ポドサイト障害とネフローゼ症候群...myosin heavy chain 9 MYH9 NM_002473.4 22 AD 34...

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1 北里医学 2016; 46: 1-12 Received 1 March 2016, accepted 8 March 2016 連絡先: 内藤正吉 (北里大学医学部腎臓内科学) 252-0374 神奈川県相模原市南区北里1-15-1 E-mail: [email protected] ポドサイト障害とネフローゼ症候群 内藤 正吉 1 ,青山 東五 1 ,川島 永子 1 ,翁 千香子 1 ,竹内 和博 1 竹内 恵美子 2 ,鎌田 真理子 1 ,竹内 康雄 1 1 北里大学医学部腎臓内科学 2 北里大学医学部免疫学 糸球体ろ過バリアを構成するポドサイトが有する足突起同士の間隙はスリット膜に覆われ る。遺伝子変異とネフローゼ症候群発症の研究により糸球体ろ過機構はスリット膜が担うこ とが明らかになっている。しかし,ポドサイトは増殖・再生能をもたないため,治療のうえ でポドサイトの形態,機能を保持することは重要となる。しかし,腎生検から得られる検体 量は少量のため,ポドサイト研究を行うにあたり,ヒトポドサイト障害に即した適切な疾患 動物モデルが必要となる。本稿では,まずポドサイトの機能と関連分子の役割について概説 し,次にポドサイト障害誘導性ネフローゼ症候群モデルについて,我々の最近の知見を含め て紹介する。 Key words: ポドサイト,ネフローゼ症候群,ポドサイト関連分子,マウスネフローゼ症候 群モデル はじめに 慢性腎疾患 (chronic kidney disease: CKD) 患者数は世 界的に増加しており,我が国においても血液透析患者 数の増大による莫大な医療費が問題となっている。こ のため,CKDの進展阻止に対する研究が注目を集めて いる。CKDの多くは,原疾患悪化の過程でポドサイト 障害をきたし,糸球体硬化が進行し,腎機能が低下す ると考えられている 1 。しかし,ポドサイトは増殖・再 生能をもたないため,その障害により腎機能障害は進 行することになる。従って,ポドサイト障害を防ぐこ とが腎疾患の治療において重要であり,十分な組織学 的検索が必要となる。しかしながら,研究に使用でき るヒト腎生検検体は僅かであり,ヒトポドサイト障害 に類似した疾患動物モデルが必要となる。本稿では, 蛋白ろ過バリアとしてのポドサイトの役割とポドサイ ト関連分子について概説し,次にポドサイト障害ネフ ローゼ症候群モデルについて,我々の最近の知見を含 めて紹介する。 糸球体ろ過機構とネフローゼ症候群 腎臓は糸球体,尿細管,血管,間質から構成され, 生体内環境維持のための適切な尿生成を行っている。 尿生成の最初の過程で,ろ過装置として活躍するのが 糸球体である (1A)。糸球体は毛細血管係蹄と,それ らを束ねるメサンギウム細胞からなる。ろ過機構は糸 球体係蹄壁が担っている。糸球体係蹄壁は3層構造から なっており,内側から糸球体内皮細胞,糸球体基底膜 (GBM),糸球体足細胞 (ポドサイト,図1B) で構成され ている (1C) 2 。これら3層のろ過膜は,大量の血液を 速やかにろ過するために,サイズの異なる (血管側から 大→小) 孔で構成されている (サイズバリア)。さらに, ろ過膜表面は陰性荷電を呈しており (チャージバリア)分子量約7万のアルブミンや血球成分は実質的にろ過さ れない構造となっている。 長年,蛋白ろ過機構の主要な役割は基底膜に存在す ると考えられていた。しかし,後述するフィンランド 型先天性ネフローゼ症候群の原因遺伝子NPHS1 (nephrin; ネフリン) の発見が転機となり 3 ,その後報告されたネ フローゼ症候群の原因となる遺伝子変異の多くはポド サイトに関係していることから,現在では糸球体蛋白 ろ過機構は主にポドサイトが担っていると考えられて いる。 この血液ろ過機構が破綻し,大量の尿蛋白と低アル ブミン血症を生ずる病態をネフローゼ症候群と呼ぶ (2)。原発性ネフローゼ症候群では一般的に副腎皮質 ステロイド薬による治療が選択されるが,約20%はス

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 総  説 北里医学 2016; 46: 1-12 

Received 1 March 2016, accepted 8 March 2016連絡先: 内藤正吉 (北里大学医学部腎臓内科学)〒252-0374 神奈川県相模原市南区北里1-15-1E-mail: [email protected]

ポドサイト障害とネフローゼ症候群

内藤 正吉1,青山 東五1,川島 永子1,翁 千香子1,竹内 和博1,

竹内 恵美子2,鎌田 真理子1,竹内 康雄1

1北里大学医学部腎臓内科学2北里大学医学部免疫学

 糸球体ろ過バリアを構成するポドサイトが有する足突起同士の間隙はスリット膜に覆われ

る。遺伝子変異とネフローゼ症候群発症の研究により糸球体ろ過機構はスリット膜が担うこ

とが明らかになっている。しかし,ポドサイトは増殖・再生能をもたないため,治療のうえ

でポドサイトの形態,機能を保持することは重要となる。しかし,腎生検から得られる検体

量は少量のため,ポドサイト研究を行うにあたり,ヒトポドサイト障害に即した適切な疾患

動物モデルが必要となる。本稿では,まずポドサイトの機能と関連分子の役割について概説

し,次にポドサイト障害誘導性ネフローゼ症候群モデルについて,我々の最近の知見を含め

て紹介する。

Key words:ポドサイト,ネフローゼ症候群,ポドサイト関連分子,マウスネフローゼ症候群モデル

はじめに

 慢性腎疾患 (chronic kidney disease: CKD) 患者数は世

界的に増加しており,我が国においても血液透析患者

数の増大による莫大な医療費が問題となっている。こ

のため,CKDの進展阻止に対する研究が注目を集めて

いる。CKDの多くは,原疾患悪化の過程でポドサイト

障害をきたし,糸球体硬化が進行し,腎機能が低下す

ると考えられている1。しかし,ポドサイトは増殖・再

生能をもたないため,その障害により腎機能障害は進

行することになる。従って,ポドサイト障害を防ぐこ

とが腎疾患の治療において重要であり,十分な組織学

的検索が必要となる。しかしながら,研究に使用でき

るヒト腎生検検体は僅かであり,ヒトポドサイト障害

に類似した疾患動物モデルが必要となる。本稿では,

蛋白ろ過バリアとしてのポドサイトの役割とポドサイ

ト関連分子について概説し,次にポドサイト障害ネフ

ローゼ症候群モデルについて,我々の最近の知見を含

めて紹介する。

糸球体ろ過機構とネフローゼ症候群

 腎臓は糸球体,尿細管,血管,間質から構成され,

生体内環境維持のための適切な尿生成を行っている。

尿生成の最初の過程で,ろ過装置として活躍するのが

糸球体である (図1A)。糸球体は毛細血管係蹄と,それ

らを束ねるメサンギウム細胞からなる。ろ過機構は糸

球体係蹄壁が担っている。糸球体係蹄壁は3層構造から

なっており,内側から糸球体内皮細胞,糸球体基底膜

(GBM),糸球体足細胞 (ポドサイト,図1B) で構成され

ている (図1C)2。これら3層のろ過膜は,大量の血液を

速やかにろ過するために,サイズの異なる (血管側から

大→小) 孔で構成されている (サイズバリア)。さらに,

ろ過膜表面は陰性荷電を呈しており (チャージバリア),

分子量約7万のアルブミンや血球成分は実質的にろ過さ

れない構造となっている。

 長年,蛋白ろ過機構の主要な役割は基底膜に存在す

ると考えられていた。しかし,後述するフィンランド

型先天性ネフローゼ症候群の原因遺伝子NPHS1 (nephrin;

ネフリン) の発見が転機となり3,その後報告されたネ

フローゼ症候群の原因となる遺伝子変異の多くはポド

サイトに関係していることから,現在では糸球体蛋白

ろ過機構は主にポドサイトが担っていると考えられて

いる。

 この血液ろ過機構が破綻し,大量の尿蛋白と低アル

ブミン血症を生ずる病態をネフローゼ症候群と呼ぶ

(図2)。原発性ネフローゼ症候群では一般的に副腎皮質

ステロイド薬による治療が選択されるが,約20%はス

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内藤 正吉,他

図1. A. 糸球体模式図,B. 腎糸球体の走査電顕所見: 糸球体上皮細胞は,隣接するポドサイトの足突起同士で指を組みあうように絡み合い,基底膜の概則を覆っている。

スケールバーは1μmを示す (J Cell Biol 2015; 209: 199-210より一部抜粋)。C. 糸球体毛細血管壁の構造 : 糸球体毛細血管壁は血管壁側から,有窓性血管内皮細胞(endothelial cell: E),糸球体基底膜 (glomerular basement membrane: GBM),ポドサイト足突起 (foot process: FP) からなる。足突起間には25〜60 nmの間隙があり,スリット膜 (↓) と呼ばれる構造がある。スケールバーは250 nmを示す。D. 電子顕微鏡高倍率所見における足突起 (FP) とスリット膜 (↓) の構造: スケールバーは150 nmを示す (NEJM 2006; 354: 1387-401より一部抜粋・改変)。

図2. ネフローゼ症候群診断基準 (平成22年度厚生労働省難治性疾患対策進行性腎障害に関する調査研究班)

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ポドサイト障害とネフローゼ症候群

テロイド治療に抵抗性を示し,約50%は腎不全に進行

する。これらの一群はステロイド抵抗性ネフローゼ症

候群 (steroid resistant nephrotic syndrome: SRNS) と呼ば

れている4。SRNSの主な腎組織病理像は巣状分節性糸

球体硬化症 (focal segmental glomerulosclerosis: FSGS) で

ある5。FSGSとは,採取腎組織の一部の糸球体 (巣状)

の一部分 (分節性) に認められる硬化様病変を持って定

義される病理形態上の診断名である。FSGSは遺伝子異

常・ウイルス感染・薬剤・肥満や免疫異常などさまざ

まな原因により,ポドサイト障害の結果生じた最終的

な病変と考えられている6。

ポドサイトの役割

 ポドサイトは足突起 (foot process) を有し,隣接する

ポドサイトの足突起同士で指を組みあうように絡み合

わせている終末分化細胞である (図1B)。この足突起同

士の隙間は30〜40 nmであり,この隙間をスリット膜

(slit diaphragm) といわれる構造体が覆っている (図1D)。

電子顕微鏡トモグラフィを用いた解析によると,ス

リット膜は,不均一なトンネル構造をしていると考え

られている7。この孔は,アルブミンよりやや小さい分

子の直径に等しく,大きさに基づく選択的ろ過機構を

司っている7。実際,先天性ネフローゼ症候群の遺伝子

変異の報告は,スリット膜関連遺伝子や,スリット膜

の構造維持に不可欠なポドサイト細胞骨格に関係する

ことが多いため8-15,スリット膜は糸球体ろ過機構にお

いて最も重要な役割を担っていると考えられている16。

 また,最近では,ポドサイトは糸球体係蹄の構造維

持の他にも,糸球体基底膜の合成と維持や,血管内皮

増殖因子A (vascular endothelial growth factor A: VEGF-A)・

Angiopoietin 1等の分泌を介して内皮細胞に向けたシグ

ナルを伝達するなど,幅広い役割を担っていると考え

られている17-19。実際,発生の過程においても,ネフロ

ン前駆細胞から由来するポドサイトが分泌したVEGF

が糸球体血管内皮を引き寄せることで,血管と腎管と

の接続に関係していることが知られている20。

表1

蛋白名 遺伝子名 Accession number Chromosome 遺伝様式 Reference

スリット膜関連蛋白

Nephrin NPHS1 NM_004646.3 19 AR 3Podocin NPHS2 NM_014625.2 1 AR 9Phospholipase C, epsilon 1 PLCE1 NM_016341.3 10 AR 29CD2-associated protein CD2AP NM_012120.2 6 AR 22Transient receptor potential cation channel,

TRPC6 NM_004621.5 11 AD 28 subfamily C, member 6

アクチン結合蛋白

α-Actinin 4 ACTN4 NM_004924.4 19 AD 30Rho-GDPase activating protein 24 Arhgap24 NM_001025616.2 4 AD 8Homo sapiens myosin 1e Myo1E NM_004998.3 15 AR 33myosin heavy chain 9 MYH9 NM_002473.4 22 AD 34Inverted fomin,

INF2 NM_022489.3 14 AD 32 FH2 and WH2 domain containingRho-GDP dissociation inhibitor alpha ARHGDIA NM_001185078.1 17 AR 81anillin, actin binding protein ANLN NM_018685.2 7 AD 12

核転写因子

Wilms tumor 1 WT1 NM_024426.4 11 AD 37LIM homeboc transcriptinal factor 1, beta LMX1B NM_00117414.1 9 AD 82, 83SWI/SNF-related, matrix-associated, actin-dependent regulator of chromatin, SMARCAL1 NM_014140.3 2 AD 84 subfamily a-like 1

糸球体基底膜

Laminin β2 LAMB2 NM_002292.3 3 AR 46Integrin α3 ITGA3 NM_005501.2 17 AR 43

ミトコンドリア

Coenzyme Q10COQ6 NM_182476.2 14 AR 40

biosynthesis monoxygenase 6AarF domain containing kinase 4 ADCK4 NM_024876.3 19 AR 41

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ポドサイト関連分子:ネフローゼ症候群を来す遺伝子異常について

 近年の遺伝子解析手法の飛躍的な進歩により,先天

性ネフローゼ症候群を来す遺伝子異常の報告は急激に

増加し,現在までに少なくとも30種類以上の原因遺伝

子が知られている (表1)5,16。

 先天性ネフローゼ症候群の原因遺伝子を機能から分

類すると,①スリット膜関連分子,②足突起アクチン

細胞骨格,③核膜構造または核内転写因子,④ミトコ

ンドリア呼吸鎖,⑤足突起・基底膜間の連結などに分

けられる (図3)4,5。さらにここ数年になり,後述する

「⑥miRNA (microRNA,マイクロRNA)」の関与も報

告されている。これらのポドサイトに特異的に発現す

る分子は,免疫介在性糸球体疾患の抗原にもなると考

えられている。

①スリット膜関連分子

 スリット膜関連分子として最初に発見されたものが

フィンランド型先天性ネフローゼ症候群の原因遺伝子

として同定されたネフリン (NPHS1) である3。ネフリ

ンは8個の免疫グロブリン様モチーフ,1つのI I I型

fibronectin様モチーフを持つ1回膜貫通型蛋白で,ス

リット膜を構成している主要蛋白である21。その後ポ

ドシン (NPHS2),CD2APといったネフリンのアダプ

ター蛋白がSRNSの原因遺伝子として同定された9,22。

現在では,ネフリンの細胞内モチーフがCD2APに代表

されるさまざまなアダプタープロテインを介して足突

起アクチン骨格に連結しており,これらの分子群は

Fynによるチロシンリン酸化によりactin細胞骨格の再構

築に関与していると考えられている 2 3 , 2 4。これら

nephrin,CD2AP,podocinなどのスリット膜関連分子は

図3. 遺伝性ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群 (SNRS) の原因蛋白

ポドサイト,基底膜,内皮細胞の位置関係と,蛋白の発現部位の関係を示す。赤枠内の蛋白は劣性遺伝

子,青枠内の蛋白は優性遺伝子を示す。SNRSの原因遺伝子は主に,①スリット膜関連分子,②足突起アクチン細胞骨格とその制御因子,③核膜構造または核内転写因子,④ミトコンドリア呼吸鎖,⑤足突起・

基底膜間の連結に分類される。

劣性遺伝子 (赤枠): ADCK4, AarF domain containing kinase 4; ARHGDIA, Rho-GDP dissociation inhibitor alpha;CD2AP, CD2-associated protein, COQ6, Coenzyme Q10 biosynthesis monooxygenase 6; ITGA3, インテグリンα3鎖; ITGB4, インテグリンβ3鎖; LAMB2, ラミニンβ2; MYO1E, Homo sapiens myosin 1e; PLCE1,Phospholipase C, epsilon 1; SMARCAL1, SWI/SNF-related, matrix-associated, actin-dependent regulator of chromatin,subfamily a-like 1.優性遺伝子 (青枠): ACTN4, アクチニンα4; ANLN. アニリン; ARHGAP24, Rho-GDPase activating protein 24;INF2, Inverted formin, FH2 and WH2 domain containing; LMX1B, LIM homebox transcriptional factor 1, beta;MYH9, myosin heavy chain 9; TRPC6, Transient receptor potential cation channel, subfamily C, member 6; WT1,Wilms tumor 1. (NDT 2015; 0: 1-11より改変)

内藤 正吉,他

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ポドサイト障害時に発現が低下することも知られてい

る25。

 近年,家族性ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の

多くが糸球体上皮細胞異常に起因していることから,

ポドサイト障害が蛋白尿の増加を引き起こすという概

念が提唱され,“podocytopathy”と呼ばれるようになっ

た26。Sadowskiらのステロイド抵抗性ネフローゼ症候群

患者1,783家族の報告では,podocytopathyの原因となり

うる27種の遺伝子変異は,29.5%の患者に存在した。

そのうちもっとも頻度が高いものがNPHS2 (9.93%)で,

次がNPHS1 (7.34%) といったスリット膜関連分子で

あった27。しかし,この報告では東アジア地域での解

析はされておらず,日本におけるステロイド抵抗性ネ

フローゼ症候群の遺伝子変異の頻度は不明である。

 また,直接スリット膜構造を支持するわけではない

ものの,スリット膜形成に必要な膜脂質・細胞骨格シ

グナルを調節しているTRPC6,PLCE1といった分子も

ネフローゼ症候群の原因遺伝子として同定されてい

る28,29。

②足突起アクチン細胞骨格

 ポドサイトは,毛細血管表面をろ過面積として最大

に利用するために,特殊なアクチン細胞骨格により発

達した足突起を保っている。成人発症優性遺伝FSGSで

は,ACTN4遺伝子変異により30,細胞骨格補強蛋白で

あるα-actinin 4の異常をきたす25,31。さらに,家族性

SRNSにおいて,アクチンの伸縮・短縮を制御する

フォルミン (INF2) の変異32や,アクチン線維の伸縮を

媒介する分子モーター分子であるMYO1E,MYH9変異

が同定された33,34。また,ヒトFSGS家系においても,

アクチン骨格を制御する低分子量GTPase活性調節因子

であるRhoAの活性調節因子 (ARHGAP24,ARHGDIA)

の変異が報告されている8。上記の疾患はいずれもアク

チン細胞骨格の形態,機能障害から足突起の構造異常

をきたすことでネフローゼ症候群を発症すると考えら

れている。

 最近,ネフローゼ症候群の治療に用いられる,i) ス

テロイドがNF-κBの細胞内シグナルを抑制すること,

ii) シクロスポリンがシナプトポジンのカルシニューリ

ン依存性脱リン酸化を抑制することで,アクチン細胞

骨格を安定化させ,蛋白尿が減少する可能性が報告さ

れ (図4),新たな治療標的として注目されている35,36。

③核膜構造または核内転写因子

 ネフローゼ症候群を来す代表的な核内転写因子異常

は,Wilms腫瘍抑制因子WT1変異である。WT1は,小児

の腎悪性腫瘍であるWilms腫瘍の原因遺伝子として知

られるが,血小板由来成長因子 (PDGF-A) やインスリ

ン様成長因子 (IGF) などの増殖関連遺伝子の転写を制

御しており,大部分の急性白血病でも発現している腫

瘍関連遺伝子である37。また,ヒト胎児の後腎間葉に

発現したWT1は,間葉上皮転換 (mesenchymal epithelial

図4. グルココルチコイドおよびシクロスポリンAの作用機序に関する最近の知見

グルココルチコイド (glucocorticoid: GC) はポドサイトのNF-κBの細胞内シグナルを抑制することで,また,シクロスポリンA (cyclosporine A: CsA) はシナプトポジンのカルシニューリン依存性脱リン酸化を抑制することで,アクチン細胞骨格を安定化

させ,蛋白尿を減少させる可能性がある (日本小児科学会雑誌 2014; 118: 1324-35より一部改変)。

ポドサイト障害とネフローゼ症候群

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transition: MET) を介したポドサイトの発生に重要な役

割を果たしており38,WT1変異は糸球体の分化・発達の

調節異常により,ポドサイト障害を呈すると考えら

れる。

④ミトコンドリア呼吸鎖

 ミトコンドリアは電子伝達系によりATPを産生し,

生命活動に必要なエネルギー産生を担っている。この

ため,ミトコンドリアが機能不全に陥ると,細胞エネ

ルギー産生低下により,ミトコンドリア症と呼ばれる

様々な臓器障害を発症する。特に神経,心・骨格系や

腎臓はエネルギー需要が大きいため,ミトコンドリア

症による症状を呈しやすく39,厚労省指定難病の診断

基準においても,これらの臓器症状は主項目の一つと

してあげられている。

 最近,ミトコンドリア電子伝達系を構成する補酵素

Q10 (CoQ10) の合成に関わるCoQ6,PDSS2やADCK4の変

異がFSGSに関係することが報告された40,41。これらの

変異はSRNSの中で1%程度であるが,CoQ10の経口補充

療法の有効性も報告されており,新たな治療標的候補

として注目されている42。

⑤足突起・基底膜間の連結

 足突起・基底膜間の連結に最も重要な役割をはたし

ているのは,インテグリンである43。インテグリンは

細胞表面に存在し,細胞外マトリックス蛋白と結合す

る2本の異なる膜1回貫通型タンパク質 (α鎖とβ鎖) の

ヘテロ二量体分子である。α鎖18種類,β鎖8種類が存

在するが,ヒトではα鎖とβ鎖の組み合わせの違いに

より計24種類のインテグリンが見つかっている。この

内,ポドサイトにはインテグリンα3β1が発現してい

る18。インテグリンの細胞外ドメインはラミニンやIV

型コラーゲンといった細胞外マトリックスと結合し,

一方で細胞内ドメインはアクチン細胞骨格と結合し,

FAKなどの情報伝達系蛋白質とも相互作用をしてい

る18,44。このため,インテグリンは細胞内外のシグナル

伝達に関与していると考えられている。

 インテグリンと細胞外で結合するラミニンは5種類の

α鎖,3種類のβ鎖,3種類のγ鎖の組み合わせで構成さ

れ,細胞接着,細胞増殖や遊走などに関与している45。

これらの鎖は細胞により発現は異なっており,ポドサ

イトではラミニンα5β2γ1が発現している。このうち

ラミニンβ2遺伝子 (LAMB2) 変異を原因とするものが

Pierson's症候群である。Pierson's症候群は通常1歳未満

でネフローゼ症候群を発症し,眼症状 (小瞳孔・白内

障・水晶体変形・網膜異常) の合併を特徴とする症候群

で46,LAMB2変異によりポドサイト基底面とGBMとの

連結が不十分になり,糸球体ろ過膜の形成不全を来す

と考えられている。

⑥miRNA (microRNA,マイクロRNA) miRNAは蛋白質への翻訳阻害とmRNAの分解により

標的遺伝子を制御しており,特に悪性腫瘍の発症や治

療において研究が進んでいる。腎領域においては,

miR-193aによるWT1発現抑制が,ポドカリキシン,ネ

フリン蛋白発現の低下につながり,FSGS発症に至る報

告が見られた47。近年,miR-135,miR-186,miR-

196a,miR-30a-5pやmiR-490といったmiRNAとFSGS発

症の関連が相次いで報告され,両者の関連に注目が集

まっている48-50。

ポドサイト障害と糸球体硬化症

 FSGS発症とポドサイト障害の関連は,糸球体肥大に

伴う分節性硬化病変の電子顕微鏡的研究により初めて

報告された51。その後の詳細な研究により糸球体硬化

病変の成立過程が以下のように考えられた。1) 初期に

スリット膜の分子構造や足突起の細胞骨格の変化が起

こる,2) 形態変化に伴い,足突起は癒合,消失 (foot-

process effacement) し,その規則的な噛み合せ構造を失

う25。3) さらに進行すると,ポドサイトは細胞死によ

り糸球体基底膜から脱落する。この結果,糸球体基底

膜は露出し,糸球体硬化病変進行のきっかけになると

考えられている52,53。

 ポドサイト障害モデル動物の研究では,ポドサイト

の脱落が軽度の時は,露出した糸球体基底膜からの蛋

白漏出を防ぐために,ボーマン 上皮細胞が極性を変

換して直接被覆すると考えられている54。さらに急激

にポドサイト喪失が起きた際は,ボーマン 上皮細胞

は増殖・遊走するとともに,血管内皮細胞障害がおこ

り,血栓形成に至ることが知られている55。実際,後

述するネフローゼ症候群モデル (NEP25マウス) を用い

た研究では,ポドサイト障害を認める糸球体で血栓形

成および内皮細胞障害がみられた56。ポドサイト障害

と血栓形成の関連は他のポドサイト障害モデルである

PAN腎症ラットでも報告されており57,ポドサイトと

内皮細胞は何らかの相互作用をしていると考えられて

いる。

 また,最近になり,ポドサイト障害により,ボーマ

ン 上皮細胞が前駆細胞として働き,障害された糸球

体の再構成に関与する一方,その前駆細胞としての能

力が低下することで糸球体硬化病変が進行するという

報告が相次いでいるが,その詳細な機序はいまだ不明

である58。

ポドサイト障害モデル

 古典的なポドサイト障害モデルとしては1950年代に

開発されたpuromycin aminonucleosidase (PAN) 腎症が

存在する59。これは,ラットにPANを投与するネフ

内藤 正吉,他

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ローゼ症候群モデルであり,単回投与の場合は可逆的

であるが,繰り返し投与により約10%ずつポドサイト

密度が減少し,緩徐にFSGSを発症するモデルである60。

 他の薬剤誘発性ポドサイト障害モデルとして,

adriamycin腎症があげられる。adriamycinは悪性腫瘍の

化学療法に用いられる抗腫瘍性抗生物質である。この

モデルはPAN腎症と異なりマウスにも発症する61が,

蛋白質のアルギニン残基をメチル化する酵素である

protein arginine methyltransferase 7 (Prmt7) を欠損する

BALB/cや129/Svjの系統のみに感受性が限られる。こ

の理由として,Prmt7によるadriamycinのメチル化が細

胞毒性を減弱させるため,腎保護作用を有するものと

考えられている62。このため,adriamycin腎症は,多く

の遺伝子改変マウスが作成されているC57BL/6マウス

などの系統には利用できない欠点がある62-64。また,

これらの薬剤感受性モデルでは,病態進展の機序およ

びポドサイト以外の細胞に対する薬剤の影響も未だ不

明な点が多い。

 一方,抗体を用いたポドサイト障害モデルも作製さ

れており,新潟大学で作製されたモノクローナル抗体

5-1-6によるラットモデルがよく知られている65,66。本モ

デルはネフリンを認識するモノクローナル抗体を用い

たモデルである。しかし,この抗体はマウスネフリン

には交叉反応しないため,遺伝子改変マウスによる解

析には応用できず,ラットにおいても系統により症状

の程度に差があり,疾患モデルとしては適用に限界が

あった。

 他の抗体を利用したモデルとしては,glomerular

antibody modelとanti-podocyte glomerulonephriris model

がある。glomerular antibody modelは,羊にウサギ糸球

体を免疫して得られた抗体をマウスに投与する方法64,67

のため,抗体認識部位が不明という欠点があった。ま

た,使用するロットにより半月体形成性腎炎を呈する

場合とFSGSを呈する場合が報告されている68-72。一方,

anti-podocyte glomerulonephririsモデルは,マウスにウサ

ギ正常血清をアジュバントとともに投与し,マウス抗

ウサギ血清抗体の産生を誘導した5日後に,培養マウス

ポドサイト細胞をウサギに免疫して得た血清を投与す

る,二次免疫応答を利用したモデルである73。この手

法には,i) 大量の細胞培養が必要となる,ii) 血清を投

与することから大量の交雑物も免疫することになる,

iii) 抗ポドサイト抗体のエピトープ部位が不明である,

といった問題が存在する。また,免疫1日目の電子顕微

鏡所見では,抗ポドサイト抗体はポドサイトのみなら

ず,GBMも認識していた。このモデルの組織病変は,

GBM障害の際みられる半月体形成性腎炎を呈していな

かったが,GBMに存在する何らかの物質と交差反応を

示す可能性も否定できない73。

 こうした問題点を解決するため,松阪らはNEP25マ

ウスモデルを作製した57。これは,hCD25をポドサイト

に特異的に発現するトランスジェニックマウス

(nephrin-hCD25,NEP25と通称) にイムノトキシンであ

るLMB2を投与し,ポドサイトを特異的に障害するモ

デルである。LMB2とは,本来,血液腫瘍の治療薬と

して開発された,ヒトCD25に対するモノクローナル抗

体の抗原結合部位と緑膿菌外毒素の一部 (PE38) を結合

させたものであり74,大量のポドサイトを,急速に破

壊するものである73。本モデルでは,抗体によって運

ばれた毒素による障害モデルであり,免疫反応による

ポドサイト障害でない点がヒトネフローゼ症候群の発

症機序と一部異なることが問題である。

マウスネフリン障害型ネフローゼ症候群モデル

 既存のマウスネフローゼ症候群モデルには,それぞ

れに長所と短所が見られるものの,ヒトネフローゼ症

候群に類似したモデルはまだ確立されていない。この

ため,我々の研究室では,簡便且つヒトネフローゼ症

候群の発症機序に近いマウスモデルを確立するため,

遺伝子銃を用いた遺伝子免疫法によるネフローゼ症候

群モデルの作製法を試みてきた。

1. 遺伝子免疫法について

 遺伝子免疫法は標的蛋白をコードする遺伝子をプラ

スミドDNAベクターに挿入し,直接ホストに皮下投与

する遺伝子導入法である。ホスト抗原提示細胞内で,

投与された遺伝子から蛋白が翻訳され,一部が抗原ペ

プチドとして獲得免疫系に提示されることで抗体産生

が誘導されると考えられている75,76。精製した蛋白を免

疫する方法と比較し,①操作が簡便である,②投与す

るDNAの量が非常に少ない (μgオーダー),③手間のか

かる蛋白質精製の過程を省くことができる,④非ウイ

ルス性遺伝子導入法のため安全性に優れる,⑤ジスル

フィド結合・糖鎖といった翻訳後修飾された蛋白を認

識する抗体の作製に適する,といった利点が存在す

る75,76。このため,ポドサイト障害を誘導するモデル動

物作製においては,非常に有力な方法と考えられる。

2. 遺伝子免疫法によるネフローゼ症候群モデルの開発

 我々はこうした遺伝子免疫法の特性に着目し,まず

ヒトネフリンcDNAを用いてラット抗ヒトネフリンポ

リクローナル抗体を作成し,その性質を検討した77,78。

このモデルにおいてネフローゼ症候群は発症しなかっ

たが,免疫染色・免疫沈降法などに使用可能な抗体を

作製する事ができた。次に,この方法をラットに応用

し,ラット微小変化型ネフローゼ症候群モデルの作製

に成功し79,さらに最近,マウスネフリン障害ネフ

ローゼ症候群モデルの作製にも成功した80。

ポドサイト障害とネフローゼ症候群

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8

3. マウスネフリン障害ネフローゼ症候群モデルの作製法

 マウスネフリン遺伝子/pAP3neo (疾患群),および

pAP3neo (コントロール群) で形質転換させた大腸菌を

大量培養した後,プラスミドDNAを抽出・精製する。

精製したプラスミドDNA 30μgを金粒子に付着させ,

遺伝子銃を用いて,ヘリウムガス圧により隔週ごとに

計4回,ホストであるウサギの皮内に打ち込む。皮内投

与されたプラスミドDNAを元に,前項「1. 遺伝子免疫

法」で述べた機序を通して抗体産生が誘導される (図5)。

マウスネフリン遺伝子免疫ウサギ血清を精製して得た

ウサギIgG,及びコントロールIgGの各々4 mgをC57BL/

6マウスに静注すると,コントロールIgG投与群では蛋

白尿の変化が認められないのに対し,マウスネフリン

遺伝子免疫群では,1回投与のみで,投与翌日から1週

間程度は100 mg/g・Crの蛋白尿が持続し,1週間後には

FSGS様の組織変化が認められる (図6)。

4. マウスネフリン障害ネフローゼ症候群モデルの特徴

 本モデルマウスの特徴は,アドリアマイシン投与に

対して低感受性のC57BL/6マウスに確実にFSGS病変と

ネフローゼ症候群を発症させられることである。本モ

デルを用いることで,巣状糸球体硬化症における分子

レベルの解析が可能になると思われる。しかし,本モ

デルはヒト疾患のように長期にわたるFSGS病変の進行

と持続性ネフローゼ症候群の病態が得られていない。

今後もヒト疾患モデルにより近づけるための工夫をし

ていかなければならないと考えている。また,本モデ

ルで用いた抗体はポリクローナル抗体であることか

ら,i) 免疫動物ごとに病態の程度に個体差が生じる,

ii) アミノ酸の共通配列を保持する蛋白質に交差する可

能性が生じうる,等の点が懸念される。現在,血清の

Lot間の抗体力価の差に関しては,事前にマウス腎組織

切片に免疫染色を行い,その染色強度を持って抗体力

価を予想しているが,この方法で抗体力価の差による

病変の程度差は補正できる。また,遺伝子や蛋白の発

現データベースであるThe Human PROTEIN ATLASや

RefEXによると,NPHS1 mRNAは腎臓のみならず,大

脳,膵臓などにも弱いながらも発現しているため,今

図5. Helios Gene Gunシステム (Bio-Rad) (Bio Radホームページより大幅に改変)

①直径1μmの金粒子に,マウスネフリンを組み込んだプラスミドDNAを付着させる。②プラスミドDNAを付着させた金粒子をチューブ内面に付着させる。③金粒子を付着させたチューブを専用カートリッジに挿入する。

④カートリッジを遺伝子銃に装着し,ヘリウムガス圧により皮内に免疫する。

⑤樹状細胞,ランゲルハンス細胞などに取り込まれた遺伝子から,抗原となる目的蛋白質が産生されることで,免疫応答

が誘導され,液性抗体が誘導される。TCR: T細胞受容体 (T cell receptor)

内藤 正吉,他

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図6. ネフリン障害性ネフローゼ症候群マウスモデルの蛋白尿および糸球体の組織形態学的変化

ネフリン障害性ネフローゼ症候群マウスモデルでは,抗体投与1日目より大量の蛋白尿が出現する。また,抗体投与7日目にはFSGS様の組織変化が出現する。

ポドサイト障害とネフローゼ症候群

後はこれらの臓器障害の程度も評価する必要があると

思われる。

おわりに

 今回,ポドサイト障害に関係する分子とネフローゼ

症候群の関係および,我々が開発したネフリン障害ネ

フローゼ症候群モデルマウスについて概説した。現在

我々は,このモデルマウスを用いたネフローゼ症候群

の分子機序を解明し,新たな治療法を開発することを

目的に,研究を進行中である。一方で,本モデルマウ

スの欠点の一つであるポリクローナル抗体による問題

点を解消するため,今後は抗マウスネフリンモノク

ローナル抗体の作成を検討したい。これらの研究を通

じ,ヒトネフローゼ症候群や慢性腎臓病の機序,治療

研究に応用していきたいと考えている。

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ポドサイト障害とネフローゼ症候群

Page 12: ポドサイト障害とネフローゼ症候群...myosin heavy chain 9 MYH9 NM_002473.4 22 AD 34 Inverted fomin, INF2 NM_022489.3 14 AD 32 FH2 and WH2 domain containing Rho-GDP dissociation

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Podocyte injury and nephrotic syndrome

Shokichi Naito,1 Togo Aoyama,1 Nagako Kawashima,1 Chikako Okina,1 Kazuhiro Takeuchi,1

Emiko Takeuchi,2 Mariko Kamata,1 Yasuo Takeuchi1

1Department of Nephrology, Kitasato University School of Medicine2Department of Immunology, Kitasato University School of Medicine

The glomerular filtration barre is constituted by podocyte, glomerular basement membrane, and endothelialcells. The foot processes of neighboring podocytes are connected by the slit diaphragm. It has been demonstratedthat the slit diaphragm acts as a size barrier to plasma protein. Podocytes, which are terminally differentiatedcells, play a major role in the initiation and progression of glomerular diseases, because virtually all of thegenes mutated in single-gene causes of steroid resistant nephrotic syndrome localized to the podocytes and theslit diaphragm. However, analysis of human disease is limited by a relative shortage of tissue availability.Therefore, using animal models have progressed our understanding of pathogenesis of 'podocytopathy.' Inthis review, we describe the function of podocyte and podocyte related protein. We then described our novelnephrotic syndrome model of acquired podocyte diseases, including our recent findings.

Key words: podocyte, nephrotic syndrome, podocyte related protein, mouse nephrotic syndrome model

内藤 正吉,他