感性情報処理 - daemon.inf.uec.ac.jpdaemon.inf.uec.ac.jp/ja/Lec/06fqr3/7.pdf美遊感創...

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感性情報処理 2014. 5.22

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感性情報処理2014.5.22

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大量生産

品質管理

一品種一品生産

多品種少量生産

時代

労働集約

設備集約

感性集約

情報・知識集約

産業

数値計算

文字記号処理

感性情報処理

知識処理

コンピュータ 価値観

重厚長大

軽薄短小

美遊感創

感性社会(人間重視社会)

・ 製品設計・情報処理における感性の重要性を認識

・ 「ヒトに関わるシステムにおいて考慮すべき最重要事項」

社会的欲求

参考:感性情報処理 井口征士 著 ヒューマンコミュニケーション工学シリーズ 電子情報通信学会 編

感性工学

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[※]原田 昭:“感性の定義”,「感性評価2」,感性評価構造モデル構築特別プロジェクト研究組織,岡崎章 編著,pp.41-47,1999http://www.kansei-design.com/

感性は,以下5つに分類されているとしている[※].

1.主観的で説明不可能なはたらき

2.先天的な性質に加えて知識や経験による認知的表現

3.直感と知的活動の相互作用

4.美や快など,特徴に直感的に反応し評価する能力

5.イメージを創造する心のはたらき

「ある刺激に対して働く能動的な能力を持った働き」

何かに対する「働き」であり,「能力」であり,「表現」であり,「作用」であり,能動的な意味合いを多く含んだもの

感性とは? 英語: Sensibility ・・・間違い?!

英語: Kansei

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システムの概念:処理

・システム=「入力を出力に変化させる処理」と捉える

・システムにより入力は消費され,出力が生成される

システム

サイバネティクス

生理学,機械工学,システム工学を統一的に扱う学問

「生物も機械もシステムの視点で見れば同じ」

・相互に影響を及ぼし合う複数の要素により構成されるまとまりや仕組みの全体。

系、体系、制度、方式、機構、組織

システム

要素

要素

要素

処理(process)

入力

(input)

出力(output)

フィードバック・モデル

生体システム

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生体もシステム!

システム

要素

要素

要素

処理(process)

HUMAN感覚センサ

・視覚・嗅覚・聴覚・味覚・触覚・体性感覚・etc・・・

認知

+

感情

認知+感情

参考:人間計測ハンドブック 産業技術総合研究所人間福祉医工学部門

外界からの刺激

Input

・社会的環境

・物質的環境・言語・動作・表情・情動・etc・・・

表出される感性情報

情動等

Output

感性情報

感性

感性情報

感性:「感覚から心理までの情報処理プロセス」

HUMAN 感性情報:「感情や情緒に基づいて処理された情報、感性を含む情報」

感性・・・ある刺激に対して働く能動的な能力を持った働き

感性のシステム論的解釈

感性 = 入力に対する内部状態および出力特性

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ブラックボックス化された生体システム

Input

Output

生体システムの解析

例: 刺激を与えると…質問をすると…

入力と出力の関係からシステムの性質を類推する

心理・生理・行動を評価!

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心理計測

•感情/気分

•感覚量

行動計測

•パフォーマンス

•動作/表情

生理計測

•神経系活動

•内分泌系活動

◎主観性

◎計測

△定量性

×実時間性

×客観性

×無意識性

◎実時間性

○無意識性

○計測

△客観性

△定量性

×個人差

◎客観性

◎定量性

◎無意識性

○実時間性

△計測

△個人差

×質的評価

×低ストレス

感性計測指標の利害得失

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感性情報の評価法

心理評価法

アンケート

・自己報告(自由回答)法

・段階評価法

・意味微分法

・連続スケール法

・etc・・・

行動評価法

パフォーマンス

・動作

・表情

・etc・・・

生理学的評価法

生体計測

・脳波 ・脳血流

・心拍 ・fMRI

・皮膚温度

・筋電図

・眼電図

・etc

生理計測

心身に対する入力

感覚 情動知覚

入力に起因する感性=心身状態

認知 表出された感性=応答

心理計測/行動計測

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心理指標

VAS(Visual Analog Scale)

自由度の高い評価ができるように線のみとなっている。

VASの特徴:

• 感覚を調べる指標。

• 尺度上に感覚の程度を記入する。

• 尺度左端から印までの長さを測定し、感覚の割合を算出して結果を求める。

快 不快

73mm

100mm

評価値:73点

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心理指標

SD法(semantic differential)

左端の「たいくつ」に印→1点

右端の「楽しい」に印→7点

• 印象を調べる指標。

• 尺度上に対義語を配置し、概ね7段階で構成されている。

尺度ごとに因子分析

図 SD法の例

評価方法:

印象を数値化

1 2 3 4 5 6 7得点

大きく影響を受けている共通の性質(因子)を特定

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心理指標

NASA-TLX (NASA Task Load Index)

• 作業における精神的負荷を調べる指標。

• 尺度別に負荷を評価し、上記6つの尺度を一対比較法により重要度を決定し、これを評価値とする。

知覚的要求(小さい/大きい)

身体的要求(小さい/大きい)

時間的圧迫感(弱い/強い)

作業成績(良い/悪い)

努力(少ない/多い)

不満(低い/高い)

尺度:

図 NASA-TLXの例

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心理指標

POMS(Profile of Mood States)

不安

抑うつ

怒り

活気

疲労

混乱など

全体で65問

尺度:

・過去一週間の気分の状態を

「全くなかった」

から

「非常に多くあった」

までの

5段階で評価する。各尺度ごとの合計を出して採点を行う。

• 一時的な気分や感情を調べる指標。

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心理指標

STAI (State-Trait Anxiety Inventory)• 不安度を調べる指標。

上記の2つに分かれている。

今現在の気分である状況不安(20項目)

普段から感じている滞在的な気分である特性不安(20項目)

• 基本的に4段階で評価し、加点方式によって不安尺度の点数化を行う。

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生理指標

脳波

事象関連脳電位:脳波を加算平均。出来事に関連して生じる脳電位。そうした物事を弁別する能力が高いほど、P300という脳波が発せられる。

脳波の周波数帯域による分類

図2 脳波の電極例

• 脳から生じる電気活動。抑圧・負担・負荷により変化する。

図1 脳波の動き

δ波(d-wave, d-rhythm): 4Hz未満無意識・深い睡眠状態時に現れる

θ波(q-wave, q-rhythm): 4~8Hz集中・浅い睡眠状態時に現れる

α波(a-wave, a-rhythm): 8~13Hz安静・閉眼・覚醒時に顕著に現れる基礎的な律動波形.

β波(b-wave, b-rhythm):13-30Hz緊張・不安・興奮など開眼時,精神活動時に目立つ

Γ波 : 30Hz以上強い不安・興奮の状態に現れる.

Fmθ波 : 7~8Hz精神集中作業時に,正中線上前頭部に現れる.

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生理指標

心電図 (自律神経系指標)

・心電計を使い、胸部に電極を装着して測定。

図 波形R-R間隔の例 図 電極の位置例

リラックス

ストレス

交感神経系優位 → RRI 短縮(=心拍数増加)

副交感神経系優位 → RRI 伸長(=心拍数減少)

(1) R-R 間隔(RR interval: RRI)

血液を送り出すときに生じるR波と、次のR波の間隔をとったが用いられる。

【心電図から得られる指標】

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fig: RRIの時間的変動 fig: 安静時HRVのパワースペクトル密度

LF

HF

【心電図から得られる指標】

(2) 心拍変動(heart rate variability:HRV)

RRI は2つの周期のゆらぎ現象を呈する.VLF: 低周波数成分(0-0.05Hz)には血管運動活動、レニン・アンジオテンシン系、そして体温調節を反映

LF: 中間周波数成分(0.05-0.20Hz)は圧受容体系の反映

HF: 高周波数成分(0.20-0.35Hz)は呼吸変動の反映

・LF成分:交感神経と副交感神経活動によって影響を受ける

・HF成分:呼吸によって生ずる副交感神経活動によって影響を受ける

・VLF成分:主として交感神経活動、一部副交感神経活動により影響を受ける

・LF/HF:交感神経指標

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【生体電気信号計測の難しさ】

(1)信号レベルが非常に小さい

(2)信号源が複数存在する

(3)周囲に生体信号より大きな雑音がある

(4)測定対象(人間)に測定機器,環境,条件が影響

(5)信号源インピーダンスが非常に大きい

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生理指標

皮膚温度

• 鼻部は皮膚温度の測定に適していると考えられている。

図1 測定例(サーミスタ) 図2 測定例(サーモグラフ)

主な測定方法

サーミスタ

サーモグラフ

• 自律神経系による温度の変動を調べる。

• ストレスを受けると自律神経に影響を及ぼし筋肉が収縮するため、血流が悪くなり低下する。

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不快刺激時の鼻部皮膚温変化快刺激時の鼻部皮膚温変化

T(t): 時系列鼻部皮膚温

t=0[s]

t=T [sec] t=T [sec]

t=0[s]

images

鼻部皮膚温変化から感性情報を評価可能?!

自律神経系の反応を非常によく反映

鼻部皮膚温度

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生化学指標

唾液

• ストレスが強いほど、コルチゾールの分泌が増加する傾向にある。

図 サリベット管

• 代表的な例では脱脂綿を口内に染み込ませ、唾液中の副腎皮質から分泌されるコルチゾール濃度を測定し、分析する。

マーカーの種類

コルチゾール クロモグラニンA

免疫グロプリン チオレドキシン アミラーゼ カテコールアミン

唾液での測定 ○ ○ ○ ○ ○ △

特徴 ストレス刺激を受けてから応答が現れるまで時間がかかる

精神的ストレスだけを高度に測定できる

ストレス刺激で上昇するが、快適性でも上昇する

酸化ストレスによって上昇。精神的ストレスとの関係も示唆

ストレスに反応して速やかに反応して上昇する

すぐに応答するが、唾液での測定は困難

唾液系の主なストレスマーカー

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評価指標 特徴 メリット デメリット 活用例

NASA-TLX 作業における精神負荷を測定評価項目が細分化さ

れている質問の説明文が複雑

商品開発時の使用負荷度調査

SD法 感じた印象を測定被験者は尺度に記入

するだけで済む分析に手間が掛かる イメージ調査・心理学

POMS 気分や感情を測定合計だけで点数化可

能入手・実施が困難 心の健康管理

VAS 感覚を測定被験者は尺度に記入

するだけで済む実施前に被験者へ説明の

必要がある緩和ケア

STAI 不安度を測定アンケートに記入し、加

点だけで点数化不安以外には不向き DV患者へのケア

脳波 気分や感情を測定電極位置が明確に定

められている測定機器を揃える必要が

ある意思を伝える装置の

開発

心拍数 心臓が動く回数を測定正常な心拍リズムかど

うか判明する波形をこまめに記録し、処

理量が多い運動強度の算出

皮膚温度 特殊な機器で温度測定ひと目で身体の状況が

把握できる被験者は絶対安静が要

求される皮膚疾患による身体

温度差有無

唾液 成分から負荷具合を測定人体に負担が無く生

理的反応を評価簡易的な成分分析が未

確立緊張度の評価

まとめ

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成績評価方法

• 出席 o 全15回

• レポート o コースごとのレポートを各1通,合計3通を提出

o レポート課題は各コースの最後で出題

o 提出は紙媒体で,提出場所,締切は下記の通り

• 提出場所: 西5号館3回 J学科事務室前ポスト

• 期限

o メディア: 05/22, 15:00

o 経営情報: 06/26, 15:00

o セキュリティ: 07/31, 15:00

レポート課題:

・感性計測を用いた研究を調べ、レポートに纏め考察せよ。

また、どこが面白いと思ったのかも書くこと。(2枚以上)

・感性計測を応用したまったく新しい機械を考察せよ。