オープンデータ論 第13回 - WordPress.comオープンソース系GISの特徴...

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オープンデータ論 13オープンデータと社会 その2

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オープンデータ論 第13回

オープンデータと社会 その2

オープンデータとは

•利用目的を制限せず、利用・再利用・再配布可能なデータ (http://opendefinition.org/)

誰もが出来るだけ自由に『資源として』利用できる環境が望ましい • 高品質のデータを…

•政府などが保有するデータの公開 • オープン・ガバメント・イニシアティブ • 透明性の確保・情報公開 • 市民参加 • データを介した関係者間の対話

計算機可読データの表現形式

•表形式の表現 •高い一覧性 •加工が必要なことが多い

•ダッシュボードツール利用 •データベースによる管理・LOD化 •希望に応じた各種指標の自動グラフ化 •データ(低品質な情報)から図化(高品質な情報)

•視覚化(グラフ化・地図化)による品質改善

Web型処理の世界

•必要な種類と対象の情報を機械的に処理 •セマンティック・ウェブの時代

• LOD化(Linked Open Data) • 対象の要素は、別の要素との関係

• RDF: Resource Description Frameworkが定義できるかも

• Web標準化団体(WWW3)の統一規格のフレームワーク

• 各種データ要素をURI(Uniform Resource Identifier)で定義・要素間の関連性などをリンクで表現

• 関連性定義・APIを公開 • 外部からも利用可能

• 結構面倒・・・できてしまえば、機械処理が可能

Web型処理の世界と現実世界

• LOD化のメリット・・・

•人間は意味の世界で生きている • 意味を機械的に処理したい

• 探して、見つけて、利用 → 外部のデータも一気に計算機で処理

• データを機械処理するためには、用語が指す内容が対応関係が必要(共通語彙が必要) • 組織や人により、ものごとの表現法が違う • 用語の共通化ではなく、語彙辞書で判定すれば・・・ • 関係性をきちんと表記することで、組織を超えた情報交換・情報共有ができる・・・

データの利用スタイル

表形式データの利用

•データの直接ダウンロード •利用者側での加工知識と能力が必要 • e-Stat

総務省統計局の e-Statの画面例

自動化されたデータの利用

•ダッシュボード型ツール •ウェブでの対話型で加工・表現 • LODなどによる機械処理可能性が前提

統計ダッシュボードの画面例

空間的データの 利用環境の変化

表形式データ・ダッシュボード利用の課題

•空間的表現の制約

•本来、空間的なデータも表形式などで表現 •位置関係が表現できない

•近年、WebGIS環境の向上によって、多少改善 • e-Stat • RESAS •ひなたGIS

•空間的関係性を含めた解析ができない

空間的データ特有の問題

•空間的データ固有の問題 Tobler • これらの固有の問題があるため、特別な処理が必要

• 空間的自己相関の判定

• データ処理するための特殊な対応の必要性

本日のクイズ

• 地理学の第1法則が成立していると、あなたが考える空間的なデータの例を示しなさい

• 地理学の第2法則が成立していると、あなたが考える空間的なデータの例を示しなさい

• いつものようにメールで

[email protected] 宛に送ること

GISシステムの変遷

•空間処理システムとしてのGIS

• 1980年代 • 大型汎用機 メインフレームコンピュータ • もともとミサイルなどの防衛技術や農地管理 • コマンド入力型システム • デジタイザなどの利用

• 1990年代前半 • UNIX系のエンジニアリング・ワークステーションの視覚化技術の向上

• ただし、コマンド入力型システム • GUI機能の向上

GISシステムの変遷

•空間処理システムとしてのGIS

• 1990年代後半 • マイクロソフト社のウィンドウシステムの普及

• PCでの処理能力の向上

• スタンドアロン型データ利用

• 2000年代 • ネット経由の広帯域化にともなうデータやアプリケーションの配布可能性の向上

• 無償のツール開発と配布、流通の開始

• 書き込みマップ型のGIS利用の開始

GISシステムの変遷

•空間処理システムとしてのGIS

• 2010年代後半 • ネット経由の広帯域化にともなうデータやアプリケーションの配布が前提

• 無償のGISツールの普及、一般での流通の開始

• データと処理システムがネットを経由して、供給可能になることで、オープンデータ化の急速な発展

• Web型GIS

GISデータの変遷

•空間情報のソース

• 2010年代前半まで • 公的な情報中心の利用

• 民間の情報からの収集の可能性のなさ

• SNSの普及によるボランタリーなデータ提供

• ジオタグ(位置情報のためのタグ技術)などの技術の不在

• データは提供されているものの、利用環境に課題

GISデータの変遷

•空間情報のソース

• 2010年代後半以降 • ボランタリーベースの位置情報の利用可能性の拡大

• 民間の情報からの収集の可能性の急拡大

• APIなどの公開、利用可能性の拡大

• ジオタグ(位置情報のためのタグ技術)などの技術の確立 • データの位置情報を含む利用環境の課題の解消

• ボランタリーベースな位置情報の収集可能性の拡大

空間表現利用環境の拡大・ Webベースツールの充実 •無料のツールの増加

• Web系ツール • Leaflet・Cesium • あるデータを見ることができればいい • ちょっと(多分、かなり)知識が必要 • データ加工には向かないかも・・・

• GISアプリケーション • QGIS・Mandara • 加工して、分析用データの生成 • 複数の分析を組み合わせ • ちょっと(多分、かなり)知識が必要

Web系GISの特徴

•ビューワー型GISの特徴 •様々なデータをAPIを利用することで利用可能

•比較的簡易に処理が可能 •解析するためには、別のアプリケーションの利用 • GRASSやGDALなどのオープンソース系アプリケーション、またはArcGIS SISなど商用アプリケーションなどの利用が必要

•バージョンアップの必要なし • 操作性の一貫性が保証されない場合も • 利用条件などの変更も頻繁に発生

デスクトップ系GISの特徴

•デスクトップ型GIS(QGISやMandara ArcGISな

ど)の特徴 • インストールが必要

• ヴァージョンアップのたびにインストールが必要

• OS依存(QGISなどクロスプラットフォーム型のGISも存在)

• 解析ツールが充実

• 視覚化、見える化より分析を指向 • 様々な解析機能が実装

デスクトップ系GISの特徴

•デスクトップ型GIS(QGISやMandara ArcGISな

ど)の特徴 • インストールが必要

• ヴァージョンアップのたびにインストールが必要

• OS依存(QGISなどクロスプラットフォーム型のGISも存在)

• 解析ツールが充実

• 視覚化、見える化より分析を指向 • 様々な解析機能が実装

オープンソース系GISの特徴

•オープンソース型GIS(QGISなど)の特徴 • 技術を持つ人々が、Githubなどを利用し議論しながら、世界各地で同時並行的に開発 • 技術的実装が早い

• 無料で使えるものが大半

• 自分たちが困っている部分を前提に開発、改良

• 開発速度が早い(変更が頻繁で、利用可能機能がやや不安定)

• 解析ツールが充実 • いくつかのツールでは、コマンド指向

• 開発の容易さ・利用者と開発者との重なりの多さ

次回予告

• オープンデータと社会を巡る動きと社会の変化

• まとめ