エンドトキシン試験法4 はじめに ライセート試薬について...

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2019 年 2 月改訂 エンドトキシン試験法 ~標準操作法~

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2019 年 2 月改訂

エンドトキシン試験法~標準操作法~

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はじめに

■エンドトキシン測定について ���������������������� 3

■ライセート試薬について(ゲル化法、比濁法、比色法) ����������� 4

■エンドトキシン標準品について ��������������������� 6

■使用器具について��������������������������� 6

■エンドトキシン試験用水について �������������������� 6

薬局方:比濁法、比色法の定量試験における標準操作法

■各種準備(システム共通) ����������������������� 8

■NC(NegativeControl)(D液)の調製 ������������������ 8

■試料溶液(A液)の調製 ������������������������ 8

■検量線(標準溶液)(C液)の調製 �������������������� 9

■B液の調製������������������������������ 9

■チューブリーダー(トキシノメーター)を用いた標準操作法 ��������� 10

■マイクロプレートリーダー(MPRforBT)を用いた標準操作法 �������� 11

参考情報

検量線の信頼性確認試験 ������������������������ 12

反応干渉因子試験 ��������������������������� 12

試料溶液の試験への影響 ������������������������ 13

エンドトキシン規格値 �������������������������� 13

最大有効希釈倍数(MVD:MaximumValidDilution) ������������ 13

回収率の計算方法 ��������������������������� 14

CSEの力価検定方法(トキシノメーター法)����������������� 14

エンドトキシン試験専用webサイト �������������������� 16

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はじめに

はじめに

■エンドトキシン測定について

エンドトキシンがライセート試薬中に含まれる因子を増幅活性化し、一連の反応によるゲル化、濁度増加、合成基質の切断による黄色発色を測定し、エンドトキシン量を判定します。

<反応機構>

エンドトキシン試験には、カブトガニの血球抽出物から作られるライセート試薬を使います。試料にエンドトキシンが含まれる場合、いずれもセリンプロテアーゼ前駆体であるFactorC、FactorB、Proclottingenzymeが順次、増幅活性化されていきます(下図)。最終的にCoagulogenが水解されてCoagulinとなり、不溶性のゲルとなります。試験では、一連の反応によるゲル化、濁度増加、合成基質の切断による黄色発色を測定し、エンドトキシン量を判定します。

Endotoxin(LPS)

Factor C Factor C

Factor B Factor B Factor G Factor G

Proclotting enzyme Clotting enzyme

Coagulogen Coagulin ( ゲル化、濁度増加 )

または Peptidyl-pNA

      

Peptide + pNA(黄色発色)

内の各因子は活性型を示す

(1 → 3)- β -D-Glucan

合成基質

ライセート試薬(エンドトキシン非特異的試薬)には、FactorGを介した反応経路もあります。そのためエンドトキシン以外に真菌の細胞壁に含まれる構成成分β-グルカンに対する反応も起こります。このように本来のライセート試薬はエンドトキシン非特異的ですが、FactorGを取り除くか、その作用をブロックすることにより、エンドトキシンに特異的なライセート試薬を調製することができます。※エンドトキシン測定では、求められる測定精度や、試験頻度、検体数などを総合的に考慮して適切な試薬選択が必要です。※ライセート試薬のESシリーズ(比濁法試薬)、KYシリーズ(比色法試薬)はエンドトキシン特異的試薬です。

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はじめに

■ライセート試薬について

エンドトキシンの作用によるライセート試薬のゲル形成を指標とする「ゲル化法」があります。また、光学的な変化を指標とする光学的定量法にはゲル化する過程での濁度変化を指標とする「比濁法」と、合成基質の加水分解による発色を指標にする「比色法」があります。

<ゲル化法>ライセート試薬のゲル形成を指標とする測定方法

試験管中でライセート試薬と検体を混合し、37±1℃で60±2分間、振動を与えないようにブロックヒーターなどで加温します。加温終了後ただちに試験管をゆっくりと180°転倒し、変形したり崩れたりしないゲルが形成していれば陽性、形成していなければ陰性と判定します。

【対応試薬】ESシリーズ

【対応装置】トキシノメーター、サーモステーション

陽性(+)   陰性(−)

<比濁法>ゲル化する過程での濁度変化を指標とする光学的定量法

エンドトキシンによるライセート試薬の活性化を、ゲル化に伴う濁度変化で検出する方法です。

【対応試薬】ESシリーズ

【対応装置】トキシノメーター、MPRエンドトキシン測定システムforBT(プレートリーダー)

<比色法>合成基質の加水分解による発色を指標にする光学的定量法

エンドトキシンによるライセート試薬の活性化を発色合成基質が切断されることで検出する方法です。P-ニトロアニリンの黄色発色を405nm付近の吸光度変化で検出する方法です。

【対応試薬】KYシリーズ

【対応装置】トキシノメーター、MPRエンドトキシン測定システムforBT(プレートリーダー)

180˚

転倒

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はじめに

<シングルタイプ試薬>

ライセート試薬が凍結乾燥された状態でガラスチューブに小分けされており、試料溶液を0.2mL入れて使用するタイプです。

【該当試薬例】Code.295-51301リムルスES-Ⅱシングルテストワコー※試薬名に「シングル」と明記されている試薬が該当します。

<マルチタイプ試薬>

ライセート試薬がバイアル瓶に入っており、まずエンドトキシンンフリー水(例:注射用蒸留水)で溶解します。試験に使用する際は、別途用意した空のガラスチューブ※へ試薬0.1mLと試料溶液0.1mLをいれて使用するタイプです。

【注意】バイアル内部は真空になっているので粉末が舞い上がらないようにゆっくりゴム栓を外してください

【該当試薬例】Code.292-51213カブトガニ血球抽出物ES-Ⅱ※Code.292-32751リムルステストチューブ-S(アルミキャップ付)を使用することを推奨します。

ライセート試薬 ライセート試薬にエンドトキシンフリー水を入れて溶解

溶液がゴム栓につかないように無色透明になるまでゆっくり溶解する※撹拌機の使用、転倒混和はしないで下さい。

<FDA認可試薬>

FDA認可を取得している試薬です。※試薬名に「F」と明記されている試薬が該当します。製品を海外出荷される場合はこちらのタイプの試薬をご使用されることを推奨します。

【該当試薬例】Code.295-72301LimulusAmebocyteLysatePYROSTARES-FSingletest

ライセート試薬(凍結乾燥状態)

試料溶液

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はじめに

■エンドトキシン標準品について

エンドトキシン標準原液はエンドトキシン標準品をエンドトキシン試験用水で溶解して調製します。なお、エンドトキシン単位はEUで示し、1EUは1エンドトキシン国際単位(IU)に等しい値です。薬局方準拠で試験される場合はこの一次標準品が必要になります。

【該当試薬例】Code.638-01021日本薬局方エンドトキシン標準品(JP-RSE)

標準品にエンドトキシンフリー水を入れて溶解

撹拌機で激しく溶解する

ライセート試薬に付属している標準品、ControlStandardEndotoxin(CSE)は、二次標準品です。工程検査や研究試験用で、薬局方準拠試験には使用できませんので、ご注意ください。

≪調製方法例≫日本薬局方エンドトキシン標準品(JP-RSE)溶解時はラベルの力価を確認し、10,000EU/mLになるように調製してください。(力価が18,000EU/バイアルの場合)本品1瓶にエンドトキシン試験用水1.8mLを加え、5分間激しく攪拌して全内容を溶解し10,000EU/mLの標準原液を調製する。※詳細は製品付属の説明書をご確認ください

≪調製方法例≫コントロールスタンダードエンドトキシン(CSE)溶解時はラベルの力価を確認し、1,000EU/mLになるように調製してください。(力価が4,000EU/バイアルの場合)本品1瓶にエンドトキシン試験用水4.0mLを加え、2分間激しく攪拌して全内容を溶解し1,000EU/mLの標準原液を調製する。※詳細は製品付属の説明書をご確認ください

■使用器具について

試験に用いるすべてのガラス製及びその他の耐熱性器具は、通例、少なくとも250℃で30分間の乾熱処理を行ってください。また、マルチウェルプレート及びマイクロピペット用チップなどのプラスチック製品を用いる場合は、以下にご注意ください。 ●エンドトキシンが検出されない ●エンドトキシンが吸着しない ●エンドトキシンやライセート試薬に影響を与える物質が溶出しない

■エンドトキシン試験用水について

通常、注射用水(注射用蒸留水)が使用できます。それ以外を使用される場合は試験において、ライセート試薬のエンドトキシン検出限界未満のものをご使用ください。

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薬局方:比濁法、比色法の定量試験における標準操作法

薬局方:比濁法、比色法の定量試験における標準操作法

比濁法また比色法の精度と有効性を保証するために、予備試験として、「検量線の信頼性確認試験」及び「反応干渉因子試験」を行う必要があります。予備試験により確立した試験方法により、定量試験を実施することになります。ここでは、定量試験についての標準操作法について説明します。

<必要な溶液>

表1に従い、A、B、C及びD液を調製して、試験を行います

表1

液 エンドトキシン濃度 被添加液 試験管又はウェルの数

A 0 試料溶液 2以上

B 検量線の中点濃度 試料溶液 2以上

C 3濃度以上 エンドトキシン試験用水 各濃度、2以上

D 0 エンドトキシン試験用水 2以上

A液:試料溶液のみ(試料溶液のエンドトキシン濃度測定用)。最大有効希釈倍数を超えない範囲で希釈することができます。

B液:A液と同倍数で希釈された試料溶液で、検量線の中点又は中点付近のエンドトキシン濃度になるように標準エンドトキシンを添加したものです。C液:検量線信頼性確認試験で用いた各種濃度のエンドトキシン標準溶液(検量線作成用)です。D液:陰性対照。エンドトキシン試験用水のみ。

<有効条件>

C液で作成した検量線を用い、A液の平均エンドトキシン濃度を算出します。本試験は次のすべての条件に適合するとき、有効です。1. C液で作成した検量線の相関係数の絶対値|r|が0.980以上である。2. B液で測定されたエンドトキシン濃度とA液で測定されたエンドトキシン濃度の差に基づいて、B液の添加エンドトキシン濃度に対するエンドトキシンの回収率を計算するとき、その回収率(※)は50~200%の範囲にある。

3. D液の結果が、ライセート試薬に設定されている空試験の限度値を超えないか、又はエンドトキシンの検出限界未満である。

<判定>

A液の平均エンドトキシン濃度に基づき、被検試料のエンドトキシンの濃度(EU/mL、EU/mg、EU/mEq又はEU/単位)を求め、その値が医薬品各条に規定されたエンドトキシン規格(※)を満たすとき、被検試料はエンドトキシン試験に適合と判断します。※「回収率」「エンドトキシン規格値」については後述の補足情報をご参考ください。

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薬局方:比濁法、比色法の定量試験における標準操作法

■各種準備(システム共通)

①測定装置の選択 トキシノメーターorMPRエンドトキシン測定システムforBT(プレートリーダー)②ライセート試薬の選択 比濁法=ESシリーズ、比色法=KYシリーズなど③標準品の選択 日本薬局方エンドトキシン標準品など※薬局方非対応の試験の場合はCSE(二次標準品)も使用可④エンドトキシン試験用水の選択 注射用水(注射用蒸留水)など⑤使用する器具の準備 Code.294-35011バイオクリーンチップワコーエクステンドSⅡ Code.291-35021バイオクリーンチップワコー200Ⅱ Code.298-35031バイオクリーンチップワコー1000Ⅱ Code.292-32751リムルステストチューブ-S(アルミキャップ付)※1 Code.293-26551リムルステストチューブ-S※1 Code.293-28251アルミキャップ-S※2 Code.293-35221バイオクリーンプレートワコー(プレートリーダー使用時) マイクロピペット(~200μL) マイクロピペット(~1000μL) Code.295-35421バイアルチューブミキサーVTM-252Ⅱ(アダプター付)

※1マルチタイプ試薬使用時に必要。溶液調製時などにも使用可能。※2リムルステストチューブ-S、シングルタイプ試薬に使用可能。

■NC(Negative control)(D液)の調製

手順① 空の試験管(※)を用意する手順② エンドトキシン試験用水を空の試験管に分注する

■試料溶液(A液)の調製

手順① 空の試験管(※)を用意する手順② 試料溶液を調製する ※必要な場合は希釈する手順③ 調製した試料溶液を空の試験管に分注する

※空の試験管については前述の■使用器具についてをご参考ください。

エンドトキシンフリー

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薬局方:比濁法、比色法の定量試験における標準操作法

■検量線(標準溶液)(C液)の調製

手順① 空の試験管を用意する手順② 各試験管にエンドトキシン試験用水を分注する手順③ エンドトキシン標準品を溶解する手順④ エンドトキシン標準溶液から必要量をとり、段階的に希釈を行う

<標準品JP-RSEを使用し、0.01–0.1–1.0EU/mLの検量線を作成するとき場合>

標準品JP-RSE(5分間攪拌)

標準溶液 0.1mL 0.1mL 0.1mL 0.1mL 0.1mL 0.1mL

試験用水 0.9mL 0.9mL 0.9mL 0.9mL 0.9mL 0.9mL

終濃度 1,000EU/mL 100EU/mL 10EU/mL 1.0EU/mL 0.1EU/mL 0.01EU/mL

<ポイント>

・段階希釈における1回の希釈倍数は10倍を超えないよう注意してください。・段階希釈における撹拌時間は1分程度を推奨します。

■B液の調製

検量線の中点又は中点付近のエンドトキシン濃度になるように標準エンドトキシンを添加した試料溶液を調製するには一例として、2つの方法があります。

<検量線0.01-0.10-1.0EU/mLの場合>

- 6-

方法❶ 等量添加

(4%サンプルを2倍希釈(2%)して測定する場合)

0.2EU/mL 4%サンプル

2%サンプル+ 0.1EU/mL

1mL 1mL

方法❷ 100 倍添加 (原液などに添加する場合)

10EU/mL サンプル原液

原液+ 0.1EU/mL

20 μ L 1980 μ L

- 6-

方法❶ 等量添加

(4%サンプルを2倍希釈(2%)して測定する場合)

0.2EU/mL 4%サンプル

2%サンプル+ 0.1EU/mL

1mL 1mL

方法❷ 100 倍添加 (原液などに添加する場合)

10EU/mL サンプル原液

原液+ 0.1EU/mL

20 μ L 1980 μ L

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薬局方:比濁法、比色法の定量試験における標準操作法

■チューブリーダー(トキシノメーター)を用いた標準操作法

<測定条件>

 カイネティック法 測定温度:37℃ 測定波長:430nm しきい値:94.9% カウント:3 ウェイトタイム:5分

<手順>

 手順① トキシノメーターの起動(測定する20分以上前に電源を入れてください) 手順② 専用ソフト(トキシマスター)の設定(情報登録やサンプル配置など) 手順③ 調製したA,B,C,D液を準備する 手順④ ライセート試薬を用意する※ライセート試薬は常温に戻す  (マルチタイプの場合は事前にライセート試薬をリムルステストチューブ-Sに必要本数分0.1mL分注

しておく) 手順⑤ A,B,C,D液をそれぞれライセート試薬へ分注する ※シングルタイプは0.2mL、マルチタイプは0.1mL 手順⑥ 数秒撹拌する(約5秒間) 手順⑦ 測定開始(自動) ※手順⑤~⑦は1本ずつ行う  手順⑧ 専用ソフト(トキシマスター)による自動解析結果の確認

<イメージ図>

❶試料溶液又はエンドトキシン溶液を0.1mL(シングルテストは0.2mL)加える注1

❷数秒間撹拌する(泡がないことを確認) ❸トキシノメーターにセットする注2

試料溶液又はエンドトキシン溶液

ライセート試薬

注1ライセート試薬に加える前の試料溶液またはエンドトキシン溶液を20秒以上撹拌して下さい。注2振動が測光に影響するので、測定中の試験管には触れないようにして下さい。注3ミキサーは振動を避けるためトキシノメーターと同じ台に置かないようにして下さい。注4測定中に振動を及ぼす機器の使用は控えて下さい。

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薬局方:比濁法、比色法の定量試験における標準操作法

■マイクロプレートリーダー(MPRforBT)を用いた標準操作法

<測定条件>カイネティック法

 測定温度: 37℃ 測定波長: 405nm(主波長)−650nm(副波長)

※比濁法試薬ES-F/Plate使用時は405nm(主波長)のみ OnsetOD:0.015 測定間隔:40秒

<手順>

 手順① プレートリーダーの起動(測定する20分以上前に電源を入れてください) 手順② 専用ソフト(トキシマスター)の設定(情報登録やサンプル配置など) 手順③ 調製したA,B,C,D液を準備する 手順④ 調製したA,B,C,D液をそれぞれ50μLプレートへ分注する 手順⑤ 溶解したライセート試薬を手順④で準備したプレートに50μL分注する 手順⑥ 測定開始(プレートの蓋は外した状態で測定する) 手順⑦ 専用ソフト(トキマスター)による自動解析結果の確認

<イメージ図>

50μL50μL

96 ウェルプレート

 NC❶エンドトキシン溶液 又は試料溶液

❷ライセート試薬をすばやく加える

❸プレートの蓋をはずしてリーダーにセットして測光を開始する

注1ライセート試薬に加える前の試料溶液またはエンドトキシン溶液を20秒以上撹拌して下さい。注2分注時には気泡ができないようにして下さい。

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補足情報

補足情報

■薬局方:検量線の信頼性確認試験(予備試験)

ライセート試薬は各ロットにつき、使用する前にその検量線の信頼性を確認しなければなりません。本試験は、試験結果に影響を及ぼす可能性が予想される試験条件の変更があるときにも行う必要があります。

<必要な溶液>

用いるライセート試薬に規定されているエンドトキシンの濃度範囲で、少なくとも3種の濃度のエンドトキシン標準溶液を調製し、これらの各濃度の溶液につき、3回以上測定して検量線を作成する必要があります。

<有効条件>

作成した検量線の相関係数rを求め、その絶対値|r|が0.980以上であるとき、検量線の信頼性は確認されたと判定します。

■薬局方:反応干渉因子試験(予備試験)

本試験は、試料溶液について、反応を促進又は阻害する因子の有無を調べる試験です。本試験は、試験結果に影響を及ぼす可能性が予想される試験条件の変更があるときにも行う必要があります。

<必要な溶液>

表1(7ページ)に従い、A、B、C及びD液を調製して、試験を行います

<有効条件>

本試験は次の2つの条件に適合するとき、有効です。1. C液で作成した検量線の相関係数の絶対値|r|が0.980以上である。2. D液の測定結果は、ライセート試薬に設定されている空試験の限度値を超えないか、又はエンドトキシンの検出限界未満である。

上記と合わせて、B液で測定されたエンドトキシン濃度とA液で測定されたエンドトキシン濃度の差に基づいて、B液の添加エンドトキシン濃度に対するエンドトキシンの回収率を計算する。添加エンドトキシンの回収率が50~200%の範囲にあるとき、反応干渉因子は試料溶液に存在しないと判定し、反応干渉因子試験に適合とする。

<ポイント>

添加エンドトキシンの回収率(%)が50~200%の範囲に入らない場合、試料を希釈して再試験を実施して下さい。希釈する際は後述の「MVD」を事前に確認してください。

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補足情報

■試料溶液の試験への影響

エンドトキシン試験を実施する際には、試料が試験におよぼす影響(反応干渉因子)に注意が必要です。

①ライセート試薬に影響するもの ・蛋白変性作用のあるもの(酸、アルカリ、尿素、界面活性剤、有機溶剤) ・プロテアーゼ、プロテアーゼ阻害剤 ・キレート剤(反応に必要なCaやMgが捕捉される) ・比色法の場合、着色物質(405nm付近に大きな吸収を持つ物質) ・比濁法の場合、濁り②エンドトキシンに影響するもの ・金属イオン(Fe、Al、Ga、Crイオン等。μM程度でも影響あり) ・界面活性剤

試料の影響の有無は、既知量のエンドトキシンを添加した検体を測定し、添加したエンドトキシン量の回収率を求める試験によって判断します。薬局方では反応干渉因子試験と呼ばれている試験です。比色法・比濁法(光学的定量法)では添加したエンドトキシンの回収率が50~200%の範囲であれば試料は測定に影響せず、試料はその濃度でエンドトキシン試験に影響を与えないといえます。

<ポイント>

試料の影響が見られた場合、試料を希釈して測定すると影響を軽減することができます。希釈する際は以下の「MVD」を事前に確認ください。

■エンドトキシン規格値

注射剤のエンドトキシン規格値は、投与量に基づいて規定されており、K/Mに等しい値です。K:発熱を誘起するといわれる体重1kg当たりのエンドトキシンの量(EU/kg)M:体重1kg当たり1回に投与される注射剤の最大量である。ただし注射剤が頻回あるいは持続的に投与される場合は、Mは1時間以内に投与される注射剤の最大総量とする。

■最大有効希釈倍数(MVD:Maximum Valid Dilution)

最大有効希釈倍数(MVD)とは、試料溶液中に存在する反応干渉因子の影響を希釈により回避できるとき、許容される試料溶液の最大の希釈倍数です。最大有効希釈倍数は、次の式によって求めます。

最大有効希釈倍数=(エンドトキシン規格値×試料溶液の濃度)÷λ

試料溶液の濃度:試料溶液の濃度の単位は、エンドトキシン規格値が質量当たり(EU/mg)で規定されている場合はmg/mL、当量当たり(EU/mEq)で規定されている場合はmEq/mL、生物学的単位当たり(EU/単位)で規定されている場合は単位/mL、容量当たり(EU/mL)で規定されている場合はmL/mLである。λ:比濁法又は比色法の場合は検量線の最小エンドトキシン濃度(EU/mL)である。

例:検量線0.01−0.1−1.0EU/mL、エンドトキシン規格値が0.50EU/mLの試料溶液の場合MVD=0.50(EU/mL)×1.0(mL/mL)÷0.01(EU/mL)=50上記より、試料溶液は50倍まで希釈することができます。

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補足情報

■回収率の計算方法

B液で測定されたエンドトキシン濃度とA液で測定されたエンドトキシン濃度の差に基づいて,B液の添加エンドトキシン濃度に対するエンドトキシンの回収率を計算します。添加エンドトキシンの回収率が50~200%の範囲にあるとき,反応干渉因子は試料溶液に存在しないと判定します。

回収率(%)

(B液のエンドトキシン濃度ーA液のエンドトキシン濃度)×100

B液の添加エンドトキシン濃度

■参考:CSEの力価検定方法(トキシノメーター法)

日本薬局方では特に記載されていませんが、FDAのガイドライン(※)では標準品以外でのエンドトキシン(CSE)を使用する場合には、CSEの力価を標準品と対比して求めなければならないという記載がありました。※2011年に廃止されました。

〈手順〉

手順① エンドトキシン標準品(RSE)の希釈系列(EU/mL)を作成する手順② コントロールスタンダードエンドトキシン(CSE)の希釈系列(ng/mL)を作成する※

※2018年12月現在バイアル数の指定はありません。手順③ RSEの検量線データよりCSEの反応時間をエンドトキシン濃度に換算する。手順④ ③のEU換算値とCSE(ng/mL)の値からEU換算係数(EU/ng)を算出する。手順⑤ 各濃度のEU換算係数から平均換算係数(EU/ng)を算出する。手順⑥ 弊社取り扱いのCSEは1バイアルあたり500ngとなっているため⑤で求めた平均換算係数(EU/ng)に

500ng/vialを乗じてCSE力価を求める。※十の位は四捨五入する。

<判定条件>

●RSEの検量線の相関係数rの絶対値が0.980以上であること●CSEの3濃度以上がRSEの最大濃度と最少濃度のゲル化時間の範囲内であること

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補足情報

エンドトキシン標準品、CSE希釈例

(使用するLALのゲル化感度が0.0313EU/mLの場合)

RSE10000EU/mL

0.2mL

1.8100

1.810

1.81

10.5

10.25

10.125

10.0625

10.0313

1.8mL1000

水エンドトキシン濃度(EU/mL)

0.2mL 0.2mL 0.2mL 1mL 1mL 1mL 1mL 1mL 1mL

10.0156

CSE100ng/mL

0.2mL

1.810

1.81

1.80.1

10.025

10.0125

10.00625

水エンドトキシン濃度(ng/mL)

0.2mL 0.2mL 1mL 1mL 1mL 1mL 1mL 1mL

10.00156

10.05

10.00313

CSE の平均換算係数の求め方(例)

RSE の濃度とゲル化時間

CSE の濃度とゲル化時間

CSE の Tg

EU 換算値 Log Conc

RSE の検量線

Log Tg RSE(EU/mL) Tg(min.)

0.0156  54.2  54.8 0.0313  42.2  42.6 0.0625  34.0  34.2 0.125  26.6  26.8 0.25  20.8  21.4 0.5  18.0  18.2

logTg=-0.3236logC+1.143

r=-0.9979

平均Tg(min.) 4vialの平均Tg EU換算値 EU換算係数 CSE(ng/mL) vial1 vial2 vial3 vial4 (min.) EU/mL EU/ng 0.00156 >60.0 >60.0 >60.0 >60.0 >60.00 — — 0.00313 45.7 48.5 48.5 48.3 47.75 0.0221 7.06 0.00625 34 33.7 35.5 34.2 34.35 0.0612 9.79 0.0125 26.4 25.5 27.4 25.7 26.25 0.1404 11.2 0.025 20.4 19.9 21.4 20.0 20.43 0.3046 12.2

平均換算係数10.06EU/ng

10,06EU/ng×500ng/vial=5,030EU/vial

したがって、CSE力価は5,000EU/vialとなる。

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補足情報

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