コンピュータの機能...

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-1- 論点 コンピュータの機能 №1 出題傾向 H14年第1問★、第2問 H16年第1問(設問2★)、第2問 H17年第2問(設問1) H18 年第1問★ H19年第1問 H21年第1問、第2問★、第3問★ H22年第1問、第2問 H23年第1問、第2問 H24年第1問、第2問★、第3問 H25年第6問 H26年第1問★ 印は、論点を理解するのに最適な問題を示します。 出題予想 ほぼ毎年出題されている重要論点である。コンピュータの仕組みと機能について理解する。 MEMO 1.ハードウェアの構成要素と機能 ハードウェアは中央処理装置、記憶装置、入出力装置の3つの部分から構 成されている。 制御装置 主記憶装置 演算装置 入力装置 出力装置 補助記憶装置 CPU 制御の流れ データの流れ (1)中央処理装置(CPU:シーピーユー、Central Processing Unit中央処理装置はコンピュータの中枢で、頭脳に相当する。与えられたデ ータをプログラムにしたがって処理するための装置である。 中央処理装置は、さらに演算装置と制御装置からなる。 制御装置は命令を解読し、その命令を実行するのに必要な指示を各装置 に送る。 演算装置は制御装置からの命令によって四則演算や論理演算を行う。 【過去問チェック】 H24-2-AB

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Page 1: コンピュータの機能 №1...CPUの処理速度を表す単位で、1MIPSは1秒間に100万回命令 を実行できる。値が高いほど処理能力が高い。 ② FLOPS(フロップス、Floating

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論点 コンピュータの機能

№1 出題傾向

H14年第1問★、第2問 H16年第1問(設問2★)、第2問 H17年第2問(設問1) H18

年第1問★ H19年第1問 H21年第1問、第2問★、第3問★ H22年第1問、第2問

H23年第1問、第2問 H24年第1問、第2問★、第3問 H25年第6問 H26年第1問★

★印は、論点を理解するのに 適な問題を示します。

出題予想

ほぼ毎年出題されている重要論点である。コンピュータの仕組みと機能について理解する。

MEMO

1.ハードウェアの構成要素と機能

ハードウェアは中央処理装置、記憶装置、入出力装置の3つの部分から構

成されている。

制御装置

主記憶装置

演算装置

入力装置 出力装置

補助記憶装置

CPU

制御の流れ

データの流れ

(1)中央処理装置(CPU:シーピーユー、Central Processing Unit)

中央処理装置はコンピュータの中枢で、頭脳に相当する。与えられたデ

ータをプログラムにしたがって処理するための装置である。

中央処理装置は、さらに演算装置と制御装置からなる。

制御装置は命令を解読し、その命令を実行するのに必要な指示を各装置

に送る。

演算装置は制御装置からの命令によって四則演算や論理演算を行う。

【過去問チェック】

H24-2-AB

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-2-

MEMO

【過去問チェック】

H24-2-C

【過去問チェック】

H24-2-D

【過去問チェック】

H24-3

【過去問チェック】

H21-11-BC

(問題は論点№

23掲載)

H25-6-エ

(問題は論点№

23に掲載)

(2)記憶装置

記憶装置は処理を行うために必要なプログラムやデータを保持する装置

である。記憶装置には様々なものがあるが、コンピュータが処理する上で

は、主記憶装置が重要な役割を果たす。また、主記憶装置を補完する補助

記憶装置は用途や性能によって使い分けが必要である。

(3)入出力装置

入出力装置はコンピュータに指示を与えたり、その指示の結果を確認し

たりするための装置である。指示を与えるものが入力装置、結果を外部に

出力するものが出力装置である。

2.中央処理装置(CPU) (1)CPUの処理能力

① MIPS(ミップス、Million Instructions Per Second)

CPUの処理速度を表す単位で、1MIPSは1秒間に100万回命令

を実行できる。値が高いほど処理能力が高い。

② FLOPS(フロップス、Floating point number Operations Per

Second)

CPUの処理速度を表す単位で、1FLOPSは1秒間に1回の浮動

小数点の計算を実行できる。値が高いほど処理能力が高い。

③ 内部クロック周波数

コンピュータ内の各回路での処理タイミングを取るテンポのこと。

「3.4GHz」という形式で表記される指標である。値が高いほど処理能力

が高い。クロック周波数の逆数をクロック周期という。従って、クロッ

ク周期の値が小さいほど、演算処理速度が速い。

(2)CPUの高速化

① マルチプロセッサ

1台のコンピュータに複数のCPUを搭載すること。主記憶装置と補

助記憶装置を共有することで並列処理を可能とした。シングルプロセッ

サに比べて、複数のプロセッサで並行処理を行うことでスループット、

信頼性が向上する。

② マルチコアプロセッサ

一般的なマイクロプロセッサでは、パッケージの中には命令発行器や

演算器などを組み合わせた1つの部品として動作するプロセッサコア

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MEMO が1セット入っている。マルチコアプロセッサにはこのプロセッサコア

が複数個入っており、ちょうどマイクロプロセッサを複数個搭載してい

るような状態になる。つまり、1つのCPUに複数のプロセッサコア(中

枢機構)を集積したCPUである。各プロセッサコアは基本的に独立し

ているため、それぞれのプロセッサコアは他のプロセッサコアに影響さ

れることなく動作できる。マルチコアプロセッサの中でも2つのコアを

持つものはデュアルコア、4つはクアッドコア、6つはヘキサコア、8

つはオクタコアと呼ばれている。

3.主記憶装置

主記憶装置には、半導体メモリが利用されるため、単にメモリと呼ぶ場合

もある。主記憶装置の容量が少ないと後述するスワッピングが頻繁に発生し、

コンピュータの処理速度が低下する。

主記憶装置には主にRAMと呼ばれる読み書きが可能なメモリが利用され

る。

(1)メモリの種類

① RAM(ラム、Random Access Memory)

一般的には、データの高速な読み書きができるが、電源が停止すると

記憶内容が消去される性質(揮発性)を持っている。高速なアクセスが

可能なのでレジスタやキャッシュメモリに使用される。ただし、技術革

新に伴いこの定義に当てはまらないRAMも出てきている(具体的には

下記参照)。

・DRAM(ディーラム、Dynamic Random Access Memory)

DRAMは、コンデンサが蓄えた電荷で情報を保持する。電荷は時間

の経過により減少するため、情報の保持にはリフレッシュが必要である。

SRAMより安価に製造可能であり、主記憶装置などに使われる。CP

Uのクロックに同期させ、高速な処理を実現したDRAMがSDRAM

(エスディーラム、Synchronous Dynamic RAM)である。

・SRAM(エスラム、Static Random Access Memory)

SRAMは情報の保持にリフレッシュが不要である。しかし、構造が

複雑で、DRAMより価格が高い。その為、レジスタやキャッシュメモ

リなどに使われる。

【過去問チェック】

H14-1-アイ

H16-1(2)

H16-2

H19-1

H20-9-アウ

(問題は論点№5

に掲載) H22-1-abd

H23-2

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MEMO ② ROM(ロム、Read Only Memory)

ROMは電気を切っても記憶内容が消えてしまわないよう不揮発性

メモリを使用している読み出し専用メモリであったが、技術の進歩に伴

い、ある程度の回数は書き込みできるものがある。ROMは主にコンピ

ュータの動作準備のためのプログラムを格納するために使われる。

工場出荷時にBIOS(バイオス、Basic Input/Output System)など

が書き込まれたものがマスクROMである。 データを一定回数書き込むことが可能なROMにEPROM (イーピ

ーロム、Erasable Programmable Read Only Memory)やEEPROM(イー

イーピーロム、Electronically Erasable and Programmable Read Only

Memory)がある。

③ VRAM(ウ゛イラム、Video Random Access Memory)

ディスプレイに表示される内容を保持しているメモリ。画面の解像度や

発色数はVRAMの容量に左右される。

④ レジスタ(register)

CPU内部で、演算結果や取り込んだデータを一時的に格納しておく

ための記憶装置である。

⑤ キャッシュメモリ(Cache Memory)

高速のレジスタと低速の主記憶装置の速度差を解消(処理の高速化)

するためにCPUと主記憶装置の間に設置されるメモリ。

⑥ 仮想記憶、バーチャルメモリ(Virtual Memory)

主記憶装置は物理的な容量に制限がある。そのため、CPUに必要と

するデータを主記憶装置に確保するために、現在必要としない情報を必

要になるときまで一旦補助記憶装置の仮想記憶と呼ぶ領域に退避させ、

空き領域を確保する。この処理をスワッピングと呼ぶ。仮想記憶方式に

よって主記憶装置の利用効率を高めることができる。しかし、スワッピ

ングが頻繁に発生するとハードディスクへのアクセス頻度が増加する

ため、処理速度が低下する。この場合、主記憶装置の容量を増設すると

スワッピングの頻度を低減し、処理速度を改善することができる。

4.補助記憶装置

補助記憶装置は文字どおり主記憶装置を補完・補助するための記憶装置で

ある。メモリ上ではコンピュータの電源が入っている間しか情報を保持でき

ないため、長期間に亘って(電源が切れても)、大量の情報を記録保持するこ

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MEMO

とのできる補助記憶装置を利用する。

(記憶装置の階層)

レジスタ→キャッシュメモリ→主記憶装置→ディスクキャッシュ→補助記憶装置

高速・小容量 低速・大容量

(1)半導体メモリ

RAM(ラム、Random Access Memory)はデータの読み書きができる半

導体メモリである。一方、ROM(ロム、Read only memory)は読出しし

かできない。

(2)補助記憶装置の種類

補助記憶装置には様々なものがある。代表的なものは以下のとおり。

① 磁気ディスク装置

磁気ディスクとしてはフロッピーディスク(FD:Floppy Disk)やハ

ードディスク(HDD:Hard Disk Drive)がある。ハードディスクは補

助記憶装置の主流であり、その性能は、記憶容量、シークタイム、回転

速度、キャッシュ容量で示される。磁気ディスクには、ディスクキャッ

シュと呼ばれるアクセス時間を短縮するためのバッファメモリが搭載さ

れている。

磁気ディスクへ実際のデータを保存するときは、記憶領域をセクタ・

クラスタという単位に分割してデータを保存する。セクタは HDD など

にデータを記録する際の 小単位になる。クラスタはデータ管理を効率

化するために複数のセクタをまとめたものになる。

【過去問チェック】 H14-2

H17-2(1)

H21-3

H26-1

主記憶装置

(半導体メモリ) RAM DRAM

SRAM

ROM マスクROM

PROM

EPROM

EEPROM

記憶装置

補助記憶装置 磁気ディスク

光ディスク

光磁気ディスク(MO)

フラッシュメモリ

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MEMO ある程度の大きさのデータを保存する場合、補助記憶装置上では複数

のクラスタに分割されて記録される。データを追加する時に、データサ

イズ分の連続するセクタ・クラスタが確保できない場合、通常は分割し

たデータ、磁気ディスク上では離れた場所にあるクラスタに分散して格

納する。

どのクラスタにどのファイルのデータが記録されているかは、ユーザ

ーが意識しなくても良い形で管理される。

・ハードディスクの記憶容量計算方法

1面あたりのトラック数×1トラックあたりのセクタ数×

面数×1セクタあたりのバイト数

② 光ディスク装置

レーザー光を利用して読み込みや書き込みを行うことができる。

種類 容量 用途 概要

CD-ROM

650MB

700MB

読出し 再生専用

樹脂製の円盤に細かい凹凸を刻んでデータ

を記録するメディア。 CD-R 追記型 有色色素をレーザー光で焼いてデータを書

込む。追記には専用のドライブ装置が必要。 CD-RW 書き換え可能 書き換えには専用のドライブ装置が必要。

読み書きができる。 DVD-ROM

4.7GB

(片面1層)

8.5GB

(片面2層)

読出し 再生専用

大記憶容量は記録方式で異なる。

DVD-R

DVD+R 追記型 追記には専用のドライブ装置が必要。一度

のみ書き込みが可能。 DVD-RAM

DVD-RW

DVD+RW

書き換え可能 専用のドライブ装置が必要。 読み書きが可能。

Blue-ray 25GB

(片面1層)

BD-R は1回 BD-Reは複数回

技術革新で片面8層(200GB)の開発に成功。

③ 光磁気ディスク装置(MO)

レーザー光の熱による磁性の反転を利用して、データの読み込みや書

き込みができる。ディスクのサイズは3.5インチと5インチがあり、3.5

インチMOの記憶容量は128MB~2.3GB。カートリッジに入っている

ことで光ディスクより耐久性が高い。MediaIDと呼ばれる著作権保護の

仕組みが利用できる媒体もある。

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MEMO ④ フラッシュメモリ

EEPROM(イーイーピーロム、Electronically Erasable and

Programmable ROM)の一種であり、データの消去・書き込みを自由に

行うことができ、電源を切っても内容が消えない半導体メモリ。

市販されているメモリカードは、このフラッシュメモリをパッケージ

したものである。種類としては、コンパクトフラッシュやSDカード、

フラッシュメモリのパッケージにUSBコネクタを付けた「USBメモ

リ」があり、データ交換用のメディアとして主流になりつつある。ホッ

トプラグ接続(電源が入ったままで周辺機器の着脱が可能な(再起動が

不要な仕組み)にも対応している。

□ ハードウェアは、中央処理装置、記憶装置、入出力装置の3つの部分から

成る。

□ 中央処理装置は、さらに演算装置と制御装置からなる。

□ 主記憶装置には、半導体メモリが利用され、単にメモリと呼ぶ場合もある。

□ 主記憶装置の容量が少ないとコンピュータの処理速度が低下する。

□ 主記憶装置には、RAMと呼ばれる読み書き可能なメモリが利用される。

□ 補助記憶装置は主記憶装置を補完し、代表的なものは磁気ディスク装置、

光ディスク装置、フラッシュメモリがある。

□ RAMは、データの高速な読み書きができるのでレジスタやキャッシュメ

モリに使用される。

□ ROMは基本的に読み出し専用で、電気を切ってもデータが消えてしまわ

ないよう不揮発性メモリを使用している。

□ VRAMはディスプレイに表示される内容を保持しているメモリ。

□ レジスタはCPU内部で演算結果や取り込んだデータを一時的に格納して

おくための記憶装置。

□ キャッシュメモリは高速のレジスタと低速の主記憶装置の速度差を解消

(処理の高速化)するためにCPUと主記憶装置の間に設置されるメモリ。

□ スワッピングが頻繁に発生するとハードディスクへのアクセス頻度が増加

するため、処理速度が低下する。この場合、主記憶装置の容量を増設する

とスワッピングの頻度が低減し、処理速度を改善することができる。

【過去問チェック

H14-1-ウ

H17-5(1)-B

(問題は論点№21

に掲載)

H21-1

H22-1-c

学習のポイント

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論点 コンピュータによる処理

№2 出題傾向

H16年第9問(設問2) H17年第1問★

★印は、論点を理解するのに 適な問題を示します。 出題予想

過去2回出題。コンピュータの種類などは一般知識であり、出題確率は低いと予想する。

MEMO

1.コンピュータの種類

コンピュータには、様々な種類がある。また、低価格で高性能なコンピュ

ータが日々進化を遂げている。用途に応じて、適切なコンピュータを選択す

る必要がある。

(1)パーソナルコンピュータ

いわゆるパソコンは身近で手軽に導入できるコンピュータである。パソ

コンにも様々なタイプがある。

① デスクトップコンピュータ

固定型のコンピュータ。パソコン本体を机(デスク)の上に置くタイ

プ。コンピュータ本体にディスプレイ、キーボード、マウスなど入出力

装置を個々に接続して利用する。

② ノートブックコンピュータ

A4、B5といったノートのサイズに、本体、キーボード、ディスプレ

イがコンパクトに収められた一体型のコンピュータ。手軽に持ち運べる。

③ ラップトップコンピュータ

本体とディスプレイ、キーボードが一体となっている可搬タイプのコ

ンピュータである。持ち運びも可能ではあるが、ノートブック型のよう

に持ち運びを前提としたタイプではない。デスクトップ型の省スペース

タイプに近い。

(2)ワークステーション

パソコンよりも高性能なコンピュータで、CADによる設計や図面の作

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MEMO

成、CG作成などを目的に利用するコンピュータ。技術者向けのコンピュ

ータとして利用する場面が多い。

(3)オフィスコンピュータ

中小企業のような小規模の事務所で事務処理に使用されていたコンピュ

ータ。パソコンよりもやや大きく、オフィスのフロアに設置する。

(4)メインフレーム、汎用コンピュータ

給与計算などの事務処理から、科学技術的な解析処理まで多くの目的で

活用される大型のコンピュータ。大規模なデータ処理を得意とする。

(5)スーパーコンピュータ

原子力、自動車、航空機などの設計や科学技術計算、気象などのシミュ

レーションに使用される非常に大規模、高性能なコンピュータ。

3.コンピュータの起動

パソコンの動作を例にコンピュータの起動の流れを説明する。

① BIOSが主記憶装置にロードされ起動する。

② メモリチェックが行われる。

③ 周辺装置チェックが行われる。

④ システム正常を示すビープ音「ピッ」が鳴る。

⑤ OSを主記憶装置にロードし、起動する。

BIOS(Basic Input/Output System)

マザーボードのフラッシュメモリなどの不揮発メモリ(ROM)に記録

され、電源投入により主記憶装置にロードされる。ディスクドライブやキ

ーボードなどの周辺機器に対する基本的な入出力手段をOSやアプリケー

ションソフトに提供する。

□ コンピュータにはパーソナルコンピュータ、ワークステーション、オフィ

スコンピュータ、メインフレーム、汎用コンピュータ、スーパーコンピュ

ータがある。

□ BIOSはマザーボードのフラッシュメモリなどの不揮発メモリ(ROM)

に記録されている。

□ コンピュータの起動は、①BIOSが主記憶装置にロードされ起動、②メ

モリチェック、③周辺装置チェック、④システム正常を示すビープ音「ピ

ッ」が鳴る、⑤OSを主記憶装置にロードし起動、という①~⑤の流れに

なる。

【過去問チェック】

H17-1

H24-5-ア

(問題は論点№6

掲載)

学習のポイント

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論点 コンピュータの利用

№3 出題傾向

H15年第1問(設問1) H16年第1問(設問1) H17年第2問(設問2) H19年第2問

H20年第1問、第2問 H22年第7問、第9問 H23年第11問★ H25年第1問

H26年第2問★

★印は、論点を理解するのに 適な問題を示します。 出題予想

ほぼ毎年出題されている重要論点。データの入力、出力に欠かせない入出力装置について理解

する。

MEMO

【過去問チェック】

H17-5(1)-A

(問題は論点№21

に掲載)

H19-2―ア

H22-9

1.入出力装置

コンピュータに対して与えられた指示を中央処理装置へ入力、また中央処

理装置の処理結果を外部に出力する機能を持った装置が入出力装置である。

(1)入力装置

コンピュータに文字や数字で指示を与えることが入力装置の役割であ

る。主な入力装置は以下のとおり。

① キーボード

指でボタンを押し、文字を入力する装置。文字情報をコンピュータに

伝える。

② マウス

机上を滑らせることで、ディスプレイ上のカーソルを移動させる装置。

ポインティングデバイスで相対位置変化を情報として入力する。

③ イメージスキャナ

写真や絵をデジタル化しその画像をコンピュータに取り込むための装

置。読み取り精度はdpiで表され、この数値が大きいほど解像度が高い。

④ OCR(オーシーアール、Optical Character Reader)

手書きもしくは印刷された文字を光学的に読み取る装置。

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MEMO ⑤ バーコードリーダー

バーコードに光を当てて、反射光を読み取る装置。コンビニエンスス

トア、スーパーなどで応用されている。

⑥ ICカードリーダー

情報を記録したICチップを埋め込んだキャッシュカード大のプラ

スチック製カードを読み取る装置。電子マネーやテレホンカードなどに

応用されている。

⑦ マイク

音声を入力する装置。コンピュータと接続して音声をデジタル化して

取り込むことができる。

⑧ デジタルビデオカメラ

動画、映像をデジタル処理し記録する装置。コンピュータと接続して

記録した動画をそのまま取り込むことができる。

(2)出力装置

① ディスプレイ

画面上に文字や画像を表示する。ブラウン管を使用したCRTディス

プレイ装置、液晶画面を使用した液晶ディスプレイ装置がある。

② プリンター

プリンターは印刷方式により、いくつかの種類に分けられる。

・インクジェットプリンタ

インク方式。家庭用が主流。印字精度は印字ヘッドのドット数で表

され、この数値が大きいほど解像度が高い。

・レーザプリンタ

電子写真式、静電気トナー方式、レーザー光による感光方式。オフ

ィス用が主流。

2.入出力装置のインタフェース

入出力装置のインタフェースとは、コンピュータ本体と入出力装置及び入

出力装置間など、装置間を接続するための規格である。インタフェースは転

送方法や有線無線によって分類できる。転送方法はビット単位で転送するシ

リアルインタフェースとバイト単位で転送するパラレルインタフェースに分

【過去問チェック】

H19-2-ウ

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MEMO

【過去問チェック】

H16-1(1)

H20-2

H25-1

H26-2

類できる。ディスプレイ、プリンター、スキャナなど入出力装置によって物

理的に接続するインタフェース(コネクタ)の形状が異なるので注意が必要

である。

(1)有線方式

① セントロニクス

コンピュータとプリンターを接続するために使用される低速パラレル

インタフェースである。米国の Centronics Data Computer 社が開発した

規格で、ほとんどのプリンタメーカーがこのインタフェースを採用して

事実上の業界標準となったが、現在はUSBの接続方式が主流になりつ

つある。

② IDE(アイディーイー、Integrated Drive Electronics)

ハードディスクやCD-ROM装置を接続するための高速パラレルイ

ンタフェースである。ANSIが標準化した規格をATA(エーティー

エー、AT Attachment)といい、近年ではパラレルATAと呼ばれてい

る。

③ シリアルATA

IDE(パラレルATA)の後続規格として、シリアル転送方式を採

用した規格である。ATAは1本のケーブルに2台の機器を接続できる

が、シリアルATAはケーブル1本につき機器1台になる。e-SATA

(イーエスエーティーエー、external Serial ATA)などがある。

④ USB(ユーエスビー、Universal Serial Bus)

キーボードやマウス、プリンター、ハードディスクなどの周辺機器の

接続に用いられるシリアルインタフェースである。

USB1.1は 大転送速度が12Mビット/秒、USB2.0は 大転送速

度が480Mビット/秒である。USB2.0は大容量の転送が可能なため補

助記憶装置の接続の主流となっている。また、USB3.0という新しい規

格の流通が始まっている。 大転送速度は5Gビット/秒である。

さらなる転送速度の向上など実現するUSB3.1は、仕様の策定が2013

年8月に完了している。USBは下位規格互換を実現しているため、転

送速度は下位規格に依存する。

⑤ IEEE1394(アイトリプルイー1394)

デジタルカメラなどの大容量の転送が要求されるマルチメディア関連の

周辺装置の接続に使用されるシリアルインタフェースである。Fire Wire、

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MEMO iLink と呼ばれているものも同様の規格を指す。

大で63台の機器を接続することができ、転送速度は100Mbps、

200Mbps、400Mbpsが規格化されている。

なお、IEEE(アイトリプルイー、Institute of Electrical and

Electronic Engineers)は、米国電気電子学会という、電気・電子分野

における世界 大の学会である。IEEE1394 は、IEEEで制定さ

れた数多くある規格の一つになる。

⑥ SCSI(スカジー、Small Computer System Interface)

パソコンと外付けのハードディスクなどの外部記憶装置を接続する

ための規格である。SCSIには、SCSI、SCSI-2、SCSI

-3と順次改良・拡張された規格が複数ある。SCSI-3はパラレル

転送(並列)方式のSCSIを拡張し、シリアル転送方式を採用した規

格である。SCIS-3が一部採用するシリアルSCSIでは、装置を

127台まで接続可能で、コンピュータの電源を入れたまま外部記憶装置

を接続できるホットプラグ接続にも対応している。

⑦ DVI(ディーウ゛イアイ、Digital Visual Interface)

映像装置の接続に利用されるインタフェース。

(2)無線方式

① IrDA(アイアールディーエー)

パソコンと入出力装置の間を赤外線で通信する規格。

② Bluetooth

携帯情報機器向け2.4GHz帯を使ったワイヤレス通信の規格。

③ 無線LAN(Wireless LAN)

有線LANに対して、ケーブルによる配線を使わないLANのこと。

無線方式には電波や赤外線、レーザーなどがある。

今日利用されている代表的な無線方式にIEEE802.11a/b/gがあ

る。IEEEでLAN技術の標準を策定している802委員会が定めた無

線LANの規格である。各方式の違いは以下のとおりである(LANの

詳細は論点№20を参照)。

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MEMO

【過去問チェック】

H17-2(2)

規格名称 周波数帯 通信速度 特徴

IEEE802.11a 5.2GHz帯 大54Mbps 障害物に弱い

IEEE802.11b 2.4GHz帯 大11Mbps 障害物に強い

他の電子機器の影響を受ける

IEEE802.11g 2.4GHz帯 大54Mbps 障害物に強い

他の電子機器の影響を受ける

IEEE802.11n 2.4GHz帯

5.2GHz帯

大600Mbps

実効100Mbps以上

障害物に強い

④ Wi-Fi(ワイファイ、Wireless Fidelity)

Wi-Fi Alliance という業界団体が認定しているブランド名称である。

無線LAN機器がIEEE802.11シリーズの規格を満たしていて、他社

の無線LAN製品と問題無く接続できることを示している。

⑤ WiMAX

(ワイマックス、Worldwide Interoperability for Microwave Access)

無線通信規格の一種である。見通しがきかなくても通信できるため、

ケーブルを敷設することが困難な場所において、光ファイバー網などの

高速基幹通信網と接続するための「ラストワンマイル」を結ぶ利用形態

やモバイル機器での活用が期待されている。

3.データの取扱い形式

入力装置から入力された情報は文字、音声、画像、動画といった種類別の

データ形式(フォーマット)で圧縮変換され保存される(詳細は論点№12 に

記載)。

4.磁気ディスク装置利用時の留意点

① フラグメンテーション

ハードディスクに対してデータの書込み、削除を繰り返し行っていると、

ファイルデータは空いた領域に分割されて配置されるようになる。これが

進行すると、1つのファイルがいくつも分割されて保存されることになる

ため(ファイルの断片化)、ハードディスクの読出しや書き込みの速度が低

下するなどの現象が発生する。

② デフラグメンテーション(デフラグ)

フラグメンテーションを解消すること。デフラグはディスク内のファイ

ルを先頭から再配置し、ファイルの分割状態を解消して、連続した空き領

Page 15: コンピュータの機能 №1...CPUの処理速度を表す単位で、1MIPSは1秒間に100万回命令 を実行できる。値が高いほど処理能力が高い。 ② FLOPS(フロップス、Floating

-15-

MEMO 域を増やす。フラグメンテーションにより性能が落ちたハードディスクの

性能を回復するには、デフラグメンテーションを行うことが必要になる。

□ 入力装置はコンピュータに指示を与える装置。イメージスキャナ、OCR、

バーコードリーダー、ICカードリーダー、マイク、デジタルビデオカメ

ラがある。

□ 出力装置はコンピュータの処理結果を外部に出力する装置。ディスプレイ、

プリンターがある。

□ イメージスキャナは画像の読み取りに利用する。

□ 情報を記録したICチップを埋め込んだキャッシュカード大のICカード

が新しい入力媒体として利用が拡大している。□ インタフェースとはコ

ンピュータ本体と入出力装置を接続するための規格である。有線方式には

セントロニクス、IDE、シリアルATA、USB、IEEE1394、SC

SI、無線方式にはIrDA、Bluetooth、無線LAN、Wi-Fi、WiMA

Xがある。

□ セントロニクスはコンピュータとプリンターを接続するために使用される

低速パラレルインタフェース。

□ IDEはハードディスクやCD-ROM装置を接続するための高速パラレ

ルインタフェース。

□ シリアルATAはIDEの後続規格として、シリアル転送方式を採用した

規格。

□ USBはキーボードやマウス、プリンターなどの周辺機器の接続に用いら

れるシリアルインタフェース。

□ IEEE1394はマルチメディア関連の周辺装置の接続に使用されるシリア

ルインタフェース。

□ SCSIはパソコンと外付けのハードディスクなどの外部記憶装置を接続

するための規格。

□ 無線LANの方式にはIEEE802.11a/b/g/nなどがある。

□ パソコンの入出力インタフェースの主流はUSBとIEEE1394である。

□ フラグメンテーションを解消することをデフラグメンテーションという。

学習のポイント

Page 16: コンピュータの機能 №1...CPUの処理速度を表す単位で、1MIPSは1秒間に100万回命令 を実行できる。値が高いほど処理能力が高い。 ② FLOPS(フロップス、Floating

-16-

論点 ソフトウェアとその機能

№4

出題傾向

H13年第9問 H15年第7問(設問2) H17年第4問 H18年第3問★ H19年第3問 H20

年第7問 H22年第4問★ H24年第4問★ H25年第3問

★印は、論点を理解するのに 適な問題を示します。

出題予想

ほぼ毎年出題されている重要論点。ソフトウェアについて、その種類、基本的な機能を理解する。

MEMO

【過去問チェック】

H13-9

H17-4

H18-3

H19-3

H22-4

H24-4

H25-3-イウ

1.ソフトウェアの体系

ソフトウェアはコンピュータを効率的に利用するために開発された方法や

手順を記述したものである。

ソフトウェアは、システムソフトウェアとアプリケーションソフトウェア

に大別できる。

① システムソフトウェア

システムソフトウェアはハードウェアを直接制御するソフトウェア

(プログラム)で、さらに、コンピュータを動かすための基本機能を提

供するオペレーティングシステム、オペレーティングシステムとアプリ

ケーションソフトウェア間の連携をとるミドルウェアに分類できる。周

辺機器を制御するためのデバイスドライバはオペレーティングシステム

の一部といえる(オペレーティングシステムの詳細は論点№5を参照)。

ソフトウェア

システムソフトウェアオペレーティングシ

ステム

ミ ド ル ウ ェ ア

共通アプリケーショ

ンソフトウェア

個別アプリケーショ

ンソフトウェア

アプリケーションソ

フトウェア

Page 17: コンピュータの機能 №1...CPUの処理速度を表す単位で、1MIPSは1秒間に100万回命令 を実行できる。値が高いほど処理能力が高い。 ② FLOPS(フロップス、Floating

-17-

MEMO ② アプリケーションソフトウェア

アプリケーションソフトウェアは、ある特定の目的のために設計され

たソフトウェアである。ワープロや表計算など多目的に利用されるもの

を共通アプリケーションソフトウェア、販売管理や財務管理などの特定

の用途で利用されるものを個別アプリケーションソフトウェアという。

また、アプリケーションソフトウェアの中で、既製品として市販されて

いるものをパッケージソフトウェアという。アプリケーションソフトウ

ェアは、ソースコードからコンピュータで実行可能な機械語のファイル

へ変換して作成される。

③ フリーウェア

フリーウェアは無償で配布されているソフトウェアである。利用者は

無料で利用できる。一般的にはライセンス条件、改変、再配布、営利利

用などは制限される場合が多い。また、著作権を放棄しているわけでは

ないので注意が必要である。著作権が放棄されているソフトウェアはP

DS(ピーディーエス、Public Domain Software)と呼ばれる。

④ シェアウェア

シェアウェアはインターネットなどを使って入手できるソフトウェア

(オンラインソフトウェア)のうち、一定の試用期間を過ぎると、決め

られた使用料を払うことで継続して使用できるソフトウェアである。

⑤ オープンソースソフトウェア(Open Source Software)

オープンソースソフトウェアはプログラムのソースコードを無償で公

開しているソフトウェアである。オープンソフトウェアのOSとして

Linuxが有名である。利用者にとって、①営利・非営利などの用途に関わ

らず自由に使用できる、②ソースコードを利用して自由に改良できる、

③複数のオープンソースソフトウェアを組み合わせて自由に販売や再配

布ができる、などのメリットがある。著作権を放棄しているわけではな

いので注意が必要である。

OSI(オーエスアイ、The Open Source Initiative)という団体はオ

ープンソースの定義とOSIが定めた条件を満たすライセンスを公開し

ている。OSIの定義を満たすライセンスのもとで提供されているソフ

トウェアは、オープンソースソフトウェアとして利用できる。

⑥ グループウェア

社内のスケジュール管理や掲示板形式の会議など、ネットワークを介

して共同作業を行うことを支援するソフトウェア。

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-18-

MEMO

【過去問チェック】

H25-3-エ

【過去問チェック】

H15-7(2)

⑦ パッチファイル

ソフトウェアの一部を修正するためのファイルであり、バグ(不具合)

を修正する場合などに用いられる。

2.ソフトウェアを選定する場合のポイント

(1)実行環境(CPU・オペレーティングシステム)

通常、ソフトウェアは特定のCPUだけが解釈できる機械語のファイル

の形で実行される。また、特定のオペレーティングシステムに依存した機

能を利用する。したがって、CPUやOSが変われば動作しなくなる。

(2)データ形式・互換性

異なるアプリケーションソフトの間でデータを受け渡しすることがある

が、この受け取りにあたってはデータ形式などに注意する必要がある。

アプリケーションソフトが利用するデータ形式にも注意する必要があ

る。たとえばワープロソフトの間でデータを交換する場合も、メーカー、

バージョンが異なると読み書きができないことが発生する。データ交換、

アプリケーションで使用する際には、アプリケーションで扱えるデータの

形式かどうかを確認する必要がある。

標準的なデータ交換のフォーマットとして有名なCSV(シーエスウ゛

イ、Comma Separated Values)は、データをカンマ(",")で区切って並べ

た可変長ファイルのデータ形式である。様々な機種で、表計算ソフトやデ

ータベースソフトなど多くのアプリケーションソフトで読み込みおよび書

き込みができる。

内外でデータ交換が必須の業務においてはデータ交換可能な形式がど

れだけ用意されているかが選定にあたって重要となる。

□ ソフトウェアはシステムソフトウェアとアプリケーションソフトウェアに

大別できる。

□ システムソフトウェアはハードウェアを直接制御するソフトウェアである。

□ アプリケーションソフトウェアは、ある特定の目的のために設計されたソ

フトウェアである。

□ フリーウェアは無償で配布されているソフトウェアである。

□ シェアウェアは一定の試用期間は無償で利用できる。

□ オープンソースソフトウェアはプログラムのソースコードを無償で公開し

ているソフトウェアである。

□ 通常、ソフトウェアは特定のCPUおよびOSの組み合わせ上でのみ動作

する。

□ CSVは標準的なデータ交換のフォーマットである。

学習のポイント

Page 19: コンピュータの機能 №1...CPUの処理速度を表す単位で、1MIPSは1秒間に100万回命令 を実行できる。値が高いほど処理能力が高い。 ② FLOPS(フロップス、Floating

-19-

論点 オペレーティングシステム

№5 出題傾向

H15年第7問(設問1) H20年第3問★、第9問★ H22年第3問 H25年第2問★ H26

年第3問

★印は、論点を理解するのに 適な問題を示します。

出題予想

近年出題が繰り返されており、注意が必要。オペレーティングシステム(OS)とはどのよう

なソフトウェアであり何を行うものであるか理解する。

MEMO

1.OS(オーエス、Operating System)の役割

OSはコンピュータ全体を管理するソフトウェアである。キーボードの入

力、画面への出力機能やディスクやメモリの管理など、アプリケーションソ

フトが共通して利用する基本的な機能の提供やプログラム実行の制御などを

行う。

2.OSの機能構成

OSは、ハードウェアを効率よく使用するための機能を持っている。OS

は、制御プログラム、言語プロセッサ、サービスプログラムから構成されて

いる。

(1)制御プログラム

① ジョブ管理

ジョブはコンピュータに仕事をさせる単位のこと。複数のジョブをス

ケジュール管理し、効率的に実行させる。

【過去問チェック】

H20-3

【過去問チェック】

H20-9-エ

H22-3

H25-2

H26-3

Page 20: コンピュータの機能 №1...CPUの処理速度を表す単位で、1MIPSは1秒間に100万回命令 を実行できる。値が高いほど処理能力が高い。 ② FLOPS(フロップス、Floating

-20-

MEMO

② 記憶管理

ジョブの実行に使用するメモリを効率的に割り当てる。仮想記憶の制

御もOSが行う。

③ 入出力管理

キーボード、マウスなどの入力装置、ディスプレイ、プリンターなど

の出力装置を制御・管理する。

④ ファイル管理

ディスク装置などの補助記憶装置について、どの領域にどのファイル

が記憶されているかを管理して、書き込み、読み出しを制御する。

⑤ タスク管理

ジョブを実行の単位(タスク)に分割しハードウェアの資源(CPU

など)への割り当てを効率よく行う。同時に複数のタスクを並行して実

行できる方式をマルチタスクといい、マルチプログラミングともいう。

同時に一つのタスクしか実行できない方式をシングルタスクという。

タスクは、実行にあたって生成から消滅まで3つの状態に遷移する。

「実行状態」

CPUの使用権が与えられ実行できる状態のタスク

「実行可能状態」

実行可能であるがCPUの空きを待っている状態のタスク

「待機状態」

入出力処理を行っており、その終了を待っている状態のタスク

(2)言語プロセッサ

コンピュータは0,1だけで記述された機械語という言語にしたがってジ

ョブを実行する。コンピュータにジョブを与える場合には専用の言語=プ

ログラム言語を利用してプログラムを記述する。このプログラム言語を機

械語に翻訳するのが言語プロセッサの役目である(プログラム言語の詳細

は論点№6を参照)。

(3)サービスプログラム

サービスプログラムはコンピュータを利用するために用意されている一

連のソフトウェア(プログラム)である。ユーティリティともいう。

たとえば、連係編集プログラム(リンカ)、分類(ソート)・併合(マー

ジ)プログラム、テキストエディタ、ローダ、デバッガなどが相当する。

Page 21: コンピュータの機能 №1...CPUの処理速度を表す単位で、1MIPSは1秒間に100万回命令 を実行できる。値が高いほど処理能力が高い。 ② FLOPS(フロップス、Floating

-21-

MEMO

3.OSの種類

コンピュータの進歩とともに様々なOSが誕生してきた。現在利用できる

代表的なOSを以下に示す。

① Windows

Microsoft 社がMS-DOSをもとにGUI機能を付加したOS。

現在、パソコン用OSの事実上の標準となっている。2012年にWindows

8が発表され、その後、機能追加などを行ったWindows 8.1が提供され

ている。

② UNIX(ユニックス)

1968年にアメリカAT&T社のベル研究所で開発されたOS。

UNIXはマルチタスク、マルチユーザを特徴とし、ネットワーク機

能や安定性に優れたOSである。OSの中核を成すカーネルの大部分が

C言語で記述されている。異なるプラットフォームに対する移植性が高

く、機能の改変を容易に行える。

③ Linux(リナックスまたはライナックス)

1991年にフィンランドの大学院生Linus Torvalds氏によって開発され

たUNIX互換のOS。後にフリーウェアとして公開された。マルチタ

スク、マルチウィンドウの機能をもつ。

OSIでオープンソースのライセンスとして認められているGPLと

いうライセンス体系に基づいて配布されているため、誰でも自由に改変・

再配布することができる。Windowsと比較した場合、接続する周辺機器に

よっては適当なドライバがないことがある。Linuxの技術を利用した携帯

機器用のOSにAndroidがある。

④ MacOS(マックオーエス)

Apple社のパソコンMacintoshシリーズに搭載されているOS。

映像や動画などマルチメディアを扱う処理に適している。Apple社が

Mac OSの技術を利用して開発した携帯機器用のOSにiOS(アイオー

エス)がある。

4.その他

① スプール処理

スプール処理とは処理速度の遅い入出力処理を実行する際にハードデ

ィスクなどの補助記憶装置に一時的に処理データを格納し、CPUには

別の処理を行わせて利用効率を上げる機能である。例を挙げると、プリ

【過去問チェック】

H15-7(1)

H25-2

【過去問チェック】

H20-9-イ

Page 22: コンピュータの機能 №1...CPUの処理速度を表す単位で、1MIPSは1秒間に100万回命令 を実行できる。値が高いほど処理能力が高い。 ② FLOPS(フロップス、Floating

-22-

MEMO

ンターでの印刷処理がある。プリンターの出力速度はCPUの速度と比

べると格段に遅く、印字が終わるまでCPUを占有する事を避けるため

に、一旦、補助記憶装置にスプールデータを格納してCPUを印刷処理

から開放する事でCPUの利用効率を上げている。

□ OSはプログラムの実行を制御し、コンピュータ全体を管理するソフトウ

ェア。

□ OSは制御プログラム、言語プロセッサ、サービスプログラムから構成さ

れている。

□ 制御プログラムはジョブ管理、記憶管理、入出力管理、ファイル管理、タ

スク管理などの役割をもつ。

□ タスクは「実行状態」「実行可能状態」「待機状態」で管理される。

□ 言語プロセッサはプログラム言語を機械語に翻訳する。

□ サービスプログラムとして、連係編集プログラム(リンカ)、分類(ソート)・

併合(マージ)プログラム、ローダなどが用意されている。

□ 代表的なOSにWindows、UNIX、Linux、MacOSがある。

□ LinuxはオープンソースOSとして誰でも自由に改変・再配布が可能であ

る。

□ AndroidやiOSなど、携帯機器向けにもOSが使用されている。

学習のポイント

Page 23: コンピュータの機能 №1...CPUの処理速度を表す単位で、1MIPSは1秒間に100万回命令 を実行できる。値が高いほど処理能力が高い。 ② FLOPS(フロップス、Floating

-23-

論点 プログラミング言語と言語プロセッサ

№6 出題傾向

H13年第1問(設問1) H14年第15問(設問3) H15年第2問、第6問★、第7問(設問4)

H16年第6問、第10問(設問2) H17年第3問(設問1★・設問2)、第5問(設問2★)、第

9問 H18年第4問 H19年第4問 H21年第4問★ H23年第3問★ H24年第5問★、第

6問 H25年第4問★ H26年第4問★

★印は、論点を理解するのに 適な問題を示します。 出題予想

ほぼ毎年出題されている重要論点。プログラミング場面で使用するさまざまなプログラミング

言語の種類、特徴について理解する。

MEMO

1.プログラミング言語

プログラミング言語(プログラム言語ともいう)はコンピュータを使って

データを処理するために必要となるプログラムを書くための言語をいう。

プログラム言語を分類すると、例えば汎用プログラム言語、スクリプト言

語、オブジェクト指向言語、マークアップ言語、第四世代言語に大別できる。

(1)汎用プログラム言語

さまざまな目的に応じて利用できる言語。人間が使う言語に近い表現で

記述することができる言語(高水準言語)とそうでない言語(低水準言語)

がある。

① 低水準言語

機械語やアセンブラ言語など特定の機種に依存する独自の言語。アセ

ンブラ言語で記述されたソースプログラムを機械語に翻訳するソフト

ウェアをアセンブラという。アセンブラは開発効率は低いが、ハードウ

ェアを直接操作することが容易である。

② 高水準言語

特定の機種に依存せず、問題を解決するプログラムを記述する言語。

問題を解決する手続き、どのような手順で処理するかを記述する「手

続き型言語」(例:FORTRAN、COBOL)、処理の手順ではなく

何を行いたいかを記述する「非手続き型言語」がある。

【過去問チェック】

H15-6-イ

H17-3(1)

H19-4-AB

Page 24: コンピュータの機能 №1...CPUの処理速度を表す単位で、1MIPSは1秒間に100万回命令 を実行できる。値が高いほど処理能力が高い。 ② FLOPS(フロップス、Floating

-24-

MEMO

【過去問チェック】

H13-1(1)

H15-2

H17-5(2)-ア

H19-4-D

H23-3-ウ

H25-4

H26-4

(2)スクリプト言語

コンピュータに自動的に実行させるための一連の命令(スクリプト)を

簡単なプログラムやマクロで手順として記述する簡易なプログラム言語。

Perl や VBScript、JavaScript などがある。

① Perl(パール、Practical Extraction and Report Language)

テキストファイルの加工や整形出力などに適しているインタプリタ型

のプログラム言語。今日ではインターネットのWebで利用者からの要求

を動的に処理したい場合、CGI(シージーアイ、Common Gateway

Interface)と組み合わせて利用することが多い。

CGIはWebサーバ上でスクリプト言語などを実行して動的なページ

を表示するためのしくみであり、データベースと連動させるために用い

られることも多い。

② VBScript(ウ゛イビースクリプト、Visual Basic Script Editions)

Microsoftが開発した簡易プログラミング言語Visual Basic(VB)をベ

ースにした、WWWブラウザInternet ExplorerなどWindows上の一部のア

プリケーションで動作するスクリプト言語。

③ JavaScript(ジャウ゛ァスクリプト)

Sun Microsystems社とNetscape Communications社が開発した、Webブ

ラウザで動作するスクリプト言語。Webブラウザで動作させたい細かな動

作を記述する。

④ PHP(ピーエイチピー、PHP:Hypertext Preprocessor)

Perlと同様、動的にWebページを生成する処理に利用することが多い

スクリプト言語である。レイアウトの「雛形」となるHTMLファイル

内に処理内容を記述したスクリプトを埋め込み、処理結果に応じて動的

に文書を生成し、送出することができる。

(3)オブジェクト指向言語

データとデータを処理する手続き(メソッド)をひとまとまりの単位を

オブジェクトと呼んでまとめ、オブジェクトを組み合わせてプログラムを

作成することができる言語。C++、Java などがある。プログラムの部分的

な再利用がしやすくなるなどのメリットがある(オブジェクト指向の詳細

は論点№9を参照)。

Page 25: コンピュータの機能 №1...CPUの処理速度を表す単位で、1MIPSは1秒間に100万回命令 を実行できる。値が高いほど処理能力が高い。 ② FLOPS(フロップス、Floating

-25-

MEMO ① Java(ジャヴァ)

Sun Microsystems社が開発したC++をベースにしたオブジェクト指

向言語。

Javaで開発されたソフトウェアは特定のOSや機種に依存すること

なく(プラットフォーム非依存)、基本的にはどのようなプラットフォ

ームでも動作する特徴がある。

なお、関連技術として、JAVAサーブレットがある。JAVAサー

ブレットはJavaで作成されたWebサーバ上で動作するプログラムでC

GIと同様に動的なWebページを作成するのに利用される。

(4)マークアップ言語

「タグ」と呼ばれる特別な文字列を使用して、文章の構造や、修飾情報

(文字の大きさや組版の状態など)を記述する言語。SGML、HTML、

XMLがある。

① HTML(エイチティーエムエル、HyperText Markup Language)

Webページを記述する言語。タグを用いてWebページで利用する画

像、音声、動画、ほかの文書の位置などを記述する。アンカーと呼ばれ

るタグにより指定したリンク先へ移動するハイパーリンク機能がある。

ただし、画像や音楽データについて細かな動作を指定することはできな

い。また、Webブラウザにより細かな表示の違いが発生する場合がある。

当初、見出しなど文書構造の情報と、文字色など見栄えの情報とを混

在させる必要があったが、CSS(Cascading Style Sheet)をつかうと、

HTMLで記述する見栄えの定義に相当する部分、フォントや文字の大

きさ、文字修飾、行間などをCSSとして分離して作成することができ

る。CSSを利用すると、複数のページで構成するWebページの体裁を

統一的に整えることが容易にできる。XMLの形式に準拠したHTML

をXHTMLという。

HTMLは標準化団体で改訂が繰り返されており、2008年に草案が発

表された、HTMLの5回目の大幅な改訂をした版をHTM5と呼ぶ。

HTML5ではHTML4以前では実現することが難しかった機能をプログ

ラムできるように仕様が追加されている。現在位置を取得して利用する

機能など、スマートフォン向けのコンテンツ作成への対応も進められて

おり、普及しつつある。

② XML(エックスエムエル、eXtensible Markup Language)

SGML(エスジーエムエル、 Standard Generalized Markup

Language)をもとに、ユーザーが独自のタグを定義できるようにした

【過去問チェック】

H17-3(2)

H19-4-C

H23-3-ウ

H26-4

【過去問チェック】

H14-15(3)

H15-7(4)

H16-10(2)

H17-5(2)-イウ

H21-4

H23-3-エ

H25-4

H26-4

〔リンク〕

理解のツボ

・HTMLのその

他の特徴

〔リンク〕

理解のツボ

・XMLのその他

の特徴

Page 26: コンピュータの機能 №1...CPUの処理速度を表す単位で、1MIPSは1秒間に100万回命令 を実行できる。値が高いほど処理能力が高い。 ② FLOPS(フロップス、Floating

-26-

MEMO

【過去問チェック】

H15-6-ウエ

H18-4

H23-3-ア

H24-5-イ

Webページ記述用言語。

XMLは汎用性が高い言語のため、EDIと呼ばれる電子的な取引で

の電子商取引データなど、複雑で多様なデータのやり取りが必要な場面

での活用が試みられている。近年ではデータベースの開発にも利用され

ている。

2.言語プロセッサ

プログラム言語で記述されたプログラムを機械語に翻訳し、コンピュータ

が実行する形式に変換したりする専用のプログラムをいう。プログラム言語

で記述した変換前のプログラムをソースプログラム、変換後のプログラムを

オブジェクトプログラムという。

① コンパイラ

高水準言語で記述されたソースプログラムを一括してオブジェクトプロ

グラムに翻訳する言語プロセッサ。コンパイラを必要とする言語には、C

(UNIXのシステム記述言語)、FORTRAN(フォートラン、科学技

術計算向き言語)、COBOL(コボル、銀行システムなどの事務処理に以

前よく使われていた言語)などがある。

② インタプリタ

高水準言語で記述されたソースプログラムをオブジェクトプログラムに

一括翻訳せず、逐次解釈して実行する言語プロセッサ。プログラムを作成

しながら実行し、逐次追加修正するといった使い方ができる。インタプリ

タで実行が可能な言語にはBASIC(ベーシック)やPerl(パール)

がある。

〔HTMLのその他の特徴〕

①HTMLで記述したファイルにJavaScriptを使用することによって、動きや対

話性のあるWebページを作成することができる。

②HTMLにはデータベース機能はない。

③開始タグと終了タグの両対で一つの要素を囲むのが基本である。ただし、終

了タグのないものもある。

〔XMLのその他の特徴〕

①XMLでは、XMLを用いた様々なデータ標準を組み合わせることができる

ため、セキュリティを確保するために元のデータにXML署名技術を組み合

わせることが簡単にできる。

②XMLはデータ標準となる特定の言語を記述するための言語として利用でき

理解のツボ

Page 27: コンピュータの機能 №1...CPUの処理速度を表す単位で、1MIPSは1秒間に100万回命令 を実行できる。値が高いほど処理能力が高い。 ② FLOPS(フロップス、Floating

-27-

MEMO る(メタ言語という)。

③XMLは文字データの変換だけに特化しているわけではない。たとえば、画

像データをXMLで記述することもできる。

□ プログラム言語には汎用プログラム言語、スクリプト言語、オブジェクト

指向言語、マークアップ言語、第四世代言語がある。

□ 低水準言語は機械語やアセンブラ言語など特定の機種に依存する独自の言

語。アセンブラ言語で記述されたソースプログラムを機械語に翻訳するソ

フトウェアをアセンブラという。

□ 高水準言語は特定の機種に依存しない。

□ Perlはテキストファイルの加工や整形出力などに適しているインタプリタ

型のプログラム言語。

□ VBScriptはMicrosoftが開発した簡易プログラミング言語Visual Basic(VB)

をベースにしたWWWブラウザInternet Explorer上で動作するスクリプト

言語。

□ JavaScriptはWebブラウザで動作するスクリプト言語。ブラウザで動作させた

い細かな動作を記述する。

□ PHPはPerlと同様、動的にWebページを生成する処理に利用することが多

いスクリプト言語。

□ Javaで開発されたソフトウェアは特定のOSや機種に依存することなく

(プラットフォーム非依存)、基本的にはどのようなプラットフォームでも

動作する特徴がある。

□ HTMLはWebページを記述する言語。タグを用いてWebページで利用す

る画像、音声、動画、ほかの文書の位置などを記述する。

XMLはSGML(Standard Generalized Markup Language)をもとに、ユ

ーザーが独自のタグを定義できるようにした言語。

□ XMLは、汎用性が高い言語のため、EDIと呼ばれる電子的な取引デー

タをやり取りするなど、企業間の電子商取引など複雑で多様なデータのや

り取りが必要な場面での活用が試みられている。

□ COBOL、FORTRANなどの高水準言語で記述されたプログラムは

コンパイラを使用してオブジェクトプログラムに翻訳する。

□ BASIC、Perlなどのインタプリタ型言語はプログラムを作成しながら実

行し、逐次追加修正するといった使い方ができる。

学習のポイント

Page 28: コンピュータの機能 №1...CPUの処理速度を表す単位で、1MIPSは1秒間に100万回命令 を実行できる。値が高いほど処理能力が高い。 ② FLOPS(フロップス、Floating

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論点 パッケージソフト・ミドルウェア

№7

出題傾向

H20年第4問 H23年第5問

出題予想

過去に2回しか出題されていない。出題確率は低いと予想。

MEMO

1.パッケージソフト

パッケージソフトは販売管理や財務管理など企業の業務目的に特化したア

プリケーションである。短期間、低コストで導入できる点でメリットがある。

パッケージソフトには、ワープロソフトや表計算ソフト、画像編集ソフト、

データベースソフト、プレゼンテーションソフト、オーサリングツール(マ

ルチメディア編集ツール)、Webブラウザ、電子メールソフトなどの汎用パッ

ケージソフトと、給与計算ソフトや会計ソフトなど、特定の業務に使われる

業務パッケージソフトがある。

① ERP(イーアールピー、Enterprise Resource Planning)

販売、生産、会計などの企業の基幹業務を統合したパッケージソフト。

業界で も優れていると考えられる業務プロセス・ノウハウ(ベストプラ

クティス)を使用しているビジネスモデルを参考に、業務改革、効率化を

目的に導入するケースが多い(ERPの詳細は論点№28を参照)。

〔ERPの導入ステップ〕

①情報システムの基本設計の決定。

②機能、価格、運用面などからERPの候補を決定する。

③ERPの想定する業務プロセスと自社のそれとの詳細な比較分析を行

う。

④ERPカスタマイズの項目の決定。

⑤システム開発予算の見積もり。

Page 29: コンピュータの機能 №1...CPUの処理速度を表す単位で、1MIPSは1秒間に100万回命令 を実行できる。値が高いほど処理能力が高い。 ② FLOPS(フロップス、Floating

-29-

MEMO

② グループウェア

企業内ネットワークを利用して情報共有やコミュニケーションの効率

化を目的に協調作業を支援するパッケージソフト。電子メール、電子会議

室、電子掲示板、スケジューラ、文書共有、ワークフローなどの機能が統

合されている。

2.パッケージソフトの利用効果

既製品であるパッケージソフトはオーダーメイドである個別のアプリケー

ション開発に比べて以下のような特徴がある。これらのメリットを求めて採

用される場面が多い。

① 開発期間が短縮できる。

② 開発費用が低減できる。

③ 開発リスクが低減できる。

④ 開発品質を確保しやすい。

⑤ バージョンアップの対応が容易。

⑥ 業務の標準化が図れる。

3.パッケージソフトを検討する場合の留意点

個々の会社によって運用に大きな違いがない業務では、各社が個別にシス

テムを構築しても経営戦略上の差別化を図ることが難しい。このような場合

にはパッケージソフトを採用するメリットを活かせる。

① 対象業務の明確化

パッケージソフトを採用する業務はどの範囲かを明確にする。

② パッケージソフト候補の選定

パッケージソフト候補を選択する場合には以下の点に着目して比較検

討する。

・導入実績がある。

・品質が安定している。

・適度なバージョンアップが行われている。

・対象業務に対して一般的な業務機能が含まれている。

Page 30: コンピュータの機能 №1...CPUの処理速度を表す単位で、1MIPSは1秒間に100万回命令 を実行できる。値が高いほど処理能力が高い。 ② FLOPS(フロップス、Floating

-30-

MEMO

【過去問チェック】

H16-9-A

(問題は論点№

26掲載)

H24-5-ウ

(問題は論点№6

掲載)

③ パッケージベンダーの選定

パッケージソフトの開発ベンダーを選択する場合には以下の点に着目し

て検討する。

・業務ノウハウ

・開発体制

・導入教育

・トラブル対応

・ベンダーの経営状況

④ 導入決定後の留意点

・できること、できないことを見極める。業務をパッケージに合わせるこ

との可能性を考える。

・パッケージソフトのカスタマイズが必要な場合は、その範囲を明確にす

る。

・パッケージソフトに合わせて、現状の業務の変更や標準化を行う。

・利用者、運用スタッフの教育・研修を行う。

4.ミドルウェア

ミドルウェアはシステムソフトウェアに分類され、OSとアプリケーショ

ンソフトウェアの中間的な位置づけにあるソフトウェアとしてこう呼ばれ

る。

ミドルウェアを利用することで、OSやハードウェアによる違いを吸収し、

様々なプラットフォームで動作するアプリケーションソフトの開発が容易に

なる。

□ ミドルウェアはOSやハードウェアによる違いを吸収する役割を持つ。

□ ERPは販売、生産、会計などの企業の基幹業務を統合したパッケージソ

フトの一種。

□ グループウェアは電子メール、電子会議室、電子掲示板、スケジューラ、

文書共有、ワークフローなどの機能を統合したソフトウェア。

□ パッケージソフトは①開発期間が短縮できる、②開発費用が低減できる、

③開発リスクが低減できる、④開発品質を確保しやすい、⑤バージョンア

ップの対応が容易、⑥業務の標準化が図れる、といった特徴がある。

学習のポイント

Page 31: コンピュータの機能 №1...CPUの処理速度を表す単位で、1MIPSは1秒間に100万回命令 を実行できる。値が高いほど処理能力が高い。 ② FLOPS(フロップス、Floating

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論点 アルゴリズム、データ構造

№8 出題傾向

H14年第4問 H21年第5問★ H22年第5問★ H25年第5問★ H26年第5問★

★印は、論点を理解するのに 適な問題を示します。 出題予想

近年出題頻度が高い論点。やや注意。しかし、情報系の仕事に携わっていない人には難易度の

高い問題が多く、基本知識だけおさえておこう。

MEMO

1.アルゴリズムとは

アルゴリズムとは、ある問題を解くための明確な手順である。この手順を、

プログラム言語を使って記述したものがプログラムである。

JISの定義

明確に定義された有限個の規則の集まりで、有限回適用すること

により問題を解くもの

情報システムの開発では、システム分析、要求定義、外部設計といった作

業を通じて処理手順である結果(出力)を求めるアルゴリズムを決定する。

その結果をもとにプログラムを作成することになる。

2.アルゴリズムを決定する際の留意点

① アルゴリズムは1つの結果を求めるために唯一には決まらない。

アルゴリズムはある問題を解くための明確な手順であるが、人によって

考え出される手順は異なることが多い。

たとえば、データのソートや検索では、同じ結果を得るために、様々な

異なるアルゴリズムが考案されている。

ソートのアルゴリズムの代表的なものには、 も小さい(大きい)値を

見つけて先頭のデータと交換し、以下残りのデータに対して同様の手順を

適用する選択法と、先頭から順に隣合うデータを比較して、順序が逆なら

ば交換する作業を繰り返す交換法(バブルソート)がある。この両者では、

同じ結果を得るにあたり、データ交換や比較の回数は交換法の方が多くな

る。

検索のアルゴリズムに代表的なものに、求めるデータが中央のデータよ

【過去問チェック】

H14-4-ア

【過去問チェック】

H14-4-イエ

H26-5

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MEMO

【過去問チェック】

H25-5

り前か後ろかの判定を繰り返す二分探索法と、検索対象のキーを一定の規

則でハッシュ値に変換して利用するハッシュ法がある。二分探索法は予め

ソートされたデータのみ適用可能であり、ハッシュ法ではハッシュ値の衝

突時の処理を考慮する必要がある。

アルゴリズムを採用する際には、考慮すべき条件がアルゴリズムごとに

存在するため、注意が必要である。

② アルゴリズムは、プログラムの処理時間を左右する。

アルゴリズムを設計することは基本的な処理の組み合わせ問題である。

同じ結果を求める場合でもいろいろな組み合わせが考えられる。より簡単

で、組み合わせの数、処理の数が少ない方が、短い時間で効率よく結果を

求めることができる。

③ アルゴリズムはプログラムを特定しない

1つのアルゴリズムはいろいろなプログラム言語で表現することが可能

である。

④ アルゴリズムに対応した基本データ構造を考える。

データとその構造はコンピュータシステムにおいて様々な構成が可能

で、何を使用するかがアルゴリズムの処理効率をよくする上で重要である。

3.データ構造

データ構造とはデータを保持する形式や方法をいう。

(1)データ構造の種類

① 配列

同じ形式のデータが複数個連続して列を構成しているデータ構造である。

A B C D ・・・ Y Z

1 2 3 4 ・・・ n-1 n

配列を構成するデータ、A、・・・、Zを配列の要素という。各要素は

添え字をつけて指定する。

上記の例で、配列の名前をhとしたとき、1番目の要素「A」はh(1)

と表す。n番目の要素はh(n)となる。

② リスト(連結リスト)

リストは1つ1つのデータが順序を意識することなくデータとポイン

タがセットで並べられたデータ構造である。

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MEMO

10番地にあるデータ「A」には、次のデータ「C」の格納位置「30番

地」が示されている。30番地の「C」には次のデータ「G」の格納位置「70

番地」が示されている。

③ スタック(後入先出リスト)

スタック(stack)は一般的には「山積みする」という意味の単語であ

る。データ構造を示す時、スタックは、データを Stack(山積みにして

いく)していき、その Stack したものへデータを追加したり取り出した

りする。LIFO(エルアイエルオー、Last In First Out)(後入先出方

式ともいう)のデータ構造である。 後に格納したものが 初に取り出

される。

格納は

ABCDEの順

取り出しは

EDCBAの順に

なる。

④ キュー(先入先出リスト)

キューは、新しいデータを後ろから加え、一番前にあるものから取り出

していくFIFO(エフアイエフオー、First In First Out)のデータ構造

である。待ち行列ともいう。

格納された順序でデータが取り出されていく。

⑤ 木、ツリー

リンクでは次の格納先は1つだけ示されているが、木(ツリー)構造

は次のデータの格納先が複数指定されているデータ構造である。全体を

見ると木の枝のように分岐した形になっている。

E D C B A

E D C B A

格納は

ABCDEの順

取り出しも、

ABCDEの順

になる。

A 30 C 70 G 120 K 230

30番地 10番地 70番地 120番地

Page 34: コンピュータの機能 №1...CPUの処理速度を表す単位で、1MIPSは1秒間に100万回命令 を実行できる。値が高いほど処理能力が高い。 ② FLOPS(フロップス、Floating

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MEMO

□ アルゴリズムとは、ある問題を解くための明確な手順である。

□ 同じ結果を求める場合でもアルゴリズムによって処理の時間は大きく変わる。

□ リストはデータ部と1つのポインタ部で構成されるセルをたどることによ

って、データを取り出すことができる。

□ スタックは格納した順序とは逆の順序でデータを取り出すことができる。

□ キューは格納した順序でデータを取り出すことができる。

□ ツリーは階層の上位から下位に節点をたどることによって、データを取り

出すことができる。

学習のポイント