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ストレッチ運動における血流量変化

東

（共同研究者）　 和

京

光

大

大

学

学

福

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田

哲

秀

Effect　of　Static　Stretching　on　Forearm　Blood　Flow

by

Tetsuo　Fukunaga＊，　Hideaki　Yata＊＊

＊£～）epartm四X が＊　Physical　Education，

College　c！／゙ G。。。7X五！ducation，

Univers勿 が卜乃砂り　　　 レ

－W α加 ひniversity

夫

昭

ABSTRACT

The　purpose　of　the　present　study　is　to　observe　the　effect　of　static

stretching　exercise　on　blood　flow．　Two　healthy　adults　volunteered　as　ex－

perimental　subjects．　Dorsal　flexion　for　wrist　joint　was　performed　as　the

static　stretching．　The　wrist　joint　was　passively　fleχed　dorsad　during　10，

20，　30，　40，　50，　and　60　sec．　　Forearm　blood　flow　was　measured　by　using

rubber　strain　gauge　plethysmograph．　The　blood　flow　increased　with　in－

creasing　stretching　period．　During　40 ―60　sec　of　stretching　the　blood

flow　indicated　almost　constant　value　of　リm £／lOOm £／min．　blood

flow　was　observed　at　”weak”　stretching　than　at　”strong”　stretching．

近年，各種スポーツやトレーニングにおける準

備運動などの手段としてストレッチ運動が広く利

用されている．しかし，この運動の生体に及ぼす

効果に関する科学的研究は少なく，いまだ明らか

にされていない面が多く残されている．

本研究では，ストレッチ運動実施後の血流量を

測定することにより，末梢循環に及ぼすストレッ

チ運動の効果を明らかにしようとする も ので あ

る．

方　　 法

被験者は健康な成人男子2 名であった．ストレ

ッチ運動として手首の背屈（dorsiflexion）を行な

った．験者により，被験者の右側の手首の背屈の

静的ストレッチ（static　stretching）が行 な わ れ

た．血流量の測定．は，右前腕に装置した水銀封入

ラバーストレーングージを用いて静脈血阻止法で

実施した． この際， 手首には200mmHg の圧を

カフを用いて加え，手の血流を阻止するようにし

た．　　　　　　　 ノ　　　　　　　　　，．

被験者は仰臥姿静で30分間の安静後，　10，　20，

30，　40，　50および60 秒間の6 種類の異なる時間の

ストレッチ運動を3 回ずつ行なった．それぞれの

運動の阻には15分間の休息をおいた．

また1 週間後に，同じ被験者に対して2 つの異

なる強度のストレッチ運動 を 実施 し た．すなわ

ち，被験者 が“弱ぐ および“強ぐ と感じる感

覚をもとに，手首の背屈を驗者が行なった．運動

Immediatly　after　stretching

Stretch－ing

period

10　see

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―　193　―

は10～60秒までの6 種類の異なる時間でそれぞれ

3 回ずつ実施した．血流量の測定は安静時および

ストレッチ運動直後，20秒後および40秒後に行な

った．

実験中，室温は25 °Cに保たれた．

結 果 と 論 議

図1 および図2 は，ストレッチ運動実施後のラ

バーストレーングージ・プレチスモグラフの記録

の例である．

運動直後の静脈血阻止による前腕周経囲の増加

傾向は急激で あ り， また，ストレッチ運動が10

秒，20秒，30秒と長くなるにともなって，増加傾

向も著しくなる傾向がみられた．

Stretch －

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period

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Immediatly　after　stretching　　　20　sec

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60　sec

図1　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　図2

Plethysmography　records　of　foream　blood　flow　after　the　stretching

― 　194　－

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▲Mat・　Nit

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20　40

（sec ）

図3　Changes　hl　blood　llow　after　the　stretching　with　various　stretching　periods

図3 は，血流量の変化をストレッチ運動時開別

にみたものである．　／　卜　　∇　　………

安静時に］お け る 前腕血流量は約4m ／／100m／／

mih であ る力廴 ストレッチ運動を10 秒間実施後

は約7ml ／100mX／min とわずかに増加する傾向が

みられた．運動時間が20秒，30秒と長くなるにと

もない，運動直後血流量も多くなる傾向がみられ

た．しかし，いずれの運動時間においても，運動

後20秒での血流量はほとんど安静時の値にまで回

復する傾向を示した．◇

前腕の血流量に関するこれま で の報告による

と1，3，4・゚ V 安静時の値は3 ～10m ／／100m／／min で

ある．本研究の結果もこれらの報告とほぼ一致し

た．　ト　　　　　ト　　　　　　　　づ

図4 は，2 名の被験者について，ストレッチ運

動の持続時間の増加にともなう運動直後血流量の

変化をみたものである．　　　　し

ストレッチ時間が40秒までは，時間の増加にと

もなって血流量も約13m ／／100mX／minと安静時

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▲Mat・　Nit

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Stretching　period （S ）

図4　Relation　between　blood　flow　and

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血流量の・約3 倍以上にまで増加する傾向がみられ

た，しかし，それ以上運動時間を継続しても血流

量の増加はみられなかった．＼　　．・　卜卜

筋収縮によって筋血流量は著しく増加すること

が報告されている．加賀谷5）は，前腕の把握作業

を疲労困 憊まで 行 なった とき ，前 腕血 流量 は約40

ml ／100ml ／min まで 増加 し た こ と を 報 告して い

る．また ，作業 回数 が少ない と きは，血 流量 も少

な く回復 もは やいs）．

本研究 に みられ た， スト レ ッチ運動を40 秒問 以

上実施し たと きの 血流量 の増加 傾向 は，筋 収縮時

の値 に比較 する と非常 に少 ない ものであ る．

一方 ，末 梢血管 は一一時的 に圧 迫す ると ，その後

急激な血 流増 加が生 じ ること が報告さ れ て い る

（反応性充 血）．Grant2 ）は ，一 定時 間の 血流阻 止

後 の血流量 は増大 す るが， その回復 は， 運動後 の

血 流量 の回 復に比 較して 著し く急激で ある ことを

報告してい る ．

本 研究に み られた ストレ ッチ運 動後 の血流量 の

増大 が，血 管圧迫 か ら くる反応性 充血 によ る もの

なのか，ま た ，筋収 縮によ る代 謝の増大 を表 わし

て いる のかにつ いて は明 らかで ない ．

図5 は， スト レ ッチ 運動を “強 ぐ 実施 し た と

きど 弱ぐ 行な った と き の 血 流量 の比 較であ

る．

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Stretching　period　・（S ）

図5　Comarison　of　blood　flow　between　“weak ”

and　“strong”　stretching

―　195　―

ストレッチの時間が20秒ぐらいまでは，両方法

の間に大きな差はみられないが，それ以上長い時

間でぱ “弱ぐ 実施した 場合 の血 流量 ぱ 強

ぐ 実施した場合に比較して，明らかに低い値を

示した．

ま　 と　 め

成人男子について，手首の背屈のストレッチ運

動（static　stretching）を実施し， 前腕の 血流量

を測定した結果，

1 ）ストレッチ運動後に血流量は増加するが，

その増加傾向はストレッチ時間が長 くなるにとも

ない大きくなる傾向を示した．40秒間では血流量

はほぼ最大値を示し，それ以上時間を延長しても

血流量の増大はみられなかった．

2 ）ストレッチ運動後の血流量は安静時の約3

倍に増大した，

3 ）“弱い”ストレッチでぱ 強い”ストレッ

チに比較して，血流量は少ない傾向がみられた．

文　　 献

1 ）Barcroft ，H ．，0 ．G．Edh01m ；　Temperature　and

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