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DEIM Forum 2016 G4-5 データから モーション †† †† 大学 525–8577 1 1-1 †† 大学 525–8577 1 1-1 E-mail: [email protected], ††[email protected], †††[email protected] あらまし モーションキャプチャ により されている.モーションキャプチャデータ(MCDする多 データ して扱われる.しかし,アプリケーション いるため, から,MCD をスポーツトレーニング アプ リケーションに するこ しい.そこ ,多 データ ある A-LTK した シーケンスマッチング A-LTK for MCD 案する. キーワード モーションキャプチャ,データマイニング, データ 1. はじめに ,センサテクノロジ により, ストリーミン グデータが った. モーションキャプチャ CG,ゲーム,医 ,スポーツ れている. モーションキャプチャデータ(MCD)を いた ,映 いた モデル/ 格モデルを いた がある. モデル/ 格モデルを いる する多 データ して MCD が扱われる.しかし,アプリケーション に異 いるため, から,MCD をスポーツトレーニング アプリケーション するこ しい. そこ ,多 データ ある A-LTK [1] A-LTK を拡 した A-LTK2.0 [2] 案した.A-LTK ,β れるパラメータを変えるこ コストを ある.一 A-LTK2,0 A-LTK シーケンスマッチングに するため, コスト バランスを った. しかし,MCD する 3 データ して されるため,MCD データ して扱う めるために ,多く る.そこ ある するこ させる シーケンスマッチング ある A-LTK for MCD 案する. 2. 関連研究 ,モーション について る.2. 1 ,映 いた について 2. 2 モデル/ 格モデルを いた について る. 2. 3 データ する について る. 2. 1 映像を用いた研究 Cao [3] について った. パターンを するため,3D シフトに いた映 イニング 案した.Turaga [4] によって から きるか った.こ モデリング,low-level ,活 モデリング 3 から われている.Ren [5] ,カメラ いたハンドジェスチャー 案した. Kinect から した いて, Finger-Earth Mover’s Distance(FEMD) した. これら ,映 いた って, アプリケーションが 案されている.しかし, ,映 モデル/ 格モデルを いた いるため,そ っている. 2. 2 動作モデル/骨格モデルを用いた研究 Rptis [6] Kinect から られたスケルトンデータか ら,ダンス ジェスチャーを する 案した. skeleton-tracking いう ベクトル し, ベクトルからダンス ジェスチャーを した. 16 から されているスケルトンデータを いて った.Zhang [7] ,ゴルフ スイングを するた システムを 案した. Kinect から られたスケル トンデータから し,隠れマルコフモデルを いるこ った.Kapadia [8] ,モーションデータベー システムを 案した. Kinect から られるデータをクエリ している. するために いる つか キーを した. これら Kinect スケルトンデータに した されている. 2. 3 多次元時系列データの分類研究 Matsubara [9] ,ストリームデータから意 あるモー ションパターンを し,異 データを する した. 案した Stream Scan つスト リームデータを する.こ 1 デー

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DEIM Forum 2016 G4-5

多次元時系列データからのモーション検出・分類手法

菅野 滉介† 奥 健太†† 川越 恭二††

† 立命館大学情報理工学研究科 〒 525–8577 滋賀県草津市野路東 1丁目 1-1

†† 立命館大学情報理工学部 〒 525–8577 滋賀県草津市野路東 1丁目 1-1

E-mail: †[email protected], ††[email protected], † † †[email protected]

あらまし 近年モーションキャプチャの普及により様々な分野で活用されている.モーションキャプチャデータ(MCD)

は,関節等の様々な部位の位置や角度に関する多次元時系列データとして扱われる.しかし,アプリケーション毎に

異なる動きの特徴を用いるため,既存手法では精度や処理速度の観点から,MCDをスポーツトレーニング等のアプ

リケーションに適用することが難しい.そこで,本研究では,多次元時系列データ類似度算出方法である A-LTKを

拡張した新たな部分シーケンスマッチング手法 A-LTK for MCDを提案する.

キーワード モーションキャプチャ,データマイニング,時系列データ

1. は じ め に

近年,センサテクノロジの進化により,様々なストリーミン

グデータが取得可能となった.中でもモーションキャプチャは,

映画や CG,ゲーム,医療,スポーツ等の様々な分野で活用さ

れている.

モーションキャプチャデータ(MCD)を用いた既存の研究に

は,映像を用いた方法や動作モデル/骨格モデルを用いた方法

がある.後者の動作モデル/骨格モデルを用いる研究では,関

節等の様々な部位の位置や角度に関する多次元時系列データと

してMCDが扱われる.しかし,アプリケーション毎に異なる

動きの特徴を用いるため,既存の手法では精度や処理速度の観

点から,MCDをスポーツトレーニング等のアプリケーション

に適用することが難しい.

そこで,本研究では,多次元時系列データ類似度算出方法

である A-LTK [1] と,A-LTK を拡張した A-LTK2.0 [2] を提

案した.A-LTKは,βと呼ばれるパラメータを変えることで,

精度と計算コストを制御可能な類似度算出手法である.一方,

A-LTK2,0 では,A-LTK を部分シーケンスマッチングに適用

するため,二段階の処理を行い精度と計算コストのバランスを

取った.

しかし,MCDは関節の位置や角度に関する 3次元データの

集合として表されるため,MCDを通常の多次元時系列データ

として扱う既存方法で正確な精度を求めるためには,多くの処

理時間が必要となる.そこで,本論文では,特徴のある関節集

合ごとに類似度を算出することで精度と処理効率を向上させる

部分シーケンスマッチング手法である A-LTK for MCD を提

案する.

2. 関 連 研 究

本章では,モーションの検出についての研究を述べる.2. 1

節では,映像を用いた研究について述べ,2. 2節で動作モデル/

骨格モデルを用いた研究について述べる.最後に 2. 3多次元時

系列データの分類手法に関する研究について述べる.

2. 1 映像を用いた研究

Caoら [3]は,人間行動の検索について研究を行った.彼ら

は,行動パターンを抽出するため,3Dシフトに基いた映像のマ

イニング手法を提案した.Turagaら [4]は,機械学習によって

映像から人間の行動が認識できるか調査を行った.この調査は,

行動のモデリング,low-levelの特徴抽出,活動のモデリングの

3 つの視点から行われている.Ren ら [5] は,カメラの画像か

ら深度情報を用いたハンドジェスチャーの認識手法を提案した.

彼らは,Kinectから取得した深度情報を用いて,提案手法であ

る Finger-Earth Mover’s Distance(FEMD)を評価した.

これらの研究では,映像を用いた人間行動の認識を使って,

様々な手法やアプリケーションが提案されている.しかし,本

研究では,映像ではなく動作モデル/骨格モデルを用いた人間

の行動を用いるため,その点で異なっている.

2. 2 動作モデル/骨格モデルを用いた研究

Rptis ら [6] は,Kinect から得られたスケルトンデータか

ら,ダンスのジェスチャーを分類する手法を提案した.彼らは,

skeleton-tracking 手法という特徴ベクトル抽出手法を開発し,

その特徴ベクトルからダンスのジェスチャーを推測した.彼ら

は,16個の節から構成されているスケルトンデータを用いて評

価を行った.Zhangら [7]は,ゴルフのスイングを評価するた

めのシステムを提案した.彼らは,Kinectから得られたスケル

トンデータから特徴を抽出し,隠れマルコフモデルを用いるこ

とで評価を行った.Kapadiaら [8]は,モーションデータベー

スと検索システムを提案した.彼らも,入力に Kinectから得

られるデータをクエリとしている.彼らは,高速な検索を可能

とするために索引付に用いる幾つかのキーを開発した.

これらの研究では,Kinectのスケルトンデータに特化した分

類方法が開発されている.

2. 3 多次元時系列データの分類研究

Matsubaraら [9]は,ストリームデータから意味のあるモー

ションパターンを検索し,異常なデータを検出する手法を提案

した.彼らの提案した Stream Scanは,複数の情報を持つスト

リームデータを監視する.この手法では,1次元の時系列デー

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図 1 A-LTK の例

タを分類する手法を組み合わせることで,多次元に対応してい

る.Hoら [10]は,サイクロンの軌道を多次元時系列データと

し,それを分類する手法を提案した.彼らは,次元数を減らす

ために Isometric Feature Mapping(ISOMAP)という手法を開

発し,類似度算出に LCSを用いて評価を行った.

しかし,これらの研究では 1桁程度の少ない次元数のデータ

セットを用いて評価が行われている.本研究では,MCDのよ

うな 2桁以上の次元数の多次元時系列データを対象としている.

3. 従 来 研 究

時系列データ間の類似度算出手法は多く提案されている.例

としてユークリッド距離やマンハッタン距離等が存在する.し

かし,これらの手法は部分シーケンスマッチングに適用できな

い.そこで,部分シーケンスマッチングにも適用可能な類似度

算出手法が提案されてきた.

3. 1 DTW

DTW は有名な時系列データ間の類似度算出手法である.

DTWは,高い精度を得ることが可能だが,O(n2)なため計算

コストが大きいことが知られている.そのため,DTWの計算

コストを減らす手法が多く開発されている.

3. 2 AMSS

中村ら [11] は,Angular Metrics for Shape Similarity

(AMSS)を提案した.AMSSは,DTWと同様に動的計画法で

あり,以下の式で定義される.

AMSS(∆S1,∆S2)

=

0

if length(∆S1) = 1 and length(∆S2) = 0,

−∞if length(∆S1) = 1 or length(∆S2) = 1,

Sim(H(∆S1),H(∆S2))+

max(AMSS(∆S1), R(∆S2)),

AMSS(R(∆S1),∆S2)),

AMSS(R(∆S1), R(∆S2)) otherwise.

3. 3 A-LTK

A-LTK(Multi-dimensional time series Approximation with

use of Local features at Thinned-out Keypoints) [1]は,処理

時間を軽減可能なように考案された時系列データの類似度算出

方法である.A-LTKの特徴は,2つある.まず,時系列データ

を間引くことで処理時間を軽減する.次に,その間引いたデー

タを用いて,局所特徴ベクトルを生成し,新たな時系列データ

を構築する.

3. 3. 1 keypoints

時系列データを間引き,残った時刻点を keypoints と呼ぶ.

keypointsの選別には,2つの方法がある.

まず,前後の点との差分を取る.その差分がある閾値以上の

時にその点を keypointsとする.次に,二階差分を取る.その

二階差分がある閾値以下の時にその点を keypointsとする.

以下に示す β は,抽出する keypoints の数を制御するため

に使われる.

β =keypointsの数

元の時系列データの時刻点の数(1)

3. 3. 2 局所特徴ベクトル

次に,3つの局所特徴ベクトル生成方法を記述する.一つ目

である式 (2)は,ある点の前後の点を結合し,新たなベクトル

を構築する.二つ目の方法である式 (3)は,前後の点との差分

を取り,局所特徴ベクトルを構築する.三つ目の手法である式

(4)は,先述した手法の組み合わせである.

pBi =(vi−p, ..., vi, ..., vi+p) (2)

q Δi =(vi−q+1 − vi−q, ..., vi − vi−1, (3)

vi+1 − vi, ..., vi+t − vi+t−1)

pB + q Δi =(pBi, q Δi) (4)

A-LTK では,類似度算出にコサイン類似度を用いる.

AS =< a1(t = KP1), a2(t = KP2), ..., ar(t = KPr) > は,

A-LTKによって処理されたベクトルであり,ak(t = KPk)は

時刻点 k における keypoint とする.この時 AS1 と AS2 と

いう 2 つの特徴ベクトル間の類似度を算出するための関数

DA−LTK(A,B)は,以下のように定義される.

DA−LTK(AS1, AS2)

=

∞if length(AS1) = 0 and length(AS2) = 0,

0

if length(AS1) = 0 or length(AS2) = 0,

COS(H(AS1), H(AS2))+

(max(DA−LTK(AS1, R(AS2),

DA−LTK(R(AS1), AS2),

DA−LTK(R(AS1), R(AS2))

/(length(AS1) + length(AS2)− 1) otherwise.

DTW や AMSS と同じような数式で表現されるが,正規化を

行う点で異なっている.

3. 4 A-LTK2.0

A-LTKは,βというパラメータを用いて精度と計算コスト

の制御を行っていた.しかし,βパラメータが 100%に近い場

合 DTWや AMSSのような既存手法と同じ結果となる.また,

部分シーケンスマッチングへの適用を考慮した際に小さすぎる

βの値も類似度の算出をより困難にさせる.そこで,我々はβ

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パラメータに着目し,A-LTK を拡張した部分シーケンスマッ

チング手法である A-LTK2.0を提案した.

3. 4. 1 ‘Coarse to Fine‘手法

A-LTK2.0では,部分シーケンスマッチングを二段階で行う.

以下に A-LTK2.0 の基本的なアイディアを示す.二段階処理

に 2 つのタイプの A-LTK を用いる.一段階目は,β の値を

小さくした A-LTK である Coarse A-LTK を用いる.Coarse

A-LTKでは,少ない数の keypointsを抽出する.また,Coarse

A-LTKでは,閾値εを設定し,その閾値よりも類似度が低い

部分シーケンスをフィルタリングする.二段階目は,β の値

を大きくした Fine A-LTK を用いる.Fine A-LTK では,一

段階目のフィルタリング処理で残った部分シーケンスについて

keypointsを一部復元し,より詳細なマッチングを行うことで,

精度と計算コストのバランスを取る.

図 2 A-LTK2.0

3. 4. 2 部分シーケンスマッチング

A-LTK2.0における部分シーケンスマッチング方法について

記載する.

A-LTK2.0 では,Coars A-LTK と Fine A-LTK で異な

るパラメータを使ったスライディングウィンドウを行う.

Coarse A-LTKで用いるパラメータをβCoarse,WsizeCoarse,

SlengCoarse とする.Fine A-LTK で用いるパラメータを β

Fine,WsizeFine,SlengFine とする.異なるβパラメータを

用いた A-LTKによって間引かれるためスライディングウィン

ドウに用いるパラメータが異なる.その元となるウィンドウサ

イズWsizeは,入力クエリの時刻点の数とする.

3. 5 A-LTK2.0における評価実験

この実験では,社交ダンス(ルンバ)のデータセットを用い

て実験を行った.各データの次元数は,57次元 (19*3)で構成

されている.このデータセットは,ルンバの基本ステップが 41

個あり,それら全てを含む長いシーケンスのデータが 1つ存在

する.それぞれのデータの長さは,基本ステップの平均が 1348

フレーム,長いシーケンスが 3448フレームである.これらの

データを元にDTW,AMSS,A-LTKの各手法にスライディン

グウィンドウ方式を適用し,比較を行った.

3. 6 実 験 結 果

図 3より,A-LTK2.0が他の手法より良い精度となった.し

かし,図 4より,A-LTK2.0では二段階の処理を行うため,A-

LTKに処理時間の面で劣る結果となった.そこで本論文では,

MCDの特徴を活かす手法であるA-LTK for MCDを提案する.

図 3 精 度

図 4 処 理 時 間

4. A-LTK for MCD

本章では,A-LTKをMCDの特徴に合わせ拡張した A-LTK

for MCDについて記載する.

4. 1 基本的考え方

MCDは,関節の位置や角度に関する 3次元データの集合と

して表される.そのため,MCDを通常の多次元時系列データ

として扱う既存手法で正確な精度を求めるためには,多くの処

理時間が必要となる.そこで,A-LTK for MCDでは,A-LTK

をよりMCDに適したマッチングとするため,MCDを腕,上

半身,下半身,脚等の複数のパーツのデータに分け,部分的な

特徴点を用いることで精度向上と処理時間の削減を目指す.

4. 2 MCD

MCDは,J 個の関節を持ち,各関節は xyzの 3次元の位置

情報または角度情報を持っている.この時,MCDの次元数は

(J ∗ 3)次元となる.また,MCDはM 個の時刻点を持ってい

る.時刻点同士の間隔を s秒とした時,一つのデータの長さは

(M ∗ s)秒で表される.4. 3 手 法

A-LTK for MCDにおける部分シーケンスマッチング手法の

定義を以下に記載する.

多くの動きを含む長いシーケンスのMCDを T とする.T の

時刻点の数をNt とした時,T =< t1, t2, ...tNt >となる.同様

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に,部分シーケンスマッチングのクエリとして用いるデータを

Q,Qの時刻点の数を Nq とした時,Q =< q1, q2, ...qNq >と

なる.この時,Nt > Nq を必ず満たす.

まず,任意の j(1 < j < J)個の関節からなるデータ Tsubjoint

とクエリ Qsubjoint 作成する.次に A-LTK2.0にスライディン

グウィンドウ方式を適用し,Tsubjointの中からQsubjointと類似

度の高い部分を抽出する.異なる関節集合 subjointごとに類似

度の高い部分 Tsubjoint が抽出される.抽出された Tsubjoint か

ら,もっとも類似した部分シーケンスを求めるために Tsubjoint

の集約処理を行う.集約処理には,最も単純な集約処理である

関節集合を一つの多次元データとして扱う方法を使用すること

とする.

4. 4 評 価 方 法

任意の関節からなるデータのパターンを複数用意し,その

データを元に部分シーケンマッチングが可能かどうか評価を行

う.比較手法として,A-LTK2.0や A-LTK等の類似度算出手

法だけでなく,既存次元圧縮手法である SVD や PCA を適用

したデータを用いた A-LTK2.0との比較も行う.

しかし,任意の関節からなるデータのみで部分シーケンスの

マッチングが可能であるかの妥当性の検証を最初に行うことは

難しい.そこで,まずは完全なマッチングが可能であるかの検

証を行う.任意の関節からなるデータのみで類似度算出が可能

かどうかを判断する予備実験を行った.

5. 予 備 実 験

A-LTK for MCDでは,特徴のある関節のデータのみを用い

ることで次元数を減らす.そこで,どの関節が最もMCDとし

ての特徴を示しているのか調べる実験を行った.なお,MCD

を用いた完全なマッチングを行い,精度の高い関節の集合のい

くつかを A-LTK for MCD を用いた部分シーケンスマッチン

グにて評価を行う.

5. 1 データセット

社交ダンス(ルンバ)のデータセットを用いて予備実験を

行った.このデータセットは,予め 11カテゴリに分類された

41個のデータが存在する.各データの関節数 J は 19で,次元

数は 57(19 ∗ 3)である.また,データの平均時刻点数Mavg は

1341.54 個で,平均の長さは 13.42 秒である.図 5 は,MCD

の例である.

図 5 MCD の例

5. 2 実 験 内 容

本予備実験では,19の関節を人の特徴を元にして下記の 4グ

ループに分類した.

• 全身(19関節全て)

• 上半身(11関節)

• 下半身(8関節)

• 両腕(6関節)

• 両足(6関節)

類似度算出手法には,A-LTK を用いた.また,A-LTK での

特徴ベクトルの構築方法には,1B を用いた.本実験では,

0.3, 0.5, 0.8の 3パターンでβを変化させ,各々の精度と処理

時間を評価した.

表 1 予備実験結果(精度)

全身 上半身 下半身 両腕 両足

β = 0.8 0.634 0.293 0.707 0.536 0.609

β = 0.5 0.659 0.415 0.683 0.561 0.659

β = 0.3 0.683 0.415 0.610 0.561 0.585

表 2 予備実験結果(処理時間 (sec))

全身 上半身 下半身 両腕 両足

β = 0.8 62.00 57.45 57.98 56.29 56.96

β = 0.5 27.01 23.77 24.39 23.39 23.85

β = 0.3 12.21 10.14 9.98 9.47 9.31

5. 3 実 験 結 果

表 1と表 2は,予備実験の結果を表している.この結果から,

完全なマッチングでは,従来の全ての関節を使った全身の多次

元時系列データと同程度もしくはより良い精度であることが分

かる.また,処理時間についても軽減されていることが分かる.

そこで,今後は,集約処理と部分シーケンマッチングに適用を

行い,精度と処理時間の評価を行っていく予定である.

6. お わ り に

本研究では,特徴のある関節集合ごとに類似度を算出するこ

とで精度と処理効率を向上させる部分シーケンスマッチング手

法である A-LTK for MCD を提案するための予備調査を行っ

た.MCDを腕,上半身,下半身,脚等の関節集合のデータに

分けることで,どの部分が最も特徴を捉えているか調べる実験

を行った.実験結果から,今回使用したデータセットでは,従

来よりも同程度もしくはより良い精度での検出が可能であるこ

とが分かった.また,処理時間については軽減されていること

も分かった.今後は,部分シーケンスマッチングでの評価を行

う予定である.また,他のデータセットでの調査も行い特徴の

ある部分が手動や固定ではなく,自動で検出する手法も検討を

予定している.

7. 謝 辞

本研究の一部は,文科省私大戦略的基盤系性支援事業(2013-

17)および JSPS科研費 24300039の助成を受けた.

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