心的外傷後メンタルヘルス:...
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心的外傷後メンタルヘルス: オーストラリアの場合
Darryl Wade、PhD MAPS
教育研修部長
東京、2013年6月
オーストラリア
心的外傷後メンタルヘルスセンター
心的外傷専門家Edna Foa氏とのワークショップとマスタークラス
2013年8月8~11日
マスタークラスは受付を終了しました。
1日コースのワークショップ「PTSDの特性と長時間曝露療法による治療」は
参加受付中です。
オンラインで参加登録する
オーストラリア心的外傷後メンタルヘルスセンター
メルボルン大学オーストラリア心的外傷メンタルヘルスセンターでは、心的外傷に関する国際レベルの研究、政策助言、サービス開発および教育をおこなっています。また、心的外傷を負った人々が抱える問題の解決に取り組む各種団体や保健専門家を支援するために革新的なサービスを提供しています。
オーストラリア心的外傷後メンタルヘルスセンター
任務: 心的外傷を抱える個人ならびにコミュニティーの福祉と生活の質を改善する
活動の3本柱: • 研究、評価
• 政策助言、サービス開発
• 教育、研修
急性外傷から12か月後の有病率
0
5
10
15
20
25
30
35
PTSD Social phobia Panic disorder Agoraphobia OCD Generalized
anxiety disorder
Major
depressive episode
Substance use
disorders
Any psychiatric
disorder
Percen
tag
e
Post-injury
Pre-injury
PTSD 社会恐怖 パニック障害 広場恐怖 強迫性障害 全般性
不安障害
大うつ病
エピソード
物質使用
障害
いずれかの
精神疾患
外傷後
外傷前
パーセント
独自研究
外傷後の障害: 身体的・精神的に蓄積される負担
Meaghan L. O’Donnell, PhD; Tracey Varker, PhD; Alexander C. Holmes, PhD; Steven Ellen, MD;
Darryl Wade, PhD; Mark Creamer, PhD; Derrick Silove, MD; Alexander McFarlane, MD;
Richard A. Bryant, PhD; and David Forbes, PhD
オーストラリアのPTSD治療ガイドライン
専門家と心的外傷に罹患した人の協議の上、作成
オーストラリア政府の支持と、保健研究の最高機関(NHMRC)の承認を得ている
専門家協会(GP、精神科医、心理士)の承認を得ている
急性ストレス障害
および心的外傷後ストレス障害 のある成人の治療に関するオーストラリアのガイドライン
心的外傷に焦点化した心理療法 心的外傷後のメンタルヘルスの状態を治療する効果的な技術の習得
単回性または反復性外傷を負った小児、青年、成人の治療にあたる熟練開業医を対象とした2日間の技術中心のワークショップ。2013年にACPMHは、ワークショップ後3か月間にわたり、少人数グループで熟練臨床医との相談会を開き、医療現場での新たな技術の利用を支援していきます。
研修パッケージの総費用は税込880ドルです。
メルボルン大学ACPMHは、心的外傷後メンタルヘルス分野のリーダーと世界的に認められている研究機関です。
2013年版研修パッケージの内容:
2日間にわたる技術中心のワークショップ
頼れるプロのトレーナー
専門家による実演映像
さまざまな開業医用ツールとクライアント用資料
ワークショップ後の専門家との相談会
CPD: 17時間に及ぶ「実践的な」技術の習得(相談を含む)
2013年ワークショップ日程
成人患者向け
パース 5月16・17日
メルボルン 5月23・24日
ダーウィン 5月30・31日
シドニー 10月17・18日
メルボルン 11月14・15日
ブリスベン 11月21・22日
小児・青年患者向け
シドニー 6月6・7日
パース 6月27・28日
メルボルン 10月10・11日
ブリスベン 10月24・25日
詳細な内容と参加登録はこちらから: ウェブ www.acpmh.unimelb.edu.au/電話 (03) 9936 5100
オーストラリア
心的外傷後メンタルヘルスセンター
災害後の反応の軌跡
持続的な
リカバリー
回復力のある
遅延した
災害発生時 月 年
機能度
自然災害後のメンタルヘルス上の対応の指針となる多段階枠組み
Darryl Wade
PhD
メルボルン大学オーストラリア心的外傷後メンタルヘルスセンター/精神医学部門
David Forbes
PhD
メルボルン大学オーストラリア心的外傷後メンタルヘルスセンター/精神医学部門
Jane Nursey
MPsych
メルボルン大学オーストラリア心的外傷後メンタルヘルスセンター/精神医学部門
Mark Creamer
PhD
メルボルン大学オーストラリア心的外傷後メンタルヘルスセンター/精神医学部門
要約: 自然災害は人に大きな苦痛、苦悩、喪失感、苦難をもたらすため、公衆衛生においてメンタルヘルスは、被災コミュニテ
ィーを支援する幅広い心理社会的対応の一環として取り組むべき重要課題となっている。遺族を含め、自然災害を乗り越える
人のほとんどは、メンタルヘルス専門家の助けを必要とはしない。また、多くの人は他の人の助けを受けながら自力で困難に
対処したり「気力を取り戻す」ようになるので、むしろ地域住民による自然な対処プロセスに干渉しないように注意しなければな
らない。2009年にオーストラリアのビクトリア州で発生した森林火災の後、保健・福祉担当者のみならず一般の地域住民も、エ
ビデンスに基づいたケアやサポート、介入を実践する能力を高める対応策を3段階にまとめた枠組みが策定された。
キーワード: 災害、メンタルヘルス、コミュニティー活動、治療介入、研修
災害対応におけるメンタルヘルスの枠組み
2. 簡単な戦略
1. 助言と支援
3. 正規の治療
ベンディゴ
死者1名 キングレイク地区
死者120名 メアリーズビル地区
死者39名
ビーチワース 死者2名
ダーゴ
ウェスト・ギップスランド
死者11名
ウィルソンズ・プロモントリー
バニップ 州立公園
ウィーライト
コルレーン
ホーシャム
レズデール
災害後 自分自身と家族の世話をすること
自然災害後の地域住民向け
メンタルヘルス研修プログラム
Darryl Wade,1,2,* Tracey Varker,1,2 Sally Coates,3 Therese Fitzpatrick,3 Clare Shann,3 Mark Creamer2
1 オーストラリア心的外傷後メンタルヘルスセンター(オーストラリア、ビクトリア州イースト・メルボルン)、2 メルボルン大学精神医学科(オーストラリア、ビクトリア州パークビル)、
3 ビヨンドブルー: 全国鬱病対策イニシアチブ
キーワード: 災害、コミュニティープログラム、研修、メンタルヘルス、リカバリー
本研究では、森林火災後に被災コミュニティーの一般住民が周りの人々を援助する能力を強化することを目的とした災害時メンタ
ルヘルス研修プログラムに関するデータについて報告する。実際の研修は地元世話役らが実施し、コミュニティー内でその活動が
積極的に進められた。研修前と研修後にはプログラム参加者に無記名アンケートに回答してもらい、研修プログラムの質と受講
の効果についてデータを採取した。39回の研修に参加した577名のうち462名(80%)から得た回答からは、他の人が直面してい
る困難を察知して支援することへの自信など、災害時に重要な能力が大幅に向上していることが明らかになった。プログラムと使
用された資料の質については高い評価を得た。アンケートの評価結果は、災害後にコミュニティー規模で実施されるプログラム介
入を有益で受容可能かつ実行可能なものにしていく上で参考となるものである。
配布禁止
小論
災害保健 1:1, 1-4; 2013年1・2・3月号; ©2013 ランデス・バイオサイエンス
心理的回復の技術 実践の手引き
作成: 国立PTSDセンター、全国子ども心的外傷性ストレスネットワーク
心理的回復の技術に対する専門家の認識―ビクトリア州森林火災後の保健専門家向け研修プログラム
クイーンズランド州 2010/2011年
A centre of excellence supported by the Australian Government © Copyright 2012
ブリスペン
SPR研修と支援プログラム
クイーンズランド州政府とオーストラリア連邦政府が出資
目的: •有能な現地トレーナーを育成・認定する
•簡単な心理的介入をおこなう際の専門家の自信を向上させる
•専門家による介入の理解と普及を促進する
洪水範囲と専門家研修ワークショップ開催地
SPR介入に対する専門家の自信レベルの平均
■ ワークショップ前 ■ ワークショップ後 ■ 3か月後 □ 6か月後 ■ 9か月後
専門家によるSPR介入活用の
経時的変化
研修後3か月以内に活用
研修後3~6か月以内に活用
研修後6~9か月以内に活用
■ 0人 ■ 1~10人 ■ 11~20人 □ 20人超
森林火災後の育児プログラム
• SPRの適合化
• 育児研究センターとの協力、ビクトリア州森林火災支援基金からの資金提供
• 2時間×6回の講習からなるグループプログラム
• 親が自分自身の苦悩をコントロールして家族の助けとなることを支援することが目的
• メディアを始めとする各種普及促進資料を活用して、親に案内
• 被災コミュニティーでのグループプログラムを現地トレーナーが推進
親の苦悩
プログラム参加前~6か月後:コーエンのd = 0.48
DASS-21 合計スコア
プログラム参加前 プログラム参加後 6か月後
育児満足度と自己効力感
プログラム参加前~6か月後:コーエンのd = 0.68
PSOC 合計スコア
プログラム参加前 プログラム参加後 6か月後
被災・心的外傷後の数日間および数週間におこなう支援
「被災・心的外傷後数日間および数週間におこなう支援」活動へようこそ。下の再生ボタンをクリックして、オーストラリア心的外傷後メンタルヘルスセンター准教授Darryl Wadeが語るこの活動の
案内をお聞きください。音声が再生されない場合は、ここをクリックして案内の内容をお読みください。
この活動は、オーストラリア心的外傷後メンタルヘルスセンター(ACPMH)が王立オーストラリア一般開業医大学(RACGP)と協力し、保健・高齢化省(DoHA)から資金提供を受けて企画したものです。
ACPMH 准教授 Darryl Wade
安心感の浸透‐1
安心感を浸透させることは、心的外傷を引き起こすような事象が発生した直後の初期支援でまずおこなわなければならないことの一つです。この活動は、自主的に、あるいは要請を受けて一般開業医が災害救助活動を支援する場合に特に関わってくることです。
では、一般開業医が患者のPatriciaさん(33歳)と話をしているところをお聴きください。前日に彼女は、親友が鉄砲水に遭って重傷を負ってしまう現場を目撃してい
ました。この医師は近くの災害救助センターから要請を受けて、洪水発生の翌日に地域住民の医療ニーズへの対応を支援していました。医師から簡単な健康診断を受けているときに、Patriciaさんは自分自身や他の人についての不安を数多く語っています。
映像をご覧いただけない場合は、ここをクリックして映像の内容をお読みください。
被災・心的外傷後の支援
今後の課題: 能力育成
• メンタルヘルス専門家によるエビデンスに基づく治療の提供
• 軽度~中度の影響を見極めて管理できるプライマリケア、地域保健、福祉の確立
• 一般市民自身による心理的レジリエンスの向上と コミュニティーのサポート力と回復力の強化