カザフスタン国 アルマティ市地震防災対策計画調査 事前調査...

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カザフスタン国 アルマティ市地震防災対策計画調査 事前調査報告書 平成 19 年3月 (2007年) 独立行政法人国際協力機構 地球環境部

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カザフスタン国

アルマティ市地震防災対策計画調査

事前調査報告書

平成 19 年3月

(2007年)

独立行政法人国際協力機構

地球環境部

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あああああああ

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序 文

日本国政府は、カザフスタン共和国の要請に基づき、同国のアルマティ市地震防災対策

計画に係る調査を実施することを決定し、国際協力機構がこの調査を実施することと致し

ました。

当機構は、本格調査に先立ち、本件調査を円滑かつ効果的に進めるため、平成 19 年 2 月

19 日より 3月 16 日までの 26 日間にわたり、当機構地球環境部第三グループ(水資源・防災)

防災チーム 三村悟を団長とする事前調査団(S/W 協議)を現地に派遣しました。

調査団は本件の背景を確認するとともに、カザフスタン共和国政府の意向を聴取し、か

つ現地調査の結果を踏まえ、本格調査に関する S/W に署名しました。

本報告書は、今回の調査をとりまとめるとともに、引き続き実施を予定している本格調

査に資するためのものです。

終わりに、調査にご協力とご支援をいただいた関係各位に対し、心より感謝申し上げま

す。

平成 19 年 3 月

独立行政法人 国際協力機構

地球環境部 部長 伊藤 隆文

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調査対象地域図

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S/W 協議状況 M/M 協議状況

Zhetyau 地区 Turkaib 地区

Almaty 地区 Medeu 地区

Auezow 地区 Bostandvk 地区

写 真

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アルマティ市の地盤 耐震補強済小学校

小アルマティ川 低層建物(個人住宅)

中層住宅 中層住宅

高層住宅 高層建物(オフィスビル)施工中

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目 次

序 文

調査対象地域図

写 真

目 次

略語表

事業事前評価表

第1章 事前調査概要

1-1 要請背景 ..................................................... 1 1-2 事前調査目的 ................................................. 1 1-3 事前調査団の構成 ............................................. 2 1-4 調査日程 ..................................................... 3

第2章 S/W協議の内容及び結果

2-1 協議内容及び結果 ............................................. 7 2-2 問題点及び考察 ............................................... 8 2-3 主要面談者リスト ............................................. 9

第3章 調査対象地域の概要

3-1 自然状況 ..................................................... 11 3-2 社会状況 ..................................................... 15 3-3 地震環境 ..................................................... 17 3-4 地震災害 ..................................................... 25

第4章 防災関連組織、取り組みと課題

4-1 防災に関する組織の概要 ....................................... 31 4-2 アルマティ市防災局の取り組み ................................. 35 4-3 非常事態省アルマティ地方局の取り組み ......................... 45 4-4 国立地震研究所の取り組み ..................................... 47 4-5 その他組織の取り組み ......................................... 49 4-6 他ドナー、NGO の取り組み...................................... 56

第5章 防災関連計画、法規と課題

5-1 防災関連法規の概要 ........................................... 63 5-2 国家自然災害対策計画及びアルマティ自然災害対策計画の概要 ..... 64 5-3 建築・土木構造物に対する法規・基準の概要 ....................... 68

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第6章 コミュニティ防災に関する現状と課題

6-1 地域防災計画の内容・特徴 ...................................... 77 6-2 アルマティ市の現況 ........................................... 78 6-3 住民参加型の事例 ............................................. 79 6-4 アルマティ市の地域防災計画の課題 ............................. 81

第7章 既存資料の状況と補足調査の必要性

7-1 自然条件関連資料 ............................................. 83 7-2 社会状況関連資料 ............................................. 83 7-3 地形図関連資料 ............................................... 84 7-4 GIS関連資料 ............................................... 88 7-5 ハザードマップ・リスクマップ ................................. 88

第8章 本格調査の内容

8-1 調査の目的 ................................................... 89 8-2 調査対象地域 ................................................. 89 8-3 調査実施体制 ................................................. 89 8-4 調査内容 ..................................................... 89 8-5 調査工程 ..................................................... 98 8-6 調査分野 ..................................................... 98 8-7 調査実施上の留意点 ........................................... 101

<付属資料>

資料-1 要請書(英・露)

資料-2 Scope of Work(S/W)(英・露)

資料-3 Minutes of Meeting(M/M)(英・露)

資料-4 質問表(日・露)

資料-5 主要面談者リスト(英)

資料-6 収集資料リスト(日)

資料-7 現地事前調査報告書

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略 語 表

略 語 英 語 日本語

CHS 非常事態

CIS Commonwealth of Independent States 独立国家共同体

GASK State Architecture and Construction Control(SACC)(ロシア語で ГАСК)

国家建築・建設委員会

GDP Gross Domestic Products 国内総生産

GIS Geographic Information System 地理情報システム

GO 民間防衛

GPS Global Positioning System 全地球位置把握システム

GU 国家機関

KazNIISSA Kazakh State Research and Experimental Design Institute on Earthquake Engineering and Architecture

耐震工学研究所

Kazselezaschita Ministry for Emergency Situations of the Republic of Kazakhstan Debris-Flow Protection Service

土石流防止サービス

KSK 住民協同組合

LLC KAZGIIZ Geotechnical and Seismic Research for Construction 建設のための地質工学・ 地震研究会社

MOGO 国際民間防衛機構

NGA Non Government Association 非営利団体

NPK 学術生産複合体

PROGNOZ Ministry for Emergency Kazakhstan State Enterprise “Kazselezaschita” Scientific and Production Center

地震予知センター

PPT Power Point

RGP 共和国国営企業

SN Construction Norm (ロシア語で СН) 建築基準

SNiP Construction Norm and Regulation (ロシア語で

СНиП) 建築基準及び規則

SOME Seismic Observation System

UNDP United Nations Development Program 国連開発計画

UNIFEM United Nations Development Fund for Women 国連女性開発基金

USAID United States Agency for International Development 米国国際開発庁

S/W Scope of Work 実施細則

M/M Minutes of Meeting 協議議事録

ARC American Red Cross アメリカ赤十字

RCSK Red Crescent Society of Kazakhstan カザフスタン赤報月社

KAZGIIZ 地震工学研究所

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事業事前評価表(開発調査)

1.案件名 カザフスタン国「アルマティ市地震防災対策計画調査」

2.協力概要

(1)事業の目的

1)アルマティ市の地震災害被害軽減のため、アルマティ市地震防災対策計画を策定する。

2)パイロット地域において、コミュニティレベルでの地震防災対策計画を策定する。

3)調査の実施を通じて、カザフスタン国側関係者への技術移転を行う。

(2)調査期間 :2007 年 8 月~2009 年 2 月(19 ヶ月)

(3)総調査費用 :約 2.2 億円

(4)協力相手先機関

1) 協力相手国実施機関名 :アルマティ市防災局(Department for Mobilization, Preparation,

Civil Defense, Prevention and Liquidation Organization of

Emergencies and Disasters)

2) 協力相手国実施機関責任者:アルマティ市防災局長(Mr. Baurzhan ISKAKOV)

(5)計画の対象(対象分野、対象規模等)

1) 調査対象 :アルマティ市内の地震災害被害とその対策

2) 技術移転の対象:アルマティ市防災局、国立地震研究所、統一管制センター他において地震防災関連業

務に従事する職員、モデルコミュニティ地区の住民

3) 裨益対象

a)直接裨益対象:アルマティ市防災局、国立地震研究所、統一管制センター他において地震防災関連業

務に従事する職員、モデルコミュニティ地区の住民

b)間接裨益対象:アルマティ市住民(約 130 万人)、中央省庁・地方自治体・警察・軍など地震防災関連組

織の職員

3.協力の必要性・位置付け

(1)現状及び問題点

カザフスタン国(以下、「カ」国という)南部及びアルマティ市を含む南東部は、これまで繰り返し地震が

発生し、甚大な被害に見舞われてきた。1887 年のベルニー地震(マグニチュード 7.3)以降、「カ」国南部・

南東部での大規模な地震被害は 6件以上にものぼる。最近では、2003 年に、南部の Zhambyl 州で発生したル

ゴブスコイ地震(マグニチュード 5.4)によって同地区に住む住民約 6 万人のうち 4 万人が被災し、同地区

の住宅や公共施設の約 80%が被害を受け、約 2万人以上が家を失うという大被害を受けた。

地震発生の可能性が高い南部・南東部の地域には、国民の約 3分の 1 に当たる約 600 万人が暮らしており、

この地域は国全体の工業生産高の 40%以上を担っている。南東部に位置するアルマティ市(旧首都)は、人

口約 130 万人を擁し、今もなお「カ」国の商業、金融、文化の中心地である。「カ」国では、アルマティ市周

辺で大規模な地震が発生した場合、死者約 7万 5千人、負傷者は約 30 万人にのぼり、家屋やインフラ・ライ

フライン施設は壊滅状態となり、莫大な社会的・経済的損失が生じると予測されている。

「カ」国では、国立地震研究所が中心となって地震観測の強化を進めており、JICA は 2000 年から 2003 年

にかけて「カ」国政府による要請に基づき、国立地震研究所をカウンターパートとして「アルマティ市にお

ける地震防災及び地震評価に関するモニタリング向上プロジェクト」を実施した。同プロジェクトでは、地

震観測、GPS(全地球測位システム)観測により地震及び地形データの収集・分析を継続的、効率的に行うた

めの協力を行い、「カ」国の地震観測能力強化に貢献した。

現在、「カ」国の地震防災対策として、国レベルや市レベルなどで様々な取り組みがなされている。国レベ

ルでは、非常事態省が中心となり、国家防災計画に基づいて地震対策を進めている。市レベルでは、2004 年

に策定された「アルマティ市自然災害防災計画」に従って緊急体制の確立、避難計画の策定、教育・啓発活

動、防災訓練の実施、脆弱な公共建物の耐震補強などの施策を推進している。

今後、アルマティ市の地震災害被害を軽減するためには、地震災害に関するデータの整理・分析、想定され

る地震の明確化、想定地震による被害の把握を行い、その上で、地震防災対策計画を策定する必要がある。

また、アルマティ市民に対し、大規模地震災害への備え、災害時の自助・共助の役割を普及させるためにもコ

ミュニティレベルの地震防災対策を策定し、コミュニティ防災を進める必要がある。しかしながら、アルマ

ティ市の現状は次の通りである。

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1) 地震災害評価のための基礎データが更新されておらず、整理・分析されていない。

・ 地震の発生源となる市内の活断層は、1980 年代の弾性波探査により発見されたもので、この調査結果

は、建築基準・規則の改定等、地震対策分野において広く利用されている。しかし、アルマティ市に影

響を及ぼす地震は、市内の活断層のみが原因ではなく、南部の山ろく部の断層でも発生するが、その

調査は十分に行われていない。

・ アルマティ市では、近年の建築ラッシュに伴い、南部の山ろく部を含め、数多くのボーリング調査が

行われ、地形、地質、地下水等に関するデータは相当数存在するものの、地震災害を評価するための

系統的な収集・整理・分析が行われていない。

・ 地震災害評価を効果的に行うためには、整理解析したデータを GIS(地理情報システム)として取り

まとめる必要があるが、各関連機関が独自にデータを取りまとめており、互換性がない。

2) 地震災害を軽減するためには地震災害評価を行い、地震災害シナリオを作成する必要があるが、上記デ

ータが整理・分析されていないことから、地震災害評価及び地震災害シナリオ作成は行われていない。

3) 住民が活用可能なハザードマップ、その基礎資料となるリスクマップが作成されていない。

・ UNDP がリスクマップを作成しているものの、取り扱うリスク項目が不十分であり、住民が活用できる

状況ではない。このため、地震に対する倒壊家屋数や火災延焼地域、インフラ・ライフラインの危険箇

所等の基礎データを投入した実用性の高いリスクマップを作成する必要がある。

4) 防災関係機関の役割と連携体制が不明確である。

・ 防災関係機関は数多くあり、国レベル、州レベル、市レベルの中で、複数の機関・部署がそれぞれの

レベルで防災行政を実施している。本調査の C/P 機関であるアルマティ市防災局は、アルマティ市の

防災に関して、それらを調整する機関であるが、地震防災知識や保有する行政情報が十分ではなく、

十分な調整能力を有していない。

・ 地震等の災害時における国と市それぞれの関係機関の役割と連携方法が明確になっておらず、アルマ

ティ市防災局の能力強化および関係機関との連携強化が課題となっている。

5) 災害時の通信・連絡体制及び緊急対応体制が不十分である。

・ 発災後 72 時間以内での対応が重要であることはよく知られているが、現状の被害情報収集体制では不

十分である。

・ 現在のアルマティ市における災害時の緊急対応の中で、情報集約・伝達は、アルマティ市の下部組織で

ある統一管制センターが行うことになっている。大規模地震時に市民等からの救援要請を受ける体制

は整っていない。

・ 市民からの救援要請に対応する人員が不十分であり、また、防災関係機関の職員の具体的行動計画が

策定されていない。

6) 建物、インフラ・ライフラインの耐震化が遅れている。

・ 130 万人都市で、全人口の 7%にのぼる死者、25%の負傷者が出るとの破局的予測がなされているにも

関わらず、その主な原因である建物の脆弱性に関する対策があまり進んでいない。

7) アルマティ市において地震被害軽減のための優先対策が示されていない。

・ ハード対策、ソフト対策を含め、優先課題を明確にし、優先対策を決定する必要がある。

・ このため、アルマティ市は、防災関連機関の役割・連携方法、優先課題及び解決策(案)等必要事項を

含めた「アルマティ市地震防災対策計画」を作成する必要がある。

8)コミュニティ防災活動が不足している。

・ アルマティ市内の全建物 88,517 棟のうち 98%が十分な強度を有していないことから、地震が発生し

た場合、多くの建物が倒壊し、公的機関の応急対応のみでは甚大な被害が想定される。このため、迅

速に対応し、一人でも多くの生命を救うためには、コミュニティによる共助が必要となる。しかしな

がら、アルマティ市は、コミュニティ活動は活発ではなく、他のドナーの活動も緒についたばかりで

あり、実効性のある活動には至っていない。

・ コミュニティ活動を促進するためのコミュニティレベルの「地震防災対策計画」を策定し、防災教育・

防災訓練を行う必要がある。

(2)相手国政府国家政策上の位置づけ

「カ」国では、カザフスタン共和国憲法の非常事態分野に関する法律によって、防災施策が実施されてい

る。アルマティ市では、2004 年 1 月 22 日付アルマティ市長決定「2010 年までのアルマティ市民間防衛の発

展と改善のための追加措置について」に従って、自然災害に関する予防と対応の改善を目的とした「アルマ

ティ市自然災害防災計画」を策定している。また、地震災害施策に関しては、「カ」国大統領の下、2005 年

11 月に開催された地震被害と地震予測に関する会議を受けて、2006 年 3 月、首相令「カザフスタン国の地震

被害と地震予測に関する実施計画」が発表され、同計画には、最新技術による地震動予測、地震災害リスク

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評価、自動警報システム構築、観測機能の強化、緊急支援体制の強化等の必要性が明記されている。

(3)他国機関の関連事業との連携

国連開発計画(UNDP)は 2005 年から非常事態省を実施機関として、地震災害リスクの高い地域を対象とし

た災害管理プロジェクトを実施している。2006 年 9 月に終了したフェーズ I では、住民啓発・教育のための

教材、パンフレット等の作成、ビデオ及び子供向け PC ゲームの作成等、住民レベルに向けた災害予防の啓発

活動について現地 NGO を通じて協力を行った。現在実施中のフェーズ II では、人口、収入、GDP を基礎デー

タとしたアルマティ市およびアルマティ州におけるリスクマップの作成、アルマティ市郊外に立地する個人

住宅を対象とした住民向け耐震補強マニュアルを作成中であり、2007 年 5 月頃には報告書が完成する予定と

なっている。

本調査で作成するリスクマップは、上記 UNDP の成果品を活用し、地震に対する倒壊家屋数や火災延焼地域、

インフラ・ライフラインの危険箇所等の基礎データを投入した実用性の高いリスクマップ作成を目指す。

(4)我が国援助政策との関連、JICA 国別事業実施計画上の位置づけ

2004 年 8 月に川口外務大臣(当時)が中央アジアを訪問し、「中央アジア+日本」対話の枠組を立ち上げ、

「二国間関係の増進・緊密化」、「中央アジア全体との対話の推進」を外交の二本柱とする中央アジア政策を表

明した。さらに、この「中央アジア+日本」対話の枠組の中で第二回外相会合が 2006 年 6 月に東京にて麻生

外務大臣の議長により開催され、この枠組みにおける今後の協力について討議が行われ、「地域内協力」をは

じめとする協力の 5 つの柱を定める「行動計画」が採択された。その中で、中央アジアは洪水・土石流・地震

などの自然災害が頻発する地域として、今後、効果的な防災対策を構築するために地域内協力を進める重要

性を認識し、災害相互支援体制等を含めた共通の防災対策を策定する意図を表明している。

2006 年 9 月に作成された外務省国別援助計画では、「地域内協力」の具体的分野の一つである防災につい

て、地震・地すべり等の自然災害に対する対応能力強化のため、我が国の防災に関する知見の普及を重点分野

の一つとしている。

4.協力の枠組み

本開発調査は、アルマティ市における地震災害被害、その中でも特に直接被害の軽減を目的とし、アルマテ

ィ市地震防災対策計画とパイロット地域におけるコミュニティレベルでの地震防災対策計画の策定を行う。

フェーズ Iでは、地震関連資料・データ収集及び分析を行った後、アルマティ市全域の地震災害評価(ハザー

ド評価、脆弱性評価)を行うと共に、想定地震について災害シナリオを作成する。地震防災対策計画の重要な

構成要素であるハザードマップ及びリスクマップについては、地震災害評価に基づき、UNDP が作成した既存の

ものを改訂する。なお、事前調査時に、ハザードマップ及びリスクマップについて UNDP と協議を行い、UNDP の

成果品を利用することについて了解を得ている。

フェーズ II では、フェーズ Iの調査結果を基に、アルマティ市地震防災対策計画を策定する。さらに、パイ

ロット地域において、防災マップの作成、防災教育・防災訓練を行い、パイロット地域におけるコミュニティレ

ベルでの地震防災対策計画を策定する。

具体的な協力の枠組みについては、以下の通りである。

(1)調査項目

【フェーズⅠ:基礎調査の実施、地震災害評価、地震災害シナリオ作成及びハザードマップ、リスクマップ

の改訂】

1)基礎調査の実施

① 既存データの収集・整理・分析

・ 地震災害評価に関する基本資料(地形・地質、地下水、気象、地震観測、過去の地震災害、活断層、

土地利用、一般建築物、公共建築物、道路、橋梁、鉄道、上下水道施設、給湯施設、電力施設、ガス

施設、危険物施設、重要産業施設など)

・ 社会状況調査資料(国勢調査)

② 既存のボーリング資料の収集・整理・解析、活断層に関する資料の作成

既存ボーリング資料を収集・整理・解析し、地質・土壌特性及び地下水状況等を地質図、地質断面図

に取りまとめ、アルマティ市に影響を与える地震について検討を行う。

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iv

③ GIS(地理情報システム)設計方針の決定

統一管制センター内にあるコールセンターで使用されている既存の GIS を基に、ハザード

マップ・リスクマップ改訂に必要な防災情報データを検討し、GIS の構成を決定する。

④ GIS データベース作成

基本図(縮尺 1/5000)及び③で決定された防災情報データを GIS(防災情報データベース)

に取りまとめる。

2)想定地震に対する地震災害評価の実施

① ハザード評価(地震危険度評価)

地震被害の原因となる地震動や地盤の破壊について評価を行い、地震動、地盤破壊の予測

及び液状化の予測を行う。

② 脆弱性評価

1)①「既存データの収集・整理・分析」で収集した建築物・施設資料に基づき、それぞれ

の地震に対する脆弱性を評価する。

③ 地震災害シナリオの作成

ハザード評価及び脆弱性評価の結果に加え、気象条件や社会状況などを考慮し、災害シナリオ

を作成する。

3)既存のハザードマップおよびリスクマップの改訂

ハザードマップは、災害予測地図とも呼ばれ、災害の原因となる現象の影響が及ぶと予測される領域と、

災害を引き起こすインパクトの大きさなどを示す。

リスクマップは、時間帯別の人口分布と土地利用を考慮し、地震に対する倒壊家屋数や火災延焼地域等に

関して、被害想定がどのようになるかを示し、地震防災対策計画を策定するためのベースとなる。

4)技術移転セミナー開催(フェーズ I の成果発表)

近隣諸国(ウズベキスタン・タジキスタン・キルギス)の地震防災関連業務に携わる行政官を含めた

セミナーを開催する。

【フェーズⅡ.アルマティ市の地震防災対策計画の策定、パイロット地域におけるコミュニティレベルの地

震防災計画の策定と必要な提言】

5)アルマティ市の地震防災対策計画の策定

① 災害を軽減するための予防対策として、アルマティ市地震防災対策計画を策定する。

なお、以下の項目を重点事項として含むものとする。

・ 防災に関する組織・体制

・ 通信・連絡体制の強化

・ 緊急対応機能の強化

・ 土地利用規制・誘導

・ 建築物の耐震化および建築規制

・ インフラ・ライフラインの耐震化および規制

② 上記重点事項について、項目ごとに優先課題と解決策(案)を提示する。

6)パイロット地域におけるコミュニティレベルの地震防災対策計画の策定

旧ソ連時代より、コミュニティという意識が低く、防災に限らず、コミュニティ活動は活発ではない。

パイロット地域の選定については、カウンターパート機関や関連諸機関と協議の上、決定する。

① パイロット地域における防災マップ作成

② 選定されたパイロット地域において、住民へ配布するための防災マップを作成する。

防災マップは、ハザードマップに避難方法や災害対応方法等を明記したものであり、

住民の防災訓練に使用される。

③ パイロット地域における地震防災教育・訓練の実施

④ パイロット地域における地震防災対策計画の策定

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パイロット地域における地震防災対策計画を以下の事項を含むものとする。

・ 組織体制

・ 通信・連絡体制

・ 避難体制

・ 応急対応

・ 防災教育・訓練

7)アルマティ市防災局、地震防災関連諸機関の能力強化

フェーズ I、II の調査全般を通して、アルマティ市及び地震防災関連諸機関の能力強化を図る。

8)技術移転セミナーの開催(フェーズ II の成果発表)

近隣諸国(ウズベキスタン・タジキスタン・キルギス)の地震防災関連業務に携わる行政官を含めたセミナ

ーを開催する。

(2)アウトプット(成果)

① 地震災害に関する基礎データが収集・整理・分析される。

② 地震災害に関する基礎データが GIS システムで整理される。

③ 想定された地震の災害シナリオが作成される。

④ アルマティ市のハザードマップ、リスクマップが改訂される。

⑤ アルマティ市地震防災対策計画が策定される。

⑥ パイロット地域においてコミュニティ防災啓発活動(地震防災教育・訓練)が実施される。

⑦ パイロット地域における地震防災対策計画が策定される。

⑧ アルマティ市防災局、国立地震研究所、統一管制センター他において地震防災関連業務に

従事する職員の地震防災に関する能力が向上する。

⑨ 近隣諸国との地域間協力連携のため、地震防災関連業務に携わる行政官間のネットワークが

促進される。

(3)インプット(投入):以下の投入による調査の実施

1)コンサルタント(分野)

① 総括/防災対策/防災行政

② 副総括/地震防災計画/災害シナリオ

③ 地震解析・地震動予測

④ 地質/地盤

⑤ 建築構造/耐震補強

⑥ 道路・橋梁等の耐震評価

⑦ 上下水道・給湯・電力・ガス施設等の耐震評価

⑧ 地図/GIS/ハザードマップ・リスクマップ

⑨ コミュニティ防災

⑩ 土地利用・都市計画

⑪ 環境・社会配慮

2)その他 研修員受入れ

① カウンターパート研修の実施

② カウンターパート機関職員、「カ」国及び近隣諸国の地震防災関連機関の職員を対象と

したセミナーの開催

③ 調査に必要な機材(事務機器等)の購入

④ 現地再委託

・既存ボーリング資料の収集・整理・解析による地質図、地質断面図の作成

・パイロット地域におけるコミュニティ防災の実施

5.協力終了後に達成が期待される目標

(1)提案計画の活用目標

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vi

① アルマティ市地震防災対策計画が市議会に承認される。

② アルマティ市における地震防災対策のための活動が実施機関(アルマティ市防災局)により

促進される。

③ パイロット地域において継続的にコミュニティ防災活動が実施される。

(2)活用による達成目標

① アルマティ市地震防災対策計画に示される防災関係諸機関の連携が行われる。

② 防災関連組織間の連携が促され、防災のための技術、資材、人材、情報が効率的に活用される。

③ パイロット地域で行われるコミュニティ防災活動が、他の地域で適用、継続される。

④ アルマティ市において地震被害が減少する。

6.外部要因

(1)協力相手国内の事情

a) 政策的要因:開発政策の変更による提案事業の優先度が低下しないこと

b) 行政的要因:行政改革による各行政機関の業務分掌が大幅に変更されないこと

行政機関間の調整の不備がないこと

必要な情報が問題なく提供されること

c) 経済的要因:「カ」国内外の経済状況が悪化しないこと

d) 社会的要因:治安が悪化しないこと

(2)関連プロジェクトの遅れ

特に該当なし

7.貧困・ジェンダー・環境等への配慮(注)

一般的に社会情報から孤立する障害者、高齢者、女性や子供などは災害弱者として被害にあう可能性は高い。

調査に当たっては、このような社会的弱者の防災教育・普及活動や避難訓練への参加促進、誰もが利用できる防

災マップの作成、誰もが接することのできる警報や情報伝達など、社会的弱者に十分配慮した活動を行う。

8.過去の類似案件からの教訓の活用(注)

「カ」国内で実施している同様の調査、プロジェクトにおいて、通訳の投入不足により、カウンターパート

機関とのコミュニケーションに支障をきたしているケースがある。本調査の実施にあたっては、各分野の投入

時期と調査内容を十分把握した上で、業務に支障が出ないよう適切な通訳投入を行うものとする。

縦割り社会という旧ソ連の体制が現在もなお残っており、関連機関間の連携は言うまでもなく、同一機関内

においても、職種の異なる職員間のコミュニケーションは良好とは言えない状況である。本調査で設置される

ステアリングコミッティーを通し、関連機関間や担当者間の連携構築・強化のための策を検討する。また、

ワークショップ/セミナー開催時には、近隣諸国の地震防災関連機関へも参加を促し、地域間協力のネットワー

クの促進に取り組む。

9.今後の評価計画

(1)事後評価に用いる指標

a) 活用の進捗度

① 優先プロジェクトの事業化に向けた予算、人員の確保等の実施体制の整備状況

② パイロット地域コミュニティの防災活動の継続状況

③ カウンターパート機関による他地域へのコミュニティ防災活動普及状況

b) 活用による達成目標の指標

① アルマティ市における災害犠牲者数(地震災害が発生した場合)

② アルマティ市における災害被害総額(地震災害が発生した場合)

③ 優先課題の解決に向けた活動(もしくは事業化)数

④ パイロット地域と同様の防災マップ作成数

⑤ パイロット地域と同様のコミュニティ防災活動が開始された他の地域の数

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vii

(2)上記 a)および b)を評価する方法および時期

① フォローアップ調査によるモニタリング

② 調査終了後 2 年後以降に評価を実施する。

(注)調査にあたっての配慮事項

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あああああああ

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1

第1章 事前調査概要

1-1 要請背景

カザフスタン国(以下「カ」国)(面積:272 万 k ㎡、人口:1,510 万人、一人当たり GNI:

2,930 ドル/2005 年統計)の南部及びアルマティ市を含む南東部は、これまで繰り返し地

震が発生し、甚大な被害に見舞われてきた。1987 年のベルニー地震(マグニチュード 7.3)

以降、「カ」国南部・南東部での大規模な地震被害は 6 件以上にものぼる。最近では、2003

年に、南部の Zhambyl 州で発生したルゴブスコイ地震(マグニチュード 5.4)によって同地

区に住む住民約 6 万人のうち 4 万人が被災し、同地区の住宅や公共施設の約 80%が被害を

受け、約 2万人以上が家を失うという大被害を受けた。地震発生の可能性が高い南部・南東

部の地域には、国民の約 3 分の 1 に当たる約 600 万人が暮らしており、この地域は国全体

の工業生産高の 40%以上を担っている。南東部に位置するアルマティ市(旧首都)は、人

口約 130 万人を擁し、今もなお「カ」国の商業、金融、文化の中心地である。「カ」国では、

アルマティ市周辺で大規模な地震が発生した場合、死者約7万 5千人、負傷者は約 30 万人

にのぼり、家屋やインフラ・ライフライン施設は壊滅状態となり、莫大な社会的・経済的

損失が生じると予測している。

「カ」国では、国立地震研究所が中心となって地震観測の強化を進めており、JICA は 2000

年から 2003 年にかけて「カ」国政府による要請に基づき、国立地震研究所をカウンターパ

ートとして「アルマティ市における地震防災及び地震評価に関するモニタリング向上プロ

ジェクト」を実施した。同プロジェクトでは、地震観測、GPS(全地球測位システム)観測

により地震及び地形データの収集・分析を継続的、効率的に行うための協力を行い、「カ」

国の地震観測能力強化に貢献した。

現在、「カ」国政府は、都市の脆弱性を軽減し地震災害を緩和するための取り組みを行っ

ているが、将来、繰り返し起こると予測される地震に対し、社会、経済、財政への影響を

緩和するためには、地震災害リスク評価を行った上で、包括的な地震防災対策を策定する

必要がある。また、2004 年 8 月の「中央アジア+日本」対話で採択された「行動計画」の

中で、主要な協力の柱である「地域内協力」の具体的分野として防災が挙げられ、地域間

協力を含めた取り組みも求められている。しかしながら、地震災害に対する緩和策を策定

するための技術・知識・経験が十分に備わっていないことから、豊富な経験と知見を有す

る日本政府に対し地震防災能力の向上を目的とする開発調査を我が国に対して要請した。

この要請に基づき、当機構は、2007 年 2 月~3月にかけて事前調査を実施し、C/P 機関であ

るアルマティ市と日本政府との間で要請内容を協議の上、S/W にて確認し、署名を行った。

1-2 事前調査目的

本件調査に係る要請背景、要請内容、関連計画との整合性、先方政府の意向、受入体制

を確認するとともに、現地踏査、資料収集等を行い、我が国の協力方針・方法の検討を踏

まえ、本格調査のための S/W、M/M 協議及び署名することを目的として事前調査を行う。

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1-3 事前調査団の構成

氏名(官団員) 担 当 所 属 派遣期間

三村 悟 総括 JICA 地球環境部第三グループ(水資

源・防災)防災チーム チーム長

2 月 20 日~3月 2日

寺西 章裕 防災行政 アジア防災センター 主任研究員 2 月 19 日~3月 2日

野村 陽子 調査企画 JICA 地球環境部第三グループ(水資

源・防災)防災チーム ジュニア専

門員

2月 19日~3月 12日

役務団員 担 当 所 属 派遣期間

北嶋 秀明 地震防災計画 ETRA 環境技術研究所 2月 20日~3月 12日

渡部 義昭 GIS・ハザードマッ

プ

有限会社沿岸測量技術研究所 2月 20日~3月 12日

塚本 哲 地震防災リス

ク評価/地盤

国際航業株式会社 2月 26日~3月 16日

小泉 伸容 構造物被害・

耐震

(株)コンセイユ 2月 20日~3月 12日

小林 淳子 通訳(ロシア

語)

日本国際協力センター(JICE) 2月 20日~3月 16日

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1-4 調査日程

月 日 官団員 役務団員

1 2/19(月) 【小林、野村】 成田発(10:00) JL951→インチョン着(12:45)、【寺西】 関空発(13:00) OZ111

→インチョン着(14:55)

【寺西、小林、野村】インチョン発(16:20) KC910→アルマティ着(20:05)

10:00 駐在員事務所表敬・説明、日本センター訪問

11:30 アルマティ市副市長表敬

12:00 アルマティ市防災局表敬、打ち合わせ

16:00 非常事態省アルマティ地方支局表敬

2 2/20(火)

【三村、北嶋、渡部、小泉】成田発(18:10) JL789 → 北京着(21:20)

【三村】北京発(00:30) KC888→アルマティ

着(04:15)

【三村、寺西、小林】アルマティ発(09:35)

KC851→アスタナ着(11:20)

【北嶋、渡部、小泉】北京発(00:30) KC888

→アルマティ着(04:15)

3 2/21(水)

13:00 JICA カザフスタン連絡事務所訪

15:00 非常事態省国際関係局、非常事態

準備計画局表敬

17:00 経済予算計画省投資計画局(援助

窓口)表敬

【役務団員 3 名、野村】

10:00 国立地震研究所訪問

12:00 耐震工学研究所訪問

(KazNIISSA)

14:00 地質センター訪問

16:00 アルマティ市防災局打ち合わせ

18:00 団内打ち合わせ

10:00 カザフスタン日本国大使館表敬 【役務団員 3 名、野村】

10:00 建築・土木アカデミー(KazGASA)

訪問

12:00 水文気象センター訪問

15:00 アルマティ水文地質国営会社訪問

18:00 団内打ち合わせ

4 2/22(木)

アスタナ発(15:40) KC854→アルマティ着(17:20)

5 2/23(金) 09:30 アルマティ市現地視察(ヘリコプター視察)

15:00 国連開発計画(UNDP)訪問

18:00 団内打ち合わせ

6 2/24(土) 09:00 現地踏査(新築の公営団地、小学校建設現場、耐震基準を取り入れた学校、耐

震補強した学校、取り壊し予定の建物及び道路橋)

16:00 団内打ち合わせ

7 2/25(日) 09:00 団内打ち合わせ(S/W、M/M) 資料整理

10:00 S/W、M/M 協議(第 1 回)

14:00 アルマティ市防災局人事・組織課

17:00 団内打ち合わせ

8 2/26(月)

【塚本】成田発(10:00) JL951→インチョン着

(12:45)、インチョン発(16:20) KC910→アルマティ着

(20:05)

09:30 S/W、M/M 協議・修正(第 2回) 10:30 アルマティ市建設局 9 2/27(火)

14:30 No.051 統一管制サービス(Crisis Center)訪問

19:00 団内打ち合わせ

09:30 S/W、M/M 協議・修正(第 3回) 10:00 10 2/28(水)

14:00 Debris-flow Protection Service “Kazselezaschita”

16:00 Scientific-and-Production Centre “Prognoz” and NGA《MAN & ELEMENT》

19:00 団内打ち合わせ

09:30 S/W、M/M 協議・修正(第4回)

16:00 S/W、M/M(署名)

10:00 Department of energy and Public

Utilities

14:00 国家建築建設管理(GASK)

11 3/1(木)

19:00 団内打ち合わせ

12 3/2(金) 09:30 現地視察(メデウダム他) 10:00 地質学・地震学研究所(KazGIZ)

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15:00 S/W、M/M 署名 14:00 上下水道国営会社(Bodokanal)

【寺西】アルマティ(01:20)OZ5785→インチョン

(09:50)、インチョン(12:25) JL962→関空

(14:05)

【三村】アルマティ(19:00)KC897→

17:00 団内打ち合わせ

13 3/3(土) 現地踏査(建設工事現場、老朽化した建物、貯水池、河川ほか)

14 3/4(日) 書類整理 資料分析・書類整理(打ち合わせ)

【野村、小林】

09:30 S/W、M/M の報告(防災局長)

【北嶋、小泉】

09:30 防災局 人為災害部

11:00 防災局 動員・民間防衛部

14:00 有限会社プロジェクト調査センタ

ー「TRANSSTROIPROEKT」

【塚本、渡部】

09:30 防災局 人為災害部

11:00 防災局 動員・民間防衛部

15:00 Aero アサヒ・コーポレーション

15 3/5(月)

18:30 団内打ち合わせ

【北嶋、小泉、小林(午後)】

10:00 KazNIISSA

14:30 Department of Building Seismic

Resistant Construction Safety

17:00 防災局

【塚本、渡部、小林(午前)】

10:00 統一管制サービス「051」

15:00 UNDP

17:00 防災局

16 3/6(火)

18:30 団内打ち合わせ

【北嶋、小泉、小林】

09:00 建設局

10:30 住宅局

14:30 建築・都市計画局

16:00 Center of sciences about the

Earth, metallurgy and enrichment

【塚本、渡部】

09:00 Kaz Geo Cosmos

10:30 地質研究所

14:30 Firm Laton ltd.

16:00 Center of sciences about the

Earth, metallurgy and enrichment

17 3/7(水)

18:00 団内打ち合わせ

18 3/8(木) 09:30 現地踏査(メデウダム、再開発地区

ほか)

19 3/9(金) 09:30 現地踏査(インフラ・ライフライン

ほか)

資料分析・書類整理(打ち合わせ)

20 3/10(土) 10:00 事前調査報告書及び本格調査業務

にかかる打ち合わせ

21 3/11(日) 【北嶋、小泉、塚本、渡部、小林】

10:00 国立地震研究所

12:00 非常事態省アルマティ地方支局

14:00 不動産センター

14:00 Kaz Geo Cosmos (渡部)

15:00 Kazselezchita

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17:00 アルマティ市防災局

18:15 団内打ち合わせ

【野村】アルマティ(06:10)KC909→インチョン

(14:40)、インチョン(17:10)OZ106→成田

(19:30)

【北嶋、小泉、渡部】アルマティ(06:10)KC909

→インチョン(14:40)、インチョン(17:10)OZ106→成

田(19:30)

22 3/12(月)

【塚本、小林】

10:00 国立地震研究所

12:00 アルマティ市防災局

14:00 国立地震研究所

23 3/13(火) 10:00 アルマティ市防災局

11:00 地質会社(Kazgiiz)

13:00 現地踏査

24 3/14(水) 資料整理

25 3/15(木) 09:00 現地踏査

13:00 アルマティ市防災局

26 3/16(金) アルマティ(00:20)OZ5785→インチョン、インチョン OZ104

→成田

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第2章 S/W協議の内容及び結果

2-1 協議内容及び結果

事前調査団は携行した S/W 案に基づき、カウンターパート機関となるアルマティ市の防

災局(Department for Mobilization, Preparation, Civil Defense, Prevention and

Liquidation Organization of Emergencies and Disasters)と協議を行い、調査内容に関

し合意に至ったため、3月 2日にアルマティ市防災局を含め各局の長であるアルマティ市長

と事前調査団三村団長との間で本格調査実施にかかる S/W 及び M/M(協議議事録)の署名・

交換を行った。

主な協議内容は以下のとおりである。

(1)S/W

1)Scope of Work について

先方より、地震マイクロゾーニングの実施、地震被害予測のための統一情報コンピ

ューターシステムの構築、地震による地すべり予測および低減策の策定、二次災害の

予測と予測マップ作成および二次災害防止のための提言、地震による土石流の予測と

危険度予測、日本のハイテク技術導入と適用、コンピューターによる啓発システム

(例:地震体験ゲーム)からなる7つの提案を受けた。上記提案については、現地調

査前に配布した質問表の回答として JICA 連絡事務所を通じて受領したものと同一内容

であるが、要請書内容とはかけ離れていること、地すべり・土石流の予測だけでひと

つの開発調査として成り立ち、規模が大きすぎることから、本格調査では扱わない旨

を伝え、基本的に合意を得た。マイクロゾーニングについては、フェーズ II でパイロ

ットプロジェクトを行う地域については実施することになるので、これをカザフスタ

ン側で市内各地域に拡大する努力をすべきであると伝え、理解を得た。また、地震に

よる土石流に関する調査については、現存するダムを公共構造物のひとつとして耐震

強度やスペックを調査に含める方針であることを伝えた。

2)アルマティ市側負担事項について

負担事項の責任機関として、アルマティ市を代表してアルマティ市防災局が責任を

もって各事項を遂行する旨、表現の変更について先方より依頼があった。直接のカウ

ンターパート機関はアルマティ市の防災局であることから、表記の変更に応じた。

(2)M/M(協議議事録)

1)案件名について

調査対象地域がアルマティ市であることを先方との間で確認し、案件名(英語標記)

と調査内容の整合性については、調査内容に合う形で変更したい旨提案し、先方より

合意を得、M/M で確認した。

なお、案件名については、下記のとおりである。

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新)カザフスタン国「アルマティ市地震防災対策計画調査」

The Study on Earthquake Disaster Risk Management for Almaty City in the

Republic of Kazakhstan

旧)カザフスタン国「アルマティ地震防災対策計画調査」

The Study on Earthquake Disaster Risk Mitigation for Almaty in the Republic

of Kazakhstan

2)防災用語の定義について

英語とロシア語の翻訳に際し、解釈の違いから直訳できない防災用語が存在するこ

とより、お互いの理解の相違による混乱を避けるため、本格調査開始時に用語の定義

について確認を行うことで合意し、M/M で確認した。

3)ステアリングコミッティーについて

ステアリングコミッティーの位置づけ及び役割について説明を行い、メンバー対象

となる機関の提案を行った。当初、先方からは中央省庁をメンバーとして含めること

に難色を示していたが、今後の援助要請先(ドナー国や機関)に関し可能性を広げる

ためには、中央省庁の関係を無視することは困難である旨伝え、基本的に理解を得た。

また、アルマティ市がステアリングコミッティーの委員長となるが、先方より開発調

査と深く関わる局として、カウンターパート機関である防災局と経済予算計画局

(Department of Economic and Budget Planning)を明記してほしい旨要望があった

ため、これに同意し、M/M で確認した。

4)カザフスタン国側負担事項について

アルマティ市側の負担事項として、調査団の事務所スペース、電話(国内・海外)

及びインターネット環境の確保、また、調査団員につき最低1名以上のカウンターパ

ートの配置を明示した。先方負担事項については、限られた予算の中から上記の要請

を受けることは困難との発言があったが、開発調査は一方的な日本の事業ではなく、2

国間の共同事業であり、先方についても相応の負担が不可欠である旨を伝え、基本的

に理解を得た。なお、調査団の事務所スペースについては、3月中に回答する旨を M/M

で確認した。

5)予算について

開発調査期間約 19 ヶ月に対し、約 2 億 8000 万円の予算とするが、今後の調査過程

や日本側の予算計画時において変更が生じる旨を伝え、M/M で確認した。

2-2 問題点及び考察

(1)データ、資料の使用権について

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関連機関との訪問・調査を進めるにあたり、データや資料の使用権に関し、カウンタ

ーパート機関であるアルマティ市に問い合わせがあった。アルマティ市からは関連機関

に対し、資料の提供を命令、強制する権限がないことから、本事項に関して解決策を JICA

側に依頼してきた。本来は、アルマティ市及びカザフスタン政府の問題であり、解決し

てもらうべき事項であるが、アルマティ市のみの権限では解決困難であることが予想さ

れるため、JICA としても国際援助窓口である経済予算計画省より各関係機関に協力を促

してもらうなど何らかの手段を講じる必要があると考えられる。また、市場価値のある

情報に関しては、購入するということも一手段として念頭に置く必要があるかと思われ

る。

2-3 主要面談者リスト

【カザフスタン側出席者】

アルマティ市防災局 (Department for Mobilization Preparation, Civil Defense,

Prevention and Liquidation Organization of Emergencies and Disasters)

Mr. Baurzhan ISKAKOV Director

Mr. Sergei KPMAROV Deputy Director

Mr. Seit TULYBAEV Head, section of analysis and planning

Ms. Zeinegul AZHFANOVA Head, section of emergency situation natural disposition

【日本側出席者】

事前調査団

三村 悟 団長

寺西 章浩 防災行政

野村 陽子 調査企画

小林 淳子 通訳

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あああああああ