K/W)等とともに、λ(W/mK)が表示されてい

    る。これらの製品の性能値とともに、平成 34 年度目標値 0.03232(W/mK)も併せて表示

    されている。

    図表 2.1.7 押出法ポリスチレンフォーム断熱材の表示例

    出所)業界提供資料

  • 11

    3)価格動向

    押出法ポリスチレンフォーム断熱材について、トップランナー制度の対象となった 2013

    年(平成 25 年)を 100 とした場合の価格変化比率は、1 種・2 種・3 種のいずれも概ね一

    貫した増加傾向が続いている。その要因としては、ほぼ一貫して原料費の上昇があげられ

    ているほか、直近では輸送費の上昇もあげられている。

    今後も原料費の上昇及び輸送費の上昇が継続する場合には、価格上昇の傾向が見込まれ

    る。

    図表 2.1.8 押出法ポリスチレンフォーム断熱材の価格変化率

    注)2018 年は 1~6 月の半期データである。

    出所)業界提供データに基づき作成

    80.0

    85.0

    90.0

    95.0

    100.0

    105.0

    110.0

    115.0

    120.0

    2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年

    1種b(λ=0.040相当) 2種b(λ=0.034相当) 3種b(λ=0.028相当)

  • 12

    2.1.2. サッシ

    1)熱損失防止性能の目標基準値への達成状況

    サッシについては、「単板ガラス用アルミサッシ」や「複層ガラス用アルミサッシ」から、

    高性能な「アルミ樹脂複合サッシ」や「樹脂サッシ」への製品転換によってシェアが変化

    していることにより、特に近年はその傾向が強まっており、熱損失防止性能(通過熱流量)

    の製造事業者の加重平均値は改善傾向にあると推察される。

    アルミ樹脂複合サッシ及び樹脂サッシの出荷量推移を以下に記載する。

    図表 2.1.9 アルミ樹脂複合サッシ、樹脂サッシの出荷量推移(2007~2017 年度)

    出所)業界提供データ及び日本建材・住宅設備産業協会「2018/2019 年版 建材・住宅設備統計要覧」に

    基づき作成

    1,162 1,200 1,274

    1,935 1,776 1,714 1,897 1,717 2,059 2,106 2,256

    3,149 3,392 3,232

    3,590 3,578 4,084

    4,512 4,027 4,098

    4,708

    5,586

    0

    1,000

    2,000

    3,000

    4,000

    5,000

    6,000

    出荷量(

    千窓)

    樹脂サッシ アルミ樹脂複合サッシ

  • 13

    続いて、開閉形式(引違い、縦すべり出し、横すべり出し、FIX、上げ下げ)別のサッシ

    出荷量における素材別比率(製造事業者大手 3 社のメイン製品の出荷量の合計値)を以下

    に記載する。

    図表 2.1.10 開閉形式毎のサッシ出荷量における素材別出荷量比率の推移

    [ 凡例 ]

    : 樹脂サッシ

    : アルミ樹脂複合サッシ

    : アルミ PG サッシ

    : アルミ SG サッシ

    出所)業界提供データに基づき作成

    0%

    20%

    40%

    60%

    80%

    100%

    2012 2015 2016 2017 2022

    出荷量シェア

    引き違い

    0%

    20%

    40%

    60%

    80%

    100%

    2012 2015 2016 2017 2022

    出荷量シェア

    縦すべり出し

    0%

    20%

    40%

    60%

    80%

    100%

    2012 2015 2016 2017 2022

    出荷量シェア

    横すべり出し

    0%

    20%

    40%

    60%

    80%

    100%

    2012 2015 2016 2017 2022

    出荷量シェア

    FIX

    0%

    20%

    40%

    60%

    80%

    100%

    2012 2015 2016 2017 2022

    出荷量シェア

    上げ下げ

  • 14

    目標基準年度に向けて、「単板ガラス用アルミサッシ」の出荷量比率が概ね減少傾向にあ

    り、さらに「アルミ樹脂サッシ」の出荷量比率は一貫して増加傾向にあり、すべての開閉

    形式において既に 2022 年度の目標に到達している。このように、主要なサッシ製造事業

    者の主要製品では、熱損失防止性能の加重平均値が大きく改善傾向にあることが分かる。

    2022 年度の目標基準値は、開閉形式毎に、全ての素材で最も優れた熱損失防止性能(通

    過熱流量)を加味し、窓面積別の関数式に従い算出される。以下にその算定式を記載する。

    図表 2.1.11 開閉形式毎のサッシの目標基準値 算定式

    区分名 基準熱損失防止性能の算定式

    q

    S

    通過熱流量[W/K]

    窓面積[㎡]

    引違い q = 2.21S0.91 + 1.38S0.94 +

    0.14S0.99

    縦すべり出し q = 1.49S0.77 + 1.56S0.87 +

    0.37S1.12

    横すべり出し q = 1.71S0.86 + 1.30S0.92 +

    0.40S1.08

    FIX q = 1.71S0.89 + 1.27S0.97 +

    0.28S1.03

    上げ下げ q = 2.54S0.79 + 1.02S0.88 +

    0.12S1.06

    出所)経済産業省 告示 第二百三十四号

    上図の算定式と業界からの提供データ(2015 年度・2016 年度・2017 年度)に基づ

    き、開閉形式毎の性能値を算出した。なお、2012 年度及び 2020 年度の算出に際して

    は、代表的な窓の通過熱流量と出荷窓数が 2017 年度と同様であると仮定し、前述の素材

    別出荷量比率を用いて、開閉形式毎に通過熱流量の加重平均値を推計した。

    この推計結果によると、2012 年度の性能値から概ね改善傾向にあることが推察される。

    さらに「上げ下げ」形式では、2022 年度の目標基準値を継続して達成している可能性があ

    る。

  • 15

    図表 2.1.12 開閉形式毎のサッシの目標基準値への達成状況(推定)

    注)本推計では、住宅用サッシ製造事業者各社の通過熱流量の加重平均値(開閉形式別)に、業界の素材別出

    荷比率を乗じることで、業界全体での加重平均値を算出した。なお、製造事業者間の出荷割合について

    は、2012、2015~2017、2022 年ともに、不変であると仮定している。

    出所)業界提供データに基づき作成

    本調査報告書は、全体の傾向を推定することを目的に行った、住宅用サッシの主要な製

    造事業者大手 3 社の主要製品・代表サイズを対象とした調査である。実際には多様な製品

    バリエーションがあることから、本調査結果をもって目標基準年での達成度合いを必ずし

    も正確に把握できているとは限らない。現状では各製造事業者のデータ把握には制約があ

    ることから、対象となる全製品のデータ把握には時間を要する見込みである。

    9.07 8.87

    8.78

    8.73 8.12

    0.0

    2.0

    4.0

    6.0

    8.0

    10.0通過熱流量[W/K]

    引違い

    2.15 2.11

    2.05

    2.11 2.09

    0.0

    0.5

    1.0

    1.5

    2.0

    2.5通過熱流量[W/K]

    縦すべり出し

    1.96 1.94

    1.91 1.91

    1.90

    0.0

    0.5

    1.0

    1.5

    2.0

    2.5通過熱流量[W/K]

    横すべり出し

    2.51 2.42

    2.39

    2.40 2.34

    0.0

    0.5

    1.0

    1.5

    2.0

    2.5

    3.0通過熱流量[W/K]

    FIX

    2.75 2.54

    2.51

    2.57 2.64

    0.0

    0.5

    1.0

    1.5

    2.0

    2.5

    3.0通過熱流量[W/K]

    上げ下げ

  • 16

    以下に、公開情報に基づく、製造事業者が発売している最新製品の特徴を記述する。

    (1)製品例①(LIXIL):サーモス L

    LIXIL は、アルミ樹脂複合サッシ窓の製品ラインアップを取り揃えている。同製品は、

    Low-E 複層ガラスを標準装備しており、熱伝導率λの低いアルゴンガスにも対応している。

    また、サッシ部分の面積を削減し、Low-E 複層ガラスの高い性能を有効に活かしやすい構

    造となっている。

    図表 2.1.13 LIXIL の普及価格帯アルミ樹脂複合サッシ窓

    出所)LIXIL ウェブサイト

  • 17

    (2)製品例②(YKK AP):エピソード NEO(ネオ)

    YKK AP は、アルミ窓と同程度の価格帯でアルミ樹脂複合窓を 2017 年 4 月から発売し

    た。同製品の熱貫流率は、中空層が 10mm 以上の Low-E 複層ガラスと組み合わせると、

    2.33W/㎡・K となるほか、アルミ窓と比較して結露しにくく防露性に優れているとされて

    いる。

    図表 2.1.14 YKK AP の普及価格帯アルミ樹脂複合サッシ窓

    出所)YKK AP ウェブサイト

  • 18

    2)表示制度への対応状況

    サッシはカタログ等への表示が必要となっている。表示項目は、「1.製造事業者名」、「2.

    製品名」、「3.開閉形式区分」、「4.通過熱流量 q 値(算出式でも可)[W/K]」の 4 つであ

    る。日本サッシ協会会員各社はカタログ、仕様書等に表示している状況である。

    また、製品や梱包等への表示も努力義務として設けられている。表示項目は、4 段階の

    目標達成度と区分名とされており、目標達成度については代表的なサイズにおける熱損失

    防止性能の達成度合いとされている。なお、区分名については、別ラベル等で確認できる

    場合は省略することができるとされている。主な製造事業者を中心に製品の梱包材への表

    示も開始されている。

    図表 2.1.15 サッシにおける建材トップランナー制度表示

    出所)日本サッシ協会提供データ

  • 19

    図表 2.1.16 サッシにおける建材トップランナー制度表示(個社事例①)

    出所)LIXIL 提供データ

    図表 2.1.17 サッシにおける建材トップランナー制度表示(個社事例②)

    出所)三協立山提供データ

  • 20

    3)価格動向

    サッシについて、トップランナー制度の対象となった 2014 年(平成 26 年)を 100 とし

    た場合の価格変化比率は、構造種別により変化の傾向が異なっている。

    アルミ SG は 2014 年以降は若干の変動はあるものの、大きな価格変化は見られない。

    アルミ PG・アルミ樹脂複合は概ね一貫して価格低下の傾向にあることがうかがえる。一

    方、樹脂については、一貫して上昇傾向にあることがうかがえる。

    価格低下の傾向のあるアルミ PG は低価格ニーズの高い販売先が増加したこと、アルミ

    樹脂複合は市場への製品普及およびローコスト製品の市場投入による影響が要因としてあ

    げられている。

    また、価格上昇の傾向にある樹脂については、原料費の上昇や、Low-E 化率の向上など

    が要因としてあげられている。

    図表 2.1.18 サッシの価格変化率

    注)2018 年は 4~9 月の半期データである。

    出所)業界提供データに基づき作成

    80.0

    85.0

    90.0

    95.0

    100.0

    105.0

    110.0

    115.0

    120.0

    2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年

    アルミSG アルミPG アルミ樹脂複合 樹脂

  • 21

    2.1.3. 複層ガラス

    1)熱損失防止性能の目標基準値への達成状況

    戸建・共同住宅のいずれにおいても、複層ガラス及び Low-E ガラスの普及状況は増加傾

    向にあり、特に、戸建住宅において、面積ベースの複層ガラスの比率は平成 23(2011)年

    度には既に 9 割を超えており、Low-E 化率も平成 26(2014)年度から 7 割を超えている

    ことからも、建材トップランナー制度の施行以前に比べ、熱損失防止性能は改善傾向にあ

    ると推察される。

    図表 2.1.19 各種ガラスの面積比率の推移(平成 11(1999)~平成 29(2017)年度)

    出所)板硝子協会

    製造事業者大手 3 社における Low-E 化率について、2012 年度・2015 年度・2016 年度・

    2017 年度の加重平均値、及び 2022 年度の目標値を以下に記載する(他の年度は線形補間

    で近似)。なお、本集計ではガラス厚みの合計が 10mm 以下の複層ガラスを対象としてい

    る。

  • 22

    図表 2.1.20 ガラス厚み 10mm 以下の複層ガラスにおける Low-E 複層ガラスの普及率

    注)トップランナー制度では中空層の厚さ別に設定された熱損失防止性能又はその算定式が複層ガラス

    の目標基準値とされているが、各製造事業者においてデータの把握に制約があることから、目標基

    準値算出に関連性が高く、かつ把握可能な Low-E 複層ガラスの目標普及率(シェア)を代替指標

    とした。

    本推計では、複層ガラス製造事業者各社の Low-E 複層ガラスの普及率の加重平均値に、製造事業

    者間の出荷割合を乗じることで、業界全体での加重平均値を算出した。

    出所)業界提供データに基づき作成

    続いて、参考指標の状況として、製造事業者大手 3 社におけるガス化率について、

    2012 年度・2015 年度・2016 年度・2017 年度の加重平均値を以下に記載する。同様に、

    本集計ではガラス厚みの合計が 10mm 以下の複層ガラスを対象としている。

    49.9% 64.5%

    67.8%

    67.9%

    66.1%

    0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

    100%

    2012 2015 2016 2017 2022(目標)

    普及率

  • 23

    図表 2.1.21 ガラス厚み 10mm 以下の複層ガラスにおけるガス化率

    出所)業界提供データに基づき作成

    上記グラフで示すガス種別としては、アルゴンガスとクリプトンガスの両方が含まれて

    いる(クリプトンガスは主にトリプルガラスに封入されている)。なお、トリプルガラスの

    出荷量は増加傾向にあるものの、その数量は限定的である非常に限られていることから、

    複層ガラス全体の熱損失防止性能(熱貫流率)に影響を及ぼすには至っていない。

    5.3%

    19.7%

    21.0%

    24.4%

    0%

    10%

    20%

    30%

    40%

    50%

    60%

    70%

    80%

    90%

    100%

    2012 2015 2016 2017 2022

    ガス化率

    複層ガラスへの建材トップランナー制度で

    設けられた目標値にガス化率は考慮されて

    いない。

  • 24

    以下に、製造事業者が発売している最新製品の特徴を記述する。

    (1)製品例①(AGC)

    AGC は、世界最高レベルの断熱性能を有するアルゴンガス入り Low-E ペアガラスを搭

    載した内窓を販売している。同製品はガラス総層 22mm の Low-E ペアガラスの中空層(最

    大 16mm)にアルゴンガスを封入している。また、既存の住宅窓面積を超える長辺 3m の

    大型窓にも対応しており、様々な施設での導入が期待される。

    図表 2.1.22 AGC のアルゴンガス入り Low-E ペアガラスを搭載した内窓

    出所)AGC ウェブサイト

  • 25

    (2)製品例②(日本板硝子)

    日本板硝子は世界で初めて高断熱真空ガラスを実用化し、性能改善を図りながら販売を

    続けている。真空ガラスの厚みは 1 枚ガラスとほぼ同じ 6mm 程度でありながら、ガラス

    とガラスの間にマイクロスペーサーを挟み込むことで、約0.2mmの真空層を設けている。

    また、Low-E 加工も施されているため、フロートガラスと比べて約 4 倍の断熱性能、一般

    複層ガラスペアマルチと比べて約 2 倍の断熱性能を実現している。

    同製品は、厚みが 1 枚ガラスとほぼ同じであるため、既存サッシを活用したまま、ガラ

    スを取り替えて窓の断熱性能の向上が図れる製品となっており、製品転換による熱損失防

    止性能の向上が期待される。

    図表 2.1.23 日本板硝子の高断熱真空ガラスの構造図

    出所)日本板硝子ウェブサイト

  • 26

    2)表示制度への対応状況

    複層ガラスはカタログ等への表示が必要となっている。該当する製造事業者は複層ガラ

    スの熱損失防止性能に関する情報として、「1.品名または形名」「2.熱損失防止性能(熱

    貫流率 U 値)」「3.熱損失防止建築材料製造事業者等の氏名または名称」の 3 つをカタロ

    グ等で表示している。なお、以下の任意表示マークのある Low-E 複層ガラスは目標基準値

    達成ガラスであることを示している。

    図表 2.1.24 複層ガラスにおける建材トップランナー制度 任意表示マーク

    出所)板硝子協会

    図表 2.1.25 複層ガラスにおける建材トップランナー制度 任意表示マーク

    出所)YKK AP 提供データ

  • 27

    また、板硝子協会では高い断熱性能を持つガラスに対して、「エコガラスマーク」を付

    与している。断熱性能の高さによって付与される「エコガラスマーク」が異なっており、

    断熱性能 2.33 W/㎡・K 以下の窓ガラスには最高性能のマークが付与される。

    図表 2.1.26 エコガラスマーク一覧

    出所)板硝子協会

  • 28

    3)価格動向

    複層ガラスについて、トップランナー制度の対象となった 2014 年(平成 26 年)を 100

    とした場合の価格変化比率は複層ガラスの種別により変化の傾向が若干異なっている。

    「普通ガラス 3 ㎜ + 中空層(空気)12 ㎜ + 普通ガラス 3 ㎜」は従前よりあまり大き

    な価格変動はなかったが、2014 年以降は一旦上昇した後、近年は低下傾向にある。

    「普通ガラス 3 ㎜ + 中空層(空気)12 ㎜ + Low-E ガラス 3 ㎜」は従前から価格低下

    の傾向にあったが、近年はわずかながら上昇傾向にある。

    「普通ガラス 3 ㎜ + 中空層(アルゴンガス)12 ㎜ + Low-E ガラス 3 ㎜」については、

    概ね一貫して上昇傾向にあることがうかがえる。

    価格変化が比較的落ち着いてきている「普通ガラス 3 ㎜ + 中空層(空気)12 ㎜ + 普

    通ガラス 3 ㎜」、「普通ガラス 3 ㎜ + 中空層(空気)12 ㎜ + Low-E ガラス 3 ㎜」につい

    ては、前出のように複層ガラスや Low-E ガラスの市場への製品普及による影響等が要因

    としてあげられている。

    また、価格上昇の傾向にある「普通ガラス 3 ㎜ + 中空層(アルゴンガス)12 ㎜ + Low-

    E ガラス 3 ㎜」については、原料費の上昇や、より高性能品が志向されることによる影響

    が要因としてあげられている。

    図表 2.1.27 複層ガラスの価格変化率

    注)なお、業界各社のデータ管理状況の違いから年度での集計となっている。なお、2018 年

    は 1~6 月(一部は 4~9 月)の上半期データである。

    出所)業界提供データに基づき作成

    80

    85

    90

    95

    100

    105

    110

    115

    120

    2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年

    普通ガラス3㎜ + 中空層(空気)12㎜ + 普通ガラス3㎜

    普通ガラス3㎜ + 中空層(空気)12㎜ + Low-Eガラス3㎜

    普通ガラス3㎜ + 中空層(アルゴンガス)12㎜ + Low-Eガラス3㎜

  • 29

    2.2. 普及拡大に向けた需要予測調査

    2.2.1. 建材別需要予測の状況

    1)断熱材

    「2017 年版 住設建材マーケティング便覧」(富士経済)による建材別需要予測によると、

    断熱材(グラスウール、ロックウール、押出法ポリスチレン、硬質ウレタンフォーム)の

    需要(数量及び金額)は、2022 年まで、年平均 2~3%の成長が予想されているが、2020

    年以降の成長率は収束傾向にある。一方で、平均価格に有意な変化は見られない。

    建築物の省エネ化に関わる規制や補助金等により、高性能断熱材の採用率は増加する一

    方で、新築着工件数の減少により、販売数量は減少していくことが見込まれている。

    図表 2.2.1 断熱材の需要予測

    出所)「2017 年版 住設建材マーケティング便覧」(富士経済)に基づき作成

    2)複層ガラス

    2015 年から 2022 年における複層ガラスの需要に着目すると、販売数量が僅かに減少傾

    向にある一方で、販売金額は僅かに増加傾向にある。理由としては、既に、新設の住宅着

    工戸数が減少することに加え、複層ガラスの住宅における採用率が、現時点で既に高いこ

    とに起因すると考えられる。平均価格は、2015 年から 2022 年にかけて、僅かに上昇する

    年次

    293,000 303,200 309,020 317,000 328,800 339,400 336,400 337,200103.5 101.9 102.6 103.7 103.2 99.1 100.2 2.0

    110,940 114,900 117,200 120,300 125,000 129,300 128,100 128,100103.6 102.0 102.6 103.9 103.4 99.1 100.0 2.1

    378.6 379.0 379.3 379.5 380.2 381.0 380.8 379.9100.1 100.1 100.1 100.2 100.2 100.0 99.8 0.0

    145,000 147,800 150,000 153,000 159,000 165,000 163,000 163,000101.9 101.5 102.0 103.9 103.8 98.8 100.0 1.7

    50,000 51,000 51,800 52,800 54,900 57,000 56,000 55,800102.0 101.6 101.9 104.0 103.8 98.2 99.6 1.6

    344.8 345.1 345.3 345.1 345.3 345.5 343.6 342.3100.1 100.1 99.9 100.1 100.0 99.5 99.6 -0.1

    58,000 61,000 61,700 63,000 65,000 67,600 67,000 67,300105.2 101.1 102.1 103.2 104.0 99.1 100.4 2.2

    9,900 10,400 10,500 10,700 11,100 11,500 11,300 11,400105.1 101.0 101.9 103.7 103.6 98.3 100.9 2.1

    170.7 170.5 170.2 169.8 170.8 170.1 168.7 169.499.9 99.8 99.8 100.5 99.6 99.1 100.4 -0.1

    38,000 39,600 40,600 42,000 44,000 46,000 45,500 46,000104.2 102.5 103.4 104.8 104.5 98.9 101.1 2.8

    26,600 27,700 28,400 29,300 30,700 32,100 32,000 32,100104.1 102.5 103.2 104.8 104.6 99.7 100.3 2.7

    700.0 699.5 699.5 697.6 697.7 697.8 703.3 697.899.9 100.0 99.7 100.0 100.0 100.8 99.2 0.0

    52,000 54,920 56,720 59,000 60,800 60,800 60,900 60,900105.6 103.3 104.0 103.1 100.0 100.2 100.0 2.3

    24,440 25,800 26,500 27,500 28,300 28,700 28,800 28,800105.6 102.7 103.8 102.9 101.4 100.3 100.0 2.4

    470.0 469.8 467.2 466.1 465.5 472.0 472.9 472.9100.0 99.5 99.8 99.9 101.4 100.2 100.0 0.1

    ロックウール

    押出法ポリスチレン

    硬質ウレタン

    金額 百万円前年比 %平均価格 千円/t

    数量 t前年比 %

    前年比 %

    前年比 %

    金額 百万円

    平均価格 千円/t

    数量 t前年比 %

    平均価格 千円/t

    前年比 %平均価格 千円/t

    数量 t前年比 %金額 百万円前年比 %

    全体市場

    グラスウール

    CAGR %(2015~2022)

    数量 t

    2021年(予測)

    2022年(予測)建材別

    2015年(実績)

    2016年(実績)

    2017年(見込)

    2018年(予測)

    2019年(予測)

    2020年(予測)

    前年比 %金額 百万円

    数量 t前年比 %金額 百万円前年比 %平均価格 千円/t

    前年比 %

    前年比 %

    前年比 %

    前年比 %

  • 30

    ことが見込まれている。

    図表 2.2.2 複層ガラスの需要予測

    出所)「2017 年版 住設建材マーケティング便覧」(富士経済)に基づき作成

    3)サッシ

    サッシについては、2015年から2022年にかけてアルミサッシの需要が減少する一方で、

    アルミ樹脂複合サッシや樹脂サッシの需要が拡大している。高性能建材へのシフトが起き

    ていると想定される。平均価格に着目すると、特にアルミ樹脂複合サッシでは、2015 年か

    ら 2022 年にかけて、4%/年で平均価格を下げており、需要の拡大と平均価格の低下が同

    時に進んでいくことが見込まれている。

    図表 2.2.3 サッシにおける需要予測

    出所)「2017 年版 住設建材マーケティング便覧」(富士経済)に基づき作成

    年次

    13,000 13,300 13,300 13,400 13,500 13,400 13,200 12,700102.3 100.0 100.8 100.7 99.3 98.5 96.2 -0.3

    72,400 74,200 74,500 75,300 76,000 76,000 76,000 75,000102.5 100.4 101.1 100.9 100.0 100.0 98.7 0.5

    5569.2 5578.9 5601.5 5619.4 5629.6 5671.6 5757.6 5905.5100.2 100.4 100.3 100.2 100.7 101.5 102.6 0.8前年比 %

    複層ガラス

    CAGR %(2015~2022)

    2021年(予測)

    2022年(予測)建材別

    数量 千m2

    2015年(実績)

    2016年(実績)

    2017年(見込)

    2018年(予測)

    2019年(予測)

    2020年(予測)

    前年比 %金額 百万円前年比 %平均価格 千円/千m2

    年次

    11,000 11,200 11,000 11,200 11,200 10,500 10,000 9,600101.8 98.2 101.8 100.0 93.8 95.2 96.0 -1.9

    392,000 392,000 392,000 399,800 407,000 407,000 406,000 405,000100.0 100.0 102.0 101.8 100.0 99.8 99.8 0.5

    35636.4 35000.0 35636.4 35696.4 36339.3 38761.9 40600.0 42187.598.2 101.8 100.2 101.8 106.7 104.7 103.9 2.5

    3,450 4,150 4,150 4,800 5,200 5,600 5,900 6,200120.3 108.7 106.4 108.3 107.7 105.4 105.1 8.8

    146,100 160,000 168,000 173,000 179,000 185,000 189,000 194,500109.5 105.0 103.0 103.5 103.4 102.2 102.9 4.2

    42347.8 38554.2 40481.9 36041.7 34423.1 33035.7 32033.9 31371.091.0 105.0 89.0 95.5 96.0 97.0 97.9 -4.1

    1,760 1,870 1,990 2,100 2,200 2,300 2,350 2,400106.3 106.4 105.5 104.8 104.5 102.2 102.1 4.5

    46,700 50,000 53,500 56,500 59,300 62,000 63,500 64,800107.1 107.0 105.6 105.0 104.6 102.4 102.0 4.8

    26534.1 26738.0 26884.4 26904.8 26954.5 26956.5 27021.3 27000.0100.8 100.5 100.1 100.2 100.0 100.2 99.9 0.2

    前年比 %

    アルミ樹脂複合

    樹脂

    前年比 %

    金額 百万円前年比 %平均価格 千円/千窓

    数量 千窓前年比 %金額 百万円前年比 %平均価格 千円/千窓

    数量 千窓前年比 %

    CAGR %(2015~2022)

    アルミ

    前年比 %

    2021年(予測)

    2022年(予測)建材別

    数量 千窓前年比 %

    2015年(実績)

    2016年(実績)

    2017年(見込)

    2018年(予測)

    2019年(予測)

    2020年(予測)

    金額 百万円前年比 %平均価格 千円/千窓

  • 31

    2.2.2. 事業者ヒアリング結果

    「2.2.1. 建材別需要予測」での調査結果に基づき、高性能建材の新商品開発の影響や、需要側の意識変化等が高性能建材の普及にもたらす影響について、設計者や建材卸業者等、

    実際に高性能建材を取り扱う場面のある事業者に対してヒアリングを行い、実態調査を行

    った。

    1)商品開発・将来需要

    ① 高性能建材の将来需要予測に対する意見、現場担当者から見た実態との乖離、その理由

    住宅市場においては、高性能建材へのシフトは着実に進んでおり、今後も拡大すると見

    込まれる。断熱材と複層ガラスについては、既に一定以上の性能を有する高性能建材が市

    場で普及している一方で、更なる高性能品については、厚みの関係で施工しづらい等の課

    題があり、普及に対する課題が指摘された。サッシについては、アルミサッシから、アル

    ミ樹脂複合サッシへの転換が進んでおり、今後もこの流れが続いていくという見方がされ

    ている。

    図表 2.2.4 ヒアリング結果と示唆(商品開発・将来需要)

    示唆 ヒアリング結果(一部抜粋)

    住宅

    全体

    • 高性能建材へのシフト

    は着実に進んでおり、今

    後も拡大すると見込まれ

    る。

    • 「断熱材単独の性能アップを考慮した場合、厚さを増す

    ことが最も利くが、住宅では限られた厚さで対応すること

    を目的として、高密度・高性能品を使用するようになって

    きている。」(住宅生産団体連合会 会員企業)

    • 「建材全体の将来需要については、建築着工数の減少

    等に伴い、頭打ちとなる将来推計の通りかと思われる。

    ただし、TR 製品をはじめとする高性能建材の占める割

    合はますます拡大していくと考えられる。」(ZEH 推進協

    議会)

    断熱材

    • 一方で、断熱材におい

    て、更なる高性能品への

    シフトは顕著であるとは

    言いがたい。

    • 「ZEH 普及の影響により、性能の良いものが選ばれつつ

    あるが、劇的に総量が増えているわけではない。」(住宅

    生産団体連合会 会員企業)

    • 「断熱材の選び方に関しては、住宅トップランナー基準

    が 2020 年に上がるため、そのタイミングで変化すること

  • 32

    示唆 ヒアリング結果(一部抜粋)

    • また、技術的にも臨界点

    を迎えているという認識

    がある。

    が予想されるが、ここ直近の選定商品は代わり映えが見

    られない。大きく性能を向上させたい場合は、窓の仕様

    を変更しがち。」(住宅生産団体連合会 会員企業)

    • 「繊維系断熱材では厚さを厚くすることができない場合

    は、密度を上げることで性能向上を図るが、現状用いて

    いる製品の密度は上限に近付いている。(住宅生産団

    体連合会 会員企業)

    複層

    ガラス

    • 住宅において複層ガラ

    スは、既に標準化されて

    いる。

    • 複層ガラスより高性能

    な、ガス入りガラスやトリ

    プルガラスは、施工性の

    問題等により現状普及

    はしていない。

    • 「複層ガラスは、次世代省エネ基準が 1999 年に設定さ

    れてからずっと標準となっている。」(住宅生産団体連合

    会 会員企業)

    • 「一戸建てだけでなくアパートでも、3 年前くらいからほと

    んど複層ガラスが採用され始めている。トリプルガラスの

    導入しているところも出てきてはいる。」(大手建材卸業

    者)

    • 「ガス入り等の新しいタイプのガラスが登場し、さらに間

    の空気層を厚くするタイプも登場したが、ここ数年でほぼ

    限界を迎えている。その先の性能を求めると、トリプルガ

    ラスを採用することになるが、窓の重量の増加、窓の種

    類が限られる等で、設計上の制約が増加してしまう。」

    (住宅生産団体連合会 会員企業)

    サッシ

    • 日本ではこれまでアルミ

    サッシが主流であった

    が、今後は、アルミ樹脂

    複合サッシが採用される

    場面が増えてくると考え

    られている。

    • 「住宅だけを考慮した場合、ほとんどの場合、アルミ樹脂

    複合サッシが標準的に採用されている。」(住宅生産団体

    連合会 会員企業)

    • 「アルミサッシは、加工がしやすく、防火性も高いため日

    本で普及した。一方で、海外では樹脂サッシの導入率が

    高いという話を聞く。日本でもいずれ樹脂サッシが普及し

    ていくことが望ましい。(アルミ樹脂)複合サッシはあくまで

    経過点と考えている。」(大手住宅設計者)

    • 「「開口部については、LIXIL のアルミ樹脂複合サッシが

    登場して以降、ZEH を目指す際には使われるようになっ

    ている。価格的にも想定していたよりも安価であった。」

    (大手住宅設計者)

  • 33

    2)新商品開発の影響

    ① 新商品採用の意思決定要素と優先順位(断熱性、デザイン性、施工性・加工性、重量、強

    度・耐久性、防火性)

    住宅の場合、施主のニーズや分譲・賃貸の違い等によって、新商品を採用する際の基準

    や優先順位も異なってくる。サッシでは、意匠性が優先される場合、高性能サッシの製品

    ラインナップがニーズに対して十分でないことにより、断熱性との両立が難しいことも指

    摘された。

    図表 2.2.5 ヒアリング結果と示唆(新商品開発の影響)【1/3】

    示唆 ヒアリング結果(一部抜粋)

    住宅

    全体

    • 多くの場合、優先順位は

    ケースバイケースで決ま

    る。

    • 物件(分譲、賃貸等)に

    よって、優先順位が変わ

    ってくる。

    • 一方で、新商品を採用

    する際に、断熱材を最も

    重視する事業者もいる。

    • 「新商品採用の意思決定要素の優先順位は、一位が

    「断熱性」、二位が「強度、耐久性、防火性」、三位が「施

    工性、加工性、重量」、四位が「デザイン性」である。ただ

    し一般論ではない。物件によっては、デザイン性を一番

    重要視する場合もある。」(大手住宅設計者)

    サッシ

    • 意匠性を重視した場合、

    高性能建材の商品ライン

    ナップの少なさがボトル

    ネックとなる場合がある。

    • 「(アルミ樹脂)複合サッシは製品ラインナップが非常に限

    られているため、採用を見送るケースが多い。特に、カー

    テンウォールやコーナーサッシとして使える製品がなく、

    二重窓等で対応せざるを得なくなっている。」(大手住宅

    設計者)

    • 「意匠性を考慮すると、カーテンウォールやコーナーサッ

    シにおける(アルミ樹脂)複合サッシの製品ラインナップが

    少ないということはかなりの痛手である。」(大手住宅設計

    者)

  • 34

    ② 断熱材・窓の価格について 住宅、非住宅に関わらず、高性能建材に対する価格許容度はケースバイケースであることが

    指摘された。住宅の場合、断熱材の価格は、近年横ばい傾向であると認識されている。サッシ

    については、樹脂サッシを導入しようとすると、依然コスト増が問題となる一方で、アルミ樹

    脂複合サッシもコスト増はあるものの、市場に導入された当時の価格は想定していたよりも安

    かったという見方がある。

    図表 2.2.6 ヒアリング結果と示唆(新商品開発の影響)【2/3】

    示唆 ヒアリング結果(一部抜粋)

    住宅

    全体

    • 高性能建材に対しての

    価格許容度は、買い手

    の事情によって、ケース

    バイケースである。

    • 全体の中で、ZEH レベ

    ルの高性能建材を購入

    できる層は小さい。

    • 「性能はともかく、単に家を買えればいい、という層も一

    定数はいる。感覚的には全体の 6~7 割は、コストをぎり

    ぎりまで抑えたいという層である。(つまり、省エネ性能等

    へのこだわりがない)」(大手建材卸業者)

    • 「一方で、予算を 100~150 万程度増やせば ZEH 対応

    が可能になるため、省エネ基準超えるだけのお金を出

    せる層は ZEH を志向しやすい。予算増分は光熱費の

    削減で十分に回収できるだろう。」(大手建材卸業者)

    • 高性能建材は、コスト面

    の影響が大きい賃貸ア

    パートでは採用率が低

    い。

    • 「高性能品は、一般住宅ではある程度普及しているが、

    コスト面のみから採用されている賃貸アパートではまだ

    まだ普及していない印象である。」(大手建材卸業者)

    • 顧客の価格上昇に対す

    る許容度は高いとは言

    えず、事業者による営業

    ノウハウが重要となる場

    面がある。

    • 「ZEH 等、高い断熱性を備えた住宅をつくろうとする場

    合、低い性能、安いコストの住宅からの積み上げでは、

    建築主の了解を得ることができない。高い性能の住宅を

    標準的に採用していく企業努力が必要になる。」(住宅

    生産団体連合会 会員企業)

    断熱材 • 断熱材の価格は、横ば

    い傾向である。

    • 「断熱材価格については、ずっと横ばいの状態が続いて

    いる。ただ、グラスウールは断熱材の中でも断熱性能を

    高めながらもコストアップを抑えているという印象。」

    (ZEH 推進協議会)

    複層

    ガラス

    • コスト回収できるかどうか

    が論点となってくる。

    • 「断熱性能とコストの比較を論点にすると、解決できな

    い。」(住宅生産団体連合会 会員企業)

  • 35

    示唆 ヒアリング結果(一部抜粋)

    サッシ

    • アルミサッシが最も低コ

    ストで済むことは事実で

    ある。

    • 樹脂サッシは現状コスト

    の関係で普及が進まな

    い。

    • 一方で、アルミ樹脂複合

    サッシの場合は、想定よ

    りも低コストであったとい

    う見方もある。

    • 「高性能サッシ(ガラスを含む)については、劇的に安くな

    った。」(ZEH 推進協議会)

    • 「(アルミサッシから)アルミ樹脂複合サッシに変更して、コ

    ストは上がった。樹脂サッシへの変更は、同様にコストの

    課題がある。それに加え、防火設備とできる樹脂サッシの

    バリエーションの関係で進まない。」(住宅生産団体連合

    会 会員企業)

    • 「開口部については、アルミ樹脂複合サッシが登場して以

    降、ZEH を目指す際には使われるようになっている。価

    格的にも想定していたよりも安価であった。一方で、(アル

    ミ樹脂)複合サッシは ZEH 仕様と言われるように、ZEH を

    目指さない場合は、コスト増を受入れられず、ほとんど使

    われない。」(大手住宅設計者)

    非住宅 全体

    • 非住宅では、総じて、コ

    ストに対する許容度はケ

    ースバイケースであり、

    一概に傾向があるとは言

    えない。

    • 「価格上昇に関する許容度はビルオーナーやビルの立

    地などによりまちまち。全体としての傾向を示すことは難

    しい。」(建設関係団体)

    • 「新商品採用の意思決定要素なども大規模になればなる

    ほど、まちまちである。建材にあてるコストは、コストの全

    体感の中で議論されるのが常である。」(建設関係団体)

  • 36

    ③ 高性能建材の新商品開発に対する期待

    住宅の場合、新商品開発に対して期待が大きい一方で、従来品と仕様(形状等)が変わ

    らないことが望まれている。断熱材については、階高を抑えるために出来る限り薄くして

    ほしいとの声があった。複層ガラスについては、独特の色味の改善が指摘された。サッシ

    については、耐風圧性能と防火性能を兼ね備えた高性能サッシの開発が期待されている。

    非住宅の場合、市中に既に流通している高性能建材で、十分な省エネを実現できること

    が指摘された。

    図表 2.2.7 ヒアリング結果と示唆(新商品開発の影響)【3/3】

    示唆 ヒアリング結果(一部抜粋)

    住宅

    全体

    • 従来品と仕様(形状等)

    が変わらない方が普及

    しやすい。

    • 「新商品が開発される際は、出来る限り同じ仕様で性能

    が高いものが望ましい。一から新しく設計し直す必要が

    なくなる。」(大手住宅設計者)

    断熱材

    • 事業者的には階高を抑

    えるインセンティブが働

    くため、出来る限り薄い

    断熱材が市中に投入さ

    れることが求められてい

    る。

    • 「更に薄い断熱材が普及していくことを期待している。デ

    ベロッパーの立場からすると、出来るだけ集合住宅の階

    高を抑えたい。断熱材が薄くなれば、階高が稼げるた

    め、事業性が高く、投資価値が上がる。」(大手住宅設計

    者)

    複層

    ガラス

    • Low-E ガラスで色の

    指摘を建築主から受け

    たことがあった。

    • 「性能向上するために変更がデメリットと指摘を受ける場

    合がある。例えば、Low-E 複層ガラスには色がついてい

    るため、窓の内側からの見え方が他のガラスと異なると

    指摘を受けたことがある。」(住宅生産団体連合会 会員

    企業)

    サッシ

    • 耐風圧の観点で中高層

    以上に対応可能な、出

    来る限り薄い樹脂サッシ

    の普及が求められてい

    る。

    • 「中高層以上向けの樹脂サッシが普及することを期待して

    いる。ただし、一般的に樹脂サッシは分厚くなりがちなた

    め、できる限り薄い方が望ましい。」(大手住宅設計者)

    • 防火性能を持った高性

    能サッシが求められてい

    る。

    • 「防火の規制がある都市部で、樹脂サッシを採用する場

    合、防火設備として対応できる製品のバリエーションが少

    ないため、設計が難しい。」(住宅生産団体連合会 会員

    企業)

  • 37

    示唆 ヒアリング結果(一部抜粋)

    非住宅 全体

    • 非住宅では、市中に既

    に流通している高性能建

    材で省エネ対応を行う。

    • 「省エネ化には、基本的に市場に出回っている高性能建

    材で対応するため、新しい省エネ建材に対する強いニー

    ズがあるわけではない。」(建設関係団体)

  • 38

    3)需要側の意識変化

    ① 高断熱住宅・建築物のニーズ変化とその理由

    住宅の場合、高性能建材を経験した消費者の満足度は非常に高い。断熱材に対して主体

    的な意見を持った施主は少ないとの見方があり、そういった場合には営業側の提案が普及

    に寄与していると考えられる。全体に関わる課題として、高断熱化の効果は見える化しづ

    らく、メリットが謳いづらい点が指摘されている。

    図表 2.2.8 ヒアリング結果と示唆(需要側の意識変化)【1/3】

    示唆 ヒアリング結果(一部抜粋)

    住宅 全体

    • 実際に高性能断熱材を

    導入した居住環境を体感

    した消費者の満足度は

    高い。

    • 「高い外皮性能の住宅を提供する場合、建築主の満足度は非常に高い。高い外皮性能を実現する工務店は、口コ

    ミ需要が絶えないという報告もある。」(住宅生産団体連

    合会 会員企業)

    • 「一般のユーザーにとって、空調台数を減らすというのは勇気がいる(これまでの常識から外れる)行為であり、空

    調を余分に付けたが、高断熱の効果により結果不要だっ

    た、というユーザーの声を聞くこともある。」(ZEH 推進協

    議会)

    • 高性能断熱材の採用如

    何については、事業者側

    の提案活動が普及拡大

    に寄与している可能性が

    ある。

    • 「断熱仕様に関しては、需要側(建築主)の要望で採用が進むというよりも住宅事業者側の提案で採用が進むと考

    えられる。」(住宅生産団体連合会 会員企業)

    • 「住宅全体の省エネ向上に関しては、消費者である建築主の影響も大きいが、断熱材単体に関して、主体的な意

    見を持っている建築主は少ない。そのため、基本的には

    ハウスメーカーである我々から提案ベースで進める。建

    材一つ一つを指定してくる建築主がいたとしても、希望を

    叶えられない。」(住宅生産団体連合会 会員企業)

    • 消費者は、表面的に表れ

    る課題(結露等)を重視

    するため、その他の高性

    能建材のメリットを謳いづ

    らい。

    • 「消費者の観点としては、窓が結露する等、目に付くところの話がメインであるため、壁の断熱材まで消費者側か

    ら要望が出ることはあまりない。」(住宅生産団体連合会

    会員企業)

    • 「断熱性能を向上することへの消費者への説明として、快適性、健康性もメリットとして提示したいが、断言できるよ

    うなエビデンスが少ない。」(住宅生産団体連合会 会員

    企業)

  • 39

    ② 上記の内、高性能建材の認知度の変化とその理由

    住宅の場合、消費者の多くは元々建材に対して強い関心を持っておらず、高性能建材の

    認知度も低いと想定される。また、住宅という特性上、買い替え頻度が極端に少ないため、

    高性能建材を認知してもらう機会が少ない点も指摘された。一方で、トップランナー基準

    等の国の施策が、消費者に対する説明材料として活用される機会があり、認知度向上に寄

    与している点が挙げられた。また、SDGs の認識が広まることによって、消費者自身もサ

    ステイナブルの視点を持つことが多くなっている見方もされた。

    図表 2.2.9 ヒアリング結果と示唆(需要側の意識変化)【2/3】

    示唆 ヒアリング結果(一部抜粋)

    住宅 全体

    • 消費者の多くは、元々、

    建材に対して強い関心

    を持っていない。

    • 「断熱材は完成引き渡し時後に、建築主には見ることが

    見ることがない建材であるので、特に「この断熱材を使

    用してほしい」というようなこだわりのある建築主は少な

    い。」(住宅生産団体連合会 会員企業)

    • 住宅の場合、買い替え

    頻度の少なさも相まっ

    て、消費者がメリットを実

    感する機会が少ない。

    • 「住宅というのは買い替え頻度が極端に少ないものなの

    で、高性能建材を体験する機会も少なく、仮に買い換え

    る場合でも、高性能建材を選択するということが少ない。」

    (大手建材卸業者)

    • 「住宅性能アップの程度の差を、施主が適切に理解する

    のは難しい状況といえる。例えば、老朽化した戸建てや

    アパートから転居した人は、たとえ低水準の性能アップで

    も十分に満足しているケースも多い。それに比べて、車の

    燃費性能等のランニングコストに対する知識・経験など、

    ある程度買い替え頻度の経験ができる商品とは大きく異

    なる。」(ZEH 推進協議会)

    • 省エネ性能に係る国の

    基準が、認知度の向上

    に寄与している。

    • 「「〇〇の基準をクリアしている」という説明は営業的に伝

    えやすいことからも、その誘導施策の方が住宅性能アッ

    プには効果的であると考えている。トップランナー基準も

    さることながら、ZEH 基準、また ZEH を超える HEAT20

    の断熱性能基準が確立されていることはビルダーやハウ

    スメーカーに大きな影響を及ぼしている。」(ZEH 推進協

    議会)

  • 40

    示唆 ヒアリング結果(一部抜粋)

    • また、近年、消費者の環

    境に対する意識が向上

    している。

    • 「ここ数年環境に対する意識が下がってきていたが、最近

    は、SDGs(持続可能な開発目標;Sustainable

    Development Goals)等の影響で、一般の人にもサステイ

    ナブルの意識が浸透し始めているのではないか。」(大手

    建材卸業者)

  • 41

    ③ 高断熱住宅・非住宅推進に係る政策や優遇措置

    住宅の場合、補助金制度が大きな後押しとなり、高性能建材が普及してきたという点が

    挙げられた。一方で、補助金申請に関わる事務作業は、事業者にとって負担になっており、

    申請手続きの簡略化や補助金交付期間におけるより柔軟な対応が指摘された。また、補助

    金制度以外にも、規制の設計や教育に関わる施策の可能性も挙げられた。

    図表 2.2.10 ヒアリング結果と示唆(需要側の意識変化)【3/3】

    示唆 ヒアリング結果(一部抜粋)

    住宅 全体

    • 補助金制度は、ZEH等

    の高断熱住宅の普及に

    大きく寄与している。

    • 補助金の活用を前提に

    ZEH化して欲しいとい

    うニーズが一定数存在

    する。

    • 「ZEH事業では、非常に大きな補助金が付けられて

    いるため、市場に与えるインパクトがあり、大きな

    後押し効果を生んでいるのではないかと思ってい

    る。」(大手住宅設計者)

    • 「国の施策情報を仕入れている消費者も増加傾向に

    あり、「ZEHにして補助制度を使ってほしい」とい

    う声もある。」(住宅生産団体連合会 会員企業)

    • 補助金制度に係る申請

    手続きが申請者にとっ

    ての負担となっている

    可能性がある。

    • また、補助金制度以降

    の普及方策を検討すべ

    きとの見方もある。

    • 「高性能品の普及に、従来は補助金を活用して、高

    性能品を体感した人はいいなと感じているものの、

    現状では補助金の申請手続きが手間がネックとな

    り、利用しない事業者も出てきている。」(大手建

    材卸業者)

    • 「一方で補助金が活用しづらいことも事実である。

    補助金が交付される期間は毎年 4月から翌年の 2月

    までであり、更に翌年度の補助金が交付されるまで

    に約2ヶ月間の空白期間(=補助金が交付されない

    期間)がある。補助金申請自体は複数年度またいで

    行えるため、申請の手間が新たに発生することはな

    いが、空白期間中は、補助金交付対象外の工事を行

    う、工事を中断する、等の対応が必要になる場合も

    ある。」(大手住宅設計者)

    • 「補助金による普及施策がどこまで効果的か検討す

    ることが必要な時期になってきているのかも知れな

    い。」(大手建材卸業者)

  • 42

    示唆 ヒアリング結果(一部抜粋)

    • 規制を設計し、高性能

    品の普及を後押しする

    政策も考えられる。

    • 一方で、高い基準の規

    制を設けると、価格上

    昇に対する許容度が低

    い層にとっては苦し

    い。

    • 「高性能品のさらなる普及には、省庁のあと一押し

    の取組が必要だろう。例えば、低性能品の製造・販

    売を制限する等も検討すべきか。」(大手建材卸業

    者)

    • 「高い省エネ基準を設けるだけでは、コストぎりぎ

    り層は反応せず、アプローチとしては不十分である

    と考える。」(大手建材卸業者)

    • 教育や啓発において、

    官民の連携が重要であ

    る。

    • 「次世代省エネ基準をクリアしている既存住宅スト

    ックは、全体の 6%でしないと言われている。これで

    は性能の違いや高性能のメリットを実感できる機会

    がほとんどないことから、普及が進まない。官民を

    挙げた、住まいや住生活に関する教育・啓発といっ

    たものが必須なのではないか。(食育等のよう

    に)」(大手建材卸業者)

    サッシ

    • 樹脂サッシは、防火対

    応基準がボトルネック

    となり、特に首都圏で

    は普及しづらくなって

    いる。

    • (再掲)「防火の規制がある都市部で、樹脂サッシ

    を採用する場合、防火設備として対応できる製品の

    バリエーションが少ないため、設計が防火の問題で

    対応が難しい。」(住宅生産団体連合会 会員企業)

  • 43

    2.3. 今後の見通しの調査

    2.3.1. グラスウール断熱材

    1)性能向上に係る技術改善要素

    グラスウール断熱材の熱損失防止性能向上の要素の1つは高密度化であるが、高密度化

    を進めると材料増等からコスト増に繋がる。また、高密度化以外には繊維自体の改良があ

    る。実際に、HG 16kg/㎥品のように、より細繊維にすることにより熱伝導率λを小さくし、

    性能を向上させた製品も増えている。

    また、性能を向上させるための技術に加えて、安定した品質を実現するための生産技術

    や生産装置の改善といったものもあげられる。

    2)性能向上に伴う課題(コスト面・技術面)

    熱伝導率λの小さい(高性能な)製品も増えているものの、断熱性能(熱抵抗値)は厚

    さにも依存することから、壁内等での断熱材の充填可能範囲(厚さ 105mm)内で使用す

    る断熱材を厚くすることで断熱性能を確保することも可能な手段として存在する。これは、

    グラスウール断熱材の断熱性能λの向上の観点からは望ましいとは言えない。

    実態としてはコスト次第ではあるが、グラスウール断熱材の熱伝導率λとして高性能品

    ではない製品が選ばれ、厚さで必要性能を実現し、コストを抑制したいという住宅生産者

    等も一定程度存在するとされる。こうした背景もあり、性能改善により高性能品の種類は

    増えてきているものの、高性能品のシェアは十分には増加していない状況となっている。

    また、コスト面での課題として、近年では原料費の上昇以外に、輸送費の上昇といった

    新たな課題も出てきている。

  • 44

    2.3.2. ロックウール断熱材

    1)性能向上に係る技術改善要素

    ロックウール断熱材についても、グラスウール断熱材と同様に、熱損失防止性能向上の

    要素の1つは高密度化であり、高密度化した製品の製造・販売に関する取り組み強化等の

    検討が進められていることから、今後の進展が期待される。

    2)性能向上に伴う課題(コスト面・技術面)

    業界団体によると、現状では画期的な技術開発による更なる性能向上の見通しが立って

    いない状況とのことであった。仮に熱伝導率λが 0.038W/mK から 0.036W/mK に改善さ

    れたとしても、性能アップ以上の割合でコスト増にとなるようでは消費者に受け入れられ

    る製品にはなりえない。さらに、近年では原料費・輸送費の上昇といったコスト増要因も

    あり、性能向上とコストのバランスが重要となる。消費者に訴求できる、性能向上の実現

    が非常に重要となると考えられる。

    JIS A 9521 の名称が建築用断熱材に変わったことにより、住宅用から一般建築用へ使用

    範囲の拡大が期待される。床用ボード(密度 60kg/㎥以上・λ0.036W/mK)や RC 張り付

    け品(密度 80kg/㎥以上・λ0.034W/mK)について、建築用途(非住宅)への市場拡大が

    検討されているほか、新たな高密度化製品の開発等の今後の動向が注目される。

  • 45

    2.3.3. 押出法ポリスチレンフォーム断熱材

    1)性能向上に係る技術改善要素

    押出法ポリスチレンフォーム断熱材の熱損失防止性能向上に係る主要な技術改善要素は、

    「低熱伝導率発泡ガスおよび樹脂の使用」、「微細発泡化」が挙げられる。

    「低熱伝導率発泡ガスおよび樹脂の使用」は、発泡ガスや樹脂を熱伝導率λの低いガスや

    材質に転換することにより、熱伝導率λを低くするものである。「微細発泡化」は断熱材中

    の気泡を微細化することにより、熱伝導率λを低くするものである。

    上記のうち、微細発泡化については、2017 年に 1 種品において製法を確立・運用したこ

    とから、λ0.040W/mK からλ0.036W/mK への移行を実現している。

    2)性能向上に伴う課題(コスト面・技術面)

    使用する樹脂の材質の改良や気泡形状の改善により、λ0.024W/mK、0.022W/mK とい

    った高性能品が出荷・販売されている。さらに、業界各社は、技術改善を継続して進めて

    おり、実際に、ダウ化工やカネカでは 2018 年からの熱伝導率λ0.020W/mK の製品発売を

    発表するなど、高性能品の更なる普及拡大が期待される。

    また、厚みについては製造設備の押出圧力及び面積の都合上、100mm が一つの目安と

    なっている。100mm 以上の厚みの製品を製造するには製造設備の開発・新設や設備の改

    造等が必要とされ、数億~数十億円の追加投資が必要と言われる。

    一方 、従来からの原料費の上昇のほか、近年の輸送費の上昇に伴う価格上昇の影響に

    より、普及拡大への影響も懸念される。

  • 46

    2.3.4. サッシ

    1)性能向上に係る技術改善要素

    サッシの熱損失防止性能の向上を図るためには、単板ガラス用アルミサッシや複層ガラ

    ス用アルミサッシから、アルミ樹脂複合サッシや樹脂サッシ等への転換が効果的である。

    サッシの素材をアルミから樹脂へと転換することで、大きな性能改善が見込まれるため、

    業界としても転換が進められている。また、サッシにおける熱損失防止性能の向上に係る

    主な技術改善要素として、①素材の改良、②サッシ形状の設計工夫等が挙げられる。

    ① 素材の改良

    サッシの素材はアルミが主流であるが、高断熱サッシとしてアルミ樹脂複合サッシの普

    及が進んでおり、また、北海道や東北等の寒冷地域においては、樹脂サッシや木サッシの

    採用も進んでいる。素材をアルミから樹脂、さらには木へと転換することで、断熱性能を

    高めることが可能である。

    ② サッシ形状の設計工夫

    サッシ形状の設計工夫によっても、熱損失防止性能の向上を図ることは可能である。例

    えば、エクセルシャノンでは 2015 年度より、サッシの枠に発泡ウレタンを充填した製品

    を北海道で発売しており、当該製品の熱貫流率はサッシ枠単体で 0.8 程度となっている。

    なお、樹脂サッシ工業会は、樹脂サッシ枠単体の熱貫流率を 1.0 以下にする目標を工業会

    で設定していた。

    図表 2.3.1 エクセルシャノンの製品(UF シリーズ)のフレーム単体断熱性能

    出所)エクセルシャノンウェブサイト

  • 47

    他にも、窓全体に占めるサッシ面積比率を小さくする工夫やサッシの中空層を増やす工

    夫、アルミ樹脂複合サッシにおける樹脂量を増加させる工夫等がある。しかしながら、新

    技術については特許が関わることが多いため、このような工夫が業界内で普及するには相

    当の調整が必要となる。

    また、各社としても新技術や新商品開発だけでなく、現状のサッシ構造の主流であるア

    ルミサッシから、より高性能な樹脂およびアルミ樹脂複合サッシへシフトするように販売

    比率を高める取り組みを志向しているところが多い。

    2)性能向上に伴う課題(コスト面・技術面)

    サッシの製造ラインは素材によって分かれているため、出荷量や出荷比率の変動に伴い、

    製造ラインの改良や増設が必要になるとされている。

    熱損失防止性能が最も高い樹脂サッシは、素材がアルミであるサッシに比べて、押出成

    型に時間を要するため、量産化が困難とされている。また、樹脂サッシは素材が柔らかい

    ため、工場で熱圧着等の加工が行われ、最終製品として出荷される。そのため、ノックダ

    ウン(サッシを組み立てる前の梱包状態)で出荷ができる単板ガラス用アルミサッシ、複

    層ガラス用アルミサッシ、アルミ樹脂複合サッシと比べて、最終製品として出荷される樹

    脂サッシは輸送効率が下がることから輸送コストが高くなる傾向にある。

    海外と比べて国内における樹脂サッシの普及は遅れているが、理由は大きく 2 つあると

    言われている。理由の 1 つはサッシの性能を体感しにくい点にある。北海道や東北等の寒

    冷地域ではサッシの断熱性能を体感しやすいが、寒冷地域以外では普及品と高付加価値品

    の性能差を体感しにくいことが多いと言われている。もう 1つの理由は樹脂の価格である。

    原単位ではアルミより安価であるが、窓にするための樹脂の量がアルミより多く、また生

    産性が低いため、加工費が割高となっている。

    そのため、樹脂サッシの価格はアルミサッシより高くなり、また、サッシの性能を体感

    していない消費者は安い製品を選ぶ傾向に繋がってしまっている面がある。

  • 48

    2.3.5. 複層ガラス

    1)性能向上に係る技術改善要素

    複層ガラスの熱損失防止性能の向上を図るためには、一般複層ガラスから Low-E 複層

    ガラスへの転換が効果的であり、業界全体として転換が進められている。また、Low-E 複

    層ガラスの性能向上に係る技術改善要素としては、①Low-E 膜の改善、②中空層への低熱

    伝導率ガスの封入等、③三層ガラス(トリプルガラス)への転換等が挙げられる。

    ① Low-E 膜の改善

    Low-E 膜の性能改善を行う新技術開発は困難な状況となっている。そのため、現実的な

    対応として、中空層への不活性ガスの封入によって性能改善を図る流れとなっている。

    なお、Low-E 膜の改善に関連して、現在は片方のガラスの中空層側のみにコーティング

    されている Low-E 膜を、もう片方のガラスの中空層側にもコーティングする改善手法が

    ある。ただし、性能値は 0.1%程度しか改善されないにもかかわらず、手作業による負担が

    増加するため、現実的な選択肢とはなっていない。

    ② 中空層への低熱伝導率ガス(不活性ガス)の封入等

    中空層を乾燥空気からアルゴンガスへ転換させることにより一定の性能の改善が見込め

    る。具体的には、Low-E 膜かつ中空層厚み 12mm の複層ガラスの場合、性能値は 1.8W/

    ㎡・K であるが、アルゴンガスの封入により 1.5W/㎡・K の性能に向上させることができ

    る。さらに、中空層に封入する不活性ガスをアルゴンガスより高性能なクリプトンガスに

    転換させると、1.3W/㎡・K の性能となる。

    また、これまで特定の製造事業者でしか販売されていなかった、真空ガラスの開発に取

    り組んでいる事業者も出てきている。

    ③ 三層ガラス(トリプルガラス)への転換

    二層ガラスを三層(トリプルガラス)にすることで、中空層 9mm のガラスの U 値は、

    2.1W/㎡・K から 1.3W/㎡・K まで改善される。トリプルガラス商品のラインアップ拡充

    の重要性は徐々に認識され始めている。一方で、トリプルガラスをはめる溝幅のあるサッ

    シが市場であまり流通していないことが依然として課題となっている。

    2)性能向上に伴う課題(コスト面・技術面)

    複層ガラスの中空層への不活性ガスの封入について、従前の調査では手作業が主流であ

  • 49

    ったが、前回および今回の調査では封入設備の導入を進める事業者が増えてきているが確

    認された。

    また、ハウスメーカー等のガラスを使用する事業者に対して、高性能な複層ガラスの採

    用による光熱費等の削減効果について、建築材料費用の増加のバランスを含めて、分かり

    やすく提示していくことも、熱損失防止性能の向上に伴う課題の一つと考えられる。

  • 50

    3 硬質ウレタンフォーム断熱材(ボード品)の導入に向けた調整

    3.1. 硬質ウレタンフォーム断熱材(ボード品)の状況確認

    過年度の調査結果を踏まえて、硬質ウレタンフォーム断熱材(ボード品)の種類、普及

    率、製造メーカー並びに各々の熱抵抗値・熱貫流率、性能値等の状況について、業界団体、

    製造メーカー等へのヒアリング調査を行うとともに、関係業界に対して、制度導入に向け

    た要望等を確認した。

    なお、建材トップランナー制度の制度設計は、2016 年度までの実績データに基づき検討

    を行ったため、普及率や性能値等の状況については平成 29 年度調査結果を引用し、本調

    査では、使用状況や課題等を中心に状況確認を行った。

    1)製品種と特徴

    硬質ウレタンフォーム断熱材とは、発泡プラスチック系断熱材の一種であり、NCO(イ

    ソシアネート)基を 2 個以上有するポリイソシアネートと OH(ヒドロキシル)基を 2 個

    以上有するポリオールを、触媒(アミン化合物等)、発泡剤(水、フルオロカーボン等)、

    整泡剤(シリコーンオイル)等と一緒に混合して、泡化反応と樹脂化反応を同時に行わせ

    て得られる、均一なプラスチック発泡体である。独立した気泡内に熱を伝えにくいガスが

    封入されており、その気泡が集まることにより、断熱性能を発揮する。

    なお、硬質ウレタンフォーム断熱材には、工場にて発泡・硬化させたものをボード上に

    切り分けて出荷する「ボード品」と、施工現場にて硬質ウレタンフォーム断熱材の原液を

    専用の吹付け装置を用いて断熱施工面に直接スプレーし、その場で発泡後硬化させ、硬質

    ウレタンフォーム断熱材を成型す�