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かつらおビジョン ~葛尾村復興の新たな可能性の提案~

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かつらおビジョン ~葛尾村復興の新たな可能性の提案~

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1.はじめに ~かつらおビジョンの位置づけと意味~

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東京電力福島第一原子力発電所事故から6年。今まで葛尾村は数多くの取り組みや計画策定を通じて、復興の歩みを着実に進めてきた。その中で「かつらおビジョン」はどのような位置づけにあり、どのような意味を持つのだろうか。

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1.はじめに~かつらおビジョンの位置づけと意味~

葛尾村は大部分の区域で避難指示が解除され一年が経過するが、帰村率は1割前後にとどまっており、今後、急激な少子高齢化や人口減少により、村が消滅してしまう恐れすらある。

今後は、従来の復興の流れに沿うだけでなく、外からの新鮮なアイディアや考えを幅広く取り入れ、今までにない新しい村としての可能性を広げることが重要。

かつらおビジョンは、村民が村外の人々と協力し新たな取り組みを実行することを通して、そこから得た知見についてまとめ、今後の復興の可能性拡大の一助となるよう作成するものである。

今までの復興の流れ

葛尾村の 可能性の拡大

かつらおビジョン(提案)

村外の意見を取り入れた新たな取り組み

葛尾村 復興計画

かつらお 再生戦略 プラン

交流人口拡大

帰村・移住人口拡大

知名度向上

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2.かつらおサークルミーティングと 各大学分科会について

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「計画作りだけでは意味がない。」「具体的に何かやりたい。」そのような村民や村外の方々の意見に応える形で、かつらおサークルミーティング及び各大学分科会が開催された。総参加者数は200名以上、総議論時間は26時間以上。村民や村外の人々だけでなく、周辺市町村の方々を巻き込み、多くの議論がなされ、汗が流された。

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2.かつらおサークルミーティングと各大学分科会について

葛尾村の可能性を拡大するため、村と協定を結んでいる日本大学工学部、郡山女子大学・同短期大学部、東北大学農学研究科と協力し、村民有志とともに「かつらおサークルミーティング」を分科会含め計13回にわたりを開催した。

本ミーティングでは周辺地域の方々を招いた先進事例の勉強と各プロジェクトの情報共有を行い、分科会ではそれぞれのプロジェクトの実現に向けた深掘りを行った。

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第1回かつらおサークルミーティング

第2回かつらおサークルミーティング

第3回かつらおサークルミーティング

第4回かつらおサークルミーティング

第1回分科会 第2回分科会 第3回分科会

女子大 分科会

日大 分科会

東北大 分科会

「伝統食」の復興

「つながり」の復興

「手作り」の復興

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3.復興の新たな可能性 ~○○の復興~

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各大学分科会では、多くの村民を巻き込み、成果を出すために具体的な議論を行ってきた。第3回かつらおサークルミーティングでは、一度立ち止まって考えるため、自らが所属する分科会の取り組みが葛尾村にとってどのような復興に資するのかを議論した。ここでは、それぞれの分科会の取り組みの「経緯」「テーマ」「成果」「今後」をまとめるとともに、かつらおサークルミーティングの後継組織である「かつらお復興キャンパス」について述べる。

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3.復興の新たな可能性(女子大分科会①)~伝統食の復興~

目的・テーマ

郡山女子大学・同短期大学部では食品加工、調理方法の研究、パッケージの企画や大学生の体験学習などを行っており、本分科会ではそれらの取組を踏まえつつ、以下2点のテーマについて議論を行った。

①じゅうねんの栽培と新商品開発 ②凍み餅の販促及びアレンジ商品の検討

立ち上げの経緯

郡山女子大学・同短期大学部より、葛尾村の復興支援として以下の点が提案された。 ・産官学によるじゅうねんの六次化推進 ・凍み餅を主力とした特産品開発、及びブランド化の推進

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3.復興の新たな可能性(女子大分科会②)~伝統食の復興~

検討成果

【じゅうねん】

・7農家がじゅうねん栽培を協力し、その収穫量は600kg以上(震災前300kg)

・7農家支援のもと、大学農場の設立・共同管理

【凍み餅】

・数種類の包装紙を作成して販売商品に使用

・大学農場にてごんぼっぱの栽培実証

・大学生400人へ凍み餅アンケートを実施し、アレンジ商品を検討

⇒葛尾村盆祭りで出店販売を行う(300食完売を目指す)

今後の可能性

・葛尾村のお土産品(お大尽様)の復活

・凍み餅・じゅうねん商品の分析、ラベル作成

・ごんぼっぱの栽培方法の確立 等々

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※ラベルの例

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3.復興の新たな可能性(東北大分科会①)~つながりの復興~

目的・テーマ

・民泊・グリーンツーリズムの検討による交流人口の拡大

・実証圃場におけるバラエティに富んだ稲作の実施

立ち上げの経緯

東北大学大学院農学研究科は、専門分野である農業分野における協力と、他大学と比べ遠距離であるという立地を生かし、客観的な視点から、葛尾村の魅力を生かした交流人口拡大策を検討することとなった。

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民泊の実施 村民と共同で実証研究

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3.復興の新たな可能性(東北大分科会②)~つながりの復興~

検討成果

【民泊・グリーンツーリズム】 ・合計4世帯で体験民泊を実施

・「ツールドかつらお」の開催

・東北大生ら70名を迎え、スタディーツアー実施 【実証圃場】

・2農家の支援のもと、実証圃場の 設立・管理

・3農家の支援のもと、「いきものを大切にするたんぼ」プロジェクト実施

今後の可能性

・実績を積み、秋にイベント民泊を開催。民泊新法施行と同時に、村を挙げて民泊開始。

・ツールドかつらおを毎年2回ずつ開催

・東北大生のスタディーツアー、研修の定期的な受け入れ

・実証圃場において除草ロボットの運用実験

・いきものを大切にする田んぼ」での地元小中学生との交流学習

・畜産支援

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3.復興の新たな可能性(日大分科会①)~手作りの復興~

目的・テーマ

立ち上げの経緯

• 古いものを長く、大切に使う文化・風習の再確認 • 長期間の避難生活などによる、村民同士のつながり・付き合いの場が減少 • 「家庭菜園」などによる「自分の生活は自分の手で」といった、「手づくり」の場が減少

• 村民、自らの手による古い蔵の修繕などを通じた、既存施設の復活 • ロハスガーデン(※1)の整備に関連した“手作りワークショップ(※2)” の開催を通じた、村民と村民、村民と村外の方とのつながりの場を創出 • “手作りワークショップ”に参加した村民を通じた、村の伝統技術や歴史を継承する場の提供

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※1ロハスガーデン…ロハス(Lifestyle of Health and Sustainability:健康で持続可能な生活スタイル)を実現するための工学を取り入 れ、蔵や蔵回り(池や川)を整備した庭 ※2手作りワークショップ…古い蔵の修繕や蔵周りに池や川を整備するために住民が参加することを想定した修繕イベント

日大分科会の開催状況

手作りワークショップの一例

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3.復興の新たな可能性(日大分科会②)~手作りの復興~

検討成果

今後の可能性

• ロハスガーデン整備に向けた工程の策定(平成30年4月のオープンを目標) • 蔵の修繕及び蔵まわりの整備に関するワークショップを開催 • 蔵の修繕では土壁を修復するなど昔ながらの手法による修繕を実施 • 蔵まわりでは、専門家の指導の下、生物(蛍や魚など)や植物の養育が可能な水路と池を整備 • ロハスガーデンの整備を記念したプレート(ワークショップ参加者の氏名を記載)の設置 • ロハスガーデンの整備後の蔵を含めた主な活用方法やイベント開催の検討

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• ロハスガーデンにおける、季節ごとの植樹イベント開催 • 村のイベント開催時期と連携したロハス蔵でのイベントやつながりの場を提供 • 池において、生物(蛍や魚など)や植物の養育

手作りワークショップ

• 土壁づくり • 柱磨き • 川、池づくり

etc

つながりの場

• 植樹イベント • 上映会 • フォトコンテスト

etc

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今後、前述の取り組みを継続的に行っていくとともに、各大学の村民と連携した新たな挑戦をサポートしていくために、第3回かつらおサークルミーティングにおいて、任意団体「かつらお復興キャンパス」を設立した。

この中で定期的に開催される大学連携会議が、かつらおサークルミーティングの議論を引き継ぎ、各大学と村の情報共有や取り組みの推進を行っていく。また、国及び県も適宜参加し、着実なフォローアップとサポートに努める。

かつらお復興キャンパス 大学連携会議

東北大 日大 郡女

村 県 国

村民・フィールド

支援 支援

アイディア・ノウハウ

アイディア・ノウハウ アイディア・ノウハウ

3.復興の新たな可能性(かつらお復興キャンパス①)~新たな取組を継続する仕組み~

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葛尾村と3大学が継続的に連携し、有意義な活動を行っていくためには、公的なしばりにとらわれない独立した資金源が必要となる。

それぞれが可能な限り収益性の見込まれる取り組みを行い、その収益の一部を「かつらお復興キャンパス」に寄付することで、今後大学の村内での活動資金とする。

村と大学の連携による 収益性のある取り組みの実施

かつらお復興キャンパス

村内でアイディア・企画の実行

収益の一部 を寄付 希望する学生らに配分

大学の村内での活動費用 (主に交通費)

3.復興の新たな可能性(かつらお復興キャンパス②)~新たな取組を継続する仕組み~

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4.葛尾村の可能性を持続的に拡大していくために

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かつらおサークルミーティングで行われた各大学と村民協働の取り組みは今後着実に実行され、成果を上げて行く見込みである。だが、これから葛尾村が真の復興を成し遂げるためには、より多くの新たな挑戦を続けて行かなければならない。前述の取り組みを通じて得た視座をもとに、葛尾村の可能性を持続的に拡大していくためにはどうすべきか検討する。

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4.葛尾村の可能性を持続的に拡大していくために①

各分科会の取り組みのように、村民と村外の人々が協働して行う挑戦を成功させるためには、各分野で秀でた「ひと」の存在が重要である。可能性を拡大し続けるためには、「村民」、「村外の人々」及びその2者をつなげる「コーディネーター」がそれぞれの強みを活かしながら、協力して新たな取り組みを前に進めていく必要がある。

葛尾村 の知識

最新の 専門知識

積極的な 対外交流

村民 ◎ △ ○

村外の人々 (大学、企業など) △ ◎ ○ コーディネーター (地域おこし協力

隊など) ○ △ ◎

相互に価値を認め合い、補い合うことが成功のカギ (注)◎…強みを有している、○…若干強みを有している、△…あまり強みを有していない

それぞれの強みを活かしながら、補い合うことが成功のカギ

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4.葛尾村の可能性を持続的に拡大していくために②

村民には葛尾村の知識をもとにした「くらす力」、村外の人々には最新の専門知識を用いた「提案する力」、コーディネーターには「つなぐ力」がある。各々の長所(前ページの◎)を活かしつつ、それぞれの力を融合すれば大きな相乗効果が生まれる。

また、国・県・村の「後押しする力(支援)」を受け、価値を拡大する「発信する力」「稼ぐ力」を加えることで、新たな価値・可能性を拡大し、最終的な目標である「自立している状態」を目指す。

村外の「提案する力」

村民の「くらす力」

国・県・村の 「後押しする力」

くらす力×提案する力

新たな価値・可能性

コーディネーターの「つなぐ力」

外からの支援 新しいものを創造 あるべき姿へ

価値を拡大する 「発信する力」 「稼ぐ力」

自立している状態

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しみちゃんを活用したPR

復興交流館運営

ツールドかつらお 定期開催

3大学との連携

子育て・教育支援

<参考>葛尾村の今後の可能性(直近イメージ)

実証圃場でのじゅうねん栽培・稲作

運営協力

キャリア教育

企画・運営協力

実地教育

関連農産品販売

授業・イベント 実施

民泊の実施

村民との交流

観光拠点

SNSを活用した 情報発信

産業団地・貸事務所設置 (雇用創出・起業支援)

技術協力

商品販売

広報ツール

営農・畜産再開

技術協力

技術協力

技術協力

最先端技術の実証

技術協力 各種イベント

企画・運営協力

情報発信

村民、村外の人々、コーディネーターらの「力」を活用し、それぞれが連携しあうことで、 葛尾村の様々な魅力を生かす取り組みを行っていく。

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5.最後に

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最後に、浜通りで一番小さな村、葛尾村の復興にとって一番大切なこと。

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それは 「復興を意識しすぎない」 ということ。

「何か一つ役に立ちたいという思い」

「企画力」

「継続する力」

「対話力・発信力」

「ちょっとだけ、少しだけという気持ち」

「変わらないこと」 「みんなでやろうとする気持ち」

「村に戻れなくても、 村民でいたいという気持ち」

「復興」という言葉に気おされず、がんばりすぎず、楽しめる範囲で、新しいことに挑戦していくこと。それが復興への一番の近道だと思います。

かつらおサークルミーティング一同

「楽しむこと」

「人のつながりの輪」

「最後までやり抜くこと」 「挑戦しつづけること」

「前向きであること」

「やれることはやる、という気持ち」

「失敗してもいいと割り切ること」