ヤスキ黒鉛鋼Y6SlおよびY6S2の諸性質‥‥ -...

6
ヤスキ析出形勲間工具鋼PHD ヤスキ黒鉛鋼Y6SlおよびY6S2の諸性質‥‥ =…‥‥53 ‥‥‥58 Cr-Niオーステナイト鋳鋼のクリープ破断強度に及ぼす組成の影響…63 鉄合金の窒素Snoekピーク測定結果と=,三の応用例 ‥・‥・=‥‥‥‥‥69 13Cr鋳鋼の溶接性一再現熱影響部の切欠靭性仙・…… ‥・‥77 真空形直読式発光分光分析装置による高合金鋼の分析・…‥ ‥…飢

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特 殊 鋼 特 集

ヤスキ析出形勲間工具鋼PHD …

ヤスキ黒鉛鋼Y6SlおよびY6S2の諸性質‥‥

=…‥‥53

‥‥‥58

Cr-Niオーステナイト鋳鋼のクリープ破断強度に及ぼす組成の影響…63

鉄合金の窒素Snoekピーク測定結果と=,三の応用例‥・‥・=‥‥‥‥‥69

13Cr鋳鋼の溶接性一再現熱影響部の切欠靭性仙・…… ‥・‥77

真空形直読式発光分光分析装置による高合金鋼の分析・…‥ ‥…飢

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U.D.C.占占9.15.24.28.018.45る.2

ヤスキ析出形熱間工具鋼PHDYasukiPrecipitation-hardening Hot Work Die SteelPHD

中 村 信 夫* 浦 野 元 一**

N()l)uO Nakamura Motokazu Urano

要 旨

近咋,「1動中∴+二業などの分野で,量産精解塑打にメカニカルプレスの利用は欠かせないものとなってきてい

る.ニーヤスキ・プレス型鍛道川型鋼PIiD鋼ほこの種のプレスの型銅として開発されたもので,その主成分は,

0.2C-3Ni--3Moである。本鋼ほ炭素量の低いことによって,耐ヒートチェック性を増人し,ニッケルによって

じん性をドーjヒさせている。Moは熱開城度を向くし,熱脚危性をなくし.モリブデン炭化物の帆_u硬化rr三川に

よF)碗度およびl耐樺維性を付+している。ニの析J-H酸化作用が本鋼の寅ノくの特長であって,焼人状態ほi新郎‾)

切削がl一分‖∫能なかたさにあるので,焼人後一次焼戻で型彫し,使用巾あるいほ使用Iiiiの†。ほr;加熱のムで,内

部が十分なじん性を保持したまま,型而のかたさを上汁して過酷な使用に耐えうる:l人態となる′二、そのため熱処

理による変形ほほとんど問題とならず.精解卿一円鋼として理想的である.′

1.緒 口

近年,∩動申工業,航空機+二業その他の分野で,クラ/クシャ

フト,コネクチソグロッド,リングギヤなど多数のものの量産精

簡型打にメカニカルプレスの利用ほ欠かせないものとなってきてい

る。この種メカニカル鍛造プレスはその特性上ドロップハンマーiこ

比べて低速で型打するので,1,100′~1,300℃にヰ)加熱された被鍛造

材が比較的長時間ダイス去If如ことどまる.- そのたが)に.ドロップ/、

ソマ一に比べて,型表If紳)払L僅【二汁7うミ大きく,それだけ世の条件ほ

過酷となる。

この過酷な条件に耐えるため,浮通のドロップハンマー用月旦鋼と

して使用されているSKT4やヤスキDM鋼などのNi・Cr・Mo系

型川銅よりもさらに高度の型用鋼が要望されるr、.

ヤスキ・プレス型鍛造型鋼PHD鋼はこのようなメカニカルプレ

スの判川鋼として開発されたものであって,ここにその什存を槻・?i

するしだいである。;

2.PHD鋼の化学組成とその特長

PHD鋼の化学組成は表1に示すと二fゴF)であって,低Cであるこ

X4001

〕∝H

小〃一ヤ …三巨

/*

日立金属株式会社安来丁場_l二川**

R立会人東棟式会社安来‾l二場

とが耐ヒートチェッキング性に対して有利であることほ周知であ

る。Niはじん件の向ヒに効火がある.。Moは,本鋼の主役をなすも

のであって,熱関銭度を上キトし,焼戻脆性をなくし,LかもMo炭

化物の析出硬化作用によさ)強度とともに耐摩耗性を与えている⊂〉

本鋼の最大の特長は,上述のようにMo炭化物の析出硬化rF用で

あって,焼入状態あるいは低弘L焼戻(一次焼戻)状態では通常の切削

が卜分可能な程度のかたさにあり,使用中あるいほ使用前の局部加

熱によって,内部は十分なじん性を保持したまま,必要部分の克の

かたさを上汁することができる∴一丈にある′-.したがって,その柑射ち

適応した本鋼の使用法として,

蓑1 PHDの 標 畔 規 格

化亡、㌢攻分

r%1

熱処即温度

__干IsiMnPi;sし竺_聖占ヲ25聖呂?35聖3?8。0・鮒即3P5。l

焼なまし焼入l

lMo変則

F聖3?5。!ぐ℃)

一次焼戻

200空冷

AcllAc。

705i809二二次焼戻

〔℃、1 660、690 徐給 ≠1・000へノ1,015 550~570年冷

か た さ焼なまし‾!'焼入一次鮨戻

Hl∋235以下 Hs50~55

二次焼戻

Hs59~65

(注、! 二次焼戻ほ原則として彫刻何位)局部黄巾i炊戻とする。

川15し(二

×∠×

/rメ4001 (×400)

1、l)()げC

970uC

】六 2() 3() 二川 5() 糾)

f■ィし+,川‾川(mi111

年 焼 人 縦 度 に 快 打 柊 ソ㌍ 冷

乙し料:CO.19, SiO.22, MnO.57, Ni3.48, Moニi.48. 20ナり

l実11 焼人 温度,保打帖l川 ♂‾)呈i与子守彗

-53】

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474 昭和42年4月_1ム

廃人一一ナーー・次焼庚・一一一ナ型彫り→仕上げ→(表面局部焼

戻)→型打

なる形がとられる.-,表両り.〕部焼戻は予熱と兼ねることがある。

焼人・一次焼戻状態は,この処理後に加工が行なわれ,型の大部

分がこのままの状態で使用されるので,過、;うなかたさ,強度および

最高のじん性を有するものでなくてほならない。また,使用中ある

いは使用前の局部加熱による析州硬化ほ,耐樺耗性,耐ヒートチェ

ヅキング性などの山から卜分大きくなければならない-.ニのような

SOO

70()

600

500

U

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400

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言_弓300

200

100

10 20301 2 5 10 20

S 入1 H)12 5 10 20 6090 3 6

Ms =

10 102 103 1()l

咋 別(s)

〕--ステナイト化:1,015℃×3min

.試料:CO.19,SiO.22,MnO.57,Ni3.48,Mr)3.48

圃2 恒 温 変 態 岡

(○5q

4n

3〇〇}孟‥■

いり∵穴

/か†二ぎ

シ∵・いご-一衝■剛F】

各ノ rti

(卦

評 論 第49巻 第4号

本鋼の特性について,順次詳細i・このべてゆく。

3.PHD鋼の熱処≡哩特性

3.1焼 入 特 性

本鋼は,上述したように,-・次焼戻状態がたいせつであり,しか

も,後述するように,一・次焼戻処理で性質をコントロールすること

がほとんど不可能であるので,焼入処理がことさら重要な意味をも

ってくる。

3.l.1焼入温度と保持時間

0.19%C,20mm角の試料を加熱氾畦970,1,000,1,015℃(900℃

まで65℃/h以後急熱),保持帖間3,15,30,60minにとって,空

冷したときの,かたさおよび代表的なミロク組織を図1に示す.。

970℃では溶け込みが不十分であるこ、1,000℃においてほ30min

保才.ら三で良好な焼入組織が得られ,60min保持でも結晶粒の粗大

化は著しくない、.1,015℃となると,短時間保持で良好な組織が

得られるこ この温度以上でほ結晶粍が粗大化しやすいので,注意

を賀するこ

この結日工から,旅人温度ほ1,000℃が適当であり,1,015℃まで

温度を上けるときi・こほ,快音、‡二時間を短時「i耶こ押えるほうが安全

である-

3.1.2 質 量 効 果

実用のダイブロックには種々の大きさがあるので,この大きさ

に伴う焼入時の冷却速度の相違が,かたさ・組織・じん性などに

大きく影響するこ二

図2に,求めたPHD鋼の恒温変態岡な示す。これにrtり,PHD

③\~\//

④/

他人温度:l,0000c

二三⊥〔糾:CO.19S川.221lnO.57べi3.48入In3.4812角

(″⊆勺

巨孝.二▼享有・】ン上Tr八

11

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7

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0.5 1 2 3 4 5 川 20 30 4050

i■El】ご了r `′じTL

550ぐ(二1・・∴20り凸c三‾て「川】i‾ろ:二紫丁ろ吋FR・:′min

(訂

図3 焼

(む

入 時 の 冷 却 速 度 の

-54-

1()0 2(lり 3†州

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影 響

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ヤ ス キ 析 Fl-‡ 形 熱

鋼の焼入性を判定すると.パーライト変態はいかなる場合でも,

まず問題なく避けられると考えられる。しかしベーナイト変態朋

姶の鼻はかなり左に寄っており,浮通の焼入法でこの鼻にひっか

からずに,完全にマルテンサイト変態を行なわせることはかなり

むずかしい。

このことから,P托D焼人鋼の性矧ま,生成したベーナイトの

遣および形態によって支配されると考えられる。そこで,種々の

冷却速度で焼入した試料のかたさ,組織およぴじん性を調べてみ

ると,550℃から200℃まで冷却するに要する時間との間に,図

3のような関係が求められた。

抽冷でほマルテンサイトが大部分で一部下部べ-ナイトが現わ

れているが,550℃から200℃まで冷却するに賀する時間(以下

冷却時間と呼ぷ)約7minの空冷の組織は上部べ-ナイトも多く,

それに下部ベーナイトとわずかにマルチソサイトが現われてい

る。さらに冷却時間が長くなるにしたがって,上部べ一ナイトが

はとんどを占め,これがくずれた形となる。

冷却時間20min程度までは,かたさの減少とともにじん性ほ

増加するが,20minを越すと,かたさにはほとんど変化なく,じ

ん性のみが急激に低下する。これは析出分の粒界あるいはへき開

而優先析出の効果が現われてきていると考えられる。しかしなが

ら,その値はかなり高く,通常の熱間型用鋼と比べて遜色ない。

冷却時間3h付近でやや硬度の上昇がみられるのも,冷却過程で

5()

U:亡

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rJ∈〕

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こ一■立逼・・∴

+丁√・ム

=)15Dcx3min空イ存みfムい史

試料:(ノ0.19SiO.22ト・】nり.57Ni3.`柑1・103.48

25杓

シャルピー衝撃値/

牝■へとノエ▲

1()0 200 300 400 500 600 700

性ノ/三温.r空(白C)

岡4 焼 戻 温 度 の 影 響

1,n15℃窄冷まま rx3,OnO) 565℃焼成(×3,000)

図5 焼人ままおよび焼戻材の電子顕微鏡机織

問 工 具 鋼 PHD 475

の析出に原因するものであろう。

この関係から,冷却速度による焼入鋼の性質の変化がほぼ明ら

かとなろう「,実際のゲイブロックでは,加工上および強度上の問

題から,焼入かたさをHs50~55(H】くC36.6・~40.8)にする必要があ

る(一次焼戻ではほとんど変化しない).二 このかたさ範閃はじん性

の点からも好都合であることがわかる。そのために,品物によっ

て,焼入時の冷却法を変え,冷却時間(550℃-〉200℃)を6min~

20111in程畦(C量によって多少変わる)にコントロールすること

が重要となってくる.:

3.2 焼 戻 過 程

図4に各温度に2時間保持した場合の,焼戊温度とかたさおよぴ

シヤルピー衝撃値,図5,るに焼入ままと最高かたさに焼戻された

場合の電子顕微鏡組織およびシヤ/レビー破而を示す。

かたさの焼戻温度による変化は500℃まで非常に少ないが,500℃

以上の焼戻で急激に上昇し,560~570℃でピークに達する。これを

越えると過析出となり,硬度の低下ほいちじるしい。ピークかたさ

は焼入温度が高いほうが高い懐向にあり,低めの温度で長時間焼戻

すほうが高く出る傾向にある。

シヤルピー衝撃値ほ200℃焼屈まではやや増大するが,350℃焼

戻では低下し,450℃焼戻でやや回復するも,析出硬化が進むにつ

れて急激に低下する。過析出となれば,硬度の低下とともにじん性

は大きくなる。

組織的には,焼入ままは粒内に微細な析出炭化物が比較的ランダ

ムに分布している。粒界と思われる線に沿う炭化物その他の析出物

ほほとんど見られないこつ565℃焼戻材でほ焼入組織よりも粒内の析

出物が多く,方向性をもってきており,明らかにへき開面に沿って

析出している。また粒界にも析出物が顕著に現われている。

シヤルピー破面は焼入ままのものについては,"dimple”で代表

されるように,延性破面を示している。しかし,565℃焼戻材では,

一部に延性様破面もみられるが,大部分が脆性様破面を呈している。

これらはそのままシ1アルピー衝撃値に現われている。

以上の関係から,焼戻温度による性質の変化がほぼ明らかにされ

たと考える。

実際問題として,ダイブロックは焼入のままでは,急冷にともな

う内部応力を残し,不安定であるので,焼入直後焼戻を施しておく

ことが必要である。この焼戻,すなわち一次焼戻処理ほじん性の点

からみて,200℃とすることが妥当であろう。ひずみ取りの意味か

ら,450℃焼戻も考えられるが,100mm角程度の試料を用いて,

200℃と450℃焼戻した場合の表面残即応力を測定してみると,そ

--■ミノニ、=麦芽

-一穴

⊥暑・-・近-ノー

∫・亭壷rミ_一類

ゞ‾彗7‾.-‾.手

=Y諾′‾‾…驚、

広一}つr-_-

整'・_も、.

_交-‾J

迄-

〃一二

嘉一‾し__

-‾妄

‾-≡碧空、■7

蒜ノ う㌫-_

1,015℃平冷せま(×3,00()) 565℃焼戻(×3,000)

図6 焼人ままおよび焼戻材のシヤルビー政府の電子顕微鏡組織

Ⅶ55-

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476 附和42年4月 諦立三∠入

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29.2

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28.8

ーーーー158- ・88

囲7 火 炎 加 熱 試 料

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.;⊥l二.;恥■.-.い1土r′nc)

図8 熱 間 機 械 的 性 質

の相違は大差なかった。450℃焼戻のほうが1~2kg/mm2宥iを度低

いだけであった。

このように,一次焼戻処理法ほ-・・定のものとせざるを得ないので,

一次焼戻処理によって,本鋼の性質,とくにかたさをコントロール

することができない。,この意味において,前述したように焼入帖の

冷却を適当にし,かたさをコントロー′しすることが薮要となってく

るのである。

本鋼が適当な焼人弘1度ならびに冷ムIj速度でもって焼人され,一次

焼戻も適切であるならば,使用中のあるいは使用前のJi-,川;加熱によ

って,図4のような最高かたさ約HlくC45程度を,熟両の必要部分

にのみ得ることができ,しかもほかの部分ほ高じん性を快有したま

まであって,型全休としてすく、■れた性能を発揮できることが期待さ

れ考。

3.3 局部加熱による変形

-一一般に鋼は熱処理することによって変形を生ずるこトしかしながら

PHD鋼は焼入・一次焼戻後に型彫されるので,焼入による変形は

問題でない。ただ,型彫後の局部加熱によって析出硬化するときの

変形は調べておく必要がある。

ここでほ,図7のような型に,プロパ/・空去も炎によって表面硬

化を行なった場合の一例について,その変形を表2,かたさ変化を

表3に示す。

第49巻 第4 号

蓑2 変 形 測 定 結 果

測 止 僻 所

b

d

l

h

上ュ・■1

p

n

r

■一

一一一一

a

C

k

g

e

i

O

m

q

Fla?芸諾デ鮒IFla芯㌶ヲ熱後l変(盈)止100.075

175.050

30.030

30.030

30.030

30.030

14.945

6.045

100.085

100.090

175.035

30.025

30.025

30.025

30.025

14.945

6.045

100.087

+0.015

-0.015

-0.005

-0.005

-0.005

-0.005

0

0

+0.002

3表 硬度 測 定 結果(Hs)

所し一上洲 Flame 加 熱 前 】 Flame 加 熱 後

A

B

C

D

E

F

G

H

P

K

L

M

N

去4 耐 ヒート

チェ ック 性

竺_l

pHDL

き!

i薫

熱 処

理l浣さ)l(詣)l(ふ1(エ)1,Ol)0℃×30mm空冷

570℃×1時lT刀 空冷

1,030℃×30mm空冷

620℃×1時間窄冷2戸1

850℃×20mm仙冷

600℃×1時「;与]空冷

竺_し_ご

;二;と二(個〕:一升ェ・ノクの総個数

(mm:・:チェックの総長さ

「mm〉

(mm〉

rmmJ

検鋭郎離

DAC

チェックの平均長さ=L/N

2番rlに長いチェックの長さ

5番削こ長いチェックの長さ

30mm

O.4C-1Si-5Cr-1.4Mo-0.8V

11.79

12.83

15.40

0.080

0.1()2

0.214

(ヱ㌦)l(ヱ㌦)仇775

0.825

0.975

0.425

0.550

0.500

DM:0.55し一1.65Ni-1.2Cr-0.35Mo-0.15V

4.PHD鋼の熱間性質

PHD鋼ほ熱間が佐川されるので,熱間の性質を調べておく必要が

あるり とくに硬化した部分が高批にさらされるので,本項では硬化

した状態の熱閃性質を示す。

4.1熱間強度およびじん性

560℃で焼戻して析‖=姥化させた試料の熱間引張試験,熱間シヤ

′レビー桝撃試協および熱聞かたさ試験の結果を図8にまとめて示

す〔,この結果をみると,熱「言_;悌=勤ま普通のドロップハンマー用型鋼

として班Ji-】されているNi・Cr・Mo系鍛造用塑鋼より強く,5%Cr

系熱IJ弓1ダイス鋼にくらべても,とくに高温において高めである。ま

たじん性僻も熱問到鋼として十分なる値を有している。

4.2 耐ヒートチニッキング性

繰返し加熱冷却を受ける型「何は,微小クラック(ヒートチェック)

の発′1三しやすい条件‾Fにある。このヒートチェックは型表層部の熱

娘淋こ柁界の選択酸化現象なども加わって発生ならびに拡大するも

のとされており,これが型全体の致命的な破壊を招く原因ともなり

うる⊂、

このようなヒートチェックに対する抵抗性をみるために,14¢×

15Jの試験片を700℃鉛子芥15s→20℃水浴2s→放冷43sなる

ユ、熱ノ急冷サイクル(1サイクル当F)60s)を2,000回線返し試験片に

発/Lしたクラックを検鋭Lたっその結果を示したのが表4である。

一56-

仁.1

ゝ・l

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析 出 形 熱 間 具 DHnr 477

表5 エンドミルによる切削試験結果

鋼種l熱処 理

PHD

SKD61

SKT4

1,000℃空冷

1,030℃油冷

850℃油冷

SKD61

200℃空冷

635℃空冷

610℃空冷

か た さ

(Hs)

51

50

50

寸 法(mm)

200×200×410

65×115×300

200×200×200

摩耗幅(mm)

7

6

4

∧U

O

O

仇4C-1Sト5Cr-1.4Mo-0.8V

SKT4:0.55C-1.65Nト0.85Cr-0.35Mo

表6 生産フライスによる切削試験結果

鋼 種 熱 勉 二哩かたさ

(Hs) (mm)法

VBl VB2 VB3 Ⅴ別 Ⅴ召5

PHD

DM

外国製DM相当

950℃拍冷*300℃空冷*

850℃油冷 650℃空冷

52

52

52

140×300×2001仇55 0.35 0.40 0.30 0.35

140×300×200】仇59

140×300×200】0.63

0.42

0.40

0.43

0.38

0.37

0.37

0.38

0.38

*特殊な場合

摩耗部展開位置

VB5 VB4 V83 VB2VBl

DM:0.5C-1.65Nト1.2Cr-仇35Mo+),15V

PHD鋼はNi・Cr・Mo系鍛造用塑鋼よりチェック数は多いが,チ

ェックの長さは短く,5%Cr系熱間ダイス鋼に匹敵する耐ヒートチ

ェッキング性を有している。

5.PHD鋼の被剛性

PHD鋼の焼人材はべ-ナイト組織であり,しかも析出硬化性が大

きいために被削性は一般に劣ると考えられる。これほ切削中の強加

工のために生ずる刃先の切削熱により,切粉ならびに切削面が硬化

し,工具摩耗を促進させるためであろう。

以下に同一条件で行なった二,三の切削試験結果を示す。

(i)エンドミルによる被削性

切削条件は次のとおりである。

使用機械:

使用工具:

切削速度:

送 り:

切込み:

切削油:

切削長さ:

大隈鉄工所製フライス盤

SKH2,22¢2枚刃エンドミル

9.67m/min(140rpm)

14mm/min(0.05mm/刃)

1mm

な し

1,140mm

エンドミル刃先の摩耗幅(VB)を50倍の拡大鏡で測定した結果を

表5に示す。PHD鋼は比較材Ni・Cr・Mo系鍛造用型鋼SKT4お

よび5%Cr系熱間ダイス鋼SKD61よりやや劣る程度である。

(ii)生産フライスによる被削性

切削条件は

使用機械:新潟鉄工所製 生産フライス盤

使用カッター:東和冶金WS25,カッター径260¢,一本バ

切削速度:

送 り:

切込み:

切削面:

イト

107m/min

16mm/min(0.12min/rev)

35mm

140×300mm

チップの形状:図9

140×300の面を6回切削後VB摩耗量を比較した結果を表dに示

す。この場合,PHD鋼の被切削性は良好であった。

nU4

0

<U

3

2

ハ∽)

匡蕾琳告「雪コ

図9 生産

フライス盤

チップの形状

・・=1占卜・!-1

丁--・〇N・・1・】-5

32

付75

5

■-・卜・-

/

62

■→7+.

㌍×一Y一汁X-ズ/

DMrO.55C・1.65Ni・l.2Cr・0.35九10・0.15V)

PHD:1,0150c空fT†,2000cつ戸;て㌻HRC39.1

PM:8500c淋て‡β50bcソたf了‡HRC39.1

j`fj∴20×100×300mm

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

せん九州致

囲10 ドリルせん孔テスト結果

(iii)ドリルによる被削性

切削条件は次のとおりである。

使用機械:北川製作所製卓上精密ポール盤

使用ドリル:魚津製,SKH9,8¢ストレートシャンクドリ

ノレ

ドリル回転数:70rpm

せん孔深さ:10mm/回,20穴

荷 重:7kg(ドリル尖端70kg)

ドリ ル:3本使用

ドリルせん孔試験結果として,切削所要時間とせん孔回数との関

係を図10に示す。Ni・Cr・Mo系鍛造用塑鋼よりやや劣る。

占.結 口

以上,ヤスキ・析出形プレス鍛造用型鋼PHD鋼の特性について

述べてきた。この鋼の特長,とくに析出硬化を型に十分生かすため,

最高の性能を発揮させるには,厳選された原料と高度に管理された

精錬ならびに鍛錬を行なって,すぐれた素材を得ることはもちろん

であるが,適切な焼入と一次焼戻処理を施すことが重要であること

がわかった。そうすることによって,高じん性の,しかも型面の必

要部分を強度の大なる型とすることができる。また本鋼は熱処理変

形などの問題でなやまされることもない。被切削性に対しても実用

上ほとんど問題なかろう。

使用に際しては,本鋼の特性を十分考慮のうえで使用することが,

型寿命を長くし,作業能率を向上させるポイソトと思われる。とく

に型の温度は常に100~200℃に保つように,塑面の温度は600℃以

上に上昇させないように適当な冷却の方法をとることが,型のじん

性を低下させることなく,型面の焼戻軟化を防ぎ,かつ繰返し発生

する熱応力も小さくして,寿命を長くするこつである。

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