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1 今回のリハビリ講座は「自分にあった靴の選び方」です。 城北病院リハビリテーション部 理学療法士 後藤 沙耶です。 よろしくお願い致します。

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今回のリハビリ講座は「自分にあった靴の選び方」です。

城北病院リハビリテーション部 理学療法士 後藤 沙耶です。

よろしくお願い致します。

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皆さんの中に、こんなことで悩んでいる方はいませんか?

「足が変形しているので普通の靴に入らない。」「履きやすい大きめの靴を履くと、中で足が滑って歩きにくい。」「脱ぎ履きしにくい。」「おしゃれな靴が履けない。」「変形した指やタコ、ウオノメが当たって痛い。」

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このような足の悩みに対して、城北病院では次のように対応しています。

診察の時に医師に相談すると、リハビリが処方され、理学療法士や作業療法士が対応をします。

問診で悩んでいること・困っていることやご希望をお聞きした上で、足の状態や歩行状態を見せて頂き、どんな方法で解決するかを相談していきます。

解決方法は大きく分けて3つあります。1つ目は靴の選び方の助言と中敷きタイプの足底板作製、2つ目はサポータータイプの足底板作製、3つ目は装具外来での足底板や靴型装具の作製です。

変形予防のための包帯療法やマッサージについても指導しています。変形が重度の場合は、足趾形成術という手術を受けて頂くことがあります。

変形が進んでしまってからでは対応が難しくなるので、早い時期から予防的に対応を始めることが望ましいです。

今回のテーマである「自分にあった靴の選び方」は予防という面でとても大切です。

今日学んだことを帰った後からさっそく実践していただければと思います。

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靴の選び方についてお話する前に、まずは基礎知識として、3つの足部アーチについて説明します。

人の足には3つのドーム状のアーチがあります。土踏まずと呼ばれている内側縦アーチ、指の付け根部分にある横アーチ、小指側にある外側縦アーチです。

これらのアーチは骨、靭帯、筋肉から成り立っています。

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足部アーチには

①歩行時の衝撃吸収

②効率的なパワーの伝達

③姿勢の保持

④地面の凹凸に対する足底部の適合

⑤足底にかかる体重の分散

といった機能があります。

しかし、骨・関節の変形や筋力の低下、合わない靴を履いているなどの外的要因により足部アーチが崩れると変形や痛みなどのトラブルに繋がってしまいます。

骨・関節の変形を治すのは難しいですし、筋力をつけるにも時間はかかってしまいます。

そんなとき、自分に合った靴を正しく選ぶことで、このようなトラブルを防ぐことができる可能性があります。

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靴選びで一番大切なことは「足サイズに合った靴」を履くことです。

当たり前のことのように思いますが、実は世の中のほとんどの人は、大きすぎる靴を履いています。

特にリウマチの方は脱ぎ履きしやすい、圧迫されると痛いなどの理由から大きすぎる靴を履いている人が多いです。

しかし、大きすぎる靴を履くことにより

①足を浮かしている遊脚期に脱げやすくなるので、脱げないように歩幅を小さくしたり、余分な筋肉を使ったりして、疲れやすくなります。

②足が地面についている立脚期に靴の中で足が前方へ滑ってしまいます。滑らないように力を入れることで足趾に余分な負担がかかるとともに、靴の前の方は細く狭くなっているので、指が真ん中に寄ってきて窮屈な形になります。

③立脚期に足部アーチがつぶれやすくなり、靴の中で足を捻りやすくなります。これにより変形や痛みといった足トラブルの原因になります。

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足トラブルを予防するために、靴を選ぶときは、自分の足サイズに合っているかどうかを確認するようにしましょう。

中敷きが取れる靴は、中敷きを取り出して、足を載せてみます。取れない場合は、靴を履いた状態で踵を床にトントンし、爪先の余裕を見ます。

どちらの場合も、明らかに1㎝以上余裕がある場合は大きすぎます。

ただし、体に不都合がある場合はフィッティングより脱ぎ履きのしやすさが優先されることがあります。

この機会に正しい靴の履き方も覚えてください。

①靴は、踵に合わせて履くように作られています。はじめに踵をトントンして、足を靴の踵に合わせます。

②少し足首を反らして、土踏まずあたりのベルトか紐をしっかり締めます。

靴の履き方ひとつで、ずいぶん歩きやすさが変わることに気付くと思います。

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よりサイズの合った靴を履くために、リハビリ室やシューフィッターがいる靴屋さんではより正確な足サイズの測定や、フットプリントでの評価が行えます。

フットプリントとは体重をかけた時の足の裏の状態を評価するもので、タコの有無、アーチの状態、重心の位置、指に体重がのっているかどうか、左右の大きさの違いなど、いろいろなことが分かるので、靴を選ぶときにとても参考になります。

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足にやさしい靴を選ぶときの、一般的なチェックポイントです。

甲の部分は、紐やベルトで甲の高さや形に合わせて調整でき、土踏まずの部分をしっかり締めることができるもの。先の部分は、指先が動かせるゆとりがあるもの。ゆとりは0.5cmから1cmが良いでしょう。

踵は、指でつまんだ時に固くてつぶれにくく、踵をしっかり包んでくれるものを履くと安定します。ヒールは平らで、高すぎず狭すぎないものが安定します。

靴底は、平らで適度に衝撃を吸収できる素材がいいです。手で押さえると、土踏まずの部分がしっかり硬くて、指の根元で曲がるものが蹴り出しやすいです。

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ここからは、個別の変形への対応についてお話します。

開帳足や偏平足と言われる、アーチが低下した足に対しては、アーチを補強するために、靴紐をしっかり締めたり、アーチをサポートするような足底板を使用したりします。

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外反扁平足とは、内側縦アーチが低下して偏平足になった結果、足首が内側に落ち込んで足が外側に傾く変形を言います。

足は、つま先を下げた時に、足首が内側に傾いてアーチが高くなる仕組みになっていますので、3㎝ほどのヒールは、この変形を補正する効果があります。ヒールは平らで広めのものが安定します。

また、靴の素材が柔らかくねじれやすいと、靴の中で足を捻ってしまいます。踵の硬い部分が長めのものは、踵がずれないようにしっかり保持できますので、お勧めです。

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外反母趾や内反小趾の場合、大きすぎる靴を履いている方がほとんどですが、これは良くありません。

足が横に広がって変形を助長しますし、靴先の細い部分に前滑りして、突出部が当たったり、変形を進める原因になったりします。

足底板を併用すると、小さめの靴でも履きやすくなる場合があります。

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槌趾変形や鷲爪変形がある方は、靴の先端が指や爪を圧迫しない、当たって痛くないデザインを選びましょう。

靴先がオープンなもの、柔らかな布製、痛い部分にデザインがないものがお勧めです。

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一番多く相談に来られるのが、タコやウオノメです。

ここまで紹介してきた変形によって、足底の一部分に大きな圧力がかかることで生じます。

多くの場合は、集中している圧力を分散させるような足底板が有効です。

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足首が痛む場合は、フラットな靴を履いているのであれば、踵が1~2cm高い靴を選びます。

体重がかかる時の足首の角度が少し変わり、歩行時の足首の動きが小さくなることで、痛みが軽減します。

足首が不安定で痛みが出ている場合は、足首を包むようなハイカットタイプのものがお勧めです。

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病院では、福祉用具カタログにある靴を注文することができます。

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脱げやすい履物は、ひと工夫するだけで歩きやすくなります。

踵がないスリッパの場合は、ゴム紐をつけます。

パンプスの場合は、ストラップ付のものを選ぶだけで歩きやすくなります。

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金沢市には、足に合わせて靴と中敷きを調整してくれる靴屋さんがあります。

時間やお金はかかりますが、足にしっかりフィットし、痛みを和らげたり、足の変形や症状の進行を遅らせたりすることができます。

また、靴屋のいいところはデザインが豊富なことで、おしゃれを楽しみたい女性にもお勧めです。

ご興味のある方は、一度、主治医やリハビリスタッフにご相談ください。

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リウマチ患者さんは変形や痛みのトラブルを抱えている方が多くいらっしゃいます。

そんな悩みを少しでも軽減できるよう、まずは自分の足のことを知り、「自分にあった靴の選び方」を実践していただければと思います。

解決が難しい場合や店についての情報を希望される場合などは、主治医の先生にお話しの上、リハビリスタッフへご相談ください。私たちも力になります!