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情報画像工学科 Department of Information and Image Sciences 立田光廣、堀内隆彦(教育委員) 1.学科独自のアンケート項目 本学科では、授業時間外に行う予習・復習に対する意識、ならびに実施効果を調査することを狙い として、下記項目を学科独自の共通アンケート項目として設けた。 設問 10:宿題が課された科目について、その宿題の課題が学習に対して効果がありましたか 2.授業科目独自のアンケート項目 各授業科目において、独自にアンケート項目を設定することを認めた。以下に、各授業科目で設定 されたアンケート項目を記す。 ・OS と計算機システムを一緒にやっていますが、この授業は a:一緒のほうがいい b:どちらかというと一緒のほうがいい c:どちらでもいい d:どちらかというと別々のほうがいい e:別々のほうがいい(OS と計算機システムを別々の授業にする) ・OS と計算機システムの授業が別々になったら a:計算機システムの方(この授業の前半)のみ履修する b:OS の方(この授業の後半)のみ履修する c:両方とも履修する d:どちらも履修しない ・授業の最終目標が「英語の自律的学習の基盤づくり」であることを理解したうえで学習に取り組 みましたか? ・自律的学習基盤をつくれたという実感はありますか? ・出欠席調査兼用の小テストは多少なりとも自分の勉強に役立ったと思いますか? ・雑談はあった方がよい,または,何等かの参考になったと思いますか? これらの中には、他の授業科目においても参考になるアンケート項目があると思われ、次年度以降 の学部独自のアンケート項目の設定に役立てていきたい。

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情報画像工学科 Department of Information and Image Sciences 立田光廣、堀内隆彦(教育委員)

1.学科独自のアンケート項目

本学科では、授業時間外に行う予習・復習に対する意識、ならびに実施効果を調査することを狙い

として、下記項目を学科独自の共通アンケート項目として設けた。

設問10:宿題が課された科目について、その宿題の課題が学習に対して効果がありましたか

2.授業科目独自のアンケート項目

各授業科目において、独自にアンケート項目を設定することを認めた。以下に、各授業科目で設定

されたアンケート項目を記す。

・OSと計算機システムを一緒にやっていますが、この授業は

a:一緒のほうがいい b:どちらかというと一緒のほうがいい

c:どちらでもいい d:どちらかというと別々のほうがいい

e:別々のほうがいい(OSと計算機システムを別々の授業にする)

・OSと計算機システムの授業が別々になったら

a:計算機システムの方(この授業の前半)のみ履修する

b:OSの方(この授業の後半)のみ履修する

c:両方とも履修する d:どちらも履修しない

・授業の最終目標が「英語の自律的学習の基盤づくり」であることを理解したうえで学習に取り組

みましたか?

・自律的学習基盤をつくれたという実感はありますか?

・出欠席調査兼用の小テストは多少なりとも自分の勉強に役立ったと思いますか?

・雑談はあった方がよい,または,何等かの参考になったと思いますか?

これらの中には、他の授業科目においても参考になるアンケート項目があると思われ、次年度以降

の学部独自のアンケート項目の設定に役立てていきたい。

情報画像工学セミナー Introduction to Information and Image sciences (必)、1セメ、月5、受講登録数170名

全教員

1.授業の組み立て方と取り組み方

新入生を対象に,少人数の学生諸君と教官が人間的にふれあいながら,大学での勉学,研究,学生

生活,進路等についてのオリエンテーションを行いました. このセミナーは,新入生の皆さんが,情

報画像工学科の勉学の全体を把握し,将来の目標を考える動機付けとなることを目的としました. 一

教官当たり5名程度の少人数のグループを編成して,自由な雰囲気で交流し,情報を交換しました.

具体的内容は,各担当教官が個別に工夫し設定しました.学生の本分としての勉学への取組み姿勢,

情報画像工学科の特徴と授業科目,卒業研究,大学院への進路等に関するアドバイスから,研究室の

紹介,将来方向への指針,さらには学業以外の学生生活におよぶテーマなど自由に取上げました.グ

ループ内での討論や教官との触れあいを通じて,相互に啓発されるように配慮されています.

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

全項目とも科目平均と同じまたは少々良いという評価結果であった.最後の満足度については,科

目平均よりも若干低かった.本授業は,学科中期計画の「情報画像工学セミナーの充実に関する検討」

にあげられており,独自に学生のアンケートをお願いした.全体的な授業内容評価は,◎35% ○

45% △15% ×5% で,これは昨年度(◎26% ○48% △18% ×8%)に比べや

や改善されている.ためになった授業・不要と思った授業に関しては,全般的に昨年度と同様に、自

己紹介を嫌い、研究内容紹介を求める傾向が見られた.最適グループ人数に関しては,88%が現在

の4-6人構成を希望していた.望ましい訪問研究室数に関しては,48%が4研究室,42%が6

研究室を希望し,合計で90%(昨年度は84%)を占めた.セミナーに期待する内容に関しては,

研究内容紹介62%、研究設備見学37%に期待がよせられているのは昨年度(それぞれ52%、3

8%)同様であった.情報画像工学科に対するイメージは、この授業を受ける前後でかわりましたか

という問いに関しては,81%の学生がYES(昨年度は76%)と答えており,本科目の役目は果

たせていると考えられる.どの項目も,ほぼ昨年度と同じ傾向が見られ,授業改善も見られるが,そ

れと同時に学生のニーズがより強くなっている傾向にある.

3.今後の授業改善について

学科中期計画に関係し,別に全教員に対しても,アンケートを実施した結果,情報画像工学セミナ

ーは、導入教育として一定の効果を発揮しているかという件に関して,ほぼ全員がその効果を確認し

た.学生へのアンケート結果と,教員へのアンケート結果を総合し,本科目の趣旨を踏まえて検討を

行った結果、以下の内容で次年度も実施する予定である.

(1)グループ人数は5人程度をとする。

(2)訪問研究室数は4研究室をとする。

(3)グループの訪問先の研究内容がかたよらないように配慮する。

(4)以下の内容をセミナーに必ず含める

・研究内容紹介 ・実験室案内 ・学生自身が能動的に参加する内容

(5)少人数教育の趣旨を尊重する。

(6)班分け名簿とともに、「西千葉地区配置図(各教員の研究室の場所が示された地図)」

を学生に配布する。

情報画像工学実験1 Laboratory Work in Information and Image Sciences 1 (必)、4セメ、火3、4、5、金3、4、5、受講登録数72名、76名

山口匡・情報画像人間工学講座・認識情報工学分野・助手

森康久仁・情報画像人間工学講座・生体生命情報工学分野・助手

西田昌史・情報画像人間工学講座・ヒューマンインターフェース分野・助手

北神正人・情報画像基盤工学講座・計算機システム工学分野・助教授

椎名達雄・情報画像基盤工学講座・光情報工学分野・助手

斎藤了一・情報画像プロセス工学講座・知的画像処理工学分野・技官

青木直和・情報画像人間工学講座・像感性工学分野・助手

1.授業の組み立て方と取り組み方

情報画像工学実験1は、 情報画像工学科の特色である、情報、システム、マテリアルの幅広い分野

を含んだ実験である。情報画像工学科の学生にとっては、1年次の物理学基礎実験や化学基礎実験の

専門基礎科目の実験の後に、専門科目として最初に取り組む実験である。実験テーマとしては、C 言

語によるプログラミング、論理回路の設計、光学に関する実験、画像のハードコピーの作成等の多岐

な内容を含んだテーマが用意されている。例年通り、学年全体を70数名程度の二クラスに分け、各

クラスにおいて23、4名ずつの斑に分けて各テーマを順番に行うことにした。各実験テーマの中で

は更に小グループに分けて実験に取り組んでもらっている。

今回、Web ページ等の内容を無断転載したり、文章、図表の丸写しをしたレポートや、体裁を変更

しただけ、一部を改変しただけの様な明らかに同一データが元になっていると思われるレポートが増

加していることが問題となり、次年度はそれらの悪質なレポートに関しては、実験全体として不可と

することも検討することとした。

また上に関連して、レポートの返却、再レポートを課す等の対応は好ましいことが議論された。し

かし限られた時間内で実験とともにこれを行うことは、現在のスケジュールでは困難である。そこで、

2週目などに、1週生目の実験のレポートを提出させ、その場でアドバイスするなどの工夫を検討す

ることとした。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

全体的に他の授業とくらべて平均的な結果であった。交通機関の遅れに対する対応の違いによる不

満があった。この件に関しては担当者でよく議論して方針を確認中である。

3.今後の授業改善について

学生がレポートを提出していたのに、教員に届いていないケースが何件かあった。これに関しては、

レポート提出に関する説明を行う際により注意して行う必要がある。また、上記に書いたように、2

週目などに、1週生目の実験のレポートを提出させ、その場でアドバイスするなどの工夫を検討する

こととした。

情報画像工学実験2 Laboratory Work in Information and Image Sciences 2 (必)、5セメ、火3、4、5、水3、4、5、受講登録数86名、74名

森田浩・情報画像基盤工学講座・情報基盤マテリアル工学教育研究分野・教授

中村佐紀子・情報画像プロセス工学講座・情報表現プロセス工学教育研究分野・助手

大川祐輔・情報画像人間工学講座・像感性工学教育研究分野・助教授

柴史之・情報画像プロセス工学講座・像情報プロセス工学教育研究分野・助手

尾松孝茂・情報画像基盤工学講座・画像物理工学教育研究分野・助教授

椎名達雄・情報画像基盤工学講座・光情報工学教育分野・助手

酒井朋子・情報画像プロセス工学講座・像情報プロセス工学教育研究分野・技官

岩崎賢太郎・情報画像基盤工学講座・情報基盤マテリアル工学教育研究分野・助手

羽石秀昭・情報画像人間工学講座・視覚情報工学教育研究分野・助教授

津村徳道・情報画像人間工学講座・コンピュータイメージング教育研究分野・助教授

中口俊哉・情報画像人間工学講座・コンピュータイメージング教育研究分野・助手

山口匡・情報画像人間工学講座・認識情報工学教育研究分野・助手

難波一輝・情報画像基盤工学講座・計算機システム工学教育研究分野・助手

1.授業の組み立て方と取り組み方

情報画像工学実験Ⅱ(3年時前期)は、同実験Ⅰ(2年後期)、同実験Ⅲ(3年後期)とシリ-ズで

おこなう実験の中間に位置する。情報画像工学実験2では、光・色・吸収—1、2、波動光学基礎、

画像処理基礎、周波数解析、論理回路設計、プロセッサの基礎を行っている。当学科の特色として情

報、システム、マテリアルと幅広い分野を含んでいるため実験テーマもそれに対応して化学系の実験、

光学に関する実験からフーリエ解析、論理回路の設計などの多岐の内容を含んだテーマが用意されて

いる。学年全体を70〜80名程度の二クラスに分け、各クラスにおいて24〜29名ずつの斑に分

けて各テーマを順番に行うことにした。各実験テーマの中では更に小グループに分けて実験に取り組

んでもらうこととした。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

課題が多岐に渡るため、負担が大きいとの不平や、自分の興味の無い実験をしなければならない、

実験課題間の関連性がない等の否定的な意見がある一方で、実験後に自分で考察することにより大変

勉強になったという、肯定的な意見も少数ながらあった。実験の負担が大きいことからくる不満はあ

る程度致し方ないが、大変であるが幅広い勉強になって良かったと思ってくれる学生を増やしていけ

ればと思う。各実験課題の実施担当者にはいっそうの努力が求められるところではあるが、少しずつ

そのように感じてくれる学生が増えている感触もある。

3.今後の授業改善について

小数ではあったが受講者の中でレポートを提出しない者がいたので、レポート作成の重要性を説く

などして、レポート提出の重要性を認識させるようにしていきたい。実験内容が多岐に渡りすぎて相

互の関連性が少ないこと、課題の量が多すぎることへの不満が見受けられたが、これらに対してはカ

リキュラム全体との関連も考えながら慎重な対応が必要であると思われるので、今後の推移を見守り

ながら検討していきたい。

情報画像工学実験3 Laboratory Work in Information and Image Sciences 3 (必)、6セメ、水3、4、5、木3、4、5、受講登録数76名、77名

高原茂・情報画像プロセス工学講座・微細画像プロセス工学教育研究分野・助教授

中村佐紀子・情報画像プロセス工学講座・情報表現プロセス工学教育研究分野・助手

田中豊英・情報画像基盤工学講座・電子光情報マテリアル工学教育研究分野・技官

柴史之・情報画像プロセス工学講座・像情報プロセス工学教育研究分野・助手

小林範久・情報画像基盤工学講座・電子光情報マテリアル工学教育研究分野・教授

星野勝義・情報画像プロセス工学講座・微細画像プロセス工学教育研究分野・教授

宮川信一・情報画像プロセス工学講座・情報表現プロセス工学教育研究分野・助教授

尾松孝茂・情報画像基盤工学講座・画像物理工学教育研究分野・助教授

岩崎賢太郎・情報画像基盤工学講座・情報基盤マテリアル工学教育研究分野・助手

酒井朋子・情報画像プロセス工学講座・像情報プロセス工学教育研究分野・技官

堀内隆彦・情報画像基盤工学講座・電子光情報マテリアル工学分野・助教授

斎藤了一・情報画像プロセス工学講座・知的画像処理工学教育研究分野・技官

津村徳道・情報画像基盤工学講座・コンピュータイメージング教育研究分野・助教授

中口俊哉・情報画像人間工学講座・コンピュータイメージング教育研究分野・助手

関屋大雄・情報画像基盤工学講座・情報システム基盤工学教育研究分野・助手

1.授業の組み立て方と取り組み方

情報画像工学実験3(3年時後期)は,これまで同実験1(2年後期),同実験2(3年前期)とシ

リ−ズで行ってきた実験の最終段階に位置し,4年次で行なう卒業研究のための基本となるように計画

されている。光化学、分子モデリング、波動光学応用、画像処理応用1、2、ネットワーク1、2の多岐な

内容を含んだテーマが用意されている。これらの実験は光反応による材料の物理特性の変化、分子構

造、回折現象、ディジタル画像処理、ネットワーク構築を扱っている。学年全体を80名程度の二ク

ラスに分け、各クラスにおいて13、4名ずつの斑に分け、各テーマを順番に二班又は三班が一緒に

行っていくことになっている。各実験テーマの中では更に小グループに分けて実験に取り組んでもら

うものもある。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

様々な分野の実験ができて良かったという意見がある一方で、興味の無い実験もしなければなら無

かったという意見もあったが、幅広い内容の実験ができて良かったという意見の方が多いようであっ

た。その他ではレポートの負担の大きさや、試験とレポートの締め切りが重なったことに対する不満

が見られた。レポートの負担の大きさについては学生からの不満が有ったからと言って直ちに変更す

るものではないが、引き続き学生の意見を聞いていくことは必要であると考える。

3.今後の授業改善について

提出されたレポートの中には内容の酷いレポートが見られたとの報告を受けている。対策として提

出したレポートを添削して返却することによる、教員からのフィードバックを行うことが有効である

との意見が寄せられた。しかし、すべての実験課題でレポートの添削、返却を行うことは人員的に難

しいと考えられるので、不良レポートに対するより効率的な対策を検討していく必要がある。

に難しいと考えられるので、不良レポートに対するより効率的な対策を検討していく必要がある。

情報画像工学概論 Introduction to Information and Image Sciences

(必)、2セメ、水4、受講者数128名および水5、受講者数84名

蜂屋弘之・情報画像人間工学講座・認識情報工学・教授

北村孝司・情報画像プロセス工学講座・情報表現プロセス工学・教授

1.授業の組み立て方と取り組み方

後期を2つに分けて2名の教員で分担した。本授業は情報分野および画像分野における情報工学/

科学および画像工学/科学を学ぶ上での基礎知識を学習し、情報および画像技術が社会に及ぼす影響

を幅広い視野で考える力を身につけることを目的にした。具体的には、情報関係ではでは2進法とデ

ジタル信号、論理回路、コンピュータの基本構成、ソフトウェアとアルゴリズム、情報ネットワーク、

情報化社会と著作権、セキュリティーである。画像関係では、画像基礎(画像濃度、階調、コントラ

スト、色再現)、ハードコピーと画像形成プロセス(電子写真とプリンタ)、印刷プロセスと材料、画

像表示について論述した。次に、講義で工夫した点を述べる。

a)OHP にその場で書き込みすることを講義手法として採用した。・・・従来、液晶プロジェクターを

使用することが多かったが、講義の進行が早くなり学生が理解できないことが多い。そこで、学生に

ノートを取らせる講義スタイルにし、書く動作による理解を進めるよう努力した。

b)講義の分量を減少し、十分理解できるように努めた。・・・従来の講義内容では、ただ現象を羅列

するのみで理解が進まないことがあり、講義の内容を重要なものだけに短縮した。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

従来から講義と簡単な演習問題を組み合わせて,理解度をチェックしていたが,今年度は昨年度に

まして演習の結果に注意し,理解しにくい部分を反復して説明した。また,時事的な話題を多く取り

入れたり,コンピュータや携帯電話を分解しながら内部を提示するなど実物を使った説明を加え,興

味をもてるようすることを積極的に行った。100名程度が受講する大教室であるため,板書による

説明とプロジェクターによるまとめを交互に用いて,聞くだけでなく手を動かしながら問いかけに答

えるなどをバランスよく用いるように工夫した。しかし,アンケートの意見としてOHPの文字が汚

く読みにくい、声が小さいとの意見があり、改善する必要がある。また、専門教育の導入科目として

概論の役目を再度確認する必要があり、今後の専門に関してどのようにして学問的興味を持たせるか

が課題である。

3.今後の授業改善について

OHP を使用した講義スタイルおよびテキスト配布は、継続して行う。最終的にはこれらをまとめて

全体の講義テキストを作成する予定である。また、重要なことがらをしっかりと理解するよう時間を

かけて講義を行う。そして、先端技術に関してのみ興味を持つのでなく、基礎的な現象についてもし

っかり勉強する心構えを学生に持たせる必要がある。そのための努力を行うことにする。また、4コ

マと5コマが同じ内容の講義が連続して行われているため期末に行う試験については、工夫が必要で

ある。さらに、広い範囲を扱う授業で,話題の相互の関連についての理解が十分ではないように思わ

れるので,この点に注意したい。情報セキュリティーや著作権の話題も取り上げているが,現実感が

ない部分もあるので,この話題については,よい実例と授業に参加し考える形式の授業形態をもう少

し工夫していきたい。

情報画像とマテリアル Material Science for Information and Imaging

(必)、4セメ、木2、受講者数73名および木4、受講者数78名

北村孝司・情報画像プロセス工学講座・情報表現プロセス工学・教授

小林範久・情報画像基盤工学講座・光情報工学・教授

大川祐輔・情報画像人間工学講座・像感性工学・助教授

宮川信一・情報画像プロセス工学講座・情報表現プロセス工学・助教授

1.授業の組み立て方と取り組み方

授業の目的とするところは情報技術および画像技術を基盤から支える材料科学の基礎と応用である。

内容は、電気物性/(電気伝導性と電子写真材料、電気伝導性と電子ペーパー材料、誘電性と液晶材

料)、光物性・力学物性/感光性樹脂と印刷材料、電気化学物性/エネルギー変換とEC材料、磁気物

性/相変化と光メモリーで構成した。つまり、はじめに基礎現象および基礎物性を理解し、その後、

それを利用する材料について説明して画像工学分野における基礎と応用の連携および画像材料の広が

りを理解できるように心がけた。具体的な講義方法としては内容が多岐にわたるため、各項目を専門

とする先生で分担して講義を行った。最後に筆記試験を行い、出席数を加えて総合成績とした。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

学生からの評価で記述によるコメントを以下に示す。

・ 講義としての統一感を感じない。

・ 先生により授業形態が異なりすぎていた。

・ 先生により授業の質が異なる。

・ テスト範囲が広すぎる。

・ 身近な話題を取り入れた授業で関心を持つことができた。

・ 宮川先生の講義はわかりやすかった。

・ 詰め込み過ぎである。

・ 板書が見ずらい。

以上のような記述によるアンケート結果が得られた。少数の意見ではあるが記述意見であり、検討に

値すると考えている。以上のことから多くの内容を半期で講義することに無理が生じたように思われ

る。

3.今後の授業改善について

内容を整理して、学生に理解できるように工夫することが必要である。しかしながら、理解を重視

するあまり講義内容を簡素化することは避けたい。材料科学の全体像を把握し、画像材料の根底をな

す自然現象を知るためにはある程度の量は知識として学生に提供することが必要である。このことと

理解度とのバランスを取ることが今後の改善の目標である。

画像作り実習 Practice of Image Making (必)、3セメ、木4,5、受講登録数163名

久下謙一・情報画像プロセス工学講座・像情報プロセス工学分野・助教授

宮川信一・情報画像プロセス工学講座・情報表現プロセス工学教育研究分野・助教授

酒井朋子・情報画像プロセス工学講座・像情報プロセス工学教育研究分野・技官

田中豊英・情報画像基盤工学講座・電子光情報マテリアル工学教育研究分野・技官

小林範久・情報画像基盤工学講座・電子光情報マテリアル工学教育研究分野・教授

小林誠一・印刷実験工場・技官

斎藤了一・情報画像プロセス工学講座・知的画像処理工学教育研究分野・技官

高原茂・情報画像プロセス工学講座・微細画像プロセス工学教育研究分野・助教授

中村佐紀子・情報画像プロセス工学講座・情報表現プロセス工学教育研究分野・助手

青木直和・情報画像人間工学講座・像感性工学分野・助手

1.授業の組み立て方と取り組み方

ともかく色々の画像を、自分の手を動かして目の前で作ってみることを主眼としている。体験を主

とし、観察も含め、目の前でだんだんと画像が出来上がっていく過程を見ることで、感動を得ること

を目的としている。

画像工学に対する動機付け教育の一環としての授業である。自分の手で画像技術の一端に触れ、体

験することにより、技術体系の奥深さを認識して、今後の勉学の方向をつかみ取る。その体験の中か

ら良い画像にはなにが必要かを理解し、もの作りの一端として画像を作ることについての造詣を深め

ていく。

今年も最後に画像作りコンテストを実施した。実習期間中に各自で何らかの画像を作成し、最後に

展示してお互いに優秀作品を投票するものである。事前に時間をかけて準備した作品には面白いもの

も見られたが、安直に授業中に作製したものを並べただけのものもあった。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

全体として、各項目とも昨年より評価の平均値が低下した。ただ評価のばらつきが大きい。

画像作りに関心のある学生、実際に手を動かすことに興味を持ってくれた学生においては、評価が

高いが、関心のない学生の評価が大きく低下したようである。

自由記述欄の記述も昨年より減少している。記述も片言の断片的なものが多い。積極的・主体的に

画像作りに関わっていくという姿勢が希薄になっていると思われる。

このことにも示されるが、漫然とただ受講して、時間を過ごしているだけの学生が増えていると感

じられることがある。

3.今後の授業改善について

今年は熱現像写真を取り入れて、できるだけ異なるプロセスを体験できるよう工夫したが、器材等

の関係でアナログ画像が中心の組み立てにならざるを得なかった。一部デジタル画像処理等も実施し

ているが、さらなる内容の改善が必要である。ただ、改組により2年後にはカリキュラムの改定があ

るため、大きな変更が実施しにくく、ジレンマである。

関心を持ってくれなかった学生に対しては、できるだけ興味を引くような内容、説明、作業になる

ように心がけていくしかない。

情報画像産業汎論 Introduction to Information and Imaging Industry (選必)、6セメ、金5、受講登録数61名

北村孝司・情報画像プロセス工学講座・情報表現プロセス工学教育研究分野・教授

阪田史郎・情報画像プロセス工学講座・情報通信ネットワーク工学教育研究分野・教授

堀内隆彦・情報画像プロセス工学講座・知的画像処理工学教育研究分野・助教授

岸本渡・情報画像プロセス工学講座・情報通信ネットワーク工学教育研究分野・助教授

1.授業の組み立て方と取り組み方

情報画像産業汎論は学科の中期計画No.11に基づき、今年度は11回の講義と3回の会社見学を行

った。学科所属の教授の協力により外部から講師を招いて行った講義の内訳は以下の通りである。

清水聡、沖電気工業株式会社、「ITS技術の最近の研究動向」

山本實、富士通デバイス(株)、「システムLSI設計におけるマーケティングの重要性」

灰原正、NTTアクセスサービスシステム研究所、「情報通信と社会」

家木敏秀、東洋製罐グループ綜合研究所、「包みのテクノロジー」

榎田年男、東洋インキ製造株式会社、「フラットパネルディスプレイ用機能性材料の開発動向」

山上俊彦、Access社、「携帯電話における組込みソフト開発の実際」

増井裕也、日立製作所中央研究所、「移動通信における電波伝搬」

三觜剛、コニカミノルタエムジー株式会社、「医療用画像診断情報と写真技術(高画質/高診断性の提

供)」

柴田征彌、新潟日報社広告局、「新聞カラー紙面の品質管理とカラーマネージメント」

小島伸俊、花王スキンケアー研究所、「化粧品業界における肌画像解析技術とその応用」

小島忠、コニカミノルタオプト(株)、「光技術と企業経営」

会社見学は夏休みと春休みに講師の先生等の協力を得て、以下の会社の見学を行った。それぞれの会

社に20名程度ずつのグループで訪問をすることにより、受講者1人あたり3社を訪問するようにした。

夏休み:フジクラ、朝日新聞、リコー、ソニー、シャープ、凸版印刷、

春休み:読売新聞、沖電気(NTTドコモも一緒に見学)、富士通デバイス、東洋製罐。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

学生の評価は概ね良いようであった。学生からの不満としては、日程の発表が遅すぎる、見学先が

遠すぎるためお金が掛かりすぎる、等が有った。見学日程の早めの告知については見学先の都合もあ

るので、簡単には決めることができないので仕方がないと思われる。できるだけ多くの見学先を確保

するのであれば、場所が遠方になるのは仕方のない面があるので、交通費の援助等が可能であれば良

いが現状では難しいと思われる。

3.今後の授業改善について

今年度から講義と見学による講義形態となったが、休み期間中に見学が行われるため受講者が昨年

度に比べて減少してしまった。折角外部から招いた講師による講義であるので、なるべく多くの者に

受講させるために見学と講義を別の科目にすることを検討した方が良いようにも思えた。また、講義

との連動性を高めるために講師の方に見学をお願いしたが、引き受けて下さった方は少数であったの

で、毎年、見学先を確保しなければならないことを考慮すると講義とは独立に見学先を依頼する形式

でないと必要な数の見学先の確保が困難になると思われる。

市川 熹 ICHIKAWA Akira

情報画像工学科・応用情報工学講座・認識情報工学教育研究分野・教授(自然科学専任)

ヒューマンインタフェース(選必)6セメ、水2、20名

1.学生による授業評価、並びにそれに対するコメント

約10年前から個人で、類似の項目で、授業評価を行ってきていた。学生の意見を見ている

と,学生の姿勢が年々受身的、消極的になっている傾向が感じられる。また、上記の授業方法は、毎

年改善を行ってきているものの、基本的な進め方は、ほぼ同じであるにも拘わらず、この間、学生の

評価の値は殆どの項目で必ずしも一貫性が無く、評価手法のなかで、数値そのものには信頼性の点で

やや疑問を感じる。傾向としては、出席の良い学生からは、体系的で解かりやすく,興味が湧くと言

うことで、卒業研究を研究室で行うことのきっかけになっている一方で、出席の悪い学生等からは全

く逆の意見が出ている。

授業は、初めに 15 回の各講義の内容、狙い、成績評価法、参考文献などを記載したレジュ

メを配布しており、それに従った授業を行っている。講義はパワーポイントPPを使用していることに

対し、わかり易いがノートが取りにくい、ホームページに掲載して欲しいなどの意見がある。これに

は、“その事を毎年聞いているが、大学の単位は授業時間と相当する予習と復習を前提としており、そ

れを実行すれば問題無い。例示の中には著作権の問題もあり掲載できない。情報を専門とする者は著

作権の尊重も基本的な要件”と授業の初めに説明しているが、殆どの学生は自己評価に予習・復習は

していないとしており,甘えが目立つ。なお、重要なパワーポイントにはマークをつけ、補足のもの

と区別できるようにし、ノートをとる負担を軽減するようにした(本来学生が判断すべきものである

が)。

成績は、各自で課題を設定したレポート2回(3000字以上)と期末テスト(復習を兼ねた自

分作成のメモの持ち込み可)、出席率のほか、全員に2回のレポートを3分以内でプレゼンテーション

させ、図表の構成や話し方などの方法にコメントし、これらを等しい重みで評価している。レポート

2 回、発表とテストは、一部学生からは負担が重いとの意見があるが、予習・復習を行わせるために

は負担を覚悟させるべきだろう。

2.今後の授業改善について

毎回出席確認をかねて意見や質問などを書かせたメモを提出させ、内容によっては次回の授

業で回答しているが、積極的な質問は少ない。

小生は、本年度で定年となる。来年度以降は新任の先生の新しい構想での授業を期待する。

伊藤 秀男 Hideo Ito 情報画像基盤工学講座・計算機システム工学教育研究分野・教授

計算機システム入門(必)、3セメ、水2、受講登録数96名

計算機システム入門(必)、3セメ、水4、受講登録数81名

情報処理要論(選必)、5セメ、金3、受講登録数62名

1.私の授業の組み立て方と取り組み方

上記のどの講義も平成17年度までは教科書と補足資料を利用して、説明はパワーポイントによって

行ってきたが、学生にとっては、授業内容が理解され易いように工夫されてなく、興味をもてないと

映っており、その結果内容も理解できなく、授業にも満足していないという結果であった。そのため、

今年度は授業の組み立て方と取り組み方を全面的に改訂した。すなわち、パワーポイントによる説明

を一切止めて、教科書を中心に教科書を見ながら分かり易く説明し、必要な箇所の補足説明は黒板へ

書いた。また、各自の復習と勉強への意欲をもたらすことを期待して出席を兼ねた短時間の小テスト

を毎回行った。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

最初に、計算機システム入門(必)について述べる。水2と水 4の各々9個の設問に対する授業評

価結果は5段階評価でほとんど同じである。講義中の雰囲気や印象からは昨年度と比較して幾分学生

からの受けも良くなっているのではないかと期待していたが、設問3から設問9までのアンケート結

果からは昨年度と同様に悪く、設問3は学科の平均に近いが、設問4から設問9までは学科平均より

も0.9から1.3ほど低い。これでは学生にとっては教員の講義方法などは改善されてなく、授業内容

が理解できてなく、授業にも満足していないと映っている。講義の範囲や内容は昨年度までとほぼ同

じであるが、今年度もやはり駄目だった。どうも学生にとっては講義レベルが高く、分量も多過ぎる

ようだ。

情報処理要論(選必)、5セメ、金3(共生応用化学科・物質工学科)、は、設問1、2を除いて、

設問3から設問9まで5段階評価が3.4から3.9の範囲であり、ほぼ学科の平均程度であり、満足し

ていると思える。これは上記の計算機システム入門よりは広く浅い講義内容となっており、学生も学

科の専門科目の中では目新しい応用科目であることから興味をもてたのではないかと思える。

講義理解度等には直接的には関係ない独自の2つの同じ設問を上記の情報画像工学科学生と共生応

用化学科・物質工学科学生に対して行ったが、前者が共に約3.2、後者が共に約4.2の評価値であり、

評価が大きく異なる。これは興味ある奇妙なことであるが、講義内容の満足度が、それとは関係が無

い項目の評価として現れており、学生の評価値は冷静に扱わなければならないことを物語っているよ

うだ。

3.今後の授業改善について

計算機システム入門(必)では、一昨年度までの講義方法、今年度の講義方法のいずれであっても

学生には講義内容は良く理解されていないようで、不満度も高い。来年度からは、講義範囲も狭く分

量も少なくして、大切な点だけを講義してみたい。また、来年度は教科書の大切な点を全面的に黒板

へ書いて説明してみたい。情報処理要論(選必)では学生はほぼ満足しているようなので、今年度と

ほぼ同様な講義方法と内容で良いだろう。

今泉 貴史 IMAIZUMI Takashi 情報画像プロセス工学講座・ソフトウェア工学教育研究分野・助教授

情報画像リテラシー(選必)、2セメ、火2、受講登録数91名

情報画像リテラシー(選必)、2セメ、火3、受講登録数58名

マルチメディア情報処理(選必・選)、8セメ、火2、受講登録数6名

1.私の授業の組み立て方と取り組み方

担当している3科目(うち、1 科目は過年度生のための講義)ともプロジェクタを利用した講義を

行っている。講義は実際にコンピュータを用いた演習も行う講義であり、学生はWebページを自由に

参照できる。あらかじめスライドの内容をWebページ上に準備し、さらに、教科書に沿った講義とす

ることで、ノートをとる手間を抑え、その分を演習の時間に充てている。そのため、各スライドには

対応する話題が取り上げられている教科書のページ番号も記載している。Web ページ上に準備してい

るスライドは、演習室内だけでなく、自宅からでも参照可能にしてあり、学生は予習・復習、さらに

は後述の課題の解答作成に役立てることができる。

演習の時間は友達同士で相談することを奨励し、互いに教えあうことによる理解の定着を図ってい

る。また、講義時間内に終えられる程度の課題を出し、その解答を電子メールで集めている。時には、

講義時間内で終わる見込みの立たない課題となってしまうこともあるが、この場合にも演習室が使え

る時間を考慮し、余裕を持った提出スケジュールを組んでいる。演習の解答には、特に誤った解答に

関しては可能な限り返事を書くようにし、電子メールを用いた添削指導のような形で、正解にたどり

着けるようにしている。

講義の内容としては、初年度の、しかも初めての専門の講義ということもあり、難易度を低めに設

定している。プログラミング言語学習の最初の講義であり、2 年次以降の講義を取得するための基礎

となるべき知識であるので、広く全体が理解できるようにしている。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

学生による授業評価の結果によると、すべての科目・項目において全科目平均の値を超えており、

学生からは高評価を得ていると考えられる。ただし、評価しているのは殆どが1年生であり、全体的

に評価が甘い可能性があるため、注意が必要である。注目したいのは、2時限目の講義と 3時限目の

講義の評価の比較で、すべての項目において3時限目のほうが評価が高い点である。原因と考えられ

る点には次のようなものがある。(1) 教員が慣れてより良い講義ができている可能性がある。(2) 3

時限目のほうが人数が少ないため、TAの密度が相対的に高くなる。(3) 第1セメスターに受講してい

る情報処理のクラスが異なるため、それが講義の理解度などに影響している。次年度は、これらのど

の点が大きく影響しているのかを見ることにも注意して講義を進めたい。

コメントとして、TAなどが一部の学生のところに集まってしまう点に関するものがある。受講者数

を考えると、すべての学生にTAをつけることは無理であり、どうしても進度の遅れている学生の所に

TAが集まってしまうのは仕方がないと考える。また、電子メールでの添削指導は好評だったので、今

後も続けてゆきたい。

3.今後の授業改善について

演習時に、学生が臆することなく、自由に質問できる雰囲気をつくってゆきたい。

井宮 淳 Atsushi Imiya

総合メディア基盤センター 情報メディア教育研究部門 教授

算法の設計と解析 3セメ 月2 登録者数 75

概要

本講義は、改組以前の情報工学科3年前期開講の講義が、情報画像工学科(学生定員60名)、情

報工学コース2年後期(2年後期よりコース振り分け、コース定員55名)、コース制廃止後(学生定

員150名)2年後期となり、1990年より開講している講義である。途中、長期海外滞在を除き、

1993-1996年、2001-2006年、井宮が担当している。この講義は、離散数学、算法

の線形と解析、数値計算の理論と実際、グラフ理論(コース制廃止時に廃止、そのため、本講義で2

回取り上げる)と続く、計算科学の基本科目のひとつである。名前の差異はあるが、情報工学、情報

科学関係の学科では必ず開講されており、当該学科卒業生の基礎知識として要求される領域の入門で

ある。2001年の再担当時より、まったく同様のシラバスで講義を行っている。年次により取りあ

げる例題を変更することは行っているが、領域が基礎領域である関係から、今後もシラバスを変更す

ることは行うことができない。いわゆる、医学における基礎5科の中でも、第一の解剖学に相当する

分野であるので、変更は許されない。

問題点

学科制、コース制実施時には、60-80%の学生すなわち、30-45名程度の学生が単位を取

得していた。現在2年後期に続けて開講しているが、依然、演習等、レポートをこなして最後まで習

得し、単位を取得する学生の数は25-35名程度である。これは登録学生の50%程度である。仮

に登録者の全員が情報通信関係の仕事に従事するとすれば、約半数の学生が基礎知識を身につけずに

社会にでることが現状である。これは、高校教育ならびに、大学1年次に、計算過程につながる考え

方に触れたことがないことと推測できる。画像通信、画像蓄積とは、現在、算法論の基礎的な考え方

なしでは成立しえなくなっている。

解決案

現在の大学科制の教育課程は、学科のカバーする内容が広すぎると考えられる。従って、大学科制

を維持するのであれは、推奨課程表などの再整備が必要である。

大川 祐輔 Yusuke Okawa 情報画像人間工学講座・像感性工学教育研究分野・助教授 (自然科学専任)

物質センシング (選必) 6セメ,水2,25名

1.私の授業の組み立て方と取り組み方

授業手法自体はこれまで数年来実行してきた方法を大きくは変更していない.専門科目では,プロ

ジェクタを使った visual な解説と板書による古典的な解説を併用する,プロジェクタで提示する内

容のハンドアウトは用意しない,その回の授業内容を振り返る簡単な課題を課す (翌週提出させ,チ

ェックして返却),等が特徴であろう.課題については従来から学生に好意的に捉えられているようで

ある (アンケートにも反映).課題の解説については web 上で公開しており,これも学生には評価が

高い (「課題を出しっぱなしにする教員が多いのに対し,何がポイントなのかを具体的に確認できて

よい」という自由記述意見があった).web を使用しているのは限られた講義時間を同じ内容の再解説

に取られることを最小限に抑えるためであり,また復習のために自分が何かしらのアクションをおこ

す,そのきっかけになって欲しいという考えからである.この考え方は現在のところ学生の支持を得

ていると考えている.

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

「物質センシング」は高校レベルの物理・化学の知識を大前提に,先端的な化学計測技術のエッセ

ンスを学ぶとともに,物質構造についての物理化学的理解を深めることを意図して講義を行っている.

講義枠は昨年までの前期,月曜1コマから後期水曜2コマに移動した.受講者数の減少は対象が3年

次後期になった影響があるだろう.一方で,欠席者の激減,遅刻も毎回数名程度に減少するなど,出

席状況は著しく改善した.2 コマという時間帯の威力もあるだろうし,単位数の辻褄合わせのために

も安易に講義を切れない時期にあること,また,不可の成績が残るようになったために,登録を残し

たからには合格できる程度には勉強しないわけにはいかないという面もあるかもしれない.もともと

内容に興味のない学生が登録しないからであろうか,学生からの評価は概して平均を上回った.自由

記述欄にも「勉強になった」「よい授業と思う」等の声があり,授業を行った側としては率直に喜んで

いる.例年続けており一定の評価を得ている各回の講義の内容を簡単に振り返るクイズ形式のミニプ

リントは本年も実施した.その補足解説は web に掲載しているが,この方式も評判がよいようである.

簡単な内容でもノート等を振り返るきっかけになり,一定の効果はあると考えており,今後も継続し

たい.板書は消すのが早いという声が (例年通りに) 見られたが,今年度は板書量を意識的に少な目

にしたこともあってか「見やすかった」という意見も複数あった(アンケートでも平均をやや上回るポ

イント).例年扱う範囲が広すぎるという意見があり,今年も内容の精選を図ったがそれでもまだ範囲

の広さについての指摘があった.中間試験の導入などの提案もあり,検討に値する.学生からの質問

については例年通りに非常に少ない.自分で考えてみれば,こちらの説明の不足点や疑問点は少なか

らず出てくるはずだと思っているのだが.

例年に比べて評価が低かった点としては,「声の聞き取りやすさ」が挙げられる.話し方を変えた

意識はないのだが,複数から個別の指摘があったところをみても,注意する必要が高いといえる.

3.今後の授業改善について

その年年の受講学生のばらつきもあると思うが,内容と量の落としどころはほぼ掴めた感がある.

板書やプロジェクタ資料についても,一定の評価は得られるようになってはきたが,改善の余地は多

いと認識している.

太田 真智子 OHTA Machiko 非常勤講師

画像工学演習、水4、受講登録数 前期・後期 合計12名

工業英語演習、水4、受講登録数 前期・後期 合計1名

情報基礎英語、水4、受講登録数 前期・後期 合計15名

1.私の授業の組み立て方と取り組み方

前途と志のある情報画像工学科生にとって役立つ英語力。その基盤を築く15回として、最終目標を

「この 15 回が終わっても自分に自分で問題を出して学び続けられる揺るぎなき自律学習の基盤を築

くこと」に置いている。この最終目標が誰でもない自分のものであること、そして、情報画像工学科

生だからこそ確かな英語力が必要であることを切実に感じてもらいたく、授業では実際に科学技術の

現場で流通する英文書類を教材としている。前期の反応を踏まえ、後期では授業の予習復習のアウト

ラインを具体的に示し、この延長線上に小テストを設定し、小テストの形式を統一することで、学習

の進捗度を各自が実感できるよう配慮した。また、単文和英課題を課し、「文法的に成り立つ英文」と

「読者に奉仕する英文」の違いに意識を向ける機会を設けた。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

前途と志のある情報画像工学科生にとって役立つ英語力、それは言うなれば富士山のような英語力、

広い裾野のうえに高く築きあげられた英語力であると考えている。「広い裾野」を盤石にするべく、英

語を英語で理解することで、「良質なインプット=reading」を「良質なアウトプット=writing」に結び

つけてほしい、そのための基本学習ツールとして英英辞典を使いこなせるようになってほしい、との

意図により、指定英英辞典(Macmillan English Dictionary For Advanced Learners of American English、

略称MED)を必携教科書扱いとしてきた。しかし、英英辞典を日常の予習復習の道具として活用するこ

とは受講生にとって予想以上に高いハードルであることが、授業評価結果というより、受講生数その

ものから如実に伝わる平成18年度となった。

MED の定義語彙は約 2500 語、千葉大学情報画像工学科生として学んでいるからにはその大部分をす

でに習得しているはずの語彙である。先入観を捨てて、これまで培ってきた英語力をここで眠らせる

のはもったいないと奮起して頁をめくれば、意外にも親しみやすい記述が自分を待ってくれていたこ

とに気づくはずである。自発的学習者がかくも少ない現状をとても残念に思う。

3.今後の授業改善について

平成19年度では、MEDを必携教科書扱いとせず、授業を組み立てる。

想像してみてほしい。自分が研究の現場で英語を切実に必要とするのはどんな場面だろう。

そこでは誰かが先回りして訳注をつけていてくれはしない。選べばいいだけの選択肢も用意されはし

ない。自分で自分に問題を出し答を見つけられる英語力、英語を深く読むことで英語を書く引き出し

を自分で増やす英語力、すなわち「富士山のような英語力」を自分のものにしようという意欲と情熱

に燃える果敢な挑戦者を待っている。

尾松 孝茂 Takashige Omatsu 情報画像基盤工学講座・画像物理工学教育研究分野・助教授

振動と波動(必)、3セメ、木2、4受講登録数194名

熱統計量子力学(必)、4セメ、木2、4、受講登録数161名

オプトエレクトロニクス(選必)、5セメ、金4、受講登録数81名

1.私の授業の組み立て方と取り組み方

担当している3科目ともパワーポイントを利用してPCとプロジェクターによる講義を行っている。

講義で用いたスライドは講義ノートとして学生に配布している。また、授業中に、学生がノートを取

るための時間を設けている。特に、情報画像工学科では、物理系科目が少ないため、微分方程式、微

積分、ベクトル解析などの数学に慣れていない学生が多い。基本的な数式は可能な限り講義ノートに

記載し、式の展開を黒板で説明し、学生自身がノートを取る習慣を身に付けるように配慮している。

講義は、前回のスライドの復習から入り、本題の概要を説明し、次に、学生にノートを取らせ、さ

らに、詳細な説明を加え復習することで、学生は講義で用いるスライドについて最低3回は説明を聞

くことになる。また、講義ノートを取れない学生に配慮し、ノートをとらせる時間を設けている。講

義4回に一度演習の時間を設け、具体的な例題を解くことで、講義の理解度向上を図っている。また、

今年度より振動と波動、熱統計量子力学は2クラス開講にした。

「振動と波動」は、情報画像工学科の必修科目であり、単振動から連成振動、さらには、連続体の振

動及び波動方程式に至る工学技術者として最低限身につけていなければならない基礎知識を講義して

いる。

「熱統計量子力学」は、情報画像工学科の必修科目であり、工学の技術者として常識的に備えなけれ

ばならないボルツマン分布などの基礎的な統計力学と調和振動子から水素原子モデルまでの量子力学

の基礎知識を講義している。

「オプトエレクトロニクス」は、光を電磁波として取り扱い、屈折や回折といった光の性質を物理的

に解析する方法について講義し、その過程で電磁気学的波動方程式と量子力学的なシュレディンガー

方程式との数学的類似性にも触れ、物理現象をより体系的に理解させることも目的としている。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

8項目に及ぶ5段階評価(40点満点)で、振動と波動は24点(60%)、熱統計量子力学は29点(72%)、

オプトエレクトロニクスは27点(70%)であり、学科の平均が32点(80%)であることと比較して、

振動と波動は評価が低い。本学科では、電磁気学、偏微分方程式が選択科目であるため、微分方程式

の習熟度が極めて低い。特に、専門科目に入るとほとんどの科目で数学、物理を必要としないため、

数式が数多く出てくる物理系科目は評判が悪く、学生が途中で理解を放棄するようである。

オプトエレクトロニクスは、これまでより振動と波動、量子力学との連携を重視した講義内容に変

更した結果、かえって学生は拒否反応を示したようだ。本学科の学生は体系づけた講義より具体的な

応用例重視の授業を好む傾向が特に強い。一回の講義で使用するスライドの数を5枚以内にするなど、

説明を簡潔にしていることと、スライドの配布、演習の時間を徹底しているが、もう少し学生側の努

力も期待したい。

3.今後の授業改善について

熱統計量子力学は2クラス開講にし、演習などの時間を設けることで昨年度より評価があがった。

今後も個々の学生の習熟度をチェックする機会を増やし、興味が持続できるように講義内容を簡潔に

して学生があきらめないように努力したい。

河村 哲也 Tetuya Kawamura 情報画像工学科・非常勤講師

数値計算の理論と実際(選必)5セメ、金1

1.私の授業の組み立て方と取り組み方

数値計算の授業には、最低限押さえるべきポイントはいくつかある。そこで、トピックを厳選した

上で、たとえあるトピックが十分に理解できなくても、新たなトピックの理解に差し支えないように

配慮している。また、わかりやすさをもっとうにし、抽象さは避けて、なるべく例を多くあげて直観

的な理解ができるようにしている。本年度は教科書にそって授業をすすめ、予習や復習がしやすいよ

うに配慮した。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

前回は全体に平均程度かそれを少し上回る程度の評価であったが、今回は平均を少し下回ってしま

った。例年と同じように講義をしたので、理由はよくわからないが、前回と異なる点は教科書に密着

して講義したことである。それは前回評価が低かった項目に、教科書・参考書の項で、あまり役に立

たなかったという評価を受けたためである。今後は教科書の使い方を検討してみたい。なお、講義自

体は休講なしで、授業時間も規定どおり行った。

3.今後の授業改善について

やはり教科書・参考書を指定した方が学生にとって便利だと思われるため、次回も使う予定にして

いる。ただし、なるべく価格の低い教科書を選定して全員に買ってもらい、有効に利用することを考

える。成績評価に関しては期末テストのみならず宿題やレポートも課して総合的な評価にしてみたい。

また授業は親しみやすい雰囲気にして質問がしやすい環境づくりを目指したい。また、コンピュータ

の画面をプロジェクタをとおして映して、授業の理解を深めるようにしたい。

岸本 渡 Kishimoto Wataru 情報画像プロセス講座・情報通信ネットワーク教育研究分野・助教授

情報数学(必)、3セメ、金2、金5、受講登録数83、76名

情報画像工学セミナー(必)、1セメ、月5、受講登録数154名

コンピュータ処理(共生応用化学科選必)、4セメ、水2、受講登録数80名

1.私の授業の組み立て方と取り組み方

ここでは情報数学について述べる。基礎科目であることと離散数学全般について講義することにな

っているため、一つ一つの項目を深く掘り下げる時間的余裕がなく、各項目の中の基本となる事項を

一通り説明することとした。また、講義の最後にはその日の内容に関連する簡単な演習問題を解いて

もらい、出欠を取る代わりに提出してもらうことにより受講者の理解度の目安とすることができた。

しかし、簡単すぎる問題では演習問題を考える効用が薄れ、難しすぎると時間がかかってしまうため

講義の進行に支障をきたしてしまう。そのために適度な難易度の問題を考える必要があるが、良い問

題を見つけられず苦労した。今年度も、前回の問題の解答を説明することとしたが、時間の関係上簡

単な解説のみとした。演習問題の難易度が適度である場合には受講者の反応も良く感じられたので、

このことからも良い演習問題を出題することが重要であると強く感じられた。中間試験を行ったが、

これは受講者に良い刺激となっておりかなり効果があったように感じられるので、今後も実施してい

きたい。講義に含まれるそれぞれの項目への時間配分などは昨年度よりはバランスよく配分できたと

思うがまだまだ改善の余地がある。それぞれの項目はどれも重要であるので、バランスに注意しなけ

ればならないのではあるが、あまり掘り下げた議論ができないために学生の興味を削いでいる面もあ

るように思えた。基礎科目の性質上致し方ない事では有るが、離散数学に興味を持った学生を更に進

んだ勉強をしてみたいと思わせるようなことが何かできないかと思案している。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

すべての項目で学科内の平均を下回っており、より一層の改善を目指していかなければならない。

特に目立って悪いのが板書の見易さについてであるので、書き方、内容についてより注意を払ってい

かなければならないだろう。講義に対する準備に時間を書ければ板書は改善ができるのではないかと

考えられるが、年々十分な準備の時間を取りにくくなっている。それぞれの項目の評価をできるだけ

上げるように努力していかなければならないとは考えているが、例えば、講義に対する興味を持つよ

うな工夫なども大切では有るが、専門科目の中の基礎科目に属しているというこの科目の性質を考え

ると何よりも十分な内容を伝えていくことが最も大切ではないかと考えている。

3.今後の授業改善について

各回の講義において詳しく説明する項目をある程度絞ることが良いのではないかと考えているのだ

が、どこに重点を置くべきかの判断がまだできかねている。どの程度まで説明すれば、あとは学生自

身が補足できるのかがまだ掴めていないので、重点の置き方については今後経験を積んでより良い形

を見つけていくしかないと思われる。また、講義で取り上げる項目についてもさらに検討がひつよう

である。離散数学の発展した内容について独自に勉強してみようと思う学生が少しずつでも出てくる

ような講義にすることを目指していきたい。板書を見易くできるように自分なりに少しずつでも工夫

を続けていかなければならない。

北神 正人 Masato Kitakami 情報画像基礎工学講座・計算機システム工学教育研究分野・助教授

OSと計算機システム(選必)、5セメ、金3、受講登録数98名

1.私の授業の組み立て方と取り組み方

毎回PCでプレゼンテーションソフトを用いて講義を行っている。授業で用いるスライドはWeb

で閲覧できる形式および紙に印刷できる形式で授業のWebページで公開している。また、毎回講義

の最後に演習問題を課しその日の学習内容の要点を確認させている。演習問題の解答用紙は出席確認

を兼ねており、演習問題への解答を含むため安易な代返による出席の偽装が困難になっている。演習

問題の出欠確認は、用紙をマークシート化し、学生証番号をマークさせてPCで読み取ることにより

入力作業を省力化している。(マークシートのフォーマットおよび認識ソフトは教育目的に限って無償

でる用可能な物を利用している。)毎回の演習問題については次回の講義の冒頭で解答例を示し復習を

行っている。演習問題および復習の実施は以前の授業評価アンケートあるいは中間期末試験のアンケ

ート(自由記述)で学生から寄せられた意見を参考に数年前から実施している。このスタイルがすで

に数年続いておりマンネリ化している感も否めないので後述のように改良する必要があるかもしれな

い。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

問1の理由で一番多かったのは「d単位がとりやすそうだったから」であった。他の授業の不可の

割合は分からないが、本授業では出席8割以上の学生で不可となる人数は毎年3,4名程度である。そ

のため、出席点の比重が大きく出席さえしていれば単位が取れるという印象が学生の間で広まってい

るのかもしれない。これを反映してか、学生自身の出席率を問う問2の平均が4.9以上と学科平均よ

りもかなり大きくなっている。教材を指定していないので問3は関係ない。問4以降についてはどれ

も3から4の間で学科平均より若干小さい。これは学習内容を詰め込みすぎていることが一因である

と思う。すなわち、本授業は旧カリキュラムの「オペレーティングシステム」と「計算機機構設計論」

を統合したもので単純に学習内容は2倍になっている。内容を精選してはいるがやはり通常の1.5倍

程度の内容をやっており、授業のペースが速くなりがちである。実際そのような指摘を学生から何度

か受けており、毎年少しずつ内容を精選しているが抜本的な改良になっていないと思われる。

3.今後の授業改善について

1.で挙げたように、現在の授業スタイルも確立してから数年経過した。特に出席のみで無条件に

点数を与えることはJABEE審査の際に問題になる。そこで、今後は演習問題を採点してその結果

を成績に加える等の工夫が必要になると思われる。また、学習内容についてもさらに精選し、授業時

間内で無理なく理解できる量になるよう工夫する必要があると考える。ただし、この科目で必ず学習

しなければなら内容もあり、削減には限界がありと思われる。やはり新学科のカリキュラムのように

2科目に分割するのが最良であると考える。

基礎物理化学 Fundamental Physical Chemistry (必)、3セメ、金2、金5、受講登録数180名

久下謙一・情報画像プロセス工学講座・像情報プロセス工学分野・助教授

1.授業の組み立て方と取り組み方

この科目は1年生必修の物理化学を主体とする基礎化学 A の続きの科目であり、そこでカバーして

いない巨視的挙動の領域を扱った。高校の化学の復習をふまえながら行ったが、単なる復習ではなく、

高校で習ったことを大学のレベルで定量的に見直すといかに理解が容易になるかを解説しながら行い、

基礎をしっかりと理解して身につけることを目指した。

ほぼ毎回その日の内容の復習となる簡単な宿題を課した。宿題は翌週提出、採点したのち翌々週の

授業の冒頭に返却した。今年は内容、正答などの解説、説明は授業中の区切りで行い、目先を変える

ことで授業に退屈しないように工夫した。時々授業内容に関連したトピック(雑談)も交えた。

教科書をベースにしているが、単にその内容を追うのではなく、高校での学習内容との違いを主に

板書で示し、口頭でかみ砕いた説明を加えた。板書をノートに書き写すスピードを考慮して、OHP、ス

ライドプロジェクターは方針として使用しなかった。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

他の授業と比べて各項目とも平均か多少良いという評価結果であった。

昨年度から必修となったが、昨年同様その影響は大きかった。高校の化学の復習をふまえながらと

いう方針であるが、高校での履修レベルの開きが大きく、ある学生には易しすぎることが、他の学生

には難解に感じられるようで、高校で化学Ⅱまで履修したか、しなかったかの差があるように思われ

る。そのためどこまで理解しているかを見極めて、到達目標を設定するのが難しかった。全体として

平易な方へ振れたかもしれない。

宿題はその日の授業の理解を深めるためのものであるが、宿題の採点を平常点に含めているため、

点数にこだわって、どの程度理解したかを点検するという目的から逸脱して、ただ単に正解を当てて

○をもらうことが目的化している学生、×に対してどこがわからなかったかより、他人とどのくらい

点数差がついたかを気にする学生が増えたと感じられる。点数主義の弊害が出ている。

授業評価の結果からは評価の形骸化も見られる。評価欄の縦の同じ列に機械的に印を付けたアンケ

ートが年々増えているように思われる。授業に興味がないのか、アンケート疲れなのか、授業評価の

仕方にも今後工夫が必要となろう。

3.今後の授業改善について

必修で受講人数が多いため、2クラスを開講し、午前と午後でまったく同じ内容の授業をしている。

この場合どうしても午後のクラスの方が授業の手際がよくなって、午前中は時間が足らない気味であ

るのが、午後は時間が余ることが多々あった。セメスターの中間でペアーの科目と時間割を入れ替え

るのも一法である。

宿題を平常点に含めており、採点のばらつきが生じないように、どうしても採点の容易な問題が多

くなる。宿題の出し方の工夫が必要であろう。

洪 博哲 Po-Chieh Hung

情報画像工学科・非常勤講師

画像複製論(選択)、3受講登録数5名

1.私の授業の組み立て方と取り組み方

授業の構成は全体像をまず説明して、それから個別の技術、理論を説明する形をとっている。これ

により、個別の技術が全体像のどの部分に相当するのかを学生に認識してもらうためである。さらに、

私の産業界の経験から、さまざまな逸話、例えば、実際の発明の過程、規格化されるまでの交渉過程、

実際の利用技術などの話を取り混ぜ、学生に少しでも興味を持ってもらえるように工夫している。

実際の授業では、内容説明の文字については板書で行い、図については授業の最初にプリントした

ものを配布して進めている。これにより学生は、文字の部分は手で書きながら理解し、図については

きれいに作られたものをノートに貼ることで、全体のノートが完成するようにしている。

また、授業の最中には演習問題を挿入して、学生が宿題として実際に計算問題を解きながら理解で

きるようにしている。また、不明なことは、Eメールで質問に答えている。

試験は持ち込みだが、授業中に出題した演習問題を変形したものを出題している。問題数は多めに

してあり、前もって演習問題を解いてしっかりを考えをまとめた学生にはハイスコアが取れるように

している。試験問題の構成と傾向については授業中に繰り返し伝えて実際に演習を解くことを強く求

めている。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

今回の授業は4年生以上の設定になっていたため、昨年度に比べると数分の一になり5名が受講し

たのみだった。概ね3.5~4のスコアで大きく悪い点はなかったが、改善コメントには、授業時間が不

定期になっていることに対する苦情、および、演習問題を宿題だけとしないで授業中に実際にやりた

いとの希望、があった。また、良かった点としては、全体の流れが分かりやすいこと、実際にEメー

ルで質問してきたことに対応したことが記載されていた(学生の一名は試験直前であったが、多数の質

問をしてきて、それに答えた)。

3.今後の授業改善について

授業時間については本業の都合もあり、残念ながら学生の希望には添えない。が、演習問題につい

ては、授業時間中に時間を取り、実際に解いてもらい、その直後に解説を入れる方式を含めるように

変更してみたい。この結果、伝えられる情報量はやや減るが、学生に能動的に考えることを促す意味

で良いと考える(本来、学生の復習として実際に持ち帰って行うべきものであるはずだが、それを実際

に実行する学生は10%程度のようである)。

小関 健一 Ken’ichi Koseki 情報画像基盤工学講座・電子光情報マテリアル工学教育研究分野・助教授

プリンティング工学(選必) 6セメ、火4、76名

1.私の授業の組み立て方と取り組み方

「プリンティング工学」では、液晶プロジェクターを使用した授業を行っている。昨年度のアンケ

ートを参考に、プリンティング技術のより具体的な例を、写真や動画などを多用してより実際的な情

報を伝えられるようにした。ただパワーポイントでの説明では図表などをノートに取ることが難しい

ので、パワーポイントの資料を配付し、理解してもらえるように工夫した。しかし、パワーポイント

の資料をそのまま配付すると、全くノートを取らなくなる傾向があるため、重要な項目に関しては配

付資料を不完全にして授業中に緊張感を持たせるような工夫を更に進めた。講義内容の区切りごとに

中間テストや小テストなどを行うとともに、次週にはその解説および模範解答を行って学生の理解度

をチェックすることも引き続き行った。「プリンティング工学」では、従来の印刷技術の基本をしっか

りと理解してもらうと共に、コンピューターやレーザーを利用した新しいCTPやインクジェットプ

リンティングなどのデジタル情報による印刷技術について講義し、その基本的な考え方を応用したナ

ノプリントやナノインプリントなどの、今後フォトリソグラフィー技術の一部に取って代わる可能性

のある新しい技術の考え方を理解して貰うことを目的とした授業である。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

Q8の授業内容の理解に関しての評価は、科目平均より高い。液晶プロジェクターの使用や、サン

プルの提示など、工学としてのプリンティングを理解してもらえるように工夫し、理解に役だつよう

にパワーポイントの資料を配付し、中間テストなどを行った後に、その解説および模範解答を行って

学生の理解度をチェックして進めたことによるものとも思えるが、Q5〜7の結果から、更なる工夫

が必要と思われる。出席に関してもポイントは高いのだが、毎回遅刻者がいたので、評価通りの実質

的な出席を期待したい。

記述の内容としては、下記のような意見があった。改善すべき点やすぐに対応できる事項に関して

は次年度に検討および実行したい。

○ 穴埋め方式のプリントが良かった。○ 印刷技術に関し多くの知識を得ることができた。○ サンプ

ルなどが見られて良かった。○出席を取ったことが良かった。○ プリントの文字等が小さくて見づら

い。○ ポイントが分かりにくかった。○ テストが難しかった。○ 空欄を増やして欲しい。

3.今後の授業改善について

パワーポイントによる授業では、気を付けたつもりでも無意識のうちに講義のスピードが早くなり

がちであるので、適正になるようにしたい。更にポイントが明確になるような資料づくりを行うなど

の工夫をしたい。まだ受け身的な授業と感じている学生がいるようなので、質問が出るような工夫な

ど授業に積極的に参加させる努力をしたい。また自分で学ぼうとするようにするために、複数回のレ

ポートなどを求めることを引き続き検討したい。

小林 範久 Norihisa Kobayashi 情報画像基盤工学講座・電子光情報マテリアル工学教育研究分野・教授

高分子機能材料(選必)、6セメ、火1、受講登録数24名

高分子機能材料(旧画像記録材料)(選必)、6セメ、火1、受講登録数4名

高分子機能材料(旧画像高分子物性論)(選必)、6セメ、火1、受講登録数1名

1.私の授業の組み立て方と取り組み方

現時点のカリキュラムでは異なる二つの授業となっているが、新カリキュラムの関係から統合して

授業を行っている。基本的にはpower pointと補助配布資料を利用した授業であり、より詳細な事項

について黒板を用いて講義を行っている。授業名にあるようないわゆる「材料」は、応用が見えてこ

ないと我々の学科では取っ付きにくいらしく、以前メディア教育開発センターと共同で作成した工学

教材CD-ROM(応用面に関する動画や、分子運動ならびに反応に関するアニメーションを含む)や分子

構造に関するモデリングソフトを利用して学生の興味を持たせるような授業を心がけている。非常に

広い範囲を限られた時間内で教えなければならないため、試験は自筆のノートのみ持込可としている

が、ノート等に個人が必要と思える事項を書かせることは重要である。手先と脳との繋がりを利用す

る古くからのこの学習法はやはり効果的と思われ、自分で書いたものとpower point等から得られる

視覚情報を頭の中で再構築することでより学習効果が上がるのではないかと思っている。そのため、

重要な事項は何度も繰り返してつたえ、どのpower pointと相関を持っているか明確にするように心

がけている。ただの興味本位で授業を聞いている、いわゆるお客様的なものとは異なる能動的な授業

態度を学生にも期待している。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

後期1限の授業を反映してか、評価時の出席総数は 21 名と少ないが,教えるには適切な人数と思

っており,我々の学科で後期唯一の1限の選択必修の授業を朝早くから最後まで受けてくれた学生に

は感謝している。後期に出席者数が少ないのはこの授業に限ったことではないらしく、3 年前期でほ

とんど授業を履修してしまうためかもしれない。出席は個人個人厳密にとり、大幅な遅刻は出席とみ

なさなかったことも一因とは考えられるが、出席を評定に加味しているため変更するつもりはない。

学生からの評価はどの項目も平均より 0.5 ポイント程度上回っており,そこそこ満足してもらえたと

思う。ただ,厳しい評価をつけてきた学生もおり,全員が満足する授業ではなかったかもしれない。

こちら側からすれば,朝早くから他のことに時間使った方が良いのではと思わせる学生もいるため,

お互いの意識のすり合わせは必要かもしれない

3.今後の授業改善について

学生の評価のみを気にして安易に迎合する授業は行っていきたくはない。ただ、専門ではあるが,

どのレベルに授業の進度や説明をおくかは考えていたい。授業評価をうけて以来,学生からの評価は

それほど悪くないが、学生は毎年代わるため、毎時間常に学生のわかり易さを考えた授業努力を忘れ

てはいけないと思う。昨年も書いたが学生の評価は毎年、期末に行われるが中間において行うほうが、

すぐ授業の改善に役立てられると思える。

小林 裕幸 Hiroyuki Kobayashi 情報画像人間工学講座・像感性工学教育研究分野・教授

画像システム論(必)、4セメ、水2、受講登録数75名

画像システム論(必)、4セメ、水4、受講登録数88名

1.私の授業の組み立て方と取り組み方

必修であるので、全員が少しでも興味をもってくれるよう取り組んでいる。難しい話も身近な例を

出すなどの工夫をしている。今何を話しているのか、何が問題なのかを常にわからせる。いつも高校

までの知識から出発し、難しい話へと展開していく。知識にも飛躍がないよう心がけている。

「板書」は非常にだいじだと思っている。学生が理解しやすい授業速度は板書しながら進めるペー

スが一番と信じている。もう一つだいじにしていることはプロジェクタを使って画像を見せることで

ある。画像を見る目を育てることを目的としている。いい画像とはどんな画像かなど、ことばで説明

しても理解できない。画像を見ればすぐわかる。

黒板にうまく描けないグラフ、また数式などは資料として配布するが、意識的に不完全にしてある。

授業を聴きながら、不完全な分部をうめさせ、授業に参加を促すようにしている。

授業の最後に毎回豆テストを行い、授業への集中を促すとともに、理解度の確認を行っている。こ

れは遅刻を減少させる効果もある。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

毎年課題としている苦手な板書等の見やすさの項目は、4.16と初めて4点台にのった(平均3.82)。

さらに努力を重ねたい。声が良く聞こえたかの項目が4.74と平均(4.11)を大きく上回った。理解を

助ける工夫4.49(平均3.78)、興味をもつ工夫4.51(平均3.76)、理解できたか4.25(平均3.54)、

授業に満足したか4.47(平均3.79)なども平均を大きく上回り、うれしい結果だった。

・学生からのコメント:

良かった点:今まで受けた授業で一番わかりやすかった。他の授業でわからなかったことがこの授業

でわかるようになった。質問にも丁寧に答えてくれたのもよかった;他の授業とは比べものにならな

いほどわかりやすかった;大学では珍しい授業らしい授業で、とても興味深く聴くことができた;豆

テストで毎回の授業が理解できてよかった;小テスト方式でいったん成績を出して、期末テストを受

けるかどうかは各自で判断というのはわかりやすいし、ちゃんと授業を聴くのに効果がある;どの画

像系の授業より内容が濃くておもしろかった;この授業のおかげで自分の進みたい道を見つけること

ができました。大学へ入って自分が何をしたいのかわからなくなってしまったが、画像の色彩系に行

きたいと思うようになった;画像の話は苦手でしたが、よく理解でき、興味がわいてきた;後期の中

で唯一興味が持てた;

改善すべき点:板書が少し汚い;思い当たりません;数式をあまり考えないなど、講義内容自体がう

すく感じた;座席指定は良くなかった。好きなところに座りたい;

その他:何も見ずに小テストというのが辛かった。その日のうちに授業内容を覚えきれないので;

3.今後の授業改善について

数式をあまり導入しないことが、わかりやすいという多くの評価を得ている一方、一部にもの足り

なさを感じている者もいるようだ。ただ、講義自体がうすいとコメントをくれた学生も、満足度に 4

をくれ、授業のやり方は基本的に間違っていないと思っている。

情報通信ネットワーク (必)、6セメ、金4、受講登録数109名

阪田史郎・情報画像プロセス工学講座・情報通信ネットワーク工学教育研究分野・教授

1.授業の組み立て方と取り組み方

基礎学力を備え、専門性の高い優秀な研究者、技術者を育成するための授業を進めるとともに、企

業に長年勤めた経験を生かし、産業界が求める研究者、技術者としての備えるべき資質、能力につい

ても具体例も挙げながら説明し、将来の進路についても学生に役に立つ情報を提供する。

教育に必要な教科書を、他大学の先生も含めて協力して執筆、発行し、教材として利用する。実際

に執筆した書籍が情報処理学会編としてオーム社より教科書シリーズの一冊である「インターネット・

プロトコル」として出版され、今年度より授業における教科書として使用した。

授業においては、小テスト、演習、事例研究、レポートをできるだけ実施し、個々の学生の理解度

を把握しきめ細かな教育を実践する。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

今回、学生にもアンケート収集日として知らせておいたた最終授業日に、私が風邪を引き高熱のた

め休講にせざるを得なくなり、残念ながら収集できませんでした。

左近 勝利 Sakon Katsutoshi 情報画像工学科 非常勤講師

広報媒体論(選)、7セメ、木5、受講登録数46名

1.私の授業の組み立て方と取り組み方

「広報媒体論」はそのタイトルから工学部の授業としてはユニークに見えるかも知れない。そのた

め、情報画像工学科の授業としての位置づけや学生の専門領域との関係を意識しながら授業内容を組

み立てている。また、学生が専攻領域において、様々な発想や思考面で活用できる授業内容となり、

受講した意義を感じてもらえるような内容構成を心がけている。

他方、メディアやメディアから送出されるコンテンツは私たちの日常生活の中に深く浸透し、大変

身近な存在となっているため、学生がそのメカニズムを知り、自らの目で見直し、その将来像を考え

る契機となることも想定している。

授業の前半では情報、知識、広告、広報などのコンテンツ、それを伝える諸媒体(メディア)、そし

てそれらの根底にあるマーケティングやコミュニケーションに関する理論、歴史や発展過程、先端的

動向などを解説する。後半部分ではビデオ映像を中心に内外の優れた広告作品や実例の紹介を行なっ

ている。関連領域が広いため、ここでの授業の位置づけと学生のニーズを勘案し、幾つかのテーマや

領域にフォーカスしながら授業を進めている。テーマごとにレジュメや参考資料の配布、パワーポイ

ントなどを使った説明も行なう。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

9項目の設問中、「授業を履修登録した理由」を除く8項目中、5項目についてはほぼ科目平均に近

い評価点(5 点満点)であったが、①「授業の満足度」、②「授業の理解度」、③「授業への興味度」

の3項目に関しては科目平均よりかなり高い評価点を得ることが出来た。①の「全体を通して授業に

満足したか」に関しては科目平均評価点が 3.789 であったのに対し 4.531、②の「内容を理解できた

か」に関しては科目平均評価点が 3.535 であったのに対し 4.125、③の「興味を持つように工夫され

ていたか」に関しては科目平均評価点が3.761であったのに対し4.125とそれぞれ高評価であった。

中でも「授業の満足度」で高いスコアを得られたことは全体として良好な評価であったと判断できる。

他の項目に関しては平均的な評価点であったが、反省や改善を行ないたい点もある。板書、パワー

ポイントの使用、レジュメ作成、参考資料配布などに関しても今回のアンケート結果を参考にしなが

ら、少しでも改善を図ろうと考えている。

余談であるが、昨期はAV機器の不具合のため途中から教室を変更せざるを得なくなり、学生に不

自由をかけたが、協力してくれる学生もいて嬉しかった。

3.今後の授業改善について

①レジュメや参考資料の配布をこれまでよりも増やす。

②学生に見せるAV素材や広告作品に関する説明や解説を丁寧にし、学生の理解を深める。

③テーマや内容によるが、学生とのやり取りを多くし、出来る限り双方向性の高い授業をめざす。

須鎗 弘樹 Hiroki Suyari 情報画像人間工学講座・生体生命情報工学教育研究分野・助教授

情報理論(選必)、5セメ、月3、受講登録数133名

1.私の授業の組み立て方と取り組み方

普遍教育で学部1年生の力学入門も担当しているが,ここでは,上記の科目について述べる.この

授業では,「教科書」と「授業中に使うパワーポイント原稿(授業用のサイトからいつでもダウンロー

ド可能)」の2つを基本的な材料に据えている.本授業の目的は,1948 年のシャノンの有名な論文に

始まり,今日の情報技術の理論的基礎を支える情報理論の2大定理を理解することである.受講生は,

予習として,教科書を読むだけでなく,授業で使われるスライドを授業前に事前に入手することによ

り,その日の授業のアウトラインがわかるだけでなく,そのスライドを印刷・持参して授業に臨み,

それをノート代わりにして,授業で強調された点などを書き込むことができる.スライドの事前配布

は,過去の受講生アンケートなどで明らかになった要望であり,受講生が授業中に理解に集中できる

にするための工夫の一つである.実際,授業中に,これらスライドを事前に印刷し,持ち込んでいる

学生は多く見られ,熱心に書き込んでいる受講生を見かけることが多くなった.また,授業を聞いて

いるだけでは,受講生自身が本当に理解できているのか確かめたくなると思われるので,スライドの

随所にチェック問題を入れたり,授業の合間に教科書の問題を解く時間を与え,ランダムに受講生を

指名して,黒板上で解答解説するということも行っている.少なくとも,毎回の授業の後に,その授

業で何を学んだのかということの理解の進歩を確認できるように配慮しているつもりである.また,

受講期間中に,中間試験と期末試験を行い,中間試験では情報源符号化定理を,期末試験では通信路

符号化定理を扱い,できるだけ基本的な問題を取り上げている.これら試験により,受講生自身の理

解の達成度を,試験勉強とその結果で確認できるようにしている.(原則的に,中間試験は,返却して

いる.)また,それら試験勉強に際して,過去の試験を解答・解説付きで,授業用のサイトで公開して

いる.アンケートによると,授業用のサイトの開設は,受講生の理解の一助になっているようで,概

ね好評であると考えている.

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

すべての項目について,科目平均を上回る結果であった.特に,授業の総合評価に該当すると思わ

れる問8の理解度と問9の満足度については,問8は科目平均3.5に対して4.2,問9は科目平均3.8

に対して4.3であり,良い結果だったと思われる(5段階評価(1~5)で数字が大きいほど良い評価).

この結果をふまえて,現状のスタイルを踏襲しながら,さらに現状以上の評価を得,受講生のより深

い理解度が得られるように,授業を工夫していきたいと考えている.

3.今後の授業改善について

数年前のカリキュラム編成に伴い,それ以前に行っていた符号理論の授業内容を,少しでもこの情

報理論の授業に盛り込みたいと考えているが,現状では,授業時間の制約により,非常に難しい.情

報画像工学科を卒業する学生としては,情報理論は,もちろんのこと,符号理論・暗号理論などを学

部時代に一通り理解しておくことは重要と考えるが,これら全てを半期の授業に盛り込むことは,ほ

ぼ不可能なので,これらの一部でも,今後,授業のなかに取り込み,基礎としての情報理論の裾野の

広さを授業のなかで展開していきたいと考えている.

立田 光廣 Mitsuhiro Tateda 情報画像工学科・情報画像基盤工学講座・画像物理工学教育研究分野・教授

情報画像工学セミナー(必)1セメ、月5,各回6名

レーザ工学(選必)6セメ、月3、受講登録数54名

1.私の授業の組み立て方と取り組み方

「レーザ工学」について述べる。

(1)板書内容をパワ・ポイント・ファイル・スタイルにあらためて2年目である。ただし、書き取

る作業を通じて理解を深める効果を重視して、授業は従来通り板書により行っている。

パワ・ポイント・ファイル形式に書き直すことにより、板書のレイアウトの確認や授業時間内の分

量を予めおしはかるのに役立っている。昨年度の編集に比べると、今年度はマイナーチェインジでは

あるが、追加・修正をほどこしている。この見直し作業は今後も続けて改善をはかりたい。

(2)宿題を全部で5回出し、その都度、採点・答案返却ならびに解説を行った。教員の側の労力も

かなりの覚悟がいるのと、受講する学生にとって過大な負担になっていないか、毎年気にかけている

が、アンケート結果では「解説があるのがよかった」など、例年通り好意的な評価が得られており、

励みとなる。

(3)レーザ装置や授業内容に関連する賛否両論の新聞記事などの回覧を随時おこない、抽象的にな

りがちな講義内容を身近に感じさせようとしている。今後も適切な材料の収集に心がけたい。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

(1)出席率は非常に良い。受講登録者54名中、46名が最終試験を受験したが、その平均出席率

は84%に達していた。

(2)宿題に対しては、「適量だった」、「課題内容が良かった」「復習に役立った」など、好評を得て

いる。更に、「やればやるだけ力がついたので、もっと増やしてほしい」という要望もあった。

(3)アンケートのほぼすべての項目について、a(はい)、b(どちらかといえば、はい)の合計が

昨年度を上回った。「満足度」については、およそ2/3の回答者が肯定的(a+b)であったことは

励みになる。

3.今後の授業改善について

昨年度に比べ減少したとはいえ、声を大きく、字を見やすくとの注文はまだあり、これらの基本的

な要望にこたえるべく今後も努力したい。

パワ・ポイント・ファイルを投影する方式だと、少なくとも見やすさは格段に向上するとは思うが、

学生の理解がより深まるかという点については疑問を持っている。他の授業(大学院など)での試行

結果を見ながら改善策を探りたい。

田原紘一 Koichi Tahara

情報画像工学科(工学部共通)・非常勤講師

工業システム概論(選)5セメ、木4、16名

1.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

工業システム概論の評価について述べる。点数の表記法は(工業システム/科目平均)

である。

履修した皆さんからはおおむねポジティブな評価をいただいた。特にQ3(教材理解 4.56/4.02)Q4

(教員の声4.56/4.11)Q7(興味を持たせる工夫4.12/3.76)Q8(理解度4.06/3.53)などは平均

よりよい評価であった。Q9(満足度 4.75/3.78)で高い評価をして頂いたことは、私の授業がこれ

から社会に出て行く聴講生に仕事の局面で何らかの手助けになればと嬉しく思っている。

Q2(出席率4.68/4.74)Q5(板書OHP 3.87/3.82)などは平均的だった。これらはもう少し工夫すべ

きだったかと反省している。

2.授業でのスタンス

授業に際しては、個々の細かい知識よりも、大筋として、責任をもって行動すること、一緒に仕事

をする人の気持ちを大切にすること、技術だけに偏しないことなどを理解し、それが身に付くことを

願っている。またPlan-Do―Check―Actionのサイクルは生産管理に限らず何の仕事でも大切なこと

も強調した。

これまでの自分の経験をもとに、学生が実社会に出たときのことを常に想定しながらなるべく具体的

に話をしているので、興味を持ってもらえたのだと思う。また授業の初めに前回の講義の内容を質問

し、理解が低い場合は再度説明するということは毎回行っており理解を助ける一助となったかと思う。

3.企業見学

講義の最後に有志で工場見学を実施しているが、聴講生に聞いてみると、これまでにほとんど工場、

会社見学の経験がなく、これからも予定がないと答えている。百聞は一見に如かずで、自分の目で工

場がどのように動いているか、先輩がどんなところで仕事をしているかなどを見ることは非常に大切

と思うので、企業見学を制度化して頂きたいと思う。

富永昌治 Shoji Tominaga

情報画像プロセス工学講座・知的画像処理工学教育研究分野・教授 ディジタル画像処理,3セメ,木2,受講登録数 69名

ディジタル画像設計論,4セメ,木2,受講登録数 5名

1. 私の授業の組み立て方と取り組み方

画像処理の授業は単なるアルゴリズムの説明では理解が得られない.本講義は対象画像を

モノクロに限定せず,今日の学生に身近なフルカラーを対象としている.そこで PC プロジ

ェクタを使って画像の特徴や画像処理の結果を例示するようにしている.これにより言葉や

数式では理解できなくても,画像を見て直観的な理解ができるようにしている.

教科書は使用しているが,大切で本質的な箇所はすべて板書している.板書により授業の

スピードが落ちるようにみえるが,受講生が板書の内容をノートに取りながら理解すること

は効果的な教育的配慮と考える.これにより教壇の教員から受講生への一方通行ではなく,

教員も受講生の様子がわかり,説明を追加するゆとりが出てくる.重要なフレーズや式はも

とより,重要なグラフ・図面も黒板に描く.図を描く際に,①重要な線や数値のみ書き,決

して複雑にしない,②軸の名称とできれば単位も書く,③白以外のカラーチョークを効果的

に使用する,といったことに留意している.

トピックスについては,全般を盛り沢山に展開するのではなくて,重要な項目を厳選して,

その本質を詳細に丁寧に説明することを心がけている.つまり重要な項目について,その概

念をまずつかんでもらえるようにしている.

なお授業への出席を促すためと熱心さをみるために毎回出席をとっている.

2. 学生による授業評価結果,ならびにそれに対するコメント

声は良く聞こえたかの設問が 4.69 で平均(4.11)をかなり上回ったのは,授業中常にマ

イクロホンを使用したためと考えている.板書,スライドの見やすさもまずまずの評価で,

効果があったようである.教材についてはあまり役に立たなかったという評価がある.これ

は役立たないという意味ではなくて,本質的な箇所はすべて板書するという方針であったた

め,結果として教科書を買わなくても理解できたという意味と解釈している.深く理解する

には教科書は必要である.その他は平均レベルである.理解を助ける工夫と興味を持つ工夫

は評価が同点で,受講生は区別していないように思う.理解が得られなければ,興味を持つ

ことは無いのである.

3. 今後の授業改善について

授業の進め方についての基本方針には問題がないと考える.板書はきっちりするけれど,

やはり教科書・参考書を指定した方が受講生にとって便利だと思われる.よりわかりやすい

板書に仕方,およびパワーポイントでの画像処理結果の表示に工夫を凝らしたい.重要項目

の理解を向上させるために途中でレポート提出を課す工夫も考えたい.

星野 勝義 Katsuyoshi Hoshino

情報画像工学科・情報画像プロセス工学講座・微細画像プロセス工学教育研究分野・教授

先端材料(選必)5セメ、金5、108名

画像材料工学実験Ⅲ(必)6セメ、木 3-5、140 名

情報画像工学セミナー(必)1セメ、月 5、140名

Fundamentals of Imaging Science (JPAC) 前期、月 3、3名

コア科目9 先端技術 -ものづくり-4 「情報と画像」 1 セメ、金 4、50名

1.私の授業の組み立て方と取り組み方

先端材料について述べる。本授業科目は、無機半導体の基礎から始まって有機半導体の基礎へと進み、

その後は基礎を教授しつつも学生の興味を継続させる目的で、実用デバイスの例を通しての半導体物性

の理解、そして将来手にするであろう未来の新材料・ナノデバイスの講義へと進む。今年は受講者数がや

や減少し、昨今話題となっている材料離れが心配された。しかしながら、履修登録を行った学生は毎回ほ

ぼ全員参加し、実際、問2の出席に対する評価では、4.9 ポイントとなっている。以上の実績より、学生の興

味を途中でとぎらすことなく進められたものと解釈している。なお、テキストは独自作製のプリントを用いてお

り、各自が自主性をもって重要箇所を記入する形式となっている。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

問4を除くすべての設問において平均を著しくしのいだ。教材(問3:4.7 ポイント)、表示媒体の見やすさ

(問5:4.4 ポイント)、授業内容を助ける工夫(問6:4.5 ポイント)、授業に興味を持たせる工夫(問7:4.6 ポイ

ント)、授業内容の理解(問8:4.3 ポイント)、満足度(問9:4.6 ポイント)は評価されるものと考えている。ただ、

問4の“教員の声は良く聞こえたかどうか“のポイントが 4.0と低くなっており、本人は全く認識していなかった。

昨年度は 4.4 ポイントが与えられており、本年度の低い評価は意外であった。なお、昨年度の授業アンケー

ト評価において、当学科を志望する学生の本質的な興味が“情報分野”であるという傾向があることを述べ

たが、やはり年々この傾向は強くなっており、本授業受講者数の減少につながったものと考えている。

3.今後の授業改善について

まずは、問4で指摘された“教員の声が良く聞こえない”との指摘には早急に対処する。授業時間内には

私語は厳格に禁止しているので、やはり教員側に問題がある。また、マテリアルへの興味を少しでも高めよ

うと種々の努力をした結果が評価項目のポイントに現れているので、今後も従来手法を継続するつもりであ

る。すなわち、独自教材や授業をアシストする表示媒体の駆使を行うことはもとより、将来手にするような情

報画像デバイスの基礎やその将来像を積極的に取り上げ、学生の興味を持続させる教育を行っていきたい。

ただ、その努力と学生側の興味がどれほどマッチングをしているのかは今後も注視しなければならない。な

お、本授業科目はこれまでお茶の水女子大理学部科学科及び東京工業大学物質科学専攻で非常勤科目

として開講した実績があり、マッチングが良好であったため好評を博した実績がある。

堀内 隆彦 Takahiko Horiuchi 情報画像プロセス工学講座・知的画像処理工学教育研究分野・助教授

フーリエ変換と画像(必)、3セメ、木2、受講登録数86名

フーリエ変換と画像(必)、3セメ、木3、受講登録数91名

画像システム工学演習I(必)、7セメ、木2、受講登録数3名

画像材料工学演習I(必)、7セメ、木2、受講登録数7名

他、情報画像工学セミナー、情報画像工学実験Ⅲ、Fundamentals of Imaging Science

1.私の授業の組み立て方と取り組み方

昨年に引き続き、「フーリエ変換と画像」を担当した。本講義は、様々な場面で登場するフーリエ解

析に関して、画像を題材にしながら理解を深めることを目的とした必修科目である。受講者数が多く、

きめ細かい講義ができないという反省に基づき、今年は2クラス開講にして、教室も小さな部屋に変

更した。しかしながら、他学科から十数名の受講を受け入れたことと、過年度科目として同時開講し

たこともあり、それぞれ100名弱の受講者数となった。画像工学の立場から、フーリエ変換の理論と

応用を丁寧に記述した教科書はないため、授業ではテキストを指定していない。授業では板書によっ

て、数式の展開を一つひとつ丁寧に追いながら進めることによって、授業が終わるときには、自分の

ノートがテキストとなるように心がけた。また、印刷された教科書や資料をただ眺めるのではなく、

自らノートを取りながら内容を追うことによって、より理解が深まることを狙っている。本科目は数

学の授業という位置づけではないので、単に数式上で理論を学ぶのではなく、概念を理解してもらえ

るように、講義の前半の回ではパソコン上で動作するシミュレーターを利用するなどして、数式と実

際の動作との対応を心がけた。

毎回授業の最後には、その週に学んだ内容に対して演習を行い、その結果に基づいて、翌週補足説

明を行った。これによって、学生の理解が不十分な点を把握でき、その後の授業の組み立てに活かす

ことができる。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

全体の評価項目にわたって、3コマに講義したクラスの評価が、2コマに講義したクラスの評価よ

り0.1~0.2程度高い結果となった。これを、実際の成績評価と比較すると、綺麗な相関が見られ、成

績の高いクラスは授業評価も高く、成績の低いクラスは授業評価も低い結果となった。2つのクラス

で、特に授業方法を変えたことはないが、同じ内容を講義しているので、2度めのクラスの方が無意

識にわかりやすい形になっていたのかも知れない。成績にはかなり開きが見られたので、注意深く考

察したい。

3.今後の授業改善について

理論型の科目であるため、学生は実場面と結びつけることがなかなか難しいようである。3年次の

フーリエ変換の実験を行うことによって、始めて理解できたという声もよく耳にする。より具体的な

例を用いながら、興味を引く講義を心がけたい。

また、アンケートのコメントとして、教材を指定して欲しいという意見が散見された。フーリエ解

析に関する本は非常に多く出版されているが、そのほとんどは数学書か信号処理の一部として書かれ

たものであり、本講義に合致する教材がない。今後、資料として配布することも含めて、教材のあり

方を検討していきたい。

堀内 靖雄 Yasuo Horiuchi 大学院自然科学研究科・情報科学専攻・認識情報科学講座・助教授

コンパイラとオートマトン(選必)、6セメ、火3、受講登録数87名

オートマトン理論(選必)、8セメ、火3、受講登録数14名

プログラムの設計と実現(必修)、3セメ、木2&3、受講登録数81+71=152名

プログラムの設計と実現I(必修)、7セメ、木2&3、受講登録数2+5=7名

プログラムの設計と実現II(必修)、7セメ、木2、受講登録数1名

1.私の授業の組み立て方と取り組み方

オートマトンは言語理論などを包含した情報工学の必須基礎科目の一つであるが、内容は数学的な

部分が多い(抽象度も高い)ため、情報系を志す学生にとっても面白味がなく、難しい内容であるこ

とも事実である。また、新カリキュラムで「コンパイラ」と統合したため、非常に分量のある科目と

なった。そこで、講義内容をプリントとして配布し、板書をノートに書き取る負担を減らし、口頭説

明を聞くことに集中できるよう配慮した。また、すべてをプリントに書いてしまうと逆に講義に集中

しなくなるおそれがあるため、適度に穴埋めを設け、それを板書しながら補足していった。プログラ

ムは今年から担当した科目であるが、1コマで C言語の基礎を教えながら演習も行なわなくてはなら

ないため組立が難しい。また、この講義はプログラミングの入門であり、一部の学生がこの段階でつ

まずき、プログラミング嫌いになってしまうこともあるため、とくに初心者を意識し、非常にゆっく

りとC言語の基礎について講義を行なった。説明はパワーポイントにて行ない、それを資料として配

布した。ただし、授業への集中力を高めるため、各自のコンピュータの電源を切った状態で講義を行

なった。また、演習問題として、ほとんどの学生が授業時間内で終えられるような簡単な課題をほぼ

毎回行ない、提出させることとした。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

設問3~9について、オートマトンでは平均4.27となり、平均の3.83を大きく上回っている。理解

度で+0.46、満足度で+0.47となっており、好評であることがわかる(設問7(興味を持つ工夫)は+0.33

であったが、それ以外はすべて+0.4以上であった)。一方、プログラムの方では平均3.92とわずかに

平均を上回ったが、ほとんど差がないことがわかる。設問4(声が聞こえたか)は+0.22と平均よりは

高かったが、設問3(教材)は-0.12となった。内容を簡単にするあまり、教科書とのリンクがうまく

とれなかったことに問題があったと考えられる。それ以外はすべてわずかに平均を上回っているが有

意な差とはいえない。

3.今後の授業改善について

コンパイラに関してはプリントや講義がわかりやすいとの自由記述が多かったため、来年以降もプ

リントを中心としたわかりやすい講義を目指したい。ただしアンケート結果にもあるように、内容に

興味を持てるような工夫において改善の余地がある。一方、プログラムでは平均並の評価となってし

まったが、アンケートの記述からは資料が不十分という指摘が多かった。これはパワーポイントのス

ライドのみを配布したが、それだけでは十分に理解・復習ができなかったことが原因であると考えら

れ、コンパイラ同様、プリントを充実させる必要があると考えられる。また、教科書と連携し、復習

や自習などが行ないやすいように配慮する必要がある。一部のプログラミングの得意な学生からは内

容が簡単すぎるというコメントもあった。初心者のペースで進めているため、この点についてはある

程度は仕方のないところではあるが、来年度へ向けて対応策を検討したい。

松葉 育雄 Ikuo Matsuba 情報画像工学科・情報画像人間工学・生体生命情報工学教育研究分野・教授

確率と統計(選必)4セメ,火2,受講登録数87名

生体情報システム論(選必)6セメ,月4,受講登録数122名

1.私の授業の組み立て方と取り組み方

「確率と統計」は教科書、「生体情報システム論」ではパワーポイントを使用し、同時にパワーポイ

ントを印刷した資料を配布している。「確率と統計」で用いている教科書は以前教科書なしで講義して

いた時の学生からの要望で前作成したものであるが、統計に関しては新たに作成した資料を使ってい

る。将来社会にでても必要であろう基礎的な数学的知識に乏しさには毎回悩まされるが、「確率と統計」

でも高校で習うべき事柄まで復習する時間を取らざるを得ない。行列も理解できない学生も見当り、

年々低下する本学科学生の基礎学力向上を目指し取り組んでいる。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

「確率と統計」に比べ、「生体情報システム論」が3年後期に開講していることもあって例年は受講

生が多くなかった。両科目とも休講は0で学生の出席率は概ね70%程度で、学科の他の講義でもそう

であるが、数学を必要とする「確率と統計」は学生の理解度が低く、理解度、満足度と平均より 0.5

同程度低くなっている。講義時間内に何が重要なのかを十分時間をかけて説明しても、復習すらしな

い。特に「確率と統計」では教科書を用いているためか講義に出てこない学生もいる。また、以前の

アンケートに「講義前半は高校の延長」とあったようになるべく高校での復習を交えて行っているが

それすらもできない学生が年々増加し、学科として育成したいと考える学生に必要な基本知識の修得

をも避けている。信じ難いが資料持込でないと試験を受けないと宣言する学生もあった。ここ2、3

年の平均得点の低下はないが、学力低下が改善される見通しがない。

アンケートには、良かった点として「教科書に沿って詳しく分かりやすい」、「実生活に近い例示は

よかった」などがあった。以前「演習時間をとってほしい」があったので、数年来中間試験を1回取

り入れた。また,出席している学生の割合と,単位取得学生の割合がほぼ一致している。生体情報シ

ステム論ではプロジェクターを使っての講義であるが、前半部では数式表現がなく分かりやすいよう

であるが。しかし、後半部では工学として情報を理解するための数式表現がでてくるが、数式を用い

た内容に移ったとたんに理解が落ち込むようである。数式といっても線形代数、確率統計程度の内容

であるが、学生の数学に対する拒否反応には毎年のことであるが驚かされる。1、2年で理解すべき

基礎的な数学を習得していないし、またその気もないようである。

3.今後の授業改善について

生体情報システム論に興味を示す受講生は多少いるものの学生の数学的知識に欠乏は救いがたいも

のがある。数式の記述をもう少し減らし、ものの本質を理解させるようにしたい。3年になっても数

学的な知識は依然高校レベルに留まっている学生が多数いるので、学生にも線形代数程度の基礎学力

をつけて講義に望んでほしいが、講義自体に対する興味を低下させないようにさらに努力したい。情

報を目指して入ってくる学生が少ないので、数理や情報の基礎学力の底上げが必要である。

松村 英夫 Hideo Matsumura 情報画像工学科・非常勤講師

基礎界面化学(選必)8セメ、火5、12名

1.私の授業の組み立て方と取り組み方

この講義は界面化学や微粒子分散系の基礎事項のうち、国際的ないくつかの教科書から将来、材料

物性関係の仕事に就くと思われる学生に役立つと思われるものを総合的に選択し簡明に説明している。

講義内容は必ずしも学生が100%理解してもらうことは目指していない。 むしろ、将来学生が実

業に就いたとき、何をもう一度勉強したらよいかという指針と目標を示すことに重点を置いている。

それでも、なるべく学生の興味を引き出すように単純な概念で例示も加えて講義をした。講義時間の

関係でパワーポイントのスライドで行った。スライドの内容を希望者にはpdfファイルで学生に配

布し学生の復習を促進するようにした。ミニレーポート、レポート、また、ノートの提出を義務付け、

時に出席をとることで出席を促した。界面化学やコロイド科学は種々の産業のベースになる知識体系

の一つであるが、最近、大学で履修していない学生が増ているそうで、産業界で実務についてから学

習するケースが多いと聞く。この講義をうけた学生が実務についたときに履修してきて良かったと思

うのを期待して講義をしている。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

毎回、気にかけているには「全体をとおして、この授業に満足しましたか?」(設問9)などの学生

の満足度であるが、これはどうやら今年も満たしているので安心している。他の設問の多くがほぼ平

均値やそれ以上でありこのままで良いのかとも思うが、授業中の学生の様子から見てさらに興味ある

スライドなどを工夫した方が良いのではと思っている。

3.今後の授業改善について

各回の講義の重点項目をさらにはっきりさせるようにスライドの改定をおこなう。

学生により集中力持続時間にバラツキがあるようなので、授業内容と時間の割り振り構成を工夫をし

たい。

レポートの問題を考察の入るものに工夫してみたい。

森田 浩 Hiroshi Morita

情報画像基盤工学講座・情報基盤マテリアル工学教育研究分野・教授

光物性基礎(必修)4セメ、水2、水4,受講登録数169名

基礎光化学(選必)6セメ、水2,受講登録数10名

1.私の授業の組み立て方と取り組み方

光物性基礎は学科のカリキュラム変更に伴い、昨年度から開講された科目である。この講義では有

機分子中の電子の挙動と金属や半導体などの固体材料(固体物質)中の電子の挙動との類似性と差異

を理解し、それらがどのように物性と関連しているのかを学習することを目的としている。また、そ

のために必要な電子の運動を記述する方法を勉学することも目的の一つとなっている。電子の記述に

は量子力学(または量子化学)が必要となり、また固体物性論、有機電子論、光化学にまたがる広い

範囲の基礎的な知識を横断的に学習する必要がある。本年度は昨年度に行った講義内容の順序を入れ

替え、先ず、①量子力学の基礎的な勉強を行い、その後、②有機分子の基礎的な性質を説明して有機

分子の分子軌道にいたる概念を解説した。そして最後に③固体物質中の自由電子モデルとエネルギー

バンドの解説をおこなった。授業内容がいくつかの分野にまたがり範囲が広いため、一冊の教科書や

参考書ではカバーしきれない。そのため、授業内容を印刷した資料を今年度も毎回配布し、復習が容

易にできるようにした。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

今年度は量子力学の勉強を受講者のほとんどが履修していないことを考慮して、始めに量子力学の

基礎的な勉学をした後に、有機分子の化学結合と分子軌道の説明へと進んだ。また、昨年度の学生の

学力を参考にして講義内容を大幅に整理して縮小し、物理と化学の両科目を十分に勉強していない当

学科の学生が授業内容を理解できるように工夫した。また、講義中に簡単な数式の導出を学生自らが

行う時間も設け、また、理解度を知るため、いくつかの事項についてしばしば学生に質問し、学生が

受動的にならないように配慮した。また、試験も昨年と同様、2 回行い、勉強の機会を増やした。そ

の結果、昨年度の授業評価アンケートの結果と比べて、学生側の理解度と学習意欲が大幅に(0.65ポ

イント)向上し、また、満足度が大きく(0.74ポイント)向上した。

しかしながら、材料や物性の勉強に興味を持たず、この講義を十分に消化していない学生も少なく

ない。進路として別の方向を志望している学生に一律にこのような基礎科目を課すことに、今年度も、

教える側として難しさを感じている。

3.今後の授業改善について

物理と化学の両科目をきちんと勉強していない学生が多数いることを考慮し、学生のレベルに合わ

せてこの授業に関連する基礎的な事項をさらに平易に時間を割いて説明する。簡単な式の導出を授業

中に学生自身に行わせたり、質疑応答による対話が意欲の引き出しに有効であったのでこれを継続す

る。受身になり、ただ座っているだけの学生を減らしたい。資料の配布はこれまで通り毎回行い、復

習がしやすいようにする。出来れば新たな教科書を作成する必要がある。

矢口 博久 Hirohisa Yaguchi 情報画像人間工学講座・視覚情報工学教育研究分野・教授

人間の情報処理入門、3セメ、火2、受講登録数131名

視覚情報処理、5セメ、水5、受講登録数13名

視覚工学概論I、7セメ、火2、受講登録数7名

1.私の授業の組み立て方と取り組み方

担当している3科目とも,画像,色,動画のデモンストレーションを取り入れているので,パワー

ポイントを中心としたディジタル画像機器を用いて講義をしている。パワーポイントを使った授業は

進行が早くなりがちであるが,重要なポイントは何度も繰り返して説明することによって,学生が理

解できるように工夫している。「人間の画像処理入門」と「視覚工学概論 I」は同時に開講しており,

毎回100名以上の学生が聴講しており,学生の反応を見るのは難しいが,熱心に聞いている学生を

中心に話しかけるように講義を進めている。3度の講義に1回の割合で小レポートを課題として出し

て,学生の評価を行っている。小レポートの評価と期末試験の成績にはある程度の相関があり,授業

をまじめに聞いているかどうか,はっきりと評価に表れている。

メディカルシステム工学科の学生を対象にした「視覚情報処理」は少人数の履修者であるので,学

生の反応も捉えやすく,効果的な授業が展開されていると思う。「

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

「人間の情報処理入門」と「視覚情報処理」は対象とする学科が異なるが,ほぼ同一の内容,教材

を使った講義をしているが,評価が分かれた。5段階評価で,前者は 3.4 と学科平均を下回っておい

るが,後者は4.2の評価を得た。この原因は,授業形態にあると思われる。前者は階段教室で120以

上の学生を前に授業をしており,後部座席の学生の多くは私語もあり,出席はしているが,授業には

参加しない。後者は15名程度の少人数で,学生の私語は全くなく,全員が授業に参加している。どち

らの授業評価が正しいのか分からないが,やはり,大講義室での大人数授業は学習効果,授業の効果

が薄まることは確かなようである。

3.今後の授業改善について

大人数を対象にした授業を工夫したい。階段教室を歩きながら講義をするのか,本当に興味を持っ

た学生だけを対象にして,後ろの方で私語,居眠りをしている学生を無視するような講義にするのか,

その他,色々と対策を練って,授業改善を図りたい。

渡邊 修司 Shuji Watanabe 情報画像工学科・非常勤講師

情報知的所有権セミナー(選)、前セメ、15回、受講登録数109名

1.私の授業の組み立て方と取り組み方

産業財産権の中の特許権を中心に、実用新案、意匠、商標、著作権、半導体回路配置、種苗法、不

正競争防止法および外国特許法、日本と欧米の特許制度の歴史、国際条約の成立と運用、知的所有権

に関する国の施策、民法との関連、など無体財産権に関わる広範な領域についてパワーポイントを利

用した講義を行っている。日米欧の特許法の歴史からは特許権獲得と産業の発展との関係を詳しく述

べる。さらに過去の権利を巡る争いの概要を解説し権利者が享受する事項などについて関心深化を図

る。時事新聞情報を中心にして現在進行中の知的所有権についての報道を利用して補足説明を行ない、

身近な事象として起こりうることを理解してもらい、さらに研究する動機付けを図る。特に力点を置

いているのは、現在ならびに将来にわたる研究・開発や生産活動など知的創造の場において知的所有

権の観点からの対応を適切に行なえる素養を涵養することである。

2.学生による授業評価結果、ならびにそれに対するコメント

問いのうち5、6、7、および8についての評点が4未満であり、特に7についての改善が行なえ

れば、その他の項目の改善も図られると思われることから講義のやり方をさらに研究する必要がある

と感じた。

3.今後の授業改善について

法律の骨子の説明、手続きの概要などパワーポイントで説明するにあたり、要点はプリントして配

布したが、盛り沢山の態様を否めない。手続きの概要などはまとめて説明し相違点のみを強調するこ

ととして時間を捻出し、具体的な特許権などの係争例について侵害・非侵害について考えて判定をし、

判例とつき合わせて考察するなどの演習を取り入れることを検討したい。