『ルサルカ』コメント集 - Akita U ·...

2
1 21 世紀ロシア映画上映会 2010 年 7 月 6 日 秋田大学教育文化学部 3号館145教室 『ルサルカ』コメント集 アンナ・メリキャン監督 2007 年 ロシア [学生のみなさんから] 映画を終わった時は、アリサがいきなり死んでしまったのでポカンとしてしまいました。そのあといろ いろ考えてみたら、アリサはサーシャの命を救った代償として死ななければならなかったのかもしれな いと思いました。アリサは最後車に引かれたわけですが、引かれ方がとても奇妙でした。映画すべてを 思い返してみると、疑問に思うところがたくさんあります。車に引かれるシーンもそうですが、赤色が 好きな妻とその夫はなぜ出てきたんだろうとか、どうしてサーシャは自殺しようとするのか、それなの に朝は普通にコーヒーを飲んで活動しだす。これらの疑問をもとにもう一度見たいと思わせるような映 画でした。ところどころ笑えるシーンもあって、映画の内容としては笑えそうにないけれど、笑えるシ ーンがあるのが新鮮でした。 まさかあんな形で終わるとは思いませんでした。でも完全に後味が悪い感じはしなくて、これはこれで 良いのかもしれない、と思えるのが不思議です。脚の無い女性は何を表しているのかが気になります。 最初に、映画の予告を見たときは、単純に「面白そう」としか思っていませんでした。 今まで見たことのある映画を見るような感覚で考えていました。 でも、実際に映画を見ると、とてもシュールで、日本の映画とは違った面白さがありました。ロシア語 の授業をとっているので、随所に聞いたことのあるロシア語があって、楽しかったです。 もう 1 度見たいと思いました。 機会があれば、他のロシア映画も見てみたいです。 バレリーナになりたいと思っているアリサを見てやっぱりロシアでも女の子の憧れの職業なのだなと 思いましたが、「女の子なら一度は憧れるバレリーナ」という考えは世界共通の価値観かなと思いまし た。子供時代の一人遊びのシーンはアメリ冒頭の年少時代のシーンと似てるなぁと感じました。叶わな い恋をして大人になる。のではなく、あの拍子抜しちゃうほどの悲劇的結末はとてもシュールで 「よく あること..」とアリサが呟いているし人魚姫みたいな女の子も全く珍しくない存在ということかなと思 いました。 とにかく不思議なストーリーだなと思いました。 携帯電話の着ぐるみの表情と、着ぐるみが街中を歩いているところが、この映画のなかでいちばんツボ でした。

Transcript of 『ルサルカ』コメント集 - Akita U ·...

Page 1: 『ルサルカ』コメント集 - Akita U · ほうがいいのではないかと思いました。 ・ 今日は学校で「ルサルカ」というロシア映画を観た。…難しかった。1つ言えるのは、音楽が良かった。

1

21世紀ロシア映画上映会 2010年 7月 6日 秋田大学教育文化学部 3号館145教室

『ルサルカ』コメント集

アンナ・メリキャン監督 2007年 ロシア

[学生のみなさんから] ・ 映画を終わった時は、アリサがいきなり死んでしまったのでポカンとしてしまいました。そのあといろいろ考えてみたら、アリサはサーシャの命を救った代償として死ななければならなかったのかもしれないと思いました。アリサは最後車に引かれたわけですが、引かれ方がとても奇妙でした。映画すべてを思い返してみると、疑問に思うところがたくさんあります。車に引かれるシーンもそうですが、赤色が好きな妻とその夫はなぜ出てきたんだろうとか、どうしてサーシャは自殺しようとするのか、それなのに朝は普通にコーヒーを飲んで活動しだす。これらの疑問をもとにもう一度見たいと思わせるような映画でした。ところどころ笑えるシーンもあって、映画の内容としては笑えそうにないけれど、笑えるシーンがあるのが新鮮でした。

・ まさかあんな形で終わるとは思いませんでした。でも完全に後味が悪い感じはしなくて、これはこれで良いのかもしれない、と思えるのが不思議です。脚の無い女性は何を表しているのかが気になります。

・ 最初に、映画の予告を見たときは、単純に「面白そう」としか思っていませんでした。 今まで見たことのある映画を見るような感覚で考えていました。 でも、実際に映画を見ると、とてもシュールで、日本の映画とは違った面白さがありました。ロシア語の授業をとっているので、随所に聞いたことのあるロシア語があって、楽しかったです。 もう 1度見たいと思いました。 機会があれば、他のロシア映画も見てみたいです。

・ バレリーナになりたいと思っているアリサを見てやっぱりロシアでも女の子の憧れの職業なのだなと思いましたが、「女の子なら一度は憧れるバレリーナ」という考えは世界共通の価値観かなと思いました。子供時代の一人遊びのシーンはアメリ冒頭の年少時代のシーンと似てるなぁと感じました。叶わない恋をして大人になる。のではなく、あの拍子抜しちゃうほどの悲劇的結末はとてもシュールで 「よくあること..」とアリサが呟いているし人魚姫みたいな女の子も全く珍しくない存在ということかなと思いました。

・とにかく不思議なストーリーだなと思いました。 携帯電話の着ぐるみの表情と、着ぐるみが街中を歩いているところが、この映画のなかでいちばんツボでした。

Page 2: 『ルサルカ』コメント集 - Akita U · ほうがいいのではないかと思いました。 ・ 今日は学校で「ルサルカ」というロシア映画を観た。…難しかった。1つ言えるのは、音楽が良かった。

2

あと、映像や景色にどこか芸術的センスを感じました。 幼いアリサが夕暮れ時に桟橋を走っていくシーンがとても綺麗で印象に残っています。 モスクワの街並みが流れる映像も観ていてわくわくしました。

・ 父のいない環境で、父を求め、諦め、代わりに、恋人を求め、不意に亡くなるというストーリーそのものは悲しいですが、それでも、パイナップルやら、お掃除やら、楽しそうなシーンが自分の印象に残りました!あの最後の笑顔は、不可視の存在を表したのですね!超面白かたです。

・ だれか一緒にパイナップル探そう!笑 缶詰じゃなくて丸々のやつ!はぁ、あのノリ最高だったね!キュンキュン過ぎる!♪( ́▽`)

・ まず第一に60周年記念ホールで映画が見れたことに感激。音響は劣るもののスクリーンは期待通り。映画内容は冒頭から見たくないものを見せられたものの、節ごとに分かれた構成や、クスリとするジョークはおもしろかった。ぜひあのホールでまた映画を!

・ ルサルカおもしろかった(^ω^)ラストがびっくりだった(́_ゝ`) ・ 主人公のキャラクターは『アメリ』そっくりで、ハッピーエンドで終わるのかと思っていたら、衝撃的な終わり方でした。また、願ったことがすべて叶う彼女ですが、そのせいで他人に不幸が降りかかったとき、自分を責めている姿がかわいそうで、なんとも言えない気持ちになりました。でも、だからといって重い映画ではなく、笑えるシーンもいくつかあり、これは毎年、1年生のロシア語受講者に見せたほうがいいのではないかと思いました。

・ 今日は学校で「ルサルカ」というロシア映画を観た。…難しかった。1つ言えるのは、音楽が良かった。 [教員から] ・ 中尾信一:まずは日本未公開のロシア映画が字幕付で見れたことがすごい。上映関係者に感謝。都会的な風俗と戯れる現実的な側面とメルヘンタッチな空想性がほどよくマッチ。主演女優の魅力も圧倒的。きっと最後は水に帰っていくんだと思っていたのに・・・

・ 長谷川章:主な意見は上映会プログラムに載せたので以下補足。この映画、映画史的関連をいろいろ連想させるのも嬉しいところ。例えば、酔っぱらったときだけ親切なサーシャは、個人的にはチャップリン『街の灯』の自殺志願の金持ちを想起させます。結末の唐突な「悪意」も私好み。「欲望」というキーワードから現代の資本主義社会を外部から捉えようとする姿勢は、意外とシュヴァンクマイエルや北野に近いのかも…。 コメントをみなさん、どうもありがとうございました。 上映会はこれからも続けていきたいのでよろしくお願いします。