デジタル革新 時代の システムを考える · あります。 松本...

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FUJITSU Digital Business Platform MetaArc デジタル革新 時代の システムを考える —— ビジネスの未来を拓く富士通の提案 ——

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FUJITSU Digital Business PlatformMetaArc

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「デジタル革新」時代の

システムを考える—— ビ ジ ネ ス の 未 来 を 拓 く 富 士 通 の 提 案 ——

HA1001-2016年3月

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Contents

デジタルの世界がビジネスのあり方を根本から変える——。私たちは今、その大変化に直面している。

例えば金融業界で進むFintechの流れ。宿泊サービスなどで盛んになりつつあるシェアリングエコノミー。

IoT(Internet of Things)によってスマート化が進む家電製品や自動車、ネットワーク化されたロボットに

より激変する生産現場。さらには医療・介護や農業に至るまで、これまでICTとは無縁だった領域でも、新しい

テクノロジーによる革新が急速に進んでいる。今後は、さらに多くのビジネスがデジタル化され、流れに追随

できない企業は市場から退場を余儀なくされる可能性すらあるだろう。

そうした中、富士通は「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc(メタアーク)」(以下、MetaArc)を、

企業のデジタル革新を支援するプラットフォームとして提案している。

本冊子では、これからの企業のICT基盤が目指すべき方向性を、このMetaArcを軸に考える。「デジタル革新」の

恩恵を手にするために、必要なものはなにか。そのヒントがきっと見えてくるはずだ。

P04 Vol.1 Special Talk 急速に進むビジネスのデジタル化 「つながる世界」に必要なICT基盤とは P06 Vol.2 Interview アイデアのトライ&エラーを柔軟に実現 新ビジネス立ち上げを加速するクラウド

P08 Vol.3 Interview 変化に強い企業システムをどうつくるか 進化し続けるビジネス基盤の実現方法

P10 Vol.4 Case Study 社内システムの大規模移行に着手 富士通で進む「完全クラウド化」への挑戦

P12 Vol.5 Interview 共通基盤上で企業間コラボレーションを実現 Fintechへの取り組みを「共創」で支援する

FUJITSU Digital Business Platform MetaArc

最新ICTが秘めた

無限の可能性とは

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ICTの主戦場はビジネスの最前線へ新たなビジネスで価値をどう生むか

内山 これまでの企業ICTは、企業の

バックオフィスから、ビジネスを支援

する存在でした。しかし最近、その主

戦場がビジネスの最前線へと移りつつ

あります。

松本 おっしゃる通りです。あらゆる

モノがデジタルでつながる時代、ビジ

ネスの高度化に、より一層ICTが欠か

せないものになってきているといえま

す。具体的には、トランザクションの

記録を主眼とした既存システム「SoR

(Systems of Record)」から、新たな

価値を生み出す新規システム「SoE

(Systems of Engagement)」へ、ICT

活用の軸がシフトしているということ

です。

 このSoEは、いわば前例のないビジ

ネスを実行に移すためのもの。そのた

めシステム構築においても、SoRのよ

うに、前もって最適な形を定めること

は困難です。必然的に、最初から100

点満点のシステムを目指すのではな

く、いち早くアイデアをかたちにして

世の中に示す、そしてフィードバック

をもらって成長させていくことが重要

になります。

内山 例えば、米国でローンチしたタク

シーのシェアリングサービス「Uber」な

ど、多くのスタートアップ企業がその

手法で成功を収めていますね。

松本 それらの企業は、とにかくスピ

ード感あるビジネスでニーズとニーズ

をつないでいます。これにより、他の

企業が実現できなかった、まったく新

しいエコシステムを形成しています。

変化するシステム基盤への要求に最新のプラットフォームで応える

内山 こうした状況の下、システム基

盤への要求も変化しています。私は、

その要件は次の3つだと考えています。

第1は「リーンスタートアップ」。誰も

いない市場に素早く入り込むには、な

によりシステムを無駄なく迅速に立ち

上げることが欠かせません。第2が「拡

張性」です。システムが動き始めてか

らも要件はどんどん変化し、求められ

るキャパシティも増加していくので、

その対応が可能なことはSoEの必須

条件です。そして第3が「連携性・接

続性」。すべてを自前で行うのではな

く、過去の資産や他者の知恵を、貪欲

に活用できる機能が求められます。ま

た、未知のビジネスを具現化するSoE

では、SoRが保有するデータとの連携

や、顧客企業が直接使うといったケー

スにも、柔軟に対応できるようにして

おく必要があるでしょう。

松本 つまり、アイデアを持つ人がそ

れを短期間で形にし、トライ&エラー

を繰り返しながら他のアイデアと結び

つけて未知の価値をつくる。これを満

たせるようなシステム基盤が、今求め

られているということですね。

内山 その通りです。ただし、こうし

たシステムをゼロからつくるのは、非

常に難しい。そこで、あらかじめそう

した思想で設計された仕組みの上にシ

ステムを構築することが、企業にとっ

て有効なアプローチの一つだと考えて

います。

松本 当社が提供する「FUJITSU

Digital Business Platform MetaArc

(メタアーク)」(以下、MetaArc)は、

まさにそうしたコンセプトで開発され

たサービスです(図)。これはクラウド

サービス「FUJITSU Cloud Service

K5」(以下、K5)をベースに、ハイブ

リッド型でSoEとSoRを統合できる、

デジタルビジネス時代のプラットフォ

ーム。OpenStackという技術をコア

にし、その周辺に信頼性向上やセキュ

リティ強化など、長年のSI経験で生み

出された多彩な機能をラインアップし

ています。

内山 いまご説明があったように、

MetaArcの強みは、IaaS/PaaSに加

えて多様な業種特化型ソリューション

や各種ツール類、テンプレートなどが

提供されている点にあると思います。

私はアナリストとして、これまで国内

外の様々なクラウドサービスを評価し

てきました。しかし、ビジネスの基盤

となるプラットフォームと、高い技術

力をベースにしたソリューション群の

双方を兼ね備えたMetaArcのような

サービスは、実は少ないと思います。

松本 加えてMetaArcは、他のクラ

ウドサービスや、お客様のオンプレミ

スシステムとのハイブリッド環境での

運用もあらかじめ想定しています。こ

れにより、お客様はシステムを“いい

とこ取り”で組み合わせながら、最適

な環境を実現することができる。デジ

タル時代の成長戦略を、より柔軟に組

み立てていくことが可能です。

ビジネス変革を支えるための既存システムの最適化も実現

内山 一方、既存の業務システムであ

るSoRについても、当然ながら時流に

合った運用方法を考えていく必要があ

ります。これについて、富士通は自社

でMetaArcを活用し、SoRを運用さ

れているそうですね。

松本 はい。当社は、既存の640の業

務システムのMetaArcへの移行を推

進。自らの実践を通じて、お客様に課

題解決のリファレンスをご提供してい

きます。例えば、K5上での基幹システ

ムの運用はもちろん、複数の外部クラ

ウドサービスとの連携まで、ユースケ

ースを基に最適な提案ができる体制を

整えています。

内山 長らく「ビジネスとICTは切っ

ても切れない」と言われてきましたが、

それがようやくデジタル化で本格化し

た印象ですね。なにかビジネスを考え

るときには、ICTも並行して考えなけ

れば立ち行かない。この流れに対応し

た仕組みを、他社に先んじて取り込む

ことが、企業にとって大きなアドバン

テージになるでしょう。

松本 各企業が、本業を通じて長年

SoRに蓄積してきたデータを、SoEで

新しい価値に変える。その可能性をど

こまで広げられるか。私たちは、それ

をMetaArcで支援していきます。

この記事は、日経コンピュータ2015年12月24日号に掲載された内容を抜粋し、一部改変したものです。©日経BP社 ●掲載記事の無断転載を禁じます

株式会社アイ・ティ・アール代表取締役/プリンシパル・アナリスト

内山 悟志氏

クラウドベースのハイブリッドな基盤の上で、SoEとSoRを統合的に管理・運用できる環境をMetaArcは提供する

図 デジタルビジネス時代に求められるICTプラットフォーム

富士通株式会社執行役員常務

松本 端午氏

ICTの役割が大きく変わりつつある。バックオフィスを支えるものだったICTは、今やビジネスの最前線で競争力を生み出す基盤となった。この「デジタル化」の潮流を捉えることは、あらゆる企業にとって喫緊の課題となっている。変化の節目に、企業は最適なシステムをどう構築すべきなのか。アイ・ティ・アール内山悟志氏と富士通松本端午氏に訊いた。

急速に進むビジネスのデジタル化「つながる世界」に必要なICT基盤とは

Vol.1「デジタル革新」時代のシステムを考える Special Talk

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これまでの方法では追いつけない加速するビジネスにどう対応するか

 多くの企業にとって、「デジタルビ

ジネスを加速するICT活用」が喫緊の

課題となっている。これまでICTは、

ビジネスを支援するツールとして、主

にコスト最適化や業務効率化のために

活用されてきた。ところが現在は、よ

り戦略的なビジネスにおいてもICT活

用の重要性が増大。「ICTを使ってどん

な新しい価値を生み出すか」が企業の

ミッションになっているのだ。

 だが、新しい価値を生み出すのは簡

単ではない。その要因の一つは、現在

の企業システムが、そのために適した

構造になっていないことにある。

 「今日の企業システムは、幾度もの

改修を経て必要な機能を増やしてきた

ケースが一般的です。ところが、これ

により各システムの構造が複雑化。シ

ステムの個別最適化も進み、業務シス

テム同士が連携できない『サイロ化』

という問題も生んでいます。こうした

状況では、新たな価値を生み出すため、

必要なデータをどう取得すればよいか

といったことが見えにくい。たとえ見

えたとしても、そのための作業には多

くの時間やコスト、労力がかかるとい

う状況が生まれているのです」と富士

通の中村 記章氏は指摘する。そのた

め、企業は変化するビジネス環境に即

応できず、そのポテンシャルを発揮で

きずにいるという。

 この問題を解消するには、システム

構築のアプローチを根本的に見直す必

要がある。「ポイントは、いかに手間の

かからないシステムをつくるかという

ことです。複雑さや重複・ムダを排除し

た上で、新たな価値を生むためのシス

テム(SoE:Systems of Engagement)

と既存の業務システム(SoR:Systems

of Record)が柔軟に連携したシステ

ムを構築する。このことが、デジタル

時代に有効なアプローチの一つといえ

るでしょう」(中村氏)。

好きな言語でアジャイルに開発アプリを短いサイクルで提供可能

 富士通はこの考え方を基に、デジタ

ル時代に適したプラットフォームを立

ち上げた。それが、クラウド、モバイル、

ビッグデータ、IoT、AIなどの最先端技

術とSEの知見・ノウハウを融合させた

「FUJITSU Digital Business Platform

MetaArc(メタアーク)」(以下、MetaArc)

である。

 MetaAr cは、クラウドサービス

「FUJITSU Cloud Service K5」(以下、

K5)をはじめ、SoE、SoRに求められる

仕組みを統合的に提供するもの。両シス

テムをシームレスに連携させることで、

時流に合ったビジネス展開を支援する。

「これにより、あらゆる業務上のデータ

を有機的に組み合わせて、有効活用で

きるシステム基盤が実現できます」と中

村氏は語る。

 具体的に、MetaArcの中核サービス

であるK5ではどんなことができるのか。

 「最大の強みが、システム開発を迅速・

柔軟に行える点です。SoEの立ち上げ

は、何といってもスピードが勝負。お客

様自身で簡単・迅速にアプリケーション

を作って効果を試し、ビジネスに有効

か否かを判断することが可能です」(中

村氏)

 これを実現するのが、「クラウドネイ

ティブ基盤サービス」だ(図)。これは

K5上で提供される、Cloud Foundry

(オープンソースのPaaSソフトウェア)

ベースのシステム実行基盤。開発者は、

自身が使いやすい言語で開発したアプ

リケーションを実行することのほか、あ

らかじめ用意された部品を組み合わせ

る「コンポジット型」でアプリケーション

を作成することもできる。「このサービ

スを使えば、コストと時間を抑えたアジ

ャイルなシステム開発が実現できます。

失敗時のリスクが抑えられるため、新

規ビジネスに挑戦する際のハードルを

大きく下げられるでしょう」と中村氏は

言う。また作成したアプリケーションは

すぐにインターネット上で公開可能。ア

プリケーションを格納した「コンテナ」

単位でスケールアウトもできるため、利

用開始後の運用拡大も容易だ。

 「さらに、各アプリケーションにアク

セスするためのWeb APIを作成できる

『Web API管理サービス』を活用すれば、

作ったアプリケーションを、他のアプリ

ケーションの部品として活用すること

も可能。もちろん、同じくK5上で動か

すSoRとも、Web APIやDB連携APIを

通じて連携可能。SoEの本格運用に必

須となる『SoRとのデータ連携』も、こ

れで実現できます」と中村氏は話す。

新たなビジネス領域に挑む企業を経験豊富なSEや営業担当者が支援

 こうしたメリットは、既に多くの事

例により実証されている。

 その一つが、農業分野での活用例だ。

ある企業では、農地の気候や土壌の状

態、作物の生育状況などに関するデー

タをセンサーで収集し分析している。

その結果を農業の専門家の知見と組み

合わせることで、次にどんなアクショ

ンを取るべきかをレコメンドするシス

テムが実現されているという。

 別の事例もある。大手航空会社で

は、RFIDを利用した部品管理を行っ

ている。航空機1機当たり2000点に

も上る部品にRFIDを組み込み、メン

テナンス情報を収集。クラウド上で管

理する仕組みだ。「これにより、機体の

メンテナンス計画を立てやすくなり、

整備に必要な時間も大幅に削減。将来

的には各種センサーも組み込んで、障

害発生をリアルタイムに把握するとい

ったことも検討されています」(中村

氏)。

 さらに、一風変わったアイデアを

実現しているのが、クラウドソーシ

ングを手掛けるベンチャー企業のケ

ースだ。その企業では、町工場の設備

稼働状況に関するデータを集め、そ

れをクラウド上に集約。ものづくり

のニーズを持った企業とマッチング

することで、稼働していない製造設

備の有効利用を図るサービスを提供

している。

 「もちろん、実際のシステム構築や運

用のプロセスでは、当社の約2万7000

人のSEや、営業スタッフがご要望に応

じたサポートを提供。SoEを駆使し、未

知のビジネス領域へと挑むお客様を、

国産ベンダーならではの体制でバック

アップします」と中村氏は強調する。

 システムが変われば、ビジネスは変

わる——。MetaArcは、ビジネス革新

を目指す企業にとって、有力な選択肢

となるはずだ。

この記事は、日経コンピュータ2015年12月24日号に掲載された内容を抜粋し、一部改変したものです。©日経BP社 ●掲載記事の無断転載を禁じます

富士通株式会社デジタルビジネスプラットフォーム事業本部副本部長

中村 記章氏

モバイル

❶好みの開発言語を選択

❷コンポジット型でアプリケーションを開発

❸インターネットにすぐに公開

開発者

アプリケーション配備

PHP用etc...

Java用アプリケーション

Buildpack

バインド

RDBサービス

ストレージサービス

ビッグデータSNS

必要なアプリケーションをコンポジット型で開発し、すぐにインターネットに公開できる。もちろん、クラウドのメリットである柔軟なスケールアウトも可能。これにより、処理能力を簡単に増強できる

図「クラウドネイティブ基盤サービス」

あらゆるビジネスのデジタル化が進む現在、「どんなシステムを」「どう使うか」という選択が、企業の命運さえも左右する時代になっている。時流に沿わないシステムを使い続けることで、経営上必要なデータが正しく得られなかったり、優れたアイデアを具現化できずにいる企業は多い。では、それらの課題を解決し、他社に先駆けて新たなビジネスをものにするためのシステムはどう実現すればよいのか。

アイデアのトライ&エラーを柔軟に実現新ビジネス立ち上げを加速するクラウド

Vol.2「デジタル革新」時代のシステムを考える Interview

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既存システムの運用負荷とコストが戦略的ビジネス展開の阻害要因に

 多くの企業が、新たなビジネス価値

を生み出すためのシステム構築に注力

している。このシステムは「S o E

(Systems of Engagement)」と呼ば

れ、デジタル時代のキーワードとして

注目されている。市場競争力を獲得す

るためには、このSoEを迅速に立ち上

げるとともに、既存の基幹業務システ

ム(SoR:Systems of Record)と柔

軟に連携して活用することが欠かせな

い。つまり、SoRで蓄積した膨大なデ

ータを、SoEによって価値に変える。

このサイクルを回すことが、デジタル

時代の成長戦略には不可欠といえるだ

ろう。

 しかし、そうした環境を実現できて

いる企業はまだ多くない。ネックとな

っているのが、SoRの運用管理に多く

のコストがかかるということである。

 「度重なる改修を経た現在の企業シ

ステムは、多くの重複やムダを内包し

ています。これにより、運用管理コス

トが増大。どの企業も、戦略的投資ま

で予算が回せない状態に陥っているの

です」と語るのは、富士通の中村 記章

氏だ。

 この問題を解決する方法の1つに、

クラウドによるSoRの「モダナイゼー

ション(近代化)」がある。つまり、レ

ガシーシステムを一度解体し、本当に

必要なシステムだけを新たにクラウ

ド上に構築するというアプローチだ。

富士通は、そのための基盤として

「FUJITSU Digital Business Platform

MetaArc(メタアーク)」(以下、MetaArc)

を提供。基幹システムの運用に必須と

なるセキュリティや、高い可用性を備え

たクラウドサービス「FUJITSU Cloud

Service K5」(以下、K5)をはじめ、モ

ダンなSoRを実現するサービスを包

括的にラインアップしている。

「使い方」に沿ってシステムを再構築APIで他システムとの連携も容易に

 具体的に、モダナイゼーションはど

う進めればよいのか。「当社が重視し

ているのは、各アプリケーションの詳

しい利用方法や、お客様の想いなどを

把握して進めることです。なぜなら、

特に長年同じシステムを使ってきたお

客様の場合、業務がシステムと密に関

係しています。そのため、一つひとつ

のプロセスを丁寧に解きほぐさなけれ

ば、簡単には既存の仕組みを脱却でき

ないからです」(中村氏)。

 そのための仕組みが、「基幹業務基

盤サービス」だ(図)。これは、富士通

SEの綿密なヒアリングと、K5上の設

計ツールによって、計画的なSoRのモ

ダナイゼーションを実現するものであ

る。

 サービスではまず、「実際の業務が

どう行われているのか」に関するユー

スケースを富士通SEが聞き取り、業

務ロジックを分析。並行してデータ構

造も分析し、「どの業務で、どのデータ

が使われているか」などを精査する。

そこで得られた結果を基に、設計ツー

ルでアプリケーションを開発。これに

より、最新の業務に沿ったSoRを再構

築することが可能となる。

 「『機能』優先で開発してきたため、

現在の業務事情に沿わなくなっている

アプリケーションは多いものです。そ

の点本サービスでは、『実現したいこ

と』を起点に開発することで、機能と

業務のギャップを解消。これにより、

真に有効なアプリケーションを用意す

ることが可能です。あらかじめ機能を

分解・整理して管理できるため、業務

フローが変わった際も容易にシステム

を変更して対応できます」(中村氏)

 また、SoR再構築の過程では、他の

アプリケーションと連携するAPIを作

成することも可能。つまり、SoRのモ

ダナイゼーションで得た効率化資金で

SoEを立ち上げ、SoRとシームレスに

連携するといった方法も、このサービ

スを使えば容易に実行できる。

 「このサービスは、かつて大手通信

事業者様で実施したアプリケーション

開発をベースにしたものです。数百万

ステップという大規模なプロジェクト

でしたが、この手法により開発期間は

約1/3、TCOは1/2に抑えることが

できました。同様の手法を取るサービ

スは、市場でも少ないと自負していま

す」と中村氏は語る。

手間のかかるインフラ構築を自動化3階層構造にも容易に対応可能

 SoRのモダナイズに有効なサービス

は他にもある。それが、「システム自動

構築サービス」だ。これは、システム構

成や運用要件、ソフトウェアコンポー

ネントなどをあらかじめ指定するだけ

で、必要な業務システムを自動的に作

成できるというものである。

 この作業はクラウド上の開発ポータ

ルで実行する。各種要件を指定する

と、システム構成を定義する「パッケ

ージ」が自動で生成される。これをワ

ンクリックでデプロイメント(展開)

すれば、仮想化されたシステムがIaaS

上に構成される仕組みだ。また作成し

たパッケージは、マーケットプレース

に保存することでいつでも再利用する

ことができる。

 「このサービスの強みは、Webサー

バー、アプリケーションサーバー、DB

サーバーの3層で構成された階層構造

のシステムも簡単に実現できる点にあ

ります」と中村氏は説明する。こうし

た構成をクラウドサービス上で実現し

ようとした場合、通常はスクリプトな

どを大きく変える必要があり、多くの

手間がかかる。その点、このサービス

ならGUIベースの簡単な操作で、階層

構造のセキュアなシステムを迅速に立

ち上げることが可能だ。

 一般に、システム構築では全体の約

1/3の時間がインフラ構築に費やされ

ているといわれる。このサービスを使

えば、その部分を大幅に抑えることが

できるという。「さらに、先に紹介した

基幹業務基盤サービスも併用すれば、

一層大きな効果が期待できます。当社

の検証では、新機能のエンハンスや新

サービスのデリバリーサイクルを最大

1/6程度まで短縮できました」と中村

氏は強調する。

 そのほか、K5ではあらゆる事象を

ログとして記録している。そのため、

何らかの問題が発生した場合も、迅速

に原因を突き止めて対処することが可

能だ。また問題の経緯をまとめる際に

は、明確なエビデンスを基に報告書が

作成できる。顧客の信頼を損ねないシ

ステム運用が実現できるだろう。

 このように、MetaArcは時流に合っ

た基幹システムの構築・運用を強力に

支援している。近い将来には、機械学

習の研究で培ったノウハウを生かし、

システム構築プロセスをAI(人工知能)

がガイドする機能も搭載予定。すでに

「Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」

のブランドの下で技術の体系化を発表

しているなど、多様な取り組みを展開

している。「デジタルビジネスは日々

進化・発展しています。当社は、そう

した状況に対して常に最適な仕組みを

提供することで、お客様企業のデジタ

ル革新を継続的に支援していきます」

と中村氏は語った。

この記事は、日経コンピュータ2016年1月7日号に掲載された内容を抜粋し、一部改変したものです。©日経BP社 ●掲載記事の無断転載を禁じます

富士通株式会社デジタルビジネスプラットフォーム事業本部副本部長

中村 記章氏

アプリケーション

サービス設計プロセスをプラットフォームに埋め込み

業務(ロジック)分析

分散化

ロジックとデータが一体化した

サービス設計手法

顧客企業

設計ツールを使って設計、開発・設計情報の一元管理と見える化・開発品質、保守性向上

開発者 リポジトリ

ユースケース1

ユースケース2

ユースケース3

API

API

API

モデリング(データ)メソッド

ロジック

データ

設計ツール

ユースケースを基に業務ロジックを分析し、データと一体化することでアプリケーションを再設計。これに基づきシステムを開発することで、複雑性やムダのない、業務にフィットしたシステムが用意できる

図 「基幹業務基盤サービス」

ビジネススピードが加速する現在、レガシーな業務システムが経営のボトルネックになるケースが増えている。この状況を解決したくても、予算の多くが既存システムの運用管理に費やされている現状では、システムを刷新することは簡単ではない。ポイントとなるのは、クラウドおよびベンダーが提供するサービスをうまく活用し、効率よくシステムを「モダナイズ」することだ。その具体的な方法に迫る。

変化に強い企業システムをどうつくるか進化し続けるビジネス基盤の実現方法

Vol.3「デジタル革新」時代のシステムを考える Interview

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1万3千台近くのサーバーをクラウドへ大胆な取り組みの2つの目的

 富士通は2015年2月、グループで

稼働する国内外の全システムを、5年

間でクラウド基盤へ移行する計画を発

表した。対象となるシステムは約640

に上り、基幹システムやレガシーシス

テムも例外ではない。

 「これには大きく2つの目的があり

ます」と、富士通の纐纈 孝彦氏は説明

する。

 第1の目的は、個別最適化によってサ

イロ化した社内システムを全面的に見

直し、全体最適化していくことである。

これによって運用コストの削減、新規

アプリケーションの開発期間やコスト

の最小化を目指す。「掌握している国内

システムだけでも、サーバー数は約1万

3千台。2億〜 3億ステップのアプリケ

ーションがあり、類似の機能が実装さ

れたものがあるなど、非効率な部分も

少なくありません。また開発時期によっ

てアーキテクチャも異なるため、個別に

運用を行う必要があり、コスト増の大き

な要因になっていました」(纐纈氏)。

 これを受け、富士通は2009年から

インフラ層の統合に着手。システムご

とにサーバーやストレージを用意する

のを廃止し、統合されたインフラ上で

システムを構築してきた。今回のプロ

ジェクトは、これをさらにドラスティ

ックに推し進めるものとなる。

 第2の目的は、社内実践によるリファ

レンスモデルの確立である。基幹シス

テムのクラウド化では、多くの課題に直

面している企業も多い。富士通は自ら

が大規模なクラウド移行を行うことで、

課題の抽出や、解決方法の明確化を推

進。そこで得た知見を、「FUJITSU

Digital Business Platform MetaArc

(メタアーク)」(以下、MetaArc)や、

そのベースとなる「FUJITSU Cloud

Service K5」(以下、K5)へフィード

バックしていくのである。

動き出したパイロットシステム導入期間は1/8、運用工数は30%減

 富士通では、今回のプロジェクトを

大きく「プラットフォーム統合」「デー

タセンター統合」「ネットワーク統合」

の3カテゴリーに分け、それぞれでコ

スト削減目標を設定している。

 「まず『プラットフォーム統合』では、

アプリケーションの共通部品化や共通

プラットフォーム化、構築・運用の自

律化によって35%のコスト削減。『デ

ータセンター統合』では、ハードウェ

アとファシリティを一体化したクラウ

ド仕様のデータセンターの確立によっ

て50%のコスト削減。『ネットワーク

統合』では、社内・商用のネットワー

ク統合と運用監視強化によって10 〜

20%のコスト削減を目指しています」

と纐纈氏は述べる。

 パイロットプロジェクトも既に進行

中だ。その1つが、2015年9月にK5

上で稼働開始した予算管理システムの

移行だ(図)。

 ここではまず、全社システムを横断

する監視機能の標準化と自動運用を実

現。その上で、オートスケール・マル

チテナント機能を装備したデータセン

ターにおいて、仮想プライベートホス

ティングの形でアプリケーションを実

装している。またネットワークもソフ

トウェアベースへと移行し、費用と運

用負荷を軽減させている。

 「インフラをK5に統合したことに

より、これまで4カ月かかっていたシ

ステム導入が2週間で完了していま

す。また、他のシステムとリソースを

融通し合えるオートスケール機能によ

って、ピーク時を想定したリソース確

保も不要になり、仮想マシン数が半減。

インフラ部分の運用がほぼ不要になっ

たため、運用工数も約30%削減でき

ました」と、纐纈氏は言う。

 プロジェクトがさらに進行すれば、

アプリケーション機能の共通化、運用

の自動化によるコスト削減効果はさら

に大きくなると予想されている。加え

て、アプリケーション作成も大きく効

率化される見通しだ。ユーザー認証や

セキュリティ、監視・運用、ワークフロ

ー、データ連携といった基本的な機能

が共通部品化されることで、新たな開

発の必要がなくなるからだ。将来的に

は、消費税計算やマイナンバー管理と

いった機能の共通部品化も視野に入れ

ている。

 「これらの部品は商用サービス化し、

お客様にも活用いただけるように提供

していきます。究極的には、部品の組

み合わせだけでアプリケーション構築

が可能な環境が実現するはずです」(纐

纈氏)

プロジェクトで得られた知見をMetaArcやK5に反映

 このパイロットプロジェクトで得ら

れた知見を、MetaArcやK5にフィー

ドバックする取り組みも既にスタート

している。

 まず進められているのが「セキュリ

ティの強化」だ。ネットワークがソフ

トウェア化されれば、ネットワークセ

キュリティを担保するために、徹底し

たログ収集が必要になる。また運用の

標準化を進めるにはOSの監視も欠か

せないため、高度なログ管理機能と、

監視機能の開発・実装を進めていると

いう。

 次に「サービスのメニュー化」も検

討が進んでいる。一般的にクラウドサ

ービスは、標準スペックのハードウェ

アで仮想環境を構築し、高い処理能力

が必要な場合には、複数マシンによる

並列処理を行うことで負荷分散を行っ

ている。しかし基幹システムの中に

は、高い処理能力が必要にもかかわら

ず並列処理が難しいバッチ処理が少な

くない。そこで、最初からハイスペッ

クCPUを搭載したメニューを用意す

ることが考えられている。

 そして「可用性の強化」にも取り組ん

でいる。具体的には異なるロケーション

に設置されたデータセンターへのオー

トフェイルオーバー機能を追加するこ

とで、ディザスタリカバリー対策を容易

にする。この機能は今後共通化され、

K5のメニューに盛り込まれる計画だ。

 「他にも、大規模データの蓄積・分析

を行う『Hadoop』、大量データの高速

分析を実現する『SAP HANA』を、K5

上で運用していきます。もちろん、こ

こで得られた成果は、お客様へのサー

ビスに生かされていきます」と纐纈氏

は説明する。富士通は、今後さらに加

速する社内実践で獲得した知見とノウ

ハウを、リファレンスとして顧客に提

供していく考えだ。

この記事は、日経コンピュータ2016年1月7日号に掲載された内容を抜粋し、一部改変したものです。©日経BP社 ●掲載記事の無断転載を禁じます

富士通株式会社IT戦略本部長

纐纈 孝彦氏 こ う け つ

他の業務プロジェクト

全社システムを横串にした監視標準化と自動運用により運用工数30%削減

ハードからソフトへシフト投資抑制、運用標準化

オートスケール・マルチテナント※活用によりVM数を半減 ※富士通製ミドルウェアの

 Consolidation Optionを活用

アベイラビリティゾーン

仮想ルータ仮想ルータ仮想コネクタ仮想コネクタ

社内LAN

FWaaS

FWaaS

FWaaS FWaaS

共通プロジェクト統合運用監視システム

・管理サーバ・監視サーバ

インターネット

3Qより順次

本稼働LB

負荷分散DNS NTP

Systemwalker

・・・

データ連携システム

・全社ESB

ESB

業務プロジェクト予算管理システム

Web/AP(Interstage)

DB(Symfoware)

パイロットプロジェクトの1つとして進められた予算管理システムのK5への移行。監視標準化と自動運用、オートスケール機能の活用、ネットワークのソフトウェア化等により、導入期間を1/8に短縮、運用工数も30%削減されている

図 社内実践先行プロジェクト(予算管理システム)

富士通は今、同社の歴史を振り返っても、前例のないほど大規模なシステム改革に取り組んでいる。国内外に640以上ある全ての社内システムを、クラウド上に移行するプロジェクトを進めているのだ。もちろんその中には、長年同社の業務を支えてきた基幹系のシステムも含まれる。移行先は、同社が2015年に提供開始したクラウドサービス「FUJITSUCloudServiceK5」。プロジェクトはまだ始まったばかりだが、すでに複数の成果が上がっているという。

社内システムの大規模移行に着手富士通で進む「完全クラウド化」への挑戦

Vol.4「デジタル革新」時代のシステムを考える Case Study

Page 7: デジタル革新 時代の システムを考える · あります。 松本 おっしゃる通りです。あらゆる モノがデジタルでつながる時代、ビジ ネスの高度化に、より一層ictが欠か

※ 2016年1月1日時点では金融機関84社、Fintech企業88社、その他3社が参加

12 13

日本でも動き始めた「Fintech」金融ICTの革新のカギはSoE

 「Financial(金融)+Technology(技

術)」の造語である「Fintech」。言葉自

体はすでに数年前から存在していた

が、この1年余りの間で急速に注目を

集めるようになってきた。事実、すで

に国内の金融機関でも実践例が出始め

ている。その1つが、奈良県奈良市に

本店を置く南都銀行の取り組みだ。

 南都銀行では、ICキャッシュカード

一体型クレジットカードの提携店舗・

施設に関する情報やクーポンなどを配

信するサービスを開始する。特徴的な

のが、そのためのシステムを自社で持

たず、クラウド上に構築することで、

スピーディーにサービスを立ち上げよ

うとしている点だ。同行では、2015

年11月からアプリケーション設計を

スタート。2016年3月下旬のサービ

スインを目指し、目下プロジェクトを

進めている。

 こうした潮流について、富士通の窪

田 雅己氏は次のように説明する。

 「一般に、『日本の金融ICTは海外よ

り遅れている』という論調が多いよう

です。しかし私は、それは違うと感じ

ています。金融業界も他業界と同様、

トランザクションの記録を主眼とする

SoR(Systems of Record)と、新し

いビジネス価値を生むSoE(Systems

of Engagement)に分けて考えるべ

き。その上で、金融サービスの基盤と

なるSoRに関しては、日本は世界でも

有数の高度な仕組みを有しています。

一方、早急に取り組むべきはSoE。そ

のため、今多くの企業がFintechを推

進し始めているのです」

金融業界とベンダーを結ぶ場に加え共通ICT基盤サービスも提供

 こうした日本企業のFintechへの取

り組みを支援するため、富士通はソリ

ューションベンダーの立場から積極的

な施策を講じている(図)。「軸は大き

く2つ。1つは、実際に金融機関と

Fintech企業が交流できる場をつくる

こと。もう1つが、システム構築の基

盤となるサービスの提供です」(窪田

氏)。

 まず、金融機関とFintech企業の交

流の場として、富士通は2015年7月

に「Financial Innovation For Japan

(FIFJ)」というコンソーシアムを設立

した。第1回の全体会議には、金融機

関とFintech企業合わせて100社以上

が参加※。活発な情報交換が行われた

という。

 「Fintech企業は個々のアプリケー

ションを扱う専門の企業が多いため、

金融業界各社は、提供するサービスご

とに複数のFintech企業と付き合うこ

とが重要。つまり金融業界がSoE活用

を進める上では、ベンチャーを含む多

数のFintech企業といかに『共創』す

るかがカギとなります。これは、当社

の目指すICT活用のあり方と合致する

もの。FIFJは、まさにそうした思いか

ら設立しました」と窪田氏は強調する。

 もう1つのシステム構築基盤として

用意したのが、企業システムに必要な

サービスを統合的に揃える「FUJITSU

Digital Business Platform MetaArc

(メタアーク)」(以下、MetaArc)であ

る。

 特に、金融系のサービス開発に際し

ては、高度なセキュリティが肝となる。

事実、現在Fintech企業によって提供

されているサービスの中には、個人財

務管理ソフトを活用した金融機関向け

のマーケティングサービスや、流通系

のプリペイドカードサービス、AI(人

工知能)を活用した資産管理サービス

などがあるが、これらのサービスはい

ずれも機密性の高い個人情報を扱うも

のだ。「欧米では『個人情報の管理は顧

客側の責任』という考え方が一般的で

すが、日本では『サービス提供企業に

も責任がある』という風潮が強い。そ

のため、欧米に比べてより強固なシス

テムの安全性を確保しなければ、

Fintechが広まることは難しいでしょ

う」(窪田氏)。

 その点MetaArcは、十分なセキュ

リティを確保しながら、SoEを迅速に

構築することが可能だ。具体的には、

公益財団法人金融情報システムセンタ

ー(FISC)による「金融機関等コンピ

ュータシステムの安全対策基準・解説

書(FISC安全対策基準)」に対応。そ

の上で、既存のSoRと新たなSoEを同

じICT基盤上で共存・連携させること

ができ、ビッグデータ分析やモバイル

活用に向けたアプリケーションなど

を、短期間で開発することができる。

先 に 紹 介 し た 南 都 銀 行 も、 こ の

MetaArcを利用する企業の一社。シス

テムは、MetaArcの中核サービスであ

る「FUJITSU Cloud Service K5」上

で構築が進められている。

 「FISC安全対策基準への対応レベル

は段階的に選べるようになっており、

セキュリティレベルに合わせた価格設

定も用意しています。稼働テストから

本番サービスまで、ニーズに合った環

境が手軽に用意できる点を、多くの企

業様から評価いただいています」と窪

田氏は話す。

富士通自身も実証実験を計画成果をサービスに生かしていく

 また富士通自身も、MetaArcをベー

スにした金融ICT活用の取り組みを始

めている。それが、約16万人の社員を

対象に、各種保険の提案や、AIを活用

した資産運用コンサルティング、法人

カードを活用した決済サービスなどを

提供するというものだ。「これは当社

自身が利用者目線で実践することを目

的にした取り組みです。高評価を得た

サービスは、金融機関と連携しながら

社外にも提供していきます。これだけ

の規模でPoC(Proof of Concept:概

念実証)を行えば、利用者目線のニー

ズもあぶり出せるはずです」と窪田氏

は期待を込める。より効果的なセキュ

リティ対策の検証も可能なため、さら

なるサービスの安心につなげられると

同社は見ている。「加えて、米国のシリ

コンバレーやアジア諸国における

Fintechの動向調査も継続的に実施。

現地サービスのローカライズも含め、

多様な施策を検討していきたい」(窪

田氏)。

 このように富士通は、日本における

Fintechを支援するための、様々な取

り組みを進めている。MetaArcをプラ

ットフォームとし、多様な企業の共創

を支える同社の一貫した取り組みが、

今金融業界のICT活用に大きな推進力

を与えようとしている。

この記事は、日経コンピュータ2016年2月4日号に掲載された内容を抜粋し、一部改変したものです。©日経BP社 ●掲載記事の無断転載を禁じます

富士通株式会社執行役員金融・社会基盤営業グループ第一金融ビジネス本部長

窪田 雅己氏

金融機関 Fintech企業

Financial InnovationFor Japan(FIFJ)

金融機関とFintech企業のマッチングの場

FUJITSU Digital Business Platform MetaArc共通サービス基盤の開発・提供

保険業クレ

ジット業

銀行業

証券業 リース業

A社D社

E社

富士通

C社B社

F社

MetaArcをベースにした共通サービス基盤を開発・提供するとともに、金融機関とFintech企業のマッチングの場であるFIFJも設立。これによって新たな価値を「共創」できる環境を整備している

図 日本のFintechに向けた富士通の取り組み

近年、様々なメディアで取り上げられるようになった「Fintech(フィンテック)」。もともと「金融業界向けのソリューションベンダー」を指していたこの造語は、技術の進歩とベンチャー企業の台頭により、「金融業界における革新的なICT活用」を指すようにもなっている。そうした中、富士通はFintechに向けた積極的な活動を展開。デジタルビジネスを支える共通基盤、および金融機関とFintech企業との「共創」の場を提供することで、新たな価値の創出を支援している。

共通基盤上で企業間コラボレーションを実現Fintechへの取り組みを「共創」で支援する

Vol.5「デジタル革新」時代のシステムを考える Interview

Page 8: デジタル革新 時代の システムを考える · あります。 松本 おっしゃる通りです。あらゆる モノがデジタルでつながる時代、ビジ ネスの高度化に、より一層ictが欠か
Page 9: デジタル革新 時代の システムを考える · あります。 松本 おっしゃる通りです。あらゆる モノがデジタルでつながる時代、ビジ ネスの高度化に、より一層ictが欠か

FUJITSU Digital Business PlatformMetaArc

富士通株式会社 富士通コンタクトライン 総合窓口 0120-933-200(土・日・祝日を除く9:00 〜 17:30)

http://journal.jp.fujitsu.com/metaarc/

お問い合わせ

「デジタル革新」時代の

システムを考える—— ビ ジ ネ ス の 未 来 を 拓 く 富 士 通 の 提 案 ——

HA1001-2016年3月