フードコートにおけるアルバイト従業員 の勤務シフト作成に関する研究

東京理科大学工学部第一部経営工学科4年

沼田研究室

4410072 日野 駿

2014/01/31 卒研審査会 1

目次

1. はじめに

2. 問題

3. 定式化

4. 求解実験

5. 結果と考察

6. まとめと今後の課題

参考文献

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飲食店は，大部分の従業員をアルバイトで構成

作成者は，アルバイトが提出する希望勤務時間を基に，勤務シフトを作成する

1．はじめに 1.1.研究背景(1)

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決められた範囲内の連続勤務を割り当て 各時間帯ごとに異なる必要人数の確保

クリアすべき条件は？

ローテーション制のスケジューリングと異なる 人員の過不足が発生する可能性!！

1.2.先行研究 アルバイトのシフトスケジュールで考慮する要素[1]

◦ 従業員の勤務可能時間

◦ 連続勤務時間の上限・下限

◦ 必要従業員数

アルバイトの勤務シフトに関する研究[2][3]

◦ 出勤時間帯の決定

◦ 2種類程度の勤務配置の決定

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1.3.研究背景(2) 従業員が担う仕事の種類が多数あり，移動しながら勤務する場合の勤務シフトスケジューリング

既存の研究には含まれていない要素

フードコートとは… 屋台形式で店舗を出店し，飲食スペースを共有する，セルフサービス形式の屋内型の食事施設のこと． ショッピングセンターや空港，サービスエリア等に多く設置されている．

図1：フードコート営業形態

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モデル化

フードコート型飲食施設

1.4.研究背景(3) フードコートAでは… ◦ 施設全体を一社で経営し，各店舗で働く従業員を一括で雇用している

◦ 本籍となる店舗を与えている

人員不足が発生した際にヘルプとして他店舗に出張する事がある

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人員不足が発生

ヘルプとして出張

1.7.研究背景(4)

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必要人員＝割り当て人員

必要人員＞割り当て人員

必要人員＜割り当て人員

望ましい

実行不能

BEST!！

割り当てに生ずる過不足を最小化

最適化問題として定式化

シフト作成において…

1.5.研究背景(5) シフト作成の現状，フードコートAの場合…

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1.6.モデルの提案 従業員の移動を前提に，出勤時間と勤務配置を一括して決定する

1.7.研究目的

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移動しながら勤務することを前提として， 割り当ての過不足を少なくするモデルを示す ◦ 全従業員の出勤時間と勤務配置を一括に決定

実態に即したデータを用いて，モデルの有効性を吟味する

誰をどの 店舗(業務)に 割り当てるか

図3：提案の概要

店舗や業務

2.問題 2.1.従業員の移動勤務とは

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勤務時間中に勤務配置を変更すること 本籍である店舗以外にも勤務すること 移動時間や移動回数の制限はないものとする．

例えば… 5時間勤務する従業員が，本籍店舗aで3コマ 店舗bで2コマ移動勤務する場合， 10通りの勤務シフトが考えられる．

図2：勤務パターンの例

0 1 2 3 4

パターン① 店舗a 店舗a 店舗a 店舗b 店舗b

パターン② 店舗a 店舗a 店舗b 店舗b 店舗a

パターン③ 店舗a 店舗b 店舗b 店舗a 店舗a

パターン④ 店舗b 店舗b 店舗a 店舗a 店舗a

パターン⑤ 店舗b 店舗a 店舗a 店舗a 店舗b

パターン⑥ 店舗b 店舗a 店舗a 店舗b 店舗a

パターン⑦ 店舗b 店舗a 店舗b 店舗a 店舗a

パターン⑧ 店舗a 店舗b 店舗a 店舗a 店舗b

パターン⑨ 店舗a 店舗b 店舗a 店舗b 店舗a

パターン⑩ 店舗a 店舗a 店舗b 店舗a 店舗b

2.2.過剰な人員割り当てとは 必要な人数よりも，多く割り当てる事

一定時間以上の連続勤務を割り当てる →最短(最長)勤務時間に従う必要がある

→1単位毎に割り当てることはできない

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なぜ発生？

卒研審査会

図3：過剰な人員割り当ての発生例

勤務時間割り当ての制約が， 2単位以上かつ3単位以下の場合， 全時間帯で必要人数を確保する時， 余分な割り当てが発生してしまう

例えば… 時間帯 0 1 2 3

従業員A 出勤 出勤 出勤

従業員B 出勤 出勤 出勤

従業員C 出勤 出勤

従業員D 出勤 出勤 出勤

従業員E 出勤 出勤

必要人数 2 3 4 3

割り当て人数 2 3 5 3

2.3.問題設定

業務にはある程度の習熟が必要なものがある

従業員に本籍(スペシャリスト)店舗と勤務(ヘルプ)可能店舗を与える

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従業員 店舗

必要人数 必要スペシャリスト人数 時間帯毎にある

本籍店舗 a 勤務可能店舗 b，c

そこで…

時間軸の離散化 ◦ 営業時間を1時間＝1コマに分割

それぞれの時間帯で，店舗(業務)の必要人数

がある

2.4.条件

問題を扱う上で，詳細な条件を以下のように設定する．

1)従業員は勤務希望の時間帯以外勤務しない

2)店舗や業務間の移動に，時間はかからないとする

3)全従業員の時給は一律同額とする

4)同時に，2つ以上の配置に入ることはない

5)従業員は，1日に1度しか出勤しない

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3．定式化 3.1.記号の定義 • 𝑛𝑛: 店舗(業務)数 （𝑛𝑛: 𝑖𝑖 = 1~𝑛𝑛） • 𝑚𝑚: 従業員数 （𝑚𝑚: 𝑗𝑗 = 1~𝑚𝑚） • 𝑇𝑇: 営業時間 （𝑡𝑡 = 0~𝑇𝑇） • 𝑟𝑟𝑖𝑖𝑖𝑖 ∈ 𝑍𝑍: 店舗業務𝑖𝑖における時間𝑡𝑡での必要最低人員

• 𝑑𝑑𝑖𝑖𝑖𝑖 ∈ 𝑍𝑍: 店舗業務𝑖𝑖における時間𝑡𝑡での必要最低スペシャリスト人員

• 𝐿𝐿,𝑈𝑈 ∈ 0~𝑇𝑇 − 1 : 最短および最長連続勤務時間

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3.2.記号の定義

• 𝑆𝑆𝑖𝑖𝑖𝑖 ∈ {0,1} :従業員𝑗𝑗が店舗(業務)𝑖𝑖のスペシャリ

ストか否か • ℎ𝑖𝑖𝑖𝑖 ∈ {0,1} :従業員𝑗𝑗が店舗(業務)𝑖𝑖をヘルプ可

能か否か • 𝑤𝑤𝑖𝑖𝑖𝑖 ∈ {0,1} :従業員𝑗𝑗が時間𝑡𝑡に勤務を希望して

いるか否か

• 𝑝𝑝 : ある時間帯𝑡𝑡に勤務している場合，それまで既に終えている勤務時間

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3.3.決定変数 • 𝑦𝑦𝑖𝑖𝑖𝑖𝑖𝑖 ∈ {0,1}:従業員𝑗𝑗を店舗𝑖𝑖,時間帯𝑡𝑡で働かせるか否か

• 𝑥𝑥𝑖𝑖𝑖𝑖𝑘𝑘 ∈ {0,1}:従業員𝑗𝑗を時間帯𝑡𝑡から𝑘𝑘時間連続で働かせるか否か

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0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16

𝑡𝑡 = 9を始点として 𝑘𝑘 = 6時間勤務する

従業員𝑗𝑗 = 1

𝑥𝑥1,9,6 = 1

3.4.目的関数

営業時間中の人時(出勤した従業員の勤務時間の総計)を最小にする

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時間帯 0 1 2 3 4 合計

従業員A a a b 3

従業員B a a b b 4

従業員C a a a 3

従業員D b b b 3

従業員E b a b 4

必要人数 2 3 4 3 3 15

割り当て人数 2 3 5 3 3 16

最小化

3.5.制約式

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s.t.

従業員の勤務開始時刻と勤務時間についての制約

従業員が出勤している間は，必ずいずれかの配置で働く

営業終了時刻を超えて働かない

(2)式の図

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従業員が希望した時間以外に働かない

勤務可能な店舗でのみ勤務できることを表す

同時に二つ以上の店舗で働かない

3.6.制約式

必要人数と必要スペシャリスト人数を満たすようにする制約

4.求解実験 4.1.実験手順

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実行

• Gurobi 5.6.0によって厳密解を求める • 計算機 Mac OS X 10.9.1, 1.8GHz Intel core i7 ,メモリ

4GB

描画 • 結果をガントチャートに描画する

考察

• チャートを基に考察

• 計算時間，過剰な割当の有無を整理

4.2.実験概要

与えるデータ

• 店舗(業務)数 7 (𝑛𝑛 = 7) • 従業員数 150名 (𝑚𝑚 = 150) • 営業時間 17時間 (𝑇𝑇 = 16) • 最短連続勤務時間 3時間 (𝐿𝐿 = 3) • 最長連続勤務時間 8時間 (𝑈𝑈 = 8)

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4.3.実験概要

𝑟𝑟𝑖𝑖𝑖𝑖や𝑑𝑑𝑖𝑖𝑖𝑖も実態に即して設定

従業員に与えるデータはランダムに設定

◦ 本籍店舗 ヘルプ可能店舗

◦ 希望勤務時間 実態に則し，本籍店舗は1つ，ヘルプ可能店舗は2つ

5つのデータに対して実験

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5.結果と考察 5.1.結果と考察(1)

結果をガントチャートに描画

◦ 横軸は時間帯，縦軸は従業員番号，マスの中の番号は勤務店舗を示す．

実行時間は最長561[s]

◦ 作成時間の短縮が見込める

人員の過剰な割り当てなし

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表1：実験結果

図4：ガントチャート

実行時間[s] 過剰割り当て[人時] 6〜8時間勤務する従業員 実験1 561 0 15 実験2 420 0 14 実験3 436 0 13 実験4 311 0 14 実験5 188 0 15

5.2.結果と考察(2) 6～8時間勤務をする従業員は13～15名程度 ◦ その多くが開店作業や閉店作業の時間に勤務

勤務配置の頻繁な変更 ◦ 移動回数を制限する制約を含まなかったため 過剰な割り当ての原因にも

◦ 勤務が単調にならないメリット

ヘルプ勤務を禁止して実験すると実行不能

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6．まとめと今後の課題

勤務時間中の配置移動が前提となっている，勤務シフト作成問題を数理計画モデルとして定式化した ◦ 実店舗の営業実態に則したデータを作成し，数値実験を実行することで有効性を示した

長時間勤務する従業員に与える休憩

勤務シフトの公平性 ◦ 勤務の公平性を考慮できるモデルへの拡張

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参考文献

[1]整数計画法 4.2.5. アルバイトのスケジュール，http://www.econ.tohoku.ac.jp/~ksuzuki/teaching/ch4.pdf，(最終閲覧日:2014年1月29日)

[2]中島啓介，「ファーストフード店における準社員割り付け問題」，平成十三年度卒業研究抄録集，東京理科大学工学部第二部経営工学科，pp233-236，2002

[3]矢川陽一郎，「ファストフードA店におけるアルバイトのシフトスケジュール作成支援ソフトの試作」，平成二十二年度卒業研究抄録集，東京理科大学工学部第二部経営工学科，pp61-64，2011

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訂正

営業時間中の３コマ目(𝑟𝑟𝑖𝑖3)と14コマ目(𝑟𝑟𝑖𝑖14) 営業時間中の３コマ目(𝑟𝑟𝑖𝑖2)と15コマ目(𝑟𝑟𝑖𝑖14)

(7)式は前提条件の(2)を意味する．

(7)式は前節条件の(1)を意味する．

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訂正

ご清聴ありがとうございました

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付録．データの設定方法 𝑟𝑟𝑖𝑖𝑖𝑖の設定方法 ◦ 営業実態を基に設定 ◦ 休憩中の代替人員は7×2=14人時用意

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時間帯 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16

店舗1 3 3 3 3 3 4 4 4 3 3 3 3 4 4 4 4 3

店舗2 2 2 3 3 3 3 4 4 3 2 2 3 4 4 4 3 3

店舗3 2 2 2 2 3 4 4 3 2 2 2 3 3 3 3 3 3

店舗4 2 2 2 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 2 2 2

店舗5 1 1 1 1 2 3 3 2 1 1 1 2 2 2 2 2 2

業務1 2 2 2 1 1 2 2 2 1 1 1 2 2 2 2 2 2

業務7 1 1 3 1 2 3 4 3 2 2 2 2 3 3 3 3 3

時間帯 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16

店舗1 3 3 4 3 3 4 4 4 3 3 3 3 4 4 5 4 3

店舗2 2 2 4 3 3 3 4 4 3 2 2 3 4 4 5 3 3

店舗3 2 2 3 2 3 4 4 3 2 2 2 3 3 3 4 3 3

店舗4 2 2 3 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 3 2 2

店舗5 1 1 2 1 2 3 3 2 1 1 1 2 2 2 3 2 2

業務1 2 2 3 1 1 2 2 2 1 1 1 2 2 2 3 2 2

業務7 1 1 2 1 2 3 4 3 2 2 2 2 3 3 4 3 3

必要人数に，休憩する従業員の代わりに勤務する代替人員を加える