コニカミノルタ八王子SKTコニカミノルタ八王子SKT(以下SKT)は、世界45カ...

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サステナブル建築事例集/一般社団法人日本建設業連合会 ※本事例シートおよび記載内容の二次利用を禁止します 主要な採用技術(CASBEE準拠) 階数 構造 延床面積 敷地面積 竣工年 建物データ 所在地 カテゴリー 施工 発注者 設計・監理 No.13-034-2014作成 東京都八王子市 Q2. 2. 耐用性・信頼性(耐震性、免震建物、節水、井水利用、非常用電源、無停電電源設備) LR1.1. 建物外皮の熱負荷抑制(PAL性能、水平ルーバー、Low-eガラス) LR1.2. 自然エネルギー利用(自然換気) LR1.3. 設備システムの高効率化(LED照明、照度センサー制御、高効率機器の採用) LR1.4. 効率的運用(BEMSを用いた建築設備の効率的運用) LR3.2. 地域環境への配慮(雨水浸透貯留槽、燃焼機器の非採用) KONICA MINOLTA SKT コニカミノルタ八王子SKT 株式会社 竹中工務店 TAKENAKA CORPORATION 株式会社 竹中工務店 コニカミノルタ株式会社 事務所/研究所 新築 D. 評価技術/FB K. その他 J. 生物多様性 I. 周辺・地域への配慮 H. 生産・施工との連携 G. 建物基本性能確保 F. 長寿命化 E. リニューアル C. 各種制度活用 B. 省エネ・省CO2技術 A. 環境配慮デザイン 地上7階、搭屋2階 S造 88,206 40,281 2014 38 ERR(CASBEE準拠) 第三者認証 2010年度版 BEE=3.2 Sランク 自然光を最大限取り込む、すり鉢形状のアトリウムをもつ知的共創研究開発拠点 CH=3,000 5,321 1,183 ▽7FL 排煙窓 フラッシュパネル 0 CH=3,000 250 165 1,085 アルミサッシ:2次電解着色 複層ガラス Low-e アルミガラリ: 2次電解着色 CASBEE評価 省エネルギー性能 EV EV ENTRANCE FOYER HALL 空調 利用 WC 利用 OFFICE CONFERENCE STORAGE EV 屋上緑化 太陽光発電 オープンイノベーションを行う会議室エリア 光がふりそそぐワークプレイス 最先端商品のショールームと社内教育スペース ゾーン3 ゾーン2 ゾーン1 外部水平ルーバー ロールスクリーンによる直射光の遮蔽 Low-eガラス LED照明 明るさセンサーによる外光利用 BEMS 室外機散水 自然換気 アンダーフロア空調 雨水再利用 井水熱利用 外気処理システム ・全熱交換器組み込み ・井水予冷予熱コイル ・外気冷房制御 ・CO2濃度抑制 コニカミノルタ グループ社員 お客様 社外 パートナー ナレッジ・コート(ゾーン3) ナレッジ・フロント(ゾーン2) ソリューション・プラザ (ゾーン1) 組織を越えた グローバルな社内共創の場 社外パートナーとの共創の場 お客様との共創と課題解決の場 オープン イノベーション Entrance 1F 1F 1F 1F F 1F 1F F 1 1 1 2 2F F F F F F 2F 2 2F F 2F 2F 2F F F F F 2 2 2 2 2 3 3F 3F 3F F F 3F 3F 3F F 3 3 3 3 3F F 3F F F 3F F F F F 3 3 3 3 3 4 4 4F F F F F 4 4 4 4 4F F 4 4 4F 4 4F F F F F F F F F F F F F F 4 4 4 4 5 5 5F F F F F 5 5 5 5 5 5 5F F 5 5F F F F F F F F F F 6 6 6F F F F F F F F F 6 6 6F F 6 6 6F 6F F F F F F F F F F F F 6 6 6 6 6 7 7 7F F F F F F F F 7 7 7 7 7 7 7 7F 7F F F F F F F F F F 7 RF RF RF R R R RF R R RF RF RF RF F F F F RF F F R RF R R R 3 階~ 7 階:5 層の アトリウムがある 執務室・実験室ゾーン 3~7階: スペクトラム・ウォール を設置した会議室ゾーン 2階:ロビー、ラウンジ、大小会議室ゾーン ナレッジ・コート (ゾーン3) ナレッジ・フロント (ゾーン2) ソリューション・プラザ (ゾーン1) W S E N 0 0 50 100 Q S A B + B - C L 100 50 0.5 3.0 1.5 BEE=1.0 21 66 3.2 設計担当者 総括:大日方淳夫/建築:伊藤琢、小宮山幸、竹尾昌/構造:石川智章、菅谷公彦、 青山将也/設備:野原 聰哲、大堀健/ワークプレイス:平山朋史、篠直人、丘本道彦 アトリウム全景 本プロジェクトで採用した環境配慮技術(断面イメージ図 S=1/1200) 自然換気システム イメージ図 (南北外壁断面イメージ) (トップライト部断面イメージ) ⑤外観 ⑤内観 西側ファサード夜景 コンセプト 3~7階平面図 S=1:1500 省資源、省エネルギーに配慮した設備計画 ①自然換気 吹抜けを有する執務フロア(3~7階)については、各階 に自然換気スイッチを設置し、トップライト換気窓を開 放、当該階の外壁ガラリ接続のダンパーを開とすること により自然換気を行うことができる。 ②LED照明、明るさセンサー 事務室、研究エリア、共用部にはLED照明を採用し省エ ネルギー化を図っている。また、1スパン毎に照るさセ ンサーを設置し、外光による照度確保が可能なエリアは 照明を減光して省エネルギー化を図っている。 ③井水熱利用、雨水再利用 雑用水の原水に井水を使用しており、外気に比べて夏期 は冷たく、冬期は温かい水が得られることから、外気処 理空調機に予冷予熱コイルを組込み、井水熱利用を行っ ている。また、建物の雨水排水の一部を濾過し、雑用水 としてトイレの洗浄水として再利用している。 ④外気処理システム エネルギー消費量の大きい外気処理システムに全熱交換 機の組込み、井水予冷予熱コイルの設置、外気冷房制 御、室内CO2濃度による外気量制御により空調熱源の負 荷低減を図っている。 西日を遮るルーバー 西側ファサードに配されたルーバーは、執務時間中に会 議室に入り得る西日を遮ることを目的として計画した。 夜間にはスペクトルウォールとともに特徴的な陰影を生 み、建物の存在感を際立たせている。 オープンイノベーションを可能とするSKT コニカミノルタ八王子SKT(以下SKT)は、世界45カ 所にグループ拠点をもつコニカミノルタ最大規模の 研究開発施設である。東京サイト八王子内に分散す るデジタル印刷システム研究開発部門を集約する目 的で、新研究開発棟が計画された。主力事業(情報 機器)の成長を牽引するデジタル印刷システムの設 計・試作・評価等の開発機能を集約した研究施設で ある。 知の融合と創造を促す3つのワークプレイス SKTは、顧客との共創と課題解決の場=「ソリュー ション・プラザ」、社外パートナーとの共創の場= 「ナレッジ・フロント」、組織を超えたグローバル な社内共創の場=「ナレッジ・コート」で構成され ており、3つの共創の場がそれぞれつながりを持ち つつ、研究開発の知(ナレッジ)の創造活動がスパ イラルアップする仕掛けを計画した。 光がふりそそぐ新しい研究施設 コニカミノルタは創業以来、「光」を操ることに よって各種光学機器を開発し、「色」にこだわるこ とによってカラー複合機のリーディングカンパニー と成長した。SKTでは、この「光」と「色」をデザ インの基調とすることでコニカミノルタらしさを具 現化した。 だれもが集まるアトリウム オフィスフロアの中央部に、トップライトから 「光」が降り注ぐアトリウムを計画した。敷地軸に 対して、真北に角度をふったアトリウムを計画する ことによって、トップライトからの「光」を最大限 に取り込むことを可能にし、通常均質になりがちな オフィス空間に対し、各階異なる空間性を「光」に よって獲得している。各フロアの研究者がアトリウ ムを介して立体的にコミュニケーションをとり、そ れぞれのフロアへ戻っていく一連の流れの連鎖が、 イノベーションのきっかけとなる。

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サステナブル建築事例集/一般社団法人日本建設業連合会

※本事例シートおよび記載内容の二次利用を禁止します

主要な採用技術(CASBEE準拠)

階数

構造

延床面積

敷地面積

竣工年

建物データ

所在地

カテゴリー

施工

発注者

設計・監理

No.13-034-2014作成

%東京都八王子市 Q2. 2. 耐用性・信頼性(耐震性、免震建物、節水、井水利用、非常用電源、無停電電源設備)

LR1.1. 建物外皮の熱負荷抑制(PAL性能、水平ルーバー、Low-eガラス)

LR1.2. 自然エネルギー利用(自然換気)

LR1.3. 設備システムの高効率化(LED照明、照度センサー制御、高効率機器の採用)

LR1.4. 効率的運用(BEMSを用いた建築設備の効率的運用)

LR3.2. 地域環境への配慮(雨水浸透貯留槽、燃焼機器の非採用)

KONICA MINOLTA SKT

コニカミノルタ八王子SKT

株式会社 竹中工務店

TAKENAKA CORPORATION

株式会社 竹中工務店

コニカミノルタ株式会社

事務所/研究所

新築

D. 評価技術/FB

K. その他J. 生物多様性I. 周辺・地域への配慮

H. 生産・施工との連携G. 建物基本性能確保F. 長寿命化E. リニューアル

C. 各種制度活用B. 省エネ・省CO2技術A. 環境配慮デザイン

地上7階、搭屋2階

S造

88,206

40,281

2014

38ERR(CASBEE準拠)

第三者認証

2010年度版

BEE=3.2

Sランク

自然光を最大限取り込む、すり鉢形状のアトリウムをもつ知的共創研究開発拠点

CH=3,000

5,321

1,183

▽7FL

排煙窓フラッシュパネル

0

CH=3,000

250

165

1,085

アルミサッシ:2次電解着色複層ガラス Low-e

アルミガラリ:2次電解着色

CASBEE評価省エネルギー性能

EV EV

ENTRANCE

FOYER HALL

空調利用

WC利用

OFFICECONFERENCE

STORAGE

EV

屋上緑化太陽光発電

オープンイノベーションを行う会議室エリア

光がふりそそぐワークプレイス

最先端商品のショールームと社内教育スペース

ゾーン3

ゾーン2 ゾーン1

外部水平ルーバー

ロールスクリーンによる直射光の遮蔽

Low-eガラス

LED照明明るさセンサーによる外光利用

BEMS

室外機散水

自然換気

アンダーフロア空調

雨水再利用

井水熱利用

④ 外気処理システム・全熱交換器組み込み・井水予冷予熱コイル・外気冷房制御・CO2濃度抑制

コニカミノルタグループ社員

お客様社外パートナー

ナレッジ・コート(ゾーン3)

ナレッジ・フロント(ゾーン2)

ソリューション・プラザ (ゾーン1)

組織を越えたグローバルな社内共創の場

社外パートナーとの共創の場

お客様との共創と課題解決の場

オープンイノベーション

Entrance

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3 階~ 7階:5層のアトリウムがある執務室・実験室ゾーン

3~7階:スペクトラム・ウォールを設置した会議室ゾーン

2階:ロビー、ラウンジ、大小会議室ゾーン

ナレッジ・コート(ゾーン3)

ナレッジ・フロント(ゾーン2)

ソリューション・プラザ (ゾーン1)

軸地敷

軸球地

W

S

E

N

00 50 100

Q

S A B+

B-

C

L

100

50 0.5

3.0 1.5 BEE=1.0

21

66 3.2

設計担当者 

総括:大日方淳夫/建築:伊藤琢、小宮山幸、竹尾昌/構造:石川智章、菅谷公彦、

青山将也/設備:野原 聰哲、大堀健/ワークプレイス:平山朋史、篠直人、丘本道彦

アトリウム全景

本プロジェクトで採用した環境配慮技術(断面イメージ図 S=1/1200)

自然換気システム イメージ図

(南北外壁断面イメージ) (トップライト部断面イメージ)

⑤外観 ⑤内観

西側ファサード夜景

コンセプト 3~7階平面図 S=1:1500

省資源、省エネルギーに配慮した設備計画

①自然換気

吹抜けを有する執務フロア(3~7階)については、各階

に自然換気スイッチを設置し、トップライト換気窓を開

放、当該階の外壁ガラリ接続のダンパーを開とすること

により自然換気を行うことができる。

②LED照明、明るさセンサー

事務室、研究エリア、共用部にはLED照明を採用し省エ

ネルギー化を図っている。また、1スパン毎に照るさセ

ンサーを設置し、外光による照度確保が可能なエリアは

照明を減光して省エネルギー化を図っている。

③井水熱利用、雨水再利用

雑用水の原水に井水を使用しており、外気に比べて夏期

は冷たく、冬期は温かい水が得られることから、外気処

理空調機に予冷予熱コイルを組込み、井水熱利用を行っ

ている。また、建物の雨水排水の一部を濾過し、雑用水

としてトイレの洗浄水として再利用している。

④外気処理システム

エネルギー消費量の大きい外気処理システムに全熱交換

機の組込み、井水予冷予熱コイルの設置、外気冷房制

御、室内CO2濃度による外気量制御により空調熱源の負

荷低減を図っている。

⑤西日を遮るルーバー

西側ファサードに配されたルーバーは、執務時間中に会

議室に入り得る西日を遮ることを目的として計画した。

夜間にはスペクトルウォールとともに特徴的な陰影を生

み、建物の存在感を際立たせている。

オープンイノベーションを可能とするSKT

コニカミノルタ八王子SKT(以下SKT)は、世界45カ

所にグループ拠点をもつコニカミノルタ最大規模の

研究開発施設である。東京サイト八王子内に分散す

るデジタル印刷システム研究開発部門を集約する目

的で、新研究開発棟が計画された。主力事業(情報

機器)の成長を牽引するデジタル印刷システムの設

計・試作・評価等の開発機能を集約した研究施設で

ある。

知の融合と創造を促す3つのワークプレイス

SKTは、顧客との共創と課題解決の場=「ソリュー

ション・プラザ」、社外パートナーとの共創の場=

「ナレッジ・フロント」、組織を超えたグローバル

な社内共創の場=「ナレッジ・コート」で構成され

ており、3つの共創の場がそれぞれつながりを持ち

つつ、研究開発の知(ナレッジ)の創造活動がスパ

イラルアップする仕掛けを計画した。

光がふりそそぐ新しい研究施設

コニカミノルタは創業以来、「光」を操ることに

よって各種光学機器を開発し、「色」にこだわるこ

とによってカラー複合機のリーディングカンパニー

と成長した。SKTでは、この「光」と「色」をデザ

インの基調とすることでコニカミノルタらしさを具

現化した。

だれもが集まるアトリウム

オフィスフロアの中央部に、トップライトから

「光」が降り注ぐアトリウムを計画した。敷地軸に

対して、真北に角度をふったアトリウムを計画する

ことによって、トップライトからの「光」を最大限

に取り込むことを可能にし、通常均質になりがちな

オフィス空間に対し、各階異なる空間性を「光」に

よって獲得している。各フロアの研究者がアトリウ

ムを介して立体的にコミュニケーションをとり、そ

れぞれのフロアへ戻っていく一連の流れの連鎖が、

イノベーションのきっかけとなる。