ナノテクノロジーを活用した イノベーション創出に …...年...

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2015 9 2 JASIS 年月日 名古屋大学 イノベーション戦略室長 産業技術総合研究所 特別顧問 一村 信吾 JASIS2015@幕張メッセ20159213:1014:10 1982年4月~ 2014年6月 2014年7月~現在 ー学・官の立場から産との連携を考えるー ナノテクノロジーを活用した イノベーション創出に向けて

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2015 9 2 JASIS年 月 日 展

名古屋大学 イノベーション戦略室長産業技術総合研究所 特別顧問

一村 信吾

JASIS2015@幕張メッセ2015年9月2日13:10~14:10

1982年4月~2014年6月

2014年7月~現在

ー学・官の立場から産との連携を考えるー

ナノテクノロジーを活用したイノベーション創出に向けて

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2015 9 2 JASIS年 月 日 展 2

本日の話題 はじめに 現状認識:停滞の20年 科学技術政策から科学技術イノベーション政策へ

ナノテクノロジーを活用したイノベーション創出 名大の事例: GaNの研究開発 産総研の事例:単層カーボンナノチューブの研究開発

何が必要かー計測分析技術の観点からー 産学官ポテンシャルの結集 共創の意識:プラットフォームの構築

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現状認識から① G8サミット参加国+中国のGDPの推移 世界は22兆US$(1990年)から63兆US$(2010年)へ 米国も順調な伸び、中国の急激な伸長

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

16,000

14,00019

9019

9119

9219

9319

9419

9519

9619

9719

9819

9920

0020

0120

0220

0320

0420

0520

0620

0720

0820

0920

10

GD

P(単

位:10

億U

S$)

米国

日本

ドイツ2,000

0

西暦年

International Monetary Fund (IMF), World Economic Outlook Database 2013から引用

中国停滞の20年

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G8サミット参加国+中国のGDPの推移 世界は22兆US$(1990年)から63兆US$(2010年)へ 米国も順調な伸び、中国の急激な伸長

16,000)

US$14,000

12,000 米国億 10,000

10 停滞の20年 中国8,000

単位:6,000

日本4,000( ドイツ

P 2,000DG 0

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 1019 19 19 19 19 19 19 19 19 19 20 20 20 20 20 20 20 20 20 20 20 西暦年

International Monetary Fund (IMF), World Economic Outlook Database 2013から引用

停滞の20年は転換期の事象

ーキャッチアップ型R&Dから先導型R&Dへー

科学技術イノベーションとは (第4期科学技術基本計画)

科学的な発見や発明等による新たな知識を基にした知的・文化的価値の創造と、それらの知識を発展させて経済的・社会的・公共的価値の創造に結びつける革新

研究開発の視点を変えて再飛躍を目指す

「科学技術」から「科学技術イノベーション」へ

総合科学技術会議2001年1月設置(内閣府)

総合科学技術・イノベーション会議2014年5月名称変更(内閣府)

現状認識から②

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名大が誇るイノベーション創出事例 ①

赤崎先生、天野先生、中村先生の2014年度ノーベル物理学賞受賞

for the invention of“Efficient blue light emitting diodes leading to bright and energy-saving white light sources”

【受賞理由】明るく省エネルギーの白色光源を可能にした高効率の青色発光ダイオードの発明

名大HPより

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世界の電力の1/ 4は照明のために使われているので、LEDは地球資源の節約に貢献している。白熱電球の100時間、蛍光管の1万時間に対して、LEDは10万時間の寿命をもつことから資源消費も減少している。LEDは電力要求が低く安価で局所的な太陽エネルギーで動作させられるため、電力網にアクセスできない15億人以上の生活の質の改善にも高い期待を抱かせている。

応用製品総売上

3.6兆円

経済波及効果

3,500億円

雇用創出

3.2万人

全発電量の約7%削減 (原子力発電所十数基分に相当)

2005年JST

(イ ンフラを持たない )世界1 5 億人を照らす

Press Release of The Royal Swedish Academy (October 7, 2014)

天野先生: 第5回総合科学技術・ イノベーション会議資料から(2014/10/22)

スエーデン王立科学アカデミーのプレスリリースより

名大が誇るイノベーション創出事例②

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イノベーション創出までの歩み ①

応用物理 83(11) 879, 2014

窒化物単結晶の成長 AlN緩衝層(1986年) GaN緩衝層(1991年)

P型伝導の実現 Mg添加GaN+電子線(1989年) 熱処理(1992年)

InGaN発光層の成長 InGaN/GaNのダブルヘテロ構造LED(1994年)

Scientific Background on the Nobel Prize in Physics 2014

緑字:赤崎、天野先生黒字:中村先生

Scientific Background on the Nobel Prize in Physics 2014

LEDの課題解決

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イノベーション創出までの歩み ②

2015年9月2日JASIS展 8

LED開発の歴史

Scientific Background on the Nobel Prize in Physics 2014 Fig.4

結晶成長 p型伝導

1986 1989

ヘテロ構造の作製AlGaN(InGaN)

二重ヘテロ構造作製InGaN/AlGaN効率; 2.7%

1991, 1993 1994

長い雌伏期間: 支えたのは研究者の強い思い

p-typeの発表をした応物学会では、聴講者は座長を入れて4人だった(天野先生受賞講演)

1992年の応物でGaNのセッションは10人以下。500人以上はZnSeのセッ

ション(中村先生ノーベル賞受賞講演)

※1991年の3Mの論文:blue-green laser diode

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天野先生: 第5回総合科学技術・イノベーション会議資料(2014/10/22)

先見性のある産学連携の開始(GaNの結晶成長の直後) それでも製品開発に約20年。息の長い産学連携が必要

1985年 AlNを緩衝層に利

用したGaNの結晶成長

1987年 JSTの研究開発プロ

ジェクト開始

名古屋大学と豊田合成の産学連携

イノベーション創出までの歩み③

2015年9月2日JASIS展 9

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産学官それぞれのR&D

官社会の要請

経営の要請

産学問的欲求

・教育(人材育成)・研究・社会貢献・ーーー

2015年9月2日JASIS展 10

革新的な知の創出

信念を持った限りない挑戦

イノベーション創出に向けた学の役割

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2015年9月2日JASIS展 11

大学発の革新知の創出

今世紀の日本のノーベル賞受賞

ノーベル物理学賞 2002年(小柴)

2008年(小林、益川、南部) 2014年(赤崎、天野、中村)

ノーベル化学賞 2000年(白川)

2001年(野依) 2002年(田中) 2008年(下村) 2010年(鈴木、根岸)

ノーベル医学生理学賞 2012年(山中)

名大学関係者が半数

名大の先生方の産業界への貢献(連携)意欲が高かった

「半導体エレクトロニクス研究会」の立ち上げ(1981年)

「エレクトロニクス技術講座」開設。企業向けセミナーの実施

産業界も熱心であった GaNでは、豊田合成の経営者が熱意のあ

る申し入れ

「自由で闊達」な気風があった 学際・分野融合の研究室

【なぜ名大で生まれたか】 (1980年代)

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2015 9 2 JASIS年 月 日 展

産学連携の再加速に向けて

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学術研究・産学官連携推進 本部の設置(2014年1月1日) 知の上流から出口まで、一気 通貫で取り組む体制構築

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産学官それぞれのR&D

イノベーション創出に向けた官 ( 産総研 ) の役割

・省庁の政策(実施、立案)・産業界・大学からの要請・環境、安全への配慮・国際貢献・ーーー

• 先端的な研究開発•技術開発プラットフォーム• 産業基盤(計量標準、地

質調査)

132015年9月2日JASIS展

橋渡し機能

官社会の要請

経営の要請

産学問的欲求

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SWCNT: 0.1 t

Fullerene: 2 t

TiO2: 1,450 t

Carbon black: 0.8 Mt

MWCNT: 60-70t1

102

104

106

501 100 Size (nm)

Used amount (t)主要なナノ材料の国内年間使用量と粒子径

トップダウン型(産業のナノテク化の進展)

ボトムアップ型(ナノテクの産業化の展開)

2015年9月2日JASIS展 14

新市場創出を目指して:ナノテクノロジー

0.7 Mt(生産量 0.6Mt)

10,000 t(生産量)

19,000 t(生産量 30,000 t)

Silica: 13,500 t

900 t(生産量)

ZnO: 480 t Ag

1,000 t(生産量)

ヒトに対する有害性が明らかでない化学物質に対する労働者ばく露の予防対策に関する検討会(ナノマテリアルについて)報告書(2008年11月)より作成

青字(赤字)は、ナノ材料等に関する国内外の安全情報及び規制動向に関する調査報告書(JFEテクノリーサーチ H27年3月)から読み取った値

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耐震性 超々高層ビル

輸送機

期待は非常に大きい 産業化はまだ

価格が他の炭素材料と同等でなくてはならない

現状 (1万~数10万円/g)

必要価格 (1万~数10万円/kg)

活性炭 炭素繊維 黒鉛

http://www.business-i.jp/news/for-page/naruhodo/200806280009o.nwc http://www41.tok2.com/home/tentoumusi/enji/122a/122a.htm

152015年9月2日JASIS展

巨大風車による発電

航空機

未来の低炭素社会を支える最先端の軽量素材産総研 湯村副センター長の資料から(一部改変)

CNTの産業展開:期待と現実

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高さで500倍成長効率で1000倍

カーボンナノチューブを短時間に 大量かつ低コストで合成できるため、将来、工業的大量生産の可能性

従来の世界記録高さ0.004ミリ (東大・丸山)

(2004CPL)

1センチ角

スーパーグロース法Science, 306, 1362 (2004)

産総研 湯村副センター長の資料から(一部改変)

高効率のナノチューブ成長

成長速度

ナノチューブ集合体 高さ2.5ミリ成長時間10分

162015年9月2日JASIS展

革新的シーズの創出

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0

100

200

300

400

500

600

小型炉 MF-0 MF-1小型炉(2005年)

連続炉(2007年)

生産能力(g/日)

MF-2(H23年度)

大型炉(2006年)

大型/連続炉(2010年)

16800倍

大面積合成技術

連続CVD合成技術

大幅な生産能力向上に成功

大型連続合成装置

生産量:600g/日

補正予算事業

(2009年)実証プラント運用

(2011年)

産総研 湯村副センター長の資料から(一部改変)

172015年9月2日JASIS展

実用化 ( 橋渡し ) へのシナリオ

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日本ゼオン株式会社(社長:田中 公章)はこの度、当社徳山工場内にスーパーグロース法で得られる高品位なカーボンナノチューブ製造プラントを建設することを決定しました。当社は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)プロジェクト※)を通じ、2004年に独立行政法人産業技術総合研究所(以下、産総研)畠博士らにより見出された革新的な単層カーボンナチューブの合成法である「スーパーグロース法」を基盤としたカーボンナノチューブの量産技術開発を進め、2011年には量産実証プラントの建設(2009年経済産業省補正予算事業)・運転・サンプル提供による技術普及を産総研と共同で進めてきました。スーパーグロース法で得られるカーボンナノチューブは、他のカーボンナノチューブと比較して、高いアスペクト比、高純度、高比表面積といった特長を有するため、従来にない機能や特徴を持つ新機能性材料、次世代デバイス等への応用が期待される材料です。NEDOプロジェクトを通じ、高性能キャパシタ、高機能ゴム材料、高熱伝導材料等の革新的材料、デバイスの可能性が示唆され、その需要も大きく拡大すると予想されます。これら市場での需要に応えるべく、当社は産総研の量産実証プラントで得られた技術を活用し、スーパーグロース法で得られる高品位な単層カーボンナノチューブの工場を建設することを決定しました。投資場所は山口県周南市の既存工場(徳山工場)内で、2015年下期の量産開始を目指します。

※)「カーボンナノチューブキャパシタ開発プロジェクト」(平成18年度~平成22年度)、「低炭素社会を実現する革新的カーボンナノチューブ複合材料開発プロジェクト」(平成22年度~平成25年度)

2015年9月2日JASIS展 18

日本ゼオン カーボンナノチューブ製造プラントの建設を決定プレスリリース(2014年5月15日)

橋渡しの成功実績

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2015年9月2日JASIS展2015 9 2 JASIS年 月 日 展 19

本日の話題 はじめに 現状認識:停滞の20年 科学技術政策から科学技術イノベーション政策へ

ナノテクノロジーを活用したイノベーション創出 名大の事例: GaNの研究開発 産総研の事例:単層カーボンナノチューブの研究開発

何が必要かー計測分析技術の観点からー 産学官ポテンシャルの結集 共創の意識:プラットフォームの構築

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2015年9月2日JASIS展 20

先端研究設備を整備し、ユーザーに開放する

大型施設・設備 高額設備・装置

計測分析技術力を育てる

先端計測分析技術・機器開発事業 (2004年度開始)

ユーザーの計測分析技術力向上を目指して

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計測分析機器メーカーの競争力はどうか

出典:産総研調査報告書(2011年10月) 「日本分析機器産業の競争力について」

世界1位はアメリカ2003年2009年

13,000M$19,000M$

世界市場は伸びている2004年2014年

30,000M$48,000M$(見込み)

日本は停滞傾向世界第2位の地位も危うい

ものづくり産業の国際競争力にも影響懸念

2015年9月2日JASIS展 21

計測分析技術力を育てる

研究開発用計測分析機器市場

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【 訪問しての意見聴取(2012年】

ナノスケール制御はテクノロジーとしては対応できているが、サイエンスとしては十分に対応できていない。サイエンスとするために計測や計算科学的な手法が必要

計測技術はこれまで内部ポテンシャルでカバーしてきた自負がある一方、単独では解決できないとの認識も生まれ、計測技術の枯渇も感じ始めている。

計測分析に係わるリソースは、コア領域に特化しつつある。従ってオープンイノベーションの枠組みを活用する時期にある。

2015年9月2日JASIS展 22

限界的な検出性能実現の必要性 総合的な分析解析能力の必要性 オープン化への期待

ものづくりにおける問題意識

ものづくり産業界からの声①

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最先端のものづくり力の獲得に自社の計測技術力だけでは不十分な時代(ナノテク応用) ソリューションの提供によるものづくり力の確保と計測機器産業力の強化

JST機器

開発事業

大学・独法開発機器ソリューションプラットフォーム

製造メーカー

製造メーカー

公的機関(産総研)

計測課題

ソリューショントレーサビリティー確保標準物質、国際標準

計測機器メーカー

研究開発用計測機器

プロトタイプ装置開発人材

付加価値のある装置

先端計測機器

ソルーションプラットフォーム構想

2015年9月2日JASIS展 23

ものづくりにおける問題意識を踏まえて

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2015年9月2日JASIS展2015 9 2 JASIS年 月 日 展 24

もの作りノウハウに近い計測ニーズを出す場

事業部門ごとに温度差がある

競争領域においても、複数の価値観を合わせ

ることが必要な場合には可能性が生まれるかも。但し、最初は様子見で、ある閾値を超すとその方向に動くのではないか。

標準化、認証の重要性は、十分に認識してい

る。その観点でユーザーと装置メーカーのインタフェースがしっかりとれる組織であれば有用。

【 訪問しての意見聴取(2012年】

まずは共通課題への対応から【ナノテクノロジーの産業化への懸念】

Press Release (July 31, 2007)

6カ国の消費者、労働組合等の組織からなる広範な国際的連合が、ナノ技術とナノ物質の監視のための原則を共同発表。新しい技術とその製品 の厳格で包括的な監視を要求。

I. A Precautionary Foundation (立証責任と予防措置)

II. Mandatory Nano-specific Regulations(強制力のあるナノに特化した規制)

III. Health and Safety of the Public and Workers (公衆と労働者の健康と安全)

IV. Environmental Protection(環境保護)

V. Transparency(透明性):VI. Public Participation(公衆の参加)

VII. Inclusion of Broader Impacts(広範な影響の考慮)

VIII. Manufacturer Liability(製造者責任)

合には、開発部門(経営トップ)層の判断になる。

ソルーションプラットフォーム構想の展開

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2015年9月2日JASIS展2015 9 2 JASIS年 月 日 展 25

http://www.developpement-durable.gouv.fr/IMG/pdf/rapport-nano-2014.pdf

フランスがナノ材料の届け出規制(2013年1月実施) 欧州で第1号 (French Ministry for Ecology, Sustainable

Development, Transportation and Housing) 100g以上のナノ物質を扱う(製造、輸入、販売)業者、研究所、特定使用者

(professional users) も対象 量と使用目的に関して届け出。工業的に作られた1 nm -100 nmサイズの(

1次、 凝集)粒子分布を。 フラーレン、グラフェン(の破片)、単層CNTや物質中のナノ物質も含む

http://www.safenano.org/KnowledgeBase/CurrentAwareness/ArticleView/tabid/168/ArticleId/194/France-to-introduce-mandatory-reporting-ofnanomaterials-in-2013.aspx

届け出実績

各国で進むナノ材料規制

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Nano material regulation

00g toistribute nanomaterials in quantities of ≥ 1 submit to the authorities an annual declaration

An importer or a user in application of articleR. 523-17 is not submitted prior to the deadlines provided for by these twoarticles, the Minister of the environmentmayorder the payment of a fine equal to 3000euros or less and a dailypenalty of 300 euros from the date of the decision in question and up to compliance with the obligation."

2015年9月2日JASIS展

The decree regarding the mandatory reporting of nanomaterials will be applicable from January 2013 in France. It requires companies that manufacture, import,dFrance(2013年1月施工)containing the quantity and use information.

Belgium(2016年1月施工予定)

Denmark(2014年6月施工)

毎日新聞 2015年07月20日 東京朝刊

半導体関連やリチウムイオン電池などに使われる微小な炭素材料「カーボンナノ チューブ」の発がん性が動物実験で認めら れたとして、厚生労働省は労働安全衛生 法に基づき指定する「労働者にがんを起こ す恐れのある化学物質」にカーボンナノ チューブを追加する方針を固めた。事業者 には国の健康障害防止指針に従って、労 働者の暴露低減の措置を取ることが求め られる。21世紀の主力産業と目されるナノテクノロジーの新素材が同指針の対象になるのは初めて。【下桐実雅子】

26

各国で進むナノ材料規制 ②

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COMS-NANO

産総研

島津分級

質量分析TEM

リガクX線(SAXS)

ナノ材料特性評価装置システム

分析機器産業

大学・公的研究機関技術交流会

標準化

製造装置産業

素材・材料・化学産業

日立ハイテク 日本電子AFM

堀場製作所DLS

届け出規制(サイズ・サイズ分布)への対応

2013年6月発足 (3社+産総研)2013年10月 (5社+産総研)

2015年9月2日JASIS展

ナノ材料の産業利用を支える計測ソリューション開発コンソーシアム ーCOMS-NANOー

27

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2015年9月2日JASIS展

ものづくり産業界からの声 ②【 訪問しての意見聴取(2012年】

「現有機器の製造元を調べても、海外メーカーの進出は明らかで

あった。日本の分析機器開発力の低下は懸念するところ」

日本の分析機器は、ソフト・ハード(インタフェース、エレクトロニクス)の部分が海外機器に比べて弱い印象。プログラム検証も大きな課題」

分析機器は汎用化にシフトしており、ブラックボックスでデータが出るところに問題の一部がある。

計測分析技術の国際競争力の低下 計測分析装置の利活用の面での問題点

計測機器メーカーに対する問題意識

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2015年9月2日JASIS展

一村信吾(名大イノベーション戦略室)村山英樹(三菱化学科学技術研究センター)藤田大介(物材機構)、藤本俊幸(産総研)安永卓生(九州工大情報工学院)、柳内克昭(TDK)大村英樹、重藤和夫(産総研)、永富隆清(旭化成)榊 裕之(豊田工業大学)、志水隆一(阪大)

29

イノベーション創出に向けた計測分析プラットフォーム戦略の構築(2014年10月~2017年9月)

運営体制委員長副委員長幹事

幹事補佐顧問

WG活動共通基盤(ソフトウエア)WG 共通基盤(ハードウエア)WG ソルーションWG標準化WG

安永幹事、永富幹事補佐藤田幹事、大村(重藤)幹事補佐柳内幹事、大村(重藤)幹事補佐藤本幹事、永富幹事補佐

日本学術振興会 研究開発専門委員会の設置

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出典:J.T. Kearney, Scientific American 274 (6), 52 (1996)

人と馬の走る速さの世界記録の変遷

(村上正紀;応用物理82巻8号、p659)

ウマ

人間

1マイル走世界記録(秒)

ケンタッキーダービー(秒)

1980

260

250

240

230

2201900 1920 1940 1960

130

125

120

115

1102000

短縮率: 4%

短縮率: 11%

大事なこと:揺るがないビジョンの策定

2015年9月2日JASIS展 30

イノベーション創出に向けて

Page 31: ナノテクノロジーを活用した イノベーション創出に …...年 科学技術政策から科学技術イノベーション政策へ ナノテクノロジーを活用したイノベーション創出

クロスアポイントメント制度の導入最適なプレーヤーが

最適な時期に、最適な場所において研究開発に従事することを可能にし、イノベーション創出を目指す

産総研 名大

民間

2015 9 2 JASIS年 月 日 展 31

大事なことは:共創の意識

橋渡し

イノベーション創出に向けて

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まとめ

2015年9月2日JASIS展 32

イノベーションは、経済的・社会的・公共的価値の創出。新たな市場創出に向けた、明確なビジョン設定のもとの取り組みが不可欠 新たな市場創出に向けて、ナノ素材の展開が一つの候補 ナノ素材の展開でも計測分析シーズ開発の推進が必要

ナノ素材の展開では、ポテンシャルリスク問題への対応が喫緊の課題 フランスを始めとしてナノ材料の規制に向けた様々な動きが加速。ナノ物質の特

性評価の国際標準化も急激な展開。 オープンイノベーションの枠組みの中で産学官のポテンシャルを結集し、 我が

国としても迅速な対応が不可欠

産学官の結集に向けて、新たな委員会活動を開始 日本学術振興会・研究開発専門委員会「イノベーション創出に向けた計測分析

プラットフォーム戦略の構築」 2つのプラットフォーム構築と、国際標準化の戦略展開を目指す

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2015年9月2日JASIS展 33

ご清聴有難うございました