システム ソフトウェア開発における 品質保証の未来! ·...

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1 © 2015 IBM Corporation QIL-TT: Quality Innovation Lab. Tools & Technologies IBM Research-Tokyo システム/ソフトウェア開発における 品質保証の未来! -- Vol.01 未来の人工知能の品質保証と安全について -- Nobuhiro Hosokawa ([email protected]) IBM Research Tokyo. IBM Japan Ltd.

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QIL-TT: Quality Innovation Lab. Tools & TechnologiesIBM Research-Tokyo

システム/ソフトウェア開発における品質保証の未来!-- Vol.01 未来の人工知能の品質保証と安全について --

Nobuhiro Hosokawa ([email protected])IBM Research Tokyo. IBM Japan Ltd.

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本日の趣旨

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人工知能は今「どこまで」実現できているか?人工知能は何が問題か?未来の人工知能は?IoTの次はなんて言う?次に流行る言葉たち

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コンピューティングの変革期

人工知能の発展(AI : artificial intelligence)

深層学習の急激な進歩

• コンピュータの処理能力の向上• 自由に使える莫大なデータ• 開発環境のオープン化

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IBMの量子コンピュータが出来上がりつつある

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Swarm Intelligence: 群知能 群知能(ぐんちのう、むれちのう、Swarm Intelligence, SI)は、分権化し自己組織化されたシステムの集合的ふるまいの研究に基づいた人工知能技術である。「群知能」という用語は、1989年Beni および Wang が提唱したもので、セルラーロボットシステムに関して使ったのが最初である[1](セル・オートマトン、進化的計算も参照されたい)。

SIシステムは一般に単純なエージェントやボイドの個体群から構成され、各個体はローカルに互いと、そして彼らの環境と対話する。個々のエージェントがどう行動すべきかを命じている集中的な制御構造は通常存在しないが、そのようなエージェント間の局所相互作用はしばしば全体の行動の創発(emergence)をもたらす。このようなシステムの自然界の例として、アリの巣、鳥の群れ、動物の群れ、細菌のコロニー、魚の群れなどがある。

群ロボット工学は群知能の考え方を多数の安価なロボット群に適用するものである。 (出典:Wikipedia)

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AIS: Artificial Immune System(人工免疫システム)

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IoT時代が直面するセキュリティの脅威Anything that is connected to the Internet can be hacked.

Everything is being connected to the Internet.

12Source: IDC, “Worldwide and Regional Internet of Things 2014-2020 Forecast Update by Technology Split”

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
Why How What
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IBMが2012年に当時,世界最速のスーパーコンピュータを使って、ヒトの脳の5倍の規模(500×10億ニューロン・100×10京シナ

プス)のニューラルネットワークのシミュレーションを実施.

結果 : 計算時間が実時間の1,500倍遅かった

人工知能は今どこまで実現できているのか?

「人間ひとり相当のリアルタイムな深層学習をノイマン型コンピュータで実現するためには?」

• 莫大な計算能力 6Exa FLOPS 4億8千万個のプロセッサコア 480ペタバイトのメモリー 29,491,200のコンピュータノード

• 巨大な設備空間 東京ドーム1.8個相当の設置面積

• 膨大な消費エネルギー 2.4GWhの電力を消費 120万キロワットの原子炉が2つ必要

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ニューロモーフィックデバイスとは?

• 生物の脳の仕組みを模した回路で構成する半導体• 深層学習に必要なニューラルネットワークをハードウェアで実現• 極めて高い動作効率が実現できる

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ニューロモーフィック・デバイス の特徴

Minimizing Active Power Real-Time Operation

ScalabilityDefect Tolerance

クロック周波数に依存しないイベント・ドリブンの動作回路

動作時の消費エネルギーが極めて少ない

高いリアルタイム性能

実時間での物体認識を実現

高いスケーラビリティ

1つのデバイスから数万個のデバイス連結まで対応

高い欠陥耐性と信頼性

製造プロセスのバラツキやランダム欠陥に高い耐性

&並列化による冗長性

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ニューロモーフィック・デバイスの課題 〜活用〜

• ソフトウェア開発環境の充実 これまでの一般的なソフトウェア開発とは大きく異る開発環境 プログラミング言語 : CoreletがMatlab上で動作 シミュレーター : Compass

• 人材の育成 ニューラルネット,深層学習の深い知識 ニューロモーフィック・デバイスの知識

• 品質保証 従来のシステム検証手法が適用できない 実世界の状況に応じて挙動の正しさが変わってくる - 普遍性を求めることが難しい

品質や信頼性の定義はまだこれから –検証シナリオの爆発的な増大

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Chapter #02人工知能について

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人工知能の現在の限界点と「結果のテスト」

ズル賢いキツネが、自惚れ屋のカラスに歌を歌ってくれるよう頼んで、カラスがくわえていた食べ物を騙し取る、というお話があります。

「カラスさんはいつもいい声で歌うんだよね?聞かせてよ」

こう言われたカラスはくわえていたエサを地面において気持ちよく歌い始めます。

カラスとキツネの寓話

このお話を子供にするとします。この時、子供が正しくこの寓話を理解したかを確認するためには次の質問をするといいでしょう。

「キツネは、カラスが素敵な歌声をしていると思っていましたか?」出典:コンピュータには何ができないか―哲学的人工知能批判, ヒューバート・L. ドレイファス (著), Hubert L. Dreyfus (原著), 黒崎 政男 (翻訳), 村若 修 (翻訳)産業図書 (1992/04) ISBN: 978-4782800690

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シンギュラリティ(Singularity)という言葉についてシンギュラリティー=技術的特異点とは?

人類の技術開発の歴史から推測して得られる未来のモデルの正確かつ信頼できる限界(「事象の地平面」)を指す。「強い人工知能」や人間の知能増幅が可能となったときが技術的特異点になると考えられている。特異点の後では科学技術の進歩を支配するのは人類ではなく強い人工知能やポストヒューマンとなり、従って人類の過去の傾向に基づいた変化の予測モデルは通用しなくなると考えている。

出典:http://www.godandscience.org/doctrine/singularity_movement.html

人工知能が全人類の

処理能力を超える点は2045年に到来する

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膨大な情報源

キューバは、フロリダ半島の145km南に位置する。

質問応答システムWatsonとは?

米国が外交関係を持たない世界の4ヶ国のうち、この国は最も北にあ

外交関係

問われている内容の解析

米国-外交ない-国この国-ある-北

???

解答候補の生成

ブータン?キューバ?イラン?北朝鮮?

根拠の探索と確信度の計算

ブータンは未だに米国、中国、ロシア、英国、フランスとの外交関係はない

最も確信度の高い解答

北朝鮮

問題 解答これだけの計算を数秒以内に実行

問題(文)の内容を分析して、事前に収集された大量のテキスト情報から問題の解答候補とその根拠・確信度を計算し、高い確信度の候補が得られた場合に解答する、という一連の知的処理を高速に実行するコンピューター・システム

2x5 = 10ラック(うち1ラックは制御用)、100ノードで構成各ノードは4個のPOWER7チップから構成され, 各チップは8個のCPUコアを含む → 合計2,880コア合計15TBのメモリ搭載、80TFLOPSの処理能力

キーワード+

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
ちなみに国交のない4ヶ国はブータン、イラン、北朝鮮、キューバだったが、今月キューバと国交回復 スピーカーノート(必須要件&注意事項含、社外配布不可) IBMが研究開発したWatsonと呼ばれる質問応答システムは、与えられた質問文の内容を分析して、大量の文書の中から質問の解答の候補とその根拠および確信度を計算し、高い確信度の候補が得られた 場合に解答する、という一連の知的処理を高速に実行するコンピューター・システムです。 基になっている技術は、質問応答、という技術です。質問応答とは、ユーザーが知りたいことを尋ねると、それに対する答えを返すもので、通常の検索エンジンとは全く異なるものです。また、記憶容量にモノをいわせて質問と解答を丸暗記したりするようなデータを構築したわけではありません。 たとえば、今画面でご紹介している「外交関係」に関する質問に対する答えを導き出すとき、Watsonに採用されている質問応答技術は、まず問われている内容の解析を行うことによって何を質問されているかを判断します。 Watsonは、私たちと同様、英語を母国語としていませんので、まず、英語で書かれた質問文から、何を質問されているかを判断します。質問文の構文には非常に多くのバリエーションがあり、特定の型にあてはめることはできないため、正確な構文の解析が必要となります。 なお、Watsonには音声認識機能が搭載されていないため、質問文のテキストがファイルとして入力されます。 次に、Watsonに蓄積された情報源の中から解答候補を生成し、解答候補の根拠を探索し、確信度を計算します。 Watsonには、ニュース記事、百科事典、ブログ記事といった文書に加えて、辞書、語彙体系など、予め大量の情報源が蓄えられています。また、インターネットには接続されていません。質問文に対する解答となりそうな語句、特に質問と関連が深い語句をそれらの文書から推定し、解答の候補として数百から千個ほど列挙します。それらが質問文の解答としてふさわしいかどうかを調べるために、文書や辞書の中からその「根拠」となる記述を探します。 そして、Watsonは、解答候補の中から確信度の高いものを解答として導き出します。 人間の解答者は「自分はこの質問に答えられる」ということを直感的にわかった上でボタンを押します。一方で、コンピューターはそのような直感を持っていないので、質問に対する解答が正しいと判定できる根拠が文書の中にどれだけ見つかったかを計算し、自信の度合いを数値化します。 この一連の作業を数秒以内に実行し、Watsonは質問に答えていたわけです。もう気づかれたと思いますが、キーワード検索結果として表示されたキーワードを含む文書のURLの中から内容を人間が一つ一つチェックしてユーザー自身が判断して正しい答えを導き出す通常の検索エンジンとは明らかに異なります。 このような処理は、一般的には質問応答(question answering)技術として従来から研究されてきたものですが、Watsonのように人間の解答者と競えるような高い精度を実現する手法は存在しませんでした。
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Chapter #03人工知能の功罪

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人工知能の危機感

彼らは人工知能の良い意味での可能性も十分認めつつ、テクノロジーがコントロール不能になれば脅威となりうるという問題も提起しています。人工知能に関する一般の理解が足りないとして警告しています。

「そのようなテクノロジーは、金融市場の裏を書いたり、人間の研究者より優れた発明をしたり、人間の指導者を越えて人心を操作したり、理解できないような武器を作ったりするかもしれない」とテグマーク氏らは書いています。「人工知能の短期的な影響は誰がコントロールするかに依存するものの、長期的な影響は、そもそもコントロール可能なのかどうかという問題になる。」

またボストロム氏も、スーパー人工知能は独自の技術的・根本的な難題を提起していて、特に「コントロール問題」が最重要だと言っています。

「人工知能システムが非常にパワフルになるという、もっともらしいシナリオがあります」と彼は言います。「そしてコントロール問題に関しても、一見もっともらしい解決方法があります。そのアイデアはパッと思い浮かぶのですが、よくよく見ると、うまくいかないことがわかります。つまり今のところ、より良いコントロールの仕組みをどう作るかという問題は未解決のままなのです」

そしてボストロム氏は、今後その解決の難しさがはっきりするだろうといいます。というのは我々は、スーパー人工知能を使ったシステムを作る前に、それをコントロールする仕組みを用意する必要があるからです。

ボストロム氏は、コントロール問題に関する根本的・技術的な課題解決を進める新たな研究分野の創設、その分野に対する数学やコンピューターサイエンスのトップ研究者の参画を呼びかけています。

彼はまた、人工知能を開発する研究者と、その安全性を考える研究者の協力の必要性も訴えました。さらに全関係者

http://www.gizmodo.jp/2015/10/post_18578.html

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人工知能の二つの「恐怖」?

1)過度に依存する危険性• 中身はニューラルネットワーク=ブラックボックス。人工知能が「どう考えたか」を可逆遡

及して検証することは難しい• 思考の正当性が証明しにくい=暴走を止める事・予知すること・暴走後に原因を追求す

ることができない

2)労働・職を奪われる不安• 労働シフト(例:農業→工業の産業革命等)と同じように単純労働からの解放を目的と

する意見• 単純労働者が職を奪われる可能性は十分にある• 単純労働=知能の代替という意見。• スーパーのレジは「無人POSレジ」に代替されている

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人工知能の危機感: そもそも正しさの証明なんてできない?ニューラルネットワーク(神経回路網、英: neural network, NN)は、脳機能に見られるいくつかの特性を計算機上のシミュレーションによって表現することを目指した数学モデルである。

研究の源流は生体の脳のモデル化であるが、神経科学の知見の改定などにより次第に脳モデルとは乖離が著しくなり、生物学や神経科学との区別のため、人工ニューラルネットワーク(人工神経回路網、英: artificial neural network, ANN)とも呼ばれる。

問題はニューラルネットワークの可塑性の「検証」ができないこと。

(=人工知能がどう判断してどう結論づけたかが後から追求できない)

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人工知能の現在の限界点: 人工知能でないものを人工知能として販売

Siriの「割り勘」機能

出典:http://news.mynavi.jp/articles/2015/11/13/ipadiphonehacks/

・iPhoneでSiriを起動

・「割り勘」と音声で入力

・お勘定を聞かれるので金額を音声で入力

・人数を聞かれるので人数を音声で入力

・一人あたりの支払い金額が出力される

これは人工知能か?

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Chapter#4 テストできるものならやってみろ

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– HBR記事の安宅氏によると機械学習をベースにしたAIの利用には主に以下の三つに分けられる。

(1)識別情報の判別・仕分け・検索(言語、画像ほか)

音声、画像、動画の意味理解

異常検知・予知

(2)予測数値予測

ニーズ・意図予測

マッチング

(3)実行表現生成

デザイン

行動の最適化

作業の自動化

人工知能にできること:「識別」「予測」「実行」

http://blog.btrax.com/jp/2015/11/23/ai-02/

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事例1)機械学習したツイートBotの「差別発言」

Microsoft ツイートBotの”Tay”

– 2016年3月: マイクロソフトはオンライン・ツイッターロボットであるTay(発音は”テイ”)の運用を開始しました。彼女は”モデル化され、学習済+フィルター済)の パブリックデータを元にユーザーと個別にお話・会話できるように設計されていると発表公開されました。

– しかし、実際はオンラインを通じて彼女=Tayに悪意のある差別的発言を教え込むことで、実際のリアクションとして対話的な発言をするようにTay自身を学習させてしまいました。

– 現段階でこのような悪い学習を行わせない、学習データとして入力を受け付けない方法を検討しているそうですが、今後機械学習アルゴリズムにより意思決定など、この分野以外の適用分野(例:交通、金融、物流、ヘルスケアの分野)など様々な分野で利用されていくのです。このときに重要な点は「システム機能の保証」のみならず、意思決定の品質精度は最終的にはデータの「インテグリティ」に依存してしまいます。

– 「敵意ある機械学習(Adversarial Machine Learning)」という新しい分野は研究分野として確立しておらず、新しい領域です。特に公開された参考文献などがほとんどありません。

–データインテグリティ(各種の改ざん、偏向データ、不十分なデータでない事をどう保証しますか?

• どうやって機械学習プロセスの品質を保証しますか?

• どうやってデータの品質をテストしますか?

• 最終的に品質を保証する方法はありますか?

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事例2)テスラの自動車事故

• どうやって機械学習プロセスの品質を保証しますか?

• どうやって修正後のアルゴリズムの「正しさ」をテストしますか?

• 「空の色で誤認しない」テストが実施できるか?23

source: http://electrek.co/2016/07/01/understanding-fatal-tesla-accident-autopilot-nhtsa-probe/

• 逆光で空の色に溶けたトレーラーの色を従来の画像認識アルゴリズムでは識別できなかった事例。

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事例3)ドローン兵器

• 殺傷能力をどのようにテストしますか?

• 安全に自軍から射出できることをどうやって保証しますか?24

source: http://www.gizmodo.jp/2016/10/isis-is-using-hobby-drones-to-kill-people.html /

• 爆撃機の一部として

• 体当り(カミカゼ機)として

2016.10.17の記事ISISが市販ドローンを爆撃機として使用、初の死亡者が確認される

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AI研究開発ガイドラインの組織化に向けた提言(2016/10/12)

”AI研究開発ガイドライン“に記載された「原則」 透明性原則 (Principle of Transparency)

– AIネットワークシステムはその挙動が説明でき, 検証可能であること

ユーザー・アシスト原則 (Principle of User Assistance)– AIネットワークシステムは利用者をサポートし、適切な選択権をユーザーに提供よう配慮されていること

制御可能性原則 (Principle of Controllability)– AIネットワークシステムは、人間によって制御可能であること

セキュリティー原則 (Principle of Security)– AIネットワークシステムは、堅牢性と信頼性を有すること

安全性原則 (Principle of Safety)– AIネットワークシステムは、利用者や第三者の生命・身体的脅威となりえないように配慮がなされていること

プライバシー原則 (Principle of Privacy)– AIネットワークシステムは、ユーザーと第三者のプライバシーを侵害しないように配慮されていることあ

倫理原則 (Principle of Ethics)– 人間の尊厳とネットワークに接続するAIの研究開発を行う上で個人の自主性(自律性)を尊重すること

アカウンタビリティー原則 (Principle of Accountability)– AIの研究者・開発者は、ネットワーク分散されたAIであっても、ユーザー(やその他の受益者)に対して説明責任を果たさなくてはならない。

Referring OECD guidelines governing privacy, security, and so on, it is necessary to begin discussions and considerations toward formulating an international guideline consisting of principles governing R&D of AI to be networked (“AI R&D Guideline”) as framework taken into account of in R&D of AI to be networked.