スウェーデンの体罰禁止法に関する 報道から見る各国の価値観の...

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スウェーデンの体罰禁止法に関する 報道から見る各国の価値観の違い 渡邉・クロル・星野・竹下・加藤

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スウェーデンの体罰禁止法に関する報道から見る各国の価値観の違い

渡邉・クロル・星野・竹下・加藤

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スウェーデンの体罰禁止法

・1958年、ノルウェーに次ぎ世界で2番目に、学校での体罰を全面的に禁止「教師は生徒に対して、体罰も屈辱的な扱いも行なってはならない」  ↓・1979年……背景:国連による「国際児童年」→親子法改正、体罰の全面禁止を世界初、法定化「子どもはその人格と個性を尊重されながら接せられなければならず、体罰にも、その他のいかなる屈辱的な扱いにも、あわされてはならない」

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仮説

・現在、体罰禁止法がない国も多数存在する

ことから、スウェーデンの体罰禁止法に対し

ては反対派も多数いるのではないか

・体罰を禁止する理由として、何か文化的な背

景(慣習)があるのではないか

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研究手法

1 スウェーデンでの体罰禁止法制定に関す

る記事を各国で探し、比較

2 スウェーデンの体罰禁止法制定に関する

報道に限らず、各国ではそもそも体罰とはど

う捉えられているかを検証

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割りふり

• 英語(US):星野

• 英語(AUS):渡邉

• ドイツ語:クロル• 日本語:竹下

• 中国語:加藤

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アメリカ合衆国

担当:星野里佳

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アメリカと体罰禁止

• 州ごとに法律が異なっている(州法)

• 1867年、ニュージャージー州が初めて法律で

「学校での」体罰を禁止

• その後、体罰を禁止した州は合計31州に

• 州法で禁止されていないが、自主的に禁止

にする学区も

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仮説

• The New York Timesなど、リベラルな新聞に

記事が多いのではないか

• 体罰に関しては基本的に否定的、しかし法

整備については州の自由というスタンスなの

ではないか

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記事のあった媒体

• The New York Times(9件)– 期間:1979/1/1〜2016/6/13– アメリカ最大の地方紙

• USA Today(1件)– 期間:1979/1/1〜2016/6/13– 唯一の全国紙

• The Washington Post や The Los Angeles Timesには

記事なし

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時系列で見る日付 媒体 タイトル 内容

1979/07/24 The New York Times About Education: Many Schools Still Rely on ‘Hickory Stick’

アメリカの体罰に関する法整備の現状

1980/08/10 The New York Times RIGHTS OF A SOVIET CHILD ソビエト連邦の子供の亡命する権利について

1981/07/28 The New York Times FOR LIMITING A TEACHER'S USE OF PUNISHMENT

コネチカット州ニューヘイブンの法整備について

1990/09/13 The New York Times At Home, as at School, Child Beating Must Stop

体罰は禁止するべきだという意見記事

1996/10/10 The New York Times European Rights Court to Hear Case of British Boy's Caning

イギリスでの体罰事件を受けて、欧州裁判所での裁判

1998/09/24 The New York Times European Court Orders Britain to Restrict Beatings by Parents

1996/10/10の記事の判決について

2000/03/05 The New York Times THE WORLD: A Proper British Upbringing;Oh, Thank You. That Hurt.

イギリスの法整備の遅れを指摘

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時系列で見る

日付 媒体 タイトル 内容

2000/03/12 The New York Times Corporal Punishment 2000/03/05の記事の補足、イスラエルの法整備

2008/01/20 The New York Times Murder Case Tests Limits On Parents' Right to Hit

ブルックリンでの殺人事件を受けて

2012/07/02 USA Today Spanking's effects can linger; Study: Punishment of kids linked to disorders in adults

体罰が精神に与える長期的な影響に関する研究を紹介

2014/09/18 The New York Times On Spanking and Abuse 有名アメフト選手、エイドリアン・ピーターソンの我が子への体罰疑惑について

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The New York Times

1979/07/24 の記事

About Education: Many Schools Still Rely on 'Hickory Stick’

- スウェーデンでの法整備を受けて、アメリカの遅れを

厳しく批判している

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The New York Times

“adherence of histric belief that to spare the rod spoils the child”

• “Spare the rod and spoil the child”ということわざを念頭に置いている

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The New York Times

1981/07/28 の記事

FOR LIMITING A TEACHER'S USE OF PUNISHMENT

- エール大学医学部の小児科医、モリス A. ウェッセ

ルの意見記事

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The New York Times

“The ''spare the rod and spoil the child''philosophy is deeply ingrained in American child-rearing.”

• 『旧約聖書』箴言 13章24節「鞭を控える者は、自分の息子を憎む者。だが、彼を愛する者は、つとめて彼を懲らしめようとする」

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USA Today

2012/07/02 の記事

Spanking's effects can linger;Study: Punishment of kids linked to disorders in adults

- 体罰が精神に与える長期的影響に関する研究を紹介

- スウェーデンについては末尾で「1979年に初めて家庭内で

の体罰も禁止した国」として少し触れているだけ

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USA Today

体罰擁護派の意見も取り上げている(209/623words)オクラホマ州立大学スティルウォーター校の心理学者、Robert Larzelereの発言

"But for younger kids, if spanking is used in the most appropriate way and the child perceives it as being motivated by concern for their behavior and welfare, then I don't think it has a detrimental effect."

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3つの記事に共通する記述

他国(スウェーデン以外)の法整備の状況

The New York Journal“Among other countries which have abolished corporal punishment altogether are

Luxembourg, Holland, Austria, France, Finland, Norway, Denmark, Belguim, Japan, Itary, Israel, Jordan, Portugal and all the Communist Bloc countries.”

USA Today“Parents' right to use physical punishment has been abolished in more than 30

nations,……”

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まとめ

• アメリカ合衆国全体では公教育における「体罰の禁止」に向かっ

ている

• それは国際社会の動きを意識しているからではないか

「スウェーデン素晴らしい!」ではない

• しかし、全国での体罰禁止や、家庭内での体罰禁止には至って

いない

• それは「子供のためを思って体罰を与えている」という意識がある

からではないか

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参考文献

片山 紀子(2015)「アメリカに見る規律形成の今日的動向 -体罰をめぐ

る議論を通して-」『京都教育大学紀要』 126巻 pp.13-24.

http://ir.kyokyo-u.ac.jp/dspace/handle/123456789/8115

(2004)『ヨブ記 箴言』<旧約聖書 Ⅻ>並木浩一・勝村弘也 訳岩波書店

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オーストラリア The Sydney Morning Herald

担当:渡邉哲彦

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仮説、手法

・未だに体罰を容認しているオーストリアでは、スウェーデンの禁止法に対する評価は高いのではないか

  ↓・宗教観などを背景とした記述があるか注意しつつ、唯一スウェーデンに関して言及されていたThe Sydney Morning Heraldの記事(記事1、以下特に記述がない場合の引用元)を検証

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西洋は、親と子供の関係は希薄で子供の自主性を重んじる。

日本は、親と子供の関係が密接で、過保護?

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The Sydney Morning Herald 紙

・南半球最古の新聞で、その名のとおり主にシ

ドニーで読まれる地方紙。

・地方紙とはいえ、オーストラリア随一の全国紙

The Australianよりも発行部数は多い。

・メルボルン地方紙のThe Ageは姉妹紙で、記

事を供給している(そのため、今回読んだ記事

と全く同じものがThe Ageにも掲載されている)

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‟The long term impact of corporal punishment” 2015/05/10

・概要

 体罰は慣習法で認められており(州単位で学

校での体罰を禁止しているところもある)、未だ

に横行している。だが、「子どもの権利条約」批

准国である以上、(19条1項により)如何なる精

神的・身体的体罰を認めることはできない。ま

た、体罰と非行の関係性も無視できない。体罰

の全面禁止へ、決断が迫られている。

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スウェーデンに関する記述

・"Physical punishment first become illegal in

Sweden in 1979 and today it it banned in 45

countries worldwide, including New Zealand."

・スウェーデンが世界初の体罰禁止法制定国で

あることの単純な記述のみ。

・むしろ、隣国のニュージランドを意識している

記述が印象的。

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特徴的な表現②

・"The legislation has not resulted in a "nanny state" "

・"nanny state"=「過保護国家」

(政府が法令により国民の生活等を過度に規制している国

家のこと)

・暗に、スウェーデンなどの北欧諸国を皮肉っているので

はないか(フィンランド、スウェーデンは欧州1、2を争う過保

護国家、2016統計)

→体罰禁止法は評価するも、それ以外の点(福祉など)で

は政府の過度な介入を嫌う国民性の現れ?

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今なぜ、体罰問題か

・クイーンズランド州議会選のとある候補が、公衆

の面前で自分の子供を平手打ちした事件。

→多くの有権者はそれを「不合理」だと批判したそ

うだが、候補者は特に処分なし。(記事1より)

・2014/07/15、とある教育学者が「学校での体罰は

非常に有効」と発言するなど、未だに体罰に対する

肯定的意識が親世代にある。(記事2より)

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特徴的な表現①

・"Common Law allows corporal punishment of

children as "reasonable chastisement." "

・" "Reasonable" is an ambiguous and subjective

term."

・何が「合理的」かは、曖昧で主観的だ、と慣例

法の定義の甘さを指摘。

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写真

・キリスト教において、左手は「悪魔」の象徴

・体罰は「悪魔の所業」だ、という批判的なニュアン

スにとれないこともない?

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オーストラリアまとめ

・スウェーデンに対する評価は特に言及されていなかったが、歴史的・地理的・社会的背景のうかがえる記述は見られた。

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参考文献・(記事1)Angelika Poulsen,2015,The long term impact of corporal punishment,The

Sydney Morning Herald, [online]10 May,

http://www.smh.com.au/comment/the-long-term-impact-of-corporal-punishment-20

150505-ggurdb.html

・(記事2)Matthew Knott,2014,Head of curriculum review Kevin Donnelly says

corporal punishment in schools 'was very effective',The Sydney Morning Herald,

[online]15 July,

http://www.smh.com.au/federal-politics/political-news/head-of-curriculum-review-ke

vin-donnelly-says-corporal-punishment-in-schools-was-very-effective-20140715-3bz7p

.html

・(2016統計)THE NANNY STATE INDEX 2016, European Policy Information Center,

http://nannystateindex.org/ The Sydney Morning Herald, Wikipedia, the free

encyclopedia, https://en.wikipedia.org/wiki/The_Sydney_Morning_Herald

・(その他)The Australian, Wikipedia, the free encyclopedia,

https://en.wikipedia.org/wiki/The_Australian

     [All accessed 10 June 2016]

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担当:クロル舞

  ドイツにおける報道

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„Spiegel Online Schulspiegel“

„Europarat-Rüge wegen Prügelstrafe: Ohrfeige

für Frankreich“

概要:欧州評議会が、体罰を禁止していない事に対して批判→フランスでは禁止され

ていない

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スウェーデンに関する記述

“Von den insgesamt 47 Europaratsländern haben

27 jede Form körperlicher Strafen für Kinder

verboten. Vorreiter war 1979 Schweden, zehn

Jahre später folgte Österreich, erst im Jahr 2000

dann auch Deutschland.”

→47のヨーロッパの国の内27が体罰を禁止している。1979年にスウェーデンが禁止し、10年後に、オーストリア、2000年にドイツが禁止した。

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“3sat”での記事

”Europa schlägt noch zuNicht alle Staaten Europas verzichten auf Prügel”

→法律上、体罰が禁止していないヨーロッパの国々を否定

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スウェーデンに関する記述

”Schweden ist der Musterschüler unter den EU-Staaten: 1957 untersagte das skandinavische Land seinen Lehrern, Schüler zu züchtigen. 1979 wurden auch Prügel im Elternhaus verboten. Der Gesetzgeber habe sich damals über die öffentliche Meinung hinweggesetzt, betont eine Expertin des Europarats. Laut Umfragen seien vor 30 Jahren gut 70 Prozent der Schweden gegen das Prügelverbot gewesen. Heute hingegen befürworte die überwiegende Mehrheit das Verbot.”

→ スウェーデンはEUの模範生徒:1979年に家庭内体罰が禁止された。30年前は、70%のスウェーデン人が体罰禁止制度に反対していた。今では、過半数が体罰禁止に賛成している。

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ドイツの法律

1986 年: 父は教育権により、子に対し適当な懲戒手段を用いることができる。申し出

により、後見裁判所は適当な懲戒手段の行使によって父を援助することができる。

1957 年: 後見裁判所は申し出により、子の教育に際して適当な処置によって親を援

助することができる。

1979 年: 屈辱的な教育措置は許されない。

1997 年: 屈辱的な教育措置、とりわけ身体的・精神的虐待は許されない。

2000 年: 子どもは暴力のない教育への権利を有する。身体的処罰,精神的侵害およ

びその他の屈辱的な措置は許されない。

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ドイツの法律

ドイツ(2000年):養育における有形力追放法 (民法)1631条2項

「子どもは、有形力の行使を受けずに養育される権利を有する。体罰、心理的被害の

生起その他の品位を傷つける措置は禁じられる」

→フォンデアライエン家庭相は同調査に関する記者会見:「子どもたちに対する暴力は

なくなった」→ ドイツの親の間で体罰がほとんどなくなった。

→厳しい子育てで知られたドイツ人の親たちだが、今では完全に変わったと指摘。(調

査機関Allensbach Instituteが2000人を対象に実施した同調査)

→最近は、子どもたちのしつけに体罰よりも対話を好み、時間や秩序の厳守、規律な

どの従来美徳とされていたことは重要視されない傾向。

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      まとめ

・スウェーデンの体罰禁止法制定に関しては賛成→参

考にしている。ドイツも禁止

・ドイツで体罰は合法的に行われていた→90年代か

ら考えが変わった。

・ フランスなど、他のヨーロッパの国に対しての批判

(まだ禁止していない国に対して)

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日本における報道

朝日・読売新聞

       担当:竹下

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仮説

日本において体罰は1980年代の戸塚ヨットスクールの事件をきっかけに、近年までずっと注目されてきた。

最近でも北海道で男児を山に置き去りにした事件があり、日本での体罰への意識は高い水準にあるのではないか

→スウェーデンの体罰禁止法は1950年代、日本で体罰が意識されるようになるよりも前のことであるため、

日本は体罰禁止法を学ぼうという姿勢で見ていたのでは

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朝日新聞

体罰に関する最初の記事:「殴るのは『教育』だろうか」1984年

1980年代:学校など教育機関での先生から子供への体罰の記事が主で、体罰の内容もリンチや髪を切る、いじめといった激しいものが多い

1990年代:教育機関での体罰に加え、家庭での虐待の記事が増えた。「『つい虐待』・・・母親の相談目立つ」1990/8/18

2000年代:体罰やいじめ、虐待といった問題への対策窓口・体罰禁止法に関する記事が増えた。「きょうから無料人生相談」2000/1/5

→日本では体罰についての認知は1980年代にされていたものの、対策は2000年頃からとなっている

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朝日新聞

「子どもは無力、代弁者が必要 ノルウェーの初代オンブズマンに聞く」1992/7/1

「日本では、「子どもの権利」という言葉に抵抗を示す人が少なくない。ノルウェーでも、オンブズマン制度をつくる時に強い反対があった。「一番多かったのは、親の権利を損なうおそれがあるという声でした」」

日本でも当初、体罰はしつけするのに必要だと考えられ、学校でも体罰をしない教師は逆に”生ぬるい”と言われていた。

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読売新聞

体罰に関する最初の記事:「いたずら生徒3人に学級全体でビンタ 中学講師、あきれた”代理体罰”」1986/9/22

「いじめ防止へ各国の教訓学ぼう 大阪で国際シンポ 取り組む姿勢で差」1996/7/16

教育現場での体罰について、子供同士での暴力にも焦点を当てた記事が多い

ノルウェーをはじめとした他国に、日本が体罰対策という面で遅れている部分もあると感じている

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まとめ

体罰が過激化し、子どもが怪我や死亡する事件まで発生するようになっていた1980年代、

見直そうという考えは徐々に広まり、1990年代には体罰を行うことは悪だという意識が浸透していった。

どこまでがしつけ・教育で、どこからが体罰だという線引きは難しく、日本での体罰への対策は他国に比べ遅れがちだが、

2000年頃には日本全体として体罰を減らそうという意識のもと対策の窓口などが設立されていった。

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中国

担当:加藤 優佳

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仮説

・中国の教育現場は世界的に見てもかなり厳し

いのが現状

        だから…

       

・スウェーデンの体罰禁止法に対しての評価も

ほとんどないのでは?

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手法

•人民日報と中国新聞網(北京)の2紙で

1 スウェーデンの体罰禁止法制定

2 体罰問題に対する意識

に関して言及されている記事を検索し検証

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各紙について

人民日報

•人民日報社(@北京)が発行している新聞

•中国共産党中央委員会の機関紙

•簡体字のみ

 (日中関係を専門報道対象とする唯一の新聞)

中国新聞網 (China News)

•中国新聞本社(@北京)が発行している新聞

•簡体字・繁体字あり→人民日報より広い範囲で読まれて

いる?

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人民日報

スウェーデンの体罰禁止法制定に関して 

 在提倡儿童权利保护的现代社会,一方面,我们必须尊重个体生命的成长,不可随意体罚儿

童,不能以家庭暴力伤害儿童。

*スウェーデンの主張「それぞれの子供の成長を尊重するため

にも、体罰を自由に行ったり、家庭内暴力で子供を傷つけること

は許されない」

 近年来,瑞典频频曝出青少年酗酒和暴力犯罪的问题。一些研究人员认为,促使青少年犯罪

率上升的一个重要原因,是家长严格管束的缺失。

近年、思春期の子供のアルコール乱用・暴力犯罪が多発

  体罰禁止が子供の成長を促進させるわけではない

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中国新聞網

スウェーデンの体罰禁止法制定に関して

 她在斯德哥尔摩附近任教,经常遭遇以下情形:“我让一个孩子把他弄乱的东西整理好,

 他会回答:‘不,你不是我的老板,你不能决定我该做什么。’”

「体罰禁止法制定によって子供たちが両親の言うこと

に対して逆らう(自分の意見を持つ)ようになり、世界が

自分中心に回っていると考えるようになった」と言及  

※おまけ※

・ 心理学者:子供たちの思いやりの心を養うことができない とか

・ 批評家:スウェーデンの教育モデルは多くの才能を育成する・多方面で活

躍する可能性が増す

賛否両論あり

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そもそも

・子どものしつけをしない親は「個人的な問題あり」とし

て考えられている

・失礼でマナーのなっていない自己中心的な子どもは

「小皇帝」と呼ばれるようになる程、社会問題にまで

なったことがあった

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教育における体罰問題

「体罰教育は社会で継続されるべきか」 曾几何时,对不听话或者是不能达到家长、老师满意的孩子进行“体罚教育”,是我们的传统

,极少有人能在十几年的求学生涯中完全没有尝过老师教鞭、父母鸡毛掸子或笤帚疙瘩的厉

害。

「昔から、大人の話を聞かなかったり、家に帰らない子

など、教師にとって満足がいかない子供に対しては体

罰教育を行っていた」

「体罰教育は伝統的なもの」

(人民日報より)

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まとめ

・スウェーデンの体罰禁止法制定に関しては賛否

両論あり

・体罰を禁止する=子供が自己中心的に育つとい

うことが懸念されるため、体罰をして子供をしつけ

る、ということが多い

・中国では体罰=伝統的なものとされているため、

家庭内や教育現場においても体罰をゼロにするこ

とは難しいかもしれない

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参考文献

•人民日報(2013年12月24日)

http://opinion.people.com.cn/n/2013/1224/c1003-23927264.html

•人民日報(2014年2月26日)

http://edu.people.com.cn/n/2014/0226/c1053-24472009.html

•中国新聞網(2014年3月13日)

http://www.chinanews.com/gj/2014/03-13/5948145.shtml

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全体のまとめ国名 スウェーデンの

体罰禁止法について体罰そのものに対する意識

アメリカ 基本的に肯定的アメリカが遅れていることを指摘

「子供のためを思ってしている」という意識

オーストラリア 事実に関する記述のみ、ただし文脈から推測するに肯定的

建前は否定的だが、国民意識としては肯定的(ただし、あくまで「合理的」ならば)

ドイツ スウェーデンを参考に早い時期から禁止

かつては体罰は教育の場で、当たり前だったが、今では否定的

日本 スウェーデンに学ぼうという姿勢

2000年〜体罰は悪いことだという意識

中国 賛否両論あり 「子供のために体罰をする」という考えに対して反対

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結論「体罰を与える方が子供にとってしつけとなり効果的である」

or

「体罰を与えない方が子供の成長を尊重できる」

 これらの考えが根付くようになった裏に各国の文化的背景が関係している

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全体の参考文献

• 子どもに対する暴力のない社会を目指して 体罰を廃止したスウェーデン35年の歩み

  http://www.savechildren.or.jp/scjcms/dat/img/blog/1713/1412921460115.pdf

 (閲覧日:2016/06/19)